特許第6109078号(P6109078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6109078リードクラックが強化された電子素子用テープ
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  • 6109078-リードクラックが強化された電子素子用テープ 図000002
  • 6109078-リードクラックが強化された電子素子用テープ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109078
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】リードクラックが強化された電子素子用テープ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
   H01L21/60 311W
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-551886(P2013-551886)
(86)(22)【出願日】2011年10月12日
(65)【公表番号】特表2014-504034(P2014-504034A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】KR2011007580
(87)【国際公開番号】WO2012105740
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2014年8月14日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0009610
(32)【優先日】2011年1月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、デ スン
(72)【発明者】
【氏名】コー、ハン モ
(72)【発明者】
【氏名】リム、ジュン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク、キ テ
(72)【発明者】
【氏名】ホン、テ キ
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−59627(JP,A)
【文献】 特開2011−97000(JP,A)
【文献】 特開2012−80078(JP,A)
【文献】 特開平11−288981(JP,A)
【文献】 国際公開第00/54324(WO,A1)
【文献】 特開2006−73966(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0034404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/60−21/607
H01L23/12−23/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板の上面のチップ実装領域に対応する部位にレジンが塗布されたレジン塗布領域と、
前記絶縁基板上に配置され、外部基板の端子と電気的に接続される第1のリードと、
前記絶縁基板上の前記レジン塗布領域の上に配置され、半導体チップの端子と連結される第2のリードと、
前記絶縁基板上に配置され、前記第1のリードと前記第2のリードを連結する折り曲げ部と、
を含み、
前記折り曲げ部は、前記第1のリードと連結される第1のリードパターンと、前記第2のリードと連結される第2のリードパターンと、前記第1と2のリードパターンの間を折り曲げて連結する連結パターンとを含み、
前記連結パターンは、前記第1のリードパターンの配線幅より前記第2のリードパターンの配線幅が狭くなるように、前記第1と2のリードパターンの間を折り曲げ構造で連結し、
前記連結パターンは、前記チップが実装されるチップ実装領域に対応するレジン塗布領域の上に配置される電子素子用テープ。
【請求項2】
前記第1のリード及び第2のリードにパターン間の間隔の異なる部分が少なくとも1つ以上存在する請求項1に記載の電子素子用テープ。
【請求項3】
前記電子素子用テープは、
前記チップ実装領域に実装される電子素子チップと、
前記レジン塗布領域に前記電子素子チップの周囲を埋め込む構造で塗布されるレジンとをさらに含む請求項2に記載の電子素子用テープ。
【請求項4】
前記第1のリードの配線幅は、前記第2のリードの配線幅より広い請求項3に記載の電子素子用テープ。
【請求項5】
前記絶縁基板は、ポリイミドフィルムである請求項4に記載の電子素子用テープ。
【請求項6】
前記レジンはエポキシを含む請求項3に記載の電子素子用テープ。
【請求項7】
前記第1のリード及び第2のリードのにCu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coのうちいずれか1つ又はこれらの二元もしくは三元合金を用いて単層又は多層にメッキ処理層をさらに形成する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子素子用テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、リードクラック(Lead Crack)が強化された電子素子用テープ(Tape)及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの技術分野は、薄型化、小型化、高集積化、高速化、及び多ピン化などの技術的な発展が進んでいる。そのために、半導体チップを実装するために使用される配線基板として薄いフィルムテープ素材に配線パターンが形成されているテープキャリアフィルムが広く用いられている。
【0003】
一般的に、このようなテープキャリアフィルムに半導体チップを装着してパッケージングしたものをテープキャリアパッケージ(Tape Carrier Package; TCP)と言う。テープキャリアフィルムは、これを用いてテープキャリアパッケージの製造において半導体チップとテープキャリアフィルム状のリード(Lead)を一括に接続させる技術であるタブ(Tape Automated Bonding; TAB)技術を適用することが可能であるため、一般的にタブテープ(Tab Tape)と呼ぶ。
【0004】
従来の電子素子用タブテープ(Tab Tape)は、インナーリード(Inner Lead)からアウターリード(Outer Lead)に接続される配線パターンが一字状に構成されており、配線幅が狭く形成されている。したがって、狭く形成された配線幅によりベンディング(Bending)性が悪くてリードクラックが発生する問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、第1のリードと第2のリードの接続構造において、狭い配線幅で発生するクラック(Crack)の問題を解決するために、狭い回路パターンにベンディングされた部位(以下、“ベンディング部”とする。)を形成し、そのベンディング部をレジン(Resin)塗布領域内に形成させてベンディング(Bending)領域から除外させることにより、リードクラックの問題を解決できる電子素子用ープ(ape)及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した技術的課題を解決するために、本発明の実施例では、第1のリードから第2のリードに接続される狭い回路パターンにベンディング部を形成し、そのベンディング部をレジン(Resin)塗布領域内に形成させてベンディング(Bending)領域から除外させることにより、狭い配線幅で発生するクラック(Crack)の問題を解決することができる。
【0007】
なお、絶縁基板の第1のリードから第2のリードに接続される回路パターンにベンディング部を形成し、リードパターン間の間隔の異なる部分が少なくとも1つ以上存在する電子素子用テープ(ape)及びその製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施例によると、第2のリード(Inner Lead)から第1のリード(Outer Lead)に接続される狭い回路パターンにベンディング部を形成し、そのベンディング部をレジン(Resin)塗布領域内に形成させてベンディング(Bending)領域から除外させることにより、狭い配線幅で発生するクラック(Crack)の問題を解決又は防止することができる。
【0009】
本発明の効果は、以上で言及したものに限定されず、言及していない他の効果は下記の記載から当業者に明確に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の施例によるープ(ape)の配線パターンの一部を拡大した平面図である。
図2図1に示された配線パターンの一部を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。本明細書に亘って同じ構成要素に対しては同じ符号を付し、これについての重複説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の施例によるープ(ape)の配線パターンの一部を拡大した平面図であり、図2は、図1に示された配線パターンの一部を拡大した平面図である。以下、本発明の実施例での“テープ”とは、TAB(Tape Automated Bonding ;TAB)テープのみでなく、COB(Chip On Board)技術に適用される基板を含む。
【0013】
本発明の実施例によるテープは、図1に示すように、絶縁基板110上に形成された第1のリード121及び第2のリード122と、前記第1のリード又は第2のリードのいずれかに形成されたベンディング部140とを含んで構成される。本発明においてベンディング部140とは、前記第1のリード121及び第2のリード122の接続領域部分にベンディングされた構造を有する接続パターン(図2の‘143’)が形成された領域を意味する。前記絶縁基板110は、ポリイミドレジンのような絶縁性材料で形成されるベースフィルムを用いることができる。
【0014】
なお、図1の配線パターン120領域の部分拡大図を参照すると、本発明の実施例によるープは、チップが実装される領域と実装される電子素子チップを埋め込む構造でレジンが塗布されるレジン塗布領域130を備えるようになる。特に、上述した本発明によるベンディング部140は、このようなレジン塗布領域130に配置されることがより望ましい。
【0015】
なお、図1及び図2を参照して本発明の実施例によるープの具体的な構成を説明する。
【0016】
前記絶縁基板110上に銅箔のような導電性薄膜を形成した後、フォトリソグラフィ(photo etching)などの方法を用いて形成される配線パターン120を備えている。前記絶縁基板110の両側端部には、所定の間隔をおいてスプロケットホール111が形成されている。
【0017】
一方、前記配線パターン120は、半導体チップとインナーリードボンディング(Inner Lead Bonding; ILB)などの方法で電気的に接続される第2のリード122と、外部基板側の端子との電気的接続のための第1のリード121と、前記第1及び第2のリード121、122との間を接続させる接続パターンで構成される接続部123とが形成されている。
【0018】
前記第2のリード122は、半導体チップの微細ピッチの接続端子と接続されなければならない点から幅が相対的に狭く形成されており、前記第1のリード121は、半導体チップの微細ピッチの端子に直接対応されるのではなく、外部基板側の端子と接続されることから幅が相対的に広く形成されている。前記接続部123は、幅の狭い第2のリード122と幅の広い第1のリード121との間をベンディングされた形状に所定の長さを有して接続されている。
【0019】
ここで、前記第2のリード122部分は、インナーリード(Inner Lead)からアウターリード(Outer Lead)に接続される配線パターンで配線幅が狭く形成されている。したがって、従来のように第2のリードと第1のリードが直接接続されるように一字状にパターンが形成される場合、ベンディング(Bending)性が弱くてリードクラックが発生することになる。
【0020】
このような問題を解決するために、本発明の実施例では、前記第2のリード122の回路パターンにベンディング部140を形成して配線の幅を広げ、前記ベンディング部140をレジン(Resin)塗布領域130内に形成させてベンディング(Bending)領域から除外させるので、クラックの問題を解決又は防止することができた。
【0021】
前記第2のリード122の回路パターンをより具体的に説明すると、図2に示すように、第1のリードパターン141よりも相対的に幅が狭く形成された第2のリードパターン142と、前記第2のリードパターン142よりも相対的に幅が広く形成された第1のリードパターン141と、前記第1及び第2のリードパターン141、142との間をベンディング部140を基準にベンディングされた形状に接続する接続パターン143で構成される。このとき、前記ベンディング部140は、レジン(Resin)塗布領域130内に形成させてベンディング(Bending)領域から除外されるように形成される。
【0022】
前記の構成のように、配線パターンの幅が他の所に比べて狭く形成されている部分、すなわち、第1のリード(例えば、インナーリード(Inner Lead))から第2のリード(例えば、アウターリード(Outer Lead))に接続される第2のリード122の回路パターンにベンディング部を形成してICボンディング(Bonding)後レジン(Resin)塗布領域に含ませ、ICボンディングがされていないレジン(Resin)塗布外側領域の場合、従来に比べて2倍以上のリード配線パターンにデザインすることにより、リードクラックを防止することができる。
【0023】
又、本発明の実施例による上述した第1のリード及び第2のリードの回路パターン面にCu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coのうちいずれか又はこれらの二元もしくは三元合金を用いて単層又は多層にメッキ処理層をさらに形成する構造で実現することにより、回路パターンの保護及び導電性を向上させることもできる。
【0024】
(電子素子用テープ(Tape)の製造方法)
図1及び図2を参照して本発明の一実施例による電子素子用ープ(ape)の製造方法を説明する。
【0025】
先ず、絶縁基板110の一側表面に導電性薄膜を形成する。このとき、前記導電性薄膜は、スパッタされた金属層で前記絶縁フィルムの全面に形成される。前記金属層は、Cu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coのうちいずれか1つをスパッタリングによって形成できる。又、前記金属層の上部に前記導電性薄膜上にCu、Ni、Pd、Au、Sn、Ag、Coのうちいずれ1つ又はこれらの二元もしくは三元合金を用いて単層又は多層にメッキ処理層をさらに形成することもできる。
【0026】
その後、前記導電性薄膜を選択的にエッチングして配線パターンを形成し、第1のリード(インナーリード(Inner Lead))から第2のリード(アウターリード(Outer Lead))に接続される配線幅が相対的に狭い回路パターンにベンディング部140を形成する。
【0027】
ここで、前記回路パターンは、前記ベンディング部140を基準に第1のリードパターン141と第2のリードパターン142に分け、前記ベンディング部140を基準に第1及び第2のリードパターン141、142の間をベンディングして接続した接続パターン143を備えている。このとき、前記第1のリードパターン141の配線幅が、前記第2のリードパターン142の配線幅よりも広く形成されている。前記ベンディング部140は、レジン(Resin)塗布領域130内に形成させてベンディング(Bending)領域から除外されるように形成する。
【0028】
このように構成された本発明による電子素子用ープ(ape)及びその製造方法は、第1のリードから第2のリードに接続される狭い回路パターンにベンディング部を形成し、そのベンディング部をレジン(Resin)塗布領域内に形成させてベンディング(Bending)領域から除外させることにより、本発明の技術的課題を解決することができる。
【0029】
上述した本発明の一実施例によるープは、レジン塗布領域130内に実装される電子素子チップにレジンが塗布されてパッケージングすることができる。前記レジン塗布領域130に塗布されるレジンは、エポキシやエポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤を含む粘性のあるポッティング(potting)材料を適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
110 ベースフィルム、111 スプロケットホール、120 配線パターン、121 第1のリード、122 第2のリード、123 接続部、130 レジン(Resin)塗布領域、140 ベンディング部(パターン変曲点の形成部位)、141 第1のリードパターン、142 第2のリードパターン、143 接続パターン
図1
図2