【課題を解決するための手段】
【0007】
しかし今では、驚くべきことに、上述した3つの要件(試験)は、ピラーの端部および中心部における断面の直径の間に少なくとも1.8、および好ましくは少なくとも2の比を有するピラーによって満たされ得ることが分ってきた。ピラーが製造される材料によるが、そのような比は5以上にもなり得る。
【0008】
そこで、本発明は、2つの対向する壁部と、これら2つの壁部を接続する少なくとも1つの補強要素と、を有する燃料タンクであって、補強要素が中空ピラーを含み、中空ピラーの端部における中空ピラーの断面の直径と、少なくとも1つの中間点における中空ピラーの断面の直径との間に、少なくとも1.8の比を有する、燃料タンクに関する。
【0009】
「燃料タンク」という用語は、種々のかつ多様な環境および使用上の条件下において燃料を貯蔵できる不浸透性のタンクを意味すると理解される。このタンクの一例は、自動車に搭載されるタンクである。
【0010】
本発明に係る燃料タンクは、好ましくはプラスチック製であり、すなわち少なくとも1つの合成樹脂ポリマーを含む材料で作られる。
【0011】
全てのタイプのプラスチックが適合され得る。熱可塑性樹脂のカテゴリに属するプラスチックが、特に適している。
【0012】
「熱可塑性樹脂」という用語は、熱可塑性エラストマーを含む任意の熱可塑性ポリマーおよびこれらの配合物を意味すると理解される。「ポリマー」という用語は、ホモポリマーとコポリマー(特に、2成分または3成分コポリマー)の両方を意味すると理解される。そのようなコポリマーの例として、ランダムコポリマー、リニアブロックコポリマー、他のブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーなどが挙げられる。
【0013】
多用されるポリマーの1つは、ポリエチレンである。高密度ポリエチレン(HDPE)を用いて優れた結果が得られてきた。好ましくは、タンクは、燃料を通さない樹脂、たとえばEVOH(部分加水分解エチレン/ビニルアセテートコポリマー)からなる層をさらに含む。代替的に、タンクが燃料に対して不透過性になるように、タンクに表面処理(フッ素化またはスルホン化)が施されてもよい。
【0014】
2つのHDPE層の間にEVOH層を含む多層の燃料タンクは、本発明の枠組み内において成功裏に使用される。
【0015】
本発明に係るタンクは補強要素を含み、この補強要素は2つの対向する壁部、すなわちその壁の互いに対面する2つの部分を接続する。好ましくは、これらは下壁部(車両において下向きに搭載された壁部であり、燃料の重量の下でクリープ(盤ぶくれ)しがちな壁部)と、上壁部(上向きに搭載され、使用中にはクリープすることが殆どもしくは全くない壁部)とである。
【0016】
この補強要素は明らかに剛体であり、すなわちタンクの寿命にわたって数mmを超えて変形することなく、理想的にはその変形は1mm未満となる。「変形」とは、現実には、2つのタンク壁部の間隔を広げる意味における拡張を意味する。
【0017】
本発明によれば、この要素は中空ピラーの形状、すなわち全体的には筒形状の中空体(その中空体の構成材料で充填されていない内部容積の境界を定める壁)であり、その長さ方向にわたって変化する断面積、およびその全容積に対して無視できる割合(典型的には0.2%〜0.5%)を占める壁厚を有する。
【0018】
一実施形態において、上述の「内部容積」は、中空ピラーの形状を有する1つの外部壁によって境界が定められる。この実施形態は添付した
図2に示す。他の実施形態において、「内部容積」は、材料の複数のリブ(平行スライス)の間の容積であってもよく、その外部エンベロープが中空ピラーの形状を有してもよい。この実施形態は添付した
図4に示す。
【0019】
本発明によれば、前記ピラーはその端部において大きな断面積を持ち、少なくとも1つの中間部分において減少した断面積を持つ。断面の「直径」とは、その断面がその中に適合する円の直径を意味する。
【0020】
好ましくは、減少した直径を持つ部分はピラーの全長にわたって延びてはいない。好ましくは、その部分はピラー内の最大応力の位置をカバーするように配置される。一般的に、その部分はピラー長の最大で90%に延びるものであり、好ましくはピラー長の最大で70%に延びるものであり、さらに理想的にはピラー長の最大で50%に延びるものである。好ましくは、減少した直径を持つ中間点は、ピラーの全長の90%を超えて延びてはおらず、ピラー内の最大応力の位置をカバーするように配置される。
【0021】
特に、前記ピラーがたとえば通気機能などの他の機能を果たす場合には、この配置は(最大の内部容積を得るために)ピラー長の最大で20%までに制限され得る。実際、この割合はピラーの長さにも依存する(長さが減少すれば前記割合は増大する)ものであり、さらに、その領域における断面の直径(最小直径断面の直径)は、実際に最小直径が達成されるのは1つの断面において(またはピラーの非常に限られた領域において)のみとなるように発展する可能性がある。換言すれば、一実施形態においては、最小直径断面を有する中間点の領域内における断面の直径は、一定ではない。
【0022】
好ましくはまた、ピラーの両端には接続用のフランジ、すなわちピラーの全体的な筒状表面に対して略垂直な部分であって、タンクの内部表面に対して容易に取り付けられる部分が設けられている。この実施形態において、ピラーの端部の断面の直径は、接続用のフランジの外径である。一般的に、フランジは中空であり、フランジの直上または直下にあるピラーの上部と略同一の寸法を有する穿孔/孔を含む。
【0023】
また、その実施形態では、ピラー長の部分であって、そこではピラーの直径が遷移するような部分が、好ましくは2つ存在する。すなわちフランジ領域内における第1の遷移部分と、ピラーの中心における第2の遷移部分である。第1の遷移は、溶接(または他の取付け手段)の幅が好ましくはピラー本体の幅よりも実質的に大きいという事実に起因するものであり、従って、この部分は好ましくはフランジの近傍にある。第2の遷移は、両方のタンク壁部から等しいパフォーマンス(たとえば上部および底部の衝撃など)を確保すべく、好ましくは略中央にある。
【0024】
好ましくは、ピラーは回転対称の軸を有し、かつそれはある断面を有し、前記軸を含む鉛直面において見られた場合に、その断面が、ディアボロ形状(または2つの対向するパラボラであって、一定の直径を持つ部分により、もしくはそれらパラボラの頂点から前記部分の中心に向かって減少する直径を持つ部分により、やがては結合される形状)を持つ部分を含む。さらに好ましくは、ディアボロの中央部分の各側にあるパラボラ状の表面が、上述したフランジまで伸びる筒状部分によって延長されている。後者の実施形態では、フランジの直径と筒状部分の直径との間の比は少なくとも1.25であり、好ましくは少なくとも2である。また好ましくは、筒状部分の直径と中心部分の直径との間の比は少なくとも1.5であり、好ましくは少なくとも2.2である。
【0025】
上述の補強ピラーは、好ましくは耐燃料性の材料に基づき、好ましくはプラスチックであり、また、ピラーがタンクに溶接される場合には、好ましくは、ピラーはタンクの材料と(少なくとも表面において)相溶性のある材料に基づく。
【0026】
純HDPE、またはガラス繊維もしくは任意の他のタイプの充填剤(天然または高分子の繊維)が充填されたHDPE、POM(ポリオキシメチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPA(ポリフタラミド)等が適切であり得る。好ましくは、それらは射出成形によって製造されたプラスチック製ピラーである。また、それは2つの材料からなるピラーであってもよく、そのうちの1つがHDPEと相溶性のある材料で作られ、他の1つが僅かな変形および/またはクリープしか生じない材料(POM、PA、PEEK、PPA、金属等)で作られてもよい。
【0027】
好ましくは、(ピラーの本体の)抵抗力を得る目的と、(ピラーのフランジの)取付けの必要性から、ピラーは2つの材料(さらに好ましくは、HDPEとPOMまたはポリオキシメチレンのような補強されたおよび/または補強する材料と)から構成される。その実施形態において、異なる材料で作られた2つの部品は、好ましくはオーバーモールドされる。またその実施形態においては、断面積/直径が縮小/減少するようなピラー長の部分が好ましくは2つ存在し、第1の遷移部分はオーバーモールドの領域内にあり、第2の遷移部分はピラーの中心にある。
【0028】
本発明の好ましい一実施形態によれば、中空ピラーの少なくとも一部は、タンクにおいて(ガス抜き、計量、燃料逆流防止機能などの)能動的な役割を担う付属品の構成要素である。一般的に、このような付属品はチャンバー/ハウジング内に存在する少なくとも1つの能動的な構成要素を含んでおり、好ましくは、中空ピラーの少なくとも一部は、この場合は、前記ハウジングの少なくとも一部を構成する。換言すれば、中空ピラーの壁は、好ましくは付属品のハウジングの少なくとも一部を構成するものであり、この点については、その内容が参照により本特許出願に組み込まれる、上述の特許出願WO2010/122065に説明されている通りである。
【0029】
本発明のこの実施形態の第1の有利な変形例によれば、中空ピラーは、その内部容積において、換気システムの少なくとも一部を含み、この換気システムは、一般にキャニスタまたは他の汚染防止装置を介してタンクの内部を外部に接続する。
【0030】
ある好ましい下位変形例において、中空ピラーは液体/蒸気分離器(またはLVS)、すなわち燃料蒸気内に存在する蒸気の液滴の減少を促進するような内部の幾何学的構造を有する中空の容積体である。
【0031】
他の好ましい下位変形例において、この付属品はROVおよび/またはFLVVタイプの弁であり、ピラーと一体化されている能動的な構成要素はフロートである。この場合、中空ピラーの少なくとも一部は、その中をフロートがスライドするチャンバーを構成する。
【0032】
本発明のこの実施形態の第2の有利な変形例によれば、中空ピラーは過充填予防装置(OPD)のためのハウジングとして作用する。この変形例において、中空ピラーの少なくとも一部は、その中にOPDが配置されるチャンバーを構成する。このとき、種々のROVが入口でこのOPD装置に接続され得る。
【0033】
1つの好ましい下位変形例において、ピラー内でLVS機能およびOPD機能を組み合わせることが可能である。
【0034】
本発明のこの実施形態の第3の有利な変形例によれば、中空ピラーは燃料逆流防止装置として作用し(換言すれば、付属品は燃料逆流防止装置であり)、この目的のために、その内部容積内に燃料ポンプ用の少なくとも1つの吸引点と、非常に特別に好ましくは、ポンプが吸引する際に介されるフィルターとを含む。
【0035】
本発明のこの実施形態の第4の有利な変形例によれば、中空ピラーは容量計量器を含み、この容量計量器用の保護チャンバーとして作用する(すなわち、いわばその保護ハウジングを構成する)。この場合、その機能は以下の通りである:(燃料の移動による)波の影響を取り除き、それにより燃料油面測定ノイズを低減すること;(測定要素を保護するために、材料を選択することにより)寄生容量から測定要素を保護すること;この高感度な要素に堆積する燃料の膜の影響を低減すること。
【0036】
上述した種々の変形例は、同一のタンク内において、または同一のピラー内においても、組み合わせられ得ることに留意すべきである。
【0037】
本発明を添付の
図1〜4を参照しながらさらに詳細に説明する。