特許第6109146号(P6109146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109146
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】機械的抵抗力を向上させた燃料タンク
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/03 20060101AFI20170327BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B60K15/03 B
   F02M37/00 301J
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-504256(P2014-504256)
(86)(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公表番号】特表2014-516327(P2014-516327A)
(43)【公表日】2014年7月10日
(86)【国際出願番号】EP2012056236
(87)【国際公開番号】WO2012139962
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年3月13日
(31)【優先権主張番号】61/474,427
(32)【優先日】2011年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11165495.0
(32)【優先日】2011年5月10日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/487,387
(32)【優先日】2011年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/490,053
(32)【優先日】2011年5月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11169114.3
(32)【優先日】2011年6月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507383057
【氏名又は名称】イナジー・オートモーティブ・システムズ・リサーチ・(ソシエテ・アノニム)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・クリエル
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ヒル
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ドヴォー
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−237776(JP,A)
【文献】 米国特許第06338420(US,B1)
【文献】 欧州特許出願公開第02272704(EP,A1)
【文献】 特開2002−285928(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/122065(WO,A1)
【文献】 実開平05−029828(JP,U)
【文献】 特開2002−283854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの対向する壁部と、これら2つの壁部を接続する少なくとも1つの補強要素と、を有する燃料タンクであって、前記補強要素が中空ピラーを含み、前記中空ピラーの端部における前記中空ピラーの断面の直径と、少なくとも1つの中間点における前記中空ピラーの断面の直径との間に少なくとも1.8の比を有しており、ピラーの両端には接続用のフランジが設けられており、前記接続用のフランジが前記燃料タンクの壁部の内面に取り付けられている、燃料タンク。
【請求項2】
プラスチック製の燃料タンクである、請求項1に記載の燃料タンク。
【請求項3】
前記2つの対向する壁部はそれぞれ、前記燃料タンクが搭載され得る車両の下方に面して向けられた下壁部、および前記燃料タンクが搭載され得る車両の上方に面して向けられた上壁部である、請求項1または2に記載の燃料タンク。
【請求項4】
減少した直径を持つ前記中間点は、前記ピラーの全長の90%を超えて延びてはおらず、前記ピラー内の最大応力の位置をカバーするように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料タンク。
【請求項5】
前記中間点の領域内における断面の直径が一定ではない、請求項4に記載の燃料タンク。
【請求項6】
前記ピラーはその断面の直径が一定でない2つの遷移部分を含み、第1の遷移部分は前記フランジの領域内にあり、第2の遷移部分は前記ピラーの略中心にある、請求項1に記載の燃料タンク。
【請求項7】
前記ピラーは回転対称の軸と断面とを有し、前記軸を含む鉛直面において見られた場合に、前記断面が、ディアボロの形状、または2つの対向するパラボラであって一定の直径を持つ中央部分もしくは前記パラボラの頂点から前記部分の中心に向かって減少する直径を持つ中央部分により結合される形状を持つ部分を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料タンク。
【請求項8】
前記ディアボロの中央部分の各側にあるパラボラ状の表面が、前記接続用のフランジまで伸びる筒状部分によって延長されており、前記フランジの直径と前記筒状部分の直径との間の比は少なくとも1.25であり、前記筒状部分の直径と中心部分の直径との間の比は少なくとも1.5である、請求項7に記載の燃料タンク。
【請求項9】
前記ピラーは2つの異なる材料から構成され、異なる材料から作られた2つの部品がオーバーモールドされている、請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料タンク。
【請求項10】
前記ピラーはその断面の直径が一定でない2つの遷移部分を含み、第1の遷移部分は前記オーバーモールドの領域内にあり、第2の遷移部分は前記ピラーの略中心にある、請求項9に記載の燃料タンク。
【請求項11】
前記中空ピラーは中空ピラーの形状を有する1つの外部壁によって境界が定められる内部容積を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料タンク。
【請求項12】
前記中空ピラーは、材料の複数のリブの間に内部容積を有し、外部エンベロープが中空ピラーの形状を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料タンク。
【請求項13】
前記中空ピラーの両端が前記2つの壁部に溶接されている請求項1に記載の燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的抵抗力を向上させた燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のプラスチック製燃料タンクは、その下側スキン部に関する最大許容撓み度を規定する仕様を満たさなければならない。これら仕様に記載された撓みは、通常、老化試験の期間を通して満足されなければならず、その老化試験では、タンクは、所与の期間(典型的には数週間)および温度(通常は40℃)において所定量の燃料を収容している。これら仕様の目的は、車両がそのロードクリアランスを維持するようにすると共に、タンクのスキン部が車両の高温箇所に接触するのを防止することにある。
【0003】
従来、乗用自動車における燃料システムは、所定量の液体燃料を大気圧と本質的に同じ圧力で保持するよう設計されている。潜在的には燃料を使用することなく数か月も走行可能に設計されたハイブリッド車、さらに具体的にはプラグインハイブリッド車の導入によって、活性炭キャニスタを通して潜在的に抽気する、昼夜サイクルに起因する排出を制限するように、燃料タンク内部の圧力を保持することは、システム設計者の利益に資するものである。加えて、圧力を保持することは、貯蔵期間中に燃料の組成が同じように維持されることを保証する。しかし、タンクはこの内部圧力に対して抵抗力を持つよう製造されなければならない。そこで、本件出願人名義の特許出願WO2010/122065に記載のように、2つの対向するタンク表面を1つの内部ピラーを用いて互いに連結することで、タンクの補強が実現され得る。しかしながら、そのような補強は、下記3つの幾分矛盾するような試験をパスする必要がある。
・非常に強固なピラーであることが必要な圧力下における長期の老化変形。
・1mおよび雰囲気温度におけるハンドリングの落下であり、システム機能のいかなる劣化も伴わないこと。
・耐高速衝撃性であり、タンクのスキン部が衝撃期間中にいかなる損傷も負わないこと。耐高速衝撃性は典型的には-40°における6mの落下試験またはスレッド(SLED)試験によって特徴付けられる。
【0004】
比較的大きな断面積に基づいてピラー内側の応力を減少させ得るという理由で、直線的なピラーが最も明白な設計だといえるが、しかし、落下またはスレッド試験(すなわち典型的な衝突速度および減速度をシミュレートしている試験)などのような高速衝撃試験の期間中には、良好な結果を得ることが不可能であった。第2段階では、落下またはスレッド試験などのような高速衝撃試験の期間中におけるピラー破壊を起こさせる目的で、ピラーの内側に小さなノッチが加えられた。しかしこれは試験結果に何も良い影響を与えなかった。
【0005】
上述した特許出願WO2010/122065には、ピラーは、好ましくは構造上の意味におけるピラーであり、すなわちその両端においてより大きな断面積を有し、その中心においてより小さな断面積を有する(換言すれば、両端から中心に向かうにつれて減少する断面積を有する)筒状構造であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許出願WO2010/122065
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
しかし今では、驚くべきことに、上述した3つの要件(試験)は、ピラーの端部および中心部における断面の直径の間に少なくとも1.8、および好ましくは少なくとも2の比を有するピラーによって満たされ得ることが分ってきた。ピラーが製造される材料によるが、そのような比は5以上にもなり得る。
【0008】
そこで、本発明は、2つの対向する壁部と、これら2つの壁部を接続する少なくとも1つの補強要素と、を有する燃料タンクであって、補強要素が中空ピラーを含み、中空ピラーの端部における中空ピラーの断面の直径と、少なくとも1つの中間点における中空ピラーの断面の直径との間に、少なくとも1.8の比を有する、燃料タンクに関する。
【0009】
「燃料タンク」という用語は、種々のかつ多様な環境および使用上の条件下において燃料を貯蔵できる不浸透性のタンクを意味すると理解される。このタンクの一例は、自動車に搭載されるタンクである。
【0010】
本発明に係る燃料タンクは、好ましくはプラスチック製であり、すなわち少なくとも1つの合成樹脂ポリマーを含む材料で作られる。
【0011】
全てのタイプのプラスチックが適合され得る。熱可塑性樹脂のカテゴリに属するプラスチックが、特に適している。
【0012】
「熱可塑性樹脂」という用語は、熱可塑性エラストマーを含む任意の熱可塑性ポリマーおよびこれらの配合物を意味すると理解される。「ポリマー」という用語は、ホモポリマーとコポリマー(特に、2成分または3成分コポリマー)の両方を意味すると理解される。そのようなコポリマーの例として、ランダムコポリマー、リニアブロックコポリマー、他のブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーなどが挙げられる。
【0013】
多用されるポリマーの1つは、ポリエチレンである。高密度ポリエチレン(HDPE)を用いて優れた結果が得られてきた。好ましくは、タンクは、燃料を通さない樹脂、たとえばEVOH(部分加水分解エチレン/ビニルアセテートコポリマー)からなる層をさらに含む。代替的に、タンクが燃料に対して不透過性になるように、タンクに表面処理(フッ素化またはスルホン化)が施されてもよい。
【0014】
2つのHDPE層の間にEVOH層を含む多層の燃料タンクは、本発明の枠組み内において成功裏に使用される。
【0015】
本発明に係るタンクは補強要素を含み、この補強要素は2つの対向する壁部、すなわちその壁の互いに対面する2つの部分を接続する。好ましくは、これらは下壁部(車両において下向きに搭載された壁部であり、燃料の重量の下でクリープ(盤ぶくれ)しがちな壁部)と、上壁部(上向きに搭載され、使用中にはクリープすることが殆どもしくは全くない壁部)とである。
【0016】
この補強要素は明らかに剛体であり、すなわちタンクの寿命にわたって数mmを超えて変形することなく、理想的にはその変形は1mm未満となる。「変形」とは、現実には、2つのタンク壁部の間隔を広げる意味における拡張を意味する。
【0017】
本発明によれば、この要素は中空ピラーの形状、すなわち全体的には筒形状の中空体(その中空体の構成材料で充填されていない内部容積の境界を定める壁)であり、その長さ方向にわたって変化する断面積、およびその全容積に対して無視できる割合(典型的には0.2%〜0.5%)を占める壁厚を有する。
【0018】
一実施形態において、上述の「内部容積」は、中空ピラーの形状を有する1つの外部壁によって境界が定められる。この実施形態は添付した図2に示す。他の実施形態において、「内部容積」は、材料の複数のリブ(平行スライス)の間の容積であってもよく、その外部エンベロープが中空ピラーの形状を有してもよい。この実施形態は添付した図4に示す。
【0019】
本発明によれば、前記ピラーはその端部において大きな断面積を持ち、少なくとも1つの中間部分において減少した断面積を持つ。断面の「直径」とは、その断面がその中に適合する円の直径を意味する。
【0020】
好ましくは、減少した直径を持つ部分はピラーの全長にわたって延びてはいない。好ましくは、その部分はピラー内の最大応力の位置をカバーするように配置される。一般的に、その部分はピラー長の最大で90%に延びるものであり、好ましくはピラー長の最大で70%に延びるものであり、さらに理想的にはピラー長の最大で50%に延びるものである。好ましくは、減少した直径を持つ中間点は、ピラーの全長の90%を超えて延びてはおらず、ピラー内の最大応力の位置をカバーするように配置される。
【0021】
特に、前記ピラーがたとえば通気機能などの他の機能を果たす場合には、この配置は(最大の内部容積を得るために)ピラー長の最大で20%までに制限され得る。実際、この割合はピラーの長さにも依存する(長さが減少すれば前記割合は増大する)ものであり、さらに、その領域における断面の直径(最小直径断面の直径)は、実際に最小直径が達成されるのは1つの断面において(またはピラーの非常に限られた領域において)のみとなるように発展する可能性がある。換言すれば、一実施形態においては、最小直径断面を有する中間点の領域内における断面の直径は、一定ではない。
【0022】
好ましくはまた、ピラーの両端には接続用のフランジ、すなわちピラーの全体的な筒状表面に対して略垂直な部分であって、タンクの内部表面に対して容易に取り付けられる部分が設けられている。この実施形態において、ピラーの端部の断面の直径は、接続用のフランジの外径である。一般的に、フランジは中空であり、フランジの直上または直下にあるピラーの上部と略同一の寸法を有する穿孔/孔を含む。
【0023】
また、その実施形態では、ピラー長の部分であって、そこではピラーの直径が遷移するような部分が、好ましくは2つ存在する。すなわちフランジ領域内における第1の遷移部分と、ピラーの中心における第2の遷移部分である。第1の遷移は、溶接(または他の取付け手段)の幅が好ましくはピラー本体の幅よりも実質的に大きいという事実に起因するものであり、従って、この部分は好ましくはフランジの近傍にある。第2の遷移は、両方のタンク壁部から等しいパフォーマンス(たとえば上部および底部の衝撃など)を確保すべく、好ましくは略中央にある。
【0024】
好ましくは、ピラーは回転対称の軸を有し、かつそれはある断面を有し、前記軸を含む鉛直面において見られた場合に、その断面が、ディアボロ形状(または2つの対向するパラボラであって、一定の直径を持つ部分により、もしくはそれらパラボラの頂点から前記部分の中心に向かって減少する直径を持つ部分により、やがては結合される形状)を持つ部分を含む。さらに好ましくは、ディアボロの中央部分の各側にあるパラボラ状の表面が、上述したフランジまで伸びる筒状部分によって延長されている。後者の実施形態では、フランジの直径と筒状部分の直径との間の比は少なくとも1.25であり、好ましくは少なくとも2である。また好ましくは、筒状部分の直径と中心部分の直径との間の比は少なくとも1.5であり、好ましくは少なくとも2.2である。
【0025】
上述の補強ピラーは、好ましくは耐燃料性の材料に基づき、好ましくはプラスチックであり、また、ピラーがタンクに溶接される場合には、好ましくは、ピラーはタンクの材料と(少なくとも表面において)相溶性のある材料に基づく。
【0026】
純HDPE、またはガラス繊維もしくは任意の他のタイプの充填剤(天然または高分子の繊維)が充填されたHDPE、POM(ポリオキシメチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPA(ポリフタラミド)等が適切であり得る。好ましくは、それらは射出成形によって製造されたプラスチック製ピラーである。また、それは2つの材料からなるピラーであってもよく、そのうちの1つがHDPEと相溶性のある材料で作られ、他の1つが僅かな変形および/またはクリープしか生じない材料(POM、PA、PEEK、PPA、金属等)で作られてもよい。
【0027】
好ましくは、(ピラーの本体の)抵抗力を得る目的と、(ピラーのフランジの)取付けの必要性から、ピラーは2つの材料(さらに好ましくは、HDPEとPOMまたはポリオキシメチレンのような補強されたおよび/または補強する材料と)から構成される。その実施形態において、異なる材料で作られた2つの部品は、好ましくはオーバーモールドされる。またその実施形態においては、断面積/直径が縮小/減少するようなピラー長の部分が好ましくは2つ存在し、第1の遷移部分はオーバーモールドの領域内にあり、第2の遷移部分はピラーの中心にある。
【0028】
本発明の好ましい一実施形態によれば、中空ピラーの少なくとも一部は、タンクにおいて(ガス抜き、計量、燃料逆流防止機能などの)能動的な役割を担う付属品の構成要素である。一般的に、このような付属品はチャンバー/ハウジング内に存在する少なくとも1つの能動的な構成要素を含んでおり、好ましくは、中空ピラーの少なくとも一部は、この場合は、前記ハウジングの少なくとも一部を構成する。換言すれば、中空ピラーの壁は、好ましくは付属品のハウジングの少なくとも一部を構成するものであり、この点については、その内容が参照により本特許出願に組み込まれる、上述の特許出願WO2010/122065に説明されている通りである。
【0029】
本発明のこの実施形態の第1の有利な変形例によれば、中空ピラーは、その内部容積において、換気システムの少なくとも一部を含み、この換気システムは、一般にキャニスタまたは他の汚染防止装置を介してタンクの内部を外部に接続する。
【0030】
ある好ましい下位変形例において、中空ピラーは液体/蒸気分離器(またはLVS)、すなわち燃料蒸気内に存在する蒸気の液滴の減少を促進するような内部の幾何学的構造を有する中空の容積体である。
【0031】
他の好ましい下位変形例において、この付属品はROVおよび/またはFLVVタイプの弁であり、ピラーと一体化されている能動的な構成要素はフロートである。この場合、中空ピラーの少なくとも一部は、その中をフロートがスライドするチャンバーを構成する。
【0032】
本発明のこの実施形態の第2の有利な変形例によれば、中空ピラーは過充填予防装置(OPD)のためのハウジングとして作用する。この変形例において、中空ピラーの少なくとも一部は、その中にOPDが配置されるチャンバーを構成する。このとき、種々のROVが入口でこのOPD装置に接続され得る。
【0033】
1つの好ましい下位変形例において、ピラー内でLVS機能およびOPD機能を組み合わせることが可能である。
【0034】
本発明のこの実施形態の第3の有利な変形例によれば、中空ピラーは燃料逆流防止装置として作用し(換言すれば、付属品は燃料逆流防止装置であり)、この目的のために、その内部容積内に燃料ポンプ用の少なくとも1つの吸引点と、非常に特別に好ましくは、ポンプが吸引する際に介されるフィルターとを含む。
【0035】
本発明のこの実施形態の第4の有利な変形例によれば、中空ピラーは容量計量器を含み、この容量計量器用の保護チャンバーとして作用する(すなわち、いわばその保護ハウジングを構成する)。この場合、その機能は以下の通りである:(燃料の移動による)波の影響を取り除き、それにより燃料油面測定ノイズを低減すること;(測定要素を保護するために、材料を選択することにより)寄生容量から測定要素を保護すること;この高感度な要素に堆積する燃料の膜の影響を低減すること。
【0036】
上述した種々の変形例は、同一のタンク内において、または同一のピラー内においても、組み合わせられ得ることに留意すべきである。
【0037】
本発明を添付の図1〜4を参照しながらさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】単純な形状を有する本発明に係る一体型のピラーを示す図である。
図2】本発明の他の実施形態の3次元バージョンを示す図である。
図3】本発明の範囲内には入らない代替的な補強解決策を示す図である。
図4】本発明の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は(断面の直径の発展性が一定である)単純な形状を有する、本発明に係る一体型のピラーを示し、以下の参照番号は以下の構成要素を表す:
1:燃料タンクシェル
2:燃料タンクのピンチライン(すなわち2つの予め成形されたパリソン部品の溶接ライン)
3:補強要素
【0040】
好ましい一実施形態に係るピラーの全体的なディアボロ形状を図2に示し、この図は、取付部の直径(attachment diameter : AD)と最小断面部の直径(minimum section diameter: MSD)とによって特徴付けられ得る。
【0041】
取付部の直径は、比較的大きなタンク表面を捕捉し、かつタンクの内側に圧力があるときにその変形を殆ど0に制限する目的で、かなり大きくなるよう選択される。確かに、タンクシェルインターフェイスにおける断面積が小さい場合には、図3に示すようにピラーの数量を増大させる必要がある。この図は、2つのピラー(1,1')の間に比較的大きな距離がある直線的なピラーの設計を示す。このような構成は、両方のピラーの間のタンク(2)の中心点において大きな変形をもたらし、変形の値と車両の環境にもよるが、追加的なピラーをそれらの間に必要とする可能性もある。
【0042】
対照的に、ディアボロ形状の中の最小直径部分は、衝撃部分の全ての方向における容易な破壊ゾーンを得ることを可能にする。
【0043】
このような設計は、高度な衝撃試験をシミュレートすることが非常に困難であるという特別な理由で、考案されにくかった。この設計は、タンクが加圧されたときにタンクの変形を制限することと、高速衝撃試験(落下および/またはスレッド試験)の期間中にタンクシェルを破壊から保護するための容易な破壊領域とが組み合わされた、補強されたプラスチック製燃料タンクを得るための唯一の可能な設計であると考えられる。
【0044】
最終的な補強ピラーの形状は、取付部の直径(AD)と最小断面部の直径(MSD)との間に少なくとも因数1.8、好ましくは少なくとも因数2となる全体的な寸法比を有する。
【0045】
この発明を用いて達成される結果として、鋼製の燃料タンクと比較して重要な重量軽減が得ることができ、このことにより排出削減も得ることができる補強されたプラスチックベースの燃料タンクの設計ができることになる。
【0046】
他のピラーの設計を用いる場合、タンクの変形を典型的には350mbarにおいて最大10mmまでに制限し、かつ高速衝撃抵抗の要件をパスすることは不可能である。
【0047】
図4は本発明の他の実施形態を示す。この実施形態においては、ピラーの構造は一連のリブから構成され、上述の実施形態と同様の形状を有することで、破壊点を制御する。この実施形態の利点は、部品の中心部を成形するために必要な複雑さが低減できることである。リブが全て図の同一ライン内にあり、中空の内部を有する必要がないことから、端の部分を成形するために必要なスライドは、複雑さが十分に低減される。
【符号の説明】
【0048】
1 燃料タンクシェル
2 燃料タンクのピンチライン
3 補強要素
1, 1' ピラー
図1
図2
図3
図4