特許第6109108号(P6109108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109108
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20170327BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20170327BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20170327BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20170327BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   H02J7/34 J
   H02J7/35 K
   H02J3/32
   H02J3/38 110
   H02J3/38 120
   H02J3/46
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-63820(P2014-63820)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-186427(P2015-186427A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−158132(JP,A)
【文献】 特開2014−050199(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/088799(WO,A1)
【文献】 特開平10−336916(JP,A)
【文献】 特開2012−196023(JP,A)
【文献】 特開平08−317552(JP,A)
【文献】 特開2006−288002(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/068133(WO,A1)
【文献】 特開2004−023879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H02J3/00−3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、
前記発電部からの電力を充放電可能な蓄電池と、
前記発電部からの電力及び前記蓄電池からの電力を負荷へと供給可能なパワーコンディショナと、
前記パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、
を具備する電力供給システムであって、
前記パワーコンディショナは、
前記発電部と前記負荷とを接続する第一電路に配置される第一開閉器と、
前記発電部と前記蓄電池とを接続する電路であって、前記第一開閉器よりも前記発電部側で前記第一電路から分岐する第二電路に配置される第二開閉器と、
前記蓄電池と前記負荷とを接続する電路であって、前記第一開閉器よりも前記負荷側で前記第一電路から分岐する第三電路に配置される第三開閉器と、
を具備し、
前記発電部からの電力が前記負荷の消費電力を賄うことができる第二状態と、前記発電部からの電力が前記負荷の消費電力を賄うことができない第三状態と、が交互に変更される第四状態である場合には、
前記第一開閉器を開状態とすると共に前記第二開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記蓄電池に充電させると共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給する、
電力供給システム。
【請求項2】
前記発電部からの電力が所定の電力よりも小さい第一状態である場合には、
前記第一開閉器を開状態とすると共に前記第二開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記蓄電池に充電させると共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記第二状態である場合には、
前記第一開閉器及び前記第二開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記負荷へと供給すると共に前記蓄電池に充電する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記第三状態である場合には、
前記第一開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力と共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項5】
停電時であることを検出する停電検出手段をさらに具備し、
前記停電時であることが検出され、前記第一状態である場合には、
前記第一開閉器を開状態とすると共に前記第二開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記蓄電池に充電させると共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給する、
ことを特徴とする請求項から請求項4までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記停電時であることが検出され、前記第二状態である場合には、
前記第一開閉器及び前記第二開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記負荷へと供給すると共に前記蓄電池に充電し、
前記蓄電池に充電させる前記発電部からの電力を徐々に増加させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記第二状態である場合において、
前記発電部からの電力の電圧が前記蓄電池への充電を開始した時点よりも小さくなった場合には、
前記蓄電池に充電させる前記発電部からの電力を徐々に減少させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記停電時であることが検出され、前記第三状態である場合には、
前記第一開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力と共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給する、
ことを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電部からの電力及び蓄電池からの電力を負荷へと供給する電力供給システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、発電部からの電力を充放電可能な蓄電池と、前記発電部からの電力及び前記蓄電池からの電力を負荷へと供給可能なパワーコンディショナと、前記パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、を具備する電力供給システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部(太陽電池)と、前記発電部からの電力を充放電可能な蓄電池(バッテリ)と、前記発電部からの電力及び前記蓄電池からの電力を負荷へと供給可能なパワーコンディショナ(蓄電システム等)と、前記パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、を具備する。そして、制御部の制御により、発電部からの電力及び蓄電池からの電力を負荷へと供給することができる。
【0004】
また、特許文献1に記載の技術では、発電部からの電力を蓄電池に充電させると共に蓄電池から放電した電力を負荷へと供給するために(すなわち、蓄電池の同時充放電を行うために)、蓄電池が2つ設けられている。このように、蓄電池が2つ設けられると、コストが増加する点で不都合である。
【0005】
また、特許文献1に記載の技術において、仮に蓄電池が1つ設けられたものとして同時充放電を行う場合には、フロート式充電方式を採用し、発電部で発電された電力を一旦蓄電池に充電させて当該蓄電池を常に満充電状態とする必要がある。このように、フロート充電方式を採用した場合には、蓄電池で電力損失するため非効率であり、さらに蓄電池が劣化し易くなる点で不都合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−253849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、1つの蓄電池を用いて、蓄電池の同時充放電を行っても非効率とならず、さらに蓄電池が劣化するのを抑制することができる電力供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、前記発電部からの電力を充放電可能な蓄電池と、前記発電部からの電力及び前記蓄電池からの電力を負荷へと供給可能なパワーコンディショナと、前記パワーコンディショナの動作を制御する制御部と、を具備する電力供給システムであって、前記パワーコンディショナは、前記発電部と前記負荷とを接続する第一電路に配置される第一開閉器と、前記発電部と前記蓄電池とを接続する電路であって、前記第一開閉器よりも前記発電部側で前記第一電路から分岐する第二電路に配置される第二開閉器と、前記蓄電池と前記負荷とを接続する電路であって、前記第一開閉器よりも前記負荷側で前記第一電路から分岐する第三電路に配置される第三開閉器と、を具備し、前記発電部からの電力が前記負荷の消費電力を賄うことができる第二状態と、前記発電部からの電力が前記負荷の消費電力を賄うことができない第三状態と、が交互に変更される第四状態である場合には、前記第一開閉器を開状態とすると共に前記第二開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記蓄電池に充電させると共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【0010】
請求項2においては、前記発電部からの電力が所定の電力よりも小さい第一状態である場合には、前記第一開閉器を開状態とすると共に前記第二開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記蓄電池に充電させると共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【0011】
請求項3においては、前記第二状態である場合には、前記第一開閉器及び前記第二開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記負荷へと供給すると共に前記蓄電池に充電するものである。
【0012】
請求項4においては、前記第三状態である場合には、前記第一開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力と共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【0013】
請求項5においては、停電時であることを検出する停電検出手段をさらに具備し、前記停電時であることが検出され、前記第一状態である場合には、前記第一開閉器を開状態とすると共に前記第二開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記蓄電池に充電させると共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【0014】
請求項6においては、前記停電時であることが検出され、前記第二状態である場合には、前記第一開閉器及び前記第二開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力を前記負荷へと供給すると共に前記蓄電池に充電し、前記蓄電池に充電させる前記発電部からの電力を徐々に増加させるものである。
【0015】
請求項7においては、前記第二状態である場合において、前記発電部からの電力の電圧が前記蓄電池への充電を開始した時点よりも小さくなった場合には、前記蓄電池に充電させる前記発電部からの電力を徐々に減少させるものである。
【0016】
請求項8においては、前記停電時であることが検出され、前記第三状態である場合には、前記第一開閉器及び前記第三開閉器を閉状態とし、前記発電部からの電力と共に前記蓄電池から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
請求項1においては、1つの蓄電池を用いて、蓄電池の同時充放電を行っても非効率とならず、さらに蓄電池が劣化するのを抑制することができる。
また、発電部からの電力が負荷の消費電力を賄うことができる第二状態と、発電部からの電力が負荷の消費電力を賄うことができない第三状態と、が交互に変更される第四状態である場合に、発電部及び蓄電池を好適に動作させることができる。
【0020】
請求項2においては、発電部からの電力が所定の電力よりも小さい第一状態である場合に、発電部及び蓄電池を好適に動作させることができる。
【0021】
請求項3においては、第二状態である場合に、発電部及び蓄電池を好適に動作させることができる。
【0022】
請求項4においては、第三状態である場合に、発電部及び蓄電池を好適に動作させることができる。
【0023】
請求項5においては、停電時であることが検出され、第一状態である場合に、発電部及び蓄電池を好適に動作させることができる。
【0024】
請求項6においては、停電時であることが検出され、第二状態である場合に、発電部及び蓄電池を好適に動作させることができる。
【0025】
請求項7においては、第二状態である場合において、発電部からの電力の電圧が蓄電池への充電を開始した時点よりも小さくなった場合に、発電部及び蓄電池を好適に動作させることができる。
【0026】
請求項8においては、停電時であることが検出され、第三状態である場合に、発電部及び蓄電池を好適に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
図2】同じく、パワーコンディショナの構成を示したブロック図。
図3】同じく、制御部による通常時の処理を示したフローチャート。
図4】同じく、制御部による停電時の処理を示したフローチャート。
図5】同じく、通常時において、発電部で発電された電力を負荷(分電盤)へと供給する様子を示した図。
図6】同じく、通常時において、発電部で発電された電力を負荷(分電盤)へと供給すると共に蓄電池に充電させる様子を示した図。
図7】同じく、通常時において、発電部で発電された電力及び蓄電池から放電された電力を負荷(分電盤)へと供給する様子を示した図。
図8】同じく、通常時において、発電部で発電された電力を蓄電池に充電させると共に蓄電池から放電された電力を負荷(分電盤)へと供給する(蓄電池が同時充放電する)様子を示した図。
図9】同じく、停電時において、発電部で発電された電力を負荷(専用回路)へと供給する様子を示した図。
図10】同じく、停電時において、発電部で発電された電力を負荷(専用回路)へと供給すると共に蓄電池に充電させる様子を示した図。
図11】同じく、停電時において、発電部で発電された電力及び蓄電池から放電された電力を負荷(専用回路)へと供給する様子を示した図。
図12】同じく、停電時において、発電部で発電された電力を蓄電池に充電させると共に蓄電池から放電された電力を負荷(専用回路)へと供給する(蓄電池が同時充放電する)様子を示した図。
図13】本発明に係る別実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、図1を用いて、本発明に係る「電力供給システム」の一実施形態である電力供給システム1の構成について説明する。
【0030】
電力供給システム1は、建築物(本実施形態においては住宅)に設けられ、商用電源30や燃料電池4、蓄電池5等からの電力を図示せぬ負荷に供給するものである。電力供給システム1は、主として分電盤2、電力経路3、燃料電池4、蓄電池5、太陽光発電部6、センサ部7、パワーコンディショナ(以下では、単に「パワコン」とする)8及び専用回路9を具備する。
【0031】
分電盤2は、供給された電力を負荷に分配するものである。分電盤2は、電力経路3を介して商用電源30に接続される。分電盤2には、図示せぬ漏電遮断器や、配線遮断器、制御ユニット等が設けられる。分電盤2は、負荷に接続される(不図示)。
【0032】
なお、本実施形態において「負荷」とは、住宅内で電力が消費される電化製品等が接続される回路である。負荷は、例えば部屋ごとや、大きな電力を消費する機器専用のコンセントごとに設けられる。なお、以下においては、説明の便宜上、分電盤2は負荷に含まれるものとする。
【0033】
電力経路3は、電力が流通可能な経路である。電力経路3は、単相三線式の配線により構成される。電力経路3は、一側端(上流側端)が商用電源30に接続され、他側端(下流側端)が分電盤2に接続される。
【0034】
燃料電池4は、水素等の燃料を用いて発電する装置である。燃料電池4は、電力経路3の中途部に接続される。燃料電池4は図示せぬ貯湯ユニットを具備し、発電時に発生する熱を用いて当該貯湯ユニット内で湯を沸かすことができる。燃料電池4は、必要に応じて電力を発電する負荷追従運転可能に構成される。
【0035】
蓄電池5は、本発明に係る「蓄電池」の一実施形態である。蓄電池5は、電力を充電可能に構成されるものである。蓄電池5は、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池5は、パワコン8に接続される。
【0036】
太陽光発電部6は、本発明に係る「発電部」の一実施形態である。太陽光発電部6は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部6は、パワコン8に接続される。太陽光発電部6は、図示せぬ太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部6は、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0037】
センサ部7は、本発明に係る「停電検出手段」の一実施形態である。センサ部7は、電力供給システム1内の電力に関する情報を取得するものである。センサ部7は、取得した情報により、停電の発生を検出することができる。センサ部7は、第一センサ7a及び第二センサ7bを具備する。
【0038】
第一センサ7aは、太陽光発電部6とパワコン8との間に接続される。第一センサ7aは、太陽光発電部6で発電された電力の電圧及び電流(発電電圧及び発電電流)を検出する。第一センサ7aは、検出結果を出力可能に構成される。
【0039】
第二センサ7bは、電力経路3において商用電源30の直ぐ下流側に接続される。第二センサ7bは、商用電源30からの電力の電圧及び電流(供給電圧及び供給電流)を検出する。第二センサ7bは、検出結果を出力可能に構成される。
【0040】
パワコン8は、本発明に係る「パワーコンディショナ」の一実施形態である。パワコン8は、ハイブリッドパワーコンディショナである。パワコン8は、太陽光発電部6で発電された電力及び蓄電池5から放電された電力を分電盤2に出力可能であると共に、商用電源30からの電力を蓄電池5に出力可能に構成される。パワコン8は、電力経路3の中途部(燃料電池4よりも上流側)と蓄電池5と太陽光発電部6との間に接続される。このように、蓄電池5及び太陽光発電部6は、パワコン8及び電力経路3を介して分電盤2に接続される。
なお、パワコン8の構成についての詳細な説明は後述する。
【0041】
専用回路9は、停電時に、太陽光発電部6で発電された電力や蓄電池5で放電された電力を取り出すための回路である。専用回路9は、パワコン8に接続される。なお、以下においては、説明の便宜上、専用回路9は負荷に含まれるものとする。
【0042】
以下では、図2を用いて、パワコン8の構成について詳細に説明する。
【0043】
図2に示すように、パワコン8は、主としてインバータ11、第一コンバータ12、第二コンバータ13、第一電路21、第二電路22、第三電路23、第一リレー14、第二リレー15、第三リレー16、第四リレー17及び制御部18を具備する。
【0044】
インバータ11は、直流電力が入力された場合に、当該直流電力を交流電力に適宜変換して出力する。また、インバータ11は、交流電力が入力された場合に、当該交流電力を直流電力に適宜変換して出力する。インバータ11は、電力経路3を介して分電盤2に接続される。また、インバータ11は、第二コンバータ13に接続される。また、インバータ11は、専用回路9に接続される。
【0045】
第一コンバータ12は、太陽光発電部6で発電された直流電力を所定の電圧に適宜変換して出力する。第一コンバータ12は、太陽光発電部6に接続される。また、第一コンバータ12は、第二コンバータ13に接続される。また、第一コンバータ12は、蓄電池5に接続される。
【0046】
第二コンバータ13は、入力された直流電力を所定の電圧に適宜変換して出力する。第二コンバータ13は、インバータ11に接続される。また、第二コンバータ13は、蓄電池5に接続される。また、第二コンバータ13は、第一コンバータ12に接続される。
【0047】
第一電路21は、本発明に係る「第一電路」の一実施形態である。第一電路21は、太陽光発電部6と負荷とを接続する電路である。
【0048】
第二電路22は、本発明に係る「第二電路」の一実施形態である。第二電路22は、太陽光発電部6と蓄電池5とを接続する電路である。第二電路22は、後述する第一リレー14よりも太陽光発電部6側で第一電路21から分岐している。
【0049】
第三電路23は、本発明に係る「第三電路」の一実施形態である。第三電路23は、蓄電池5と負荷とを接続する電路である。第三電路23は、後述する第一リレー14よりも負荷側で第一電路21から分岐している。
【0050】
なお、第一コンバータ12と第二コンバータ13とは、第一電路21を介して接続される。具体的には、第一電路21の一側に第一コンバータ12が接続され、第一電路21の他側に第二コンバータ13が接続される。
【0051】
また、第一コンバータ12と蓄電池5とは、第一電路21及び第二電路22を介して接続される。具体的には、第二電路22の一側に蓄電池5が接続され、第二電路22の他側に第一電路21の中途部(以下では「第一中途部21a」と称する。)が接続される。
【0052】
また、第二コンバータ13と蓄電池5とは、第一電路21及び第三電路23を介して接続される。具体的には、第三電路23の一側に蓄電池5が接続され、第三電路23の他側に第一電路21の中途部(以下では「第二中途部21b」と称する。)が接続される。
【0053】
第一リレー14は、本発明に係る「第一開閉器」の一実施形態である。第一リレー14は、第一コンバータ12と第二コンバータ13との接続及び接続の解除(開閉状態の切り替え)を行うものである。具体的には、第一リレー14が閉状態となると、第一コンバータ12と第二コンバータ13との接続が行われる。一方、第一リレー14が開状態となると、第一コンバータ12と第二コンバータ13との接続の解除が行われる。第一リレー14は、第一電路21において第一中途部21aと第二中途部21bとの間に配置される。
【0054】
第二リレー15は、本発明に係る「第二開閉器」の一実施形態である。第二リレー15は、第一コンバータ12と蓄電池5との接続及び接続の解除(開閉状態の切り替え)を行うものである。具体的には、第二リレー15が閉状態となると、第一コンバータ12と蓄電池5との接続が行われる。一方、第二リレー15が開状態となると、第一コンバータ12と蓄電池5との接続の解除が行われる。第二リレー15は、第二電路22に配置される。
【0055】
第三リレー16は、本発明に係る「第三開閉器」の一実施形態である。第三リレー16は、第二コンバータ13と蓄電池5との接続及び接続の解除(開閉状態の切り替え)を行うものである。具体的には、第三リレー16が閉状態となると、第二コンバータ13と蓄電池5との接続が行われる。一方、第三リレー16が開状態となると、第二コンバータ13と蓄電池5との接続の解除が行われる。第三リレー16は、第三電路23に配置される。
【0056】
第四リレー17は、インバータ11と専用回路9との接続及び接続の解除(開閉状態の切り替え)を行うものである。具体的には、第四リレー17が閉状態となると、インバータ11と専用回路9との接続が行われる。一方、第四リレー17が開状態となると、インバータ11と専用回路9との接続の解除が行われる。第四リレー17は、第一電路21においてインバータ11と専用回路9との間に配置される。
【0057】
制御部18は、本発明に係る「制御部」の一実施形態である。制御部18は、パワコン8内の情報を管理すると共に、当該パワコン8の動作を制御するものである。制御部18は、RAMやROM等の記憶部や、CPU等の演算処理部等により構成される。制御部18の記憶部には、電力の供給態様(後述する通常時の処理や停電時の処理)に関する情報が予め記憶されている。
【0058】
また、制御部18は、パワコン8に具備される各部(具体的には、インバータ11、第一コンバータ12、第二コンバータ13、第一リレー14、第二リレー15、第三リレー16及び第四リレー17等)に接続され(不図示)、当該各部の動作を制御することができる。また、制御部18は、第一コンバータ12や、第二コンバータ13、インバータ11等の動作を制御することにって、太陽光発電部6で発電された電力の出力や、蓄電池5の充放電を制御することができる。
【0059】
制御部18は、センサ部7(第一センサ7a及び第二センサ7b)に接続される。制御部18は、センサ部7の検出結果を取得することができる。
【0060】
以下では、電力供給システム1における電力の供給態様の概略について説明する。
【0061】
商用電源30からの電力は、電力経路3を介して分電盤2に供給される。また、太陽光発電部6で発電された電力、及び蓄電池5で放電された電力も、パワコン8から電力経路3を介して分電盤2に供給される。また、燃料電池4で発電された電力も、電力経路3を介して分電盤2に供給される。このように、商用電源30からの電力、太陽光発電部6及び燃料電池4で発電された電力、蓄電池5から放電された電力は、電力経路3を介して分電盤2に供給される。
【0062】
また、分電盤2に供給された電力は、当該分電盤2により負荷に分配される。これによって、住宅の居住者は、照明を点灯させたり、調理器具やエアコンを使用したりすることができる。
【0063】
このように、電力供給システム1においては、負荷の消費電力(分電盤2により分配される電力)を、商用電源30からの電力だけでなく、太陽光発電部6及び燃料電池4で発電された電力や、蓄電池5で放電された電力を用いて賄うことができる。これによって、商用電源30から分電盤2に供給される電力(買電)を減らし、電力料金を節約することができる。
【0064】
また、負荷の消費電力が商用電源30からの電力以外の電力(すなわち、燃料電池4で発電された電力等)で賄え、且つ太陽光発電部6で発電された電力に余剰した電力が生じた場合には、当該余剰した電力を商用電源30に逆潮流させて売電することができる。これにより、電力料金を節約すると共に、経済的な利益を得ることができる。また、当該余剰した(太陽光発電部6で発電された)電力や、商用電源30からの電力は、蓄電池5に充電させることもできる。
【0065】
以下では、電力供給システム1における電力の供給態様について詳細に説明する。
【0066】
本供給態様においては、パワコン8に具備される各部を制御することにより、通常時(非停電時)及び停電時にて、太陽光発電部6で発電された電力の出力や、蓄電池5の充放電を好適に制御することができる。
なお、本供給態様においては、通常時の処理及び停電時の処理がパワコン8の制御部18により順次行われる。この処理は、概ね1分間間隔で繰り返し行われる。
【0067】
まず、図3のフローチャート、及び図2図5から図8までを用いて、制御部18による通常時の処理について詳細に説明する。
【0068】
なお、制御部18の処理においては、各リレーの動作の制御が含まれる。ここで、通常時には、太陽光発電部6で発電された電力や、蓄電池5で放電された電力は分電盤2へと供給されるため、専用回路9は使用されない。したがって、通常時には、インバータ11と専用回路9との間に配置される第四リレー17は常に開状態とされ、インバータ11と専用回路9との接続の解除が継続して行われる。以下では、第四リレー17の動作の制御については説明を省略する。
【0069】
また、通常時の処理の開始時には、図2に示すように、第一リレー14が閉状態となる。また、第二リレー15及び第三リレー16が開状態となる。すなわち、第一コンバータ12と第二コンバータ13との接続が行われる。また、第一コンバータ12及び第二コンバータ13と蓄電池5との接続の解除が行われる。
【0070】
ステップS101において、制御部18は、センサ部7(第二センサ7b)の検出結果により、商用電源30の供給電流が0A(アンペア)よりも小さいか否かを判定する。
制御部18は、商用電源30の供給電流が0A(アンペア)よりも小さいと判定した場合には、ステップS102へ移行する。
制御部18は、商用電源30の供給電流が0A(アンペア)よりも小さくないと判定した場合には、ステップS104へ移行する。
【0071】
なお、商用電源30の供給電流が0A(アンペア)よりも小さい場合には、商用電源30へと電力が逆潮流している(売電されている)。一方、商用電源30の供給電流が0A(アンペア)よりも大きい場合には、商用電源30から電力が供給されている(買電されている)。
【0072】
ステップS102において、制御部18は、第二リレー15を閉状態とする。すなわち、図6に示すように、第一コンバータ12と蓄電池5との接続が行われる。
制御部18は、ステップS102の処理の後、ステップS103へ移行する。
【0073】
ステップS103において、制御部18は、商用電源30へと売電されている量の電力を蓄電池5に充電する。すなわち、太陽光発電部6で発電された電力が分電盤2へと供給されて余剰が生じた場合に、当該余剰した電力を逆潮流させて売電するのではなく、図6に示すように、蓄電池5に充電させる。
制御部18は、ステップS103の処理の後、ステップS106へ移行する。
【0074】
ステップS104において、制御部18は、第三リレー16を閉状態とする。すなわち、図7に示すように、第二コンバータ13と蓄電池5との接続が行われる。
制御部18は、ステップS104の処理の後、ステップS105へ移行する。
【0075】
ステップS105において、制御部18は、商用電源30から買電されている量の電力を蓄電池5から放電する。すなわち、太陽光発電部6で発電された電力が分電盤2へと供給されて不足が生じた場合に、当該不足した電力を商用電源30から買電するのではなく、図7に示すように、蓄電池5から放電させる。
制御部18は、ステップS105の処理の後、ステップS106へ移行する。
【0076】
ステップS106において、制御部18は、センサ部7(第一センサ7a)の検出結果により、太陽光発電部6の発電電流が1A(アンペア)よりも小さいか否かを判定する。
制御部18は、太陽光発電部6の発電電流が1A(アンペア)よりも小さいと判定した場合には、ステップS108へ移行する。
制御部18は、太陽光発電部6の発電電流が1A(アンペア)よりも小さくないと判定した場合には、ステップS107へ移行する。
【0077】
なお、本実施形態においては、太陽光発電部6の発電電流が1A(アンペア)よりも小さい場合には、太陽光発電部6で安定して発電し難い環境(例えば、天候が雨天)であることを想定している。
【0078】
なお、本実施形態において前記「1A(アンペア)」は、太陽光発電部6で安定して発電し難い環境(例えば、天候が雨天)であるか否かの基準となる値である。当該基準となる値は、「1A(アンペア)」に限定するものではなく、太陽光発電部6の発電性能等に応じて任意に設定することができる。なお、前記「1A(アンペア)」は、本発明に係る「所定の電力」の一実施形態である。
【0079】
ステップS107において、制御部18は、5分間で3回以上蓄電池5の充電と放電とが切り替えられたか否かを判定する。
制御部18は、5分間で3回以上蓄電池5の充電と放電とが切り替えられたと判定した場合には、ステップS108へ移行する。
制御部18は、5分間で3回以上蓄電池5の充電と放電とが切り替えられていないと判定した場合には、通常時の処理を終了して停電時の処理へ移行する。
【0080】
なお、本実施形態においては、5分間で3回以上蓄電池5の充電と放電とが切り替えられた場合には、太陽光発電部6で安定して発電し難い環境(例えば、天候が曇天)であることを想定している。具体的には、例えば天候が曇天である場合には、太陽が雲に遮られたり、太陽が雲から露出したりを交互に繰り返し、太陽光発電部6で安定して発電し難くなる。すなわち、天候が曇天であると、蓄電池5の充電と放電とが交互に繰り返し行われる(いわゆるチャタリングが発生する)おそれがある。
【0081】
なお、本実施形態において前記「5分間で3回以上蓄電池5の充電と放電とが切り替えられるか否か」は、太陽光発電部6で安定して発電し難い環境(例えば、天候が曇天)であるか否かの基準である。当該基準は、「5分間で3回以上蓄電池5の充電と放電とが切り替えられるか否か」に限定するものではなく、太陽光発電部6の発電性能等に応じて任意に設定することができる。
【0082】
ステップS108において、制御部18は、第一リレー14を開状態とし、第二リレー15及び第三リレー16を閉状態とする。すなわち、図8に示すように、第一コンバータ12と第二コンバータ13との接続の解除が行われる。また、第一コンバータ12及び第二コンバータ13と蓄電池5との接続が行われる。
制御部18は、ステップS108の処理の後、ステップS109へ移行する。
【0083】
ステップS109において、制御部18は、太陽光発電部6で発電された電力を蓄電池5に充電すると共に、蓄電池5から放電された電力を分電盤2へと供給する。すなわち、図8に示すように、太陽光発電部6で安定して発電し難い環境(天候が雨天や曇天)である場合には、蓄電池5において充電と放電とが同時に行われる。
制御部18は、ステップS109処理の後、ステップS110へ移行する。
【0084】
ステップS110において、制御部18は、センサ部7(第一センサ7a)の検出結果により、太陽光発電部6の発電電流が5A(アンペア)よりも大きいか否かを判定する。
制御部18は、太陽光発電部6の発電電流が5A(アンペア)よりも大きいと判定した場合には、ステップS111へ移行する。
制御部18は、太陽光発電部6の発電電流が5A(アンペア)よりも大きくないと判定した場合には、再びステップS109へ移行する。
【0085】
なお、本実施形態においては、太陽光発電部6の発電電流が5A(アンペア)よりも大きい場合には、太陽光発電部6で安定して発電し易い環境(例えば、天候が晴天)であることが想定される。具体的には、例えば天候が晴天である(空が雲で覆われていない)場合には、太陽が雲に遮られたりすることがなく、太陽光発電部6で安定して発電が行われる。
【0086】
なお、本実施形態において前記「5A(アンペア)」は、太陽光発電部6で安定して発電し易い環境(例えば、天候が晴天)であるか否かの基準となる値である。当該基準となる値は、「5A(アンペア)」に限定するものではなく、太陽光発電部6の発電性能等に応じて任意に設定することができる。
【0087】
ステップS111において、制御部18は、第一リレー14を閉状態とし、第二リレー15及び第三リレー16を開状態とする。すなわち、図5に示すように、第一コンバータ12と第二コンバータ13との接続が行われる。また、第一コンバータ12及び第二コンバータ13と蓄電池5との接続の解除が行われる。こうして、制御部18は、太陽光発電部6で発電された電力を分電盤2へと供給する。
制御部18は、ステップS108の処理の後、通常時の処理を終了して停電時の処理へ移行する。
【0088】
次に、図4のフローチャート、及び図9から図12までを用いて、制御部18による停電時の処理について詳細に説明する。
【0089】
ステップS201において、制御部18は、停電を検知したか否かを判定する。具体的には、制御部18は、センサ部7(第二センサ7b)の検出結果により、商用電源30の供給電圧が検出されているか否かを判定する。
制御部18は、商用電源30の供給電圧が検出されている(停電していない)と判定した場合には、停電時の処理を終了して通常時の処理へ移行する。
制御部18は、商用電源30の供給電圧が検出されていない(停電している)と判定した場合には、ステップS202へ移行する。
【0090】
ここで、停電時には、太陽光発電部6で発電された電力や、蓄電池5で放電された電力は分電盤2へと供給されず、専用回路9が使用される。したがって、ステップS201において、停電していると判定された場合、インバータ11と専用回路9との間に配置される第四リレー17は常に閉状態とされ、インバータ11と専用回路9との接続が継続して行われる。以下では、第四リレー17の動作の制御については説明を省略する。
【0091】
また、制御部18は、ステップS201において、停電していると判定した場合には、第一リレー14、第二リレー15及び第三リレー16を全て一旦開状態とする。すなわち、第一コンバータ12と第二コンバータ13との接続の解除が行われる。また、第一コンバータ12と蓄電池5との接続の解除が行われる。また、第二コンバータ13と蓄電池5との接続の解除が行われる。
【0092】
ステップS202において、制御部18は、第一リレー14を閉状態とする。すなわち、図9に示すように、第一コンバータ12と第二コンバータ13との接続が行われる。
制御部18は、ステップS202の処理の後、ステップS203へ移行する。
【0093】
ステップS203において、制御部18は、センサ部7(第一センサ7a)の検出結果により、太陽光発電部6の発電電流が1A(アンペア)よりも大きいか否かを判定する。
制御部18は、太陽光発電部6の発電電流が1A(アンペア)よりも大きいと判定した場合には、ステップS207へ移行する。
制御部18は、太陽光発電部6の発電電流が1A(アンペア)よりも大きくないと判定した場合には、ステップS204へ移行する。
【0094】
なお、本実施形態においては、太陽光発電部6の発電電流が1A(アンペア)よりも小さい場合には、前述したように、太陽光発電部6で安定して発電し難い環境(例えば、天候が雨天)であることを想定している。
【0095】
ステップS207において、制御部18は、太陽光発電部6の発電電圧が当該太陽光発電部6の最適電圧よりも大きいか否かを判定する。
制御部18は、太陽光発電部6の発電電圧が当該太陽光発電部6の最適電圧よりも大きいと判定した場合には、ステップS208へ移行する。
制御部18は、太陽光発電部6の発電電圧が当該太陽光発電部6の最適電圧よりも大きくないと判定した場合には、ステップS210へ移行する。
【0096】
なお、太陽光発電部6の発電電圧が当該太陽光発電部6の最適電圧よりも大きい場合には、太陽光発電部6で発電された電力だけで専用回路9で必要とする電力が賄われている(又は、余剰した電力、すなわち蓄電池5に充電可能な電力が生じている)。一方、太陽光発電部6の発電電圧が当該太陽光発電部6の最適電圧よりも大きくない場合、すなわち太陽光発電部6の発電電圧が当該太陽光発電部6の最適電圧以下である場合には、太陽光発電部6で発電された電力だけでは専用回路9で必要とする電力が不足している。
【0097】
ステップS208において、制御部18は、第二リレー15を閉状態とする。すなわち、図10に示すように、第一コンバータ12と蓄電池5との接続が行われる。
制御部18は、ステップS208の処理の後、ステップS209へ移行する。
【0098】
ステップS209において、制御部18は、専用回路9へと供給されている太陽光発電部6で発電された電力の一部(すなわち、余剰した電力)を蓄電池5に充電する。
【0099】
また、通常時の処理及び停電時の処理が1分間間隔で繰り返し行われるところ、一旦停電時の処理へと移行してからステップS209の処理を繰り返すごとに、蓄電池5への充電電流を1A(アンペア)ずつ増加させる(徐々に増加させる)。また、太陽光発電部6の供給電圧が蓄電池5への充電を開始した時点よりも小さくなった場合には、蓄電池5への充電電流を1A(アンペア)ずつ減少させる(徐々に減少させる)。このような制御によって、専用回路9で余剰した電力を最大限に蓄電池5に充電させることができる。
制御部18は、ステップS209の処理の後、ステップS206へ移行する。
【0100】
ステップS210において、制御部18は、第三リレー16を閉状態とする。すなわち、図11に示すように、第二コンバータ13と蓄電池5との接続が行われる。
制御部18は、ステップS210の処理の後、ステップS211へ移行する。
【0101】
ステップS211において、制御部18は、蓄電池5に充電された電力を放電する。すなわち、図11に示すように、太陽光発電部6で発電された電力だけでなく、蓄電池5から放電された電力が専用回路9へと供給される。
制御部18は、ステップS211の処理の後、ステップS206へ移行する。
【0102】
ステップS203から移行したステップS204において、制御部18は、第一リレー14を開状態とし、第二リレー15及び第三リレー16を閉状態とする。すなわち、図12に示すように、第一コンバータ12と第二コンバータ13との接続の解除が行われる。また、第一コンバータ12及び第二コンバータ13と蓄電池5との接続が行われる。
制御部18は、ステップS204の処理の後、ステップS205へ移行する。
【0103】
ステップS205において、制御部18は、太陽光発電部6で発電された電力を蓄電池5に充電すると共に、蓄電池5から放電された電力を分電盤2へと供給する。すなわち、図12に示すように、太陽光発電部6で安定して発電し難い環境(例えば、天候が雨天)である場合には、蓄電池5において充電と放電とが同時に行われる。
制御部18は、ステップS205の処理の後、ステップS206へ移行する。
【0104】
このように、本実施形態において、通常時の処理においては、例えば天候が雨天や曇天が想定される場合に、蓄電池5において充電と放電とが同時に行われるところ、停電時の処理においては、例えば天候が雨天が想定される場合に、蓄電池5において充電と放電とが同時に行われる。こうして、停電時においては、専用回路9で必要とする電力に、出来るだけ不足が生じないように構成される。
【0105】
ステップS206において、制御部18は、停電が解除された(停電が回復した)か否かを判定する。具体的には、制御部18は、センサ部7(第二センサ7b)の検出結果により、商用電源30の供給電圧が検出されているか否かを判定する。
制御部18は、商用電源30の供給電圧が検出されている(停電が解除された)と判定した場合には、停電時の処理を終了して通常時の処理へ移行する。
制御部18は、商用電源30の供給電圧が検出されていない(停電が解除されていない)と判定した場合には、ステップS203へ移行する。
【0106】
なお、停電時の処理を終了して通常時の処理へ移行する場合には、インバータ11と専用回路9との間に配置される第四リレー17は常に開状態となる。また、第一リレー14が閉状態となる。また、第二リレー15及び第三リレー16が開状態となる。すなわち、各リレーの動作は、図2に示す状態となる。
【0107】
以上のように、本発明に係る「電力供給システム」の一実施形態である電力供給システム1は、
自然エネルギーを利用して発電可能な太陽光発電部6(発電部)と、
前記太陽光発電部6(発電部)からの電力を充放電可能な蓄電池5と、
前記太陽光発電部6(発電部)からの電力及び前記蓄電池5からの電力を負荷へと供給可能なパワコン8(パワーコンディショナ)と、
前記パワコン8の動作を制御する制御部18と、
を具備する電力供給システムであって、
前記パワコン8は、
前記太陽光発電部6(発電部)と前記負荷とを接続する第一電路21に配置される第一リレー14(第一開閉器)と、
前記太陽光発電部6(発電部)と前記蓄電池5とを接続する電路であって、第一リレー14(第一開閉器)よりも前記太陽光発電部6(発電部)側で前記第一電路21から分岐する第二電路22に配置される第二リレー15(第二開閉器)と、
前記蓄電池5と前記負荷とを接続する電路であって、第一リレー14(第一開閉器)よりも前記負荷側で前記第一電路21から分岐する第三電路23に配置される第三リレー16(第三開閉器)と、
を具備するものである。
【0108】
このような構成により、各リレーの開閉状態を切り替えることにより、フロート式充電方式を採用せずに蓄電池5の同時充放電を行うことができる。(具体的には、蓄電池5の同時充放電を行う場合には、第一リレー14を開状態とし、第二リレー15及び第三リレー16を閉状態とする。また、蓄電池5の同時充放電を行わない場合には、少なくとも第一リレー14を閉状態とする。)したがって、本実施形態においては、太陽光発電部6で発電された電力を一旦蓄電池5に充電させて当該蓄電池5を常に満充電状態とする必要が無いため、蓄電池5での電力損失を削減させることができ(非効率とならず)、さらに蓄電池5が劣化するのを抑制することができる。
【0109】
また、電力供給システム1においては、
前記太陽光発電部6(発電部)からの電力が所定の電力よりも小さい第一状態である場合には、
第一リレー14(第一開閉器)を開状態とすると共に前記第二リレー15(第二開閉器)及び前記第三リレー16(第三開閉器)を閉状態とし、前記太陽光発電部6(発電部)からの電力を前記蓄電池5に充電させると共に前記蓄電池5から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【0110】
このような構成により、ステップS106;YES、S108、S109等に示すように、太陽光発電部6(発電部)からの電力が所定の電力よりも小さい第一状態である場合に、太陽光発電部6及び蓄電池5を好適に動作させることができる。
【0111】
また、電力供給システム1においては、
前記太陽光発電部6(発電部)からの電力が前記負荷の消費電力を賄うことができる第二状態と、前記太陽光発電部6(発電部)からの電力が前記負荷の消費電力を賄うことができない第三状態と、が交互に変更される第四状態である場合には、
第一リレー14(第一開閉器)を開状態とすると共に前記第二リレー15(第二開閉器)及び前記第三リレー16(第三開閉器)を閉状態とし、前記太陽光発電部6(発電部)からの電力を前記蓄電池5に充電させると共に前記蓄電池5から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【0112】
このような構成により、ステップS107;YES、S108、S109等に示すように、太陽光発電部6(発電部)からの電力が負荷の消費電力を賄うことができる第二状態と、太陽光発電部6(発電部)からの電力が負荷の消費電力を賄うことができない第三状態と、が交互に変更される第四状態である場合に、太陽光発電部6及び蓄電池5を好適に動作させることができる。
【0113】
また、電力供給システム1においては、
前記第二状態である場合には、
第一リレー14(第一開閉器)及び前記第二リレー15(第二開閉器)を閉状態とし、前記太陽光発電部6(発電部)からの電力を前記負荷へと供給すると共に前記蓄電池5に充電するものである。
【0114】
このような構成により、ステップS101;YES、S102、S103等に示すように、第二状態である場合に、太陽光発電部6及び蓄電池5を好適に動作させることができる。
【0115】
また、電力供給システム1においては、
前記第三状態である場合には、
第一リレー14(第一開閉器)及び前記第三リレー16(第三開閉器)を閉状態とし、前記太陽光発電部6(発電部)からの電力と共に前記蓄電池5から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【0116】
このような構成により、ステップS101;N0、S104、S105等に示すように、第三状態である場合に、太陽光発電部6及び蓄電池5を好適に動作させることができる。
【0117】
また、電力供給システム1においては、
停電時であることを検出するセンサ部7(停電検出手段)をさらに具備し、
前記停電時であることが検出され、前記第一状態である場合には、
第一リレー14(第一開閉器)を開状態とすると共に前記第二リレー15(第二開閉器)及び前記第三リレー16(第三開閉器)を閉状態とし、前記太陽光発電部6(発電部)からの電力を前記蓄電池5に充電させると共に前記蓄電池5から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【0118】
このような構成により、ステップS203;NO、S204、S205等に示すように、停電時であることが検出され、第一状態である場合に、太陽光発電部6及び蓄電池5を好適に動作させることができる。
【0119】
また、電力供給システム1においては、
前記停電時であることが検出され、前記第二状態である場合には、
第一リレー14(第一開閉器)及び前記第二リレー15(第二開閉器)を閉状態とし、前記太陽光発電部6(発電部)からの電力を前記負荷へと供給すると共に前記蓄電池5に充電し、
前記蓄電池5に充電させる前記太陽光発電部6(発電部)からの電力を徐々に増加させるものである。
【0120】
このような構成により、S203;YES、S207;YES、S208、S209等に示すように、停電時であることが検出され、第二状態である場合に、太陽光発電部6及び蓄電池5を好適に動作させることができる。
【0121】
また、電力供給システム1においては、
前記第二状態である場合において、
前記太陽光発電部6(発電部)からの電力の電圧が前記蓄電池5への充電を開始した時点よりも小さくなった場合には、
前記蓄電池5に充電させる前記太陽光発電部6(発電部)からの電力を徐々に減少させるものである。
【0122】
このような構成により、太陽光発電部6(発電部)からの電力の電圧が蓄電池5への充電を開始した時点よりも小さくなった場合に、太陽光発電部6及び蓄電池5を好適に動作させることができる。
【0123】
また、電力供給システム1においては、前記停電時であることが検出され、前記第三状態である場合には、
第一リレー14(第一開閉器)及び前記第三リレー16(第三開閉器)を閉状態とし、前記太陽光発電部6(発電部)からの電力と共に前記蓄電池5から放電した電力を前記負荷へと供給するものである。
【0124】
このような構成により、S203;YES、S207;NO、S210、S211等に示すように、停電時であることが検出され、第三状態である場合に、太陽光発電部6及び蓄電池5を好適に動作させることができる。
【0125】
なお、本実施形態において電力供給システム1は住宅に設けられているが、本発明に係る「電力供給システム」は、住宅だけでなく、店舗やオフィスビル、マンション等、種々の建築物に採用することができる。
【0126】
また、図13は、本発明に係る「電力供給システム」の別実施形態である電力供給システム101を図示している。図13に示すように、蓄電池5、太陽光発電部6、パワコン8及び専用回路9は、分電盤2よりも下流側に配置される構成であってもよい。
【0127】
また、本発明に係る「発電部」は、自然エネルギーとして太陽光を利用する構成としたが、これに限定するものではない。本発明に係る「発電部」において利用する自然エネルギーは、例えば水力、風力、潮力等であってもよい。
【0128】
また、本発明に係る「制御部」の構成は、制御部18の構成に限定するものではなく、パワコン8に含まれていなくてもよい。例えば、本発明に係る「制御部」は、図示せぬホームサーバ等の制御手段や、スイッチ部、蓄電池5の制御部、燃料電池4の制御部等により構成されるものでもよい。
【0129】
また、本実施形態においては、停電時に、太陽光発電部6で発電された電力や、蓄電池5で放電された電力は分電盤2へと供給されず、専用回路9へと供給される構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、停電時であっても、太陽光発電部6で発電された電力や、蓄電池5で放電された電力が分電盤2へと供給される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 電力供給システム
5 蓄電池
6 太陽光発電部
8 パワコン
14 第一リレー
15 第二リレー
16 第三リレー
18 制御部
21 第一電路
22 第二電路
23 第三電路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13