(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
初めに、
図1から
図12を用いて、半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の工程を説明する。
【0010】
図1に示す、半導体デバイスは、例えば
図2に示す様な処理システム4000で製造される。
【0011】
(第一の絶縁膜形成工程S101)
第一の絶縁膜形成工程S101に関し、
図3、
図4を用いてウエハ200を説明する。
図3は層間絶縁膜が形成される前の段階の状態である。
【0012】
ウエハ200にはソースもしくはドレインとして構成されるソース・ドレイン領域2001が形成されている。ソース・ドレイン領域2001の間にはチャネル領域2002が形成されている。ウエハ200の表面200aの内、各チャネル領域2002上にはゲート電極2003が形成されている。ゲート電極2003の周囲には、ゲート電極側壁から電流を抑制する等の役割を有する外壁2004が形成されている。
【0013】
続いて
図3を用いて、第一の絶縁膜形成工程S101を説明する。ウエハ200が第一の絶縁膜を形成する基板処理装置(第一の絶縁膜形成装置)(100a)に搬入されたら、基板処理装置の処理室内にシリコン含有ガス及び酸素含有ガスを供給する。供給されたガスは処理室内で反応し、隣接する回路や電極との間を絶縁する層間絶縁膜2005(単に絶縁膜とも呼ぶ。)を形成する。絶縁膜2005は、例えばシリコン酸化膜(SiO
2膜)で形成される。シリコン含有ガスは例えばTEOS(Tetraethyl orthosilicate、Si(OC
2H
5)
4)であり、酸素含有ガスは例えば酸素ガス(O
2)である。絶縁膜2005は、層間絶縁膜として用いられる。
【0014】
所望の時間経過後、ウエハ200に絶縁膜2005が形成されたら、ウエハ200を基板処理装置から搬出する。
【0015】
ここで、形成された絶縁膜2005について
図4を用いて説明する。既に説明したように、ウエハ200には凸状のゲート電極2003が複数形成されている。このような状態のウエハ200に膜を形成する場合、
図3のように基板表面200aから絶縁膜2005の上端までの高さが揃わない状態となる。従って、ウエハ面内においては、基板表面200aから絶縁膜2005の上端までの高さが異なってしまう。例えば、ゲート電極2003の間に形成された絶縁膜の高さは、ゲート電極2003上に形成された絶縁膜と比べて低くなる。従って、へこみ2006が形成される。絶縁膜2005を形成後、ウエハ200を搬出する。
【0016】
ところで、後述するパターニング工程S109や第一の金属膜形成工程S110と第二の金属膜形成工程S112とのいずれかまたは両方の関係から、へこみ2006の無い状態が求められている。そこで、へこみ2006を無くすべく、次の研磨工程S102にて絶縁膜2005を研磨する。
【0017】
(絶縁膜研磨工程S102)
続いて、絶縁膜2005を研磨する絶縁膜研磨工程S102を説明する。研磨工程は、CMP(Cheamical Mechanical Polishing)工程とも呼ぶ。第一の層間絶縁膜形成装置から搬出されたウエハ200は、研磨装置400(100b)に搬入される。
【0018】
以下に、研磨工程の具体的な内容について説明する。第一の層間絶縁膜形成装置からウエハ200を搬出後、
図5に記載の研磨装置400(100b)にウエハ200を搬入する。
【0019】
図5において、401は研磨盤であり、402はウエハ200を研磨する研磨布である。研磨盤401は図示しない回転機構に接続され、ウエハ200を研磨する際は、矢印406方向に回転される。
【0020】
403は研磨ヘッドであり、研磨ヘッド403の上面には、軸404が接続される。軸404は図示しない回転機構・上下駆動機構に接続される。ウエハ200を研磨する間、矢印407方向に回転される。
【0021】
405はスラリー(研磨剤)を供給する供給管である。ウエハ200を研磨する間、供給管405から研磨布402に向かってスラリーが供給される。
【0022】
続いて、
図6を用いて、研磨ヘッド403とその周辺構造の詳細を説明する。
図6は研磨ヘッド403の断面図を中心に、その周辺構造を説明する説明図である。研磨ヘッド403は、トップリング403a、リテナーリング403b、弾性マット403cを有する。研磨する間、ウエハ200の外側はリテナーリング403bによって囲まれると共に、弾性マット403cによって研磨布402に抑えつけらえる。リテナーリング403bには、リテナーリング403bの外側から内側にかけてスラリーが通過するための溝403dが形成されている。溝403dはリテナーリング403bの形状に合わせて、円周状に複数設けられている。溝403dを介して、フレッシュなスラリーと、使用済みのスラリーが入れ替わるよう構成されている。
【0023】
続いて、本工程における動作を説明する。
研磨ヘッド403内にウエハ200を搬入したら、供給管405からスラリーを供給すると共に、研磨盤401及び研磨ヘッド403を回転させる。スラリーはリテナーリング403b内に流れ込み、ウエハ200の表面を研磨する。このように研磨することで、
図7に記載のように、絶縁膜2005の高さを揃えることができる。所定の時間研磨したら、ウエハ200を搬出する。ここでいう高さとは、ウエハ表面200aから絶縁膜2005までの上端、言い換えれば絶縁膜2005の表面までの高さを言う。
【0024】
ところで、研磨後の絶縁膜2005のウエハ面内の膜厚分布を調査したところ、
図8のように、ウエハ200の面内では絶縁膜の高さが揃わない場合があることがわかった。例えば、ウエハ200の外周面の膜厚が中央面に比べて薄い分布Aや、ウエハ200の中央面の膜厚が外周面に比べて厚い分布Bが見受けられる。
【0025】
膜厚分布に偏りがあると、後述するパターニング工程ではパターンの幅のばらつきが起きるという問題がある。同様に、後述する第一の金属膜形成工程では、ウエハ表面200aから金属膜表面までの高さにばらつきが発生するという問題がある。これらのばらつきによって、歩留まりの低下を引き起こしてしまう。
【0026】
発明者による鋭意研究の結果、分布A、分布Bそれぞれに原因があることがわかった。以下にその原因を説明する。
【0027】
分布Aの原因はウエハに対するスラリーの供給方法である。前述のように、研磨布402に供給されたスラリーはリテナーリング403bを介して、ウエハ200の周囲から供給される。そのため、ウエハ200の中央面にはウエハ200の外周面を研磨した後のスラリーが流れ込み、一方ウエハ200の外周面には未使用の新鮮(フレッシュ)なスラリーが流れ込む。フレッシュなスラリーは研磨効率が高いため、ウエハ200の外周面は中央面よりも研磨されてしまう。以上のことから、絶縁膜2005の膜厚は分布Aのようになると考えられる。
【0028】
分布Bになる原因はリテナーリング403bの摩耗である。研磨装置400にて多くのウエハを研磨すると、研磨布402に押し付けられたリテナーリング403bの先端が摩耗し、溝403dや研磨布402との接触面が変形したりする。そのため、本来供給されるべきスラリーがリテナーリング403bの中央面に供給されない場合がある。このような場合、ウエハ200の外周面にスラリーが供給されないので、ウエハ200の中央面が研磨され、外周が研磨されない状態になる。従って、絶縁膜2005の膜厚は分布Bのようになると考えられる。
【0029】
そこで本実施形態では、後述するように、基板面内における絶縁膜の高さを揃えるよう補正する。具体的には、研磨工程S102の後に膜厚測定工程S103で絶縁膜2005の膜厚分布を測定し、その測定データに応じて第二の層間絶縁膜形成工程S104を実行する。このようにすることで、後述するパターニング工程ではパターンの幅のばらつきが抑制することができる。同様に、後述する第一の金属膜形成工程では、ウエハ表面200aから金属膜表面までの高さのばらつきを抑制することができる。
【0030】
(膜厚測定工程S103)
次に、膜厚測定工程S103を説明する。
膜厚測定工程S103では、測定装置を用いて研磨後の絶縁膜2005の膜厚を測定する。測定装置は一般的な装置が使用可能であるため、具体的な説明を省略する。ここでいう膜厚とは、例えばウエハ表面200aから絶縁膜2005表面までの高さを言う。
【0031】
研磨工程S102の後、ウエハ200は測定装置100cに搬入される。測定装置は、研磨装置400の影響を受けやすいウエハ200の中央面とその外周面の内、少なくとも数か所を測定し、絶縁膜2005の膜厚(高さ)分布を測定する。測定されたデータは、上位装置に送られる。測定後、ウエハ200は搬出される。
【0032】
(第二の層間絶縁膜形成工程S105)
続いて、第二の層間絶縁膜形成工程を説明する。第二の絶縁膜は第一の絶縁膜2005と同様の成分組成である。本工程では、
図9もしくは
図11に記載のように、第二の絶縁膜2007(絶縁膜2007とも呼ぶ。)を、研磨後の第一の層間絶縁膜2005上に形成する。ここでは、第一の絶縁膜2005と第二の絶縁膜2007を重ね合わせた層を積層絶縁膜と呼ぶ。
【0033】
形成する際は、研磨後の第一の層間絶縁膜2005の膜厚分布を補正するように、第二の絶縁膜2007(絶縁膜2007、もしくは補正膜2007とも呼ぶ。)を形成する。好ましくは、、絶縁膜2007の表面の高さを揃えるように絶縁膜2007を形成する。ここでいう高さとは、絶縁膜2007の表面の高さを言い、言い換えればウエハ表面200aから絶縁膜2007の表面までの距離をいう。
【0034】
以下に
図9から
図12を用いて本工程を説明する。
図9は、第一の絶縁膜2005が分布Aとなった場合を説明する図である。
図10は膜厚分布Aの補正分布A’を説明する説明図である。
図11は、第一の絶縁膜2005が分布Bとなった場合を説明する図である。
図12は膜厚分布Bの補正分布B’を説明する説明図である。
図13から
図19は本工程を実現するための基板処理装置を説明する図である。
【0035】
図9において、(A)は絶縁膜2007を形成した後のウエハ200を上方から見た図であり、
図9(B)は、
図9(A)のα-α’の断面の内、ウエハ中央とその外周を抜粋した図である。
【0036】
ここでは、ウエハ中央面の第一の絶縁膜を絶縁膜2005a、第二の絶縁膜を絶縁膜2007aと呼び、ウエハ外周面の第一の絶縁膜を絶縁膜2005b、第二の絶縁膜を絶縁膜2007bと呼ぶ。
【0037】
測定装置100cから搬出されたウエハ200は、
図13に記載の第二の絶縁膜を形成する基板処理装置100(100d)に搬入される。
【0038】
基板処理装置100は、膜厚測定工程S103で測定した膜厚分布データに基づいて絶縁膜2007の膜厚を基板面内において制御する。まず、コントローラ121に設けられた受信部285で受信したデータに基づいて所定の処理データがコントローラ121で演算される。例えば、受信したデータが、分布Aを示すデータであれば、ウエハ外周面の絶縁膜2007bを厚くし、中央面の絶縁膜2007aが外周面の絶縁膜2007bよりも薄くなるよう、膜厚を制御する。また、受信したデータが分布Bを示すデータであれば、ウエハ200の中央面の絶縁膜2007aを厚くし、ウエハ200の外周面の絶縁膜2007bを絶縁膜2007aよりも薄くするなるよう、膜厚を制御する。
【0039】
好ましくは、第一の絶縁膜と第二の絶縁膜とを重ね合わせた高さを、ウエハ面内で所定の範囲にするよう、第二の絶縁膜の厚みを制御する。言い換えれば、基板の面内における前記第二の絶縁膜の高さの分布が所定の範囲内となるよう第二の絶縁膜の膜厚分布を制御し、高さを整える。即ち、
図9、
図11に示すように、ウエハ200の中央面における基板表面200aから第二の絶縁膜2007aの上端までの高さH1aと、ウエハ外周面における基板表面200aから第二の絶縁膜2007bの上端までの高さH1bとを揃えることができる。
【0040】
次に、絶縁膜2007a、2007bそれぞれの膜厚を制御可能な、第二の絶縁膜2007を形成する基板処理装置100について、具体的に説明する。
【0041】
本実施形態に係る基板処理装置100について説明する。基板処理装置100は、
図13に示されているように、枚葉式基板処理装置として構成されている。基板処理装置100は、半導体装置の製造の一工程で用いられる。ここでは、少なくとも第二の層間絶縁膜形成工程S104で用いられる。
【0042】
図13に示すとおり、基板処理装置100は処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。処理容器202内には、基板としてのシリコンウエハ等のウエハ200を処理する処理空間(処理室)201、搬送空間203が形成されている。処理容器202は、上部容器202a、下部容器202bで構成される。上部容器202aは、例えば石英またはセラミックスなどの非金属材料で構成され、下部容器202bは、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料または、石英により構成されている。基板載置台212よりも上方の空間を処理空間201と呼び、下部容器202bに囲まれた空間であって、基板載置台212よりも下方の空間を搬送空間203と呼ぶ。
【0043】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口206を介して搬送室(104)との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。更に、下部容器202bはアース電位になっている。
【0044】
(基板載置台)
処理空間201内には、ウエハ200を支持する基板支持部210が設けられている。基板支持部(サセプタ)210は、ウエハ200を載置する載置面211と、載置面211を表面に持つ基板載置台212、基板載置台212に内包された加熱部としてのヒータ213を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0045】
基板載置台212はシャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、更には処理容器202の外部で昇降機構218に接続されている。昇降機構218を作動させてシャフト217及び支持台212を昇降させることにより、載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、処理空間201内は気密に保持されている。
【0046】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、載置面211が基板搬入出口206の位置(ウエハ搬送位置)となるよう基板支持台まで下降し、ウエハ200の処理時には
図10で示されるように、ウエハ200が処理空間201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇する。
【0047】
具体的には、基板載置台212をウエハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は載置面211の上面から埋没して、載置面211がウエハ200を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン207は、ウエハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。
【0048】
また、
図14に示すように、基板載置台212には、バイアス調整部219としての第1バイアス電極219aと第2バイアス電極219bが設けられている。第1バイアス電極219aは、第1インピーダンス調整部220aと接続され、第2バイアス電極219bは、第2インピーダンス調整部220bと接続され、それぞれの電極の電位を調整可能に構成されている。また、
図15に示すように第1バイアス電極219aと第2バイアス電極219bは、同心円状に形成され、基板の中心側の電位と外周側の電位を調整可能に構成される。
【0049】
また、第1インピーダンス調整部220aに第1インピーダンス調整電源221aを設け、第2インピーダンス調整部220bに第2インピーダンス調整電源221bを設ける様に構成しても良い。第1インピーダンス調整電源221aを設けることによって、第1バイアス電極219aの電位の調整幅を広げることができ、基板200の中心側に引き込まれる活性種の量の調整幅を広げることができる。また、第2インピーダンス調整電源221bを設けることによって、第2バイアス電極219bの電位の調整幅を広げることができ、基板200の外周側に引き込まれる活性種の量の調整幅を広げることができる。例えば、活性種がプラスの電位の場合に、第1バイアス電極219aの電位をマイナスとなる様に構成し、第2バイアス電極219bの電位を第1バイアス電極219aの電位よりも高くなるように構成することによって、基板200の外周側に供給される活性種量よりも中心側に供給される活性種量を多くすることができる。また、処理室201内に生成される活性種の電位が中性に近い場合であっても、第1インピーダンス調整電源221aと第2インピーダンス調整電源221bのいずれか若しくは両方を用いることによって、基板200に引き込む量を調整することができる。
【0050】
また、ヒータ213として、第1ヒータ213aと第2ヒータ213bを設けても良い。第1ヒータ213aは、第1バイアス電極219aと対向するように設けられ、第2ヒータ213bは第2バイアス電極219bと対向するように設けられる。第1ヒータ213aは第1ヒータ電源213cと接続され、第2ヒータ213bは第2ヒータ電源213dと接続され、それぞれのヒータへの電力の供給量を調整可能に構成される。
【0051】
(活性化部)
図13に示すように、上部容器202aの上方には、第1活性化部(側方活性部)としての第1コイル250aが設けられている。第1コイル250aには、第1マッチングボックス250dを介して第1高周波電源250cが接続されている。第1コイル250aに高周波電力が供給されることによって、処理室201に供給されるガスを励起してプラズマを生成可能に構成される。特に、処理室201の上部であって、基板200と対向する空間(第1プラズマ生成領域251)にプラズマが生成される。更に、基板載置台212と対向する空間にプラズマが生成されるように構成しても良い。
【0052】
また、
図13に示すように、上部容器202aの側方に、第2活性化部(上方活性化部)としての第2コイル250bを設けてもよい。コイル250bには、第2マッチングボックス250eを介して第2高周波電源250fが接続されている。第2コイル250bに高周波電力が供給されることによって、処理室201に供給されるガスを励起してプラズマを生成可能に構成される。特に、処理室201の側方であって、基板200と対向する空間よりも外側の空間(第2プラズマ生成領域252)にプラズマが生成される。更に、基板載置台212と対向する空間よりも外側にプラズマが生成されるように構成しても良い。
【0053】
ここでは、第1活性化部と第2活性化部それぞれに、別々のマッチングボックスと高周波電源を設けた例を示したがこれに限らず、第1コイル250aと第2コイル250bで共通のマッチングボックスを用いるように構成しても良い。また、第1コイル250aと第2コイル250bで共通の高周波電源を用いるように構成しても良い。
【0054】
(磁力生成部(磁界生成部))
図13に示すように、上部容器202aの上方には、第1磁力生成部(第1磁界生成部)としての第1電磁石(上部電磁石)250gが設けられても良い。第1電磁石250gには、第1電磁石250gに電力を供給する第1電磁石電源250iが接続されている。なお、第1電磁石250gはリング形状であり、
図13に示すようにZ1またはZ2方向の磁力(磁界)を生成可能に構成されている。磁力(磁界)の方向は、第1電磁石電源250iから供給される電流の向きで制御される。
【0055】
また、基板200よりも下方であって、処理容器202の側面に、第2磁力生成部(磁界生成部)としての第2電磁石(側方電磁石)250hが設けられていても良い。第2電磁石250hには、第2電磁石250hに電力を供給する第2電磁石電源250jが接続されている。なお、第2電磁石250hは、リング形状であり、
図13に示すようなZ1またはZ2方向の磁力(磁界)を生成可能に構成されている。磁力(磁界)の方向は、第2電磁石電源250jから供給される電流の向きで制御される。
【0056】
第1電磁石250gと第2電磁石250hのいずれかによって、Z1方向への磁力(磁界)を形成することによって、第1プラズマ生成領域251に形成されたプラズマを第3プラズマ生成領域253や第4プラズマ生成領域254へ移動(拡散)させることができる。なお、第3プラズマ生成領域253では、基板200の中心側と対向する位置に生成される活性種の活性度が、基板200の外周側に対向する位置に生成される活性種の活性度よりも高くなる。これは、中心側に対向する位置に、ガス導入口241aが設けられていることにより、フレッシュなガス分子が供給されるために生じる。また、第4プラズマ生成領域254では、基板200の外周側に対向する位置に生成される活性種の活性度が、中心側に対向する位置に生成される活性種の活性度よりも高くなる。これは、基板支持部210の外周側に排気経路が形成されることから、基板200の外周側にガス分子が集まるために発生する。プラズマの位置は、第1電磁石250gと第2電磁石250hに供給される電力によって制御することができ、電力を増大させることによって、より基板200に接近させることができる。また、第1電磁石250gと第2電磁石250hの両方によって、Z1方向への磁力(磁界)を形成することにより、更にプラズマを基板200に接近させることができる。また、Z2方向への磁力(磁界)を形成することによって、第1プラズマ生成領域251で形成されたプラズマが基板200方向に拡散することを抑制させることができ、基板200に供給される活性種のエネルギーを低下させることができる。また、第1電磁石250gで形成される磁界の向きと第2電磁石250hで形成される磁力(磁界)の向きをそれぞれ異なるように構成しても良い。
【0057】
また、処理室201内であって、第1電磁石250gと第2電磁石250hの間に、遮磁板250kを設けても良い。遮磁板250kを設けることによって、第1電磁石250gで形成される磁力(磁界)と第2電磁石250hで形成される磁力(磁界)とを、分離でき、それぞれの磁界を調整することによって、基板200の面内の処理均一性を調整することが容易となる。また、遮磁板250kの高さを遮磁板昇降機構(不図示)によって調整可能に構成しても良い。
【0058】
(排気系)
搬送空間203(下部容器202b)の内壁には、処理空間201の雰囲気を排気する排気部としての排気口221が設けられている。排気口221には排気管222が接続されており、排気管222には、処理空間201内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器223、真空ポンプ224が順に直列に接続されている。主に、排気口221、排気管222、圧力調整器223、により排気系(排気ライン)が構成される。なお、真空ポンプ224を排気系(排気ライン)構成の一部に加える様にしても良い。
【0059】
(ガス導入口)
上部容器202aの上部には、処理空間201内に各種ガスを供給するためのガス導入口241aが設けられ、共通ガス供給管242が接続されている。
【0060】
(ガス供給部)
図16に示すように、共通ガス供給管242には、第一ガス供給管243a、第二ガス供給管244a、第三ガス供給管245a、クリーニングガス供給管248aが接続されている。
【0061】
第一ガス供給管243aを含む第一ガス供給部243からは第一元素含有ガス(第一処理ガス)が主に供給され、第二ガス供給管244aを含む第二ガス供給部244からは主に第二元素含有ガス(第二処理ガス)が供給される。第三ガス供給管245aを含む第三ガス供給部245からは、主にパージガスが供給され、クリーニングガス供給管248aを含むクリーニングガス供給部248からはクリーニングガスが供給される。処理ガスを供給する処理ガス供給部は、第1処理ガス供給部と第2処理ガス供給部のいずれか若しくは両方で構成され、処理ガスは、第1処理ガスと第2処理ガスのいずれか若しくは両方で構成される。
【0062】
(第一ガス供給部)
第一ガス供給管243aには、上流方向から順に、第一ガス供給源243b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラMFC243c、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。
【0063】
第一ガス供給源243bから、第一元素を含有するガス(第一処理ガス)が供給され、MFC243c、バルブ243d、第一ガス供給管243a、共通ガス供給管242を介してガス整流部234に供給される。
【0064】
第一処理ガスは、原料ガス、すなわち、処理ガスの一つである。
ここで、第一元素は、例えばシリコン(Si)である。すなわち、第一処理ガスは、例えばシリコン含有ガスである。シリコン含有ガスとしては、例えば、TEOS(Tetraethyl orthosilicate、Si(OC
2H
5)
4)SiH
2(NH(C
4H
9))
2(ビス ターシャル ブチル アミノ シラン、略称:BTBAS)ガスを用いることができる。なお、シリコン含有ガスとしては、BTBASの他に、例えばテトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH
3)
2]
4、略称:4DMAS)ガス、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C
2H
5)
2]
2H
2、略称:2DEAS)ガス、ビスターシャリーブチルアミノシラン(SiH
2[NH(C
4H
9)]
2、略称:BTBAS)ガス等、ヘキサメチルジシラザン(C
6H
19NSi
2、略称:HMDS)やトリシリルアミン((SiH
3)
3N、略称:TSA)、ヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6、略称:HCDS)等を用いることができる。なお、第一処理ガスの原料は、常温常圧で固体、液体、及び気体のいずれであっても良い。第一処理ガスの原料が常温常圧で液体の場合は、第一ガス供給源243bとMFC243cとの間に、図示しない気化器を設ければよい。ここでは原料は気体として説明する。
【0065】
第一ガス供給管243aのバルブ243dよりも下流側には、第一不活性ガス供給管246aの下流端が接続されている。第一不活性ガス供給管246aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源246b、MFC246c、及び開閉弁であるバルブ246dが設けられている。
【0066】
ここで、不活性ガスは、例えば、ヘリウム(He)ガスである。なお、不活性ガスとして、Heガスのほか、例えば、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。また、処理ガスや、基板200、成膜される膜と反応し難いガスであっても良い。例えば、窒素(N
2)ガスを使用可能な場合が有る。
【0067】
主に、第一ガス供給管243a、MFC243c、バルブ243dにより、第一元素含有ガス供給部243(シリコン含有ガス供給部ともいう)が構成される。
【0068】
また、主に、第一不活性ガス供給管246a、MFC246c及びバルブ246dにより第一不活性ガス供給部が構成される。なお、不活性ガス供給源246b、第一ガス供給管243aを、第一不活性ガス供給部に含めて考えてもよい。
【0069】
更には、第一ガス供給源243b、第一不活性ガス供給部を、第一元素含有ガス供給部に含めて考えてもよい。
【0070】
(第二ガス供給部)
第二ガス供給管244aの上流には、上流方向から順に、第二ガス供給源244b、MFC244c、及び開閉弁であるバルブ244dが設けられている。
【0071】
第二ガス供給源244bから、第二元素を含有するガス(以下、「第2の処理ガス」)が供給され、MFC244c、バルブ244d、第二ガス供給管244a、共通ガス供給管242を介して、ガス整流部234に供給される。
【0072】
第2の処理ガスは、処理ガスの一つである。なお、第2の処理ガスは、反応ガスまたは改質ガスとして考えてもよい。
【0073】
ここで、第2の処理ガスは、第一元素と異なる第二元素を含有する。第二元素としては、例えば、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)、水素(H)のいずれかである。また、第2の処理ガスとして、複数種の元素を含むガスを用いても良い。具体的には、第2の処理ガスとして、酸素(O
2)ガスが用いられる。
【0074】
主に、第二ガス供給管244a、MFC244c、バルブ244dにより、第2の処理ガス供給部244が構成される。
【0075】
これに加えて、活性化部としてのリモートプラズマユニット(RPU)244eを設けて、第二処理ガスを活性化可能に構成しても良い。
【0076】
また、第二ガス供給管244aのバルブ244dよりも下流側には、第二不活性ガス供給管247aの下流端が接続されている。第二不活性ガス供給管247aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源247b、MFC247c、及び開閉弁であるバルブ247dが設けられている。
【0077】
第二不活性ガス供給管247aからは、不活性ガスが、MFC247c、バルブ247d、第二ガス供給管247aを介して、ガス整流部234に供給される。不活性ガスは、薄膜形成工程(後述するS4001〜S4005)ではキャリアガス或いは希釈ガスとして作用する。
【0078】
主に、第二不活性ガス供給管247a、MFC247c及びバルブ247dにより第二不活性ガス供給部が構成される。なお、不活性ガス供給源247b、第二ガス供給管244aを第二不活性ガス供給部に含めて考えてもよい。
【0079】
更には、第二ガス供給源244b、第二不活性ガス供給部を、第二元素含有ガス供給部244に含めて考えてもよい。
【0080】
(第三ガス供給部)
第三ガス供給管245aには、上流方向から順に、第三ガス供給源245b、流量制御器(流量制御部)であるMFC245c、及び開閉弁であるバルブ245dが設けられている。
【0081】
第三ガス供給源245bから、パージガスとしての不活性ガスが供給され、MFC245c、バルブ245d、第三ガス供給管245a、共通ガス供給管242を介してガス整流部234に供給される。
【0082】
ここで、不活性ガスは、例えば、窒素(N
2)ガスである。なお、不活性ガスとして、N
2ガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0083】
主に、第三ガス供給管245a、MFC245c、バルブ245dにより、第三ガス供給部245(パージガス供給部ともいう)が構成される。
【0084】
(クリーニングガス供給部)
クリーニングガス供給管243aには、上流方向から順に、クリーニングガス源248b、MFC248c、バルブ248d、RPU250が設けられている。
【0085】
クリーニングガス源248bから、クリーニングガスが供給され、MFC248c、バルブ248d、RPU250、クリーニングガス供給管248a、共通ガス供給管242を介してガス整流部234に供給される。
【0086】
クリーニングガス供給管248aのバルブ248dよりも下流側には、第四の不活性ガス供給管249aの下流端が接続されている。第四の不活性ガス供給管249aには、上流方向から順に、第四の不活性ガス供給源249b、MFC249c、バルブ249dが設けられている。
【0087】
また、主に、クリーニングガス供給管248a、MFC248c及びバルブ248dによりクリーニングガス供給部が構成される。なお、クリーニングガス源248b、第四不活性ガス供給管249a、RPU250を、クリーニングガス供給部に含めて考えてもよい。
【0088】
なお、第四の不活性ガス供給源249bから供給される不活性ガスを、クリーニングガスのキャリアガス或いは希釈ガスとして作用するように供給しても良い。
【0089】
クリーニングガス供給源248bから供給されるクリーニングガスは、クリーニング工程ではガス整流部234や処理室201に付着した副生成物等を除去するクリーニングガスとして作用する。
【0090】
ここで、クリーニングガスは、例えば三フッ化窒素(NF
3)ガスである。なお、クリーニングガスとして、例えば、フッ化水素(HF)ガス、三フッ化塩素ガス(ClF
3)ガス、フッ素(F
2)ガス等を用いても良く、またこれらを組合せて用いても良い。
【0091】
また好ましくは、上述の各ガス供給部に設けられた、流量制御部としては、ニードルバルブやオリフィスなどの、ガスフローの応答性が高い構成が好ましい。例えば、ガスのパルス幅がミリ秒オーダーになった場合は、MFCでは応答できないことが有るが、ニードルバルブやオリフィスの場合は、高速なON/OFFバルブと組み合わせることで、ミリ秒以下のガスパルスに対応することが可能となる。
【0092】
(制御部)
図17に示すように基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ121を有している。
【0093】
制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122や、外部記憶装置283、受信部285などが接続可能に構成されている。受信部285には、ネットワーク284などが接続可能に構成される。
【0094】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプログラムレシピ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0095】
I/Oポート121dには、ゲートバルブ205、昇降機構218、圧力調整器223、真空ポンプ224、RPU250、MFC243c,244c,245c,246c,247c,248c,249c、バルブ243d,244d,245d,246d,247d,248d,249d、第1マッチングボックス250d、第2マッチングボックス250e、第1高周波電源250c、第2高周波電源250f、第1インピーダンス調整部220a、第2インピーダンス調整部220b、第1インピーダンス調整電源221a,第2インピーダンス調整電源221b、第1電磁石電源250i、第2電磁石電源250j、第1ヒータ電源213c、第2ヒータ電源213d、等が接続されている。
【0096】
CPU121aは、記憶装置121cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU121aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ205の開閉動作、昇降機構218の昇降動作、圧力調整器223の圧力調整動作、真空ポンプ224のON/OFF制御、RPU250のガス励起動作、MFC243c,244c,245c,246c,247c,248c,249cの流量調整動作、バルブ243d,244d,245d,246d,247d,248d,249dのガスのオンオフ制御、第1マッチングボックス250d,第2マッチングボックス250eの整合制御、第1高周波電源250c,第2高周波電源250fのON/OFF制御、第1インピーダンス調整部220a,第2インピーダンス調整部220bのインピーダンス調整、第1インピーダンス調整電源221a,第2インピーダンス調整電源221bのON/OFF制御、第1電磁石電源250i,第2電磁石電源250jの電力制御、第1ヒータ電源213c,第2ヒータ電源213dの電力制御、等を制御するように構成されている。
【0097】
なお、コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)283を用意し、係る外部記憶装置283を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ121を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置283を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置283を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置121cや外部記憶装置283は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置283単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合が有る。
【0098】
続いて、基板処理装置100を用いた膜の形成方法について
図18,
図19を用いて説明する。
膜厚測定工程S103の後、測定されたウエハ200は基板処理装置100に搬入される。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0099】
(基板搬入工程S3004)
膜厚測定工程S103で第一の絶縁膜2005が測定されたら、ウエハ200を基板処理装置100に搬入させる。具体的には、基板支持部210を昇降機構218によって下降させ、リフトピン207が貫通孔214から基板支持部210の上面側に突出させた状態にする。また、処理室201内を所定の圧力に調圧した後、ゲートバルブ205を開放し、ゲートバルブ205からリフトピン207上にウエハ200を載置させる。ウエハ200をリフトピン207上に載置させた後、昇降機構218によって基板支持部210を所定の位置まで上昇させることによって、ウエハ200が、リフトピン207から基板支持部210へ載置されるようになる。ここで所定の圧力とは、例えば、処理室201内の圧力≧真空搬送室104内の圧力とする。
【0100】
(減圧・温度調整工程S4001)
続いて、処理室201内が所定の圧力(真空度)となるように、排気管222を介して処理室201内を排気する。この際、圧力センサが測定した圧力値に基づき、圧力調整器223としてのAPCバルブの弁の開度をフィードバック制御する。また、温度センサ(不図示)が検出した温度値に基づき、処理室201内が所定の温度となるようにヒータ213への通電量をフィードバック制御する。具体的には、基板支持部210をヒータ213により予め加熱しておき、ウエハ200又は基板支持部210の温度変化が無くなってから所定時間置く。この間、処理室201内に残留している水分あるいは部材からの脱ガス等が有る場合は、真空排気やN
2ガスの供給によるパージによって除去しても良い。これで成膜プロセス前の準備が完了することになる。なお、処理室201内を所定の圧力に排気する際に、一度、到達可能な真空度まで真空排気しても良い。
【0101】
また、ここで、受信したデータに基づいて、第1ヒータ213aと第2ヒータ213bの温度をチューニング可能に構成しても良い。基板200の中心側の温度と外周側の温度を異ならせるようにチューニングすることによって、基板200の中心側と外周側の処理を異ならせるようにすることができる。
【0102】
(活性化条件調整工程S4002)
続いて、以下の(A)〜(C)の少なくとも1つ以上の調整(チューニング)を行う。
図19では、(A)を行った例を示す。
【0103】
(A)
第1電磁石電源250iと第2電磁石電源250jから第1電磁石250gと第2電磁石250hのそれぞれに、所定の電力を供給し、処理室201内に所定の磁力(磁界)を形成する。例えばZ1方向の磁力(磁界)が形成される。このとき、受信した測定データに応じて、基板200の中央上部や外周上部に形成される磁界や磁束密度をチューニングする。磁力(磁界)や磁束密度のチューニングは、第1電磁石250gで形成される磁界の強さと、第2電磁石250hで形成される磁界の強さによってチューニングすることができる。このチューニングによって、例えば、基板200の中心側に引き込まれる活性種量(活性種濃度)を、基板200の外周側に引き込まれる活性種量(活性種濃度)よりも多くすることができ、基板200の中心側の処理量を外周側の処理量よりも多くすることができる。
【0104】
ここで、処理室201内に遮磁板250kが設けられている場合には、遮磁板250kの高さをチューニングしても良い。遮磁板250kの高さを調整することによって、磁界や磁束密度をチューニングすることができる。
【0105】
(B)
第1バイアス電極219aと第2バイアス電極219bそれぞれの電位を調整する。例えば、第1バイアス電極219aの電位が第2バイアス電極219bの電位よりも低くなるように、第1インピーダンス調整部220aと第2インピーダンス調整部220bが調整される。第1バイアス電極219aの電位を第2バイアス電極219bの電位よりも低くすることによって、基板200の中心側に引き込まれる活性種量(活性種濃度)を、基板200の外周側に引き込まれる活性種量(活性種濃度)よりも多くすることができ、基板200の中心側の処理量を外周側の処理量よりも多くすることができる。
【0106】
(C)
第1コイル250aと第2コイル250bそれぞれに供給する高周波電力の設定値を調整する。例えば、第1コイル250aに供給する高周波電力が第2コイル250bに供給される高周波電力よりも大きくなるように、第1高周波電源250cと第2高周波電源250fの設定値が調整(変更)される。第1コイル250aに供給する高周波電力を第2コイル250bに供給される高周波電力よりも大きくすることによって、基板200の中心側に供給される活性種量(活性種濃度)を、基板200の外周側に供給される活性種量(活性種濃度)よりも多くすることができ、基板200の中心側の処理量を外周側の処理量よりも多くすることができる。
【0107】
(処理ガス供給工程S4003)
続いて、第一処理ガス供給部から処理室201内に第一処理ガスとしてのシリコン元素含有ガスを供給する。また、排気系による処理室201内の排気を継続して処理室201内の圧力を所定の圧力(第1圧力)となるように制御する。具体的には、第一処理ガス供給管243aのバルブ243dを開き、第一処理ガス供給管243aにシリコン元素含有ガス流す。シリコン元素含有ガスは、MFC243cにより流量調整される。流量調整されたシリコン元素含有ガスは、ガス導入口241aから、処理室201内に供給され、排気管222から排気される。なお、このとき、第一キャリアガス供給管246aのバルブ246dを開き、第一キャリアガス供給管246aにArガスを流しても良い。Arガスは、第一キャリアガス供給管246aから流れ、MFC246cにより流量調整される。流量調整されたArガスは、第一処理ガス供給管243a内でシリコン元素含有ガス混合されて、ガス導入口241aから、処理室201内に供給され、排気管222から排気される。
【0108】
(活性化工程S4004)
続いて、第二処理ガス供給部から処理室201内に第二処理ガスとしての酸素含有ガスを供給する。また、排気系による処理室201内の排気を継続して処理室201内の圧力を所定の圧力となるように制御する。具体的には、第二処理ガス供給管244aのバルブ244dを開き、第2処理ガス供給管244aに酸素含有ガスを流す。酸素含有ガスは、MFC244cにより流量調整される。流量調整された酸素含有ガスは、ガス導入口241aから処理室201内に供給され、排気管222から排気される。このとき、第1高周波電源250cから第1マッチングボックス250dを介して、第1コイル250aに高周波電力が供給されると、処理室201内に存在する酸素元素含有ガスが活性化される。このとき、特に、第1プラズマ生成領域251、第3プラズマ生成領域253、第4プラズマ生成領域254の少なくともいずれかに酸素含有プラズマが生成され、活性化された酸素が、基板200に供給される。好ましくは、基板200の中心側と外周側に異なる濃度の活性種が供給されるように構成する。例えば、第2電磁石250hで形成される磁界の大きさを第1電磁石250gで形成される磁界の大きさよりも大きくすることによって、第4プラズマ生成領域254の外周側のプラズマ密度を中心側のプラズマ密度よりも高くすることができる。この場合、基板200には、基板200の中心側上部と比較して、基板200の外周側上部に活性なプラズマを生成することができる。
【0109】
この様な酸素含有プラズマを生成した状態で、所定時間保持して基板に所定の処理を施す。
【0110】
また、第1バイアス電極219aと第2バイアス電極219bとの電位差によって、中心側と外周側の活性種の濃度が異なるように構成しても良い。
【0111】
また、このとき、第2高周波電源250fから第2マッチングボックス250eを介して第2コイル250bに高周波電力を供給して、第2プラズマ生成領域252に酸素含有プラズマを生成しても良い。
【0112】
(パージ工程S4005)
酸素含有プラズマを生成した状態で所定時間経過した後、高周波電力をOFFにして、プラズマを消失させる。このとき、シリコン元素含有ガスの供給と酸素含有ガスの供給は、停止しても良いし、所定時間、供給を継続させても良い。シリコン元素含有ガスと酸素含有ガスの供給停止後、処理室201内に残留するガスを排気部から排気する。このとき、不活性ガス供給部から、処理室201内に不活性ガスを供給して、残留ガスを押し出すように構成しても良い。このように構成することで、パージ工程の時間を短縮することができ、スループットを向上させることができる。
【0113】
(基板搬出工程S3006)
パージ工程S4005が行われた後、基板搬出工程S3006が行われ、ウエハ200が処理室201から搬出される。具体的には、処理室201内を不活性ガスでパージし、搬送可能な圧力に調圧される。調圧後、基板支持部210が昇降機構218により降下され、リフトピン207が、貫通孔214から突き出し、ウエハ200がリフトピン207上に載置される。ウエハ200が、リフトピン207上に載置された後、ゲートバルブ205が開き、ウエハ200が処理室201から搬出される。
【0114】
続いて、本装置を用いて第二の絶縁膜の膜厚を制御する方法を説明する。
前述のように、研磨工程S102終了後、第一の層間絶縁膜2005は、ウエハ200の中央面と外周面とで膜厚が異なってしまう。膜厚測定工程S103ではその膜厚分布を測定する。測定結果は上位装置(不図示)を通して、RAM121bに格納される。格納されたデータは記憶装置121c内のレシピと比較され、CPU121aによって所定の処理データが演算される。この処理データに基づいた装置制御が成される。
【0115】
次に、RAM121bに格納されたデータが分布Aである場合を説明する。分布Aの場合とは、
図8に記載のように、絶縁膜2005aが絶縁膜2005bよりも厚い場合を言う。
【0116】
分布Aの場合、本工程では、ウエハ200の外周面の第二の絶縁膜の膜厚を大きくし、ウエハ中央面の第二の絶縁膜の膜厚を小さくするよう制御する。例えば、第2電磁石250hから発生させる磁力を第1電磁石250gから発生させる磁力よりも大きくすることによって、第4プラズマ生成領域254のプラズマ密度を第3プラズマ生成領域253のプラズマ密度よりも高くすることができ、基板200の中心側上部と比較して、基板200の外周側上部に活性なプラズマを生成することができる。この様なプラズマを生成した状態で処理することにより、絶縁膜2005に絶縁膜2007を重ね合わせた高さを、
図10に示すターゲット膜厚分布A´のように補正することができる。即ち、積層絶縁膜の膜厚を膜厚分布A´のように補正することができる。
【0117】
このとき、絶縁膜2005bに絶縁膜2006bを重ねた厚さを、絶縁膜2005aに絶縁膜2006aを重ねた厚さが実質的に等しくなるよう、絶縁膜2006の厚みを制御する。好ましくは、前記基板表面から前記第二の層間絶縁膜の上端までの距離が所定範囲内となるよう制御する。更に好ましくは、前記基板の面内における前記第二の層間絶縁膜の高さ(第二の層間絶縁膜の上端)の分布が所定の範囲内となるよう第二の層間絶縁膜の膜厚分布を制御する。
【0118】
また、別の方法として、第1バイアス電極219aの電位と第2バイアス電極219bの電位をそれぞれ制御しても良い。例えば、第2バイアス電極219bの電位を第1バイアス電極219aの電位よりも低くすることによって、ウエハ200の外周側に引き込まれる活性種量を増やし、ウエハ200の外周側の膜厚を厚くすることができる。
【0119】
また、第1コイル250aに供給する電力と第2コイル250bに供給する電力とをそれぞれ制御しても良い。例えば、第2コイル250bに供給される電力を第1コイル250aに供給される電力よりも大きくすることによって、ウエハ200の外周側に供給される活性種量を増やし、ウエハ200の外周側の膜厚を厚くすることができる。
【0120】
また、これら複数の制御を並行して行わせることによって、更に緻密な制御が可能となる。
【0121】
分布Bの場合、本工程では、ウエハ200の中央面に形成する絶縁膜2007aの膜厚を大きくし、ウエハ200の外周面に形成する絶縁膜2007bの膜厚を小さくするよう制御する。例えば、第1電磁石250gから発生される磁力を、第2電磁石250hから発生される磁力よりも大きくなるようにして、第3プラズマ生成領域253側にプラズマを生成するように制御する。このようにすることで、絶縁膜の高さ、即ち絶縁膜2005に絶縁膜2007を重ねた高さを、
図12に記載の膜厚分布B´のように補正することができる。即ち、積層絶縁膜の膜厚を膜厚分布B´のように補正することができる。
【0122】
このとき、絶縁膜2005bに絶縁膜2006bを重ねた厚さを、絶縁膜2005aに絶縁膜2006aを重ねた厚さが等しくなるよう、絶縁膜2007の厚みを制御する。
【0123】
また、別の方法として、第1バイアス電極219aの電位と第2バイアス電極219bの電位とをそれぞれ制御しても良い。例えば、第1バイアス電極219aの電位を第2バイアス電極219bの電位よりも低くすることによって、基板200の中心側に引き込まれる活性種量を増やし、基板200の中心側の膜厚を大きくすることができる。
【0124】
また、第1コイル250aに供給する電力と第2コイル250bに供給する電力とをそれぞれ制御しても良い。例えば、第1コイル250aに供給される電力を第2コイル250bに供給される電力よりも大きくすることによって、基板200の中心側に供給される活性種量を増やし、基板200の中心側の膜厚を大きくすることができる。
【0125】
これら複数の制御を並行して行わせることによって、更に緻密な制御が可能となる。
【0126】
(膜厚測定工程S105)
続いて、膜厚測定工程105について説明する。膜厚測定工程S105では、第一の絶縁膜2005と第二の絶縁膜2007を重ね合わせた層の高さを測定する。具体的には、重ね合わせた層の高さが揃っているか否か、つまり積層絶縁膜の膜厚がターゲット膜厚分布のように補正されているか否かを確認する。ここで「高さが揃う」とは、完全に高さが一致しているものに限らず、高さに差があっても良い。例えば、高さの差は、後のパターニング工程や金属膜形成工程で影響の無い範囲であれば良い。
ウエハ200の面内おける高さの分布が所定範囲内であれば窒化膜形成工程S107に移行する。なお、膜厚分布が所定の分布になることが予めわかっている場合には、膜厚測定工程S105は省略しても良い。
【0127】
(窒化膜形成工程S107)
続いて、窒化膜形成工程107を説明する。
第二の層間絶縁膜形成工程S104の後または膜厚測定S105の後、ウエハ200を窒化膜形成装置100dに搬入する。窒化膜形成装置100d、一般的な枚葉装置であるため説明を省略する。
【0128】
本工程では、
図20のように、第二の絶縁膜2007上にシリコン窒化膜2008を形成する。このシリコン窒化膜は、後述するパターニング工程の中のエッチング工程において、ハードマスクの役割を有する。なお、
図20では分布Aを例にしているが、それに限るものではなく、分布Bにおいても同様であることは言うまでもない。
【0129】
窒化膜形成装置では、処理室内にシリコン含有ガスと窒素含有ガスを供給し、ウエハ200上にシリコン窒化膜2008を形成する。シリコン含有ガスは、例えば、ジシラン(Si
2H
4)であり、窒素含有ガスは例えば、アンモニア(NH
3)である。
【0130】
第二の絶縁膜形成工程S104で高さが揃えられた絶縁膜2007上にシリコン窒化膜2008が形成されるので、シリコン窒化膜2008の高さも、基板面内で所定の範囲の高さ分布となる。即ち、ウエハ面内において、ウエハ表面200aからシリコン窒化膜2008表面までの距離は、ウエハ面内所定の範囲内となる。
【0131】
(膜厚測定工程S108)
続いて、膜厚測定工程S108について説明する。膜厚測定工程S108では、第一の絶縁膜と第二の絶縁膜、シリコン窒化膜を重ね合わせた層の高さを測定する。高さが所定範囲内であればパターニング工程S109に移行する。ここで、所定の範囲とは、後のエッチング工程や金属膜形成工程で影響の無い範囲である。なお、第一の絶縁膜と第二の絶縁膜、シリコン窒化膜を重ね合わせた層の高さが予め所定の範囲内になっていることが分かっている場合には、膜厚測定工程S108を省略しても良い。
【0132】
(パターニング工程S109)
続いて、パターニング工程S106を説明する。
図21は露光工程のウエハ200を説明した説明図である。
図22は、エッチング工程後のウエハ200を説明した説明図である。
【0133】
以下に具体的な内容を説明する。
シリコン窒化膜形成後、レジスト形成装置にてシリコン窒化膜上にレジスト膜2009を塗布する。その後、
図22のように、ランプ501から光を発して露光工程を行う。露光工程ではマスク502を介してレジスト2009上に光503を照射し、レジスト2009の一部を変質させる。ここでは、ウエハ200の中央面における変質したレジスト膜をレジスト2009a、ウエハ200の外周面における変質したレジスト膜をレジスト2009bと呼ぶ。
【0134】
前述のように、ウエハ表面200aからシリコン窒化膜2008の表面までの高さ分布は、基板面内で所定の範囲内である。従って、ウエハ表面200aからレジスト膜2009の表面までの高さを揃えることができる。露光工程においてはランプ501からレジスト膜2009までの距離、即ち光503の移動距離がウエハ面内において等しいため、焦点深度の面内分布を等しくすることができる。
【0135】
焦点深度を等しくすることができるため、レジスト膜2009a、レジスト膜2009bの幅を、基板面内において一定にすることができる。従って、パターン幅のばらつきをなくすことができる。
【0136】
続いて、
図22を用いてエッチング処理後のウエハ200の状態を説明する。前述のようにレジスト膜2009aとレジスト膜2009bの幅が所定の範囲内であるので、ウエハ200の面内におけるエッチング条件を一定にすることが可能となる。従って、ウエハ200の中央面や外周面において、エッチングガスを均一に供給でき、エッチング後の溝2010の幅を、ウエハ200の中央面における溝2010aとウエハ外周における溝2010bの幅を一定にすることができる。溝2010がウエハ面内で一定となるので、回路の特性を基板面内で一定とすることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0137】
(第一の金属膜形成工程S110)
続いて、金属膜形成工程S110を説明する。
図23は第一の金属膜である金属膜2011を形成したウエハ200を説明した図である。金属膜形成装置は既存のCVD装置等の薄膜装置であるため説明を省略する。
【0138】
エッチング処理終了後、ウエハ200は金属膜形成装置に搬入される。金属膜形成装置の処理室に、金属含有ガスを供給し、金属膜2011を形成する。金属は導電性の性質を有し、例えばタングステン(W)が用いられる。
【0139】
金属含有ガスは溝2010等に供給され、
図23のように溝2010に金属成分を充填する。充填された金属は、上の層に形成される回路と接続されるための導電性配線として用いられる。
【0140】
(金属膜研磨工程S111)
金属が充填されたら、金属膜形成装置からウエハ200を搬出し、その後研磨装置に移載する。研磨装置では余分な金属膜を研磨する。余分な金属膜とは、例えば溝2010からはみ出した膜を言う。
【0141】
(第二の金属膜形成工程S112)
金属膜研磨工程S111の後、第一の金属膜2011上への成膜、パターニング工程等を介して
図24のように第二の金属膜2012を形成する。第二の金属膜2012は、第一の金属膜2011と同じ組成としても良いし、回路の特性によっては異なる組成としても良い。
【0142】
以上のように、第二の層間絶縁膜形成工程S104を含めた基板処理工程を行うことで、基板表面200aから伸びた第一の金属膜2011の高さを、ウエハ200の中央面と外周面とで揃えることができる。従って、ドレイン・ソース領域201第二の金属膜2012を結ぶ第一の金属膜2011の特性を、ウエハ面内で均一にすることができる。即ち、ウエハ200から生産する多くの半導体装置に関し、特性を一定とすることができる。
【0143】
尚、ここでいう特性とは、例えば電気的な容量を言う。
【0144】
本実施形態においては、ドレイン・ソース領域201と第二の金属膜2012間の導電性配線を例にして説明したがそれに限るものではない。例えば、ドレイン・ソース領域を金属配線に置き換えても良い。この場合、一方が第一の金属配線であり、他方が第一の金属配線よりも上方の層に配された第二の金属配線であり、その間を本実施形態における導電層で構成するようにしても良い。
【0145】
また、本実施形態においては重力方向下層と上層を接続することを例に説明したが、それに限るものではなく、例えば3次元積層回路に応用しても良いことは言うまでもない。
【0146】
次に、
図25から
図27を用いて比較例を説明する。
比較例は、第二の層間絶縁膜形成工程S104を実施しない場合である。したがってウエハ200の中央面とその外周面とで高さが異なる。
【0147】
まず
図25を用いて第一の比較例を説明する。
図25は
図21と比較した図である。
図25の場合、絶縁膜2005の高さがウエハ200の中央面と外周面とで異なる、即ち絶縁膜2005aと絶縁膜2005bの高さが異なるため、光503の距離がウエハ200の中央面と外周面とで異なってしまう。従って、焦点距離がウエハ200の中央面と外周面とで異なり、その結果レジスト膜2009aの幅とレジスト膜2009bの幅が異なってしまう。このようなレジスト膜2009で処理を進めると、
図26に記載のように、ウエハ200の中央面側の溝Laと外周面側の溝Lbとで幅が異なってしまう。従って、ウエハ200の中央面と外周面とで半導体装置の特性にばらつきが起きる。
【0148】
これに対して、本実施形態は第二の絶縁膜形成工程S104を行うので、ウエハ面内において溝2010の幅を一定とすることができる。従って、比較例に比べ、均一な特性の半導体装置を形成でき、歩留まりの向上に著しく貢献することができる。
【0149】
続いて第二の比較例を説明する。
図27は
図24と比較した図である。
図27は、仮にレジスト膜2009aとレジスト膜2009bの幅にばらつきがなかった場合を想定している。
【0150】
前述のように、パターニング工程の後、第一の金属膜形成工程S110、金属膜研磨工程S111、第二の金属膜形成工程を行い、第一の金属膜2011と第二の金属膜2012を形成する。
【0151】
ところが、第一の絶縁膜2005の厚みがウエハ200の中央面と外周面とで異なる、即ち絶縁膜2005aと絶縁膜2005bの高さが異なるため、
図27に記載のように、ウエハ200の中央面における第一の金属膜2011(a)の高さHa’と外周面における第二の金属膜2011(b)の高さHb’が異なってしまう。
【0152】
ここで、前述のように第一の金属膜2011の電気的容量は金属膜の高さに依存することがわかっている。即ち、
図23のような状況の場合、ウエハ200の中央面とウエハ200の外周面で電気的容量が異なってしまう。
【0153】
これに対して、本実施形態は第二の絶縁膜形成工程S104を行うので、ウエハ面内において第一の金属膜の高さを一定とすることができる。従って、比較例に比べ、均一な特性の半導体装置を形成でき、歩留まりの向上に著しく貢献することができる。
【0154】
尚、以上の実施例では、ウエハ200の中央面、外周面に分けて説明したが、それに限るものではなく、径方向に対してより細分化した領域で絶縁膜の膜厚を制御しても良い。例えば、ウエハ200の中央面、外周面、中央面と外周面の間の面等、3つの領域に分けても良い。
【0155】
また、ここではハードマスクとして、シリコン窒化膜を例に説明したが、それに限るものではなく、例えばシリコン酸化膜でも良い。
【0156】
(他の実施形態)
上述の
図19にウエハ200の中心側への成膜量と外周側への成膜量とに、差をつける処理シーケンス例にこれに限るものでは無く、以下の処理シーケンス例が有る。
【0157】
例えば、
図28に示す処理シーケンス例が有る。
図28は、第1電磁石250gで磁界を生成した後で、第2電磁石250hで磁界を生成して処理する例である。この様に処理することによって、基板の外周側への成膜量を中心側への成膜量よりも多くすることができる。逆に、第2電磁石250hで磁界を生成した後に第1電磁石250gで磁界を生成するように構成した場合には、基板の中心側への成膜量を外周側への成膜量よりも多くすることができる。
【0158】
また、
図29に示す処理シーケンス例が有る。
図29は、
図19の処理シーケンスで、第2コイル250bへの電力を第1コイル250aへの電力よりも大きくして処理する例である。この様に処理することによって、基板の外周側への成膜量を中心側への成膜量よりも多くすることができる。逆に、第1電磁石250gへの電力を第2電磁石250hへの電力よりも大きくして、第1コイル250aへの電力を第2コイル250bへの電力よりも大きくすることによって、基板の中心側への成膜量を外周側への成膜量よりも多くすることができる。
【0159】
また、
図30に示す処理シーケンス例が有る。
図30は、
図19の処理シーケンスで、第1バイアス電極219aの電位を第2バイアス電極219bの電位よりも大きくして処理する例である。この様に処理することによって、基板の外周側への成膜量を中心側への成膜量よりも多くすることができる。逆に、第1電磁石250gへの電力を第2電磁石250hへの電力よりも大きくして、第2バイアス電極219bの電位を第1バイアス電極219aの電位よりも大きくすることによって、基板の中心側への成膜量を外周側への成膜量よりも多くすることができる。
【0160】
また、
図31に示す処理シーケンス例が有る。
図31は、第1バイアス電極の電位よりも第2バイアス電極の電位を高くして処理するシーケンスである。この様に処理することによって、
図10に示す、膜厚分布Aを膜厚分布A´となるように補正することができる。
【0161】
また、
図32に示す処理シーケンス例が有る。
図32は、第1コイル250aに供給される高周波電力を第2コイル250bに供給される高周波電力よりも大きくして処理するシーケンスである。この様に処理することによって、
図12の膜厚分布Bを膜厚分布B´となるように補正することができる。
【0162】
また、
図33に示す処理シーケンス例が有る。
図33は、第1コイル250aに供給される高周波電力を第2コイル250bに供給される高周波電力よりも小さくして処理するシーケンスである。この様に処理することによって、
図10に示す、膜厚分布Aを膜厚分布A´となるように補正することができる。
【0163】
また、
図34に示す処理シーケンス例が有る。
図34は、第1コイル250aに高周波電力をt1時間供給した後に、第2コイル250bに高周波電力をt2時間供給するシーケンスである。ここでは、t1をt2よりも長くなるように構成する。この様に処理することによって
図12の膜厚分布Bを膜厚分布B´となるように補正することができる。なお、ここでは、第1コイル250aに高周波電力を供給した後に、第2コイル250bに高周波電力を供給する様に構成したが、逆に、第2コイル250bに電力供給した後に、第1コイル250aに電力を供給する様に構成しても良い。
【0164】
また、
図35に示す処理シーケンス例が有る。
図35は、t1をt2よりも短くなるように構成したシーケンスである。この様に処理することによって、
図10に示す、膜厚分布Aを膜厚分布A´となるように補正することができる。なお、ここでは、第1コイル250aに高周波電力を供給した後に、第2コイル250bに高周波電力を供給する様に構成したが、逆に、第2コイル250bに電力供給した後に、第1コイル250aに電力を供給する様に構成しても良い。
【0165】
また、第一の層間絶縁膜を研磨した際に、ゲート電極が密集した場所にエロ―ジョン(Erosion)と呼ばれる欠陥が生じることが有る。このエロ―ジョンは、基板200に対して、垂直方向に、膜が削り取られる現象である。このエロ―ジョンの発生分布も、基板200の中心側と外周側で発生量が異なることが有る。例えば、基板200の外周側と比較して、中心側に多く発生することが有る。この場合に、
図36の様に、活性化工程S4004の前に、第1コイル250aで事前にプラズマをt3時間発生させる工程S4004´を行うことによって、基板200の中心側に存在する、エロ―ジョンを埋めた後に、第二の層間絶縁膜の膜厚を補正することができるため、基板200の中心側で局所的な凹凸が発生することを抑制することができる。即ち、第二の層間絶縁膜の平坦性を向上させることができる。なお、エロ―ジョンが、基板200の中心側と比較して、外周側に多く発生する場合には、S4004´で、第1コイル250aでは無く、第2コイル250bを用いることによって基板200の外周側に存在すうるエロ―ジョンを埋めた後に、第二の層間絶縁膜の膜厚を補正することができる。また、ここでは、第1コイル250aと第2コイル250bを用いてプラズマ生成タイミングを制御する例を示したが、これに限らず、第1電磁石250h,第2電磁石250g,第1バイアス電極219a、第2バイアス電極219b、第1ヒータ213a,第2ヒータ213bなどの構成を用いて、プラズマ生成タイミングやプラズマ密度を制御する様に構成しても良い。
【0166】
また、研磨工程S102後の第一の層間絶縁膜には、エロ―ジョンの他に、ディッシング(Dishing)、シンニング(Thinning)と呼ばれる欠陥が生じることがあり、このディッシングやシンニングについても、基板200の中心側と外周側での発生分布が異なることがあり、これらの欠陥を補正する様に構成しても良い。
【0167】
また、上述では、第1コイル250aと第1電磁石250gと第2電磁石250hを用いて処理室201内にプラズマを生成する例を示したが、これに限るものでは無い。例えば、第1コイル250aを設けずに、第2コイル250bと第1電磁石250gと第2電磁石250hを用いて処理室201内にプラズマを生成する様に構成しても良い。第2コイル250bだけを用いた場合のプラズマは、主に第2プラズマ生成領域252に生成されるが、第1電磁石250gと第2電磁石250hのいずれか若しくは両方を用いることで、第2プラズマ生成領域に生成された活性種を、基板200の中心側に拡散させることによって、処理分布を調整することができる。
【0168】
また、上述では、ウエハの中央面、外周面に分けて説明したが、それに限るものではなく、径方向に対してより細分化した領域でシリコン含有膜の膜厚を制御しても良い。例えば、ウエハ200の中央面、外周面、中央面と外周面の間の面等、3つの領域に分けても良い。
【0169】
また、上述では、第1電磁石250gの径と第2電磁石250hの径とを同じ径で構成したがこれにかぎるものでは無い。例えば、第2電磁石250hの径を第1電磁石250gの径よりも大きく構成しても良いし、第1電磁石250gの径を第2電磁石250hの径よりも大きく構成しても良い。
【0170】
また、上述では、第1電磁石250gと第2電磁石250hを固定して構成した例を示したが、これに限らず、それぞれの電磁石に上下動作機構を設けて、処理によって、磁石の位置を変えられるように構成しても良い。
【0171】
また、ここではハードマスクとして、シリコン窒化膜を例に説明したが、それに限るものではなく、例えばシリコン酸化膜でも良い。
【0172】
また、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜に限らず、他の元素を含有する、酸化膜,窒化膜,炭化膜,酸窒化膜,金属膜,それぞれを複合した膜でパターンが形成されている場合であっても良い。
【0173】
また、上述では、300mmのSiウエハを例として説明したが、これに限るものでは無い。例えば、450mm以上の基板であれば、得られる効果が増大する。大型の基板の場合、研磨工程S102の影響がより顕著になる。即ち、絶縁膜2005aと絶縁膜2005bの膜厚の差がより大きくなる。また、第一の絶縁膜形成工程S101での成膜された第一の絶縁膜の面内の膜質の分布が研磨工程S102に与える影響が増大し、膜厚の差がより大きくなる課題が生じる。この課題は、第一の絶縁膜形成工程S101と研磨工程S102のそれぞれの工程の条件を最適化させることにより、解決できる可能が有る。しかしながら、条件の最適化や、それぞれの工程間に影響を与えない条件の最適化には、多大な時間とコストを要する。これに対して、上述の様な補正工程を設けることにより、第一の絶縁膜形成工程S101や研磨工程S102それぞれの条件を最適化させることなく、膜を補正することができる。
【0174】
また、上述では、第一の層間絶縁膜形成装置100a,研磨装置100b,測定装置100c,第二の層間絶縁膜形成装置100dを同一の処理システム4000内に構成した例を示したが、これに限るものでは無い。例えば第一の層間絶縁膜形成装置100a,研磨装置100b,測定装置100c,第二の層間絶縁膜形成装置100dをそれぞれ単独で有するシステムで構成しても良いし、2つ以上を組み合わせた処理システム4000であっても良い。
【0175】
また、上述では、半導体デバイスの製造工程の一工程の処理について記したが、これに限らず、類似の工程を有するバックエンドプロセスの一工程であっても良い。また、液晶パネルの製造工程のパターニング処理、太陽電池の製造工程のパターニング処理や、パワーデバイスの製造工程のパターニング処理などの、基板を処理する技術にも適用可能である。
【0176】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0177】
<付記1>
一態様によれば、
研磨が施された第一の絶縁膜を有する基板の前記第一の絶縁膜の膜厚分布データを受信する工程と、
前記膜厚分布データを基に前記基板の中心側の膜厚と外周側の膜厚との差を小さくさせる処理データを演算する工程と、
前記基板を処理室に搬入する工程と、
前記基板に処理ガスを供給する工程と、
前記処理データを基に、前記基板の中心側に生成される前記処理ガスの活性種の濃度と、前記基板の外周側に生成される前記処理ガスの活性種の濃度とを異ならせるように前記処理ガスを活性化させて前記第一の絶縁膜の膜厚分布を補正する工程と、
を有する半導体装置の製造方法、または、基板処理方法が提供される。
【0178】
<付記2>
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜厚分布データが、前記基板の外周側の膜厚が前記基板の中心側の膜厚よりも小さい場合、前記補正する工程で、前記基板の側方から発生する磁力を前記基板の上方から発生する磁力よりも大きく形成された状態で行われる。
【0179】
<付記3>
付記1または付記2に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜厚分布データが、前記基板の外周側の膜厚が前記基板の中心側の膜厚よりも小さい場合、
前記補正する工程は、前記基板の側方から供給される高周波電力を前記基板の上方から供給される高周波電力よりも大きくして前記処理ガスを活性化させる。
【0180】
<付記4>
付記1乃至付記3のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記膜厚分布データが、前記基板の外周側の膜厚が前記基板の中心側の膜厚よりも小さい場合、
前記補正する工程は、前記基板の外周側の電位を前記基板の中心側の電位よりも低く構成される。
【0181】
<付記5>
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜厚分布データが、前記基板の中心側の膜厚が前記基板の外周側の膜厚よりも小さい場合、
前記補正する工程は、前記基板の上方から発生する磁力を前記基板の側方から発生する磁力よりも大きく形成された状態で行われる。
【0182】
<付記6>
付記1または付記5に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜厚分布データが、前記基板の中心側の膜厚が前記基板の外周側の膜厚よりも小さい場合、
前記補正する工程は、前記基板の上方から供給される高周波電力を前記基板の側方から供給される高周波電力よりも大きくして前記処理ガスを活性化させる。
【0183】
<付記7>
付記1,5,6のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記膜厚分布データが、前記基板の中心側の膜厚が前記基板の外周側の膜厚よりも小さい場合、
前記補正する工程は、前記基板の中心側の電位を前記基板の外周側の電位よりも低くした状態で行われる。
【0184】
<付記8>
付記1乃至7のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記第一の絶縁膜は第一の元素を含み、
前記補正する工程では、前記第一の絶縁膜の上に前記第一の元素を含む第二の絶縁膜を形成することで前記膜厚分布を補正する。
【0185】
<付記9>
付記8に記載の方法であって、好ましくは、
前記補正工程の後に、前記第一の絶縁膜と前記第二の絶縁膜をパターニングする工程が行われる。
【0186】
<付記10>
付記1乃至付記9のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記補正工程の前に研磨された第一の絶縁膜の膜厚が測定される。
【0187】
<付記11>
他の態様によれば、
研磨が施された第一の絶縁膜を有する基板の膜厚分布データを受信させる手順と、
前記膜厚分布データを基に前記基板の中心側の膜厚と外周側の膜厚との差を小さくさせる処理データを演算させる手順と、
前記基板を処理室に搬入させる手順と、
前記基板に処理ガスを供給させる手順と、
前記処理データを基に、前記基板の中心側に生成される前記処理ガスの活性種の濃度と、前記基板の外周側に生成される前記処理ガスの活性種の濃度とを異ならせるように前記処理ガスを活性化させて前記第1の絶縁膜の膜厚分布を補正させる手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム、または、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0188】
<付記12>
更に他の態様によれば、
研磨が施された第一の絶縁膜を有する基板の膜厚分布データを受信する受信部と、
前記分布データを基に前記基板の中心側の膜厚と外周側の膜厚との差を小さくさせる処理データを演算する演算部と、
前記基板が収容される処理室と、
前記処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理ガスを活性化させる活性化部と、
前記処理データに基づいて、前記基板の中心側上部と外周側上部に供給される前記処理ガスの活性種濃度が異ならせるように前記処理ガスを活性化させて前記第一の絶縁膜の膜厚分布を補正するように前記処理ガス供給部と前記活性化部とを制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。