特許第6109158号(P6109158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109158
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】使い捨て着用物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
   A61F13/15 391
   A61F13/15 340
   A61F13/15 353
   A61F13/15 311Z
   A61F13/15 380
   A61F13/15 393
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-514737(P2014-514737)
(86)(22)【出願日】2013年5月9日
(86)【国際出願番号】JP2013063002
(87)【国際公開番号】WO2013168753
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2016年3月2日
(31)【優先権主張番号】特願2012-108113(P2012-108113)
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102060
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 喜信
(72)【発明者】
【氏名】阪部 淳也
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/014660(WO,A1)
【文献】 特開2011−206331(JP,A)
【文献】 特開2009−153757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て着用物品1の製造方法であって、
前記着用物品1は着用者の胴を覆い胴回り方向Xに延びる少なくとも1つの胴回り部材3F,3Bと、前記胴回り部材3F,3Bの肌面に重なり部23で重なり、前記胴回り方向Xに直交する縦方向Yに延び前記着用者の股間を覆う吸収性本体2とを備え、
前記胴回り部材3F,3Bは、その非肌面が胴回り不織布で形成され、かつ、前記胴回り部材3F,3Bは前記吸収性本体2の前記胴回り方向Xの端よりも前記胴回り方向Xに突出しており、
前記吸収性本体2は、着用者の体液を吸収する吸収性コア24と、前記吸収性コア24の非肌面を覆う液不透過性の樹脂シート27と、前記樹脂シート27の非肌面を覆う外装不織布4とが積層されて形成されており、
前記重なり部23において前記外装不織布4には少なくとも前記縦方向Yの一端部を除く周囲が前記外装不織布4により囲まれた切欠部40が形成されていることで、前記切欠部40において前記外装不織布4は前記樹脂シート27を覆っていないことを特徴とし、
前記製造方法は
前記外装不織布4となる外装用の連続不織布W4を長手方向Y1に搬送しながら、前記外装用の連続不織布W4に前記切欠部40となる開口401を形成する孔明工程と、
前記孔明工程の後に前記外装用の連続不織布W4の肌面上に前記樹脂シート27となる連続樹脂シートS27を貼り合わせて前記連続樹脂シートS27により前記開口401を塞ぐ第1貼り合わせ工程と、
前記連続樹脂シートS27の肌面上に前記吸収性コア24を配置して前記吸収性本体2となる連続積層体W2を得る工程と、
前記連続積層体W2から個々の着用物品1の前記吸収性本体2を得るために、前記連続積層体W2を前記長手方向に直交する幅方向に延びる仮想の切断線Cに沿って切断する工程と、
前記切欠部40を覆うように、前記外装不織布4の非肌面に前記胴回り部材3F,3Bとなる少なくとも1つの連続不織布の積層体W3F,W3Bを重ねて貼り合わせる第2貼り合わせ工程とを備える。
【請求項2】
請求項1の製造方法であって、
前記外装用の連続不織布W4の前記長手方向Y1に直交する幅方向の幅は前記連続樹脂シートS27のそれよりも大きく、前記連続不織布W4は連続樹脂シートS27から幅方向の両側に張り出す両側部41,41を有しており、前記両側部41,41には前記長手方向Y1に伸縮する弾性部材F1が配置されており、
ここにおいて、前記孔明工程の前に前記外装用の連続不織布W4の両側部41,41に前記長手方向Y1に沿って、前記弾性部材F1を配置すると共に前記連続不織布W4の両側部41,41を折り返して前記弾性部材F1を前記連続不織布W4に接合する工程を更に備える。
【請求項3】
請求項1もしくは2の製造方法であって、
前記胴回り部材3F,3Bは着用者の胴の前部を覆い胴回り方向Xに延びる前胴回り部材3Fと、前記着用者の胴の背部を覆い前記胴回り方向Xに延びる後胴回り部材3Bとを包含し、前記吸収性本体2は前記前胴回り部材3Fと前記後胴回り部材3Bとの間に架設され、前記前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bに重なる各重なり部23に各々前記切欠部40を有しており、
前記孔明工程において、前記前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bとなる一対の連続不織布の積層体W3F,W3Bに覆われる前記外装用の連続不織布W4の部位に前記一対の開口401,401を形成し、
前記第2貼り合わせ工程において、前記一対の連続不織布の積層体W3F,W3Bの間に前記吸収性本体2を架設するように前記吸収性本体2を配置する。
【請求項4】
請求項1の製造方法において、
前記第1貼り合わせ工程において前記開口401が形成された連続不織布W4と連続樹脂シートS27とがニップロールNrで重ねて貼り合わせられ、ここにおいて、
アキュームダンサローラ60で前記連続樹脂シートS27を蓄積する工程と、
前記ダンサローラ60の下流に配置された検出器63で、前記連続樹脂シートS27の長手方向に所定のピッチで付されたマークMを検出する工程と、
前記マークMの検出情報に基づいて前記ダンサローラ60の下流に配置された駆動ローラ64のモータ65の回転を制御することで前記ダンサローラ60から引き出される前記連続樹脂シートS27の搬送速度を制御して前記ニップローラNrにおいて互いに貼り合わされる前記外装用の連続不織布W4と前記連続樹脂シートS27との位相を合致させる工程とを備える。
【請求項5】
請求項4において、
前記開口401を形成するホールカッタ51の上流においてウエブガイダ50により前記外装用の連続不織布W4の張力および前記幅方向のズレを調整する工程を更に備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨て着用物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オムツを製造する工程において、脚を通すレッグホールを形成するために、シートをダイカッタによってトリミングをしている。このような製法に対して、材料の無駄やコストの削減の要請から、レッグホールをトリミングで形成しないH型製法が知られている。
H型製法は一対の胴回り部材の間に吸収性本体を架け渡す(特許文献1)。
【0003】
前記H型製法では、オムツをH型とすることにより、レッグホールのトリミングを必須としない。ところが、特許文献1の発明では、股下域の非肌面側において、液不透過性のバックシート、つまり、ポリエチレン等の樹脂シートがむき出しとなり、見た目や風合いが悪い。
【0004】
そこで、H型オムツの液不透過性シートの外面に不織布等の外装不織布を配したオムツが開示されている(特許文献2)。布様材料を設けることによって、外観上の見栄えや肌触りが向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】JP H03−176053 A1(第1図)
【特許文献2】JP2005−230330 A1(段落0042)
【発明の概要】
【0006】
しかし、胴回りのシートの枚数が増加することにより、前後の胴部のゴワツキやムレ等の問題が生じるだろう。
【0007】
なお、樹脂製のバックシートに絵柄等がプリントされている場合、前記バックシートを胴回り部材だけでなく前記不織布が前記バックシートを更に覆う。そのため、前記絵柄等が不鮮明になり易い。
【0008】
本発明の目的は、H型着用物品において、前後の胴部のゴワツキやムレを抑制することのできる同着用物品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明のある使い捨て着用物品1の製造方法は、
前記着用物品1は着用者の胴を覆い胴回り方向Xに延びる少なくとも1つの胴回り部材3F,3Bと、前記胴回り部材3F,3Bの肌面に重なり部23で重なり、前記胴回り方向Xに直交する縦方向Yに延び前記着用者の股間を覆う吸収性本体2とを備え、
前記胴回り部材3F,3Bは、その非肌面が胴回り不織布で形成され、かつ、前記胴回り部材3F,3Bは前記吸収性本体2の前記胴回り方向Xの端よりも前記胴回り方向Xに突出しており、
前記吸収性本体2は、着用者の体液を吸収する吸収性コア24と、前記吸収性コア24の非肌面を覆う液不透過性の樹脂シート27と、前記樹脂シート27の非肌面を覆う外装不織布4とが積層されて形成されており、
前記重なり部23において前記外装不織布4には少なくとも前記縦方向Yの一端部を除く周囲が前記外装不織布4により囲まれた切欠部40が形成されていることで、前記切欠部40において前記外装不織布4は前記樹脂シート27を覆っていないことを特徴とし、
前記製造方法は
前記外装不織布4となる外装用の連続不織布W4を長手方向Y1に搬送しながら、前記外装用の連続不織布W4に前記切欠部40となる開口401を形成する孔明工程と、
前記孔明工程の後に前記外装用の連続不織布W4の肌面上に前記樹脂シート27となる連続樹脂シートS27を貼り合わせて前記連続樹脂シートS27により前記開口401を塞ぐ第1貼り合わせ工程と、
前記連続樹脂シートS27の肌面上に前記吸収性コア24を配置して前記吸収性本体2となる連続積層体W2を得る工程と、
前記連続積層体W2から個々の着用物品1の前記吸収性本体2を得るために、前記連続積層体W2を前記長手方向に直交する幅方向に延びる仮想の切断線Cに沿って切断する工程と、
前記切欠部40を覆うように、前記外装不織布4の非肌面に前記胴回り部材3F,3Bとなる少なくとも1つの連続不織布の積層体W3F,W3Bを重ねて貼り合わせる第2貼り合わせ工程とを備える。
【0010】
本発明方法によれば、外装不織布4に切欠部40を有する着用物品1を生産するのに、個々の着用物品1の単位に切断した外装不織布4を間欠的に樹脂シート27に貼り合わせる必要がない。したがって、着用物品1を連続的かつ効率的に生産できる。
また、外装不織布4に切欠部40を有するので、胴回りのゴワツキを軽減できると共に、通気性も改善される。また、樹脂シート27の非肌面側に図柄を有する場合、切欠部40において、シートの枚数が少なくなる。したがって、外部から見て、前記図柄を視認し易い。
本発明において「切欠部」とは、外装不織布に形成される切欠部の周囲が完全に外装不織布に囲まれている場合の他、切欠部の一部が外装不織布に囲まれていない場合を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の実施例1にかかる使い捨て着用物品を分解して示す概略分解斜視図である。
図2図2Aは同着用物品を展開して示す正面図、図2BはIIB−IIB線断面図、図2Cは拡大横断面図である。
図3図3は同着用物品を展開して示す概略背面図である。
図4図4Aは同実施例1にかかる外装用の連続積層体の製造方法を示す概略平面図、図4Bは開口の他の形状を示す外装用の連続不織布を示す概略平面図である。
図5図5は同連続積層体の製造方法を示す概略平面図である。
図6図6は着用物品の製造方法を示す概略平面図である。
図7図7は第1貼り合わせ工程を行う装置の概略レイアウト図である。
図8図8は実施例2にかかる着用物品の概略背面図である。
図9図9は本発明の実施例2にかかる使い捨て着用物品を分解して示す概略分解斜視図である。
図10図10は同着用物品を展開して示す概略背面図である。
図11図11は同実施例2にかかる外装用の連続積層体の製造方法を示す概略平面図である。
図12図12は同連続積層体の製造方法を示す概略平面図である。
図13図13は着用物品の製造方法を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施例においては、前記外装用の連続不織布W4の前記長手方向Y1に直交する幅方向の幅は前記連続樹脂シートS27のそれよりも大きく、前記連続不織布W4は連続樹脂シートS27から幅方向の両側に張り出す両側部41,41を有しており、前記両側部41,41には前記長手方向Y1に伸縮する弾性部材F1が配置されており、
ここにおいて、前記孔明工程の前に前記外装用の連続不織布W4の両側部41,41に前記長手方向Y1に沿って、前記弾性部材F1を配置すると共に前記連続不織布W4の両側部41,41を折り返して前記弾性部材F1を前記連続不織布W4に接合する工程を更に備える。
【0013】
開口401を形成した後に弾性部材F1を連続不織布W4に配置しようとすると、開口401を明けたことで連続不織布W4の形状が歪み易くなる。その結果、弾性部材Fを連続不織布W4に配置しにくくなる。
これに対し、本実施例の場合、開口401を形成する前に連続不織布W4に弾性部材F1を配置するので、連続不織布W4に弾性部材F1を配置し易い。したがって、開口401の形成された連続不織布W4の形状が安定し易い。その結果、着用物品1の仕上りの精度が向上する。
【0014】
本発明の別の好適な実施例では、前記胴回り部材3F,3Bは着用者の胴の前部を覆い胴回り方向Xに延びる前胴回り部材3Fと、前記着用者の胴の背部を覆い前記胴回り方向Xに延びる後胴回り部材3Bとを包含し、前記吸収性本体2は前記前胴回り部材3Fと前記後胴回り部材3Bとの間に架設され、前記前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bに重なる各重なり部23に各々前記切欠部40を有しており、
前記孔明工程において、前記前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bとなる一対の連続不織布の積層体W3F,W3Bに覆われる前記外装用の連続不織布W4の部位に前記一対の開口401,401を形成し、
前記第2貼り合わせ工程において、前記一対の連続不織布の積層体W3F,W3Bの間に前記吸収性本体2を架設するように前記吸収性本体2を配置する。
【0015】
この実施例では、前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bの双方について、重なり部23に対応する外装不織布4の所定の箇所に前記切欠部40を有する着用物品1を連続的に生産できる。
【0016】
本発明の更に別の実施例では、前記第1貼り合わせ工程において前記開口401が形成された連続不織布W4と連続樹脂シートS27とがニップロールNrで重ねて貼り合わせられ、ここにおいて、
アキュームダンサローラ60で前記連続樹脂シートS27を蓄積する工程と、
前記ダンサローラ60の下流に配置された検出器63で、前記連続樹脂シートS27の長手方向に所定のピッチで付されたマークMを検出する工程と、
前記マークMの検出情報に基づいて前記ダンサローラ60の下流に配置された駆動ローラ64のモータ65の回転を制御することで前記ダンサローラ60から引き出される前記連続樹脂シートS27の搬送速度を制御して前記ニップローラNrにおいて互いに貼り合わされる前記外装用の連続不織布W4と前記連続樹脂シートS27との位相を合致させる工程とを備える。
【0017】
この実施例では、連続樹脂シートS27のマークMを検出して、連続不織布W4と連続樹脂シートS27との位相を合致させる。したがって、図柄の位置と開口401の位置とがズレにくく、開口401に大きな図柄を配置し得る。また、開口401が形成された連続不織布W4ではなく、連続樹脂シートS27の速度を変化させるので、開口401による連続不織布W4の歪が生じにくい。
【0018】
この場合、前記開口401を形成するホールカッタ51の上流においてウエブガイダ50により前記外装用の連続不織布W4の張力および前記幅方向のズレを調整する工程を更に備えるのが更に好ましい。
【0019】
本発明は、添付の図面を参照にした以下の好適な実施例の説明からより明確に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0020】
実施例1
以下、本発明の一実施例にかかる着用物品1の構造が図面にしたがって説明される。
図1図7は実施例1を示す。
【0021】
図1および図2Aに示すように、本実施例の着用物品1は、吸収性本体2、前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bを備えている。前記吸収性本体2は、着用者の前胴を覆い胴回り方向Xに延びるフロント部(前胴回り部)20、着用者の後胴を覆い胴回り方向Xに延びるバック部(後胴回り部)21、ならびに、前記フロント部20とバック部21との間の股間を覆う股部22を有している。
【0022】
前記股部22はフロント部20およびバック部21に連なり前記胴回り方向Xに直交する縦方向Yに延びる。前記吸収性本体2は股部22の一部又は全部を構成する。
【0023】
図2Aにおいて、着用時、前記股部22は前記胴回り方向Xに平行なラインLにおいて2つに折られる。これにより、前記前胴回り部材3Fと前記後胴回り部材3Bの胴回り方向Xの端部同士が互いに重なる。
【0024】
図1に示すように、前記吸収性本体2には破線で示す吸収コア24が設けられており、この吸収コア24は体液を吸収する。
前記吸収コア24は、トップシート26とバックシート(樹脂シート)27との間で挟まれていると共に、各シート26,27および吸収コア24は互いに積層されてなる。
【0025】
図2Cにおいて、前記トップシート26は透液性の不織布からなり、吸収コア24の肌面を覆う。このトップシート26の上には、立体カフ25が設けられていてもよい。立体カフ25はカフ25が着用者の肌に密着するための弾性部材F1を有する。
【0026】
前記バックシート27は吸収コア24の非肌面を覆い、液不透過性の樹脂シートからなる。この樹脂シートからなるバックシート27の非肌面には、図3または図8に示すような図柄、図形および/または文字がプリント(印刷)されていてもよい。又、図柄、図形および/または文字がプリントされたシート部材がバックシート27の非肌面に貼付けられてもよい。
【0027】
前記バックシート27の非肌面には図1に示す外装不織布4が接着されて積層されている。外装不織布4はバックシート27の一部を覆うものであるが、これについては後に詳述する。なお、着用物品1の構造を分かり易くするために、外装不織布4の部位については網点のような模様を付している。
【0028】
図3において、前記吸収性本体2は前胴回り部材3Fと後胴回り部材3Bとの間に架設されている。前記吸収性本体2のフロント部20の前記縦方向Yの端部には、前記前胴回り部材3Fが貼り付けられ、重なり部23において吸収性本体2が前胴回り部材3Fの肌面に重なっている。一方、吸収性本体2のバック部21の前記縦方向Yの端部には、前記後胴回り部材3Bが貼り付けられ、重なり部23において吸収性本体2が後胴回り部材3Bの肌面に重なっている。
【0029】
前記前後の胴回り部材3F,3Bは、前記吸収性本体2から胴回り方向Xに突出していると共に、前後の胴回り部の一部を構成する。つまり、図2Aに示すように、前記胴回り部材3F,3Bは、股部22よりも胴回り方向Xに突出し吸収性本体2(股部22)の両縁( 胴回り方向の端) E1から胴回り方向Xに延び出している。
【0030】
前記前後の各胴回り部材3F,3Bは、たとえば、図2Cに示す一対の不織布30,31が互いに積層されてなる。これらの不織布30,31は通気性を有する。
【0031】
図1において、前記前後の胴回り部材3F,3Bには、図1の破線で示すように、着用物品1を着用者にフィットさせるための弾性部材32が設けられていてもよい。この弾性部材32としては、たとえば、複数本の糸ゴムや平ゴム、フィルムまたは熱可塑性樹脂を含む材料などを採用することができる。また、弾性部材32はフロントおよびバックの中央において無効化され(収縮力がない状態とされ)ていてもよい。
前記前後の各胴回り部材3F、3Bは、単層の伸縮性不織布であってもよい。この場合、一対の不織布を積層する場合に比べて通気性が増し、図柄等の視認性も向上する。
【0032】
また、吸収性本体2には、着用者の脚部に沿って括れた脚回り部を形成してもよい。前記脚回り部や、前記胴回り部材3F,3Bの脚回り部に連なる部位には、着用者の脚回りに沿うように、たとえば、糸ゴムなどからなる図3の弾性部材F2が設けられていてもよい。
図1に示すように、本実施例の場合、前記立体カフ25は外装不織布4の両側部41がS字状ないしZ字状に折られ、かつ、前記縦方向Yに伸縮する弾性部材F1が配置されて形成されている。
【0033】
着用物品がオムツである場合、前記一対の後胴回り部材3Bには、図示しない雄面ファスナが固着され、一方、前胴回り部材3Fには雌面ファスナが固着されていてもよい。
【0034】
なお、雄面ファスナに代えて止着剤が塗布されたテープ剤を用いてもよく、この場合、前記止着剤が粘着し易い表面を前記前胴回り部材3F等に形成する必要がある。
また、着用物品がパンツ型である場合、前胴回り部材3Fと後胴回り部材3Bの胴回り方向Xの端部同士が互いに溶着されていてもよい。
【0035】
図3の前記胴回り部材3F,3Bの非肌面は不織布で形成されている。
本明細書において、「肌面」とは着用物品1の着用時において着用者の肌に対面する面をいい、「非肌面」とは前記肌面とは反対の面をいう。
【0036】
つぎに、本発明の要部について説明する。
図1に示すように、前記重なり部23において前記外装不織布4には周囲が前記外装不織布4により完全に囲まれた切欠部40が形成されている。これにより、前記切欠部40において前記外装不織布4は前記樹脂シート27を覆っていない。
なお、前記切欠部40は窓状でその周囲において外装不織布4がループ状に連なっている。
また、本実施例においては作図の都合上、切欠き部40および切欠部40となる開口401が長方形状に形成されているが、図4Bに示すような形状でもよいし、長円形などの形状であってもよい。
【0037】
つぎに、本着用物品1の製造方法が図4図6にしたがって説明される。
図4Aに示すように、前記外装不織布4を形成する外装用の連続不織布W4が長手方向Y1に搬送される。この連続不織布W4が長手方向Y1に搬送されながら、後述する孔明工程の前に、前記外装用の連続不織布W4の両側部41に前記長手方向に沿って、前記弾性部材F1が配置されると共に前記連続不織布W4の両側部41が折り返されて前記弾性部材F1が前記連続不織布W4に接合される。
前記外装用の連続不織布W4の前記長手方向Y1に直交する幅方向の幅は前記バックシート27を形成する連続樹脂シートS27のそれよりも大きく、前記連続不織布W4は連続樹脂シートS27から幅方向の両側に張り出す両側部41,41を有している。前記両側部41,41には前記長手方向Y1に伸縮する前記弾性部材F1が配置される。
また、前記両側部41は、その後折られて前記カフ25(図1図2C)となるが、その詳細な説明は省略される。
【0038】
前記接合後に連続不織布W4を長手方向Y1に搬送しながら、前記外装用の連続不織布W4に前記切欠部40となる開口401を形成する孔明工程が実行される。前記孔明工程において、前記前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bに覆われる前記外装用の連続不織布W4の部位に前記一対の開口401,401が形成される。前記孔明工程の後に、前記外装用の連続不織布W4の肌面上に前記バックシート27となる連続樹脂シートS27を貼り合わせて前記連続樹脂シートS27により前記開口401が塞がれて第1貼り合わせ工程が実行される。
【0039】
つづいて、図5に示すように、前記連続不織布W4に貼り合わせた連続樹脂シートS27と、トップシートを形成する連続不織布W26との間に吸収コア24を間欠的に配置して積層することで吸収性本体2となる連続積層体W2が生成される。
【0040】
その後、図6に示すように、前記連続積層体W2から個々の着用物品1の前記吸収性本体2を得るために、前記連続積層体W2が前記長手方向Y1に直交する幅方向(胴回り方向X)に延びる仮想の切断線C(図5)に沿って切断される。
すなわち、図5の前記連続積層体W2は二点鎖線で示す切断線Cに沿って個々の着用物品ごとの大きさ(単位)に切り取られて、図6の外装不織布4が積層された吸収性本体2が生成される。生成された吸収性本体2は90°旋回される。
【0041】
前記旋回後、吸収性本体2は一対の胴回り部材3F,3Bとなる連続不織布の積層体W3F,W3Bに架設される。この架設時に、前記積層体W3F,W3Bによって前記切欠部40が覆われるように、前記外装不織布4の非肌面に前記胴回り部材3F,3Bが重ねられて貼り合わせる第2貼り合わせ工程が実行される。
【0042】
つぎに、前記連続不織布W4と連続樹脂シートS27が貼り合わされる前記第1貼り合わせ工程の詳細について説明される。
図7に示すように、前記第1貼り合わせ工程において前記開口401が形成された連続不織布W4と連続樹脂シートS27とがニップロールNrで重ねて貼り合わせられる。
【0043】
前記ニップロールNrの上流において、前記連続不織布W4の搬送経路には、ウエブガイダ50およびホールカッタ51が配置されており、前記開口401を形成するホールカッタ51の上流においてウエブガイダ50により前記外装用の連続不織布W4の張力および幅方向のズレが調整される。この後、連続不織布W4にはホールカッタ51とアンビル52との間で開口401が形成される。
【0044】
前記ニップロールNrの上流において、前記連続樹脂シートS27の搬送経路には、ダンサローラ60,フリーローラ61,62,検出器63および駆動ローラ64が配置されている。
【0045】
連続樹脂シートS27を一時的に蓄積するためのアキュームダンサローラ60および駆動ローラ64により連続樹脂シートS27の搬送速度が調整される。すなわち、ニップロールNrの上流の連続樹脂シートS27の搬送速度Vを大きくすべき場合には、駆動ローラ64のモータ65の回転速度を大きくし、前記ダンサローラ60を下降させる。これにより、ダンサローラ60からニップロールNrに送り出される連続樹脂シートS27の速度が大きくなる。
一方、ニップロールNrの上流の連続樹脂シートS27の搬送速度Vを小さくすべき場合には、駆動ローラ64のモータ65の回転速度を小さくし、ダンサローラ60を上昇させる。これにより、前記ダンサローラ60からニップロールNrに送り出される連続樹脂シートS27の速度が小さくなる。
【0046】
検出器63は駆動ローラ64の上流で、かつ、前記ダンサローラ60の下流に配置され、図4Aの前記連続樹脂シートS27の長手方向に所定のピッチで付されたマークMを検出する。
【0047】
図示しない制御装置により、前記マークMの検出情報に基づいて前記ダンサローラ60の下流に配置された駆動ローラ64のモータ65の回転数を制御する。これにより、前記ダンサローラ60から引き出される前記連続樹脂シートS27の速度が制御されて、ニップロールNrにおいて貼り合わされる前記外装用の連続不織布W4と前記連続樹脂シートS27との位相が合致される。
これにより、図3の樹脂シート27に描かれた図柄100と開口401(切欠部40)との相対的な位置精度が維持される。
【0048】
ところで、図4Aの前記開口401が連続不織布W4に形成されることで、連続不織布W4の搬送中に連続不織布W4に働く張力により連続不織布W4が前記開口401の近傍において括れ(変形し)易くなる。これに対し、本発明では各開口401の周囲が各外装不織布4となる連続不織布W4に完全に囲まれており、不織布W4,4の変形を防止し易い。
特に、図4Bのように開口401の形状を六角形などにして、更に、開口401にアールを設ければ開口401において連続不織布W4に応力の集中が生じにくいので、着用物品の仕上がり状態が向上する。
【0049】
実施例2
図9図13は実施例2を示す。以下、実施例2については主として実施例1との相違点について説明する。
【0050】
前記実施例1において、前記切欠部40は周囲が前記外装不織布4により完全に囲まれていたが、図9および図10の本実施例においては、切欠部40の周囲は外装不織布4に完全には囲まれていない。
図10に示すように、前記外装不織布4には、縦方向Yの端から中央へ向かって凹む切欠部40が形成されている。前記外装不織布4は、前記縦方向Yの端縁において、胴回り方向Xに連なっておらず、前記切欠部40を挟んで前記胴回り方向Xに互いに離間している。
すなわち、前記切欠部40の前記胴回り方向Xの両端は前記外装不織布4により定義され、かつ、前記切欠部40の前記縦方向Yの中央側は前記外装不織布4により定義されている。換言すると、前記切欠部40は前記外装不織布4の前記縦方向Yの一端部を除く3辺において前記外装不織布4に囲まれており、前記一端部において前記縦方向Yに向かって開口している。
【0051】
つぎに、本実施例の着用物品1の製造方法が図11図13に基づいて説明される。
図11に示すように、前記外装不織布4を形成する外装用の連続不織布W4が長手方向Y1に搬送される。この連続不織布W4が長手方向Y1に搬送されながら、後述する孔明工程の前に、前記外装用の連続不織布W4の両側部41に前記長手方向に沿って、前記弾性部材F1が配置されると共に前記連続不織布W4の両側部41が折り返されて前記弾性部材F1が前記連続不織布W4に接合される。
【0052】
前記接合後に連続不織布W4を長手方向Y1に搬送しながら、前記外装用の連続不織布W4に前記切欠部40となる開口401を形成する孔明工程が実行される。前記孔明工程において、前記前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bに覆われる前記外装用の連続不織布W4の部位に前記開口401が形成される。後述するように、1つの前記開口401から2つの前記切欠部40が形成される。なお、前記開口401の形状は長円形などであってもよい。
前記孔明工程の後に、前記外装用の連続不織布W4の肌面上に前記バックシート27となる連続樹脂シートS27を貼り合わせて前記連続樹脂シートS27により前記開口401が塞がれて第1貼り合わせ工程が実行される。
【0053】
つづいて、図12に示すように、前記連続不織布W4(図11)に貼り合わせた連続樹脂シートS27と、トップシートを形成する連続不織布W26との間に吸収コア24を間欠的に配置して積層することで吸収性本体2となる連続積層体W2が生成される。
【0054】
その後、図12および図13に示すように、前記連続積層体W2から個々の着用物品1の前記吸収性本体2を得るために、前記連続積層体W2が前記長手方向Y1に直交する幅方向(胴回り方向X)に延びる仮想の切断線C(図12)に沿って次々と切断される。
すなわち、図12の前記連続積層体W2は二点鎖線で示す切断線Cに沿って個々の着用物品ごとの大きさ(単位)に切り取られて、図13の外装不織布4が積層された吸収性本体2が生成される。
図12に示すように、前記切断線Cは前記開口401を横切るように前記幅方向Xに延びている。この切断線Cにおいて前記連続積層体W2が次々に切断されることにより、1つの開口401から互いに異なる2つの切欠部40,40が形成される。すなわち、前記切断工程により、前記長手方向Y1に隣り合う吸収性本体2において、先行の吸収性本体2の胴回り部材3Fまたは3Bのうちの一方に覆われる切欠部40(図10)と次の吸収性本体2の前記胴回り部材3Bまたは3Fのうちの他方に覆われる切欠部40とが同時に形成される。
図13に示すように、前記生成された後、前記吸収性本体2は90°旋回される。
【0055】
前記旋回後、吸収性本体2は一対の胴回り部材3F,3Bとなる連続不織布の積層体W3F,W3Bに架設される。この架設時に、前記積層体W3F,W3Bによって前記切欠部40が覆われるように、前記外装不織布4の非肌面に前記胴回り部材3F,3Bが重ねられて貼り合わせる第2貼り合わせ工程が実行される。
【0056】
実施例2のその他の構成および工程については前記実施例1と同様であり、その詳しい説明が省略される。
【0057】
なお、図8に示すような連続模様の場合、前述の位置精度は低くてもよい。
また、前記実施例では胴回り部材として、前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bの双方を有する場合について説明したが、例えば本着用物品は胴回り部材が後胴部分にのみ接合されたT型のオムツであってもよい。この場合、胴回り部材が接合された部分にのみ切欠部40が設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は使い捨てのオムツおよびパンツに適用し得る。
【符号の説明】
【0059】
1:着用物品,
2:吸収性本体,20:フロント部,21:バック部,22:股部,23:重なり部,24:吸収性コア,25:立体カフ,26:トップシート,27:バックシート(樹脂シート),
3F:前胴回り部材,3B:後胴回り部材,
4:外装不織布,40:切欠部,41:側部,401:開口,
F1,F2:弾性部材,
W2:連続積層体,W4:外装用の連続不織布,
X:胴回り方向,Y:縦方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13