【実施例】
【0149】
以下の界面活性剤を実施例に使用する。親油性核形成部位である重合部位を形成するのに使用される場合、これらの界面活性剤は、実施例において核形成剤または核形成界面活性剤と呼ばれる。
【0150】
Pluronic(登録商標)31R1は、非イオン性であり、上に示される構造を有し、この界面活性剤の両端は疎水性であり、中心は親水性である。
【0151】
Avanel(登録商標)S−70は、エチレンオキシド基を含有し、上に示される構造を有するアニオン性界面活性剤である。
【0152】
Silwet(登録商標)L7600は、GE Siliconesから入手可能な非イオン性ペンダント型ポリエチレンオキシド改質ポリジメチルシロキサンである。
【0153】
Tergitol(登録商標)100は、Tergitol(登録商標)TMNシリーズの界面活性剤の1つとして本明細書において既に特定されたTMN 6/TMN 10の70/30重量%ブレンドであり、これは、上に示される構造を有する分枝鎖状の非イオン性界面活性剤である。
【0154】
CTMABは、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CH
3(CH
2)
15N(CH
3)
3Br)、カチオン性界面活性剤である。
【0155】
SDSは、ドデシル硫酸ナトリウム、エチレンオキシド基を有さない直鎖状のアニオン性炭化水素界面活性剤である。
【0156】
SOSは、オクチルスルホン酸ナトリウムである。
【0157】
Triton(登録商標)X−100は、非イオン性界面活性剤であり、これは、上に示される構造を有するオクチルフェノールポリエトキシアルコールである。
【0158】
実施例に使用されるワックスは、パラフィンワックスである。
【0159】
フルオロポリマー、フッ素プラスチック、およびパーフルオロプラスチックの粒径は、Malvern Instrumentsによって製造されるZetasizer Nano−ZSによるレーザー光散乱を用いて測定した際のポリマー粒子の未処理の分散体のものである。分析用の試料を、10×10×45mmのポリスチレンキュベット中で調製し、蓋をして、分析用のデバイスに入れる。試料の調製は以下のとおりである。脱イオン化脱気水を、固定した先端を有する10ccのガラス製の皮下注射器中に取り込むことによって、キュベットをフラッシュするのに使用され、また、分散体試料を希釈するのに使用される水が、粒子を実質的に含まないようにする。Whatman(登録商標)の0.02ミクロンフィルタ(Cat.No.6809−2002)を、注射器の固定した先端に取り付け、圧力をかけて、水をフィルタに通し、キュベットに入れる。約1.5mlの水をキュベットに入れ、キュベットに蓋をし、振とうし、蓋を開ける。水をキュベットから注ぎ出して、キュベットがポリマーを含まないようにする。約2.5
gのろ過された水をキュベットに入れる。分析される1滴のポリマー粒子分散体をキュベットに加える。キュベットに蓋をし、振とうして、フルオロポリマー粒子を水中で完全に混合する。試料を、Dv(50)の測定のためにNano−ZSに入れる。Dv(50)は、体積粒径分布に基づく中央粒径、すなわち、その下に集団の体積の50%が存在する粒径である。
【0160】
メルトフローレート(MFR)を、ASTM D 1228の手順ならびに特定のポリマーについてのASTM手順に示されるようなポリマーの標準である溶融温度および可塑度計ピストン重量条件を用いて測定する。
【0161】
溶融温度を、ASTM D 4591の手順にしたがって示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)(DSC)によって測定する。ASTM D−4591−87にしたがって、PTFE DSC溶融温度が、ポリマーが加熱されて溶融温度を初めて超えたときに得られる(第1の熱とも呼ばれる)。報告される溶融温度は、第1の溶融における吸熱のピーク温度である。
【0162】
本明細書において使用される核形成剤という用語は、親油性核形成部位が、水性媒体中の界面活性剤の分解、好ましくは酸化によって得られる界面活性剤を指す。
【0163】
特に示されない限り、本明細書におけるppmの定義(計算)は、成分の重量を、濃度(ppm)が測定されるときの事象の時点で反応器中に存在する水の重量で除算した値になる。上述され、実施例に記載される事前充填組成物中の、水溶性炭化水素含有化合物/核形成界面活性剤、もしあれば塩、および分解剤/開始剤のppmは、化合物/核形成界面活性剤、存在する場合は塩、および分解剤/開始剤成分のそれぞれを含有する反応器に最初に充填される水および充填される任意の追加の水の重量を基準にする。したがって、親油性核形成部位を形成する時点で反応器中に存在する水の量は、化合物/核形成界面活性剤、もしあれば塩、および分解剤/開始剤のppmが測定される基準になる水の重量である。この量は、重合反応のキックオフまたは水性媒体への安定化界面活性剤の添加を提供するために水性媒体に加えられる開始剤用の溶媒として加えられる水を含まないであろう。加えられる水のこの量は、重合キックオフの時点で水性媒体中に存在する任意の界面活性剤のppm計算に含まれるであろう。簡単にするために、加えられる水が、化合物/核形成界面活性剤、塩、分解剤/開始剤などの溶解された成分を含有する場合、得られる溶液は、ppm計算のために全て水からなるとみなされる。ppmのこの測定方法に対する例外は、実施例10に記載されるように、重合反応の完了時に分散体中に存在するフルオロポリマー、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチック粒子の総重量を基準にした安定化界面活性剤の濃度の測定である。
【0164】
本明細書における「〜以下」などの数量の開示は、同じ数量が特定の量以下であると示されているのと同じ意味を有する。したがって、50ppm以下(no greater than)は、50ppm以下(or less)と同じ意味を有する。同様に、本明細書における「少なくとも」などの数量の開示は、同じ数量が特定の量以上であると示されているのと同じ意味を有する。したがって、少なくとも45重量%は、45重量%以上と同じ意味を有する。
【0165】
本明細書に開示される反応器圧力は、特にゲージ圧(psig)であると示されない限り、絶対圧力である。psigゲージ圧に対応するように開示されるMPaおよびKPa圧力は絶対圧力である。
【0166】
バッチ時間は、キックオフから重合反応の完了までの重合時間である。
【0167】
凝塊(重量%)を下式によって計算する:凝塊(重量%)=[凝塊の重量/生成される全ポリマーの重量]×100。生成される全ポリマーは、凝塊および分散されたフルオロポリマー粒子の合わせた重量である。全ての重量は、乾燥ポリマーの測定値である。
【0168】
実施例1
この実施例は、炭化水素界面活性剤の遅延された添加および重合反応器中へのその計量供給を伴う重合の実験ならびに重合反応のキックオフの前に、塩の存在がある場合とない場合の、親油性核形成部位の分散体の形成が行われる場合に得られる改良を含む。
【0169】
重合キックオフの前に核形成部位形成工程がない場合の重合の一般的手順:2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5700
gの脱イオン化脱気水および250
gの液体ワックスを加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。反応器撹拌器を65RPMに設定する。反応器を90℃まで加熱し、TFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、0.05
gの過硫酸アンモニウム(APS)および3.5
gのジコハク酸ペルオキシド(DSP)を含有する脱イオン化脱気水の150mlの開始剤溶液を、80ml/分で注入する。キックオフ時間(表Aの「KO時間」)を、充填開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するのに必要な時間(時間ゼロからの)として測定する。キックオフ時に、反応器圧力を、TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100
gのTFEを供給した後、安定
化界面活性剤溶液を、0.28g/l−時の界面活性剤の計量供給速度に相当する4ml/分の速度で反応器にポンプ注入する。水性媒体への界面活性剤添加を開始する際のこの遅延は、この添加が開始する前の1.68重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応する(計算:100
gのTFE÷[100+5700+150]×100)。安定剤溶液の調製を以下に示す。キックオフしてから750
gのTFEを反応器に加えた後、バッチ時間(表A)を記録し、撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。冷ましてから、ワックスを分散体から分離する。PTFE分散体は、2.8のpH、11.75の固形分%および198ナノメートルのDv(50)を有する(表Aの実験A−1)。PTFEは、332℃(第1の加熱)のDSC溶融温度および76J/g(第1の加熱)対47.5J/g(第2の加熱)のDSC融解熱によって示されるように、高分子量を有し、これは、第1の加熱後の冷却の際に再結晶化するPTFEの能力を低下させるPTFEの非常に高い溶融粘度を反映している。
【0170】
上記の手順に使用される界面活性剤安定化溶液中の界面活性剤を、以下の手順によって不活性化する:1リットルの被覆された丸底フラスコに、681.74
gの脱イオン化脱気水、10.5
gのドデシル硫酸ナトリウム(ACS Reagent、>99.0%)および0.315
gの硫酸鉄(II)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで、内容物を撹拌する。12〜14滴の濃硫酸を用いて、溶液pHを2.0〜2.5に調整する。37.34
gの30重量%の過酸化水素水溶液を、撹拌混合物にゆっくりと加える。撹拌を室温(22〜23℃)で1時間継続し、その後、水溶液中の得られる酸化された界面活性剤を、上記の重合手順に使用する。
【0171】
上記の重合手順は、重合キックオフの前の核形成工程を含まず、重合結果が、表AのA−1として報告される。
【0172】
5200
gの脱イオン化脱気水および250
gの液体ワックスが、反応器への初期充填物であることを除いて、上記の重合手順を繰り返すことによって、核形成工程を実施する。次に、0.085
gの界面活性剤(核形成剤、表A)および0.4
gの亜硫酸ナトリウム水溶性無機塩を含有する500
gの脱イオン化脱気水を反応器に加える。反応器を重合温度まで加熱した後であるが、TFEを充填して反応器を動作圧力にする前に、脱イオン化脱気水のリットル当たり0.5
gのAPSを含有する50mlの水溶液を加える。APSは、核形成界面活性剤の酸化のための分解剤である。界面活性剤濃度は14.8ppm(計算:[0.085÷5750]×10
6)であり、塩濃度は70ppmであり、開始剤濃度は4.3ppmである。水性媒体(事前充填組成物)中に存在する条件/添加剤の下で、APSは、炭化水素界面活性剤の酸化反応を起こさせ、水性媒体中に分散された親油性核形成部位が形成される。これらの部位の存在は、非イオン性、アニオン性、およびカチオン性界面活性剤を用いた、実験A−3〜A−9についての表Aに報告されるPTFE粒子のより小さい粒径(Dv(50)によって示される。実験A−9についての重合キックオフまでの長い時間は、この界面活性剤中に存在する芳香族部分に起因し、使用される他の界面活性剤は非芳香族であり、すなわち芳香族部分を含まない。使用されるこの界面活性剤の量を減少させることによってこのキックオフ時間を短縮することができると考えられる。表A中の実験A−3〜A−9として報告されるこの繰返し実験における遅延は、安定化界面活性剤の添加が開始する前の1.67重量%のフルオロポリマー濃度である(計算:100gのTFE÷[100+5200+500+50+150]×100)。表Aに報告される全ての実験についての遅延の実際の時間は、キックオフの後で、安定化界面活性剤の添加が開始する前の4.4〜6分間の範囲である。
【0173】
実験A−2は、亜硫酸ナトリウム塩が表Aに示される量で加えられる以外は、核形成界面活性剤が存在しない上記の重合手順の結果である。塩が存在し、核形成界面活性剤が存在しないことにより、はるかに大きいPTFE粒径が得られ、これは、塩がより少ないポリマー粒子を重合の初期段階中に形成させていることを示唆している。
【0174】
【表1】
【0175】
上記の重合を、重合の一連のスクリーニング(screening series)として行い、すなわち、分散体の総重量を基準にして約11〜13重量%の分散体PTFE固形分(粒子)になるまで行い、これは、キックオフ後にわずか750
gのTFEを重合反応用の反応器に供給することから得られる。上記の重合から得られるスクリーニング結果を、重合が約34重量%の分散体固形分を生成するために3200gのTFEを消費するまで延長された場合の重合結果に外挿することができる。この外挿された結果を括弧内のDv(50)として表Aに報告する。下式を用いてこの外挿を行うことができる:
D2=[P2×(D1)
3/P1]
1/3
式中、P1が、Dv(50)粒径D1(ナノメートル)を有する生成されるポリマーの実際の量(グラム)であり;P2が、予測される、生成されるポリマー(グラム)に等しく、D2が、P2ポリマーの予測される粒径(ナノメートル)である。実験A−3についての試料計算は以下のとおりである:
D2=(3200×113×113×113/849)
1/3=(5438481.04)
1/3=176
【0176】
実験A−1は、重合反応が進行するのに伴う界面活性剤の遅延された添加およびその計量供給を使用する。核形成界面活性剤も塩も使用せず、すなわち、上記の核形成工程手順を使用しない。実験A−2は、核形成部位の形成がない場合、すなわち核形成界面活性剤を使用せずに、塩の添加のみを用いた際の欠点を示す。実験A−2により、実験A−1よりはるかに大きい、はるかに大きいDv(50)粒径としてのより劣った結果が得られる。実験A−1のDv(50)結果と実験A−3〜A−10との比較は、より小さいフルオロポリマー粒径の提供に対する、実験A−3〜A−10中に存在する親油性核形成部位の影響を示す。実験A−1のバッチ時間は、実験A−3〜A10のバッチ時間と同等であり、これは、水性媒体への界面活性剤のその後の添加の計量供給とともに、水性媒体への安定化界面活性剤の遅延された添加が、炭化水素界面活性剤のテロゲン性を低下させるのに有効であることを示す。
【0177】
実験B−4における核形成部位形成工程中に塩が存在しないことを除いて、核形成工程が、様々な無機塩(実験B−1〜B−3)とともに重合手順に含まれる一連の実験において上記の重合手順を繰り返す。核形成界面活性剤は、14.8ppmのPluronic(登録商標)31R1である。塩助剤の量は70ppmであり、APS開始剤の量は4.3ppmである。安定化界面活性剤の添加を開始する際の遅延は、水性媒体中の1.67重量%のPTFE濃度である。結果を表Bに報告する。
【0178】
【表2】
【0179】
表Bに示されるように、異なる塩は全て、小さいPTFE粒径をもたらす。実験B−4は、核形成界面活性剤を使用するが、塩を使用しない場合のDv(50)結果を示す。
【0180】
全てのこれらの重合で作製されるPTFEは、この実施例において上述される特性を示す。
【0181】
実施例2
この実施例は、改質PTFEの調製を提供する。
【0182】
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200
gの脱イオン化脱気水および250
gの液体ワックスを加える。
反応器に、0.02
gのPluronic(登録商標)31R1および0.4
gの亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、大気圧になるまで通気する。反応器を、窒素を用いて加圧し、さらに2回通気する。撹拌器速度を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。水のリットル当たり0.5
gの過硫酸アンモニウム(APS)を含有する40mlの開始剤溶液を反応器に加える。これが事前充填組成物である。Pluronic界面活性剤、塩および開始剤の濃度はそれぞれ、3.4ppm、69.6ppm、3.5ppmである。
【0183】
12.0
gのヘキサフルオロプロピレン(HFP)および650
gのTFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にすることによって反応器を圧力上昇させる。時間ゼロの時点で、11.67
gのジコハク酸ペルオキシド溶液(70重量%のDSP)、0.17
gの過硫酸アンモニウムおよび488.3
gの脱イオン化脱気水から構成される150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填する。開始剤の注入の開始から2.0分後、反応器圧力は、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下する。反応器圧力を、TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100
gのTFEを供給した後、安定化界面活性剤溶液(後述される調製)を、実行の終了まで4ml/分(0.28g/l−時)の速度で反応器にポンプ注入する。水性媒体への界面活性剤添加を開始する際のこの遅延は、水性媒体中の改質PTFEの1.67重量%の濃度に対応する。キックオフしてから155.6分後、3100
gのTFEおよび688mlの安定化界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。冷ましてから、液体ワックスを分散体から分離し、分散体をろ過して、非分散固形分(凝塊)を除去する。反応器を開け、全ての凝塊を反応器から除去する。反応器除去物(cleanout)をろ過された固形分と組み合わせて、真空オーブン中で乾燥させる。凝塊(全非分散固形分)の測定値を得るために、このポリマーに付着している液体ワックスを、ポリマーを遠心分離し、ブロッティングすることによってさらに除去する。この場合、全凝塊が120.4
gであると測定される。回収される全液体ワックスは208.7
gである。分散されたフルオロポリマー粒子は、この分散体を含有する32.8重量%の水性媒体を構成する。分散された粒子は、255nmの体積基準による平均粒径、Dv(50)を有する。分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマー粒子が水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、これらの粒子を凝固させる。ポリマーを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させる。第1の熱についてDSCによって測定されるこのポリマーの融点は335℃である。FTIRによる組成分析により、0.5重量%のHFPが示される。この改質PTFEは、10
6を超える分子量(Mn)および10
6Pa・sを超える溶融クリープ粘度を有する。
【0184】
安定化界面活性剤溶液を以下のように調製する:
1リットルの被覆された丸底フラスコに、492.5
gの脱イオン化脱気水、7.5
gのドデシル硫酸ナトリウム(ACS Reagent、>99.0%)および0.225
gの硫酸Fe(
+2)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで内容物を撹拌する。2滴の濃硫酸を用いて、溶液のpHを3.22に調整する。18.75
gの30重量%の過酸化水素を混合物に加える。混合物を、撹拌しながら40℃まで加熱し、その温度で2時間保持する。溶液を排出し、氷浴中で冷却して、急速に流体を周囲温度にする。最終的な混合物は、2.76のpHを有する。
【0185】
実施例3
この実施例は、PFAの調製を提供する。
【0186】
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、7500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器に、0.025
gのPluronic(登録商標)31R1および0.2
gの亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回排気する。撹拌を開始させ、撹拌器速度を70RPMに設定する。100mlのPPVEおよび0.1
gのエタンを反応器に加える。脱イオン化脱気水のリットル当たり6.2
gの過硫酸アンモニウムを含有する15mlの開始剤溶液を反応器に加える。界面活性剤、塩および開始剤の濃度はそれぞれ、3.1ppm、25ppm、11.6ppmである。反応器を85℃まで加熱し、次に、TFE(約290
g)を反応器に充填して、反応器圧力を300psig(2.17MPa)にする。時間ゼロの時点で、100mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填し、次に、開始剤を、実行の終了まで0.6ml/分で連続的にポンプ注入する。反応器圧力が開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するときに、開始剤の注入の開始から1.5分後にキックオフが起こる。キックオフ時に、反応器温度制御装置の設定点を、85℃から75℃に低下させる。反応器圧力を、TFEならびに重合の持続時間にわたって供給されるTFEのグラム当たり0.03mlのPPVEの添加によって300psig(2.17MPa)に制御する。キックオフしてから1000
gのTFEを供給した後、安定化界面活性剤としての100gの脱イオン化脱気水当たり0.5
gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する脱イオン化脱気水中の界面活性剤溶液を、実行の終了まで1ml/分の速度で反応器中にポンプ注入する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始する際のこの遅延は、以下で計算される、水性媒体中のPFAの11.6重量%の濃度に対応する。時間遅延は50分間である。安定化界面活性剤の計量供給速度は0.025g/l−時である。キックオフしてから135分後、2300
gのTFEおよび86mlの界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。水性媒体中の22.1重量%の固形分および114nmの未処理の分散体の粒径を有する10.68kgのPFA水性分散体を生成する。チーズクロスを通した分散体のろ過および反応器の清浄化から得られる凝塊を、真空オーブン中で乾燥させると、63
g(0.6重量%)になる。分散体試料の凍結、それに続く解凍、ろ過、洗浄および乾燥によってPFAポリマーを単離する。ポリマーは、FTIRによって測定した際に6.0重量%のPPVEを含有し、10.8
g/10分のMFRを有する。
【0187】
水性媒体中の重量%(フルオロポリマー)濃度の計算:
A=生成されるポリマーの総重量
B=反応器中の水の総重量
A=供給されるTFE重量/(1−フルオロポリマー中のPPVEの重量分率)
A=1000/(1−0.06)=1063.8
B=反応器に加えられる水の総重量
B=7500+500+15+100+(0.6×50)=8145
濃度の重量%=[A/(A+B)]×100
=[1063.8/(1063.8+8145)]×100=11.6
【0188】
以下を除いてこの実験を繰り返す:反応器を85℃まで加熱する前に15mlの開始剤溶液を加えるのではなく、反応器を加熱した後でかつ反応器を300psig(2.17MPa)にするためにTFEを充填する前に開始剤溶液を加える。キックオフ時間は2.6分間であり、バッチ時間は138分間であり、89mlの界面活性剤溶液を反応器に加える。22.0重量%の固形分および128nmの未処理の分散体の粒径を有する10.52kgの水性分散体を生成する。チーズクロスを通した分散体のろ過および反応器の清浄化から得られる凝塊を、真空オーブン中で乾燥させると、95
gになる。単離されたポリマーは、FTIRによって測定した際の5.4重量%のPPVEを含有し、12.0
g/10分のMFRを有する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始する際の遅延は、49.5分間であり、11.5重量%のPFA濃度に対応する。
【0189】
実施例4
実施例は、FEPの調製を提供する。
【0190】
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、6000
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器に、0.015
gのPluronic(登録商標)31R1および0.1
gの亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回排気する。撹拌を開始させ、撹拌器速度を75RPMに設定する。反応器を95℃まで加熱する。脱イオン化脱気水のリットル当たり22
gの過硫酸アンモニウムを含有する2.6mlの開始剤溶液を反応器に加える。界面活性剤、塩および開始剤の濃度はそれぞれ、2.3ppm、15.4ppm、8.8ppmである。
【0191】
反応器圧力を435psig(3.10MPa)にするために、HFPおよびTFEを、1.857/1のHFP/TFEの重量比で反応器に充填する。時間ゼロの時点で、30mlの上記の開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填し、次に、開始剤を、実行の終了まで1.5ml/分で連続的にポンプ注入する。反応器圧力が425psig(3.03MPa)まで降下するときに、開始剤注入の開始から3.5分後にキックオフが起こる。実行の持続時間にわたって、TFEの添加によって反応器圧力を425psig(3.03MPa)に制御する。キックオフしてから300
gのTFEを供給した後、100
gの溶液当たり1.45
gの不活性化ドデシル硫酸ナトリウムを含有する界面活性剤溶液を、実行の終了まで0.75ml/分の速度で反応器にポンプ注入する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始する際の遅延は37.5分間であり、4.9重量%の水性媒体中のFEP濃度に対応する。水性媒体中への界面活性剤の計量供給速度は、0.054g/l−時である。安定化界面活性剤(SDS)の不活性化処理は、実施例1に記載されるのと同じである。キックオフしてから248分後、2000
gのTFEおよび158mlの界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。23.2重量%の固形分および165nmの未処理の分散体の粒径を有する8.70kgの水性分散体を生成する。チーズクロスを通した分散体のろ過および反応器の清浄化から得られる凝塊を、真空オーブン中で乾燥させると、270
gになる。分散体試料の凍結、それに続く解凍、ろ過、洗浄および乾燥によってポリマーを単離する。ポリマーは、FTIRによって測定した際に10.6重量%のHFPを含有し、273℃の融点を有する。
【0192】
実施例5
この実施例は、水性重合媒体中に安定化界面活性剤を導入するために、重合キックオフ後の様々な遅延を用いることによって、実施例1のPTFEの特性を有するPTFEを調製するための重合結果を比較する。
【0193】
重合条件の概要は以下のとおりである:5700
gの脱イオン化脱気水を、0.085
gのPluronic(登録商標)31R1、0.02
gのTriton X−100および0.4
gのNa
2SO
3とともに反応器に充填し、90℃まで加熱する。次に、80ml(0.04
gのAPS)を水性媒体に加える。水性媒体中の界面活性剤の濃度はそれぞれ、14.7ppmおよび3.4ppmであり、塩の濃度は69ppmであり、開始剤の濃度は6.9ppmである。660
gのTFEの添加によって、反応器を400psig(2.86MPa)まで加圧する。重合を開始させるために、脱イオン化脱気水のリットル当たり0.33
gのAPSおよび22.33g(70%活性のDSP)を含有する150mlの開始剤溶液を反応器に加える。キックオフ(KO)後、TFEの添加によって、圧力を2.86MPaに維持する。22
gのTFE供給(実験C−3およびC−4)または300
gのTFE供給(実験C−1およびC−2において、水性重合媒体中へのSDSまたはSOS安定化界面活性剤の導入を開始させる。界面活性剤添加を開始させる前に消費される22
gのTFEの遅延は、0.37重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応する。界面活性剤添加を開始させる前に消費される300
gのTFEの遅延は、5.06重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応する。安定剤界面活性剤溶液を、1000
gのTFE供給まで2ml/分の速度で水性媒体中にポンプ注入する。このポンプ注入速度は、0.14g/l−時の計量供給速度である。次に、ポンプ速度を3ml/分(0.22g/l−時)まで上昇させる。ポンプ溶液中のSDSまたはSOSの濃度は、100
gの流体当たり1.445
gである。
【0194】
【表3】
【0195】
この表に示される結果は、22
g(0.37重量%)の遅延が、464分間の長い重合時間によって示されるように、SDSおよびSOSの両方にとって短すぎることである。界面活性剤添加を開始させる前に消費される22
gのTFEのこの遅延は、VF
2/HFPコポリマーを作製する米国特許第7,521,513号明細書の実施例1において実施される0.36重量%の遅延と同様である(計算:[90÷(25000+100+90)×100]。464分間のバッチ時間に達したら、TFEモノマー供給が2200
gのPTFE目標に達しないように、重合反応を停止する。実験C−1が最良の結果をもたらし、2200
gの目標を実験C−2〜C−4よりはるかに短いバッチ時間で達成することができる。
【0196】
以下の変更を伴い上記の重合を繰り返す:開始剤ポンプ速度がより速く(4.0ml/分)、安定剤界面活性剤供給の遅延が、キックオフ後の反応器への100
gのTFE補充供給までである。この遅延は、1.66重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応する。重合の繰返しにおけるこれらの変化は、後述されるように不活性化される安定化界面活性剤の利点(テロゲン性の低下)を考えてなされる。ポンプ注入は、実行の終了まで継続する。結果を表Dに示す。
【0197】
SDSおよびSOS安定化界面活性剤を、以下の手順にしたがって、水性重合媒体中への導入の前に不活性化する:
【0198】
1Lのガラス瓶中で、10.5
gのドデシル硫酸ナトリウムを681.74
gの脱気水に加え、全ての固形分が溶解され、溶液が透明になるまで、撹拌子を用いてさらに撹拌する。0.315
gの硫酸鉄(
+2)七水和物を室温でこの溶液に加える。次に、12〜14滴の濃H
2SO
4を用いて、pHを2.0〜2.5に調整する。この瓶の内容物を、温度計およびオーバーヘッド撹拌器を備えた加熱/冷却ジャケットを有する3つ口の1Lのガラス反応器に移す。次に、37.34
gのH
2O
2(30%溶液)を、この撹拌溶液にゆっくりと加える。H
2O
2添加が完了した後、溶液を、室温でさらに60分間、さらに撹拌する。次に、得られる不活性化SDS反応物を含有する溶液を1Lのガラス瓶中に排出し、これが、安定化界面活性剤を重合反応中にポンプ注入するのに使用される溶液である。Witconate(登録商標)NAS−8界面活性剤として入手可能な、水に溶解させた溶液としてILのガラス瓶に加えることを除いて、同じ不活性化手順をSOSに使用して、同じ10.5
gのSOSを得る。
【0199】
【表4】
【0200】
SDSおよびSOS安定化界面活性剤の不活性化により、より多い量のPTFEを作製するためのバッチ時間がはるかに短くなる。
【0201】
実施例6
この実施例は、様々な温度で不活性化される安定化界面活性剤からの重合結果を比較する。不活性化手順は以下のとおりである:1リットルの被覆された丸底フラスコに、681.74
gの脱イオン化脱気水、10.5
gのドデシル硫酸ナトリウム(ACS Reagent、>99.0%)および0.315
gの硫酸Fe(
+2)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで内容物を撹拌する。12〜18滴の濃硫酸を用いて、溶液のpHを2.0〜2.5に調整する。温度が調節された水をフラスコジャケットに通して循環させることによって、表F中の実験F−1、F−2、およびF−3について示されるような所望の不活性化温度に混合物を保持しながら、37.34
gの30重量%の過酸化水素を混合物に加える。混合物を、排出する前に1時間撹拌し、必要に応じて、氷浴を用いて室温まで急冷する。
【0202】
重合手順は以下のとおりである:2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200
gの脱イオン化脱気水および250
gの液体ワックスを加える。反応器に、0.085
gのPluronic(登録商標)31R1、0.02
gのTriton(登録商標)X−100および0.4
gの亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。撹拌器速度を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。0.04gのAPS開始剤を、次に、加熱された水性媒体(脱イオン化脱気水中、80mlの0.5g/l開始剤溶液)に充填して、6.9ppmの事前充填物中のAPS濃度を得る。界面活性剤濃度はそれぞれ、14.7ppmおよび3.5ppmであり、塩濃度は、水性媒体中70ppmである。TFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、11.67
gの(70%活性)ジコハク酸ペルオキシド、0.17
gの過硫酸アンモニウム(APS)および488.3
gの脱イオン化脱気水から構成される150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填する。開始剤注入の開始から約7分間で、反応器圧力は、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下する。反応器圧力を、補充TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、補充TFEの連続添加によって、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100
gのTFEを供給した後、界面活性剤溶液を、実行の終了まで4ml/分の速度で反応器にポンプ注入する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始させる際のこの遅延は、1.66重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応し、水性媒体中への界面活性剤の計量供給速度は0.29g/l−時である。バッチ時間(キックオフから補充TFEの添加の終了までの時間)を下表に示す。3100
gの補充TFEを反応器に加えた後、撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。冷ましてから、液体ワックスを分散体から分離し、分散体をろ過して、非分散固形分を除去する。反応器を開け、全ての付着されたポリマーを反応器から除去する。反応器除去物をろ過された固形分と組み合わせて、真空オーブン中で乾燥させる。凝塊(全非分散固形分)の測定値を得るために、このポリマーに付着している液体ワックスを、ポリマーを遠心分離し、ブロッティングすることによってさらに除去する。これらの実施例においてこのように得られる凝塊は35〜38グラムである。生成される水性分散体は、9.7kgであり、下表Fに示されるように、34%の固形分および体積基準による平均粒径、Dv(50)を有する。分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマーが水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、ポリマーを凝固させる。ポリマーを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させる。PTFEは、実施例2に記載されるPTFEの分子量および溶融クリープ粘度特性を示す。
【0203】
【表5】
【0204】
バッチ時間は、40℃における安定化界面活性剤の不活性化からより低い温度における不活性化へと急激に減少する。
【0205】
実施例7
この実施例は、不活性化された安定化界面活性剤および不活性化されていない安定化界面活性剤を用いた重合性能を比較する。
【0206】
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200
gの脱イオン化脱気水および250
gの液体ワックスを加える。反応器に、0.075
gのPluronic(登録商標)31R1および0.2
gの亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。反応器撹拌器を65RPMに設定する。反応器を90℃まで加熱し、脱イオン化脱気水のリットル当たり0.5
gのAPSを含有する100mlの開始剤を反応器に加え、事前充填組成物中8.6ppmのAPS濃度を得る。水性媒体中の界面活性剤の濃度は12.9ppmであり、塩の濃度は34.5ppmである。
【0207】
690
gのTFEを反応器に加えて、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、脱イオン化脱気水のリットル当たり0.5
gのAPSを含有する150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填し、次に、ポンプ速度を、重合の持続時間にわたって1.0ml/分に低下させる。充填開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するのに必要な時間(時間ゼロからの)としてキックオフを測定する。キックオフは2分で起こり、反応器圧力を、補充TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、補充TFEの連続添加によって、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。300
gの補充TFEを反応器に加えた後、水のリットル当たり8.0
gのドデシル硫酸ナトリウムを含有するポンプ溶液を、合計300
gの溶液を加えてしまうまで、2.0ml/分の速度で反応器に加える。キックオフとSDS添加の開始との間の時間遅延は9.3分間であり、この時間遅延の終了の時点での水性媒体中のPTFEの濃度は4.79重量%であり、界面活性剤の計量供給速度は0.08g/l−時である。時間ゼロから197分後、2200
gの補充TFEを反応器に加えてから、撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。バッチ時間は195分間である(計算:197分間−2分間)。このように作製されるPTFE分散体は、28%の固形分および213nmの未処理の分散体の粒径を有する。ある量の分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウムの水溶液を加え、激しく撹拌して、水相からポリマーを分離することによって、ポリマー試料を得る。ポリマーを脱イオン水で洗浄し、真空オーブン中110℃で約12時間乾燥させてからさらに分析する。PTFEは、実施例2に記載されるようなPTFEの分子量および溶融クリープ粘度特性を示す。
【0208】
300
gの補充TFEを反応器に加えた後、水のリットル当たり14.4
gの不活性化されたドデシル硫酸ナトリウムを含有するポンプ溶液を、2200
gの補充TFEを反応器に加えた時点の実行の終了まで1.67ml/分の速度で反応器に加えることを除いて、上記の実験を繰り返す。水性媒体への不活性化されたSDSの添加を開始させる際の遅延は9.7分間であり、遅延の終了の時点でのPTFE濃度は4.79重量%であり、水性媒体中への界面活性剤の計量供給速度は0.12g/l−時である。加えられる不活性化されたドデシル硫酸ナトリウム溶液の合計量は115mlである。79分間のバッチ時間は、前の段落における不活性化されていない実験より著しく少ない。分散体は26.5%の固形分であり、175nmの未処理の分散体の粒径を有する。PTFEは、実施例2に記載されるようなPTFEの分子量および溶融クリープ粘度特性を示す。
【0209】
SDSの不活性化を、以下の手順によって行う:1リットルの被覆された丸底フラスコ中に、681.74
gの脱イオン化脱気水、10.5
gのドデシル硫酸ナトリウム(ACS Reagent、>99.0%)および0.315
gの硫酸鉄(
+2)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで内容物を撹拌する。12〜18滴の濃硫酸を用いて、溶液のpHを2.0〜2.5に調整する。温度が調節された水をフラスコジャケットに通して循環させることによって、混合物を22℃に保持しながら、37.34
gの30重量%の過酸化水素を混合物に加える。混合物を、不活性化された安定化界面活性剤の溶液として重合に使用するために排出する前に1時間撹拌する。
【0210】
実施例8
この実施例は、安定化界面活性剤としてエトキシ化アニオン性界面活性剤を用いてPTFEを作製するための重合を開示する。
【0211】
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200
gの脱イオン化脱気水および250
gの液体ワックスを加える。反応器に、0.085
gのPluronic(登録商標)31R1、0.02
gのTriton(登録商標)X−100および0.4
gのNa
2SO
3を含有する追加の500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。反応器撹拌器を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。脱イオン化脱気水のリットル当たり0.5
gの過硫酸アンモニウム(APS)を含有する80mlの開始剤溶液を反応器に加え、6.9ppmの水性事前充填物中のAPS濃度を得る。水性媒体中の界面活性剤の濃度はそれぞれ、14.7ppmおよび3.5ppmであり、塩の濃度は69.2ppmである。TFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、水のリットル当たり0.33
gのAPSおよび23.33
gの70重量%の活性ジコハク酸ペルオキシド(DSP)を含有する脱イオン化脱気水中の150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填する。キックオフ時間を、時間ゼロの時点に開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するのに必要な時間(時間ゼロからの)として測定する。キックオフは6.8分で起こる。反応器圧力を、補充TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、重合の持続時間にわたって補充TFE流れを調整することによって、その圧力に維持する。100
gの補充TFEを供給した後、Avanel(登録商標)S70を含有する不活性化された安定化溶液を、実行の終了まで4ml/分の速度でポンプ注入する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始させる際のこの遅延は7.9分間であり、重量%の遅延は、1.66重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応し、水性媒体中への界面活性剤の計量供給速度は0.288g/l−時である。時間ゼロから2200
gのTFEを反応器に加えた後、撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。得られる水性分散体は、178nmの体積基準による平均粒径、Dv(50)を有する24.7%の固形分を有する。分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマーが水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、ポリマーを凝固させる。PTFEを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させたところ、実施例2のPTFEの分子量および溶融クリープ粘度特性を示すことが分かる。
【0212】
Avanel(登録商標)界面活性剤を不活性化するための手順は以下のとおりである:
1リットルのガラス瓶に、30
gのAvanel(登録商標)S70溶液(10.5
gの活性界面活性剤)、662.24
gの脱イオン化脱気水および0.315
gの硫酸鉄(
+2)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで混合物を撹拌する。12〜16滴の濃硫酸を用いて、この混合物のpHを2.0〜2.5に調整する。撹拌し、22〜23℃に保持しながら、37.34
gの30重量%の過酸化水素を、1〜2分間かけて混合物にゆっくりと加える。過酸化水素の添加の後、撹拌を1時間継続してから、得られる不活性化された界面活性剤溶液を上記の重合に使用する。
【0213】
実施例9
この実施例は、様々なアニオン性炭化水素安定化界面活性剤を用いてPTFEを作製するための重合を開示する。
【0214】
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200
gの脱イオン化脱気水および250
gの液体ワックスを加える。反応器に、0.085
g(14.7ppm)のPluronic(登録商標)31R1、および0.4
g(69ppm)の亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。撹拌器速度を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。水のリットル当たり0.5
gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を含有する80mlの溶液を反応器に加え、6.9ppmの、反応器にこれまでに加えられる水中のAPS濃度を得る。これは、親油性核形成部位が重合反応のキックオフの前に形成される反応の段階である。上記の水性媒体に加えられる成分のppmは、この時点までに反応器中に存在する水の総量を基準にする。
【0215】
次に、TFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。11.67
gの(70%活性)ジコハク酸ペルオキシド、0.17
gの過硫酸アンモニウムおよび488.3
gの脱イオン水から構成される150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填する。重合反応のキックオフは、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力からの10psi(69kPa)の降下の後に起こったとみなされる。反応器圧力を、補充TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、補充TFEの連続添加によって、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100
gのTFE(水性媒体中の2.49重量%のPTFE濃度に相当する)を供給した後、表Fにおいて特定される界面活性剤および金属イオンの水溶液を、実行の終了まで、すなわち、反応器への補充TFEの添加を停止するまで、4ml/分(界面活性剤の計量供給速度=0.288g/l−時)の速度で反応器にポンプ注入する。規定の量の補充TFEを反応器に加えた後、TFE供給および撹拌器を停止し、これにより、重合反応の完了を確定する。反応器の通気(未反応TFEの除去)後、ポリマー分散体を排出する。冷ましてから、液体ワックスを分散体から分離し、分散体をろ過して、非分散固形分を除去する。反応器を開け、全ての付着されたポリマーを反応器から除去する。反応器除去物をろ過された固形分と組み合わせて、真空オーブン中で乾燥させる。
【0216】
ポリマーを遠心分離し、ブロッティングしてワックスを除去することによって、乾燥したろ過された固形分および付着したポリマーから液体ワックスをさらに除去することによって、凝塊(全非分散固形分)を得る。分散体水を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマーが水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、ポリマー分散体を凝固させる。得られるポリマーを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させる。このポリマーの融点および融解熱を、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)(DSC)によって測定する。ポリマーは、少なくとも1,000,000の分子量(Mn)を有するPTFEである。
【0217】
これらの実験の結果を以下の表Fに報告する。
【0218】
【表6】
【0219】
「水における界面活性剤のppm」は、重合反応の完了までに重合反応器に加えられる水の総重量に加えられる安定化界面活性剤の総重量である。「水におけるカチオンppm」は、重合反応の完了までに反応器に加えられる水の総量中の金属イオンの重量ppmである。「バッチ時間」は、重合キックオフから重合反応の完了までの時間として測定される。「分散体固形分%」は、重合反応の完了の時点で存在する分散されたポリマー粒子の総重量+水の総重量と比較した際の、水性媒体中に分散されるポリマー粒子の重量%である。STY(重合反応の空時収量は、重合反応の生産性の尺度である)。STYにおいて、空間は、反応器の体積であり、時間は、重合反応のキックオフからそれが完了するまでの時間であり、収量は、形成される分散ポリマーの重量である。STYは、本明細書において(分散ポリマーの)
g/l−時として表される。
【0220】
表Fに報告される重合の全ては、少ない凝塊%および良好なSTYとともに、得られる高い固形分%において小さい粒子を生成する。生成されるPTFEの溶融温度は全て335℃を超え、第1の熱から第2の熱溶融への融解熱の減少は全て29J/
gを超える。
【0221】
上記の実施例において得られるPTFEは全て、それらの非常に高い分子量のためにこれらのPTFEの非溶融流動性の別の指標としての0のMFR(372℃および5kgのおもりにおけるASTM D 1238)を示す。
【0222】
実験10
この
実験は、重合による、PTFE粒子の高固形分水性分散体(すなわち、45重量%および45重量%超、好ましくは50重量%および50重量%超、より好ましくは55重量%および55重量%超、および最大で60重量%または65重量%の固形分)の調製に関する本発明の実施形態の態様A、B、およびCを開示し、ここで、安定化界面活性剤は、炭化水素界面活性剤である。この実験のこれ以降の開示は、これらの高固形分のそれぞれに当てはまる。「固形分」中の「固体」は、分散されたPTFE粒子である。
【0223】
この実施形態の態様Aの実施は、重合反応中にPTFE分散体を安定させるために水性媒体に計量供給される、はるかに多い量の炭化水素含有界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤の使用を含む。例えば、以下の表Gの対照実験は、33.9%(34重量%)の水性媒体中の分散体固形分を得るために分散されたPTFE粒子の総重量を基準にして724ppmの全安定化界面活性剤濃度を使用する。Duddingtonに付与された米国特許第3,000,892号明細書の「これらの分散剤[炭化水素分散剤]は、通常、テトラフルオロエチレンの重合を阻害する」(第1欄、65〜66行)という警告にもかかわらず、態様Aは、この量の1.5倍超、好ましくはこの量の少なくとも2倍、より好ましくはこの量の少なくとも3倍、最も好ましくはこの量の少なくとも4倍を使用する。‘892の実施例IIは、TFEをPTFE分散体に重合するために分散された粒子として存在するPTFEの総重量を基準として2645ppmのラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を使用し、その際、固形分は8.4重量%に達するに過ぎない。
【0224】
意外にも、態様Aにおける大量の炭化水素含有安定化界面活性剤の使用は、重合反応の空時収量(STY)によって判定され得る、反応器の生産性の大幅な減少を伴わない。34重量%の固形分を得るための炭化水素含有界面活性剤の総量がより少ないことを除いて、好ましくは、少なくとも45重量%の固形分を生成するためのSTYは、同じ重合方法のSTYの少なくとも90%である。34重量%(33〜35重量%)を得るためのより少量のこのような界面活性剤の使用は、重合反応に対するテロゲン効果を低下させるために全界面活性剤の量を減少させる必要性から生じる。より好ましくは、重合反応のこのようなSTYの減少はない。より好ましくは、意外にも、STYは、34重量%の固形分を得るための上記の重合と比較して増加され、この増加は、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%である。
【0225】
‘892の実施例IIにおける8.4重量%の固形分に対する制限は、この低い固形分で得られる0.23マイクロメートルのPTFE粒径である。これは、わずか8.4重量%の固形分によって表される、ごく早期の粒子成長段階にしては大きい粒径である。重合により固形分が増加する場合、0.23マイクロメートルからの粒径の増加が、本出願における情報から分かる。具体的には、本出願の実施例1の実験A−1は、重合が34重量%の固形分になるまで続けられる場合、11.75重量%の固形分における198nmの粒径は、311nmの粒径になるまで成長することを報告している。このような大きい粒径は、粒子の分散体の安定性を低下させ、凝塊の形成を促進するため、望ましくない。これに対し、表Gに報告される高固形分の分散体のPTFE粒径は、45重量%以上のはるかに高い固形分についてはるかに小さいPTFE粒径を示す。
【0226】
合計してはるかに多い量の界面活性剤になるように、重合中に水性重合媒体に炭化水素含有界面活性剤を計量供給することにより、重合反応のSTYによって示される生産性をそれほど犠牲にせずに、かなり多い固形分を有する安定した分散体を生成するように重合を行うことができることが発見された。本発明のこの実施形態に使用される増加した量の炭化水素含有安定化界面活性剤が、PTFEを作製するためのTFEの重合を阻害することが予想されながらも、このような重合を阻害しないというさらなる意外なことがこの発見に伴う。水性重合媒体中の分散された粒子を形成する得られるPTFEは、高分子量のものであり、すなわち、非溶融流動性および少なくとも332℃のDSC溶融温度(第1の熱)によって示される際に、少なくとも1,000,000の分子量を有する。
【0227】
したがって、この
実験の実施形態の態様Aは、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフッ素プラスチック粒子の分散体を形成するための方法であって、上に記載される工程(a)、(b)、(c)および(d)を含み、さらに、フッ素プラスチックが、ポリテトラフルオロエチレンであり、ポリテトラフルオロエチレン粒子の分散体が、水性媒体の少なくとも45重量%を占めるように重合工程が行われる方法として記載することができる。水性媒体中に計量供給される炭化水素含有界面活性剤の総量は、好ましくは、水性媒体の少なくとも45重量%のこの分散体を得るのに有効な量である。
【0228】
本発明にしたがって重合によって作製されるフッ素プラスチック粒子のより少ない固形分の分散体と同様に、炭化水素含有核形成界面活性剤が、重合キックオフの前に水性媒体に加えられて、親油性核形成部位へと酸化分解されたかもしれないにもかかわらず、水性媒体は、フルオロモノマーの重合のキックオフの前に炭化水素含有界面活性剤を実質的に含まない。重合キックオフの前に、水性媒体はまた、好ましくはハロゲン含有界面活性剤を実質的に含まず、好ましくはこのような界面活性剤が、重合反応のキックオフ中またはキックオフ後に重合媒体に加えられない。重合の完了時の、すなわち重合されたままの、PTFE粒子の分散体を含有する水性媒体はまた、好ましくは、フッ素系界面活性剤などのハロゲン含有界面活性剤を実質的に含まない。より好ましくは、水性媒体は、ハロゲン含有界面活性剤を含まず、これは、このような界面活性剤が、水性媒体に加えられなかったことを意味する。炭化水素含有界面活性剤は、実質的に、重合されたままの高固形分PTFE粒子水性分散体を安定させる界面活性剤のみである。
【0229】
本特許出願において上述される発明の概要および発明を実施するための形態における開示は、本発明の態様の全てを含むこの実験の実施形態に適用される。したがって、フルオロモノマー/フッ素プラスチックの節において、本出願において上述されるPTFEの説明は、この実施形態のPTFEに適用可能である。本明細書において上述される重合方法の節における開示も、例えば、炭化水素安定化界面活性剤の添加が開始される前の重合キックオフ後の遅延、この添加の計量供給速度、炭化水素含有界面活性剤の属性、使用される重合開始剤、凝塊の量を含め、この実施形態に適用可能であるが、以下のことを除く:PTFE固形分の重量%は、重合方法に記載されるものより多く、分散体をより高い固形分になるまで濃縮するのを可能にするための、重合が完了した後に界面活性剤を水性分散体に加える濃縮工程が不要である。高い固形分は、米国特許第3,037,953号明細書(MarksおよびWhipple)に開示されるものなどの濃縮工程を必要とせずに、重合によって直接得られる。水性媒体中のPTFE粒子の分散体はまた、‘953にしたがって分散体を濃縮するのを可能にするために重合後に水性分散体に加えられるアニオン性界面活性剤の代替物であることが米国特許出願公開第2007/0282044A号明細書に開示されるアニオン性高分子電解質を含まないのが好ましい。45重量%および45重量%超の固形分によって表される高い固形分では、何らかの凝塊形成は、好ましくは非常に少なく、例えば2重量%または2重量%未満、より好ましくは1重量%または1重量%未満である。これは、水性分散体の固形分が高くなるほど、凝塊の重量%も増加する傾向が高くなるという意外な結果である。この実験の実施形態の高固形分PTFE分散体は、表Gに示されるように、非常に少ない凝塊の重量%で得ることができる。
【0230】
重合方法のこれらの節のそれぞれに開示される好ましいものは、この実験の実施形態にも適用可能である。以下に開示される好ましいものを含む、炭化水素含有界面活性剤の不活性化に開示される炭化水素含有界面活性剤の不活性化が、この実施形態にも適用可能である。
【0231】
以下に開示される好ましいものを含む、重合部位に開示されるような重合キックオフの前の水性媒体中の重合部位の形成は、この実験の実施形態にも適用可能である。親油性核形成部位である重合部位の形成についての好ましいものは、少量の炭化水素含有界面活性剤(核形成界面活性剤)、好ましくは50ppm以下の核形成界面活性剤)を水性媒体に加えて酸化分解させ、重合反応のキックオフの時点で水性媒体が核形成界面活性剤を実質的に含まないようにすることを含む。
【0232】
態様Aの実施において、好ましくは、水性媒体に加えられる炭化水素含有安定化界面活性剤の総量は、固形分が、少なくとも45重量%であるか、少なくとも50重量%であるかまたは少なくとも55重量%であるかにかかわらず、分散された粒子として存在するPTFEの総重量を基準にして、3000ppmおよび3000ppm超、より好ましくは3500ppmおよび3500ppm超、最も好ましくは4000ppmおよび4000ppm超である。固形分が45重量%を超えて増加されると、炭化水素界面活性剤の好ましい総量も増加する。34重量%のPTFEの固形分を生成するのに必要とされるものと比較してより多い量の安定化界面活性剤は、34重量%の固形分をもたらすPTFE粒子の分散体を得るのに好ましい計量供給との2つの相違、すなわち、計量供給量の増加および計量供給の持続時間の増加を含み、好ましくはSTYの犠牲を伴わない。その代わりに、STYの増加、例えば少なくとも10%の増加が得られる(計算:[100−(34重量%の固形分の場合のSTY/60重量%の場合のSTY)]×100)。水性媒体中への安定化界面活性剤の好ましい計量供給速度は、本出願においてPTFEを作製するための上述される実験に開示されるはるかに低い計量供給速度と比較して、0.7g/l−時〜1.4g/l−時である。炭化水素含有安定化界面活性剤の最大総量は、所望のSTYおよび最小限に抑えられた凝塊の重量%とともに必要とされる高固形分によって確定される。最大総量は、上述されるようにSTYに不利益を与えてはならず、2重量%または2重量%未満、より好ましくは1重量%または1重量%未満の凝塊の重量%を生成すべきである。一般に、水性媒体に加えられる炭化水素含有界面活性剤の総量は、PTFEの分散された粒子の重量を基準にして5500ppm以下であろう。
【0233】
この実験の実施形態の態様Bは、以下のとおりに記載され得る:重合反応器において、水性媒体中のPTFE粒子の分散体は、45重量%または45重量%超の水性媒体中の粒子の固形分を有し、分散体は、炭化水素含有界面活性剤によって水性媒体中で安定した状態で維持される。「安定した状態で維持される」とは、炭化水素含有安定化界面活性剤の存在がない場合、分散体は不安定であること、すなわち、PTFEの粒子が、重合反応の際に反応器中で凝固することを意味する。重合反応中の凝固は、例えば2〜4重量%の少量の凝塊が形成されると、凝塊の形成が、より速い速度でより多い凝塊の重量%になるまでその後増加される傾向にあるという意味で指数関数的(exponential)である。PTFE水性分散体の40重量%未満の固形分に一般に制限された重合を有するのは凝塊の重量%のこの指数関数的な増加である。任意の他の界面活性剤が水性分散体中に存在する場合、このような他の界面活性剤は、PTFE粒子の分散体を安定させない。分散体は、重合反応に伴う撹拌中および反応の完了時に撹拌が停止された後に安定しており、この実験において上述されるような低い凝塊の重量%および分散体に損害を与えずに、反応器から分散体を除去し、それを貯蔵する能力が得られる。
【0234】
この実験の実施形態の態様Cは、以下のとおりに記載され得る:水性媒体中のPTFE粒子の分散体が、少なくとも45重量%の水性媒体中の粒子の固形分を有し、分散体は、炭化水素含有界面活性剤によって水性媒体中で上述されるように安定した状態で維持される。
【0235】
態様A、B、およびCにおいて、好ましい炭化水素含有安定化界面活性剤は、アニオン性炭化水素界面活性剤、例えば上に開示されるもののいずれかである。態様A、BおよびCにおいて、水性媒体に加えられるかまたは水性媒体中に存在する界面活性剤、好ましくはイオン性界面活性剤の好ましい量は、固形分が、少なくとも45重量%であるか、少なくとも50重量%であるかまたは少なくとも55重量%であるかにかかわらず、分散された粒子として存在するPTFEの総重量を基準にして、3000ppmまたは3000ppm超、より好ましくは3500ppmまたは3500ppm超、最も好ましくは4000ppmまたは4000ppm超である。これらの量は、記載される好ましいアニオン性界面活性剤R−L−M、特にCH
3−(CH
2)
n−L−Mにも適用され、式中、n、L、およびMが上述されるとおりであり、最も特にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。態様BおよびCにおいて、水性媒体は、PTFE粒子の高固形分の分散体を安定させる炭化水素含有界面活性剤以外の炭化水素含有界面活性剤を実質的に含まない。態様AおよびBの実施において、フルオロモノマーの重合のキックオフの前に水性媒体に加えられる任意の炭化水素含有界面活性剤は、重合キックオフの前に親油性核形成部位に酸化分解される。態様Bにおいて、重合の完了時の水性媒体はまた、それぞれフッ素系界面活性剤などの、ハロゲン含有界面活性剤を好ましくは実質的に含まず、最も好ましくはハロゲン含有界面活性剤を含まない。これは、態様CのPTFE粒子の水性分散体にも適用される。態様Cの水性分散体も好ましくは重合されたままである。態様AおよびBにおいて、炭化水素含有界面活性剤は、実質的に、好ましくは重合されたままの、水性媒体中の高固形分PTFE粒子分散体の安定性を維持する界面活性剤のみである。
【0236】
この実験の実施形態の実施の例は、以下の実験である。
【0237】
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、3100
gの脱イオン化脱気水および250
gの液体ワックスを加える。反応器に、0.120
gのPluronic(登録商標)31R1および0.07
gのTergitol(登録商標)TMN−6を含有する追加の500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、大気圧になるまで通気する。反応器を、窒素を用いて加圧し、さらに2回通気する。撹拌器速度を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。水のリットル当たり2.0
gの過硫酸アンモニウム(APS)を含有する160mlの開始剤溶液を反応器に加える。948
gのTFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、14.58
gのジコハク酸ペルオキシド、0.18
gの過硫酸アンモニウムおよび485.2
gの脱イオン水から構成される150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に予め充填する。開始剤の注入の開始から2.6分後、反応器圧力は、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下する。反応器圧力を、TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100
gのTFE(水性媒体中の1.66重量%の濃度のPTFEに相当する)を供給した後、水100g当たり7.0
gの、炭化水素安定化界面活性剤としてのSDSおよび0.043
gの硫酸鉄七水和物を含有する界面活性剤溶液を、実行の終了まで3ml/分(1.05
g/l−時のSDS)の速度で反応器にポンプ注入する。キックオフしてから153分後、6500
gのTFEおよび444mlの界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。冷ましてから、液体ワックスを分散体から分離し、分散体をろ過して、非分散固形分を除去する。反応器を開け、全ての付着されたポリマーを反応器から除去する。反応器除去物をろ過された固形分と組み合わせて、真空オーブン中で乾燥させる。凝塊(全非分散固形分)の測定値を得るために、このポリマーに付着している液体ワックスを、ポリマーを遠心分離することによってさらに除去する。この場合、全凝塊が29.1
gであると測定される。6461
gの分散されたPTFE粒子は、59.1%の水性媒体中の固形分および233nmの体積基準による平均粒径、Dv(50)を提供する。水性媒体に加えられるSDSの総量は、分散体のPTFE粒子の重量を基準にして4810ppmである。STYは208.8g/l−時である。分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマーが水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、PTFE粒子の分散体を凝固させる。PTFEを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させる。第1の熱についてDSCによって測定されるPTFEの融点は337.8℃である。この実験は、以下の表G中のG−16である。
【0238】
水性媒体への炭化水素界面活性剤の総量を変化させる以外は上記の重合手順に実質的にしたがって多数の重合を行い、得られた結果を以下の表Gに報告する。
【0239】
【表7】
【0240】
表Gにおいて、界面活性剤はSDSであり、対照は、33.9重量%の固形分を得るために724ppmのSDSを用いた重合である。界面活性剤のppmは、生成される全分散PTFEを基準にする。
【0241】
表G中の結果は、SDSの総量(全界面活性剤ppm)が724ppmを超えて増加するにつれて、凝塊の重量%が、約2000ppmのSDSまで急増し、その後、2000〜3000ppmのSDS範囲の低下が続き、凝塊の重量%は、高い重量%固形分の分散体に望ましい重量%より高いことを示す。例えば、G−5の凝塊の重量%は、対照実験の77
gの凝塊と比較して、211
gの凝塊に相当する。3000〜4000ppmのSDS範囲内で、凝塊の重量%には、実質的に2.0重量%〜1.0重量%未満の凝塊の重量%の推移がある。水性媒体(G−7)に加えられる3012ppmの全SDSにおいて、凝塊%は2.0重量%である一方、水性媒体に加えられる3881ppmの全SDSにおいて、凝塊の重量%はわずか0.7重量%である。全分散PTFEを基準にした少なくとも4000ppmの総SDS量において、凝塊の重量%は一貫して低く、7つのうちの6つが1.0凝塊重量%未満である。実験G−16は、59%の固形分の分散体が、1よりかなり低い凝塊の重量%を有し得ることを示す。同じことが、実験G−17の60.4重量%の固形分に当てはまる。示される高固形分において望ましくない凝塊の重量%をもたらす、実験G−1〜G−6は、例えば、G−10などの重合を繰り返すが、45重量%または50重量%などのより低い固形分において重合を停止(完了)させることによって、これに関して改良され得る。このようなより低い固形分に達して重合が停止されるとき、G−10についての0.7の凝塊の重量%は、より高くはないであろう。
【0242】
これらの実行において生成されるPTFEポリマーの全ては、少なくとも336℃のDSC第1の熱溶融温度を有する高分子量の非溶融加工性ポリマーである。
【0243】
実施例11
この実施例は、TFE/VF
2フッ素プラスチックの調製を提供する。
【0244】
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、6000
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器に、0.2
gのPluronic(登録商標)31R1を含有する追加の500
gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回排気する。撹拌を開始させ、撹拌器速度を65RPMに設定する。0.5
gのエタンを反応器に加え、反応器を80℃まで加熱する。水のリットル当たり6.2
gの過硫酸アンモニウムを含有する30mlの開始剤溶液を反応器に加えてから、モノマーを予め充填する。61重量%のTFEと39重量%のVF
2とのモノマー混合物を反応器に充填して、反応器を、350psig(2.51MPa)の動作圧力にする。動作圧力において、75mlの開始剤溶液を、25ml/分で反応器に充填する場合、ポンプ速度を、重合実行の持続時間にわたって0.5ml/分に修正する。反応器圧力が、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するとき、キックオフは、開始剤注入の開始から7分後に起こる。55重量%のTFEおよび45重量%のVF
2を含有するモノマー混合物の添加によって、反応器圧力を350psig(2.51MPa)に制御する。キックオフしてから500
gのモノマー(水性媒体中の7.02重量%のTFE/VF
2コポリマーに相当する)を供給した後、界面活性剤溶液を、実行の終了まで0.2ml/分の速度で反応器にポンプ注入する。界面活性剤溶液は、硫酸の添加によって2.27のpHに調整された溶液のリットル当たり14.39
gのドデシル硫酸ナトリウムから構成される。SDSの計量供給速度は、0.0144g/l−時である。キックオフしてから99分後、1500
gのモノマー混合物および13mlの界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、フルオロポリマー分散体を排出する。16.1重量%の固形分および212nmの未処理の分散体の粒径を有する7.43kgの分散体を生成する。反応器の清浄化から得られる凝塊を、真空オーブン中で乾燥させると、46.6
gになる。分散体試料の凍結、それに続く解凍、ろ過、洗浄および乾燥によってポリマーを単離する。ポリマーは、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)によって測定した際の175.4℃の融点および34ジュール/
gの融解熱を有し、これらは両方とも、ポリマーが、フルオロエラストマーではなく、フッ素プラスチックであることを示す。コポリマーは、コポリマーをフィルムへと圧縮成形する際の困難さによって示される非常に高い分子量を有し、すなわちコポリマーは、パーフルオロプラスチックの高い溶融粘度特性を有する。圧縮成形フィルムは、寸法安定性があり(フルオロエラストマーのように変形性でない)、可撓性である。
本発明は以下の実施の態様を含むものである。
1.重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であって、前記方法が、初期期間、および前記初期期間の後の安定化期間を含み、
前記初期期間が:
前記重合反応器において前記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する工程を含み、
前記安定化期間が:
前記重合反応器においてフルオロモノマーを重合する工程と、
炭化水素含有界面活性剤を前記重合反応器に加える工程とを含み、
前記安定化期間中、フッ素系界面活性剤が加えられない方法。
2.フルオロポリマー粒子の前記初期分散体が、フッ素系界面活性剤を実質的に含まない、前記1.に記載の方法。
3.前記安定化期間中、ハロゲン含有界面活性剤が加えられない、前記1.または2.に記載の方法。
4.フルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する前記工程が、前記重合反応器に:
(a)水性媒体、
(b)水溶性炭化水素含有化合物、
(c)分解剤、
(d)フルオロモノマー、および
(e)重合開始剤
を加える工程を含み、
前記分解剤が、前記重合開始剤の前に加えられる、前記1.、2.または3.のいずれかに記載の方法。
5.前記水溶性炭化水素含有化合物が、50ppmまたは50ppm未満の量で加えられる、前記4.に記載の方法。
6.前記分解剤が、前記水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない水性媒体を得るのに十分な量で加えられる、前記5.に記載の方法。
7.前記水溶性炭化水素含有化合物が、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびアニオン性界面活性剤から選択される、前記4.〜6.のいずれかに記載の方法。
8.前記水溶性炭化水素含有化合物がエトキシ含有界面活性剤である、前記4.〜6.のいずれかに記載の方法。
9.前記重合反応器が、前記初期期間において、前記初期分散体の調製の後、水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない、前記4.〜8.のいずれかに記載の方法。
10.前記分解剤が、前記重合開始剤と同じかまたは異なる化合物である、前記4.〜9.のいずれかに記載の方法。
11.前記反応器中の前記フルオロモノマーの重合が、重合キックオフを引き起こし、前記重合反応器が、前記キックオフの時点で水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない、前記4.〜10.のいずれかに記載の方法。
12.前記重合反応器において前記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の前記初期分散体を調製する工程が、予め調製されたフルオロポリマー分散体を前記水性媒体に加えることによって行われる、前記1.〜3.のいずれかに記載の方法。
13.前記炭化水素含有界面活性剤が、前記安定化期間中に前記重合反応器に計量供給される、前記1.〜12.のいずれかに記載の方法。
14.前記炭化水素含有界面活性剤が、前記炭化水素含有界面活性剤のテロゲン活性を低下させるのに十分な速度で計量供給される、前記13.に記載の方法。
15.前記炭化水素含有界面活性剤を加える前記工程が、前記水性媒体中の前記フルオロポリマー粒子の濃度が少なくとも0.6重量%であるときに開始する、前記1.〜14.のいずれかに記載の方法。
16.前記炭化水素含有界面活性剤がアニオン性である、前記1.〜15.のいずれかに記載の方法。
17.前記炭化水素含有界面活性剤が炭化水素界面活性剤である、前記1.〜15.のいずれかに記載の方法。
18.前記炭化水素含有界面活性剤が、式R−L−Mの化合物であり、
式中、Rが、6〜17個の炭素原子を含有するアルキル基であり、Lが、−ArSO
3-、−SO
3-、−SO
4−、−PO
3-および−COO
-からなる群から選択され、ここで、Arが、アリール基であり、Mが、好ましくはH
+、Na
+、K
+およびNH
4+から選択される一価カチオンである、
前記1.〜17.のいずれかに記載の方法。
19.前記重合工程が、重合開始剤の存在下で行われる、前記1.〜18.のいずれかに記載の方法。
20.前記炭化水素含有界面活性剤を不活性化する工程をさらに含む、前記1.〜19.のいずれかに記載の方法。
21.前記炭化水素含有界面活性剤を酸化剤と反応させることによって、前記炭化水素含有界面活性剤が不活性化される、前記20.に記載の方法。
22.前記酸化剤が、過酸化水素または重合開始剤である、前記21.に記載の方法。
23.前記炭化水素含有界面活性剤の前記不活性化が、不活性化助剤の存在下で行われる、前記20.、21.、または22.のいずれかに記載の方法。
24.前記不活性化助剤が、金属イオンの形態の金属である、前記23.に記載の方法。
25.前記金属が、複数の正原子価を有する、前記24.に記載の方法。
26.前記金属イオンが、第一鉄イオンまたは第一銅イオンである、前記24.に記載の方法。
27.前記炭化水素含有界面活性剤が、前記重合反応器への添加前、添加中、または添加後に不活性化される、前記19.〜26.のいずれかに記載の方法。
28.前記フルオロモノマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)およびそれらの混合物から選択され、好ましくはテトラフルオロエチレン(TFE)である、前記1.〜27.のいずれかに記載の方法。
29.前記安定化期間中、前記反応器中に加えられる前記炭化水素含有界面活性剤の量が、45重量%または45重量%超の固形分を有するフルオロポリマー粒子の前記分散体を提供するのに有効である、前記1.〜28.のいずれかに記載の方法。
30.前記反応器中に加えられる前記炭化水素含有界面活性剤の量が、前記フルオロポリマー粒子の重量を基準にして、3000ppmまたは3000ppm超である、前記29.に記載の方法。
31.前記フルオロポリマー粒子が、フッ素プラスチック、好ましくはパーフルオロプラスチックである、前記1.〜30.のいずれかに記載の方法。
32.前記1.〜31.のいずれかに記載の方法によって得られるフルオロポリマー分散体。
33.前記32.に記載のフルオロポリマー分散体からの単離によって得られるフルオロポリマー樹脂。
34.前記32.または33.に記載のフルオロポリマー分散体および/または樹脂であって、前記フルオロポリマーが、PTFE、ならびに40〜98重量%のテトラフルオロエチレン単位および1〜60重量%の少なくとも1つの他のモノマーを含む溶融加工性コポリマーからなる群から選択され、前記溶融加工性コポリマーが、好ましくは、75重量%超のパーハロモノマー、好ましくはテトラフルオロエチレンを含有するコポリマーであるフルオロポリマー分散体および/または樹脂。
35.重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフッ素プラスチック粒子の分散体を形成するための方法であって、
(a)前記反応器に水性媒体を提供する工程と、
(b)前記フルオロモノマーを前記反応器に加える工程と、
(c)重合開始剤を前記水性媒体に加え、それによって、前記フルオロモノマーの前記重合をキックオフさせる工程と、
(d)前記重合の前記キックオフ後、炭化水素含有界面活性剤を前記水性媒体中に計量供給する工程とを含み、
ここで、前記水性媒体が、前記フルオロモノマーの前記重合の前記キックオフの前に界面活性剤を実質的に含まず、ハロゲン含有界面活性剤が、前記重合の前記キックオフ中または前記キックオフ後に前記水性媒体に加えられない方法。