(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る加熱調理器について、図面を用いて説明する。
なお、以下で説明する構成や制御内容等は、一例であり、本発明に係る加熱調理器は、そのような構成や制御内容等に限定されない。
また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
また、重複又は類似する説明については、適宜簡略化又は省略している。
以下の実施の形態1〜3では、加熱調理器の一例として誘導加熱調理器について説明する。
【0010】
実施の形態1.
(加熱調理器の構成)
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
加熱調理器100は、本体1と、本体1の上面に配置され、耐熱ガラスで形成されたトッププレート2とを有し、トッププレート2の上に載置される鍋やフライパン等の被加熱物を、本体1の内部に設けられた誘導加熱手段により加熱する。本実施の形態1では、トッププレート2の左側手前、右側手前、及び中央側奥に、それぞれ加熱口6が設けられている。なお、以降の説明では、被加熱物のことを「容器10」と称する場合がある。
【0011】
本体1の上面には、加熱条件や加熱指示の入力操作を受け付ける操作部3が、各加熱口6に対応して配置されている。また、本体1の全面には、例えばダイヤルスイッチによって構成され、加熱条件や加熱指示の入力操作を受け付ける前面操作部3aが配置されている。
【0012】
使用者がトッププレート2上に被加熱物である容器10やフライパンを載置し、各加熱口6に対応した操作部3又は前面操作部3aに設けられた操作キーに操作入力を行うと、操作入力にしたがって誘導加熱手段により被加熱物が加熱される。加熱の進行状況や調理モードなどの設定に関する情報は、トッププレート2の上面に各加熱口6に対応して配置された液晶等を有する表示部4に表示され、加熱の火力は火力表示部5に表示される。
【0013】
トッププレート2の加熱口6に対応する部分には、容器10を載置する箇所を示す例えば円形の表示が印刷等によって設けられており、使用者は容器10を載置すべき場所がわかるようになっている。
【0014】
本体1内において加熱口6の下側には、加熱手段である加熱コイル14が設けられている。なお、
図1では、加熱コイル14の配置を破線にて図示している。加熱コイル14に高周波電流を流すことでトッププレート2上に載置された容器10に渦電流が発生し、この発生する渦電流と容器10自身の抵抗により容器10が発熱するので、容器10を直接加熱する加熱効率の良い調理を実現できる。なお、加熱調理器100の加熱口6の加熱手段として電気ヒータ等の他の加熱手段を設けてもよい。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器の主要部の構成と機能を説明する図である。なお、
図2では、一つの加熱口6に対応する構成のみ図示しており、また、例えば水や食材等の測定対象物が入れられた容器10と、測定対象物の温度を測定する温度センサプローブ30とを併せて図示している。
温度センサプローブ30は、本体1とは別体に設けられ、容器10内の測定対象物の温度を測定し、その温度の情報を送信するものである。詳細は後述する。
【0016】
トッププレート2に設けられた加熱口6の下部には、加熱コイル14が配置されている。本実施の形態1では、加熱コイル14は、略環状の内側加熱コイル14aと、その外側に設けられた略環状の外側加熱コイル14bとを備えた二重環形状である。
【0017】
本体1の内部には、温度センサプローブ30と通信する機器側通信部21が配置されている。機器側制御部22は、例えばマイコン等で構成され、操作部3の設定内容と、温度センサプローブ30からの温度の情報に基づいて、駆動部23に対して高周波電力指令(火力情報)を送信する。駆動部23は、機器側制御部22からの指令に基づき、高周波インバータ24を制御して加熱コイル14に流れる高周波電流を調整する。このようにすることで、容器10の加熱制御を行う。また、機器側制御部22は、温度センサプローブ30の電源のオンオフや後述する温度検知手段55の増幅率などを切り替える指令情報を生成し、その指令情報を、機器側通信部21を介して温度センサプローブ30へ送信する。
【0018】
なお、機器側通信部21は、本発明における「第2無線通信手段」に相当する。
また、機器側制御部22は、本発明における「制御手段」に相当する。
【0019】
次に、加熱調理器100の操作部3及び火力表示部5の構成について説明する。
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器の操作部及び火力表示部を説明する図である。
加熱調理器100の左側、右側、及び中央に設けられた加熱コイル14にそれぞれ対応する操作部3及び火力表示部5は、すべて同様の構成であるので、ここでは、左側の加熱コイル14に対応して設けられた操作部3及び火力表示部5を例に説明する。
【0020】
操作部3は、被加熱物を加熱する火力を設定するための火力設定キー3bと、調理メニューを設定するためのメニューキー3cとを備える。
火力設定キー3bは、「弱火」キー、「中火」キー、「強火」キー、及び「3kW」キーで構成されており、使用者は、これらのキーを用いて4段階の火力のいずれかを設定することができるようになっている。火力に応じて個別にキーを設けることで、使用者は、必要な火力の設定を一回の操作で入力できるようになっている。
【0021】
メニューキー3cは、「揚げ物」キー、「予熱」キー、「煮込み」キー、及び「タイマー」キーを備える。これらのキーが押下されると、各メニューに対して予め設定され記憶部に記憶された制御シーケンスにしたがって、機器側制御部22が加熱制御を行う。
【0022】
火力表示部5は、火力設定キー3bで入力された火力や、メニューキー3cで設定されたメニューに基づいて火力を複数段階に表示するものであり、火力に応じて表示態様が切り替わる。火力表示部5の表示により、動作中であることを使用者に示すことが可能である。火力表示部5は、例えば複数のLEDを有し、これらLEDの点灯状態(点灯、消灯、点滅等)を切り替える、あるいは点灯色を切り替えることにより、火力を表現する。このようにすることで、使用者が直感的に分かりやすい報知を行うことができる。
【0023】
なお、
図3には図示しないが、液晶画面等で構成された表示部4(
図1参照)には、例えば「予熱中」や「適温到達」等の火力や経過状況、設定されているメニューの内容等に関する情報が表示される。
【0024】
このような構成の加熱調理器100において、例えば揚げ物調理を行う場合には、まず使用者は容器10内に揚げ物を行うための油(測定対象物)を入れ、容器10をトッププレート2の加熱口6に載置する。次に使用者は、本体1とは別体に設けられた温度センサプローブ30を、容器10の側面に取り付ける。そして使用者が、操作部3にて加熱開始のための操作入力を行うと、機器側制御部22は、操作部3からの信号と温度センサプローブ30が測定した油(測定対象物)の温度とに基づいて、加熱コイル14に高周波電流を流し、予め記憶された制御シーケンスにしたがって加熱調理を行う。
【0025】
(温度センサプローブの構成)
次に、温度センサプローブ30の構成の詳細を説明する。
図4は、実施の形態1に係る温度センサプローブの構成を示す正面図である。
図5は、実施の形態1に係る温度センサプローブの構成を示す側面図である。
図6は、実施の形態1に係る温度センサプローブの内部構成を説明する図である。
図4〜
図6に示すように、温度センサプローブ30は、筐体31と、この筐体31を容器10の側面に取り付ける保持手段32とを備えている。
筐体31は、金属材料により形成された金属部41と、樹脂材料により形成された樹脂部40とが接合されて構成されている。
【0026】
筐体31の樹脂部40には、センサ側通信部51、センサ側制御部52、電源部53、電源スイッチ54、電源ランプ59が配置されている。
筐体31の金属部41には、内部に温度検知手段55が配置されている。
筐体31は、内部に配置された、センサ側通信部51、センサ側制御部52、電源部53、及び温度検知手段55を、水密状態(防水状態)で収納する。
【0027】
なお、センサ側通信部51は、本発明における「無線通信手段」に相当する。
【0028】
温度検知手段55は、筐体31の金属部41に伝熱した測定対象物の温度を検知する。温度検知手段55は、例えばサーミスタセンサによって構成されている。温度検知手段55を例えばサーミスタセンサによって構成する場合、分圧抵抗をサーミスタセンサと直列に接続し、電源部53からの電圧を供給する。サーミスタセンサは、温度変化により抵抗値が変化する特性を有するため、分圧抵抗にかかる電圧値を検出することで、温度センサプローブ30とサーミスタセンサとの接触部の温度を検出することができる。なお、分圧抵抗の抵抗値を変更すると、検出できる温度範囲、及び検出精度が高く得られる温度範囲などが変わってくる。このため、分圧抵抗に接続する抵抗の抵抗値を可変する構成とし、温度情報又は調理モードなどにより機器側制御部22からの抵抗値の切り替え指令があれば切り替えを実施し精度を向上させるようにしても良い。
【0029】
なお、温度検知手段55を複数備える構成としても良い。本実施の形態1においては、3つの温度検知手段55a〜55cを備えている。複数の温度検知手段55a〜55cは、筐体31の長手方向に間隔を空けて配置されている。なお、温度検知手段55の数は3つに限定されず任意の数で良い。
【0030】
センサ側制御部52、例えばマイコンなどによって構成され、各構成部を制御する。電源部53と、各構成部に電力を供給する。センサ側通信部51は、本体1に配置された機器側通信部21に対し、温度検知手段55が検知した温度の情報を送信する。なお、センサ側通信部51は、機器側通信部21と双方向で情報通信を行うように構成し、機器側制御部22からの指令情報(電源のオンオフや検出電圧の増幅率などを切り替える指令など)の受信を行うようにしても良い。
【0031】
ここで、筐体31の金属部41に温度検知手段55を設ける理由について説明する。
温度センサプローブ30は、測定対象物である水や油などの食材に投入して温度の検知を行う。このため、温度センサプローブ30は、例えば高温度の揚げ物調理で200℃程度の加熱に耐え、また、食材の成分に含まれる酸性、アルカリ性といったpH濃度の異なる条件での使用にも長期間耐えうる耐熱性、耐食性を有することが望まれる。
さらに、温度検知手段55は筐体31の内部に配置する。つまり、温度検知手段55は、温度センサプローブ30の外郭温度を内側より検知する。このため、温度検知手段55の検知箇所は、樹脂と比較して熱伝導率の高い金属材料(例えばステンレスやアルミ等)を用いることが望まれる。
【0032】
本実施の形態1の温度センサプローブ30は、樹脂と比較して熱伝導性が高い金属材料で形成された金属部41に、温度検知手段55を配置するので、測定対象物の温度の検知精度を向上させることができる。また、例えばステンレスもしくはアルミなどの金属材料で形成された金属部41は、耐食性及び耐熱性を有するので、温度センサプローブ30を、油や水などの測定対象物の内部に含浸させて使用することが可能になる。
なお、金属部41に表面処理やフッ素等を塗膜しても良い。これにより、耐食性に加え、撥水性が向上するため、清掃性が向上する。
【0033】
次に、筐体31の樹脂部40を設ける理由について説明する。
筐体31の全てを金属材料で形成する場合、プレス加工や溶接、ネジ固定などで複数の部材を接合して形成する必要がある。このため、部材同士の接合部の隙間から浸水が生じて水密性が低下する場合がある。また、筐体31の内部に配置する複数の構成部をそれぞれ位置決め固定するために、筐体31に、例えば位置決め用のピンやビスなどの位置決め構造等を設けると、複雑な形状となり、また、大型化してしまう。つまり、筐体31の構成部の位置決めが可能で、小型、軽量化を図るためには、温度検知手段55以外の各構成部は、成型の自由度が高い樹脂部40に位置決め構造を設け、収まりよく配置されることが望ましい。
【0034】
また、温度センサプローブ30のセンサ側通信部51と本体1の機器側通信部21とが無線通信する場合、金属材料では電波を遮蔽してしまうため、伝送経路の確保のためにもセンサ側通信部51を樹脂部40に設ける事が望ましい。
【0035】
本実施の形態1の温度センサプローブ30は、樹脂材料で形成された樹脂部40に、センサ側通信部51などを配置するので、小型化、軽量化を図ることができる。また、温度センサプローブ30内部への浸水や各構成部を位置決め固定することで振動による故障を軽減することが可能となる。
また、金属材料と比較して電波透過性の高い樹脂材料で形成した樹脂部40にセンサ側通信部51を配置するので、無線通信における電波の遮蔽を抑制でき、安定した通信を行うことができる。
【0036】
なお、樹脂部40を形成する樹脂材料としては、例えば、耐熱性、耐食性を有するエンジニアリングプラスチックであるPPSやPBT等の材料を用いる。温度センサプローブ30外層部は金属部41同様に樹脂部40も高温の油や食品に浸かる可能性があるため、樹脂部40の樹脂材料を上記のような耐熱性、耐食性を有する材料を用いる。なお、樹脂材料は上記材料に限らず同様の特性を有する材料であれば限定しない。
【0037】
(保持手段の構成)
次に、保持手段32について説明する。
保持手段32は、
図2に示すように、金属部41を樹脂部40よりも下方にした状態で、測定対象物が入れられる容器10の側面に筐体31を保持する。
図4、
図5に示すように、保持手段32は、例えば、樹脂部40の、金属部41とは逆の端部に設けた支点部33に取り付けられている。保持手段32は、支点部33を中心に周方向に回転する。また、保持手段32は、支点部33に設けたバネなどの弾性体によって、筐体31方向に付勢されている。保持手段32と筐体31と支点部33の回転方向において重なる状態にすることで、保持手段32は、容器10の側面をクリップの様に挟んで保持する。
【0038】
このように、温度センサプローブ30の上方(金属部41とは逆側の端部)を起点に、保持手段32を周方向へ回転させて着脱を行う構造とすれば、保持手段32の開き角が小さく抑えられる効果を有する。
【0039】
また、保持構造をサポートするため、容器10の外側と接触する部分に、すべり止め34を被膜しても良い。すべり止め34は、例えば、摩擦係数が高く耐熱性に優れたシリコーン樹脂を使用し、容器10の表面を傷つけない構造としている。このように、すべり止め34を設けることで、容器10との接着度を向上させ、保持力を向上させることができる。
【0040】
このような構成により、保持手段32によって、温度センサプローブ30の筐体31を容器10に取り付け保持することができる。よって、加熱調理中における温度センサプローブ30の取り付け位置がずれることを抑制でき、容器10内の測定対象物の温度を精度良く検出することができる。
【0041】
なお、保持手段32の構成はこれに限定されず、保持手段32は、温度センサプローブ30の筐体31を容器10の側面に保持できる構成であれば良い。例えば、保持手段32を磁石で構成し、磁力によって容器10の側面に取り付けても良い。
【0042】
(複数の温度検知手段による温度検知)
上述したように、温度検知手段55を複数備える構成としても良い。温度検知手段55を複数備える場合、それぞれの検知温度に基づいて、食材など測定対象物の容量判定を行うようにしても良い。
例えば、
図4〜
図6に示すように、3つの温度検知手段55a〜55cを、筐体31の長手方向に間隔を空けて配置する。温度センサプローブ30の筐体31は、金属部41と樹脂部40とが長手方向に並んで接合され、金属部41を樹脂部40よりも下方にした状態で保持される。つまり、3つの温度検知手段55a〜55cは、上下方向に並んで配置されるので、食材等の測定対象物の容量によって検知温度が異なることとなる。
【0043】
センサ側通信部51は、温度検知手段55a〜55cが検知した温度の情報を、それぞれ機器側通信部21へ送信する。本体1の機器側制御部22は、温度センサプローブ30から取得した複数の温度の温度差に基づいて、加熱制御を行う。例えば、複数の温度の温度差を求めることで、容器10の内部に入れられた食材等の測定対象物の温度勾配を検出可能となる。なお、加熱制御動作の詳細は後述する。
【0044】
このように、温度センサプローブ30の使用状態において平面視で垂直方向に対して複数の温度検知手段55を設けることで、測定対象物の容量(例えば水温検知の場合は水位)を検出することができる。また、測定対象物の容量に応じて、加熱する電力量を調整することで、温度維持を行う場合、設定した温度に対するハンチング温度幅を小さくすることができる。これにより、温度検知対象とする食材などの内容量を把握し、各高さ方向の位置における温度検知性能が向上する。また、水以外の調理に適用した場合、火加減の難しい卵料理(温泉卵65−70℃や茶わん蒸し80−90℃)や野菜を用いた煮込み料理の出来栄えを良くするための下茹にて、煮崩れしにくい温度(ペクチンの硬化温度60−70℃)で保つことが精度よく行えるような温度情報を送信することが可能となる。
【0045】
(電源部の構成)
次に、電源部53について説明する。
また、電源部53は、筐体31の樹脂部40に設けられている。
電源部53は、電磁誘導により電力を受電する受電コイル56と、受電コイル56が受電した電力を整流及び平滑化する受電回路57と、受電回路57によって平滑された電力を蓄電するリチウム二次電池等の蓄電池58とを有している。つまり、蓄電池58に蓄電される電力は非接触給電により供給される。
【0046】
このように、温度センサプローブ30の各構成部の動力として蓄電池58からの電力を用いることで、例えば電源ケーブルなどを接続する必要がなくなる。また、上述したように、温度センサプローブ30のセンサ側通信部51と本体1の機器側通信部21とは無線通信するため、通信ケーブルも不要である。つまり、温度センサプローブ30には電力供給又は通信のための端子又はケーブルなどが不要となる。
よって、温度センサプローブ30の内部を水密状態にすることが可能となり、当該温度センサプローブ30の清掃性やメンテナンス性を向上させることができる。また、温度センサプローブの電源を非接触給電により駆動させることで、シームレスな構造を可能とし、丸洗いや水の浸水による短絡故障等のリスクを低減することができる。
また、金属材料と比較して磁界透過性の高い樹脂材料で形成した樹脂部40に電源部53を配置するので、給電側からの高周波磁界が遮蔽されることを抑制し、給電効率が低下することを抑制できる。また金属材料で生じる誘導加熱による発熱を抑制できる。
【0047】
(電源スイッチの構成)
次に、電源スイッチ54について説明する。
電源スイッチ54は、電源部53から各構成部への電力供給(電源)をオンオフする。使用者は、温度センサプローブ30には使用時以外の場合に、電源スイッチ54を操作して、電源をオフにする。この電源スイッチ54は、防水性を有している。
なお、電源スイッチ54は、例えば、タクタイルスイッチなどのように接点を一度つないだ後に開放されるスイッチを用いると良い。そしてセンサ側制御部52は、一定の時間継続して温度変化が無い場合や通信が無い場合など、使用されていないと判断した場合には、温度センサプローブ30の各機器の電源オフに切り替えることで、蓄電池58の使用時間を長くすることができる。なお例えば、電源スイッチ54として、トグルスイッチ等の様に機械的なスイッチを用いて、使用者の手動の操作によって電源をオフにしても良い。
【0048】
このような構成により、温度センサプローブ30は、使用者が常に使用する訳ではなく、温度センサプローブ30に設けた電源スイッチ54で使用するときのみ電源を入れる構成を設ける事で、待機電力によるロスが減り、使用可能な期間を延ばすことが可能となる。
また、電源スイッチ54が、例えばプッシュスイッチやタクタイルスイッチ等の様に電子制御でオンオフを行うものであれば、所定時間の間に大幅な温度上昇がない場合や本体1からの通信信号がない場合などにオフとすることでスイッチの切り忘れによる蓄電池58の電池切れを防ぐことが可能となる。
【0049】
(電源ランプ)
次に、電源ランプ59について説明する。
電源ランプ59は、例えばLED等の発光体によって構成されている。
筐体31は、電源ランプ59と対向する位置に開口が設けられ、電源ランプ59からの光を外部へ投光する構造としている。さらに、防水性を保つために、筐体31における電源ランプ59の表面には、電源ランプ59からの光を透過し、電源ランプ59を水密状態で覆うフィルムやシートなどの防水カバーが設けられている。このように、光を透過する防水カバーによって電源ランプ59を水密状態で覆うことで、視認性を確保しながら防水性を向上することができる。
【0050】
電源ランプ59は、使用者に温度センサプローブ30の電源がオン状態であるかオフ状態であるかを判別可能なように、電源のオンオフに連動して使用状態を表示する。例えば、温度センサプローブ30の電源がオン状態で点滅し、オフ状態で消灯する。また、後述する給電動作によって、電源部53が受電している状態を表示する。例えば、受電コイル56が受電状態の場合には点灯する。
【0051】
(無線通信の周波数帯)
温度センサプローブ30のセンサ側通信部51と、本体1の機器側通信部21との情報通信は、例えば、2.4GHz帯域の無線通信モジュールを用いて情報通信を行っている。無線モジュールを用いる事で、温度センサプローブ30の外部にコネクタ部分を設ける必要がなくなり、温度センサプローブ30内部への浸水により回路がショートすることを軽減することができる。また、配線レスとなり容器10の取っ手等に配線が引っかかることを防止でき、例えば奥側の加熱口で使いやすくなり、使い勝手も向上する。また、宅内に設けた2.4GHzのWi−Fi(登録商標)(IEEE802.11規格)モジュールへと情報伝送する事が可能となり、外部無線通信機器との拡張性を有する。
【0052】
なお、周波数帯に関しては、2.4GHz帯に限らず900MHz帯や300〜500MHz帯以下の周波数帯の通信周波数帯を用いた特定小電力無線局通信モジュールを使用してもよい。例えば、誘導加熱調理器(IHクッキングヒータ)における誘導電流の周波数は20〜30kHz帯の周波数帯を用いており、電子レンジにおける電磁波の周波数は2.45GHz帯の周波数帯を用いている。このため、900MHzや300〜500MHz帯の周波数であれば、他の調理機器との干渉を起こすことなく通信を行う事が可能となる。
【0053】
(給電動作)
次に、本実施の形態1における加熱調理器100の給電動作を説明する。
本実施の形態1における加熱調理器100は、予め設定された周波数の高周波電流を加熱コイル14に供給する給電モードと、設定火力に応じた高周波電流を加熱コイル14に供給する加熱モードと、を有している。給電モードとは、非接触給電によって、加熱コイル14から受電コイル56へ電力を供給する動作である。
【0054】
使用者は、温度センサプローブ30を、トッププレート2の加熱口6に載置する。その際、温度センサプローブ30内部の受電コイル56と、加熱コイル14とが正対する様に配置するのが望ましい。
使用者は、加熱調理器100の電源をオンし、加熱調理器100に備えた操作部3を操作して給電モードを選択する。例えば、操作部3のメニューキー3cとして給電モードを示すボタンを設けても良いし、複数のメニューキー3cを同時に操作するなど、所定の操作がされた場合に給電モードへ移行するようにしても良い。
【0055】
機器側制御部22は、給電モードの操作に応じて、表示部4に給電動作を示す情報を表示させる。そして、機器側制御部22は、駆動部23を制御して、材質の判定を行う周波数の高周波電流をパルス状に投入し、加熱コイル14の上方へ載置されている対象物の材質の判定等を行う。この材質の判定は、例えば加熱コイル14における入力電流と出力電流との相関によって判定することができる。なお、材質を判定する動作を省略して、給電モードの操作があった場合には常に給電動作をするようにしても良い。
【0056】
機器側制御部22は、加熱コイル14の上方へ載置されている対象物が温度センサプローブ30で無いと判定した場合には当該処理を終了する。なお、このとき、温度センサプローブ30の載置を促す情報を、表示部4に表示させても良い。
【0057】
機器側制御部22は、加熱コイル14の上方へ載置されている対象物が温度センサプローブ30であると判定した場合には、駆動部23を制御して、予め設定された周波数の高周波電流を加熱コイル14に供給する。これにより、加熱コイル14には高周波磁界が発生し、温度センサプローブ30の受電コイル56には電磁誘導による起電力が発生する。そして、受電コイル56に流れた高周波電流は、受電回路57によって整流及び平滑化され、蓄電池58へ蓄電される。
【0058】
なお、センサ側制御部52は、電源部53の受電状態を検知して、受電状態である旨の情報をセンサ側通信部51から機器側通信部21へ送信しても良い。
また、センサ側制御部52は、電源部53の蓄電池58への蓄電量を検知して、所定の蓄電量を超えた場合には、満充電を示す情報をセンサ側通信部51から機器側通信部21へ送信しても良い。
【0059】
機器側制御部22は、給電動作の時間が予め設定した時間を超えた場合、または、センサ側通信部51から満充電を示す情報を取得した場合、駆動部23の動作を停止させて給電動作を完了する。なお、温度センサプローブ30への蓄電が終了した旨の情報を表示部4に表示させても良い。
【0060】
(加熱調理動作)
次に、本実施の形態1における加熱調理器100の加熱動作を説明する。
【0061】
本体1の機器側制御部22は、少なくとも目標温度が設定された1つ又は複数の自動調理モードを有し、自動調理モードにおいて、温度センサプローブ30から取得した温度が目標温度となるように加熱制御を行う。自動調理モードとしては、例えば、湯沸しモード、揚げ物調理モード、煮込み調理モード、麺ゆでモード、温泉卵モード、及び温度一定制御モードがある。各モードは、それぞれ、目標温度及び加熱時間の少なくとも一方が他のモードと異なる。なお、機器側制御部22は、これらのモードのうちの少なくとも1つのモードを実行する構成であれば良い。
以下、具体例を説明する。
【0062】
(湯沸しモード)
加熱制御の一例として湯沸しモードを選択した場合の温度センサプローブ30と加熱調理器100との機器通信シーケンスと、温度センサプローブ30から送信される温度情報を用いた加熱シーケンスについて、
図7のフローチャートを用いて説明を行う。
【0063】
図7は、実施の形態1に係る加熱調理器の動作を説明するフローチャートである。
以下、
図7の各ステップに基づいて説明する。
使用者は、加熱調理器100の電源をオンし(S1)、使用者は、加熱調理器100に備えた操作部3に設けている自動調理モードを押下する(S2)。機器側制御部22は、自動調理モードの選択操作に応じて、表示部4に選択可能な自動メニューの情報を表示させる。使用者は、表示部4に表示された複数の自動メニューのうちから所望のメニューを選択する(S3)。ここでは、水を沸騰温度まで加熱する「湯沸かし」が選択された場合を説明する。
【0064】
自動メニューが選択されると、機器側通信部21により温度センサプローブ30へ通信状態確認の信号が送信される(S4)。温度センサプローブ30の電源がオン状態である場合には、センサ側通信部51により通信状態確認の信号が受信され、センサ側制御部52は、電源がオン状態であることを示す信号を返信する。
【0065】
本体1の機器側制御部22は、温度センサプローブ30から、電源がオン状態であることを示す信号の返信があったか否かを判断する(S5)。温度センサプローブ30から、電源がオン状態であることを示す信号の返信があった場合、機器側制御部22は、選択された自動メニューに対応する自動調理モードの加熱動作を開始する(S8)。
【0066】
一方、温度センサプローブ30から、電源がオン状態であることを示す信号が、一定時間(例えば5秒間)の間に受信できない場合、機器側制御部22は、温度センサプローブ30が通信不良、又は電源がオンされていないと判断し、加熱調理器100に設けた表示部4等により、自動調理モードの動作が不可である旨の報知を行う(S6)。なお、この報知は表示部4による表示に限らず、例えばブザーや音声などで報知しても良い。
機器側制御部22は、報知後、再度、温度センサプローブ30へ状態確認の信号を送付し、返信が得られず、3回繰り返した場合(S7)、自動メニューの終了を報知する(S14)。
このように、加熱制御を開始するよりも先に温度センサプローブ30の状態確認を行う事で、鍋や食材が加熱される前に使用者に温度センサプローブ30が正常使用の状態にないことを伝える事が出来る。
【0067】
温度センサプローブ30のセンサ側制御部52は、例えば1秒周期にて、温度検知手段55によって検知した温度の情報を、センサ側通信部51に送信させる。本体1の機器側通信部21は、温度センサプローブ30からの温度の情報(T_s℃)を受信し、機器側制御部22は、機器側通信部21が受信した温度の情報を取得する(S9)。機器側制御部22は、湯沸しモードで予め設定している目標温度に向けて加熱を実施し、温度の情報(T_s℃)が目標温度(例えば98℃)になった場合、沸騰を検知して、表示部4等の報知部により、沸騰したことを知らせる報知を行う(S11)。
【0068】
次に、機器側制御部22は、温度センサプローブ30から取得した温度の情報(T_s℃)が、上記の目標温度よりも低い保温温度(例えば95℃)となるように加熱の停止と開始とを繰り返す(S12)。
【0069】
保温温度で維持している間に使用者より加熱停止や火力変更の指令が入力された場合は湯沸しモードから抜けて通常モードにて加熱を行う。一方、使用者からの指令が入力されず、一定時間(例えば10分)経過した場合は加熱を停止し、終了の報知を行う(S13、S14)。
【0070】
以上が湯沸しモードの一例であるが、時間設定や通信のタイミング、設定温度はこの限りではない。
【0071】
(測定対象物の量の判定)
上述したように、温度センサプローブ30の温度検知手段55を複数備える構成とした場合、センサ側通信部51は、複数の温度検知手段55のそれぞれが検知した温度の情報を送信する。
本体1の機器側制御部22は、温度センサプローブ30から取得した複数の温度を用いて、食材など測定対象物の容量判定を行うようにしても良い。
【0072】
例えば、
図4〜
図6に示すように、3つの温度検知手段55a〜55cを備えた場合、最上部に配された温度検知手段55cが検知した温度と、最下部に配された温度検知手段55aが検知した温度との温度差が、予め設定された閾値よりも大きい場合には、最上段まで食材が装填されていないと判断して、測定対象物の容量(水量)は中量と判定する。また、例えば、最下部に配された温度検知手段55aが検知した温度と、それ以外の温度との温度差が、予め設定された閾値よりも大きい場合には、測定対象物の容量(水量)は少量であると判定する。
そして、機器側制御部22は、判定した容量に応じた火力の投入を行う。例えば容量が多いほど火力を強く設定する。このような制御を行うことにより、容器10内の食材などの測定対象物の容量に適した加熱を行うことができる。
【0073】
さらに、機器側制御部22は、温度センサプローブ30から取得した温度の推移を判定し、温度が急激に上昇した場合には、容器10内の水などの測定対象物が、蒸発して空になった状態であることを判定し、加熱を停止するか、加熱を低下させるようにしても良い。例えば100℃近傍で推移していた状態から、100℃を超えた温度となった場合に空であると判定する。これにより、容器10内の水などの測定対象物が無い状態での加熱(空焼き)を防止することができる。
【0074】
(その他のモード)
上記の説明では、自動調理モードとして湯沸しモードを一例として示したが、本発明はこれに限定されない。自動調理メニューには、代表的な調理例として湯沸し以外に、揚げ物、煮込み、麺ゆで、温泉卵といった調理例に関しても予め設定温度を変更して設けても良い。また、この他、被調理物の温度を使用者の自由に選択可能な温度設定モードといったモードを設けてもよい。
以下、各モードにおける機器側制御部22の動作の概略を、上記湯沸かしモードとの相違点を中心に説明する。
【0075】
(揚げ物調理モード)
揚げ物調理モードにおいては、容器10内に油が装填され、この油の温度を温度センサプローブ30より測定し、油の温度が、揚げ物調理モードで設定されている温度(例えば180℃や200℃など)に短時間で上昇させるように、初期温度や油量に適した火力で加熱を実施する。
【0076】
なお、揚げ物調理モードが選択された場合において、温度センサプローブ30から取得した温度が、100℃近傍の温度で温度傾きの変化がなくなった場合には、内容物が油ではない事を報知し加熱を停止するようにしても良い。また、目標温度に到達すると、揚げ物の調理が可能である旨を報知部にて使用者に報知を行うようにしても良い。また、報知後、温度の低下を検知した場合、食材が投入されているとして、素早く目標温度に復帰するよう火力を投入する復帰モードを備えても良い。
【0077】
(煮込み調理モード)
煮込み調理モードにおいては、野菜などは煮崩れしにくい温度(ペクチンの硬化温度)である60〜70℃で数分間温度維持したあと、肉等は温度が高くなるほど柔らかくなるため、60〜70℃温度維持して煮崩れ防止を図った後に、100℃近傍温度で肉を加熱する。これにより、野菜が煮崩れせず、肉が柔らかい煮込み料理が火加減自動で調理する事が出来る。また、焦げ付きやすい調理物も食材温度で温度検知できているため、焦げ付く前に加熱制御を行い、調理物を焦がしてしまうことを低減できる。
【0078】
(麺ゆでモード)
麺ゆでモードにおいては、前述の湯沸しモードと同様に、加熱初期は水量に対して最適な加熱制御が可能となり、また、略90℃を超えた段階で、麺ゆで可能な報知を使用者へ行い、98℃以上の温度で保温状態を維持する。その後、水温低下が得られた場合には98℃程度の温度を維持して加熱を行う。また、同時に麺ゆでの場合は、でんぷん等が湯中に溶け込み気泡が割れにくくなるため吹き零れが発生しやすくなる。当該吹き零れ対策のため、各加熱口6の通電方法を強弱もしくは加熱をオンオフして加熱し、97℃程度の吹き零れがしにくい温度で一定に保つことで吹き零れを抑制する。
【0079】
なお、温度センサプローブ30に設けた温度検知手段55を容器10に対して高さ方向に設けた場合、麺ゆで後に最上段の温度検知手段55cが温度上昇を検知したら吹き零れが発生しているとして、加熱を抑制する事も可能である。
【0080】
(温泉卵モード)
温泉卵モードにおいては、温泉卵に最適な水温である68℃で維持するよう加熱を行う。70℃を上回って卵の加熱を行うと温泉卵の特徴である卵黄の半生状態を超えて凝固してしまうため、温度維持の際にオーバーシュートをより小さくするよう、水量や鍋の材質に合わせて加熱パターンを変更し加熱を行う。特に水量や調理する卵の数が少ない場合などは、大きな電力を投入しない様に温度センサプローブ30の検知温度の信号を用いて水量判定等を行い、加熱パターンを決定する。
【0081】
(温度一定制御モード)
温度一定制御モードにおいては、操作部3に備えたUPキー、DOWNキーを用いて食材温度を任意の温度で一定となる様に加熱制御を行う。温度一定制御モードでは60℃を初期値として、例えばお茶に適した温度にする場合、一例として使用者が目標温度65℃と設定して加熱開始し目標温度到達後に報知し、同温度を維持するよう加熱制御を実施する。加熱停止や目標温度変更の指令があればその指令に従い、加熱制御を実施する。
【0082】
以上のように本実施の形態1においては、温度センサプローブ30は、温度検知手段55、センサ側通信部51、電源部53が筐体31の内部に水密状態で収納され、電源部53は、非接触給電方式によって電力を受電する。
このため、温度センサプローブ30の内部への浸水を抑制することができる。よって、温度センサプローブ30の清掃性およびメンテナンス性を向上させることができる。
【0083】
また本実施の形態1においては、機器側制御部22は、給電モードと加熱モードとを切り替える。給電モードにおいては、予め設定された周波数の高周波電流を加熱コイル14に供給し、加熱コイル14からの高周波磁界によって給電を行う。
このため、加熱コイル14を加熱用途と給電用途とで共用することができる。よって、給電専用のコイルを別途設ける必要が無く、加熱調理器の構成を簡易にすることができ、安価に構成することが可能となる。
【0084】
また本実施の形態1においては、測定対象物の温度を測定する温度センサプローブ30と、測定対象物が入れられる容器10を加熱する加熱コイル14と、温度センサプローブ30から送信された温度の情報を受信する機器側通信部21と、温度の情報に基づいて加熱コイル14への投入火力(電力)を制御する機器側制御部22とを備えている。
このため、容器10の内部に装填した食材等の測定対象物の温度を直接検知することが可能となり、測定対象物の温度の検知精度及び検知の追従性の向上を図ることができる。
また、食材等の測定対象物の温度に最適な温度で加熱制御することができる。また、温度センサプローブ30は食材等の内部に投入して使用するため、洗浄する必要があるが、小型、軽量のため、容易に洗う事が可能であり衛生的に使用する事が出来る。
【0085】
また、保持手段32によって、温度センサプローブ30を容器10の側面へ取り付けて保持するので、加熱中において測定対象物の温度を精度良く検知し、加熱制御をすることが可能となる。
【0086】
また、自動調理モードによる高精度な温度制御が可能となり、温度の上げ過ぎによる調理の失敗を抑制でき、使用者が火力変更動作をすることなく食材に適した調理が可能となる。よって、利便性の向上や吹き零れや空焼きなどによる温度上昇を抑える事が可能となり、無駄な加熱を抑える事が可能となる。
【0087】
また、複数の温度検知手段55が検知した温度の温度差に基づいて、加熱コイル14への投入火力を制御するので、容器10に入れられた測定対象物の量に適した加熱を行うことができる。
【0088】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係る加熱調理器の主要部の構成と機能を説明する図である。
図9は、実施の形態2に係る加熱調理器の斜視図である。
以下、本実施の形態2における加熱調理器100の構成を、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、同一部分には同一の符号を付する。
【0089】
図8において、本実施の形態2における加熱調理器100は、上記実施の形態1の構成に加え、高周波インバータ24からの高周波電流が供給される給電コイル60を備えている。給電コイル60は、例えば導線が巻回してなるコイルであり、高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生する。
【0090】
なお、本実施の形態2では加熱コイル14と給電コイル60とを同一の高周波インバータ24を使用して高周波電流を供給する場合を説明する。この場合、高周波電流の出力を切り替えるスイッチなどを設け、給電モードにおいては給電コイル60へ高周波電流を供給し、加熱モードにおいては加熱コイル14へ高周波電流を供給するようにしても良い。
なお、切り替えて使用する場合は、給電モードが選択されている間は加熱コイル14による加熱が行えない旨を、表示部4等の報知部より報知するようにしても良い。
【0091】
なお、
図8の例では、加熱コイル14と給電コイル60とを、同一の高周波インバータ24を使用する場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、給電コイル60へ高周波電流を供給する専用として、別個の高周波インバータを設けても良い。
【0092】
図9に示すように、給電コイル60は、トッププレート2の下方であって、平面視において加熱コイル14とは異なる位置に配置されている。また、トッププレート2の給電コイル60に対応する部分には、温度センサプローブ30を載置する箇所を示す例えば楕円形の表示が印刷等によって設けられており、使用者は温度センサプローブ30を載置すべき場所がわかるようになっている。
【0093】
給電動作の際には、使用者は、温度センサプローブ30をトッププレート2の給電コイル60の上に載置する。その際、温度センサプローブ30内部の受電コイル56と、給電コイル60とが正対する様に配置するのが望ましい。以降の動作は上記実施の形態1と同様である。
【0094】
なお、
図9に示すように、給電コイル60の近傍に、機器側通信部21を設けるようにしても良い。これにより、機器側通信部21とセンサ側通信部51との距離が短くなり、電波が遮蔽され難くすることができる。
【0095】
なお、機器側通信部21の位置はこれに限定されない。例えば、機器側通信部21を、前面操作部3a近傍に配置するようにしても良い。この場合、本体1の前面操作部3aが配置された側面が電波を透過する材料(例えば樹脂)で形成する。このような構成により、機器側通信部21とセンサ側通信部51との間の無線通信に、加熱コイル14による高周波の影響を受けてノイズが重畳する可能性を低減することができる。
【0096】
以上のように本実施の形態2においては、加熱コイル14とは別個に給電コイル60を備えている。このため、例えば使用者の誤操作などによって、温度センサプローブ30を加熱コイル14上に載置した状態における、加熱モードでの動作を防止できる。
【0097】
実施の形態3.
本実施の形態3においては、温度センサプローブ30へ電力を給電する給電装置を備える構成について説明する。
なお、以下の説明において、上記実施の形態1と同一部分には同一の符号を付する。
【0098】
図10は、実施の形態3に係る受電装置の構成を示す斜視図である。
図11は、実施の形態3に係る温度センサプローブの内部構成を説明する図である。
図10において、給電装置70は、筐体71と、温度センサプローブ30を支持する支持手段72と、例えば家庭用AC100V電源に接続されるコンセント73とを備えている。
【0099】
支持手段72は、例えば筐体71に筒状に形成された嵌合穴によって形成されている。支持手段72の近傍には後述する給電コイル74が配置されている。例えば給電コイル74を支持手段72の底部分に配置する。また、
図11に示すように、温度センサプローブ30の受電コイル56を樹脂部40の端部側に配置する。これにより、
図10に示すように温度センサプローブ30の樹脂部40側の端部が、給電装置70の支持手段72に嵌合されると、受電コイル56が給電コイル74と対向するように支持される。
【0100】
図12は、実施の形態3に係る受電装置及び電源部の等価回路図である。
図12に示すように、給電装置70は、一次側電源76(例えば家庭用AC100V電源)を高周波電流に変換する発振回路75と、発振回路75からの高周波電流が供給される給電コイル74とを備えている。
また、温度センサプローブ30は、上記実施の形態1と同様に、受電コイル56と、受電回路57と、蓄電池58とを備えている。また、受電回路57は、受電コイル56に発生した高周波電流を整流する整流回路57aと、整流した電流を平滑する平滑回路57bとを備えている。
【0101】
このような構成により、コンセント73が一次側電源76(例えば家庭用AC100V電源)に接続されると、給電コイル74には高周波磁界が発生し、温度センサプローブ30の受電コイル56には電磁誘導による起電力が発生する。そして、受電コイル56に流れた高周波電流は、受電回路57によって整流及び平滑化され、蓄電池58へ蓄電される。
【0102】
なお、上記実施の形態1〜3では、容器10を誘導加熱する加熱調理器100の場合を説明したが、本発明はこれに限らず、ガス式加熱調理器や電気ヒータ式加熱調理器でも同様に加熱制御を実現する事が可能である。