(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記作動機構は更に、突起基部を含み、前記突起は、前記突起基部から延びていて、前記プランジャアセンブリと一緒に動くように適合されている、請求項2に記載のバレルアダプタ。
前記針アセンブリ及び前記針引き込み機構の少なくとも一方の少なくとも一部分が、前記針の引き込み後に前記スタイレットアセンブリと係合するように適合されており、前記スタイレット引き込み機構は、前記スタイレットディスクの動きによって作動可能である、請求項6に記載のバレルアダプタ。
前記付勢部材は、圧縮ばね、ねじりばね、又はねじり付勢圧縮ばねのうちの少なくとも1つを含み、前記ロック構成は、圧縮又はねじれの少なくとも一方によって作動可能である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバレルアダプタ。
前記針が前記引き込み位置にあるときに前記針が遠位方向に動いて前記バレル先端を貫通することを阻止する為に配置された針ブロックを更に備える、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のバレルアダプタ。
前記作動可能なロック構成は、前記バレル先端と係合して前記付勢部材をエネルギ蓄積状態にするロック機構を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のバレルアダプタ。
前記ロック機構を前記バレル先端から切り離すことにより、前記付勢部材がエネルギの少なくとも一部を放出することによって前記針を前記引き込み位置まで動かすことが可能になる、請求項12に記載のバレルアダプタ。
前記スタイレットは、スタイレット引き込み位置まで動くように適合されており、前記スタイレット引き込み位置では、前記スタイレットは、前記バレル先端又は前記バレルの少なくとも一方の中に配置され、前記スタイレットアセンブリは、前記針の少なくとも一部分が前記注射位置から引き込まれた後に前記スタイレットが前記スタイレット引き込み位置まで動くことを引き起こす為に、前記針アセンブリの少なくとも一部分と係合するように配置される、請求項15に記載の送達注射器。
前記付勢部材は、圧縮ばね、ねじりばね、又はねじり付勢圧縮ばねのうちの少なくとも1つを含み、前記ロック構成は、圧縮又はねじれの少なくとも一方によって作動可能である、請求項15に記載の送達注射器。
前記針が前記引き込み位置にあるときに前記針が遠位方向に動いて前記バレル先端を貫通することを阻止する為に配置された針ブロックを更に備える、請求項15に記載の送達注射器。
突起を前記プランジャアセンブリと一緒に長手方向に動かすために、少なくとも1つの、長手方向に延びる前記突起を前記バレル内に含む作動機構を配置するステップであって、前記突起は、前記プランジャアセンブリの押下後に前記針引き込み機構を作動させるために針ハブと係合する、前記ステップを更に含み、スタイレットを配置する前記ステップは、前記スタイレットディスクを、前記スタイレットディスク内で長手方向に延びる通路とともに、前記突起を摺動的に受ける為の所定位置に配置することを含む、請求項21に記載の方法。
前記作動機構は更に突起基部を含み、前記突起は、前記突起基部から延びていて、前記プランジャアセンブリと一緒に動くように適合されている、請求項22に記載の方法。
前記スタイレットを配置する前記ステップは、前記スタイレットがスタイレット引き込み位置まで動くことを引き起こす為に、前記針の少なくとも一部分が前記注射位置から引き込まれた後に、前記スタイレットアセンブリを、前記針アセンブリの少なくとも一部分と係合するように配置することを含み、前記スタイレット引き込み位置では、前記スタイレットは、前記バレル先端又は前記バレルの少なくとも一方の中に配置される、請求項23に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのようなインプラント又はデポを配置又は配備する器具は、理想的には臨床医が使いやすくなければならず、患者にとっての不快さ及び/又は損傷が最小限でなければならず、薬剤インプラントや薬剤デポの薬剤送達動態が変わるものであってはならない。インプラントの配置/配備に使用される現行器具は、一般に臨床医の一部分に関する広範囲の訓練を必要とし、患者にとっては(損傷の可能性に加えて)苦痛であり、インプラントを破損しかねない大きなせん断力の一因となる。インプラントが物理的に損傷すると、薬剤送達動態が変化する可能性があり、結果として、薬剤の臨床的有効性及び/又は規制順守に変化が生ずる可能性がある。現行器具は又、一般に、インプラント又はデポの正確な位置決めが考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、送達注射器用バレルアダプタが提供され、送達注射器は、バレルと、バレル内を動くように適合されたプランジャアセンブリと、を有する。バレルアダプタは、バレル先端と、針アセンブリと、スタイレットと、針引き込み機構と、を含む。バレル先端は、バレルの遠位端と封止係合するように適合されている。針アセンブリは、少なくとも一部分がバレル先端内に配置され、針と、針が貫通して延びる針ハブと、を含む。針は、内腔を有し、針がバレル先端の遠位端から延びる注射位置から、針がバレル先端又はバレルの少なくとも一方の中にほぼ完全に配置される引き込み位置まで、動くように適合されている。スタイレットアセンブリは、スタイレット及びスタイレットディスクを含む。スタイレットは、軸方向に摺動可能であって、(例えば、針アセンブリ及び/又は針内腔と同軸であり)少なくとも一部分が針の針内腔内に配置される。スタイレットは、針が注射位置にある場合に、針の遠位端から距離を置いて近位方向に配置される。針引き込み機構は、付勢部材及び作動可能なロック構成を含む。ロック構成は、ロック構成がロックされている場合には付勢部材をエネルギ蓄積位置に保持するように配置され、ロック構成が作動している場合には付勢部材を解放するように配置される。ロック構成は、プランジャアセンブリの押下によって作動可能である。付勢部材は、エネルギ蓄積位置から解放された場合に、針及びスタイレットを注射位置から引き込み位置まで相対的に動かすように配置されている。この相対的な動きは、針を、スタイレットに対して相対的に動かすことと、針を、スタイレットと一緒に動かすことと、付勢部材がエネルギ蓄積位置から解放された場合の、注射位置から引き込み位置にかけての1つ以上の操作段階における、これらの部品の他の相対的な動きと、を含む。
【0008】
本発明の別の態様によれば、自動引き込み式インプラント送達注射器が提供される。送達注射器は、遠位端及び近位端を有するバレルと、バレル内を動くように適合されたプランジャアセンブリと、バレルの遠位端と封止係合するバレル先端と、針アセンブリと、スタイレットアセンブリと、針引き込み機構と、を含む。針アセンブリは、少なくとも一部分がバレル先端内に配置され、針と、針が貫通して延びる針ハブと、を含む。針は、内腔を有する。針は、針がバレル先端の遠位端から延びる注射位置から、針がバレル先端又はバレルの少なくとも一方の中にほぼ完全に配置される引き込み位置まで、動くように適合されている。スタイレットアセンブリは、スタイレット及びスタイレットディスクを含む。スタイレットは、軸方向に摺動可能であって、少なくとも一部分が針の針内腔内に配置される。スタイレットは、針が注射位置にある場合に、針の遠位端から距離を置いて近位方向に配置される。針引き込み機構は、付勢部材及び作動可能なロック構成を含む。ロック構成は、ロック構成がロックされている場合には付勢部材をエネルギ蓄積位置に保持するように配置され、ロック構成が作動している場合には付勢部材を解放するように配置される。ロック構成は、プランジャアセンブリの押下によって作動可能である。付勢部材は、エネルギ蓄積位置から解放された場合に、針及びスタイレットを注射位置から引き込み位置まで相対的に動かすように配置されている。この相対的な動きは、針を、スタイレットに対して相対的に動かすことと、針を、スタイレットと一緒に動かすことと、付勢部材がエネルギ蓄積位置から解放された場合の、注射位置から引き込み位置にかけての1つ以上の操作段階における、これらの部品の他の相対的な動きと、を含む。
【0009】
本発明の更に別の態様によれば、自動引き込み式
送達注射器の組み立て方法が提供される。本方法は、バレル内を動くようにプランジャアセンブリを配置するステップと、バレル先端をバレルの遠位端と封止係合させるステップと、針アセンブリを、バレル先端内及びバレル内で、針アセンブリの針がバレル先端から延びる注射位置と、針がバレル先端又はバレルの少なくとも一方の中にほぼ完全に配置される引き込み位置との間で動かすように配置するステップと、スタイレット及びスタイレットディスクを含むスタイレットアセンブリのスタイレットの少なくとも一部分を針の内腔内に配置するステップであって、スタイレットは、針内腔内で軸方向に摺動可能となり、針が注射位置にある場合に、針の遠位端から距離を置いて近位方向に配置される、上記ステップと、付勢部材及び作動可能なロック構成をバレル内に含む針引き込み機構を配置するステップであって、ロック構成は、ロック構成がロックされている場合には付勢部材をエネルギ蓄積位置に保持するように配置され、ロック構成が作動している場合には付勢部材を解放するように配置され、ロック構成は、プランジャアセンブリの押下によって作動可能であり、付勢部材は、エネルギ蓄積位置から解放された場合に、針及びスタイレットを注射位置から引き込み位置まで相対的に動かすように配置されている、上記ステップと、を含む。この相対的な動きは、針を、スタイレットに対して相対的に動かすことと、針を、スタイレットと一緒に動かすことと、付勢部材がエネルギ蓄積位置から解放された場合の、注射位置から引き込み位置にかけての1つ以上の操作段階における、これらの部品の他の相対的な動きと、を含む。
【0010】
本発明は、現行ソリューションにおける弱点に対処し、インプラント又はデポの正確な位置決めを可能にする。本開示の目的上、「インプラント」という用語は、デポ、インプラント、ビーズ、ピル、カプセル、ノジュール、薬剤溶出器具、乾燥又は凍結乾燥された薬剤又は処理剤、又は他の形態のインプラントなどを、一括して、又は個別に含むように使用される。本発明は、非経口的薬剤送達の取り扱い及び利用を模倣するものであり、従って、臨床医に必要な訓練は最小限又はゼロである。本発明は、インプラントを特定の場所に配備することが可能な送達システムと、引き込み式カニューレを有し、インプラントの配置を容易にする注射器と、そのような器具の製造方法と、それらの使用方法と、を提供する。本発明の実施形態は、患者の快適さ、患者の安全、臨床医の便宜、及び規制順守を強化することが可能である。本発明は、薬剤インプラントの標的送達に関して現在利用可能なソリューションにおける弱点に対処し、インプラントの正確な位置決めを可能にする。
【0011】
最もシンプルな形式では、本発明は、これを達成する為に、非経口的薬剤注射を模倣し、これは、従来の注射器使用を伴うため、臨床医に必要な訓練は最小限又はゼロである。本発明の実施形態は、応用範囲が広く、眼球、前立腺、心臓、脳等を含む、組織内の多数の標的場所へのインプラント送達に使用可能である。標的場所は、例えば、器官、又は組織(例えば、皮下組織)又は腫瘍内組織内の場所であってよい。実施形態は、乾燥又は凍結乾燥された薬剤を配備することにも用いられてよい。本発明の実施形態は、複雑な製造工程を必要とせずに、ユーザの安全性向上の為に、信頼性の高い針引き込みを実現する。
【0012】
更に、本発明の実施形態が提供する構成は、製薬用途に容易に適合し、製薬用途に関する規制に容易に準拠する材料及び部品を利用し、これらの多くは、既製品の、又は標準的な部品と見なされつつある。更に、本発明が提供する部品及び器具は、針引き込み機構を有しない従来型の注射器と外観が同等であり、開業医や自分で投与する患者などのエンドユーザにとって人間工学的であり、非常に望ましい統合化された安全機能を提供する。
【0013】
本発明の実施形態は、針の引き込みを活用して、インプラントをその標的領域に対して露出させることにより、インプラントを配置する。臨床医は、従来型の注射器の操作、及び従来型の注射器によって提供される標的化しやすさに慣れている。そのような注射器の本質的態様を利用することにより、且つ、引き込み機構を組み込むことにより、本発明の発明者らは、インプラントを正確且つ安全に配備する針引き込み式注射器を利用する、直観的で使いやすい送達システムを開発した。
【0014】
第1の実施形態では、本発明は、針、スタイレット、引き込み機構、作動機構を含み、送達用インプラントを収容する送達システムを提供する。スタイレットは、針とほぼ同軸であって、針の内腔(例えば、針の中空孔)内に配置される。一実施形態では、スタイレットは、一部分が非患者端(即ち、近位端)から針の一部分と重なり合ってよい。インプラントは、針の内腔内の、スタイレットと針の患者端(即ち、遠位端)との間に収容される。引き込み機構を作動させて針の引き込みを引き起こす為に、プランジャロッドなどの作動機構が利用されてよい。最初、スタイレットは針に対して相対的に静止しており、引き込み機構によって針が引き込まれると、送達標的領域内でインプラントが露出する。スタイレットは、引き込まれる針にインプラントが追従しないようにする。スタイレットは、その遠位端が、引き込まれる針の遠位端を通り過ぎてから、針とともに引き込まれる。スタイレットの引き込みのシーケンス及びタイミングは、針の引き込み後にスタイレットの引き込みが起動又はトリガされるようになっており、両部品の引き込みが同じ引き込み機構によって推進されてもよい。所望の引き込みシーケンスが実施されるように、引き込み機構に近接するスタイレットディスクが利用されてよい。引き込み機構とスタイレットディスクとの間の距離によって、針に対して相対的なスタイレットの引き込みのシーケンス及び/又はタイミングが設定される。
【0015】
送達システムの部品は、注射器用のバレルアダプタとして組み立てられてよい。或いは、送達システム又はその各態様は、注射器の一部分として形成されてよい。バレルアダプタは、取り付け、固定、又は他の方法で注射器バレルの遠位端と接続されてよい。従って、バレルアダプタは、針の保持及び引き込みに必要な部品を含み、標準的なバレルと結合されるように構成される。バレルアダプタは、幾つかの既知の方法によって、バレルの遠位端と結合され、固定されるように構成されている。少なくとも1つの実施形態では、バレルアダプタは、断面形状がほぼ直線である(例えば、少なくともバレルの遠位部分に沿って軸方向にほぼ平行な)バレル、例えば、ガラス製又はプラスチック製のストレートバレルと結合されるように構成されている。バレルアダプタは、幾つかの異なる方法で、バレルと結合するように構成されてよい。しかしながら、好ましい一実施形態では、バレルアダプタは、少なくとも近位接続部分が、バレルの遠位部分の内径部に取り付けられて内径部内に存在するように整形されているように構成されている。これにより、バレルアダプタは、あらゆるタイプのバレル、特に標準的な、ガラス製のストレートバレルに対して柔軟に適合可能とされることが可能になり、このことは、製造上の潜在的利点及び運用コストの節約につながる。
【0016】
従って、本発明のバレルアダプタは、針安全機能が一体化された注射器の生産の為に、標準的なバレルへの針引き込み機構の組み付けが単純化されている。本発明のバレルアダプタは、標準的なバレルに対する様々な針アセンブリの選択及び適合を可能にする。言い換えると、本発明の設計及び構成は、ユーザが特定の設計又は寸法の針及び/又は針サブアセンブリを選択し、これを薬剤送達用の注射器バレルに適合させることを可能にする。従って、本発明のバレルアダプタは、ユーザ又は製薬会社による、薬剤送達器具の更なるカスタマイズを可能にし、これによって、ユーザ又は製薬会社は、バレルアダプタに一体化された引き込み機構を任意のバレルに用いて送達システム注射器を生産することが可能になる。
【0017】
例えば、バレルアダプタ及び針アセンブリは、異なる幾つかの針の長さを提供するように構成されてよい。そして、ユーザは、所望の針の長さを有するバレルアダプタを選択し、これをインプラント送達注射器に適合させてよい。同様に、ユーザは、所望の深さへのインプラント送達を容易にする為に、所望の針の長さに対して適切な、所望のスタイレットの長さを選択してよい。本発明のこの柔軟性は、特に、皮下又は筋肉内の薬剤送達に有用である。本発明のバレルアダプタは、そのような柔軟性を有効にするように構成されてよい。
【0018】
この適応機能を実現するために、1つ以上の追加部品が利用されてよい。例えば、バレルアダプタのバレル先端をバレルに接続する為に、1つ以上の接続部品が利用されてよい。そのような一実施形態では、1つの接続部品(例えば、受け側部品)が、ガラス製バレルの遠位端に固定的に取り付けられてよい。受け側部品は、バレル先端を直接受け、バレル先端を、一体化された引き込み機構と係合させてよい。或いは、バレルアダプタは、受け側部品を係合する為に使用される1つ以上の追加接続部品(例えば、結合部品)を含んでよい。バレルアダプタとバレルとの間の接続を推進する為、且つ、組み立て済み器具用の滅菌バリアを作成する為に、当業者には既知の、他の任意選択部品、例えば、エラストマ封止材が必要とされ、器具に組み込まれてよい。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、インプラントの送達に適合されたインプラント送達注射器を提供し、この送達注射器は、バレル、プランジャアセンブリ、及びバレルアダプタを含む。バレルアダプタは、バレル先端と、付勢部材と、ロック機構と、送達システムと、針アセンブリと、を含む。送達システムは、スタイレットを含む。針アセンブリは、一般に、針及び針ハブを含んでよい。最初の構成では、スタイレットは、上述のように、挿入及び送達に備えて、インプラントとともに、針内に存在してよい。針は、針アセンブリ、ロック機構、付勢部材、及びバレル先端を貫通するように構成され、針の一端がバレル内にあり、針の他端がバレル先端の開口部を貫通する。バレルは、ほぼ円筒形であってよく、その長手軸に沿って、薬剤注射用の遠位端と、注射制御用の近位端とがあってよい。バレルアダプタは、幾つかの既知の方法によって、バレルの遠位端と結合され、固定されるように構成されている。バレルアダプタは、送達注射器のバレルとの結合、又は送達注射器のバレルへの取り付け、又は送達注射器のバレルとの係合が可能である。
【0020】
これらの、バレルアダプタの実施形態のいずれにおいても、付勢部材は、おおむねバレル先端内及びバレルの遠位端内に、固定的に、又は可動に取り付けられる。付勢部材は、バレルの長手軸にほぼ沿って近位方向に伸張するように付勢される。
【0021】
プランジャアセンブリは、インプラント送達及び作動可能なロック構成の作動を開始して針の引き込みを引き起こすように適合されている。プランジャアセンブリは、プランジャロッドを含み、突起基部と係合するか、突起基部を含んでよい。プランジャロッドは、突起基部に接続されてよく、この接続は、幾つかの異なる接続によって行われてよく、例えば、突起基部へのねじ込み、干渉嵌合等によって行われてよい。或いは、プランジャロッドは、単に突起基部と対峙し、突起基部を動かすことによって針の引き込みを開始してよい。更に別の実施形態では、プランジャロッドは、突起基部と一体形成されてよい。好ましくは、少なくとも1つの実施形態では、突起基部は、プランジャロッドの遠位端にあらかじめ形成された形状であってよい。バレルアダプタはバレルの遠位端に取り付けられるが、プランジャアセンブリは、バレルの近位端に取り付けられてよい。突起基部は、例えば、プラスチック材料及び/又はエラストマ材料で構成されてよい。突起基部のサイズは、突起基部がバレルの内径部と摺動可能に接触嵌合するように決定されてよい。或いは、構造の別の要素、例えば、プランジャロッドのある要素によって突起基部の相対的な位置決めが保証される限りにおいて、突起基部は、バレルの内径部から距離を置いて配置されてよい。突起基部は、遠位方向に延びる突起又はプロング(突起)を1つ以上有してよく、これらは、スタイレットディスク側の形状と相補的である。これらの形状の間には十分な隙間があることが好ましく、これは、突起とスタイレットディスクとの間の干渉又は接触をゼロ又は最小限にする為である。スタイレットディスクは、スタイレットディスクの動きによってスタイレットが動くように、スタイレットの近位端に取り付けられている。
【0022】
引き込み機構が作動すると、まず、針アセンブリが引き込まれる。針の近位端に接続されている針ハブが、切り離されたロック機構と、付勢部材の伸張とによって引き込まれるように仕向けられ、これによって、針が引き込まれる。針ハブが引き込まれるにつれて、突起基部が引き込まれる。スタイレットディスクは、突起基部の突起の上を自由に移動するか、或いは突起に対して浮かぶことが可能にされている為、スタイレットディスク及びスタイレットは、最初は引き込まれない。スタイレットディスク及びスタイレットの引き込みが行われるのは、針ハブが、スタイレットディスクと接触するほどの十分な距離を近位方向に軸方向移動してから(即ち、引き込まれてから)であり、その時点では、(針及びスタイレットを含む)全ての部品が一緒に引き込まれる。針ハブからスタイレットディスクまで距離を置くことにより、スタイレットディスク及びスタイレットの引き込みが行われるのが、スタイレットの遠位端が針の遠位端より遠位になるか、針の遠位端と一直線になってからとなり、これによって、スタイレットの引き込みの前に、インプラントが露出して、標的場所に送達される。少なくとも1つの実施形態では、スタイレットディスク及び針ハブの空間配置によって、スタイレットの引き込みが針の引き込みより遅れることが可能になる。
【0023】
本発明の1つ以上の実施形態が、特定の標準部品を任意選択で含んでよい。例えば、本発明のバレルアダプタ構成及び注射器は、1つ以上のOリングを含んでよい。少なくとも1つの実施形態では、バレル内でバレル先端を封止する為に、且つ/又は、バレル内の無菌環境及び容器保全性を確保する為に、且つ/又は、器具部品の軸方向平行移動を可能にする為に、1つ以上のOリングが用いられる。追加又は代替として、バレルアダプタは、引き込み速度の制御を容易にする為に、1つ以上の制御部材を含んでよい。同様に、バレルアダプタは、1つ以上の針ブロック、例えば、クリップ、フラップ、フランジなどを含んでよく、この針ブロックの機能は、引き込み機構の動作開始後又は完了後に針がバレル先端の開口部を通ってバレルから外へ平行移動又は突出するのを防ぐことである。更に、この注射器は、見た目の良さ、使いやすさ、又は他の目的の為に1つ以上の部品を含んでよい。例えば、本発明の1つ以上の実施形態が、指用フランジを含んでよい。
【0024】
本発明の新規な、送達システム、バレルアダプタ、及びインプラント送達注射器の設計は、針アセンブリの取り付けの為に特定のバレル形状又は構成を有することを不要にする。本発明の別の望ましい特徴は、部品数がより少ない、比較的単純化された針アセンブリを提供することであり、これによって、製造コストを最小限に抑え、且つ/又は、引き込み式注射器の大量流通を推進しながら、使いやすく安全な引き込み式注射器を提供することである。本発明の実施形態は又、標準的な市販部品の使用が可能な構成を提供しており、これによって、製造コスト全体の低減、組み立て工程の合理化、並びに、標準的でない材料及び部品にしばしば関連付けられる、規制当局の関心の回避が可能になる。更に、本発明は、直観的で使いやすく、正確に標的化できる構成で、効率的なインプラント送達を実現する。本発明は又、1つ以上のロックシステムを統合することにより、不正使用、注射器の再利用、針刺し損傷を防止又は少なくとも最少化し、且つ/又は、標的の器官又は組織の損傷を防ぐ。
【0025】
従って、本発明の更に別の実施形態では、バレルアダプタと、プランジャアセンブリと、長手軸を有するバレルと、を有するインプラント送達注射器の組み立て方法を提供する。本方法は、バレル先端と、付勢部材と、ロック機構と、スタイレットと、針アセンブリと、を含むバレルアダプタを組み立てるステップと、バレル先端をバレルの遠位端に取り付けるステップと、突起基部及びプランジャロッドを有するプランジャアセンブリをバレルの近位端に取り付けるステップと、を含む。バレルアダプタは、接着剤などにより、バレルの遠位端に固定的に取り付けられてよい。送達注射器の組み立て方法は更に、針内でインプラントを位置決めするステップを含んでよい。
【0026】
プランジャアセンブリは、バレルの近位端に、可動的に取り付けられてよく、この取り付けは、まず、バレル内に突起基部を挿入し、次に、プランジャロッドを挿入することによって行われてよい。或いは、突起基部は、バレルアダプタとともにバレルの遠位端に挿入されてよい。プランジャロッドは、任意選択で、ねじ接続又は別の既知の接続方法により、突起基部内に結合されてよい。或いは、プランジャロッド及び突起基部は、一体形成されて、バレルの近位端に挿入されてよい。
【0027】
少なくとも1つの実施形態では、バレルアダプタは、バレル内に取り付けられる前は、圧縮された構成である。例えば、バレルアダプタがバレル内に取り付けられる前に、付勢部材は、ロック機構とバレル先端との間で、例えば、エネルギ蓄積段階にあって、圧縮係合されてよい。別の実施形態では、これらの部品がバレル内に取り付けられてから、付勢部材が圧縮されて所定位置にロックされてよい。従って、本方法は更に、バレルアダプタをバレルに取り付けた後に、付勢部材を圧縮するステップと、ロック機構を、係合されエネルギ蓄積される位置にロックするステップと、を含んでよい。実施形態によっては、付勢部材を圧縮し、ロック機構をロックする為に、プランジャアセンブリが利用されてよいことが想定されている。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、別の実施形態では、本発明は、バレルアダプタと、プランジャアセンブリと、長手軸を有するバレルと、を有する送達注射器の使用方法に関する。バレルアダプタは、バレルの遠位端に取り付けられてよく、バレル先端、圧縮ばねなどの付勢部材、ロック機構、送達システム、及び針アセンブリを含み、バレルアダプタの部品は、ほぼバレル先端内及びバレルの遠位端内に存在する。プランジャアセンブリは、バレルの近位端に取り付けられてよく、プランジャロッドを含み、少なくとも1つの突起がそこから延びる突起基部と対峙するか、これを含む。バレルアダプタは、バレルの遠位端に、接着剤などにより、固定的に取り付けられてよい。プランジャアセンブリは、バレルの遠位端に、可動的に取り付けられてよく、この取り付けは、まず、バレル内に突起基部を挿入し、次に、突起基部内にプランジャロッドを、ねじ接続又は別の既知の接続方法により、挿入することによって行われてよい。或いは、プランジャロッドは、突起基部と対峙する位置まで進んでよく、バレルのいずれかの端部から、バレル内に位置決めされてよい。
【0029】
本使用方法では、注射器は、スタイレット及びインプラントをそれぞれの初期構成で針内に含み、インプラントの送達に備えて、標的場所に挿入されてよい。プランジャアセンブリのプランジャロッド及び突起基部などの作動機構は、引き込み機構を起動することに利用されてよく、引き込み機構は、少なくとも1つの実施形態では、ロック機構をそのロックされた状態から切り離す。ロック機構は、最初に付勢部材を、保管され、エネルギ蓄積された構成で保持し、ロック機構が切り離されると、付勢部材は伸張することが可能になる。付勢部材の伸張によって、針の引き込みが引き起こされる。最初、スタイレットは、針に対して相対的に静止しており、起動後、引き込み機構によって針が引き込まれると、送達標的領域内でインプラントが露出する。スタイレットは、引き込まれる針にインプラントが追従しないようにする。このようにして、針が引き込まれると、インプラントが送達される。引き込まれつつある針の遠位端がスタイレットの遠位端と一直線になるか、スタイレットの遠位端を通り過ぎると、スタイレットは、針と一緒に引き込まれてよい。好適なことに、スタイレットは、インプラントが露出して、送達標的領域に送達されてから、針と一緒に引き込まれる。
【0030】
本使用方法は、針を標的場所に挿入するステップと、プランジャアセンブリを押し下げることにより、ロック機構をトリガして、最初にスタイレットを針に対して相対的に静止した状態に保持しながら、付勢部材をその、付勢部材と針アセンブリとの間の接触によるエネルギ蓄積状態から解放して、針アセンブリがバレル内に引き込まれることを引き起こすステップと、インプラントを露出させて標的場所に配置するステップと、スタイレットの遠位端が針の遠位端を遠位方向に越えた後にスタイレットを引き込むステップと、を含む。更なる実施形態では、針及びスタイレットがバレル内及び/又はバレル先端内にほぼ引き込まれてから、両部品をロッククリップでロックすることにより、送達注射器の再利用を防ぐことが可能である。少なくとも1つの実施形態では、ロック機構は、ロック機構と係合するバレル先端に対するインタフェースを含んでよい。ユーザによる起動の後、ロック機構を、バレル先端との係合から解放することが、針ハブを用いて開始されてよい。ロック機構がバレル先端から解放されることにより、付勢部材は、伸張して、針アセンブリを、バレルの長手軸にほぼ沿って近位方向に引き込むことが可能になる。ロック機構が解放され、付勢部材が起動されると、本発明の実施形態によっては、針アセンブリ全体が引き込まれ、実施形態によっては、針を含む、針アセンブリの特定の部品だけが引き込まれる。同様に、本発明の実施形態によっては、ロック機構は、針アセンブリとともに引き込まれ、実施形態によっては、ロック機構は、ほぼ静止したままで、針アセンブリ又はその部品が動くことを可能にする。
【0031】
本明細書を通して、特に断らない限り、「備える(comprise、comprises、及びcomprising)」、又は関連語句である「含む(includes)」又は「からなる(consists of)」は、排他的ではなく包含的に使用される為、述べられた整数または整数群は、他の1つ以上の述べられていない整数または整数群を含んでよい。後で詳述されるように、本発明の実施形態は、医療器具業界では標準部品と見なされてよい1つ以上の追加部品を含んでよい。それらの部品、及びそのような部品を含む実施形態は、本発明の想定内であり、本発明の広さ及び範囲に収まるものと理解されたい。
【0032】
以下の、本発明の非限定的な実施形態は、本明細書では、以下の図面を参照して説明される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態は、針の引き込みを活用してインプラントを配備する。インプラントは、例えば、薬剤溶出であってよく、或いは、放射線放射ビーズであってよい。本開示の目的上、「インプラント」という用語は、デポ、インプラント、ビーズ、ピル、カプセル、ノジュール、薬剤溶出器具、乾燥又は凍結乾燥された薬剤又は処理剤、又は他の形態のインプラントなどを、一括して、又は個別に含むように使用される。
【0035】
臨床医らは、従来の注射器によって提供される標的化及び操作の容易さになじんでいる。そのような注射器の基本態様を利用し、且つ、引き込み機構を組み込むことにより、本発明の発明者らは、針引き込み式注射器を利用してインプラントを正確且つ安全に送達又は配置する、使いやすい送達システムを開発した。インプラントは、標的場所内の、針が配置されたポイントに配備される。これにより、インプラントの正確な配置が可能であり、針の配置が、送達場所に関して、既存のインプラント器具より決定論的になる。既存のインプラント器具は、一般に、デポ又はインプラントの送達の為にインプラントをカニューレから押し出す手段を利用する。そのような器具は、不正確である場合が多い。これは、ユーザが慣例的にカニューレの先端を標的場所に配置しようとする為である。従来の方法によって、カニューレの先端が標的場所にあって、インプラントがカニューレから押し出されると、結果として、インプラントの送達が不正確になる。この不正確さを補償する為に、ユーザは、インプラントが標的場所のより近くに押し出されるように、カニューレの先端を、ある推定距離だけ標的場所より「手前に配置」することを選択する場合がある。本発明の実施形態は、根本的に異なるアプローチを利用する。このアプローチは、標的送達の精度を大幅に高め、且つ、ユーザにとって操作しやすいものである。インプラントを注射針の先端に配置し、注射針を所望の標的場所に挿入し、注射針を引き抜くか引き込んでインプラントを配置することにより、標的場所へのインプラントの送達の精度が、従来のインプラント手段による場合より大幅に高められる。更に、インプラント処理の間はインプラントの位置が変化しない為、ユーザによる計算又は推定が全く不要となることから、本発明の実施形態は、ユーザが操作しやすい。更に、本発明の実施形態は、望ましい安全な機能を提供する。これは、注射針がインプラント送達注射器のバレル及び/又はバレル先端にほぼ完全に引き込まれる為に、針刺し損傷のリスクがなくなる為である。
【0036】
第1の実施形態では、本発明は、送達システムを提供し、送達システムは、針と、スタイレットと、引き込み機構と、作動機構と、送達用インプラントと、を含む。スタイレットは、針とほぼ同軸であって、針の内腔(例えば、針の中空孔)内に配置される。一実施形態では、スタイレットは、一部分が非患者端(即ち、近位端)から針の一部分と重なり合ってよい。インプラントは、針の内腔内の、スタイレットと針の患者端(即ち、遠位端)との間に配置される。引き込み機構を起動して針の引き込みを引き起こす為に、プランジャロッドなどの作動機構が利用されてよい。最初、スタイレットは針に対して相対的に静止しており、引き込み機構によって針が引き込まれると、送達標的領域内でインプラントが露出する。スタイレットは、引き込まれる針にインプラントが追従しないようにする。スタイレットは、その遠位端が、引き込まれる針の遠位端を通り過ぎてから、針とともに引き込まれる。スタイレットの引き込みのシーケンス及びタイミングは、針の引き込み後にスタイレットの引き込みが起動又はトリガされるようになっており、両部品の引き込みに同じ引き込み機構が使用されてよい。所望の引き込みシーケンスが実施されるように、引き込み機構に近接するスタイレットディスクが利用されてよい。引き込み機構とスタイレットディスクとの間の距離によって、針に対して相対的なスタイレットの引き込みのシーケンス及び/又はタイミングが設定される。
【0037】
本発明の実施形態は、複雑な製造工程を必要とせずに、針引き込みを利用する、正確なインプラント配置機構を提供する。本発明の実施形態は、注射器アセンブリを比較的単純化して部品点数を少なくすることにより、製造コストを最小限に抑えながら、使いやすく安全なインプラント配置注射器を提供する。本発明の新規なバレルアダプタは、特に、針アセンブリ及び引き込み機構をバレルと一体化する為に、様々な構成及び材質の主薬剤バレルに適合可能であり、例えば、好ましいことに、ストレートバレル型のガラス製又はプラスチック製バレルに適合可能である。従って、本発明の適合可能なインプラント配置機構及び針引き込み機構は、標準的なバレル、例えば、ガラス製ストレートバレルへの柔軟な取り付け、固定、装着、又は他の結合が可能である。バレルアダプタは、幾つかの異なる方法で、バレルと結合するように構成されてよいが、好ましい一実施形態では、バレルアダプタは、少なくとも近位接続部分が、バレルの遠位部分の内径部に取り付けられて内径部内に存在するように整形されているように構成されている。従って、バレルアダプタは、標準的なストレートバレルの注射器に接続されてよく、これは、アダプタの少なくとも近位部分がバレルの遠位端に挿入されて、取り付け、固定、装着、又は他の方法でバレルの遠位端と結合されることによって、行われてよい。バレルアダプタの、バレルへの接続は、例えば、干渉嵌合アセンブリ、スナップ嵌合アセンブリ、及び/又はねじ嵌合アセンブリによって行われてよい。当業者には当然のことながら、これらの接続方法は、いずれも、ロック機能も含んでよく、ロック機能は、例えば、接続が行われていることをユーザに通知して、使用中又は使用後にバレルアダプタが送達注射器から切り離されることを防ぐ。本発明の少なくとも1つの実施形態では、以下で詳述されるように、バレルアダプタは、ねじ嵌合アセンブリによって、バレルに接続されてよい。本発明の新規なバレルアダプタ設計は、従って、針アセンブリの取り付けの為に特定のバレル形状又は構成を有することを不要にする。これによって製造コストを大幅に下げることが可能になり、特に、特注のガラス製バレルの製造に関連付けられる製造コストを大幅に下げることが可能になる。本発明の新規なバレルアダプタを、例えば、ガラス製又はプラスチック製のストレートバレルに取り付けることにより、より複雑なバレル形状の製造に関連する製造工程及び製造コストを単純化することが可能になる。
【0038】
本発明のバレルアダプタは、使用時に選択可能であってよく、或いは、製造時にあらかじめバレルに取り付けられてよい。選択可能の場合、本発明の設計及び構成は、ユーザが特定の設計又は寸法の針及び/又は針アセンブリを選択し、これを薬剤デポ又は薬剤インプラントの送達の為の注射器バレルに適合させることを可能にする。例えば、バレルアダプタ及び針アセンブリは、異なる幾つかの針の長さ又は太さを提供するように構成されてよい。そして、ユーザは、所望の針寸法を有するバレルアダプタを選択し、これをインプラント送達注射器に適合させてよい。
図1及び
図2に示された実施形態では、バレルアダプタは、バレルに直接取り付けられている。この適応機能を実現する為に、1つ以上の追加部品が利用されてよい。例えば、バレルアダプタのバレル先端をバレルに接続する為に、1つ以上の接続部品が利用されてよい。そのような一実施形態では、1つの接続部品(例えば、受け側部品)が、バレルの遠位端に固定的に取り付けられてよい。受け側部品は、バレル先端を直接受け、バレル先端を、一体化された引き込み機構と係合させてよい。或いは、バレルアダプタは、受け側部品を係合する為に使用される追加接続部品(例えば、結合部品)を含んでよい。上述のように、且つ、以下で詳述されるように、本発明の少なくとも1つの実施形態では、バレルアダプタとバレルとの接続は、対応する雄ねじ及び雌ねじのピッチ部分又は部品を有して、バレルアダプタ及びバレルの両方とねじ嵌合するアセンブリによって行われてよい。バレルアダプタとバレルとの間の接続を容易にする為に、当業者には知られている他の任意選択部品(エラストマ封止材など)も必要であってよく、器具に組み込まれてよい。バレルアダプタはどれも、針の寸法に関係なく本質的に同じ部品を含んでいるが、インプラントの配置、並びに、針及びスタイレットの、バレル内への完全な引き込みを促進する為にカスタマイズされてよい。例えば、より長い針の引き込みを促進する為には、より長い付勢部材(例えば、より長いばね)が必然的に選択又は修正されてよく、このことは、当業者であれば容易に理解されるであろう。同様に、より長い、或いは、より太い針を利用する場合は、より長い、或いは、より太いスタイレットが必要であってよい。そのような寸法も調節されてよく、それは、例えば、最初は送達針内に保持されている、より長い、又は、より短いインプラントの送達を促進する為である。
【0039】
本発明の実施形態が提供する構成は、製薬用として容易に使用可能な材料及び部品を利用してもよく、それらの多くは、既製品の、又は標準的な部品と見なされつつある。特に、使用される材料は、抽出物の含有率が低い材料であってよい。これにより、全体の製造コストが下がり、組み立て工程が合理化され、標準的でない材料及び部品の使用にしばしば関連付けられる、規制当局の不必要な関心が回避される。更に、本発明が提供する部品及び器具は、針引き込み機構を有しない従来型の注射器と外観が同等であり、開業医や自分で投与する患者などのエンドユーザにとって人間工学的に魅力的であり、非常に望ましい統合化された安全機能を提供する。従って、これらの実施形態は、既存の製造工程に容易に組み込まれる、新規且つ高コスト効率の部品及び器具を提供する。本発明のこれらの態様は、非常に好ましい機能特性及び外観特性を提供することが可能であり、ある範囲の様々な構成を作成する為に修正されてよい。
【0040】
本発明の注射器は、針刺し損傷につきものの、針の偶発的な露出を防ぐ安全機能が組み込まれた、薬剤インプラントの標的送達を可能にする。上述のように、且つ、図面で詳細に示されるように、ユーザは、本発明の送達注射器を利用して薬剤インプラント送達の諸段階を実施することが可能であり、これらの段階は、針の挿入、針引き込みの起動、インプラントの送達、及びスタイレットの引き込みを含む。本発明の実施形態は、注射器の再使用、及び/又は針刺し損傷を防ぐか、少なくとも最小限に抑える為に1つ以上のロックシステムを統合することにより、製造のコスト効率が高く、医療従事者及び自分で投与する患者にとって使いやすい、非常に望ましい製品を実現する。そのようなロックシステムとして、例えば、引き込まれた針が注射器の端部から再度伸張することを阻止する針引き込み機構及び/又は構成が含まれてよい。本発明のバレルアダプタ及び注射器の新規な特徴及び機能性は、幾つかの安全上の利点をユーザに提供する。例えば、ロック機構は、薬剤の用量が完全に送達されたこと、引き込み機構が起動されたこと、針が引き込まれたこと、並びに、注射器が安全に廃棄できることを、視覚的、聴覚的、且つ/又は触覚的にユーザにフィードバックするように構成されてよい。
【0041】
本発明の部品は又、使用後には、部品、そして注射器全体の破壊が進むように構成されてよい。そのような統合された安全及び破壊は、注射器の再使用を不可能にし、器具の安全特性を高める。例えば、針引き込み後に針がバレル先端から出て
遠位方向に平行移動することを防ぐように、任意選択の針ブロックが構成されてよい。プランジャロッドが押し下げられ、針が近位方向に軸方向移動すると、この構成では、結果として、ユーザが力をかけると針がバレル内で曲がる。
【0042】
本発明によって有効化される別の安全機能は、針引き込みの速度を制御できることである。針引き込みが制御されると、薬剤用量の送達後の患者の損傷が防がれる。これは、引き込み起動後の付勢部材の伸張の速度を制限する1つ以上の摩擦部材のような能動部品によって、又は、伸張がより遅い付勢部材の選択などの受動部品によって、促進可能である。
図1及び
図2に示された実施形態では、引き込みは、プランジャロッド及び突起基部によって制御される。針引き込みが起動されるときに、ユーザは、まだ、プランジャロッドの近位端に接触していて力をかけている。付勢部材が伸張されると、付勢部材による軸方向力が近位方向にかかって、針及び/又は針アセンブリが引き込まれる。この作用によって突起基部に力が伝わり、突起基部は、引き込み直後の針ハブ、及びプランジャロッドと接触する。針ハブ及び突起基部によってバレル内部に対して引き起こされる摩擦により、針アセンブリの引き込み速度が制限される。ユーザは、プランジャロッドにかけている力を抜きながら、引き込み速度を制御することも可能である。この制御された引き込みは、安全性を高め、患者が感じる痛みを軽減するので、注射器ユーザにとって非常に望ましい。
【0043】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面に関して、より詳細に説明する。これらは、非限定的な実施形態に過ぎないこと、並びに、他の同様な実施形態も、本発明の想定内であり、本開示の広さ及び範囲に収まることを理解されたい。
【0044】
本明細書において、送達システム、注射器、バレル、バレルアダプタ、又は本発明の部品のいずれかの相対位置について記載される場合、「軸方向の」又は「軸方向に」という語句は、一般に、注射器又はバレルが好ましく形成される際の中心となる長手軸「A」を指しているが、注射器又はバレルは、長手軸「A」に対して必ずしも点対称ではない。「半径方向の」という語句は、主に、軸「A」に対して垂直な方向を指す。「近位の」、「後ろの」、「後ろへ」、「後方の」、又は「後方へ」という語句は、主に、患者に挿入される針端部から離れる(
図1で大まかに「P」として示されている)軸方向を指す。「遠位の」、「前の」、「前へ」、「押し下げられた」、又は「前方へ」という語句は、主に、患者に挿入される針端部に向かう(
図1で大まかに「D」として示されている)軸方向を指す。「ばね」という用語は、本明細書においては、所与の方向に圧縮されることによって伸張することを可能にされてよい付勢部材、例えば、実質的にらせん巻きコイルを示唆していることを理解されたい。本明細書で詳述される実施形態において説明及び利用されている構成のようなばねが利用されてよいが、他のタイプの付勢部品も、同じ目的で容易に使用されてよく、且つ、本発明の広さ及び範囲に含まれることも、本発明の想定の範囲内である。例えば、圧縮ばね、ねじりばね、定荷重ばね、引張ばね、板ばねなどのばね、及び、同じタイプ又は異なるタイプのばね又は他の構造物の組み合わせが、本発明の範囲内で利用されてよく、このことは、当業者であれば理解されるであろう。追加又は代替として、ばね以外の付勢部材も、同様の目的で使用されてよい。付勢部材の非限定的な例として、放出可能なエネルギを蓄積するばね、弾性素子などの素子がある。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、付勢部材は、ばね、例えば、圧縮ばねであることが好ましい。
【0045】
本明細書では、「ガラス」という用語は、他の同様な、一般にガラスを必要とする医薬品グレードの用途での使用に好適な無反応材料を包含することを理解されたい。「プラスチック」という用語は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方を包含してよい。熱可塑性ポリマーは、熱によって、その元の状態まで再軟化させることが可能であるが、熱硬化性ポリマーは不可能である。本明細書では、「プラスチック」という用語は、主に成形用熱可塑性高ポリマーを指し、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、又はアクリル樹脂などを指し、これらは、典型的には、他の成分、例えば、硬化剤、充填材、補強材、着色材、及び/又は柔軟剤等も含み、熱及び圧力による形成又は成形が可能である。本明細書では、「プラスチック」という用語は、プラスチックと相互作用する可能性があるか、相互作用以外の方法でプラスチックから治療用液体に入りうる置換基によって分解される可能性がある治療用液体と、直接接触する用途での使用が承認されているガラス或いはゴム状エラストマを包含しない。本明細書では、「エラストマ」、「エラストマの」、又は「エラストマ材料」という用語は、主に、プラスチックより容易に変形可能であるが、医薬品グレードの流体との使用が承認されていて、浸出やガス移動が起こりにくい架橋熱硬化性ゴム状ポリマーを指す。本明細書では、「流体」という用語は、主に液体を指すが、注射器の流体収容部分の内側において、液体内に分散している固体の浮遊物、及び液体内に溶けているか、別の形で液体内に共存するガスも包含してよい。
【0046】
更に、本発明の器具に利用される材料は、治療用の流体又は薬剤に対して実質的に無反応であり、医薬品グレードの用途での使用に好適である。そのような、本発明の新規な構成及び送達注射器は、安定性及び保存期間の増強されたパラメータをインプラント及び薬剤の送達器具に与える。更に、保管中並びに運搬中に薬剤インプラントを所定位置に保持する為に、既知の方法及び材料が修正且つ/又は利用されてよい。一般に、針の挿入及びインプラントの配置までインプラントを保持すべく、針の遠位端に栓をする為に、ポリマーを含む、ある範囲の生分解性材料が利用されてよい。例えば、この目的には、ポリマー(PLGA、CAHP等)のマイクロ堆積が利用されてよい。使用されるポリマーの性質は、標的部位に依存してよく、例えば、水性部位又は水分含有部位における水溶性ポリマーの選択に依存してよい。同様に、栓は、インプラントと同じ材料で構成されてよく、例えば、インプラントをコーティングして密封する為に、栓に使用されているポリマーと同じポリマーが利用されてよい。インプラントは、針の遠位先端に栓をする前又は後に、針内に配置されてよく、これは、バレルアダプタ及び送達注射器の組み立て及び製造を容易にする為に必要である場合がある。例えば、器具の組み立て時に遠位端からインプラントを挿入することが必要であれば、インプラントは、針の遠位先端に栓をする前に針内に配置されてよい。これが必要となるのは、例えば、バレルアダプタがバレルに固定されてからインプラントが挿入される場合であろう。一方、インプラントは、針の遠位先端に栓をした後に、針内に配置されてよい。これが利用されるのは、例えば、インプラントがバレルアダプタに挿入されてから、バレルアダプタが送達注射器のバレルに組み付けられる場合であろう。針カニューレ内に栓を配置する為に、幾つかの手法が利用されてよい。例えば、栓は、針カニューレの遠位端又は近位端のいずれかからカニューレに挿入されてよい。或いは、栓は、針カニューレ内に形成されてよい。例えば、液体ポリマーが、供給、散布、又は別の方法で針カニューレに入れられてよく、その少なくとも一部分が固化又はゲル化して、ほぼ固定状態の栓になるか、そうなることが可能になる(即ち、動くことがユーザによって必要とされるまで動かなくなる)。当業者であれば、他の幾つかの可能な手法が自明であろう。
【0047】
同様に、スタイレット先端の表面処理は、スタイレットに対するインプラントの非特異的接着及び特異的接着を防ぐことを想定されており、バレルアダプタ及び送達注射器の組み立て及び製造に関連して、任意の作業順序で実施されてよい。例えば、スタイレット先端の表面の親水性を最大化する処理を利用して、スタイレットの処理、及び/又はスタイレット先端のコーティングが行われてよい。スタイレット及び他の部品が、本発明の実施形態の動作に関して適正に機能することが可能であるように、バレル先端を含むバレルアダプタ部品に利用される材料は、一般に、非特異的接着及び特異的接着を防ぐ材料であってよい。そのような材料、及びそれらの選択については、当業者であれば自明であろう。
【0048】
本発明の1つ以上の実施形態が、特定の標準部品を更に含んでよい。例えば、本発明のバレルアダプタ構成及び注射器は、1つ以上のOリングを含んでよい。少なくとも1つの実施形態では、バレル内でバレル先端を封止すること、及び/又は、バレルの薬剤チャンバ内での無菌環境及び容器保全性を確保することの為に、1つ以上のOリングが使用される。追加又は代替として、バレルアダプタは、引き込み速度の制御を容易にする為に、1つ以上の制御部材を含んでよい。同様に、バレルアダプタは、1つ以上の針ブロック、例えば、クリップ、フラップ、フランジなどを含んでよく、この針ブロックの機能は、引き込み機構の動作完了後に針及びスタイレットがバレル先端の開口部を通ってバレルから外へ平行移動又は突出するのを防ぐことである。
【0049】
更に、この送達注射器は、見た目の良さ、使いやすさ、又は他の目的の為に1つ以上の部品を含んでよい。例えば、当業者には当然のことながら、本発明の1つ以上の実施形態が、指用フランジを含んでよい。指用フランジは、バレル又は送達注射器の任意の部分に沿って、あらかじめ形成されてよく、又は、バレル又は送達注射器に接続されたり、貼り付けられたりする独立部品であってよい。少なくとも1つの実施形態では、指用フランジは、バレルの近位端にある、あらかじめ形成された部品である。指用フランジは、ユーザが人差し指と中指をフランジに載せることを可能にするように構成されてよく、且つ、ユーザが親指でプランジャを押し下げて薬剤を注射する際のてこ接点を提供してよい。そのような部品の位置、形状、数、及び材料は、当業者には当然のことながら、任意の数の所望の特性を満たす為に、様々であってよい。
【0050】
同様に、バレルアダプタ及び送達注射器の部品は、本明細書では独立部品として記載されているが、これらの部品の特定の集まりを組み合わせることにより、個別部品の機能を実施できる単一部品が形成されてよいことも本発明の想定内である。例えば、上述のように、少なくとも1つの実施形態では、針封止材が与えられた場合、針ハブ及び針封止材は、2つの機能を提供する1つの統合部品であってよい。更に、当業者には当然のことながら、送達注射器の部品は、一体形成部品として、或いは、個別部品又は単一部品として製造されてよい。上述のように、指用フランジは、バレル自体の一部分として、製造工程においてあらかじめ形成される部品であってよい。従って、少なくとも1つの実施形態では、指用フランジは、バレルのガラス製指用フランジ延長部分であってよい。更に、バレルアダプタの部品は、本明細書では独立部品として記載されているが、複数の機能を有する統合部品であってよい。例えば、突起基部は、プランジャの一部分、又はプランジャを構成する個別部品であってよい。同様に、突起又はプロング(突起)は、突起基部の延長部分であってよく、或いは、突起基部を構成する個別部品であってよい。これについては、以下で詳述する。部品及びそれらのアセンブリの構成は、組み立て工程、器具パラメータ、及び他の所望の特性に基づいて、様々であってよい。
【0051】
図1は、本発明による送達注射器10の一実施形態の等角図を示す。
図2は、
図1に示された送達注射器10及びその部品の分解図を示す。本発明によれば、プランジャアセンブリ12を有する注射器バレル18に取り付けられるべく、バレルアダプタ20が与えられる。本発明の実施形態の一利点として、バレルアダプタ20のバレル先端32は、任意の適切な方法によって任意の標準的なバレル18と結合されるように構成されてよい。バレル18は、プラスチック製バレル、ガラス製バレルであってよく、又は、他の任意の既知の、医療器具に使用される材料から作られてよい。バレル18は、先細、非円筒、又はほぼ直線状であってよい。製造の観点から好ましい一実施形態では、バレル18は、直線状のガラス製バレルシリンダである。1つ以上の実施形態では、バレル18は、例えば、標準的な、既製品の部品であってよく、このことは、製造の効率化及び運用コストの節約という価値をもたらす。更に、送達注射器10が組み立てられた後にプランジャアセンブリ12がバレル18から外れることを阻止又は防止することが可能なバレルキャップ16が設けられてよい。バレル18又はバレルキャップ16は(図示されたように)指用フランジを含んでよい。
【0052】
本発明の実施形態は又、送達注射器市場において、他の顕著な利点も有効にする。例えば、1つ以上の実施形態が、標準部品、例えば、標準的なプランジャロッド、バレル、バレルキャップ、剛体の針シールドなどを利用することにより、特注部品や射出成形部品の必要性を大幅に減らすことが可能である。例えば、実施形態によっては、送達注射器10は、数ある可能な標準部品の中でも特に、標準的なプランジャロッド14及び剛体の針シールド(図示せず)を利用してよい。本明細書で用いられる封止材は、設けられるとすれば、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)被覆ゴム栓/封止材であってよく、これは、例えば、ペンシルバニア州リオンビルのウエストファーマシューティカルサービシズインコーポレイテッド(West Pharmaceutical Services, Inc.,)から「フルロテック(FluroTec)」の商品名で、又は、ベルギーのダットウィラーファルマパッケージング(Datwyler Pharma Packaging)から「オムニフレックス(Omniflex)」の商品名で容易に入手可能である。他の部品も同様に、標準的な、既製品の部品であってよく、このことは、本発明の実施形態の大きな利点である。本発明の実施形態のこの利点は、製造の効率化及び運用コストの節約という価値をもたらす。
【0053】
バレルアダプタ20は、当業者には当然のことながら、任意の適切な結合構成によって、注射器バレル18に取り付けられてよい。例えば、バレルアダプタ20と注射器バレル18との結合は、バレルアダプタ20及び注射器バレル18の部品から分離されていてよい結合構造、又は、バレルアダプタ20及び注射器バレル18と一体化されていてよい結合構造によって行われてよい。更に、バレルアダプタ20は、注射器の製造工程の間に、又は使用直前に、注射器バレル18と結合されてよい。あくまで例として、注射器アダプタ20と注射器バレル18との結合は、注射器の製造工程の間に、干渉嵌合、接着剤、スナップ嵌合アセンブリ、及び/又はねじ嵌合アセンブリなどによって行われてよい。或いは、例えば、注射器バレル18及びバレルアダプタ20は、結合用ねじ山又はルアーロック構成を含んでよく、これによって、バレルアダプタ20は、使用直前に、注射器バレル18と結合されてよい。本発明の少なくとも1つの実施形態では、バレルアダプタとバレルとの接続は、対応する雄ねじ及び雌ねじのピッチ部分又は部品を有して、バレルアダプタ及びバレルの両方とねじ嵌合するアセンブリによって行われてよい。別の実施形態では、バレルアダプタ20をバレル18と結合する為に、1つ以上の結合構造が設けられてよい。バレルアダプタ20とバレルとの間の配置の為に、1つ以上のOリング36が与えられてよい。
【0054】
バレルアダプタ20は、注射器バレル18への針28(
図2を参照)の取り付けを容易にする。バレルアダプタ20は、バレル先端32、針アセンブリ42、及び針引き込み機構21を含む。バレル先端32と注射器バレル18との結合は、バレルアダプタ20の、注射器バレル18への取り付けに関して既に説明されたように、任意の適切な方法によって行われてよい。バレル先端32は、典型的には、注射器バレル18と結合されると、
送達注射器10の遠位端となり、針28は、インプラント送達の為の注射中に、バレル先端32の遠位端を貫通して延びる。バレル先端32は更に、後述されるように、針引き込み機構21の一部分を形成する1つ以上の構造を含んでよい。
【0055】
針アセンブリ42は、一般に、針28及び針ハブ24を含んでよい。針アセンブリ42の廃棄を容易にする為に、針ハブ24の周囲にOリング36が与えられてよい。針28は、針引き込み機構21及びバレル先端32を貫通するように構成されており、針28の一端はバレル内にあり、針28の他端はバレル先端32の開口部33を貫通する(
図3Bを参照)。本発明において針引き込みを推進する為に、様々な針引き込み機構が利用されてよい。例えば、針引き込み機構は、あらゆる目的のために参照により全体が本明細書に含まれている国際特許出願PCT/US2012/067793及び米国特許出願第13/693,915号で開示されているものと同様であってよい。少なくとも1つの実施形態では、針引き込み機構21は、付勢部材30と、針アセンブリ42の針28がバレルアダプタ20に引き込まれるまで、付勢部材30を、エネルギ蓄積位置に保持する、作動可能なロック構成31と、を含む。ロック構成31は、針28が引き込まれるまで、付勢部材30をエネルギ蓄積位置に保持する、任意の適切な設計であってよいが、図示されている実施形態では、ロック構成31は、ロック機構22及びロック面32aを含み、これらは、結合されることによって、付勢部材30をエネルギ蓄積位置に保持する、各面の相対位置を維持する。これについては、後で詳述する。ロック構成31が作動すると、付勢部材30によって、針28はバレル先端32に引き込まれる。
【0056】
ロック構成31のそのような一実施形態では、付勢部材30は圧縮ばねである。ばね30の両端部は、ロック機構22の面23と、バレル先端32内の面35とに隣接して配置される。面23、35の相対位置は、注射前には、付勢部材30を、圧縮された、エネルギ蓄積位置に保持し、注射後には、ばね30がエネルギ放出位置に動いて針28を引き込むことを可能にする。ばね30をエネルギ蓄積位置に保持する為に、ロック機構22及びバレル先端32は、切り離されることによってばね30がエネルギ放出位置に動くことを可能にできる結合構造を含む。針引き込み機構21の構造及び動作については、後で詳述する。
【0057】
図1乃至
図5に示された実施形態は、ロック機構22とバレル先端32とが別々である構成を含んでいる。しかしながら、ロック機構22は、バレル先端32の一部分であるか、バレル先端32に取り付けられるように構成されてもよい。上述のように、ロック機構22は、独立部品であってよく、2つの目的を兼ねた部品であってもよく、例えば、2つの目的を兼ねたロック機構22及び針ブロックであってもよい。言い換えると、ロック機構22は、引き込み機構が起動されて針28が引き込まれた後に針28が遠位方向に軸方向平行移動することを防ぐ機能を含むか、起動してよい。代替として、
図2、
図3B、及び
図3Cに示されるように、独立した針ブロック34部品が利用されてよい。
【0058】
図3Bは、
図3Aに示されたバレル先端32の断面図を示す。しかしながら、明確さの為に、各種部品のクロスハッチングは省略されている。
図3Bに見られるように、付勢部材30は、少なくとも一部分がバレル先端32内に存在する。圧縮された状態では、付勢部材30は、遠位端がバレル先端32内に存在し、近位端がロック機構22内に存在する。バレルアダプタ20の各部品は、
図3Cでは分解図で示されている。針アセンブリ42は、針ハブ24及び針28を含んでおり、バレルアダプタ20の他の部品とは別に組み立てられてよく、一緒に組み立てられてもよい。例えば、全ての部品があらかじめ、
図3Aに示されたような、完全なバレルアダプタ20として組み立てられてから、
図1及び
図2に示されたバレル18のようなバレルと結合されてよい。或いは、針アセンブリ42の各部品は、それら以外の、バレルアダプタ20の部品とは別に、組み立てが行われてよい。この第2の構成では、針アセンブリ42は、組み立て時に、バレルアダプタ20ともにバレルの遠位端に取り付けられる代わりに、近位端からバレル内に取り付けられてよい。
【0059】
針引き込み機構21は、任意の適切なトリガによって作動してよい。例えば、図示された実施形態では、針引き込み機構21は、ロック機構22が送達注射器10の遠位端に向かって動くことにより、作動する。そのような構成では、針ハブ24は、ロック機構22との接触、及び/又は、ロック機構22への押し下げを強制されることになる。この接触により、ロック機構22が切り離されてよく、これによって、付勢部材30は、バレル18の長手軸にほぼ沿って近位方向に伸張し、これによって、ロック機構22と、針28を含む、針アセンブリ42の部品とが、バレル18に引き込まれる。針ハブ24は、バレルアダプタ20、送達システム、及び送達注射器10が、主に針挿入及びインプラント送達の為に構成されている第1の段階にある間、針28を、ほぼ固定の位置に保持するように機能してよい。追加又は代替として、ロック機構22は、この、薬剤注射の為の第1の段階の間、針をほぼ固定の位置に保持するように機能してよい。
【0060】
後で詳述されるように、ロック機構22が切り離され、引き込み機構が起動されると、付勢部材又はばね30は、伸張して、針アセンブリ42がバレルの長手軸にほぼ沿って近位方向に引き込まれることを引き起こすことを可能にされる。ロック機構22が解放され、付勢部材30が伸張すると、本発明の実施形態によっては、針アセンブリ42全体が引き込まれ、実施形態によっては、針28を含む、針アセンブリ42の特定の部品だけが引き込まれる。同様に、本発明の実施形態によっては、ロック機構22は、針アセンブリ42とともに引き込まれ、実施形態によっては、ロック機構22は、静止状態をほぼ保ったまま、針アセンブリ42、又はその部品が動くのを可能にする。
【0061】
実施形態によっては、針28の引き込み後に、針28が遠位方向に平行移動してバレル先端32から出ることを防ぐか禁じるブロックが、バレルアダプタ20に与えられてよい。
図3Cは、針ブロック34の一実施形態を示しており、針ブロック34は、バレル先端32の遠位端内に存在してよい。図示された針ブロック34は、針28を通すための中央開口部を有するフランジ60を含む。フランジ60から一対のアーム62が延びており、アーム62の遠位端が一対のクリップ64を支持する。針ブロック34がバレル先端32内に配置された場合、アーム62は、クリップ64同士が押し合うように付勢する。この実施形態では、針28はフランジ60の開口部を貫通して延び、針ブロック34の遠位端にあるクリップ64は、針28が挿入段階及び引き込み段階にあるときに、広がって、針28がクリップ64間に配置されることを可能にする。一方、針28がクリップ64を通過して近位方向に引き込まれると、アーム62は、クリップ64を閉鎖位置に付勢し、針28が遠位方向に貫通するのを不可能にする。組み立ては別の形で構成されてもよいが、この実施形態では、組み立て時に、付勢部材30又はばね30の遠位端が、フランジ60に隣接して配置されてよい。当然のことながら、図示されている針ブロック34は、あくまで例として開示されており、ブロックは別の構成及び構造であってもよい。
【0062】
本発明の別の態様によれば、送達注射器10及び/又はバレルアダプタ20は、注射器バレル18との組み合わせで、インプラント49の送達に利用されてよい。当業者には当然のことながら、インプラント49は、デポ、インプラント、ビーズ、ピル、カプセル、ノジュール、薬剤溶出器具、乾燥又は凍結乾燥された薬剤又は処理剤、又は他の形態のインプラントなどを、一括して、又は個別に指してよく、薬剤、粉末、懸濁液など、又はこれらの任意の組み合わせの一定量供給を含んでよい。インプラント49の配置又は配備を可能にする為に、バレルアダプタ20は更に、針28の内腔29内に配置されるスタイレット54と、好ましくは、複数段階の引き込み機構と、を含む。
【0063】
図3Bを参照すると、針28は、中央内腔29を含む。針ハブ24は、その中央において(例えば、これらの部品及びバレルのほぼ長手軸において)、貫通孔として動作する開口部25を有する。この開口部25は、直径が針28の外径と同じであってよく、これによって、針28は、初期挿入段階の間は針ハブ24内の所定位置に保持され、引き込み機構が起動されたら、針ハブ24の有無にかかわらず、近位方向に軸方向平行移動することが可能になる。針28が針ハブ24を貫通して開口部25内に配置されると、針28の近位端は、中央内腔29を与える。
図2及び
図6を参照すると、動作時には、スタイレット54は、針28の中央内腔29内に配置され、インプラントされるインプラント49が、針28の内腔29内の、スタイレット54の遠位側に収容されてよい。従って、針28は、標的(図示せず)に入ったら、スタイレット54の上を軸方向に、引き込まれてよい。このようにして、スタイレット54は、インプラント49が針28と一緒に引き込まれるのを防ぎ、インプラント49を、標的内の所定位置に残す。スタイレット54がバレル先端32を越えて延びた場合は、スタイレット54も、インプラント49の配置後に針28と一緒に標的から引き込まれるか、針28が引き込まれた後に針28とは別に標的から引き込まれることが可能である。従って、本発明の一態様によれば、インプラント49の注射を実現する為に、少なくとも針28が引き込まれる。別の態様によれば、実施形態によっては、スタイレット54も、インプラント49の送達後に引き込まれる。
【0064】
まず針28の引き込みに注目すると、任意の適切な、作動可能なロック構成31が与えられてよいが、作動可能なロック構成31の一実施形態が、
図3B、
図3C、
図4、及び
図5に示されており、
図4はロック機構22を示し、
図5はバレル先端32を示す。バレル先端32は、ロック面32aを有し、ロック面32aは、ロック機構22と係合可能である。この実施形態では、バレル先端32は、2つのロック面32aを有し、これらは、ロック機構22の受け側構造と係合する。しかしながら、バレル先端32は、1つ以上のロック面32aを有してよいことを理解されたい。
【0065】
図4に示されるように、ロック機構22の受け側構造は、例えば、ロック凹部46の形態であってよい。図示された実施形態では、ロック凹部46は、「L」形の切り欠きであるが、別の形状及び構成も想定されている。ロック機構22の内径部内の1つ以上の溝47により、ロック面32aが、ロック凹部46に滑り込み、ロック機構22が回された後に、ロック機構22のロック凹部46の座部22aに収まって静止することが可能になる。このように、ロック機構22とバレル先端32との位置関係が保持されるのは、この実施形態の付勢部材30が、ロック機構22とバレル先端32とを離すように付勢しているときである。図示された実施形態のロック機構22及びバレル先端32は、ロック凹部46及びロック面32aを、それぞれ含むが、当然のことながら、この係合が、対応する部品同士を係合可能/解放可能に結合するように動作可能な構成を与える限り、ロック機構22及びバレル先端32は、逆に、ロック面及びロック凹部を、それぞれ含んでもよく、或いは、何らかの別の組み合わせを含んでもよい。更に当然のことながら、ロック機構22は、この構成が、注射器内での針28の引き込み可能な配置を提供する限り、全体が別の構造であってもよく、これは、送達注射器10を使用してインプラント49を注射したことの結果として作動可能であることが好ましい。
【0066】
図示された実施形態では、針引き込み機構21は、ロック機構22にかけられた軸方向力によって作動する。軸方向力は別の構造の結果としてかけられてもよいが、この実施形態では、針ハブ24による接触、及び針ハブ24の軸方向の動きが、ロック機構22の、対応する、軸方向の動きを引き起こす。作動中は、ロック機構22は、針ハブ24による接触などによって、遠位方向の平行移動を引き起こされる為、ロック機構22は、対応する1つ以上の、バレル先端32のロック面32aから切り離されることが可能となり、ばね30の伸張、及び引き込み機構の起動が可能になる。ロック機構22の、ロック面32aからの切り離しは、ロック機構22の軸方向平行移動によって引き起こされてよい。追加又は代替として、ロック機構22の、ロック面32aからの切り離しは、ロック機構22の回転、例えば、軸方向平行移動の直後の回転によって引き起こされてよい。回転自体、又は回転と軸方向平行移動との組み合わせにより、ロック機構22は、ロック面32aとの係合から外れることが可能になる。少なくとも1つの実施形態では、この回転は、ねじり付勢の圧縮ばね30が、圧縮直後にロック機構22を、軸を中心にして一方向に回転させることによって、引き起こされてよい。別の実施形態では、この回転は、ロック機構22自体の構成、例えば、ロック機構22の傾斜面形状がこの機能性を有効にすることによって引き起こされてよく、或いは、ロック面32aの成形によって引き起こされてよく、或いは、ロック面32aとロック機構22との間のインタフェースがこの動きを促進し、部品同士の係合及び切り離しを可能にすることによって引き起こされてよい。
【0067】
プランジャロッド14を軸方向平行移動させる為にユーザによってかけられる力は、ロック機構22をバレル先端32から切り離して針28を引き込むことを行わせるべく、作動可能なロック構成31を起動することにも用いられてよい。この目的の為に、スタイレット54が挿入及びインプラント送達の為の所定位置にある間に、針引き込み作動力の伝達が可能であるように、プランジャアセンブリ12のプランジャロッド14部品が配置される。針引き込み作動力をプランジャアセンブリ12から針ハブ24に、そして、最終的にはロック機構22に伝達することを可能にする為に、少なくとも1つの作動突起51が、スタイレット54が注射器バレル18内でほぼ静止状態にとどまる間に、プランジャアセンブリ12の動きの直後に長手方向に進むように配置される。
【0068】
図6に見られるように、本発明の少なくとも1つの実施形態では、スタイレットアセンブリ53が、注射器バレル18内に位置するスタイレットディスク52の形態の支持構造から延びるスタイレット54を含み、スタイレット54をほぼ所定位置に保持する。スタイレットディスク52は、注射器バレル18内で、1つ以上のOリングによって所定位置に保持されてよい。プランジャアセンブリ12からの力の伝達を可能にする為に、少なくとも1つの作動突起51が、バレルを長手方向に貫通するように配置され、スタイレットディスク52は、少なくとも1つの
通路を含み、
通路は、スタイレットディスク52を長手方向に貫通して延び、少なくとも1つの作動突起51を受けるように配置される。図示された実施形態は、そのような突起51及び
通路を2つ含むが、より多く設けられてもよい。更に、図示された実施形態では、この少なくとも1つの
通路が、スタイレットディスク52の外周から距離を置いて配置されているが、当業者には当然のことながら、少なくとも1つの
通路は、代替又は追加で、スタイレットディスク52の外周に沿って配置されてもよく、これによって、注射器バレル18の内壁も、長手方向に延びる
通路の一部分を成すことが可能になる。更に当然のことながら、
通路及び突起51の数は、同じでなくてよい。例えば、単一の
通路が、複数の突起51の
通路であることが可能であってよい。
【0069】
突起51は、基部50から延び、注射器バレル18内で軸方向に可動であるように配置される。突起基部50は、注射器バレル18内で、1つ以上のOリングによって所定位置に保持されてよい。基部50はディスク形状であるように図示されているが、当然のことながら、基部50は、突起51の支持を維持し、バレル18内での突起51の動きを推進する限りにおいて、別の形状であってもよい。動作時には、プランジャアセンブリ12の軸方向の動きが、基部50及び関連付けられた突起51の動きを引き起こして、突起51が針ハブ24と接触する。従って、図示された実施形態では、突起51は、針ハブ24と接触するように作られてよく、その場合、ユーザによってプランジャロッド14にかけられた力が基部50にかかり、少なくともその一部が針ハブ24に伝達される。この伝達により、針ハブ24の面、又はその同様な面が、ロック機構22を押すか、別の方法で、ロック機構22の、バレル先端32のロック面32aとの係合接続からの解放を起動するように仕向けられてよい。ロック機構22がバレル先端32のロック面32aから解放されることにより、付勢部材30(例えば、ばね)は、伸張して、針28を含む針アセンブリ42を、バレル18の長手軸にほぼ沿って近位方向に引き込むことが可能になる。本発明のそのような実施形態では、ロック機構22が解放されて付勢部材30が伸張すると、針28、針ハブ24、及びロック機構22が引き込まれる。
【0070】
当然のことながら、突起51、基部50、及びプランジャアセンブリ12は、個別に組み立てられてよく、或いは、これらのうちの1つ以上の態様が、一体部品として形成されてよく、或いは個別に形成されてから組み立てられてよく、或いは、個別部品のままで送達注射器10の組み立て時又は使用時に互いに係合してよい。
図6に示された実施形態では、突起51、基部50、及びプランジャロッド14は、一体形成され、突起51、基部50、及びプランジャロッド14は、プランジャアセンブリ12が押し下げられると、一体として軸方向に動く。別の実施形態では、例えば、基部50と突起51が一体形成されてよく、その場合は、プランジャロッド14が基部50と係合しており、注射器バレル18内でプランジャロッド14が前方に押されると、基部50及び関連付けられた突起51が動く。
【0071】
組み立て時には、スタイレット54は、針28とほぼ同軸であって、針28の内腔29内に配置される。一実施形態では、スタイレット54は、一部分が、非患者側端部(即ち、近位端P)の方向から針28と重なり合っていてよい。インプラント49は、針28の内腔29内の、スタイレット54と、針28の患者側端部(即ち、遠位端D)との間に配置される。
【0072】
使用時には、針引き込み機構21を起動して針28の引き込みを引き起こす為に、プランジャロッド14などの作動機構が利用されてよい。最初、スタイレット54は、針28に対して相対的に静止しており、針引き込み機構21によって針28が引き込まれると、送達標的領域内でインプラント49が露出する。スタイレット54は、針28が引き込まれるときにインプラント49が針28に追従しないようにする。
【0073】
本発明の一態様によれば、インプラント49が正確に送達されるように、スタイレット54が引き込まれるのは、スタイレット54の遠位端が、引き込まれつつある針28の遠位端を通り過ぎてからである。図示された実施形態では、スタイレット54の引き込みのシーケンス及びタイミングは、引き込まれる針28の遠位端がスタイレット54の遠位端を通り過ぎてからスタイレット54の引き込み機構が起動又はトリガされるようになっているが、両部分の引き込みに、同じ引き込み機構が使用されてよい。引き込みのシーケンスが所望のとおりになるように、針引き込み機構21の近位方向にあるスタイレットディスク52が利用されてよい。針引き込み機構21とスタイレットディスク52との間の距離によって、針28に対するスタイレット54の引き込みのシーケンス及び/又はタイミングが設定される。図示された実施形態では、スタイレット引き込み機構は、針ハブ24とスタイレットディスク52の係合である。
【0074】
図7A乃至
図7Dは、本発明の一実施形態による、バレルアダプタ20、引き込み機構21、及び送達システムを含む送達注射器10を示す図であり、注射器10が針挿入、針引き込み起動、インプラント送達、及びスタイレット引き込みの各段階を経る様子を示している。
図7Aは、バレル18にバレルアダプタ20が取り付けられている様子を示す。梱包時には、バレルアダプタ20は、ユーザを針28から保護する為に、バレル先端32と脱着可能に係合する剛体の針シールド(RNS(rigid needle shield))を含んでよい。
図7Aは、RNSが取り外されて針28が患者への注射の為に露出した注射器を示す。針28の内腔29は、スタイレット54と針先端との間にあって、注射用薬剤インプラント49を収容する。
図7Bは、引き込み機構21が起動された後の注射器を示しており、プランジャロッド14が遠位方向に軸方向押下されており、突起基部50が針ハブ24と接触している。プランジャロッド14が更にわずかに押し下げられると、引き込み機構21が起動され、ロック機構22の軸回転が、例えば、付勢部材30のねじり付勢によって行われることが可能になる。ロック機構22が軸回転すると、ロック機構22は、上述のように、バレル先端32のロック面32aから切り離されることが可能になる。
【0075】
図7Cに示されるように、付勢部材30は、近位方向に軸方向伸張することが可能になる。付勢部材30の近位端がロック機構22を近位方向に押し、これによって、針ハブ24及び針28が押されて、針28がバレル18に引き込まれる。この動作と、スタイレット54が針28と一緒には動かないことと、により、インプラント49が、患者への標的送達の為に露出する。インプラント49が完全に露出して送達された後、スタイレット54は、針28と一緒に引き込まれる。この動作は、スタイレットディスク52が針ハブ24と接触し、両部品が一緒に引き込まれることによって引き起こされる。上述のように、これらの寸法は、スタイレット54の引き込みが、インプラント49が送達された後にのみ行われるように管理されている。
図7Dは、針28及びスタイレット54の引き込みが完了した後の注射器を示す。
図8A乃至
図8Dは、
図7A乃至
図7Dに示された実施形態の拡大断面図であり、注射器が針挿入、針引き込み起動、インプラント送達、及びスタイレット引き込みの各段階を経る際の部品同士の関係を示している。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、ねじ嵌合接続によってバレルに取り付け可能なバレルアダプタを有する送達注射器を提供する。そのような構成は、インプラントをバレルアダプタの針内に装填する自動インプラント挿入プロセスを推進することが可能であり、これについては後で詳述する。
図9Aは、本発明のそのような一実施形態による、ねじ嵌合接続されたバレルアダプタ120を含む送達注射器100の側面立面図を示す。そのような送達注射器は、インプラントを収容したバレルアダプタ120の、送達注射器100のバレル118への取り付けを容易にする為に、
図9Bにおいて明確さの為に透明部品として示されている針キャップ170を利用してよい。バレルアダプタ120は、梱包、輸送、及び/又は組み立てに備えて、針キャップ170内に完全に収容されてよく、針キャップ170内は、例えば、着脱可能なメンブレン171で封鎖された無菌環境である。バレルアダプタ120は、インプラントの挿入、及び送達注射器100のバレル118への最終組み付けの為に、無菌針キャップ170に入れられて、例えば、充填業者又は製薬会社に出荷されてよい。少なくとも1つの実施形態では、バレルアダプタ120の針128の遠位先端が、製造者によって、生分解性ポリマーなどで栓をされてから、バレルアダプタ120を収容した無菌針キャップ170が充填業者又は製薬会社に出荷される。充填業者又は製薬会社は、針キャップ170を、バレル118及び他の、送達注射器100の部品から分離された形で受け取ったら、剥離又は他の方法で着脱可能メンブレン171を取り外し、バレルアダプタ120の近位端からインプラントを挿入してよい。次に、針キャップ170による支援の有無にかかわらず、バレルアダプタ120が送達注射器100のバレル118に取り付け又は装着されてよい。バレルアダプタ120の、バレル118への組み付けが可能となるのは、スタイレット154が、針128と軸方向に一直線に並べられ、針ハブ124の開口部を通って針128の近位端に挿入されている場合のみであるように、送達注射器は構成されている。送達注射器のバレルアダプタ、バレル先端、及び/又は他の部品の構成、寸法、及びデザインは、器具の組み立て及び操作を支援することが可能である。例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態では、バレルアダプタ及び/又はバレル先端は、ほぼ円錐形状であってよく、或いは、ほぼ円錐形状の部分を有してよい。このことは、そのような部品の内部断面も円錐形であることと相互に関連していてよい。この円錐形状又は円錐部分は、例えば、部品同士の正確な位置合わせ(例えば、スタイレット及び針カニューレの円錐の位置合わせ)を可能にすること、組み立て時及びインプラント充填時に、針カニューレの内腔内でのインプラントの配置を確認すること、及び/又は、送達注射器の使用時に、部品同士の適正な位置合わせ、相対的な動き、又は他の動作パラメータを確認することに利用されてよい。
図9Cは、
図9Aに示された送達注射器及びバレルアダプタの、そのような組み立て済み構成での側面立面図を示す。
【0077】
特に、本発明のこれらの実施形態は、1つ以上の突起151が、突起基部150から外れているか、突起基部150とは別個の部品である構成を示している。そのような実施形態では、この1つ以上の突起は、
図1を参照して上述された送達注射器において利用されている突起と同じ相対的機能を実施する。しかしながら、
図9Cに示された実施形態では、突起は、
図1に示されたように突起基部から遠位方向に延びるのではなく、スタイレットガイド155から近位方向に延びる。構成に関係なく、突起151は、送達注射器が各動作段階を経る際に、スタイレット154の位置を制御する為に、スタイレットディスク152が突起151の上を軸方向平行移動することを可能にするように構成されている。
図1に示された実施形態、又は
図9Cに示された実施形態において、突起151は、ユーザによってプランジャロッド114にかけられた力をロック機構122に伝えることによって針引き込み機構を起動することにも利用されてよい。
図10B及び
図10Cは、スタイレットディスク152及びスタイレット154の拡大図を示しており、これらは、送達注射器100の動作中に、スタイレットガイド155及び突起151と相互に作用している。
【0078】
上述のように、本発明の実施形態は、インプラント送達注射器の組み立て、製造、及び操作を単純化することが可能である。これらの工程は、
図10Aに示されるような、任意選択のプランジャガイドアセンブリ112の使用によって促進されることが可能である。一実施形態では、プランジャガイドアセンブリ112は、バレルキャップ116と、基部150を有するプランジャロッド114とを含む。バレルキャップ116は、ポート116Aを有してよく、ポート116Aの中にガイドピン117が配置されてよい。ガイドピン117は、プランジャロッド114と相互に作用してよく、例えば、プランジャロッド114の溝、貫通孔、及びストッパ部材と相互に作用してよく、これは、例えば、送達器具の組み立て、製造、及び操作をガイドする為である。
図11A乃至
図11Cは、本発明の少なくとも1つの実施形態による、プランジャロッド114の側面立面図であって、プランジャロッド114が、ガイドピン117に対して、軸Aを中心にして、矢印Rで示されるように、それぞれ90度間隔で回転している様子を示している。
図11Aは、ストッパ部材114D、貫通孔114A、溝114E、及び基部接続態様114Cを有するプランジャロッド114を示す。基部接続態様114Cは、
図12に示されるように、プランジャロッド114を基部150に接続することに利用されてよい。そのような構成では、ピンガイド117は、ストッパ部材114Dと接触するまでは、溝114E内にあって、プランジャロッド114の軸方向平行移動を可能にしてよい。
【0079】
図11Aに示された構成は、例えば、最初に組み立てられて製造者から充填業者又は製薬会社に出荷される場合に使用されてよい。この構成では、ストッパ部材114Dが、プランジャロッドの遠位方向の軸方向平行移動を阻止する。任意選択で、バレルキャップ116は、プランジャロッド114と相互に作用して、プランジャロッドの近位方向の軸方向平行移動を阻止することに利用されてよい。
図11Bは、プランジャロッド114が、軸Aを中心にして、矢印Rで示される方向に90度回転した後の様子を示しており、ガイドピン117は、溝114Eから貫通孔114Aを経て溝114Fまで動くことが可能になっている。この構成では、充填業者又は製薬会社は、プランジャロッド114を平行移動させて、スタイレットディスク152及びスタイレット154を、最終組み立て及び操作の為の位置に置いてよい。
図11Aに示された構成から、
図11Bに示された構成への移行により、例えば、上述のように、インプラントをバレルアダプタ内に配置してから、バレルアダプタを送達注射器のバレルに取り付けることを可能にできる。送達注射器は、
図11Bに示された構成で、ユーザに出荷されてよい。ユーザは、使用前に、プランジャロッド114を、軸Aを中心にして、矢印Rで示される方向に、更に90度回転させてよい。この回転により、ガイドピン117が、(
図11Cに示されるように)溝114Fから貫通孔114Bを経て溝114Gまで動くことを可能にできる。
図11Cに示された構成では、インプラントの配置、並びに、針及びスタイレットの引き込みを容易にする為に、プランジャロッド114は、遠位方向及び近位方向に自由に軸方向平行移動することが可能になっている。
図12は、送達注射器100の拡大断面図であり(明確さの為にクロスハッチングが省略されている)、ガイドピン117とプランジャロッド114との間の相互作用をバレルキャップ116越しに見ることができる。
【0080】
図13A乃至
図13Dは、送達注射器100が針挿入、針引き込み起動、インプラント送達、及びスタイレット引き込みの各段階を経る際の拡大断面図を示す(明確さの為にクロスハッチングが省略されている)。
図13Aに見られるように、本発明の少なくとも1つの実施形態では、スタイレット154を含むスタイレットアセンブリが、注射器バレル118内に位置するスタイレットディスク152の形態の支持構造から延びて、スタイレット154をほぼ初期位置に保持する。スタイレットディスク152は、1つ以上のOリングによって、注射器バレル118内の所定位置に保持されてよい。特に、スタイレットディスク152及びスタイレット154は、操作の初期段階の間は、Oリング又は同等な手段によって、ほぼ固定位置に保持される。これは、針128が近位方向に引き込まれて、インプラント129が露出して配置されるまで、インプラントを固定位置に保持する為である。この、スタイレットアセンブリの初期位置が保持されるのは、針ハブ124及び針128の引き込み後に、スタイレットディスク152にスタイレットガイド154が接触するまでである。
図13A乃至
図13Dに示されるように、針引き込み機構が起動されて針128が引き込まれると、スタイレット154によって配置されるインプラント129が露出し、その後、スタイレット154がバレル118に引き込まれる。最初にインプラント129を針128の遠位先端の所定位置に保持する為に栓127が利用される場合、栓127は、任意選択で、インプラント129を配置することに追加する形で配置されてよい。
【0081】
図13Aに示されるように、スタイレットガイド155は、プランジャロッド114及び/又は基部150によって突起151にかけられる力によって、針ハブ124と接触してよい。図示された実施形態では、スタイレットガイド155は、針ハブ24と接触するように作られてよく、その場合、ユーザによってプランジャロッド114にかけられた力が基部150にかかり、少なくともその一部が針ハブ124に伝達される。この伝達により、針ハブ124の面、又はその同様な面が、ロック機構122を押すか、別の方法で、ロック機構122の、バレル先端132のロック面との係合接続からの解放を起動するように仕向けられてよい。ロック機構122がバレル先端132のロック面から解放されることにより、付勢部材130(例えば、ばね)は、伸張して、針128を含む針アセンブリを、バレル118の長手軸にほぼ沿って近位方向に引き込むことが可能になる。本発明のそのような実施形態では、ロック機構122が解放されて付勢部材130が伸張すると、針128、針ハブ124、及びロック機構122が引き込まれる。最初、スタイレット154は、針128に対して相対的に静止しており、針引き込み機構によって針128が引き込まれると、送達標的領域内でインプラント129が露出する。スタイレット154は、引き込まれる針128にインプラント129が追従しないようにする。インプラント129が正確に送達されるように、スタイレット154が引き込まれるのは、スタイレット154の遠位端が、引き込まれつつある針128の遠位端を通り過ぎてからである。図示された実施形態では、スタイレット154の引き込みのシーケンス及びタイミングは、引き込まれる針128の遠位端がスタイレット154の遠位端を通り過ぎてからスタイレット154の引き込み機構が起動又はトリガされるようになっているが、両部分の引き込みに、同じ引き込み機構が使用されてよい。
図1を参照して上述された実施形態と同様に、引き込みのシーケンスが所望のとおりになるように、針引き込み機構の近位方向にあるスタイレットディスク152が利用されてよい。針128に対して相対的なスタイレット154の引き込みのシーケンス及び/又はタイミングを設定する為に、針引き込み機構とスタイレットディスク152との間の距離が利用されてよい。
【0082】
針引き込み機構が起動されると、針128が送達注射器100のバレル118内に引き込まれて、インプラント129が、標的場所への配置の為に露出する。針ハブ124及び針128を含む針アセンブリが引き込まれることにより、針ハブ124は、スタイレットガイド155と接触し、これを引き込む。
図13Bに示されるように、スタイレットディスク152及びスタイレット154がほぼ一定の位置で保持されることによって、針128がインプラント129の周囲から引き込まれたときに、インプラント129は、相対的に固定された位置に保持される。
図13Cに示されるように、インプラント129が配置に備えて針128から露出すると、スタイレットガイド155がスタイレットディスク152と接触して、これを引き込み、それによって、スタイレット154を引き込む。特に、針アセンブリ及びスタイレットガイド155が引き込まれると、その結果として、突起151が近位方向に軸方向平行移動する為、プランジャロッド114及び/又は基部150も、近位方向に軸方向平行移動することになる。これにより、ユーザは、プランジャロッド114との接触を維持することにより、針アセンブリの引き込み、並びに、インプラントの配置を制御することが可能になる。
図13Dに示されるように、インプラント配置の最終段階では、針128及びスタイレット154は、完全に引き込まれ、送達注射器100のバレル118内に安全に収容される。上述のように、送達注射器100の機能を制御する為に、任意選択のガイドピン117が、プランジャロッド114とともに利用されてよい。従って、本発明の実施形態は、使いやすさを維持し、針刺し損傷を防ぎながら、薬剤インプラントの、標的場所への正確な送達を可能にする。
【0083】
本発明の実施形態は又、標準的な市販部品の使用が可能な構成を提供しており、これによって、製造コスト全体が下がり、組み立て工程が合理化され、標準的でない材料及び部品にしばしば関連付けられる、規制当局の関心が回避される。例えば、バレルは、特定のプラスチック、ガラス、又は他の任意の、医療グレード製品に一般的に使用される材料から作られてよい。本発明の1つ以上の部品は、特定のプラスチックから作られてもよく、例えば、マサチューセッツ州ピッツフィールドのサビックイノベーティブプラスチックス(SABIC Innovative Plastic)によって「レキサン(LEXAN)」の商品名で販売されているポリカーボネートプラスチックから作られてもよい。同様に、特定のエラストマポリマー又はエラストマゴムが利用されてよく、例えば、ニュージャージー州ペンサウケンのダットウィラーファルマパッケージングUSAインコーポレイテッド(Datwyler Pharma Packaging USA Inc.)によって「ヘルフート(HELVOET)」の商品名で販売されているゴム製品が、針封止材(設けられていれば)や突起基部50などの部品として利用されてよい。当業者には当然のことながら、針については、ステンレス鋼など、様々な医療グレードの金属が利用されてよい。これらの部品、バレルアダプタ、及び送達注射器は、所望のパラメータを満たすために、多種多様な構成において形状及びサイズが決定されてよい。これらの部品、バレルアダプタ、及び注射器は、当該技術分野において周知の多数の工程によって、組み立て、及び/又はインプラント充填が行われてよい。例えば、本発明の部品の組み立ての為に、よく知られた接着剤や、超音波溶接などの溶接方法が用いられてよい。
【0084】
本発明の送達注射器は、従来の注射器と同様に使用されるように構成されている。使用方法は、プランジャアセンブリ12を押し下げて、引き込み機構21の起動及び針28からのインプラント49の送達を推進するステップと、ロック機構22をトリガして、付勢部材30をその、付勢部材30と針アセンブリ42との間の接触によるエネルギ蓄積状態から解放して、針アセンブリ42がバレル内に引き込まれることを引き起こすステップと、インプラント49を標的場所に送達するステップと、インプラント49が送達された後に、スタイレット54を注射器のバレル内に引き込むステップと、を含む。注射器の実施形態に関して上述されたように、ロック機構22、針ハブ24、及び他の部品は、幾つかの様々な方法で、付勢部材30の係合及び解放を可能にするように機能するように構成されてよい。例えば、注射器10では、ロック機構22は、ロック機構22と係合するバレル先端32に対するインタフェースを含んでよい。ユーザによる起動の後、ロック機構22を、バレル先端32との係合から解放することが、針ハブ24を用いて開始されてよい。注射器の別の実施形態では、ロック面32aは、バレル先端32とは別の部品でありながら、注射器10の各部品と同様に機能してよい。送達注射器100の機能性は、本明細書において、送達注射器10に関して記載されたこととほぼ同様である。
【0085】
本発明の送達注射器の使用方法はいずれも、個々の部品の違いに無関係に、比較的似通っている。ロック機構22がその係合状態から解放されることにより、付勢部材30は、伸張して、針アセンブリ42を、バレル18の長手軸にほぼ沿って近位方向に引き込むことが可能になる。ロック機構22が解放され、付勢部材30が起動されると、本発明の実施形態によっては、針アセンブリ42全体が引き込まれ、実施形態によっては、針28を含む、針アセンブリ42の特定の部品だけが引き込まれる。同様に、本発明の実施形態によっては、ロック機構22は、針アセンブリ42とともに引き込まれ、実施形態によっては、ロック機構22は、ほぼ静止したままで、針アセンブリ42又はその部品が動くことを可能にする。任意選択で、この使用方法は、針アセンブリ42がバレル18内に引き込まれた後に、針28が遠位方向に軸方向平行移動することを、針ブロックで阻止するステップを含んでよい。
【0086】
本発明は、バレルアダプタなどの部品アセンブリと、送達システムと、針引き込みを実現する引き込み機構と、そのような安全機構が組み込まれた送達注射器と、そのような送達注射器の製造方法と、それらの使用方法とを提供する。上述のように、バレルアダプタ、送達システム、引き込み機構、及び送達注射器は、幾つかの異なる構成で利用されてよい。例えば、上述のように、本発明の新規なバレルアダプタは、バレルと結合されたり、バレル内に取り付けられたり、或いは他の方法でバレルと接続されたりするように構成されるが、バレルアダプタの部品の幾つかは、バレルに合わせて、あらかじめ形成されることが望ましいであろう。そのような調節は、本発明の実施形態によって想定されており、包含されている。部品は、単一部品、統合部品、又は多目的部品であってよく、これは、上述の実施形態において説明されたとおりである。更に、幾つかの異なる構成が、本明細書に記載の新規な針引き込み機構を利用でき、これらは、針28、スタイレット54、針ハブ24、スタイレットディスク52、及び突起基部50と、関連部品との相互作用を活用してよい。従って、上述の実施例と同様に、本発明のバレルアダプタ及び送達注射器は、本発明の広さ及び範囲にとどまりながら、任意の数の構成において、薬剤インプラント送達を開始し、針引き込みを起動するように、構成、調節、及び利用されてよい。従って、本発明は、本発明の修正及び変形が、添付の特許請求の範囲及びこれらの等価物に収まる限りにおいて、本発明の修正及び変形を包含するものとする。
【0087】
当然のことながら、前述の説明は、本開示のシステム及び手法の実施例を与えている。しかしながら、本開示の他の実装が、細部では上述の実施例と異なりうることが想定されている。本開示又は本開示の実施例へのあらゆる参照は、当該箇所において説明されている特定の実施例を参照するものであって、本開示の範囲に関する何らかの制限をより広く示唆するものではない。特定の特徴に関する全ての区別及び非難の表現は、それらの特徴に関する優先の欠如を示すものであり、特に規定しない限り、このようなことを本開示の範囲から完全に排除するものではない。
【0088】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」、「an」、「the」、及び「少なくとも1つ(at least one)」の各語句、並びに同様の指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方を包含するものとして解釈されるべきである。語句「少なくとも1つ(at least one)」の後に1つ以上のアイテムの列挙が続く使用(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ(at least one of A and B)」は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、列挙されたアイテムから選択された1つのアイテム(A又はB)、或いは、列挙されたアイテムのうちの2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味するものと解釈されたい。
【0089】
本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に参照する為の略記法としての役割を果たすことのみを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、本明細書に組み込まれている。本明細書中で説明される全ての方法は、本明細書中で特に指摘されたり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、任意の好適な順序で実施されてよい。
【0090】
従って、本開示は、準拠法によって許可されているとおり、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されている内容のあらゆる修正及び均等物を包含する。更に、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、本発明のあらゆる可能な変形形態における上述の要素のあらゆる組み合わせが本開示に包含される。
(付記)
付記1のバレルアダプタは、バレルと、前記バレル内を動くように適合されたプランジャアセンブリと、を有する送達注射器に使用されるバレルアダプタであって、前記バレルの遠位端と封止係合するように適合されたバレル先端と、針と、前記針が延びて貫通する針ハブと、を含む針アセンブリであって、前記針は内腔を有し、前記針アセンブリは、少なくとも一部分が、前記バレル先端内に配置され、前記針は、前記針が前記バレル先端の遠位端から延びる注射位置から、前記記針が前記バレル先端又は前記バレルの少なくとも一方の中に配置される引き込み位置まで、動くように適合されている、前記針アセンブリと、スタイレット及びスタイレットディスクを含むスタイレットアセンブリであって、前記スタイレットは、軸方向に摺動可能であって、少なくとも一部分が前記針内腔内に配置され、前記スタイレットは、前記針が前記注射位置にある場合に、前記記針の遠位端から距離を置いて近位方向に配置される、前記スタイレットアセンブリと、針引き込み機構であって、前記針引き込み機構は、付勢部材及び作動可能なロック構成を含み、前記ロック構成は、前記ロック構成がロックされている場合には前記付勢部材をエネルギ蓄積位置に保持するように配置され、前記ロック構成が作動している場合には前記付勢部材を解放するように配置され、前記ロック構成は、前記プランジャアセンブリの押下によって作動可能であり、前記付勢部材は、前記エネルギ蓄積位置から解放された場合に、前記針及び前記スタイレットを前記注射位置から前記引き込み位置まで相対的に動かすように配置されている、針引き込み機構と、を備える。
付記2のバレルアダプタは、付記1に記載のバレルアダプタにおいて、少なくとも1つの、長手方向に延びる突起を含む作動機構を更に含み、前記スタイレットディスクは、前記突起を摺動的に受ける為に配置された、少なくとも1つの、長手方向に延びる通路を含み、前記作動機構は、前記突起が前記針アセンブリ及び前記針引き込み機構の少なくとも一方と係合して前記針引き込み機構を作動させるように、前記突起を前記プランジャアセンブリとともに長手方向に動かす為に、前記バレル内に配置されるように適合されている。
付記3のバレルアダプタは、付記2に記載のバレルアダプタにおいて、前記作動機構は更に、突起基部を含み、前記突起は、前記突起基部から延びていて、前記プランジャアセンブリと一緒に動くように適合されている。
付記4のバレルアダプタは、付記3に記載のバレルアダプタにおいて、前記突起及び前記突起基部は、一体構造である。
付記5のバレルアダプタは、付記3に記載のバレルアダプタにおいて、前記プランジャアセンブリは、プランジャロッドを含み、前記突起、前記突起基部、及び前記プランジャロッドは一体構造である。
付記6のバレルアダプタは、付記2に記載のバレルアダプタにおいて、スタイレット引き込み機構を更に含む。
付記7のバレルアダプタは、付記6に記載のバレルアダプタにおいて、前記針アセンブリ及び前記針引き込み機構の少なくとも一方の少なくとも一部分が、前記針の引き込み後に前記スタイレットアセンブリと係合するように適合されており、前記スタイレット引き込み機構は、前記スタイレットディスクの動きによって作動可能である。
付記8のバレルアダプタは、付記1乃至7のいずれか一項に記載のバレルアダプタにおいて、前記作動可能なロック構成は、前記付勢部材をエネルギ蓄積状態にする為に配置されたロック構成及び少なくとも1つのロック面を含む。
付記9のバレルアダプタは、付記1乃至8のいずれか一項に記載のバレルアダプタにおいて、前記付勢部材は、圧縮ばね、ねじりばね、又はねじり付勢圧縮ばねのうちの少なくとも1つを含み、前記ロック構成は、圧縮又はねじれの少なくとも一方によって作動可能である。
付記10のバレルアダプタは、付記1乃至9のいずれか一項に記載のバレルアダプタにおいて、前記針が前記引き込み位置にあるときに前記針が遠位方向に動いて前記バレル先端を貫通することを阻止する為に配置された針ブロックを更に備える。
付記11のバレルアダプタは、付記1乃至10のいずれか一項に記載のバレルアダプタにおいて、前記針引き込み機構は、少なくとも一部分が前記バレル先端内に配置される。
付記12のバレルアダプタは、付記1乃至11のいずれか一項に記載のバレルアダプタにおいて、前記作動可能なロック構成は、前記バレル先端と係合して前記付勢部材をエネルギ蓄積状態にするロック機構を含む。
付記13のバレルアダプタは、付記12に記載のバレルアダプタにおいて、前記ロック機構を前記バレル先端から切り離すことにより、前記付勢部材がエネルギの少なくとも一部を放出することによって前記針を前記引き込み位置まで動かすことが可能になる。
付記14のバレルアダプタは、付記13に記載のバレルアダプタにおいて、前記ロック機構は、前記針アセンブリの少なくとも一部分と係合する。
付記15の自動引き込み式インプラント送達注射器は、付記1乃至7のいずれか一項に記載のバレルアダプタにおいて、遠位端及び近位端を有するバレルと、前記バレル内を動くように適合されたプランジャアセンブリと、前記バレルの遠位端と封止係合する、付記1乃至7のいずれか一項に記載のバレルアダプタと、を備える。
付記16の送達注射器は、付記15に記載の送達注射器において、前記スタイレットは、スタイレット引き込み位置まで動くように適合されており、前記スタイレット引き込み位置では、前記スタイレットは、前記バレル先端又は前記バレルの少なくとも一方の中に配置され、前記スタイレットアセンブリは、前記針の少なくとも一部分が前記注射位置から引き込まれた後に前記スタイレットが前記スタイレット引き込み位置まで動くことを引き起こす為に、前記針アセンブリの少なくとも一部分と係合するように配置される。
付記17の送達注射器は、付記15に記載の送達注射器において、前記付勢部材は、圧縮ばね、ねじりばね、又はねじり付勢圧縮ばねのうちの少なくとも1つを含み、前記ロック構成は、圧縮又はねじれの少なくとも一方によって作動可能である。
付記18の送達注射器は、付記15に記載の送達注射器において、前記針が前記引き込み位置にあるときに前記針が遠位方向に動いて前記バレル先端を貫通することを阻止する為に配置された針ブロックを更に備える。
付記19の送達注射器は、付記15に記載の送達注射器において、前記針引き込み機構は、少なくとも一部分が前記バレル先端内に配置される。
付記20の送達注射器は、付記15に記載の送達注射器において、前記作動可能なロック構成は、前記バレル先端と係合して前記付勢部材をエネルギ蓄積状態にするロック機構を含む。
付記21の方法は、自動引き込み式送達注射器の組み立て方法であって、バレル内を動くようにプランジャアセンブリを配置するステップと、バレル先端を前記バレルの遠位端と封止係合させるステップと、針アセンブリを、前記バレル先端内及び前記バレル内で、前記針アセンブリの針が前記バレル先端から延びる注射位置と、前記針が前記バレル先端又は前記バレルの少なくとも一方の中に配置される引き込み位置との間で動かすように配置するステップと、スタイレット及びスタイレットディスクを含むスタイレットアセンブリの前記スタイレットの少なくとも一部分を前記針の内腔内に配置するステップであって、前記スタイレットは、前記針の前記内腔内で軸方向に摺動可能となり、前記針が前記注射位置にある場合に、前記針の遠位端から距離を置いて近位方向に配置される、前記ステップと、付勢部材及び作動可能なロック構成を前記バレル内に含む針引き込み機構を配置するステップであって、前記ロック構成は、前記ロック構成がロックされている場合には前記付勢部材をエネルギ蓄積位置に保持するように配置され、前記ロック構成が作動している場合には前記付勢部材を解放するように配置され、前記ロック構成は、前記プランジャアセンブリの押下によって作動可能であり、前記付勢部材は、前記エネルギ蓄積位置から解放された場合に、前記針及び前記スタイレットを前記注射位置から前記引き込み位置まで相対的に動かすように配置されている、前記ステップと、を含む。
付記22の方法は、付記21に記載の方法において、突起を前記プランジャアセンブリと一緒に長手方向に動かすために、少なくとも1つの、長手方向に延びる前記突起を前記バレル内に含む作動機構を配置するステップであって、前記突起は、前記プランジャアセンブリの押下後に前記針引き込み機構を作動させるために針ハブと係合する、前記ステップを更に含み、スタイレットを配置する前記ステップは、前記スタイレットディスクを、前記スタイレットディスク内で長手方向に延びる通路とともに、前記突起を摺動的に受ける為の所定位置に配置することを含む。
付記23の方法は、付記22に記載の方法において、前記作動機構は更に突起基部を含み、前記突起は、前記突起基部から延びていて、前記プランジャアセンブリと一緒に動くように適合されている。
付記24の方法は、付記23に記載の方法において、前記スタイレットを配置する前記ステップは、前記スタイレットがスタイレット引き込み位置まで動くことを引き起こす為に、前記針の少なくとも一部分が前記注射位置から引き込まれた後に、前記スタイレットアセンブリを、前記針アセンブリの少なくとも一部分と係合するように配置することを含み、前記スタイレット引き込み位置では、前記スタイレットは、前記バレル先端又は前記バレルの少なくとも一方の中に配置される。