(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109166
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】ロービングワインダおよび粗糸をボビンに巻取る方法
(51)【国際特許分類】
B65H 67/048 20060101AFI20170327BHJP
B65H 54/71 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
B65H67/048 A
B65H54/71 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-520480(P2014-520480)
(86)(22)【出願日】2012年6月25日
(65)【公表番号】特表2014-522794(P2014-522794A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】CH2012000139
(87)【国際公開番号】WO2013010279
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年6月22日
(31)【優先権主張番号】2011-428
(32)【優先日】2011年7月15日
(33)【優先権主張国】CZ
(73)【特許権者】
【識別番号】590005597
【氏名又は名称】マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ペトル ハシュカ
(72)【発明者】
【氏名】イルジィー シュテフ
【審査官】
松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−189372(JP,A)
【文献】
特開平07−125926(JP,A)
【文献】
特開平03−143856(JP,A)
【文献】
特開平08−259111(JP,A)
【文献】
特開平04−011025(JP,A)
【文献】
特開平06−329437(JP,A)
【文献】
特開昭59−114267(JP,A)
【文献】
特開平05−286648(JP,A)
【文献】
米国特許第06070827(US,A)
【文献】
特開平02−178183(JP,A)
【文献】
特開昭50−126961(JP,A)
【文献】
特開2001−354361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00−19/30
B65H 21/00−21/02
B65H 54/00−54/553
B65H 67/00−67/08
D01H 1/00−17/02
D01G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する少なくとも一対のボビンであって、各ボビンに、粗糸を保持するために、周面に歯を有するストリップが設けられていて、前記ボビンは、設備のフレームに回転可能に装着された回転式のプラットホームに装着されている、回転する少なくとも一対のボビンと、
前記ボビンの回転軸線に関して長手方向に配置された粗糸ガイド装置であって、該粗糸ガイド装置は、前記回転式のプラットホームの外側に位置決めされ、かつ1つのボビンに隣接しており、別のボビンは、各満管のボビンが空のボビンに交換される場合に、前記回転式のプラットホームの回転によって該粗糸ガイド装置に向かって移動させられる、粗糸ガイド装置と、
を備えたロービングワインダであって、
前記設備に、可動に装着されたインパルス手段が設けられており、該インパルス手段の運動方向は、前記満管のボビンと、前記粗糸ガイド装置の近傍の前記空のボビンとの間の、該粗糸ガイド装置によってガイドされる粗糸の運動方向に、前記空のボビンに設けられた周面に歯を有する前記ストリップの領域で交差し、前記インパルス手段には駆動手段が設けられており、
前記インパルス手段は、粗糸に対する該インパルス手段の衝撃が粗糸を切断し、かつ粗糸の自由端を前記粗糸ガイド装置の近傍の空のボビンに設けられた周面に歯を有する前記ストリップに向かって変向させ、該ストリップに粗糸を押し当てて粗糸を保持させるような速度で運動されるようになっている
ことを特徴とする、ロービングワインダ。
【請求項2】
前記インパルス手段は、フック、プレート、屈曲プレート、ロッド、またはガイド端部を有するロッドの形態で形成されている、請求項1記載のワインダ。
【請求項3】
前記インパルス手段は、金属、プラスチックまたは複合材料から成っている、請求項1または2記載のワインダ。
【請求項4】
粗糸に接触するように設計された前記インパルス手段の部分に、エッジが設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載のワインダ。
【請求項5】
前記インパルス手段は、往復式に突出するか、または往復式に振動するか、または往復式に線形運動するか、または回転するように運動されるようになっている、請求項1から4までのいずれか1項記載のワインダ。
【請求項6】
前記インパルス手段は、該インパルス手段の運動中に、前記粗糸ガイド装置の近傍の空のボビンに設けられた周面に歯を有する前記ストリップの近傍を通過するか、または該ストリップに接触する、請求項1から5までのいずれか1項記載のワインダ。
【請求項7】
粗糸を、粗糸ガイド装置によって、回転しているボビンに巻き取り、
満管のボビンを、満管のボビンの形成後に、前記粗糸ガイド装置から離れるように運動させ、
粗糸が前記満管のボビンに引き続き巻き取られている間に、粗糸を保持するための歯を有するストリップを備えた前記空のボビンを、前記粗糸ガイド装置に向かって移動させる、
ターレット式ロービングワインダにおいてボビンに粗糸を巻取る方法であって、
粗糸を前記粗糸ガイド装置の近傍の前記空のボビンに保持するために、粗糸を前記粗糸ガイド装置によって歯を有するストリップに向かって移動させた後に、粗糸を、インパルス手段の衝撃によって、前記満管のボビンと前記空のボビンとの間の領域で制御しながら切断し、
同時に前記空のボビンにある粗糸の自由端を、該空のボビンに粗糸を保持するために、歯を有する前記ストリップに向けて方向付けし、粗糸を、歯を有する前記ストリップにより捕捉して、粗糸の製造および巻取りのいかなる中断もなしに、前記空のボビンに巻き始める、
ボビンに粗糸を巻取る方法。
【請求項8】
少なくとも粗糸の巻取りの速度を、粗糸の制御された切断の前に一時的に減速し、粗糸が前記空のボビンの歯を有する前記ストリップによって捕捉されると再び加速し、これにより、粗糸の切断の確実性および前記空のボビンに設けられた歯を有する前記ストリップへの粗糸の捕捉の確実性を向上させる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記速度は、粗糸が前記空のボビンに設けられた歯を有する前記ストリップによって捕捉された後に、通常の製造レベルを超過するように加速されて、これにより、巻取り速度が減速されたときに製造された粗糸の余剰分を巻き取る、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する少なくとも一対のボビンであって、各ボビンには、周面に歯を有するストリップがロービングもしくは粗糸(Roving)を保持するために設けられていて、前記ボビンは、設備のフレームに回転可能に装着された回転式のプラットホームに装着されている、回転する少なくとも一対のボビンと、ボビンの回転軸線に関して長手方向に配置された粗糸ガイド装置であって、該粗糸ガイド装置は、回転式のプラットホームの外側に位置決めされ、かつ1つのボビンに隣接しており、別のボビンは、各満管のボビンが空のボビンに交換される場合に、回転式のプラットホームの回転によって該粗糸ガイド装置に向かって移動させられる粗糸ガイド装置と、を備えたロービングワインダ、特にターレット式ロービングワインダに関する。
【0002】
本発明は、粗糸を、粗糸ガイド装置によって回転しているボビンに巻き取り、満管のボビンを、満管のボビンの形成後に粗糸ガイド装置から離れるように運動させ、粗糸が満管のボビンに引き続き巻き取られている間に、粗糸を保持するための歯を有するストリップを備えた空の回転するボビンを粗糸ガイド装置に向かって移動させる、特にターレット式ロービングワインダにおいてボビンに粗糸を巻取る方法に関する。
【0003】
先行技術
繊維製造における中間製品である粗糸の高速巻取りは、特に撚りをかけられていない実質的に平行な繊維から成る粗糸のルーズな(緩い)性質に基づいて、困難である。従来の巻取り装置は、低い巻取り速度で使用される。従来の巻取り装置では、ボビンが満管になると、製造プロセスおよび粗糸巻取りを中断し、満管のボビンを空のボビンに交換し、次いで製造および粗糸巻取りプロセスを再開することが必要である。
【0004】
粗糸製造および巻取りの高い速度のためには、巻取り中にボビンの高さおよび/または幅に応じて高い速度で粗糸をシフトさせるように適合された粗糸ガイド装置を有する、公知の特別な種類のワインダが存在する。粗糸製造および巻取りにおける高い生産性レベルを維持するためには、粗糸の製造および巻取りが実質的に連続した形式で行われると有利であり、言い換えれば、満管のボビンと空のボビンとの交換のためのいかなる中断も伴わずに行われると有利である。この課題のために提案された1つの解決手段は、ターレット式ワインダとして公知であるものの使用である。ターレット式ワインダは、回転式のプラットホーム(またはカルーセル)を有している。この回転式のプラットホーム上で、ボビンは回転駆動されたスピンドルに装着されている。複数のボビンのうち1つのボビンは、ガイド装置に隣接して配置されているのに対して、別のボビンは、満管のボビンが巻取りにより形成された後に、回転式のプラットホームの回転によってガイド装置に向かって移動させられる。
【0005】
ターレット式ワインダは、人工繊維の製造の重要な部分として知られている。ターレット式ワインダでは、使用されるボビンが繊維捕捉装置を有しており、繊維捕捉装置は以下のように作動する。すなわち、1つのボビンが満管になった後に、回転式のプラットホームが所定の位置へと回転し、この位置では空のボビンがガイド装置に隣接して配置されており、不安定に形成された繊維は、空のボビンの捕捉装置によって捕捉され、繊維は、満管のボビンと空のボビンとの間で切断され、その後に空のボビンへと引き続き巻き取られ、この場合、粗糸製造および巻取り工程におけるいかなる中断も生じない。
【0006】
JP5078012は、ボビンを有する回転式のプラットホームを備えたターレット式ワインダを開示している。このターレット式ワインダでは、1つのボビンが、1セットの回転ブレードを備えたガイド装置に隣接している。この設備は、さらに繊維操作装置を有している。該繊維操作装置は、1つのボビンが満管になった後に、ガイド装置の作用範囲を越えて繊維をガイドし、その後に、回転プラットホームが回転して、空のボビンがガイド装置の隣に位置決めされる。同時に、繊維は引き続き製造され、中断することなしに、(既に離れるように移動された)満管のボビンに、ボビンの幅の一つの点において巻き取られる。なぜならば繊維がガイドされていないからである。回転式のプラットホームが回転すると、繊維は、回転式のプラットホーム上に配置されたスピンドル上の補助ガイドへ方向付けられる。次いで補助アームの振動は、繊維が補助ガイドと空のボビンとの間の領域へ、かつ空のボビンに設けられた捕捉手段へと方向付けられることを生ぜしめる。この捕捉手段は通常、テーパ形のホルダであり、繊維が「割込み(wedging)」動作により捕捉されることを生ぜしめ、次いで繊維は空のボビンと満管のボビンとの間で切断されて、これにより新たに製造された繊維は空のボビンにのみ巻き取られ、満管のボビンは設備から取り除かれる。
【0007】
しかし、粗糸が巻き取られている場合、粗糸の巻取りに使用されるボビンは、粗糸を捕捉する装置を有していないことが判った。なぜならば、ボビンは、(たとえば面ファスナの歯を有する部分、または一方向性の繊細なブラシのような)周面に歯を有するストリップしか有しておらず、このストリップは、該ストリップに位置している粗糸を保持することはできるが、粗糸を捕捉することはできず、粗糸は簡単にストリップを通過する。さらに、粗糸は、捕捉装置を供えるボビンに、上述の方法によって捕捉されるのに十分な固有の安定性を有していないことが判った。粗糸がボビンによって捕捉されていないので、粗糸は切断されず、回転式のプラットホームが回転した場合ですら、粗糸は、粗糸ガイド装置から離れるように回転させられた元の満管のボビンに引き続き巻き取られる。
【0008】
本発明の課題は、満管のボビンを空のボビンに交換する場合に、空のボビンに粗糸を捕捉しかつ粗糸を切断する装置を備えた信頼性のよいロービングワインダを提供することである。本発明の別の課題は、ボビンに粗糸を巻取る方法であって、該方法において、満管のボビンを空のボビンに交換する場合に、粗糸を確実に切断し、空のボビンに捕捉する方法を提供することである。
【0009】
発明の概要
本発明の課題は、ロービングワインダ、特にターレット式ロービングワインダであって、可動に装着されたインパルス手段が設けられており、該インパルス手段の運動方向は、前記満管のボビンと、前記粗糸ガイド装置の近傍の空のボビンとの間の粗糸の運動方向に、前記空のボビンに設けられた周面に歯を有する前記ストリップの領域で交差し、前記インパルス手段に駆動手段が設けられている、ロービングワインダによりに達成される。
【0010】
特にターレット式ロービングワインダのボビンに粗糸を巻取る方法では、粗糸を前記ガイド装置の近傍の空のボビンに保持するために、粗糸を歯を有するストリップに向かって移動させた後に、粗糸を、満管のボビンと空のボビンとの間の領域で制御しながら切断し、同時に空のボビンにある粗糸の自由端を、該空のボビンにおいて粗糸を保持するために、歯を有するストリップに向けて方向付けし、粗糸を、歯を有する前記ストリップにより捕捉して、粗糸の製造および巻取りのいかなる中断もなしに、空のボビンに巻き始める。
【0011】
本発明の利点は、本発明により、粗糸が、粗糸の製造および巻取りにおける中断なしに、回転しているボビンに捕捉されることを可能にし、したがって粗糸の製造および巻取りにおける生産性が向上し、プロセスのオートメーションが改善される。
【0012】
本発明を図面に概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ロービングワインダの例示的な実施の形態を示す概略的な側面図である。
【
図3a】インパルス手段の例示的な配置を示す図である。
【
図3b】インパルス手段の別の例示的な配置を示す図である。
【
図3c】インパルス手段の別の例示的な配置を示す図である。
【
図3d】インパルス手段の別の例示的な配置を示す図である。
【0014】
ロービングワインダは、回転しているボビンに粗糸を巻取るために使用され得る。粗糸の製造および巻取りにおけるあらゆる中断を阻止するために、ワインダの好適な配列は、ターレット式ワインダで使用されている配列である。ターレット式ワインダは、回転式のプラットホームを有しており、該プラットホームには、駆動された少なくとも2つのスピンドルがプラットホームの長手方向軸線を中心として回転可能に位置決めされている。これらのスピンドルは、巻取り工程中に粗糸を収容するボビンを保持している。各ボビンには、その両端部のうち一方の端部の近傍に、粗糸を保持する手段が装着されている。この手段は通常、周面に歯を有するストリップである。重要なのは、このストリップが、面ファスナの歯(鉤)を有する部分を支持しているか、または一方向性の微細なブラシ等を支持するストリップであり、ボビンの周囲を取り囲んで配置されていることである。
【0015】
回転するプラットホームの外側には、粗糸ガイド装置がボビンの回転軸線に沿って位置決めされている。言い換えると、ボビンの長さおよび/または幅に沿って位置決めされている。粗糸ガイド装置が1つのボビンに隣接しているのに対して、別のボビンは、満管のボビンが空のボビンに交換される場合に、回転式のプラットホームの回転により、ガイド装置に向かって移動させられる。粗糸ガイド装置は、適切な形式で設計されており、このことは本発明の実施にとって重要ではない。
【0016】
巻取りは、粗糸が1つのボビンに巻き取られるように行われる。このボビンに粗糸が完全に巻かれた後、つまりこのボビンが満管になった後で、プラットホームが回転し、したがって満管のボビンが粗糸ガイド装置から離れるように移動されるのに対して、空のボビンが、粗糸ガイド装置に接近する。粗糸は、粗糸ガイド装置により引き続きガイドされて、粗糸ガイド装置から離れて移動させられた満管のボビンに巻き取られる。これに対して、粗糸は、空のボビンを通過する。なぜならば、粗糸ボビンは粗糸捕捉手段を有しておらず、粗糸を保持するための手段しか有していないからである。
【0017】
次いで、満管のボビンと空のボビンとの間で粗糸を切断するだけではなく、同時に粗糸の新たに形成された端部を粗糸保持手段に向かって変向させるインパルス(力積)を粗糸に与えるために、粗糸を切断し、かつ空のボビンに設けられた粗糸保持手段に向かって粗糸を変向させる手段が作動させられる。この粗糸切断/変向手段は、可動に装着されたインパルス手段の形態を有しており、該インパルス手段の運動方向は、満管のボビンと、粗糸ガイド装置の近傍に配置された空のボビンとの間の粗糸の運動方向に交差する。粗糸の運動のこの方向は、インパルス手段の運動方向に、空のボビンに設けられた周面に歯を有するストリップの領域で交差する。インパルス手段は、該インパルス手段が、空のボビンに設けられた周面に歯を有するストリップの近傍で粗糸の方向に交差する際に、該インパルス手段に十分な加速度を与える駆動装置に接続されている。
【0018】
インパルス手段は、粗糸等を捕捉することができるように、フック、プレート、屈曲プレート、ロッド、または粗糸ガイド用の端部を備えたロッドのような、適当なエレメントの形態で形成されている。インパルス手段が、金属、プラスチックまたは複合材料から成っているか、または別の適当な材料から形成されていることが明らかであり、該インパルス手段の質量は、該インパルス手段の運動の速度と組み合わせた場合に、粗糸に必要なインパルスを与えるために十分であるようにされている。インパルス手段に対する駆動装置は、機械的、空気圧式、または磁気式、またはハイブリッドとして知られる組み合わせられたタイプであってよい。
【0019】
インパルス手段の動作による粗糸の切断を改善するために、粗糸と接触するように設計されたインパルス手段の部分を設ける、たとえばプレート形のインパルス手段の前縁にエッジを設けると好適であり、該エッジは、粗糸が切断され損なう可能性を減じるか、またはなくす。粗糸が切断され損なった場合、粗糸がインパルス手段に巻き付く(whip around)ことを生ぜしめ、粗糸は満管のボビンに引き続き巻き取られる。理論上は、インパルス手段は往復式に突出するか、または往復式に振動するか、または往復式に線形運動するか、または回転する装置の形態で形成されていてよい。インパルス手段の特別な個別の設計およびその駆動部は変更されてよく、たとえばワインダの個別の設計またはワインダの空間的な配置によって変更されてよい。
【0020】
上述のように、インパルス手段は十分な速度または加速度で運動し、これにより、切断は粗糸へのインパルス手段の衝撃点において行われる必要はないものの、粗糸への衝撃の結果として粗糸の切断を生ぜしめ、かつ粗糸ガイド装置から、当該粗糸ガイド装置の近傍の空のボビンに設けられた周面に歯を有するストリップに向かって走入する粗糸の自由端を変向させる。この場合、粗糸のこの端部に作用する変向力は、実質的に粗糸を周面に歯を有するストリップへと押し当て、ストリップは粗糸を、該粗糸を保持する性能に基づいて保持する。特に、粗糸ガイド装置の近傍の空のボビンに設けられた周面に歯を有するストリップに、粗糸の新たに形成された端部を「押し当てる」ことを改善するために、装置全体が以下のように配置されていてよい。すなわち、インパルス手段が、粗糸ガイド装置の近傍の空のボビンに設けられた周面に歯を有するストリップの近傍を通過し、これにより、インパルス手段の運動の速度が十分である場合に、粗糸が確実に切断されるだけではなく、粗糸ガイド装置の近傍の空のボビンに設けられた周面に歯を有するストリップにおいて確実に位置決めされる。ストリップにおいて、粗糸は正確に保持され、粗糸の製造および粗糸のボビンへの巻取りは中断されることなしに継続する。
【0021】
粗糸が特にターレット式ロービングワインダのボビンに巻き取られている場合、粗糸ガイド装置によって回転しているボビンに粗糸を巻取る方法が使用される。ボビンが満管になると、満管のボビンは粗糸ガイド装置から離れるように運動させられ、次いで、粗糸を保持するための歯を有するストリップを装着された空の回転ボビンが、ガイド装置に向かって移動させられる。この運動の間、粗糸は粗糸ガイド装置から離れるように運動させられた満管のボビンに引き続き巻き取られる。粗糸ガイド装置は、ボビンの高さおよび/または幅に沿って粗糸を引き続きガイドする。粗糸が、粗糸ガイド装置の近傍の空のボビンに粗糸を保持するために、歯を有するストリップに接近するようにガイドされるや否や、粗糸は、制御されて満管のボビンと空のボビンとの間の領域で切断され、同時にガイド装置から走入する粗糸の新たに形成された自由端は、空のボビンにおいて粗糸を保持するために、歯を有するストリップに向けて方向付けられるか、または変向される。粗糸の新たに形成された自由端の、空のボビンに粗糸を保持するための歯を有するストリップへの運動は、粗糸が切断される前の粗糸の運動の高い速度と、粗糸が切断された後の自由端の高い速度とによって支援される。これによって、粗糸は空のボビンに設けられた歯を有するストリップに到達することができる。したがって、ストリップは、「搬送された」粗糸を保持し、その後に粗糸は空のボビンへ巻き取られ始め、全ての手順は、粗糸の製造または巻取りのいかなる中断もなしに行われる。
【0022】
特にタイミング上の理由から、粗糸の切断や空のボビンに設けられた歯を有するストリップへの粗糸の捕捉のような個別のステップの確実な実施のために特定の時間間隔が要求されている場合、粗糸の制御された切断の前に、粗糸の製造および巻取りの速度を減じ、次いで粗糸がガイド装置の近傍の空のボビンに設けられた歯を有するストリップに捕捉された後に通常の製造レベルにまで速度を増大させるか、または遅い巻取りの期間中に製造された粗糸の余剰分を巻き取るために、速度を上記通常の製造レベルを越えて増大させることができる。
【0023】
ターレット式ワインダの形態のワインダおよびその下位のユニットの特別な実施例を
図1から
図3dに示した。
【0024】
ワインダは、回転式のプラットホーム1を有している。該プラットホーム1は、設備(図示せず)のフレームに回転可能に装着されている。駆動されて回転する少なくとも2つのスピンドル2は、プラットホーム1に位置決めされていて、ボビン3はこれらのスピンドル2に装着されている。粗糸5は、ガイド装置によって2つのボビン3のうちの1つのボビンに巻き取られる。ガイド装置は、この実施の形態では、プレッサフィンガ4によって示されている。ボビン3には、一方の端部、ここでは上端部の近傍に、粗糸を保持する手段が装着されている。この場合、粗糸を保持するための手段は、周面に歯を有するストリップ6である。ストリップ6は、粗糸ガイド装置4の近傍の空のボビン31において認められる。
図1および
図2は、満管のボビン30が左側に配置されていて、プラットホーム1は、満管のボビン30がガイド装置から離れるように回転させられた状態を示している。ガイド装置の近傍には、空のボビン31が位置決めされている。粗糸5は、ガイド装置から空のボビン31を通過して、離間させられた満管のボビン30へと走入し、引き続きガイドされてこのボビン30に巻き取られる。
【0025】
図1では、粗糸5が上側の位置にある。しかし粗糸ガイド装置のプレッサフィンガ4が、周面に歯を有するストリップ6を通過して下方に移動されると直ぐに、プラットホーム1の外側に配置されたインパルス手段7は、必要となる速度および必要となる加速度で前方に駆動され、したがって満管のボビン30と、ガイド装置の近傍の空のボビン31との間の粗糸5の運動方向に、周面に歯を有するベルト6の領域で交差するようになる。この場合、インパルス手段7は、所望の速度および所望の力で粗糸5を打撃し、結果としてボビン30,31の間で粗糸5を切断し、かつガイド装置から走入する粗糸5の自由端を、該ガイド装置4の近傍の空のボビン31に設けられた周面に歯を有するストリップ6に向かって変向し、これにより粗糸5は、周面に歯を有するストリップ6に押し当てられる。ストリップ6は粗糸5を保持する機能に基づき、粗糸5を保持する。
【0026】
図3a〜
図3dに示したように、インパルス手段7の構造は、振動、突出、往復、線形運動または回転運動の手段を含むあらゆる適当な種類であってよい。インパルス手段7は、直線状であるか、または湾曲または屈曲されていてよく、その作業端部に、
図3dに示すようにガイド手段70が設けられていてよい。
図3a〜
図3dはインパルス手段7のためのニューマチック式駆動部を示している。しかし、インパルス手段7の駆動部は同様に、機械式、磁力式、ハイブリッド、または類似の種類であってもよい。この駆動部のための重要な要求は、インパルス手段7の個別の設計と組み合わせて、インパルス手段7が粗糸5を打撃する瞬間に、十分な速度または加速度をインパルス手段7の動作に与えることである。