【実施例1】
【0026】
本発明の好ましい一実施例の車両輸送船等の表示装置1は、
図1〜
図3に示したように、表示装置本体としてのコーン2と、本発明の好ましい一実施例の車両輸送船用の表示装置用ウエイト3とを有する。
【0027】
コーン2は、概ね中空円錐状のコーン本体10とフランジ状部(鍔状部)20とを備える。コーン2は典型的には軟質プラスチックからなる。但し、プラスチックの代わりにゴム等からなっていても、軟質の材料の代わりに硬質のプラスチックからなっていてもよい。
【0028】
より詳しくは、コーン本体10は、大半の部分を占める中空円錐部11(中心線C)と、該中空円錐部11の円形端部12から下端部13まで連続的に延びた円筒状部14(中心線C)とを備える。円筒状部14は、円筒すなわち中空円柱の形態の代わりに、中空円錐部11から離れる程径が大きくなるような中空円錐台の形態であってもよい(従って、円筒状部の代わりに中空円錐台状部であってもよい)。また、円錐台状部や円筒状部14はなくてもよく、その場合、コーン本体10は中空円錐部11からなり、コーン本体10の円錐状筒部の下端近傍部分が底部のフランジ状部20の上の筒状部として働く。
【0029】
コーン本体10の横断面は、典型的には中心が(中心線Cの横断面である)点Cの円形であるけれども、円形の代わりに楕円形や多角形であってもよい。また、コーン本体10の上部の横断面が多角形でコーン本体10の下部に近づく程横断面が円形や楕円形に近づくような立体形状であってもよい。
【0030】
鍔状部ないしフランジ状部20は、コーン本体10の下部の円筒状部14の下端部13から径方向外向きに延び厚さがT1の概ね環状板状の鍔ないしフランジ21の形態である。従って、円筒状部14は、コーン2の本体10の底部をなすフランジ状部20の上に位置する。鍔21は外径がR1で上面22の内径がR2(下面23の内径がR3(<R2))での円環状である。鍔21の内周縁が円形以外の形状である場合には、典型的には、外周縁もそれと概ね相似の形状である。但し、所望ならば、外周縁の平面形状が内周縁の平面形状とは相似でなく異なっていてもよい。例えば、内周縁の平面形状が円形であって外周縁の平面形状が多角形であったり、内周縁の平面形状が多角形であって外周縁の平面形状が円形であってもよい。鍔状部20の鍔21は、床上に安定に載置され得るようにその下面側の全体として一つの平面を規定する(接面が平面になる)限り、単なる平板状である代わりに、上面22又は下面23に補強用のリブ等を備えていてもよい。
【0031】
ウエイト3は、
図1〜
図3に加えて、
図4〜
図6からわかるように、ウエイト3のフレームをなすベース部材本体4と、多数個の蓋60と、永久磁石70とからなる。
【0032】
ベース部材本体4は、非磁性材料からなり、全体として円環状であって、該本体4の基本形状を規定する円環状板状部30と、磁石収容凹部形成部40と、リブ構造部50とを備える。ベース部材本体4の非磁性材料は、典型的には、プラスチック材料からなる。ベース部材本体4を構成するプラスチック材料は、典型的には、衝撃が吸収され易いように多少軟質の材料からなるけれども、所望ならば、硬質のプラスチック材料からなっていてもよい。
【0033】
円環状板状部30は、外径が
D9(=2
R9)で内径がD4(=2R4)の円環A(中心軸線C)の形態で厚さがT2の円環板31からなり、上側円環状面32と下側円環状面33とを貫通する貫通孔34(中心C1,内径D5)を該円環Aの中心CからのR8だけ離れたところで円環Aの周方向に等間隔に備える。孔34の数は典型的には三個以上であって十個程度以下であれば八個でなくてもよい。但し場合によっては二個であっても十数個より多くてもよい。
【0034】
円環状板状部30の下側円環状面33の側のうち各貫通孔34のところには、磁石収容凹部形成部40が一体的に形成されている。ここで、磁石収容凹部形成部40は、各貫通孔34の周面35と同一形状の内周面41(内径D5)を備えた凹部規定壁部42からなる。凹部規定壁部42は、内周面41を規定する周壁43と、該周壁43の下端44を閉じる面45を上側に備えた底壁46とを備える。周壁43の外周面47(外径D6)は内周面41と同様に円筒状である。各凹部規定壁部42において、円環状板状部30の下側円環状面33から底壁46の下面(底面)48までの突出長はT3である。
【0035】
円環状板状部30の貫通孔34の内周面35及び凹部規定壁部42の周壁43の内周面41並びに凹部規定壁部42の底壁46の上面45が協働して開口36を備えた磁石収容凹部5を規定している。
【0036】
従って、各磁石収容凹部5は、円環状板状部30の上側円環状面32に開口36を備え、八個の磁石収容凹部5の凹部規定壁部42の底壁46の下面(底面)48が全体として一つの平面を規定すると共に、八個の磁石収容凹部5の凹部規定壁部42の周壁46が全体として、中心軸線Cのまわりの半径R1の仮想円筒に外接する。
【0037】
円環状板状部30の下側円環状面33の側には、リブ構造部50が一体的に形成されている。図示した例では、リブ構造部50は、下側円環状面33の外周及び内周の夫々に沿った外周側円形リブ部51及び内周側円形リブ部52と、両円形リブ部51,52の間に同心状に位置する中間円形リブ部53,54と、多数の放射状ないし径方向リブ部55とからなり、各リブ部51,52,53,54,55は円環状板状部30の下側円環状面33に対して一体的に形成されていると共に相互の交叉部において一体的につながっている。
【0038】
各リブ部51,52,53,54,55の高さT4(円環状板状部30の下側円環状面33からリブ部51,52,53,54,55の下面56までの長さ)は、相互に同一で且つ各凹部規定壁部42の突出長T3よりも小さく、この突出長の差ΔT(=T3−T4)は、コーン2の鍔状部ないしフランジ状部20の厚さT1と実際上一致する。
【0039】
以上において、円環状板状部30、八個の凹部規定壁部42、並びに円形リブ部51,52,53,54及び多数の放射状リブ部55が全体として環Aの形態のベース部材本体4を規定しており、内周側円形リブ部52の内周面57が半径R2の円筒状ないし円形開口58を規定している。また、円環状板状部30の上側円環状面32がベース部材本体4の上面側において磁石収容凹部5の開口36を規定し、磁石収容凹部5の凹部規定壁部42の底壁46の下面48が床に当接するように下方に突出している。
【0040】
この例では、ベース部材本体4の内周側円形リブ部52及び八個の磁石収容凹部5の凹部規定壁部42の周壁46の両方が、中心軸線Cの周りの半径R2の円ないし円筒面に沿って位置し、コーン2の円筒状部14と丁度嵌合されるようになっているけれども、いずれか一方が中心CからR2よりも大きく離れていて、該一方がコーン2の円筒状部14の丁度嵌合されるようになっていてもよい。
【0041】
また、ベース部材本体4の内周側リブ部52及び八個の磁石収容凹部5の凹部規定壁部42の周壁46のうちの少なくとも一方が、コーン2の筒状部14に外接して、中心軸線Cに垂直な面内でのコーン2の変位を妨げ得る限り、筒状部14の横断面は円形でなくてもよく、また、内周側リブ部52や多数個の磁石収容凹部5の凹部規定壁部42の周壁46も円に外接する形状や配置でなくてもよい。
【0042】
なお、貫通孔34の内周面35及び凹部規定壁部42の周壁43の内周面41のうち貫通孔34の開口36の側に位置する内周面35,41(磁石収容凹部5の内周面35,41)には、雌ねじ部37が形成されており、雄ねじ部61の形成された蓋60が螺合されることにより、磁石収容凹部5の開口36が閉じられる。蓋60には、径方向係合溝62が形成されており、ドライバ(ネジまわし)や硬貨等によって、蓋60が回されて、磁石収容凹部5に対する螺合や該螺合の解除が行われる。
【0043】
永久磁石70は、外径がD7の円板71の形態である。径D7は貫通孔34の内径(従って磁石収容凹部5の内径)D5と実際上同程度で、磁石70の出し入れを可能にすべく径D5よりもわずかに小さい。一つの磁石収容凹部5内に複数の磁石70が重ねて収容され得るように、磁石70の厚さT5は、磁石収容凹部5の深さの半分よりも小さい。但し、一つの磁石収容凹部5に収容可能な磁石70の数が一つであってもよい。所望ならば、磁石70として厚さの異なるものがあってもよい。磁石70としては厚さが異なることにより強さが異なっている代わりに、磁石70の材料が異なることにより強さが異なっていてもよい。
【0044】
表示装置1は、次のようにして組み立てられる。
【0045】
一方では、
図1の(b)や
図2の(b)に示したように、車両輸送船90の鋼鉄製の床91の表面すなわち床面92の所望位置に上に表示装置1の軟質プラスチック製のコーン2がそのフランジ状部20のフランジ21の下面すなわち底面23で当接した状態で載置される。
【0046】
他方では、ベース部材本体4の三カ所以上の所望の磁石収容凹部5の夫々に一つ以上の所望個数の磁石70を収容して蓋60を該凹部5に嵌め雄ねじ部61を雌ねじ部37に螺合・螺着することにより各凹部5の開口を蓋60で閉じることにより、ウエイト3を準備しておく。
【0047】
このとき、磁石収容凹部5がベース部材本体4を構成する円環A(半径がR1(例えば数10cm程度)以上と比較的大きい)の周方向に離れた位置にあり且つ各磁石収容凹部5の開口が該凹部5内への磁石70の収容後に蓋60で個別に閉じられるので、相互に異なる箇所の磁石収容凹部5,5に収容されるべき磁石70,70間の静磁的引力・反発力によって磁石70の収容が妨げられる虞れがない。また、蓋60が雄ねじ部61で凹部5の雌ねじ部37に螺合されることにより蓋60が閉じられるので、蓋60が凹部5内に入り込む深さが調整され得るから、凹部5内に収容される磁石70の高さないし数(従って、コーン2の転倒や移動等を防ぐ役割をするウエイト3の実効重量)を所望に応じて調整し得る。
【0048】
なお、三カ所以上の磁石70及び蓋60と、ベース部材本体4とからなるウエイト3の重量は、典型的には数100g程度〜1kg程度であって、10kg程度はある従来のゴム製ウエイトと比較して、極めて軽い。
【0049】
次に、床91に載置された状態のコーン2に、ウエイト3を被せる。このとき、ウエイト3のベース部材本体4の内周側リブ部52がコーン2の最大径部である円筒状部14に丁度嵌ると共に、コーン2のフランジ状部20が外周面24でウエイト3のベース部材本体4の八個の磁石収容凹部形成壁部40の周壁43の外周面47によって規定される仮想円に沿って位置し、該八個の周壁43の外周面47に実際上当接する。
【0050】
また、コーン2のフランジ状部20がフランジ21の上面22でリブ部52,55の下面56に実際上当接するまで、ウエイト3のベース部材本体4がコーン2のフランジ状部20に嵌め込まれると、ウエイト3のベース部材本体4が磁石収容凹部形成壁部40の底壁46の下面48で、船90の床91の上面92に当接する。なお、ウエイト3をコーン2にある程度まで嵌めると、ウエイト3の磁石70と船90の鋼鉄製の床91との静磁的引力により、コーン2とウエイト3との上記のような嵌合は一気に進行し完了する。これにより、車両輸送船用の表示装置用のウエイト3を備えた車両輸送船用の表示装置1ができあがる。
【0051】
従って、表示装置本体をなすコーン2の部分は、コーン2の代わりに、ベースないし基台とポールを含む表示部本体とを備えたものであってもよい。ポール自体が表示部本体をなす場合には、ポールの上端側に別の表示部本体を設けなくてもよい。
【0052】
以上のようにして形成された車両輸送船用の表示装置用のウエイト3を備えた車両輸送船用の表示装置1では、磁石70が、コーン2の中心軸線Cからベース部材本体4の円環Aの内縁よりも離れたところで、しかもベース部材本体4の円環Aの径方向中心部よりも外側の位置(中心軸線からの距離がR8の位置)において、鋼鉄製の床91に静磁的に吸着されるので、コーン2のM1,M2方向等の転倒に抗するモーメントが大きくなり、コーン2の転倒を防ぐ能力が極めて高くなる。特に、特許文献1の場合と比較してその差異が大きいだけでなく、特許文献2の場合と比較してもその差異(表示装置本体の転倒を防ぐ能力(転倒に抗するモーメント))は大きい。
【0053】
しかも、この表示装置1では、ウエイト3のベース部材本体4がリブ部51,52,53,54,55によって持ち運びや大きな変形に抗する程度には剛性化されているとはいえ、大きな捩じり等によっては多少は変形され得ることから表示装置1を床91の表面92に沿って滑らす(並進移動させる)ような力が働いた場合に、円環Aの複数個所で磁石70と床91との間に静磁的引力が働いているが故に、ベース部材本体4が多少なりとも変形することにより、ベース部材本体4の全体が床面91に沿って一気に滑るように並進移動してしまう虞れも少ない。
【0054】
以上の通り、本発明の好ましい一実施例のウエイト3では、環状のベース部材本体4の複数個の磁石収容凹部5,5,5,・・・に永久磁石70,70,70,・・・が収容されているので、車両輸送船の鋼鉄製の床91等にベース部材として働くウエイト3が静磁的に吸着され得るから、ウエイト3の重量を小さくし得、持ち運び等が容易に行われ得るだけでなく、永久磁石70が収容される複数の磁石収容凹部5は表示装置本体としてのコーン2の底部のフランジ状部20の上の筒状部14に嵌る中央開口を備えた環Aに周方向に間隔をおいて設けられているので、磁石収容凹部5が中央部に集中した特許文献1の場合と比較して磁石収容凹部5の間隔が大きくなるから磁石70,70相互の静磁力によって磁石70の収容が困難になる虞れが少なくしかも磁石収容凹部5,5が夫々個別に蓋60,60で閉じられ得るので磁石70,70相互の静磁力によって磁石70の収容が困難になる虞れが実際上ない。その上、このウエイト3では、永久磁石70,70,70,・・・が収容される複数の磁石収容凹部5,5,5,・・・は表示装置本体としてのコーン2の底部フランジ状部20上でコーン2の本体10の下部の円筒状部14に嵌る中央開口を備えた環Aに周方向に間隔をおいて設けられているので、磁石収容凹部が中央部に集中した特許文献1の場合と比較して表示装置本体としてのコーン2の中心Cからより離れたところにおいて各磁石70,70,70,・・・が車両輸送船90の鋼鉄製の床91等に静磁的に吸着されることになるから、表示装置本体としてのコーン2の転倒に抗するモーメントが大きくなり、コーン2をより安定に転倒に抗して支え得る。なお、重錘部材の形態の従来のウエイトの場合、コーンの転倒に抗するモーメントを大きくするためには、ウエイトの重量バランスが中心から離れたところに位置するようにすべく、重錘部材からなるウエイトを中心から離れたところで厚く重くする必要があるのに対して、このウエイト3の場合、単に、磁石収容凹部5の位置を調整すれば足りる。永久磁石70の静磁力の観点で言えば、より強い磁石であればより強固に転倒防止を行い得るのは当然として、ベース部材本体4が環Aの形態を有するが故に、場合によっては、磁石70として比較的磁力の小さい磁石を利用することも可能になる。
【0055】
このウエイト3では、多数の凹部5,5,5,・・・の周壁43の外周面47が全体として表示装置本体としてのコーン2の基台となるベース部としてのフランジ状部20の外周面24に丁度嵌合されるようにベース部材本体4の底面側において突出しているので、磁石収容凹部5の底壁46の底面48がウエイト3と車両輸送船90の床91等との当接面を直接規定し得るから、磁石70,70,70,・・・が確実に車両輸送船90の床91等に静磁的引力により吸着され易いだけでなく、ベース部材本体4を構成する素材の使用を最低限に押さえ得る。但し、所望ならば、磁石収容凹部5の周壁43以外の部分も同様にベース部材本体4の底面側において突出していてもよい。その場合、例えば、環状突出部に周方向に間隔をおいて磁石収容凹部が形成される。
【0056】
このウエイト3では、各蓋60が各磁石収容凹部5に螺合により固定されるように構成されているので、凹部5内に収容される永久磁石70の厚さ又は個数等が所望に応じて変更されることにより磁石70の収容後に凹部5内に残る窪みの深さが変動してても、蓋の螺入量を変えるだけで該変動に対応して磁石70を確実に収容し且つ押さえ得る。但し、使用状態においては磁石70は凹部5の底壁46に密接する状態に引きつけられ得るので、蓋60が磁石70の飛出しを確実に避け得る程度に各磁石収容凹部5を閉じ得る限り、蓋60は螺合以外の形態で磁石収容凹部5の開口に取付けられるようになっていてもよい。
【0057】
また、このウエイト3では、典型的には、磁石収容凹部5の数は4個以上であり、磁石収容凹部5のうち磁石70が収容される凹部5の数は3個以上であるので、ウエイト3が確実に転倒を防止し得る。但し、場合によっては、磁石収容凹部5のうち磁石70が収容される凹部5の数が2個以上であってもよい。なお、好ましくは、色々な方向の転倒モーメントに抗し得るように、磁石収容凹部5のうち磁石70が収容される凹部5の数は、例えば、5〜8個程度以上であることが好ましい。
【0058】
以上においては、表示装置本体がコーン2からなる例について説明したけれども、表示装置本体は、下端部にフランジ状部を備える限り、特許文献1に示したようなポールと該ポールの上端の表示部本体とからなっていてもよい。特許文献1に示したようにポール自体が表示部本体として働くように構成されている場合には、表示装置本体は、下端部のフランジ状部とポールとからなっていてもよい。
【0059】
なお、以上においては、表示装置1やウエイト3は、車両輸送船に用いられるものとして説明したけれども、該表示装置1やウエイト3の底面が当接される部分が車両輸送船の床等のように鋼その他の磁性材料からなる場合には、当該部分に対しても表示装置1やウエイト3は発明の特徴を生かす状態でそのまま適用され得る。従って、表示装置1やウエイト3の永久磁石70が強い静磁的引力を受けて吸着されるような面を備える場合には、当該面を備えたものは、通常の物品の定義とは異なるけれども、この明細書では、「車両輸送船等」に含まれるものとする。例えば、特許文献2におけるように、敢えて地面等に鋼板の如きポール支持体を固定しておく場合には、このようなポール支持体を固定した地面部分は、車両輸送船の床と同効物であることから「車両輸送船等」に含まれるものとする。