(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、
図1を用いて、第一実施形態に係る電力供給システム1の構成について説明する。
【0019】
電力供給システム1は、マンション等の集合住宅に設けられ、電力を適宜の機器へと供給するためのものである。電力供給システム1は、主として発電装置11、蓄電装置12、分電盤13、共用部電力負荷14、専有部電力負荷15、売電装置16、発電量センサ17、充電量センサ18及び制御装置19を具備する。
【0020】
発電装置11は、電力以外のエネルギーを電力に変換する(発電する)ものである。本実施形態に係る発電装置11は、自然エネルギーである太陽光を電力に変換する、いわゆる太陽光発電装置である。発電装置11は太陽電池パネル等により構成される。発電装置11は、例えば前記集合住宅の屋上等の日当たりの良い場所に配置される。
【0021】
蓄電装置12は、電力の充放電が可能なものである。蓄電装置12は、例えばリチウムイオン電池等の蓄電池等により構成される。
【0022】
分電盤13は、電力を適宜分配するものである。分電盤13は、漏電遮断器及び配線遮断器等により構成される。
【0023】
共用部電力負荷14は、前記集合住宅の共用部に設置され、電力が消費される電化製品等である。具体的には、共用部電力負荷14には、例えば共用部の通路照明14a(共用灯)、複数の防犯カメラ14b、エレベータやエントランス等の換気装置14c、管理人室の照明14d等が含まれる。共用部電力負荷14は、配電線を介して分電盤13に接続される。
【0024】
専有部電力負荷15は、前記集合住宅の専有部(各入居者の所有部)に設置され、電力が消費される電化製品等である。具体的には、各入居者の室内に配置された電化製品(照明、テレビ、冷蔵庫等)が含まれる。専有部電力負荷15は、配電線を介して分電盤13に接続される。
【0025】
売電装置16は、供給される電力を逆潮流させ、当該電力を電力会社へと売電するものである。売電装置16は、電力会社への電力の供給の可否を切り替える切替器及び電力会社へ逆潮流する電力量を検出するセンサ等により構成される。
【0026】
発電量センサ17は、発電装置11において発電される電力量(発電量)を検出するものである。
【0027】
充電量センサ18は、蓄電装置12に充電された電力量(充電量)を検出するものである。
【0028】
制御装置19は、種々の情報に基づいて電力の供給態様を切り替えるものである。制御装置19は、発電装置11、蓄電装置12、分電盤13、売電装置16、発電量センサ17及び充電量センサ18、並びに商用電源100と接続される。制御装置19は、主として情報制御部19a及び電力供給切替部19bを具備する。
【0029】
情報制御部19aは、予め記憶されたプログラム、並びに発電量センサ17及び充電量センサ18による検出結果に基づいて、後述する電力供給切替部19bの動作を制御するものである。情報制御部19aは、前記プログラム等に基づいて電力供給切替部19bの制御方法を決定し、当該制御方法に関する信号を電力供給切替部19bに送信する。
【0030】
電力供給切替部19bは、発電装置11、蓄電装置12、分電盤13及び売電装置16、並びに商用電源100の間での電力の供給態様を切り替えるものである。電力供給切替部19bは、情報制御部19aから受信した制御信号に従って、電力の供給態様を切り替える。
【0031】
なお、発電装置11、蓄電装置12、分電盤13及び売電装置16、並びに商用電源100の間で電力が流通する際には、電力供給切替部19bによって直流電力と交流電力とが適宜変換される。
【0032】
以下では、上述の如く構成された電力供給システム1における電力の流通の様子(電力の供給態様)の概要について説明する。
【0033】
制御装置19は、発電装置11において発電された電力を一旦蓄電装置12に充電する。制御装置19は、蓄電装置12に充電された電力を、分電盤13を介して適宜共用部電力負荷14へと供給する。このように、自然エネルギーを利用して発電された電力を共用部電力負荷14で使用することで、電気代の削減を図ることができる。
【0034】
制御装置19は、共用部電力負荷14へと供給する電力が不足する場合には、商用電源100からの電力を分電盤13を介して共用部電力負荷14へと供給する。なお、「共用部電力負荷14へと供給する電力が不足する場合」とは、例えば蓄電装置12の充電量が当該蓄電装置12の容量の0%に近い値(例えば容量の5%)未満になった場合を意味する。このように、蓄電装置12の充電量が少なくなった場合には、商用電源100からの電力を利用することで、共用部電力負荷14に電力を適切に供給することができる。
【0035】
また制御装置19は、売電装置16の切替器を作動させ、当該売電装置16を介した電力会社への電力の供給を可能とすることで、発電装置11からの余剰電力を逆潮流させ、電力会社へと売電することができる。なお、余剰電力とは、例えば蓄電装置12が満充電になった状態で、発電装置11において発電される電力を意味する。このように、蓄電装置12に充電することができない余剰電力を売電することで、当該余剰電力を有効活用することができる。
【0036】
また制御装置19は、商用電源100からの電力を、分電盤13を介して適宜専有部電力負荷15へと供給する。このようにして、前記集合住宅の入居者は、必要に応じて商用電源100からの電力を使用することができる。
【0037】
以下では、制御装置19が蓄電装置12から共用部電力負荷14へと電力を供給する際の態様について詳細に説明する。制御装置19は、蓄電装置12から共用部電力負荷14へと電力を供給する際の態様として、2つのモード(「通常モード」及び「発散モード」)を具備する。
【0038】
通常モードは、共用部電力負荷14に対して所定量の電力を供給するモードである。これによって、制御装置19は共用部電力負荷14を適宜作動させる。
【0039】
具体的には、制御装置19は、通路照明14aを所定の照度で点灯させる。また制御装置19は、複数の防犯カメラ14bのうち、一部を作動させる。また制御装置19は、換気装置14cを所定の換気量で作動させる。これに加えて、制御装置19は、管理人室の照明14dのスイッチがON操作された場合には、当該照明14dを点灯させる。
【0040】
このように、通常モードでは、予め定められた条件で共用部電力負荷14を作動させるために必要な電力が、蓄電装置12から共用部電力負荷14へと供給される。
【0041】
発散モードは、共用部電力負荷14に対して、通常モードに比べて多くの電力を供給するモードである。これによって、制御装置19は共用部電力負荷14を適宜作動させる。
【0042】
具体的には、制御装置19は、通路照明14aを通常モードよりも高い照度で点灯させる。これによって、共用部を明るくすることができ、防犯性を向上させることができる。また制御装置19は、複数の防犯カメラ14bを全て作動させる。これによって、共用部における防犯性を向上させることができる。
【0043】
また制御装置19は、換気装置14cを通常モードよりも高い換気量で作動させる。これによって、エレベータやエントランス等の快適性の向上(空気の入れ替え、花粉やウイルス等の排出等)を図ることができる。これに加えて、制御装置19は、管理人室の照明14dのスイッチの操作にかかわらず(すなわち、管理人室に人が存在していない場合であっても)、当該照明14dを点灯させる。これによって、管理人室に常に人が存在しているように見せかけることができ、防犯性を向上させることができる。
【0044】
このような発散モードでは、通常モードに比べて多くの電力が共用部電力負荷14に対して供給される。このため、蓄電装置12の放電量も、通常モードに比べて多くなる。
【0045】
以下では、制御装置19が通常モード又は発散モードのいずれか一方を選択(設定)する方法について詳細に説明する。
【0046】
図2のステップS101において、制御装置19は、発電装置11において発電が行われており、かつ蓄電装置12に充電された電力量(充電量)が所定の閾値Pt以上であるか否かを判定する。
【0047】
ここで、制御装置19は、発電量センサ17によって検出される電力量が0より大きい場合には、発電装置11において発電が行われていると判定することができる。
また、所定の閾値Ptは、任意に設定することができる値である。本実施形態においては、蓄電装置12が満充電に近い状態であることを検出するために、当該蓄電装置12の容量の100%に近い値(例えば容量の95%)を所定の閾値Ptとして設定するものとする。
【0048】
制御装置19は、発電装置11において発電が行われており、かつ蓄電装置12の充電量が所定の閾値Pt以上であると判定した場合(ステップS101でYes)、ステップS102に移行する。
制御装置19は、発電装置11において発電が行われていない、又は蓄電装置12の充電量が所定の閾値Pt未満であると判定した場合(ステップS101でNo)、ステップS104に移行する。
【0049】
ステップS102において、制御装置19は、モードを発散モードに設定する。これによって、通常モードに比べて多くの電力が蓄電装置12から共用部電力負荷14へと供給される。
制御装置19は、当該ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0050】
ステップS103において、制御装置19は、ステップS102の処理(発散モードの設定)を行ってから所定の時間(例えば1時間)が経過したか否かを判定する。
制御装置19は、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS103でYes)、ステップS101に移行する。
制御装置19は、所定の時間が経過していないと判定した場合(ステップS103でNo)、再度ステップS103に移行する。
【0051】
ステップS101から移行したステップS104において、制御装置19は、モードを通常モードに設定する。これによって、発散モードに比べて少ない電力が蓄電装置12から共用部電力負荷14へと供給される。
制御装置19は、当該ステップS104の処理を行った後、ステップS105に移行する。
【0052】
ステップS105において、制御装置19は、ステップS104の処理(通常モードの設定)を行ってから所定の時間(例えば1時間)が経過したか否かを判定する。
制御装置19は、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS105でYes)、ステップS101に移行する。
制御装置19は、所定の時間が経過していないと判定した場合(ステップS105でNo)、再度ステップS105に移行する。
【0053】
このように、本実施形態においては、制御装置19は、発電装置11において発電が行われており、かつ蓄電装置12の充電量が所定の閾値Pt以上である場合(ステップS101でYes)、すなわち、蓄電装置12が満充電になる可能性が比較的高い場合には、モードを発散モードに設定する(ステップS102)。これによって、比較的多くの電力が蓄電装置12から共用部電力負荷14へと供給されるため、蓄電装置12が満充電になるのを防止することができる。したがって、余剰電力発生を低減することができ、ひいては電力の逆潮流の発生を可能な限り防止することができる。これによって、何らかの理由で売電ができなくなる事態が生じた場合においても、逆潮流が発生するのを可能な限り防止することができる。
【0054】
なお、「売電ができなくなる事態」とは、例えば(1)消費電力が少ない時期に、電力の需給バランスが崩れるのを防ぐために、電力会社が電力の買い取りを中断する場合、(2)予め電力会社との契約で売電ができない期間が定められている場合において、現在の日時が当該期間と一致する(当該期間に含まれる)場合、等が想定される。
【0055】
また、発散モードにおいて、逆潮流が発生するのを防止するために共用部電力負荷14に供給された電力は、防犯性や快適性の向上のために利用される。このように、発散モードにおいては、逆潮流の発生を防止しながらも、電力を無駄にすることなく有効活用することができる。
【0056】
一方、制御装置19は、発電装置11において発電が行われていない、又は蓄電装置12の充電量が所定の閾値Pt未満である場合(ステップS101でNo)、すなわち、蓄電装置12が満充電になる可能性が比較的低い場合には、モードを通常モードに設定する(ステップS104)。このように、蓄電装置12が満充電になる可能性が比較的低い場合には、必要以上に共用部電力負荷14で電力を消費しないようにしている。
【0057】
以下では、
図3及び
図4を用いて、第二実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
なお、以下では、第二実施形態に係る電力供給システム1の構成のうち、第一実施形態と異なる点について説明し、同一の構成については適宜説明を省略する。
【0058】
図3に示す第二実施形態に係る電力供給システム1は、停電センサ20及び電力使用量センサ21をさらに具備している。
【0059】
停電センサ20は、商用電源100の停電の発生の有無を検出するものである。
【0060】
電力使用量センサ21は、共用部電力負荷14において使用(消費)される電力量(電力使用量)を検出するものである。
【0061】
また、第二実施形態に係る電力供給システム1は、「通常モード」及び「発散モード」に加えて「停電モード」を具備している。
【0062】
停電モードは、共用部電力負荷14に対して通常モードに比べて少ない電力を供給するモードである。なお、共用部電力負荷14に対して電力が供給されない(供給される電力が0である)場合も、当該「共用部電力負荷14に対して通常モードに比べて少ない電力を供給する」場合に含まれる。これによって、制御装置19は必要最低限の共用部電力負荷14を作動させるか、又は共用部電力負荷14の作動を全て停止させる。
【0063】
例えば、制御装置19は、通路照明14aを通常モードよりも低い照度で点灯させると共に、通路照明14aの一部を消灯させる。また制御装置19は、防犯カメラ14bの作動を全て停止させる。また制御装置19は、換気装置14cを通常モードよりも低い換気量(必要最低限の換気量)で作動させる。また制御装置19は、管理人室の照明14dのスイッチの操作にかかわらず、当該照明14dを消灯させる。
【0064】
また、制御装置19は、停電モードにおいて、通路照明14aを全て消灯させることとしてもよい。また制御装置19は、停電モードにおいて、換気装置14cを停止させることとしてもよい。
【0065】
さらに制御装置19は、停電モードにおいて、共用部電力負荷14に対して電力を供給しないこととしてもよい。すなわちこの場合、共用部電力負荷14に対して供給される電力は0となり、当該共用部電力負荷14の作動が全て停止される。
【0066】
このような停電モードでは、通常モードに比べて少ない電力が共用部電力負荷14に対して供給される。このため、蓄電装置12の放電量も、通常モードに比べて少なくなる。
【0067】
以下では、制御装置19が通常モード、発散モード又は停電モードのいずれか1つを選択(設定)する方法について詳細に説明する。
【0068】
図4のステップS201において、制御装置19は、商用電源100が停電しているか否かを判定する。
制御装置19は、商用電源100が停電していると判定した場合(ステップS201でYes)、ステップS202に移行する。
制御装置19は、商用電源100が停電していないと判定した場合(ステップS201でNo)、ステップS204に移行する。
【0069】
ステップS202において、制御装置19は、モードを停電モードに設定する。これによって、通常モードに比べて少ない電力が蓄電装置12から共用部電力負荷14へと供給される。したがって、蓄電装置12に充電された電力の減少を抑制することができる。
制御装置19は、当該ステップS202の処理を行った後、ステップS203に移行する。
【0070】
ステップS203において、制御装置19は、ステップS202の処理(停電モードの設定)を行ってから所定の時間が経過したか否かを判定する。
制御装置19は、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS203でYes)、ステップS201に移行する。
制御装置19は、所定の時間が経過していないと判定した場合(ステップS203でNo)、再度ステップS203に移行する。
【0071】
ステップS201から移行したステップS204において、制御装置19は、現在時刻が日の入りから日の出までの間の時刻(発電装置11に太陽光が照射されない時刻)であるか否かを判定する。
制御装置19は、現在時刻が日の入りから日の出までの間の時刻であると判定した場合(ステップS204でYes)、ステップS210に移行する。
制御装置19は、現在時刻が日の入りから日の出までの間の時刻ではないと判定した場合(ステップS204でNo)、ステップS205に移行する。
【0072】
ステップS205において、制御装置19は、共用部電力負荷14において使用される電力量(電力使用量)が、発電装置11において発電される電力量(発電量)未満であるか否かを判定する。
制御装置19は、前記電力使用量が前記発電量未満であると判定した場合(ステップS205でYes)、ステップS206に移行する。
制御装置19は、前記電力使用量が前記発電量以上であると判定した場合(ステップS205でNo)、ステップS210に移行する。
【0073】
ステップS206において、制御装置19は、発電装置11において発電が行われており、かつ蓄電装置12の充電量が所定の閾値Pt以上であるか否かを判定する。
制御装置19は、発電装置11において発電が行われており、かつ蓄電装置12の充電量が所定の閾値Pt以上であると判定した場合(ステップS206でYes)、ステップS207に移行する。
制御装置19は、発電装置11において発電が行われていない、又は蓄電装置12の充電量が所定の閾値Pt未満であると判定した場合(ステップS206でNo)、ステップS210に移行する。
【0074】
ステップS207において、制御装置19は、現在、電力会社への売電が可能であるか否かを判定する。
【0075】
電力会社への売電が可能であるか否かは、適宜の方法で判定することができる。例えば、予め電力会社との契約で売電ができない期間が定められている場合には、現在の日時が当該期間と一致する(当該期間に含まれる)場合には、電力会社への売電ができないと判定することができる。一方、現在の日時が当該期間と一致しない(当該期間に含まれない)場合には、電力会社への売電が可能であると判定することができる。
【0076】
制御装置19は、現在、電力会社への売電が可能であると判定した場合(ステップS207でYes)、ステップS210に移行する。
制御装置19は、現在、電力会社への売電ができないと判定した場合(ステップS207でNo)、ステップS208に移行する。
【0077】
ステップS208において、制御装置19は、モードを発散モードに設定する。これによって、通常モードに比べて多くの電力が蓄電装置12から共用部電力負荷14へと供給される。したがって、蓄電装置12に充電された電力の増加を抑制し、又は当該充電された電力を減少させることができる。
制御装置19は、当該ステップS208の処理を行った後、ステップS209に移行する。
【0078】
ステップS209において、制御装置19は、ステップS208の処理(発散モードの設定)を行ってから所定の時間が経過したか否かを判定する。
制御装置19は、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS209でYes)、ステップS201に移行する。
制御装置19は、所定の時間が経過していないと判定した場合(ステップS209でNo)、再度ステップS209に移行する。
【0079】
ステップS204、ステップS205、ステップS206又はステップS207から移行したステップS210において、制御装置19は、モードを通常モードに設定する。これによって、発散モードに比べて少なく、かつ停電モードに比べて多い電力が蓄電装置12から共用部電力負荷14へと供給される。
制御装置19は、当該ステップS210の処理を行った後、ステップS211に移行する。
【0080】
ステップS211において、制御装置19は、ステップS210の処理(通常モードの設定)を行ってから所定の時間が経過したか否かを判定する。
制御装置19は、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS211でYes)、ステップS201に移行する。
制御装置19は、所定の時間が経過していないと判定した場合(ステップS211でNo)、再度ステップS211に移行する。
【0081】
このように、本実施形態においては、制御装置19は、商用電源100が停電している場合(ステップS201でYes)には、モードを停電モードに設定する(ステップS202)。これによって、蓄電装置12から共用部電力負荷14へと供給される電力を減少させ、蓄電装置12の充電量の減少を抑制することができる。これによって、商用電源100からの電力の供給が断たれる停電時には、蓄電装置12に電力を極力蓄えておくことができる。
【0082】
また、本実施形態においては、制御装置19は、現在時刻が日の入りから日の出までの間の時刻である場合(ステップS204でYes)には、モードを通常モードに設定する(ステップS210)。このように、現在時刻が発電装置11による発電を行うことができない時間帯に含まれている場合には、蓄電装置12が満充電になる可能性が比較的低い。よって当該時間帯では、モードを通常モードに設定する(発散モードに設定しない)ことで、蓄電装置12の充電量が過剰に減少するのを防止することができる。
【0083】
また、本実施形態においては、制御装置19は、前記電力使用量が前記発電量以上である場合(ステップS205でNo)には、モードを通常モードに設定する(ステップS210)。このように、前記電力使用量が前記発電量以上である場合には、蓄電装置12が満充電になる可能性が比較的低い。よってこの場合には、モードを通常モードに設定する(発散モードに設定しない)ことで、蓄電装置12の充電量が過剰に減少するのを防止することができる。
【0084】
また、本実施形態においては、制御装置19は、電力会社への売電が可能である場合(ステップS207でYes)には、モードを通常モードに設定する(ステップS210)。このように、電力会社への売電が可能である場合には、逆潮流の発生を防止する必要がない。よって、この場合には、モードを通常モードに設定する(発散モードに設定しない)ことで、余剰電力が発生した場合には当該電力を適宜売電することができる。
【0085】
以上の如く、上記各実施形態に係る電力供給システム1(集合住宅用電力供給システム)は、
発電可能な発電装置11と、
発電装置11において発電された電力を充電可能、かつ充電された電力を放電可能な蓄電装置12と、
発電装置11における発電の有無を検出する発電量センサ17(発電検出部)と、
蓄電装置12に充電された電力量を検出する充電量センサ18(充電量検出部)と、
共用部に設けられ、電力を消費する共用部電力負荷14と、
発電量センサ17により発電装置11において発電が行われていないことが検出され、又は充電量センサ18により蓄電装置12に充電されている電力が所定の閾値Pt未満であることが検出された場合、蓄電装置12から共用部電力負荷14に対して所定量の電力を供給する通常モード(通常時給電制御)を実行し、
発電量センサ17により発電装置11において発電が行われていることが検出され、かつ充電量センサ18により蓄電装置12に充電されている電力が閾値Pt以上であることが検出された場合、蓄電装置12から共用部電力負荷14に対して前記所定量よりも多い電力を供給する発散モード(発散給電制御)を実行する制御装置19と、
を具備するものである。
このように構成することにより、余剰電力が逆潮流するのを可能な限り防止することができる。すなわち、発電装置11において発電が行われていることが検出され、かつ蓄電装置12に充電されている電力が閾値Pt以上であることが検出された場合には、余剰電力が発生し、当該余剰電力が逆潮流するおそれがある。よってこの場合には、発散モードを実行することで共用部電力負荷14に比較的多くの電力を供給する。これによって余剰電力発生を低減することで、逆潮流の発生を可能な限り防止することができる。特に上記実施形態においては、共用部電力負荷14に比較的多くの電力を供給することで、防犯性や快適性の向上を図ることもできる。
【0086】
また、第二実施形態に係る制御装置19は、
現在時刻が所定の時間帯に含まれている場合、発散モードに代えて通常モードを実行するものである。
このように構成することにより、現在時刻に応じた適切な電力の供給が可能となる。例えば、上記実施形態の如く、発電装置11として太陽光発電装置を用いる場合、当該発電装置11が発電できない時間帯(太陽光が照射されない時間帯)には余剰電力が発生し難いため、通常モードを実行する。このように、予め時間帯によって余剰電力発生の有無が予測できる場合には、現在時刻に応じてモードを設定することができる。
【0087】
また、第二実施形態に係る前記所定の時間帯は、発電装置11において発電を行うことができない時間帯である。
このように構成することにより、余剰電力が発生し難い時間帯には通常モードを実行し、過剰な電力の消費を防止することができる。
【0088】
また、発電装置11は、太陽光を利用して発電可能な太陽光発電装置であり、
発電装置11において発電を行うことができない時間帯は、日の入りから日の出までの間の時間帯である。
このように構成することにより、発電装置11(太陽光発電装置)において発電を行うことができない時間帯において、過剰な電力の消費を防止することができる。
【0089】
また、第二実施形態に係る電力供給システム1は、発電装置11において発電される電力量を検出する発電量センサ17(発電量検出部)と、共用部電力負荷14において消費される電力量を検出する電力使用量センサ21(消費量検出部)と、をさらに具備し、制御装置19は、電力使用量センサ21により検出された電力量が、発電量センサ17により検出された電力量以上である場合、発散モードに代えて通常モードを実行するものである。
このように構成することにより、余剰電力が発生し難い場合には通常モードを実行し、過剰な電力の消費を防止することができる。
【0090】
また、第二実施形態に係る電力供給システム1は、
商用電源100の停電の有無を検出する停電センサ20(停電検出部)をさらに具備し、
制御装置19は、
停電センサ20により商用電源100の停電が発生したことが検出された場合、通常モード及び発散モードに代えて、蓄電装置12から共用部電力負荷14に対して前記所定量よりも少ない電力を供給する停電モード(停電時給電制御)を実行するものである。
このように構成することにより、停電時に共用部電力負荷14での電力の消費を抑制することができる。これによって、発電装置11によって発電された電力や蓄電装置12に充電された電力を当該蓄電装置12に極力蓄えておき、共用部電力負荷14だけではなく、その他の必要な用途に適宜利用することができる。
【0091】
なお、上記実施形態に係る電力供給システム1は、集合住宅用電力供給システムの実施の一形態である。
また、上記実施形態に係る発電量センサ17は、発電検出部及び発電量検出部の実施の一形態である。
また、上記実施形態に係る充電量センサ18は、充電量検出部の実施の一形態である。
また、上記実施形態に係る通常モードは、通常時給電制御の実施の一形態である。
また、上記実施形態に係る発散モードは、発散給電制御の実施の一形態である。
また、上記実施形態に係る日の入りから日の出までの間の時間帯は、所定の時間帯(発電装置において発電を行うことができない時間帯)の実施の一形態である。
また、上記実施形態に係る電力使用量センサ21は、消費量検出部の実施の一形態である。
また、上記実施形態に係る停電センサ20は、停電検出部の実施の一形態である。
また、上記実施形態に係る停電モードは、停電時給電制御の実施の一形態である。
【0092】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0093】
例えば、上記各実施形態において、発電装置11として太陽光発電装置を用いるものとしたが、これは一例であり、発電装置の種類を限定するものではない。すなわち、発電装置は電力を発生させるものであれば良く、例えば風力発電装置、ガス発電装置等であっても良い。
【0094】
また、上記各実施形態においては、共用部電力負荷14には通路照明14a等が含まれるものとしたが、当該通路照明14a等は例示であり、共用部電力負荷の種類を限定するものではない。すなわち、共用部電力負荷は、共用部に設けられ、電力を消費するものであればよい。
【0095】
また、上記各実施形態において説明した、各モードが設定された場合における共用部電力負荷14への電力の供給量(共用部電力負荷14の作動状態)は一例である。すなわち、各モードにおける共用部電力負荷14への電力の供給量は、予め任意に設定することができる。この際、発散モードでは、逆潮流が確実に防止できる程度に十分な量の電力が共用部電力負荷14に供給されるように設定することがより望ましい。
【0096】
また、上記各実施形態においては、発電装置11において発電された電力は一旦蓄電装置12に充電された後に、共用部電力負荷14へと供給されるものとしたが、例えば発電装置11から直接(蓄電装置12に充電することなく)共用部電力負荷14へと供給する構成とすることも可能である。
【0097】
また、上記各実施形態においては、発電装置11における発電量を検出する発電量センサ17を用いて、当該発電装置11における発電の有無を検出するものとしたが、発電検出部はこれに限るものではない。すなわち、発電検出部は、発電装置11における発電の有無を検出することができればよく、発電量まで検出する必要はない。
【0098】
また、第二実施形態においては、停電センサ20を用いて商用電源100の停電の発生の有無を検出するものとしたが、例えば蓄電装置12等が当該停電の発生の有無を検出する構成とすることも可能である。
【0099】
また、第二実施形態においては、現在時刻が日の入りから日の出までの間の時間帯に含まれている場合に、通常モードを実行するものとしたが、これに限らず、通常モードを実行する時間帯(所定の時間帯)は任意に設定することができる。例えば、通常モードを実行する時間帯として、日の入りの時刻よりも1〜2時間前(発電装置11において発電を行うことができない時間帯に入る前)から日の出までの間の時間帯を設定することもできる。この場合、発電装置11において発電を行うことができなくなる前から通常モードに切り替えることができる。