【課題を解決するための手段】
【0023】
前記ミラー支持体ブランクに関して、上記課題は、冒頭に述べた形式のチタンをドープしたシリカガラスのブランクから出発し、本発明により、dCTE
maxが少なくとも0.5ppb/Kであり、かつCAがこの領域の1つの重心を有する非円形領域を形成し、前記dCTE分布プロフィールは、回転対称ではなくかつCAにわたって、前記領域の前記重心を通過して延びる、単位長さで標準化された直線状のプロフィール交線が0.5×dCTE
max未満の帯域幅を有する曲線帯域を形成するdCTE曲線群を生じるように定義されていることにより解決される。
【0024】
このミラーエレメント上に当たる放射線のエネルギー密度の他に、その空間分布も、このミラーエレメントの光学的露出を決定する。この放射の空間分布は、それぞれのミラーエレメントについて特定された光学的使用領域CAの幾何学形状に第一次近似で反射する。光学的使用領域CAにわたる内在的dCTE分布とは反対に、これ自体の分布はこのミラーエレメントの物理特性を示すものではないが、この分布はこのミラーエレメントに属する仕様の一部である。
【0025】
このCTEが所定の望ましい値から局所的に逸脱することにより、特に稼働中の加熱によって、自動的にミラーエレメントによるイメージングエラーが生じる。基本的に、このようなエラーは、光学的使用領域の範囲内のCTEの逸脱をできる限り完全に避けるか、又は光学的露出に関してその局所的分布を最適化することにより特定のCTE不均一性を受け入れることにより低減することができる。
【0026】
最初に挙げられた選択肢は、ミラーエレメントが、その特定の光学的露出及びCA幾何学形状とは無関係に、良好な品質及び高い有用性を示すことができるという利点を有する。しかしながら、この選択肢はTiをドープしたシリカガラスの製造及びその熱機械的後処理において多大な手間を必要とする。
【0027】
しかしながら、本発明は、まさにこの状況を回避することを試みる。従って、一定程度のCTE不均一性は、本発明のミラー支持体ブランクの場合には許容される。これは、それ自体、dCTE
max(つまり、CA内のCTE分布プロフィールの絶対的なCTE最大値と絶対的なCTE最小値との間の差)が少なくとも0.5ppb/Kであることに表される。
【0028】
従って、このミラーエレメントのための製造の手間は小さいが、dCTE分布プロフィールを光学的露出に、及びこの場合に特にCAのサイズ及び幾何学形状に適合させることが必要である。CA幾何学形状が円形の形状から逸脱する場合に、この適合は今までは全く経験的に行われていた。この光学的露出に基本的に適切な適合を行う系統的な方法は、この場合に知られていなかった。従って、CAに関する特定の要件及び境界条件の
仕様に関して、経験的な対策なしで、適合するミラー支持体ブランクを提供することは困難であった。しかしながら、経験的方法は、簡単でかつ安価な工業的製造についてなされる要求を満たさない。
【0029】
本発明は、ここで、ミラー支持体ブランクに規定されたCAが円形の形状とは異なる幾何学形状を有する場合に、ミラー支持体ブランク用のdCTE分布プロフィールの形成のために一般的設計原理を提供する。
【0030】
一般的設計原理
この設計原理の1つの側面は、回転対称ではなく、伸びた楕円形であるdCTE分布プロフィールの幾何学形状的構成に関し、かつ他の側面は伸長された楕円形のdCTE分布プロフィールと、非円形のアウトラインを有する光学的露出領域CAとの間の協調に関する。
【0031】
この光学的露出領域CAの、円形の形状とは異なるアウトラインは、通常では凸型の閉じた曲線を形成する。この曲線により取り囲まれる領域の次の説明は、「楕円」の例に関するが、非楕円の幾何学形状、例えば角が丸められた長方形の形状又は豆形の形状又はドッグボーン形状(dog bone form)にも同様に適用可能である。この楕円は、長さ方向の拡がりが、それに直交する幅方向の最大の拡がりよりも大きく、かつ対称軸を有しないか、又は1つ又は2つの対称軸を有する。楕円形のCAの領域の重心は、公知の幾何学的考察により得られるか又は積分によって数学的に計算される。
【0032】
この一般的設計原理の1つの側面は、CAの楕円形の形状とdCTE分布プロフィールとの間の相互作用に関する。この相互作用は、CAにわたるdCTE分布プロフィールが、CAの領域の重心を通過して延びる、この分布プロフィールの全ての直線的な交線が類似する推移を有するように設計されていることで表される。CAの長さ方向の拡がりと幅方向の拡がりが(及び、それによりdCTE分布プロフィール長さ方向の拡がりと幅方向の拡がり及び対応するプロフィール交線も)異なるので、異なる交線の推移の類似性は、同じ長さに標準化する場合にだけ検出することができ、例えばこの領域の重心を通過する最も長いプロフィール交線の長さに標準化することにより検出することができる。この相応して標準化されたプロフィール交線は、以後「長さが標準化されたプロフィール交線」ともいう。
【0033】
この類似性は、それ自体、この条件下で、全ての所望の長さが標準化されたプロフィール交線が、0.5×dCTE
max未満、好ましくは0.3×dCTE
max未満の最大帯域幅を有する曲線帯域を形成するdCTE曲線群を生じることで表される。この「最大帯域幅」は、曲線帯域に沿った全ての標準化されたプロフィール位置でのdCTE値の最大値と最小値との最大の差として得られる。
【0034】
この曲線帯域の小さな最大帯域幅が、dCTE分布プロフィールを通過する長さが標準化された交線の尺度、つまり、回転対称のdCTE分布プロフィールの場合に典型的な横断線の角度とは無関係の交線の類似性の尺度である。しかしながら、回転対称の分布プロフィールは、ここで存在するCAの楕円形状には適合せず、かつこの技術的課題の解決のために適していない。
【0035】
本発明による非回転対称のdCTE分布プロフィールの場合の長さが標準化された交線の類似性の高い度合いは、この分布プロフィールがほぼ回転対称のdCTE分布プロフィールに起因するように、つまり回転対称のプロフィールが少なくとも1つの方向で伸長されることにより構成されるという事実による。この伸長方向は、ここでは最も簡単な場合でかつ好ましくは、回転対称の軸に対して垂直に延びるように設計される。この種の変形を、以後、「横方向の変形」ともいう。
【0036】
従って、この設計原理は、ほぼ円形の形状を有する回転対称のdCTE分布プロフィールから横方向の変形によって非円形の形状を有する幾何学的に類似のdCTE分布プロフィールを製造する場合の幾何学的な変換に基づく。横方向の変形によりこのdCTE分布プロフィールは、回転対称のdCTE分布に関して基本的に及び予測不能に変化するのではなく、数学的にほぼ再現可能でかつ定義されたように変化する。これは、非回転対称の分布プロフィールから回転対称の分布プロフィールへの逆方向での数学的な反転の場合にも当てはまる。
【0037】
横方向の変形の前後のdCTE分布プロフィールは、互いにある程度「類似」している。これらのプロフィールの「類似性」は、当初の回転対称の分布の基本的な特徴が、横方向の変形により得られた分布においても見ることができるという点にある。これらの特徴は、分布の相対的及び絶対的な極値の数及びその相互の相対位置を含む。
【0038】
例えば、DE 10 2004 024 808 A1に説明されかつ上記の式(1)に関して数学的に記載された回転対称のdCTE分布プロフィールは、円形のCAでの光学的露出に関して設計されている。幾何学的変換の上述の設計原理に基づいて横方向の変形により他の、非回転対称の分布プロフィールに変換されたこのプロフィールは、この変換プロセスなしの場合よりも、他の手段なしでも、伸びた楕円形のCAでの光学的露出にとってより適している。
【0039】
従って、このdCTE分布プロフィールは、非回転対称の、非円形の形状を有し、この形状は理想的には、回転対称の分布プロフィールの少なくとも1つの方向への伸長により一義的に数学的に記載することができる。この伸長率は、1より大であるか、又は1より小である。
【0040】
CAの領域の重心を通過する交線S
maxが、この領域の重心を通過する最短の交線S
minよりも少なくとも20%長い場合(S
max > 1.2×S
min)の光学的使用領域CAを、ここでは非円形と定義する。非円形のCAへの適合が、複数の交線の曲線帯域の狭い帯域幅のためにこのプロフィールの「類似性」に関する上述の条件を満たすような場合の分布プロフィールが、非回転対称のdCTE分布プロフィールと定義される。
【0041】
丸い形状内での横方向変形によるCTE不均一分布の幾何学的変換の設計原理は、むしろ複雑なアウトラインを有するCA領域への適合のためにも適している。このように製造された分布プロフィールは、
丸い形状(又はその一部)の分布プロフィールの、複数の空間方向への同時の又は連続した伸長によって記載することができることが重要である。これらの空間方向は、好ましくは共通の変形平面上に延在し、この変形平面は、好ましくは光学的使用領域CAの平面に対して垂直に延在する。
【0042】
本発明による非回転対称のdCTE分布プロフィールの場合の長さが標準化された交線の類似性に関する要求は、楕円形の光学的露出領域CAの全体にわたって満たされ
なければならない。CAの端部ではしばしば困難が生じる。本発明によるブランクの2つの好ましい実施態様を次に記載し;これらは、上述の一般的設計原理を、特にCAの端部領域について、CAとdCTE分布プロフィールとの相互作用の側面のもとで改良している。
【0043】
第1の改良
本発明による非回転対称のdCTE分布プロフィールは、非回転対称の形状を有し、この形状内で、山頂を中心とした等高線と同じように、CA平面の表面法線を中心として閉じた等値線が延在し、かつこれがCTE不均一性の同じレベルを表すことにより特徴付けられる。
【0044】
この基本状態に基づいて、第1の好ましい実施態様の場合に、dCTE分布プロフィールが、0.5×dCTE
maxのdCTE値を有する閉じた等値線を有し、この等値線の全長の少なくとも80%の部分長さが、光学的使用領域CA内に延在することが規定されている。
【0045】
最大dCTE不均一性の半分のレベルのdCTE値を表すdCTE分布プロフィールの等値線は、その全長の少なくとも80%が、好ましくは全体が、このミラー支持体ブランクのCA内に延在する。dCTE分布プロフィールの複雑な推移(例えば波形を有するプロフィール)の場合、複数の閉じた等値線は、CAの領域の重心から異なる距離を有するレベルに延在していてもよい。この場合、通常では、CAアウトラインに最も近くに延在する等値線が、上述の条件、つまりその長さの80%以上がCAアウトライン上に又はCAアウトライン内に延在するという条件を満たす場合が有用である。理想的には、この等値線は、CA領域の重心から最も距離がある等値線でもある。0.5×dCTE
maxのレベルを有するどの等値線がCAにより近く延在しているかが一義的には確認できないか又はこのような等値線が存在しないような他の場合には、CAにdCTE分布プロフィールの適合品質を調節及び評価するためのこの基準は適用できない。
【0046】
これは、CAのアウトライン線のdCTE不均一性プロフィールの形状が、
等距離の等値線の大部分(それぞれの等値線の長さの少なくとも80%)がCA内に延在するように適合されることを意味する。理想的には、CAのアウトラインのdCTE不均一性プロフィールの形状は、全ての等値線がこのCAのアウトライン上に又はアウトライン内に延在するように正確に適合される。
【0047】
第2の改良
本発明によるブランクの第2の好ましい実施態様の場合に、このCAの非円形領域が非円形のアウトラインによって定義されていて、このアウトラインに沿ってdCTE分布プロフィールのdCTE最大値及びdCTE最小値が位置し、この最大値と最小値との間の差PV
CAは、0.5×dCTE
max以下であることが予定されている。
【0048】
第1の改良された実施態様の場合には、非円形の楕円のCAアウトライン及び非回転対称のdCTE分布プロフィールの幾何学形状の実質的な位置合わせに集中するが、第2の改良では、dCTE分布プロフィールと光学的使用領域との間の相互作用の定量化に集中する。
【0049】
このdCTE分布プロフィールは、ここでは、CAアウトラインが分布プロフィールのできる限り少ない数の等値線と交差するように形成されている。その理由は、このCAアウトラインがより多くの等値線により交差されていると、dCTE分布のCA内のイメージング
品質への光学的影響がより顕著になるためである。
【0050】
この影響の尺度は、CAアウトラインに沿ってdCTE値中のレベルの差の絶対値の合計によって生じる。合計によって得られる全体のレベルの差が大きければそれだけ、dCTE分布プロフィールのCA内の光学的イメージへの影響が強くなる。しかしながら、この全体のレベルの差は、CAアウトラインの円周の長さに依存することができる。従って、CAアウトラインに沿って生じるdCTE極値(最大値及び最小値)による差として得られる差PV
CAが、本発明の場合に、dCTE分布プロフィールの等値線によるCAアウトラインの交差による相互作用の度合いの尺度として使用される。PV
CAは、全体としてCAにわたる最大dCTE不均一性の半分以下であり、好ましくは0.3×dCTE
max以下である。
【0051】
この分布プロフィールを、回転対称の分布プロフィールを少なくとも1つの空間方向へ伸長し、この場合の伸長率が少なくとも1.2であることによって一義的に数学的に記載できる場合に好ましいことが判明した。
【0052】
この伸長率は、ここでは、伸長の前後の長さの比の値を意味する。この1からの逸脱が大きくなればそれだけ、本発明によるブランクの使用の際の分布プロフィールの利点は顕著となる。
【0053】
この関係で、分布プロフィールを、
丸い形を複数の空間方向へ伸長し、これらの空間方向が一つの共通の変形平面上に延在し、この共通の変形平面は光学的使用領域CAに対して平行に延在することによって、一義的に数学的に記載できる場合に好ましいことも判明した。
【0054】
本発明によるブランクの好ましい実施態様の場合に、dCTE分布プロフィールは、円形の形状を同一の変形表面上に延在しかつ120°の角度をなす3つの方向へ伸長することにより記載することができる。
【0055】
回転軸対称の分布の中心から出発して、3方向への同時の伸長によってdCTE分布プロフィールが得られ、これらは例えば三方クローバーリーフ、ワンケルエンジンピストン又はピックの断面形状を有する。
【0056】
この製造方法について、上述の技術的課題は、本発明によって、次の工程を有する方法により解決される:
a) 回転対称のdCTE分布プロフィールを有する、Tiをドープしたシリカガラスのガラス円柱体を準備する工程、及び
b) 前記ガラス円柱体を軟化し、かつこのガラス円柱体の縦軸方向に対して垂直方向に作用する力成分を有する成形力を作用させながら前記ガラス円柱体を形成して、それにより、この回転対称のプロフィールを少なくとも1つの方向へ伸長させて、非円形断面を有しかつ非回転対称のdCTE分布プロフィールを有する円柱形のブランクが得られるように、前記ガラス円柱体を成形する工程。
【0057】
本発明による方法の出発点は、理想的に円柱軸を中心に正確に回転対称に伸びるdCTE分布プロフィールを有するガラス円柱体である。実際に、例えばDE 10 2004 024 808 A1に説明されかつ上記式(1)による数学的に記載される要求を満たす二次元のdCTE分布プロフィールが適切である。このようなプロフィールは、ここでは、このプロフィールが完全に回転対称の幾何学形状を示さなくても、回転対称と定義される。
【0058】
円形の形状とは異なるCAを有する光学的露出と共に使用するためのこのようなガラス円柱体の適合のために、このガラス円柱体は成形プロセスに供され、かつこのプロセスにおいて、上述の「幾何学的変換」によりガラス円柱体の縦軸に対して横方向に変形、例えば伸長される。この成形プロセスの結果として、非円形断面を有する、Tiをドープしたシリカガラスの円柱状ブランクが得られる。単純な伸長操作が、予め設定された回転対称のプロフィールを、CTE不均一性の非回転対称の分布プロフィールへ変換するために既に十分であり、他のあらゆる適合化手段なしでも、前記成形プロセスなしの場合よりも、伸びた楕円形のCAを有する光学的露出のためにより適している。
【0059】
このガラス円柱体を方法工程(b)により成形する間に、前記円柱体は、このガラス円柱体の縦軸に対して垂直に伸びる方向で1回又は繰り返し伸長される。繰り返し成形する場合には、この変形措置は、同時に又は連続して行うことができる。後者に挙げた場合には、成形工程の後に得られたこのガラス体は、更に引き続く成形工程で変形される。
【0060】
この場合、ガラス円柱体の縦軸は、製造されるべきミラー支持体ブランクの光軸又は主機能方向に一致する。従って、ガラス円柱体中の回転対称のdCTE分布プロフィールは、成形されたブランク中に同じ幾何学的形状で反映されることが保証される。理想的には、成形力は、ガラス円柱体の縦軸方向に対して垂直方向にだけ作用し;しかしながら、実際には、他の方向成分を有する成形力を避けることはできない。得られたブランクの品質及び有用性のための重要な要因は、回転対称のdCTE分布プロフィールとの「類似性」が維持されることである。当初の回転対称の分布の重要な特徴が、成形により得られた分布中にも見られる場合にこの目的は達成される。この意味範囲で重要な特徴とは、当初の分布の相対的及び絶対的な極値の数及びその相互の相対位置である。
【0061】
それにより設定されるdCTE分布プロフィールは、以前のガラス円柱体の縦軸を中心として非回転対称であり、かつ本発明によるブランクに関して上述により詳細に説明されているように、次の特徴、
(1) 長さが標準化されかつこのCA領域の重心を通過する全ての直線状のプロフィール交線が、0.5×dCTE
max未満、好ましくは0.3×dCTE
max未満の最大帯域幅を有する曲線帯域を形成するdCTE曲線群を生じる、
(2) 及び、好ましくは、縦軸を中心として閉じた、0.5×dCTE
maxのCTE不均一性のレベルを有する等値線は、完全にCA内に延在するか又はその長さの少なくとも80%がCA内に延在する、
(3) 及び/又は、好ましくは、CAのアウトラインに沿った、最大値と最小値との間の差PV
CAが、0.5×dCTE
max以下である、
を示す。
【0062】
こうして得られた、TiO
2−SiO
2ガラスからなる成形体は、更なる熱処理、例えば、アニーリング及び/又は、更なる機械加工、例えば研削及び研磨の後にミラー支持体ブランクとして直接使用することができるか、又は、ブランクを得るために更なる加工のための前製品として提供することができる。
【0063】
この成形プロセスは、ガラス円柱体を火炎で加熱し、軟化させ、このプロセス中で円柱体の外面に成形力を作用させることにより変形させることで行うことができる。特に、CTE分布プロフィールの再現性及び定義された調節に関して、しかしながら、方法工程(b)による成形が、前記ガラス円柱体を、前記ガラス円柱体の縦軸を垂直方向に向けて、非回転対称の内部幾何学形状を有する溶融型中に配置し、かつ前記型内で少なくとも1200℃の温度に加熱し、かつ軟化させて、前記ガラス円柱体を、前記溶融型中へ重力の作用下で、好ましくは圧縮力により支援して、横方向へ流出させる成形工程を有する手順が好ましい。
【0064】
前記成形工程の結果として、このガラス円柱体の幾何学形状は、定義されたようにCAの幾何学形状に適合され、これは次のことを意味する:このガラス円柱体は、特定のCAの幾何学形状に適合された非回転対称の横断面(円柱軸に対して垂直の平面で)を有するが、通常では、最終的なミラー支持体の幾何学形状に適合された横断面を有する。
【0065】
長円−楕円形の横断面を有するdCTE分布プロフィールの作製のためには、このガラス円柱体の縦軸に対して垂直方向の横断面で見て、長軸と、この長軸と比べてより短い軸を有する内部幾何学形状を有する溶融型を使用することで十分である。
【0066】
好ましい手法では、長円−楕円形の横断面を有するdCTE分布プロフィールは、例えば、横断面が楕円である内部幾何学形状を有するか又は長方形の内部幾何学形状を有する溶融型を使用することにより達成される。
【0067】
円柱状のガラス体を得る手順は、Tiをドープしたシリカガラスの製造を考慮する。いわゆるVAD法(気相軸付け法;
vapor
axial
deposition)を、ここで特に言及しなければならない;この方法の場合、SiO
2粒子を回転する基材の前面側に堆積させ、かつ直接ガラス化して円柱形ガラス体にする。次の:
aa) ケイ素及びチタンを有する出発物質の火炎加水分解により、SiO
2及びTiO
2の多孔性スート体を製造する工程、
bb) 前記スート体を乾燥及び焼結して、Tiをドープしたシリカガラスの、引き延ばされたガラス前製品を形成する工程、
cc) 前記ガラス前製品を、1500℃より高い温度に加熱し、軟化させかつガラス円柱体に成形する均質化プロセスで、前記ガラス前製品を均質化する工程
を有する方法工程(a)によるガラスシリンダを準備する変法は、特に有用であることが判明した。
【0068】
Tiをドープしたシリカガラスは、ここでは、いわゆる「スート法」に従って合成される。多孔質のスート体が中間生成物として得られ、このスート体は化学組成をドーピング又は乾燥によって変更することができる。
【0069】
TiO
2−SiO
2ガラスの予定されたヒドロキシル基含有率を調節するための乾燥は、ハロゲンを用いた反応性化学処理によって又は真空下でのスート体の熱処理によって行われる。
【0070】
このTiO
2−SiO
2ガラスは、ガラス化及び引き続き均質化により、ルチル微結晶が溶融することができる程度の高い温度に加熱される。このガラスは、TiO
2濃度のより均質な分布を生じさせるために、例えばねじり加工により同時に変形される。このために、このTiO
2−SiO
2ガラスは、1500℃より高い温度に加熱しかつ軟化させこのプロセスで成形する均質化プロセスに供される。この均質化プロセスの完了後に、TiO
2−SiO
2ガラスは、回転対称のdCTE分布プロフィールを有するガラス円柱体の形で存在する。
【0071】
好ましい実施態様の記載
本発明を、ここで実施態様及び図面を参考にして詳細に説明する。