特許第6109259号(P6109259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109259
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/10 20060101AFI20170327BHJP
   F02M 37/08 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   F02M37/10 D
   F02M37/08 E
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-147162(P2015-147162)
(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2017-25848(P2017-25848A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−280211(JP,A)
【文献】 特開平07−201388(JP,A)
【文献】 特開平09−053562(JP,A)
【文献】 特開平07−231637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(T)内の燃料を吸引・吐出可能な燃料ポンプ(P)と、この燃料ポンプ(P)を駆動し得るモータ(M)とを結合したポンプユニット(U)を備えた燃料供給装置において、
前記ポンプユニット(U)が一体に埋設される筐体(H)が、該ポンプユニット(U)をインサート部品としてモールド成形されており
前記ポンプユニット(U)は、前記燃料ポンプ(P)を内蔵するユニットケース(C)と、内部を前記燃料ポンプ(P)の吸込ポート(24)に連通させた吸込管(Ci)と、前記燃料ポンプ(P)から高圧燃料を吐出可能とする吐出口(Coa)を有する吐出管(Co)とを備えると共に、その吐出口(Coa)の外側に、前記モータ(M)を作動させるための配線(T1〜T3)を有しており、
前記筐体(H)は、前記吐出口(Coa)に連なる燃料出口(Hoa)を先端に有して前記高圧燃料を吐出する吐出筒部(Ho)と、前記配線(T1〜T3)を被覆して外部から遮蔽する配線被覆部(Ht)と、前記燃料ポンプ(P)を内蔵する前記ユニットケース(C)の外周面を被覆するポンプユニット被覆部(Hc)と、前記吐出管(Co)を被覆する吐出管被覆部(Ho)と、前記吸込管(Ci)を被覆する吸込管被覆部(Hi)とを一体に備え、
前記配線(T1〜T3)と前記配線被覆部(Ht)との境界部には、前記高圧燃料が前記配線(T1〜T3)を伝って漏出するのを阻止し得る閉塞部材(S)が、該配線(T1〜T3)の少なくとも一部をその周方向全周に亘り囲繞するように配設されることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記配線(T1〜T3)は、前記ポンプユニット(U)とは別個独立に設けられて前記モータ(M)を駆動可能なドライバ部(D)に、前記ポンプユニット(U)から見て前記閉塞部材(S)の外側で接続されることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記ドライバ部は、前記筐体(H)のモールド成形により、前記ポンプユニット(U)と共に筐体(H)中に埋設されることを特徴とする請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記配線(T1〜T3)は、ブラシレスモータよりなる前記モータ(M)のロータ回転位置を検出するためのロータ位置検出手段(SEr)に、前記ポンプユニット(U)から見て前記閉塞部材(S)の外側で接続されることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記ロータ位置検出手段(SEr)は、前記筐体(H)のモールド成形により、前記ポンプユニット(U)と共に前記筐体(H)中に埋設されることを特徴とする、請求項4に記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記配線(T1〜T3)は、エンジンの所定の運転状態を検出し且つその運転状態に対応した信号を前記モータ(M)の作動制御のための信号として出力するセンサ(SEt)の少なくとも一部(16)を装着した電子制御基板(EP)に、前記ポンプユニット(U)から見て前記閉塞部材(S)の外側で接続され、
そのセンサ(SEt)の少なくとも一部(16)及び前記電子制御基板(EP)は、前記筐体(H)のモールド成形により、前記ポンプユニット(U)と共に前記筐体(H)中に埋設されることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の燃料供給装置。
【請求項7】
エンジンが備える燃料噴射弁(FV)に高圧燃料を圧送するための、請求項1〜6の何れかに記載の燃料供給装置であって、
前記配線(T1〜T3)は、エンジンの運転状態に基づいて前記燃料噴射弁(FV)の燃料噴射量を演算し且つその演算結果に基づいて前記燃料噴射弁(FV)の作動を制御する電子制御装置(ECU)に、前記ポンプユニット(U)から見て前記閉塞部材(S)の外側で接続され、
その電子制御装置(ECU)は、前記筐体(H)のモールド成形により、前記ポンプユニット(U)と共に前記筐体(H)中に埋設されることを特徴とする、燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給装置、特に燃料タンク内の燃料を吸引・吐出可能な燃料ポンプと、この燃料ポンプを駆動し得るモータとを結合したポンプユニットを備えた燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、斯かる燃料供給装置として、例えば下記特許文献1の図3に開示されるように、モータと燃料ポンプとを結合したポンプユニット(円筒状ヨーク65とその内側要素)を、分離可能な二つ割りの筐体(ハウジング62,ハウジングカバー95)で覆い、そのポンプユニットに設けた油吐出口(カバー83の開口部92)と、筐体に突設した吐出筒部(吐出ポート93)とを、それらの境界部に燃料流通空間91を介在させることで相互に連通させ、さらに二つ割りの筐体(62,95)の合わせ面間を閉塞部材(シール部材98)で油密に閉塞するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−280211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来装置では、モータから延びる配線(ターミナル87)が、上記燃料流通空間(91)及び筐体(62)の外壁部を通って筐体外に延出しており、その延出部周囲の筐体(62)外壁部が大きな燃料圧力を受けて変形を起こし易いため、上記配線(87)を伝って高圧燃料が筐体外に漏出し易く、その燃料漏出に因りポンプ性能に悪影響を及ぼす可能性があるが、このような問題を解決するための対策は特に採られていない。
【0005】
また、上記配線(87)を伝って高圧燃料が筐体外に漏出しても他の周辺部品に悪影響を及ぼさないように筐体(62)自体を改造すれば、筐体(62)の形状・構造が複雑化する場合がある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたもので、上記問題を簡単な構造で解決することができる燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、燃料タンク内の燃料を吸引・吐出可能な燃料ポンプと、この燃料ポンプを駆動し得るモータとを結合したポンプユニットを備えた燃料供給装置において、前記ポンプユニットが一体に埋設される筐体が、該ポンプユニットをインサート部品としてモールド成形されており、前記ポンプユニットは、前記燃料ポンプを内蔵するユニットケースと、内部を前記燃料ポンプの吸込ポートに連通させた吸込管と、前記燃料ポンプから高圧燃料を吐出可能とする吐出口を有する吐出管とを備えると共に、その吐出口の外側に、前記モータを作動させるための配線を有しており、前記筐体は、前記吐出口に連なる燃料出口を先端に有して前記高圧燃料を吐出する吐出筒部と、前記配線を被覆して外部から遮蔽する配線被覆部と、前記燃料ポンプを内蔵する前記ユニットケースの外周面を被覆するポンプユニット被覆部と、前記吐出管を被覆する吐出管被覆部と、前記吸込管を被覆する吸込管被覆部とを一体に備え、前記配線と前記配線被覆部との境界部には、前記高圧燃料が前記配線を伝って漏出するのを阻止し得る閉塞部材が、該配線の少なくとも一部をその周方向全周に亘り囲繞するように配設されることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記第1の特徴に加えて、前記配線は、前記ポンプユニットとは別個独立に設けられて前記モータを駆動可能なドライバ部に、前記ポンプユニットから見て前記閉塞部材の外側で接続されることを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記第2の特徴に加えて、前記ドライバ部は、前記筐体のモールド成形により、前記ポンプユニットと共に筐体中に埋設されることを第3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記第1〜第3の何れかの特徴に加えて、前記配線は、ブラシレスモータよりなる前記モータのロータ回転位置を検出するためのロータ位置検出手段に、前記ポンプユニットから見て前記閉塞部材の外側で接続されることを第4の特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記第4の特徴に加えて、前記ロータ位置検出手段は、前記筐体のモールド成形により、前記ポンプユニットと共に筐体中に埋設されることを第5の特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記第1〜第5の何れかの特徴に加えて、前記配線は、エンジンの所定の運転状態を検出し且つその運転状態に対応した信号を前記モータの作動制御のための信号として出力するセンサの少なくとも一部を装着した電子制御基板に、前記ポンプユニットから見て前記閉塞部材の外側で接続され、そのセンサの少なくとも一部及び電子制御基板は、前記筐体のモールド成形により、前記ポンプユニットと共に筐体中に埋設されることを第6の特徴とする。
【0013】
また本発明は、エンジンが備える燃料噴射弁に高圧燃料を圧送するための、前記第1〜第6の何れかの特徴を有する燃料供給装置であって、前記配線は、エンジンの運転状態に基づいて前記燃料噴射弁の燃料噴射量を演算し且つその演算結果に基づいて前記燃料噴射弁の作動を制御する電子制御装置に、前記ポンプユニットから見て前記閉塞部材の外側で接続され、その電子制御装置は、前記筐体のモールド成形により、前記ポンプユニットと共に筐体中に埋設されることを第7の特徴とする
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、ポンプユニットをインサート部品として燃料供給装置の筐体がモールド成形され、この筐体は、ポンプユニットの吐出口に連なる燃料出口を先端に有して高圧燃料を吐出する吐出筒部と、前記吐出口の外側に存するモータ作動用配線を被覆して外部から遮蔽する配線被覆部と、前記燃料ポンプを内蔵する前記ユニットケースの外周面を被覆するポンプユニット被覆部と、前記吐出管を被覆する吐出管被覆部と、前記吸込管を被覆する吸込管被覆部とを一体に備えるので、ポンプユニットと、モータを作動させるための配線とを、筐体のモールド成形と同時に筐体中に埋設一体化することができ、部品点数の削減や組立作業性の向上が図られ、コスト節減に寄与することができる。しかも燃料の吐出口を含むポンプユニットの基本構造を変えることなく吐出筒部を筐体に一体成形できるため、その吐出筒部の設計を高い自由度を以て容易に行うことができる。
【0015】
その上、前記配線と配線被覆部との境界部には、高圧燃料が配線を伝って漏出するのを阻止し得る閉塞部材が、該配線の少なくとも一部をその周方向全周に亘り囲繞するように配設されるので、例えば、ポンプユニット側の吐出口と筐体側の吐出筒部との境界部を通して高圧燃料が万一、配線側に漏洩した場合でも、その高圧燃料が配線を伝って外部に漏出するのを閉塞部材により確実に防止できる。
【0016】
また更に、吐出管と吐出管被覆部との境界部、ユニットケースとポンプユニット被覆部との境界部、および吸込管と吸込管被覆部との境界部によって、吐出管から各境界部に漏出した燃料を燃料ポンプの吸込管に戻し得るので、前記閉塞部材により漏出が阻止された高圧燃料を、筐体とユニットケースおよび吸込管との境界部を通して燃料ポンプの吸込部に無駄なく戻すことが可能となり、燃料の外部漏出を、周囲環境を汚損することなく確実に防止できる。
【0017】
また特に第2の特徴によれば、前記配線は、ポンプユニットとは別個独立に設けられるモータ駆動用のドライバ部に、ポンプユニットから見て閉塞部材の外側で接続されるので、ポンプユニットに対し、これと配線を介して繋がるドライバ部を近づけても、高圧燃料が配線を伝ってドライバ部に侵入するのをより確実に防止でき、従って、ドライバ部をポンプユニットに近接配置可能となる。
【0018】
また特に第3の特徴によれば、ドライバ部は、筐体のモールド成形により、ポンプユニットと共に筐体中に埋設されるので、ポンプユニットとドライバ部とを同時に埋めるようにして筐体をモールド成形可能となり、部品点数の削減及び組立工数の削減が図られ、しかもポンプユニット及びドライバ部の配線を集約できるため、更なるコスト節減が図られる。
【0019】
また特に第4の特徴によれば、前記配線は、ブラシレスモータよりなるモータのロータ回転位置を検出するためのロータ位置検出手段に、ポンプユニットから見て閉塞部材の外側で接続されるので、ポンプユニットに対し、これと配線を介して繋がるロータ位置検出手段を近づけても、高圧燃料が配線を伝ってロータ位置検出手段に侵入するのをより確実に防止でき、従って、ロータ位置検出手段をポンプユニットに近接配置可能となる。
【0020】
また特に第5の特徴によれば、ロータ位置検出手段は、筐体のモールド成形により、ポンプユニットと共に筐体中に埋設されるので、ポンプユニットとロータ位置検出手段とを同時に埋めるようにして筐体をモールド成形可能となり、部品点数の削減及び組立工数の削減が図られ、しかもポンプユニット及びロータ位置検出手段の配線を集約できるため、更なるコスト節減が図られる。
【0021】
また特に第6の特徴によれば、前記配線は、エンジンの所定の運転状態を検出し且つその運転状態に対応した信号をモータの作動制御のための信号として出力するセンサの少なくとも一部を装着した電子制御基板に、ポンプユニットから見て閉塞部材の外側で接続され、そのセンサの少なくとも一部及び電子制御基板は、筐体のモールド成形により、ポンプユニットと共に筐体中に埋設されるので、ポンプユニットに対し、これと配線を介して繋がるセンサ付き電子制御基板を近づけても、高圧燃料が配線を伝ってセンサ及び電子制御基板に侵入するのをより確実に防止できる。またポンプユニットとセンサ付き電子制御基板とを同時に埋めるようにして筐体をモールド成形できるから、部品点数の削減及び組立工数の削減が図られ、しかもポンプユニット、センサ及び電子制御基板の配線を集約できるため、更なるコスト節減が図られる。
【0022】
また特に第7の特徴によれば、前記配線は、エンジンの運転状態に基づいて燃料噴射弁の燃料噴射量を演算し且つその演算結果に基づいて燃料噴射弁の作動を制御する電子制御装置に、ポンプユニットから見て閉塞部材の外側で接続され、その電子制御装置は、筐体のモールド成形により、ポンプユニットと共に筐体中に埋設されるので、ポンプユニットに対し、これと配線を介して繋がる電子制御装置を近づけでも、配線を伝って高圧燃料が電子制御装置に侵入するのをより確実に防止できる。またポンプユニットと電子制御装置とを同時に埋めるようにして筐体をモールド成形できるから、部品点数の削減及び組立工数の削減が図られ、しかもポンプユニット及び電子制御装置の配線を集約できるため、更なるコスト節減が図られる
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る燃料供給装置の一実施形態を示すものであって、その燃料供給装置をスロットルボディに装着したエンジン吸気系の一例をスロットルボディの吸気上流側から見た斜視図
図2】(A)は、前記吸気系を示す一部破断側面図(図1の2(A)矢視図)、また(B)は、筐体をモールド成形する前のポンプユニット・配線・電子制御ユニットの組立体(インサート部品)を、図2(A)と同じ方向から見た側面図及びポンプユニットの拡大縦断面図
図3】前記吸気系をスロットルボディの吸気下流側から見た正面図(図2(A)の3矢視図)
図4】(A)は、図3の4(A)矢視部の一部を破断して示す拡大図、また(B)は、筐体をモールド成形する前のポンプユニット・配線・電子制御ユニットの組立体(インサート部品)を、図4(A)と同じ方向から見た組立体単体図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施形態に基づいて説明する。
【0025】
先ず、図1において、車両、例えば自動二輪車に搭載される図示しないエンジンは、その燃焼室或いはこれに連なる吸気通路(例えば吸気ポート又は吸気管)に燃料を噴射し得る燃料噴射弁FVを具備しており、この燃料噴射弁FVに対して高圧燃料を圧送、供給するための燃料供給装置Aが、支持体としてのスロットルボディBの一側に隣接固定される。尚、このように燃料供給装置AをスロットルボディBの一側に隣接固定したことで、燃料供給装置Aから燃料噴射弁FVに向かう高圧側の外部配管(後述する燃料導管42)の短縮化が図られる。
【0026】
このスロットルボディBには、エンジンの吸気系の一部を構成する吸気道1が、水平方向又は水平面からやや傾斜した方向に貫通形成される。その吸気道1を開閉して吸気流量を調整可能なバタフライ型のスロットル弁2が、これに固定されて吸気道1を横切るスロットル弁軸3を介して、スロットルボディBに回動可能に支持される。
【0027】
その吸気道1を挟んで一方側のスロットルボディBの側壁部には、スロットル弁軸3の一端部3aが延出しており、その一端部3aには、図示しないボーデンケーブルを介して運転者により遠隔操作されるスロットルドラム4が装着されると共に、スロットル弁2を閉弁方向に付勢する戻しばね5が接続される。
【0028】
また、その吸気道1を挟んで他方側のスロットルボディBの側壁部には、スロットル弁軸3の他端部3bが延出している。そして、その他端部3bを囲繞する段付き円筒状の接続筒部6(図3図4を参照)と、その接続筒部6の周囲複数箇所において燃料供給装置Aを複数のボルト7で締結するための複数の取付ボス部(後述する第1〜第3取付ボス31〜33)とが、前記他方側のスロットルボディBの側壁部に一体に形成される。それら接続筒部6及び取付ボス部31〜33は、後述するように前記他方側のスロットルボディBの側壁部に燃料供給装置Aを装着するために用いられる。
【0029】
また燃料供給装置Aは、燃料タンクT内の燃料を吸引・吐出可能な燃料ポンプP、及びこれを回転駆動し得るポンプ駆動用モータMを共通のユニットケースCに内蔵して結合一体化して成るポンプユニットUと、モータM及び燃料噴射弁FVに電気的に接続されてそれらM,FVを作動制御可能な電子制御装置としての電子制御ユニットECUと、それらポンプユニットU及び電子制御ユニットECUをインサート部品としてモールド成形される絶縁性合成樹脂製の筐体Hとを主要部とする。尚、ポンプ駆動用モータMとして、本実施形態ではブラシレスモータが用いられる。
【0030】
ポンプユニットU及び電子制御ユニットECUは、これらを接続する第1〜第3配線T1〜T3やエンジンの運転状態を検出するセンサ(図示例ではスロットル開度センサSEt)の一部等と共に、筐体Hのモールド成形により筐体Hに埋設される。これにより、その全体が単一部品として取り扱い可能となって、部品点数や組立作業工数の削減が図られ、エンジンの組立やメンテナンス作業の際に作業性が頗る良好である。
【0031】
前記電子制御ユニットECUは、平板状の電子制御基板EPと、この電子制御基板EP及びこれに接続固定したICチップ9,10、センサSEtの一部16等を一体に埋設した絶縁性合成樹脂製の扁平なカバー体UCとを主要部とする。そのカバー体UCにより、電子制御基板EPの殆ど全部とこれに接続固定したICチップ9,10、センサSEt等が被覆、保護される。そして、カバー体UCの一側部には、横断面長円状の接続筒部8が一体成形されており、その接続筒部8の内方空間には、電子制御基板EPの端縁部EPcを露出させている。
【0032】
この端縁部EPcは、その表面に多数の導電性リードを整列状態で露出させていて、電子制御基板EPを外部の電気機器と着脱可能に接続するためのコネクタ端子部として機能する。尚、前記接続筒部8は、前記端縁部EPcと協働して雄カプラとして機能するものであって、これに、外部の各種電気機器(例えば燃料噴射弁FV、センサ等)から延びるワイヤハーネス一端の雌カプラ、即ち外部コネクタが抜差可能に嵌合接続される。
【0033】
その電子制御基板EPは、エンジンの運転状態を検出する各種センサ(例えば、後述するスロットル開度センサSEtや吸気圧センサ・吸気温センサ等)の出力信号に基づいてポンプ駆動用モータMを作動制御するためのドライバ部Dと、ブラシレスモータMのロータの回転に伴い発生する誘起電圧の波形よりロータ回転位置を検出する検出回路部SErと、エンジンの運転状態を検出する前記各種センサの出力信号に基づいて燃料噴射弁FVの燃料噴射量を演算し且つその演算結果に基づいて燃料噴射弁FVを作動制御する燃料噴射弁制御部9とを少なくとも含む。
【0034】
尚、図示例では、燃料噴射弁制御部9の演算機能は電子制御基板EPに接続固定された専用のICチップにより実行され、またドライバ部D及び検出回路部SErの演算機能は、電子制御基板EPに接続固定された別のICチップ10により処理、実行される。
【0035】
そして、前記ICチップ10においては、検出回路部SErで検出されたロータ回転位置情報に基づいてドライバ部DがブラシレスモータMのステータコイル群28への通電制御を行うことでモータMが駆動制御される。尚、このようなモータM外部のロータ位置検出手段(検出回路部SEr)に代えて、モータMに内装された非接触式のロータ位置検出手段(例えばホールセンサ)を用いるようにしてもよい。
【0036】
また電子制御基板EPには、エンジンの所定の運転状態を検出して検出信号を電子制御基板EPに出力するセンサ、例えばスロットル弁2の開度を検出する開度センサSEtや、図示しない吸気圧センサ及び吸気温センサが接続される。
【0037】
特に開度センサSEtは、本実施形態では非接触式のセンサ、例えばスロットル弁軸3の端部に固着した永久磁石15と、この永久磁石15に対向するよう電子制御基板EPに装着されて、その永久磁石15(従ってスロットル弁2)の回転変位を磁束変化として非接触で検出可能なホール素子16とで構成される。そのホール素子16は、本実施形態では電子制御基板EPに直接接続、固定されており、前記カバー体UCのモールド成形により、電子制御基板EPと共にカバー体UC内に一体に埋設される。
【0038】
また、前記吸気圧センサ及び吸気温センサは、図示はしないが、例えばスロットルボディBの吸気道1のスロットル弁2下流側の吸気負圧及び吸気温度を各々検出可能としてスロットルボディBに取付けられ、それらセンサと電子制御基板EPとの間が外部配線(即ち前記ワイヤハーネス及び雄雌カプラ)を介して接続される。
【0039】
尚、前記吸気圧センサ及び吸気温センサについては、その各々のセンサの少なくとも一部を前記開度センサSEtのホール素子16と同様に、電子制御基板EPに直接接続、固定してカバー体UCに埋設してもよく、或いは各々のセンサの少なくとも一部を筐体Hに埋設し且つ筐体H及びカバー体UCを通して電子制御基板EPに電気的に接続してもよい。その何れの場合も、各々のセンサの検出部に吸気圧又は吸気温を作用させるためのセンサ用吸気導入路をスロットルボディB又は筐体Hに設ける必要がある。
【0040】
前記ポンプユニットUは、図2(B)に明示したように、中空のユニットケースCと、そのユニットケースCに内蔵される燃料ポンプPと、その燃料ポンプPを駆動して燃料ポンプPをポンプ作動させるべくユニットケースCに内蔵されるブラシレスモータMとを備える。尚、ポンプ駆動用モータMとして特にブラシレスモータを採用したことにより、ポンプユニットUの小型化、延いてはポンプユニットUを含む燃料供給装置A全体の小型化が図られる。
【0041】
前記燃料ポンプPは、放射状の多数の溝を外周に有し且つモータMに直結駆動されるポンプロータとしての羽根車17と、その羽根車17の外周部が臨む環状のポンプ室18を有して羽根車17を回転可能に収納するポンプハウジング19とを備えており、このポンプ構造は、従来周知の渦流タービンポンプ(カスケードポンプ)と同様である。前記ポンプハウジング19は、ポンプ軸線方向に相隣なる外側半体19o及び内側半体19iより分割構成されており、その両半体19o,19i間に羽根車17が介装され且つポンプ室18が画成される。
【0042】
ユニットケースCは、両端を開放した円筒状のユニットケース本体Cmを主要部とするものであり、そのユニットケース本体Cmの一方側の開放端は、そこに嵌着した前記ポンプハウジング19により閉塞され、またその他方側の開放端は、そこに嵌着した閉塞壁20で閉じられる。それらポンプハウジング19及び閉塞壁20の、ユニットケース本体Cmへの固定は、そのユニットケース本体Cmの両端を適当な固定手段(図示例では両端に対するカシメ加工)で結合することにより行われる。而して、ユニットケース本体Cmと、これの両端を塞ぐポンプハウジング19及び閉塞壁20とにより、ユニットケースCが構成される。
【0043】
また、ポンプハウジング19の外側半体19o及び内側半体19iには、吸込ポート24及び吐出ポート25がそれぞれ形成される。また特に外側半体19oには、円筒状吸込管Ciが外向きに一体に突設されると共に、ポンプハウジング19内でポンプ作用に伴い生じた気泡を排出するための脱気孔19ohが形成されており、吸込管Ciの内部は吸込ポート24に直接連通する。
【0044】
前記ブラシレスモータMは、ユニットケースCの両端壁、即ち前記閉塞壁20及びポンプハウジング19に両端がそれぞれ軸受を介して回転自在に支持されたモータ軸26と、そのモータ軸26の中間部外周に固着した永久磁石27と、その永久磁石27を囲繞するようにユニットケース本体Cmの内周に固定した少なくとも1組の三相(即ちU相、V相、W相)のステータコイル群28とを主要部としており、モータ軸26に前記羽根車17が結合される。また永久磁石27とステータコイル群28との間には、前記閉塞壁20内の燃料出口空間20aに吐出ポート25を連通させる燃料通路29が形成される。
【0045】
前記閉塞壁20には、ポンプ作動時に高圧燃料を吐出するための円筒状吐出管Coが一体に突設され、その吐出管Co内には、前記燃料出口空間20aから吐出管Coの先端の吐出口Coa側へのみ吐出燃料の流動を許容する逆流防止用チェック弁Vが収納される。また閉塞壁20には、前記ステータコイル群28の各コイルにリード線を介して接続される3個のポンプユニット側配線部ta1〜ta3の基部が、該リード線と共に一体に埋設される。それらポンプユニット側配線部ta1〜ta3の先部は、モータ軸26の軸線に沿う方向に直線状に延びており、またその軸線と直交する投影面(図4)で見て三角形の各頂点に位置するように分散配置される。それらポンプユニット側配線部ta1〜ta3は、後述するように第1〜第3配線T1〜T3の一部を構成する。
【0046】
また吐出管Coは、図示例では基部側の大径の第1管部11と、その第1管部11の先部に連設される小径の第2管部12とから段付き円筒状に形成されており、それら第1,第2管部11,12間には環状の段差13が介在している。
【0047】
前記筐体Hは、電子制御ユニットECUをそれのカバー体UC一側の接続筒部8を除いて(即ち接続筒部8を外部コネクタと抜差できるよう露出させた状態で)全面被覆する電子制御ユニット被覆部Heと、ポンプユニットUのユニットケースCの外周面及び両端壁を被覆する円筒状のポンプユニット被覆部Hcと、ポンプハウジング19の外端面に突設した吸込管Ciの先端入口Ciaに連なる燃料吸込口Hioを有して吸込管Ciを被覆すべくポンプユニット被覆部Hcの一端面より一体に延出する吸込管被覆部Hiと、ポンプハウジング19の外端面に開口する脱気孔19ohに直接連通し且つポンプハウジング19の外面より一体に突出する脱気管30と、吐出管Coの先端の吐出口Coaに連なる燃料出口Hoaを有して吐出管Coを被覆すべくポンプユニット被覆部Hcの他端面より一体に延出する吐出管被覆部Hoと、前記第1〜第3配線T1〜T3を被覆して外部から遮蔽する配線被覆部Htとを少なくとも備える。尚、脱気管30は、図示しない導管を介して燃料ポンプT内に連通する。
【0048】
本実施形態のポンプユニット被覆部Hcは、これが被覆するポンプユニットUの円筒状ユニットケースCの外周面及び両端壁に沿った円筒状に成形されるため、外形が単純且つコンパクトであるばかりか、モールド成形時の溶融樹脂の流れが良好である。そのため、ユニットケースCとポンプユニット被覆部Hcとの密着性が良好となり、その両者の境界部を通して吸込管Ci側へ燃料が漏出しにくくなる。また、ポンプユニットUは、その長手方向、即ちモータMの軸線方向をスロットルボディBの吸気道1に沿わせるようにしてコンパクトに配置される。
【0049】
また本実施形態では、ポンプユニット被覆部Hcから見て、スロットルボディBの吸気道1に沿う方向で下流側(図2左側)に吐出管被覆部Hoが、また同上流側(図2右側)に吸込管被覆部Hi及び脱気管30がそれぞれ配置される。この配置によれば、吐出管被覆部Hoに接続されて燃料噴射弁FVに向かう外部配管42の短縮化が図られ、また吸込管被覆部Hiに接続されて燃料タンクTに向かう外部配管41を高熱のエンジンから極力遠ざけることができる。
【0050】
また本実施形態の配線被覆部Htは、電子制御ユニット被覆部Heと、ポンプユニット被覆部Hc及び吐出管被覆部Hoとの間を一体に結合する連結壁としての機能も兼ね備える。そして、燃料ポンプPの軸線に沿う方向で配線被覆部Htの一端部と他端部とには、筐体Hの上部をスロットルボディBに取付けるための取付部としての第1,第2被取付部21,22がそれぞれ一体に連設される。その第1被取付部21は吐出管被覆部Ho及び電子制御ユニット被覆部Heにも一体に接続され、また第2被取付部22は、ポンプユニット被覆部Hcにも一体に接続される。また筐体Hの下部には、筐体Hの下部をスロットルボディBに取付けるための取付部としての第3被取付部23が、電子制御ユニット被覆部Heに一体に接続されるように形成される。
【0051】
それら第1〜第3被取付ボス21〜23の相互間において、筐体HのスロットルボディBとの対向面には、スロットル弁軸3の端部3bを受容させる円筒状の被接続筒部34が一体に突設される。この被接続筒部34の外周面には、その外周面と筐体Hの前記対向面との間を一体に接続する複数の板状補強リブ35が放射状に一体に突設される。またその被接続筒部34の内周面には、電子制御ユニットECU側の小径部34aと、その小径部34aに環状段部34bを介して連なるスロットルボディB側の大径部34cとが形成される。
【0052】
これに対し、スロットルボディBには、筐体Hの第1〜第3被取付部21〜23の端面にそれぞれ当接させる第1〜第3取付ボス31〜33と、それら第1〜第3取付ボス31〜33の相互間でスロットル弁軸3の端部3bを囲繞する前記した接続筒部6とが一体に形成される。その接続筒部6の外周面には、スロットルボディB側の大径筒部6aと、その大径筒部6aに環状段部6bを介して連なる小径筒部6cとが形成される。
【0053】
そして、この接続筒部6は、燃料供給装置AをスロットルボディBに装着する際に筐体Hの前記被接続筒部34に嵌挿される。その嵌挿状態では大径筒部6a及び小径筒部6cが被接続筒部34内周の大径部34c及び小径部34aにそれぞれ嵌合し、更に環状段部6bと被接続筒部34内周の環状段部34bとの間に環状シール部材36が介装される。かくして、接続筒部6の開放端が筐体H(特に電子制御ユニット被覆部He)で気密に閉塞されるので、その開放端を塞ぐための専用の閉塞手段が不要であり、構造簡素化が図られる。
【0054】
更に前記接続筒部6と被接続筒部34との嵌挿状態では、第1〜第3被取付部21〜23と第1〜第3取付ボス31〜33とがそれぞれ当接状態に置かれ、その状態で第1〜第3被取付部21〜23を貫通して第1〜第3取付ボス31〜33に各々螺締されるボルト7により、筐体H従って燃料供給装置AがスロットルボディBに対して着脱可能に締結される。
【0055】
而して、前記した電子制御ユニット被覆部He、ポンプユニット被覆部Hc、吸込管被覆部Hi、脱気管30、吐出管被覆部Ho及び配線被覆部Ht、並びに第1〜第3被取付部21〜23及びリブ35付き被接続筒部34は、筐体Hの前記モールド成形により同時に一体成形される。
【0056】
前記吐出管被覆部Hoは、筐体Hの前記モールド成形により、吐出管Coの外周を全周且つ全面に亘り密着状態で囲繞するものであり、その囲繞部を挟んで吐出管Co先端の吐出口Coaとは反対側で前記ポンプユニット側配線部ta1〜ta3がユニットケースCの端壁20から延出している。本実施形態では、吐出管Coが前述の如く大径の第1管部11と、その第1管部11の先部に段差13を介して連設される小径の第2管部12とから段付き円筒状に形成される関係で、これを被覆する筐体Hの吐出管被覆部Hoは、吐出管Coの第1,第2管部11,12の各外周をそれぞれ全周且つ全面に亘り密着状態で囲繞するようにモールド成形される。
【0057】
ところでポンプユニットUにおけるユニットケースC及び吐出管Coの外側には、モータMを作動させるための前記第1〜第3配線T1〜T3が取り回される。これら第1〜第3配線T1〜T3は、モータMに接続されて外端部がユニットケースCの一端面より延出する前記ポンプユニット側配線部ta1〜ta3と、そのポンプユニット側配線部ta1〜ta3の前記外端部に一端部が接続部juを介して接続される中間配線部tb1〜tb3と、その中間配線部tb1〜tb3の他端部に内端部が接続部jdを介して接続される電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3とを備えている。
【0058】
各々の中間配線部tb1〜tb3は、ポンプユニット側配線部ta1〜ta3から下方に延びる上部分tbuと、この上部分tbuに連なる下部分tbdとから構成される。そして、その各下部分tbdは、上部分tbuからモータM側に折り曲げられてモータ軸線に沿って水平に延びる第1下部分と、この第1下部分からモータ軸線に対し離れる側に屈曲して水平に延びる第2下部分とで平面視L字状(図4参照)に形成される。
【0059】
各々の電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3の外端部は、電子制御ユニットECUの電子制御基板EPに接続されており、その接続部及び電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3の一部は、電子制御ユニットECUのカバー体UCのモールド成形により、電子制御基板EPと共にカバー体UCに埋設される。
【0060】
ところで第1〜第3配線T1〜T3を分割構成する各配線部ta1〜ta3,tb1〜tb3,tc1〜tc3は、剛性を有する導電金属製の帯板よりそれぞれ形成される。そして、特に中間配線部tb1〜tb3の一端部及び他端部は、各々の幅方向両側部が横断面円弧状に巻くように折り返されて上、下接続部ju,jdを構成する。それら接続部ju,jdには、ポンプユニット側配線部ta1〜ta3の外端部及び電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3の内端部が、互いに直交する二方向(即ちポンプユニット側配線部ta1〜ta3はモータ軸線に沿う方向、電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3はモータMを水平に横切る方向)で抜差可能に嵌合、圧接される。尚、上、下接続部ju,jdがこのような抜差し式の接続構造のため、抜差し操作が容易であり、その接続部分は筐体Hにより効果的に摩耗抑制される。
【0061】
このように第1〜第3配線T1〜T3を、各々3個の配線要素(ta1〜ta3,tb1〜tb3,tc1〜tc3)より分割構成し、その中間配線要素(tb1〜tb3)をモータ側の配線要素(ta1〜ta3)及び電子制御ユニットECU側の配線要素(tc1〜tc3)に対して異なる二方向で抜差可能に結合できるようにしたことで、次のような利点が得られる。例えば、第1〜第3配線T1〜T3を介してポンプユニットUと電子制御ユニットECUとを結合した組立体(インサート部品)を、筐体Hをモールド成形する前に金型キャビティにセットする段階で、第1〜第3配線T1〜T3の、ポンプユニットU側から延びる配線部ta1〜ta3と、電子制御ユニットECU側から延びる配線部tc1〜tc3との相対位置に、組立誤差等に因り多少の位置ずれが生じたとしても、その両配線部ta1〜ta3,tc1〜tc3間を、前記位置ずれを無理なく吸収しつつ中間配線部tb1〜tb3を介して支障なく接続可能となる。また、その中間配線部tb1〜tb3は、ホンプユニットU側の配線部ta1〜ta3及び電子制御ユニットECU側の配線部tc1〜tc3とは別体なので、次に説明する閉塞部材Sの中間配線部tb1〜tb3への設置が簡単に行える。
【0062】
また前記配線T1〜T3の少なくとも一部、図示例では中間配線部tb1〜tb3の前記上部分tbuと、その上部分tbuの外周を囲繞する前記配線被覆部Htとの相対向面間には、その相対向面の各々に全周に亘り密着して、燃料が配線T1〜T3を伝って排出されるのを抑制し得る閉塞部材Sが設けられる。この閉塞部材Sとしては、柔軟性及び接着性がある材料、例えばプライマと呼称される溶剤型接着剤(例えばニトリルゴム)が用いられる。
【0063】
この閉塞部材Sは、筐体Hのモールド成形前に配線T1〜T3の一部(図示例では中間配線部tb1〜tb3の上部分tbu)の外周部にその全周に亘り塗布され、その塗布処理後の配線T1〜T3が電子制御ユニットECU等と共にインサート部品となって、筐体Hのモールド成形が実行される。尚、閉塞部材Sの構成材料としては、筐体Hをモールド成形する過程で溶融したり変質したりしない融点・耐熱性を有するものが望ましい。
【0064】
そして、前記配線T1〜T3は、電子制御ユニットECUに内蔵される電子制御基板EP(従ってモータMの駆動用ドライバ部D、ロータ位置検出部SEr、開度センサSEtのホール素子16等)に対して、ポンプユニットUから見て閉塞部材Sの外側で接続される。
【0065】
また前記配線T1〜T3の少なくとも一部、図示例では電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3の外側を被覆する、配線被覆部Htの外壁部分Htwには、前記モールド成形の際に電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3を金型のキャビティ内の所定位置に押圧保持するための図示しない保持ピンの抜き跡となる孔h1〜h3が形成される。そして、このような保持ピンを使用すれば、後述するように第1〜第3配線T1〜T3を埋め込むように筐体Hをモールド成形する際に、板状の電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3(従って第1〜第3配線T1〜T3)を金型キャビティ内の所定位置に的確に保持できるため、その電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3の外側に位置する配線被覆部Htを設定通りの肉厚にモールド成形でき、その配線T1〜T3の接続部ju,jdを振動からより効果的に保護可能となる。
【0066】
次にこの実施形態の作用について説明する。燃料供給装置Aの主要部品であるポンプユニットUと電子制御ユニットECUとは、それらを繋ぐ配線T1〜T3と共に筐体H中に埋設一体化されるが、この筐体Hをモールド成形する前に予め別の製造ラインで個別に製造される。
【0067】
例えば、電子制御ユニットECUは、それの主要部品である電子制御基板EPの所定部位にICチップ9,10、開度センサSEtのホール素子16等を接続、固定したものをインサート部品として、絶縁性合成樹脂製のカバー体UCをモールド成形(即ち一次モールド成形)することで製造される。この場合、カバー体UCの一側部には、雄カプラとして機能する接続筒部8が一体成形されると共に、その接続筒部8の内方空間に、コネクタ端子部として機能する電子制御基板EPの端縁部EPcを露出させるようにし、更にカバー体UCの上面からは、第1〜第3配線T1〜T3の電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3を上向きに突出させるようにする。
【0068】
そして、このようにして製造した電子制御ユニットECUと、これとは別に組立、製造されたポンプユニットUとを、第1〜第3配線T1〜T3で接続すると共に、筐体Hをモールド成形するための二次成形用金型のキャビティ内にセットする。この場合、ポンプユニットU側から延びる配線部ta1〜ta3と、電子制御ユニットECU側から延びる配線部tc1〜tc3とが中間配線部tb1〜tb3を介して各々接続されるが、その中間配線部tb1〜tb3の上下の接続部ju,jdに対しては、ポンプユニットU側からの配線部ta1〜ta3と、電子制御ユニットECU側からの配線部tc1〜tc3とが、異なる二方向で相対摺動可能に差込んで接続される。そのため、ポンプユニットUと電子制御ユニットECUとを第1〜第3配線T1〜T3を介して結合した結合体(インサート部品)を前記金型キャビティにセットする段階で、ポンプユニットU側の配線部ta1〜ta3と、電子制御ユニットECU側の配線部tc1〜tc3との相対位置に多少の位置ずれが生じたとしても、その両配線部ta1〜ta3,tc1〜tc3間を、前記位置ずれを無理なく吸収しつつ中間配線部tb1〜tb3で支障なく接続可能となる。
【0069】
このようにしてポンプユニットUと電子制御ユニットECUとの前記結合体を金型のキャビティにセットした後、その金型を用いて、前記結合体をインサート部品として筐体Hのモールド成形(即ち二次モールド成形)が実行される。
【0070】
このモールド成形後の筐体Hは、ポンプユニットUのユニットケースCの外周面及び両端壁を被覆するポンプユニット被覆部Hcと、ポンプユニットUの吸込管Ciの先端口Ciaに連なる燃料吸込口Hioを有して吸込管Ciを全周に亘り囲繞、被覆する吸込管被覆部Hiと、気泡排出のための脱気管30と、吐出管Co先端の吐出口Coaに連なる燃料出口Hoaを有して吐出管Coの周囲を全周に亘り囲繞、被覆する吐出管被覆部Hoと、電子制御基板EPを被覆する電子制御ユニット被覆部Heと、前記第1〜第3配線T1〜T3を被覆して外部から遮蔽する配線被覆部Htとを一体に備えている。
【0071】
かくして、ポンプユニットU及び電子制御ユニットECUがそれら間の配線T1〜T3と共に筐体H中に一体に埋設、被覆された燃料供給装置Aが得られる。
【0072】
このようにして製造される燃料供給装置Aは、特に本実施形態ではスロットルボディBの一側壁に結合、固定される。即ち、スロットルボディB側の段付き接続筒部6に筐体H(電子制御ユニット被覆部He)側の被接続筒部34の段付き内周面が、その両者6,34の相対向する環状段部間にシール部材36を挟むようにして嵌挿されると共に、スロットルボディB側の第1〜第3取付ボス31〜33に筐体H側の第1〜第3被取付部21〜23がそれぞれ当接し且つボルト7で締結される。
【0073】
そして、筐体Hの吸込管被覆部Hiには、燃料タンクTから延びる外部配管としての燃料導管41が接続され、また筐体Hの吐出管被覆部Hoには、エンジンの燃焼室或いはこれに連なる吸気通路に燃料を噴射し得る燃料噴射弁FVに連なる、外部配管としての燃料導管42が接続される。
【0074】
而して、エンジンの運転状態において、電子制御ユニットECUでは、電子制御基板EPの燃料噴射弁制御部9が、エンジンの運転状態を検出する各種センサ、例えばスロットル開度センサSEtや前記吸気圧センサ及び/又は吸気温センサの出力信号に基づいて燃料噴射弁FVの燃料噴射量を演算し且つその演算結果に基づいて燃料噴射弁FVに作動指令信号を出力して同弁FVの作動を制御する。
【0075】
また電子制御基板EPは、エンジンの前記運転状態に応じてブラシレスモータMを駆動制御するためのドライバ部Dと、ブラシレスモータMのロータの回転に伴い発生する誘起電圧の波形よりロータ回転位置を検出する検出回路部SErとを有している。そして、それらドライバ部Dや検出回路部SErの作動に基づいてブラシレスモータMがエンジンの前記運転状態に応じて駆動制御されることで、燃料ポンプPから吐出管Coを経て燃料噴射弁FV側にエンジン運転状態に応じて最適圧力の燃料が供給される。
【0076】
以上説明した本実施形態によれば、燃料ポンプP及びこれを駆動するモータMを結合一体化したポンプユニットUと、そのモータM及び燃料噴射弁FVを駆動制御可能な電子制御ユニットECUとを含む小組立体(サブアッセンブリ)をインサート部品として筐体Hがモールド成形される。そして、斯かる筐体Hが、ポンプユニットUの吐出管Co先端の吐出口Coaに連なる燃料出口Hoを先端に有して吐出管Coを被覆する吐出管被覆部Ho(吐出筒部)と、吸込管Ciを被覆する吸込管被覆部Hiと、ポンプユニットUのユニットケースC及び吐出管Coの外側に存するモータ作動用配線T1〜T3を被覆して外部から遮蔽する配線被覆部Htとを一体に備えている。
【0077】
このような筐体Hの独自構造によれば、モータM付きポンプユニットUと、電子制御ユニットECUと、その両ユニットU,ECU間を接続するモータ作動用配線T1〜T3とを、筐体Hのモールド成形と同時に筐体H中に一纏めに埋設できるから、部品点数の削減や組立作業性の向上、延いてはコスト節減が図られる。その上、吐出管Co及び吸込管Ciを含むポンプユニットUの基本構造を変えることなく外部配管接続用の吐出管被覆部Ho及び吸込管被覆部Hiを筐体Hに一体成形できるため、その吐出管被覆部Ho及び吸込管被覆部Hiの設計を高い自由度を以て容易に行うことができる。
【0078】
その上、本実施形態では、吐出管被覆部Ho(吐出筒部)が、吐出管Coの外周を全周且つ全面に亘り密着状態で囲繞すると共に、その囲繞部を挟んで吐出管Co先端の吐出口Coaとは反対側で前記配線T1〜T3がユニットケースCの閉塞壁20から延出しており、筐体H側の吐出管被覆部Hoの一部と、ポンプユニットU側の吐出管Coとで二重管構造が構成される。これにより、吐出管Co先端の吐出口Coaから、吐出管Coと吐出筒部Hoとの境界部(延いてはユニットケースCと筐体Hとの境界部や、配線T1〜T3と筐体Hとの境界部)を通して高圧燃料が漏れ出すのを効果的に防止できるから、その燃料漏出に因るポンプ性能低下が回避可能となる。しかも上記二重管構造により、吐出管Co及び吐出管被覆部Hoが互いに補強し合うことになって、その双方の剛性強度が効果的に高められる。
【0079】
また本実施形態の吐出管Coは、大径の第1管部11と、その第1管部11の先部に段差13を介して接続される小径の第2管部12とを有し、吐出管被覆部Hoは、第1,第2管部11,12の各外周をそれぞれ全周且つ全面に亘り密着状態で囲繞するので、吐出管Coの外周とこれを囲繞、被覆する吐出管被覆部Hoとの間を、上記段差13を挟んで二箇所(第1,第2管部11,12)で全周シールできて、そのシール性が高められる。しかも第1,第2管部11,12間の段差13の存在により、一方の管部11(12)の、外力による変形が他方の管部12(11)に波及するのを回避できる。従って、従って、吐出管被覆部Hoと吐出管Coとの境界部を通して筐体H中(例えばユニットケースCの端面とポンプユニット被覆部Hcとの境界部や、配線T1〜T3と配線被覆部Htとの境界部等)に高圧燃料が漏れ出すのをより効果的に防止可能となる。
【0080】
尚、筐体Hのモールド成形の具合によっては、前記した二重管構造でもなお前記各境界部の微小な隙間から高圧燃料が漏れ出す場合が考えられる。これに対して、本実施形態では、前記配線T1〜T3の少なくとも一部、図示例では中間配線部tb1〜tb3の上部分tbuと、その上部分tbuの外周を囲繞する筐体Hの配線被覆部Htとの相対向面間に、燃料が配線T1〜T3を伝って排出されるのを抑制し得る閉塞部材Sが設けられる。尚、閉塞部材Sは、これを本実施形態のように中間配線部tb1〜tb3の上部分tbuに設ける構造に代えて/又は加えて、下部分tbdに設ける構造や、ポンプユニット側配線部ta1〜ta3又は電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3に設ける構造を採用してもよい。
【0081】
而して、ポンプユニットUの吐出管Coから高圧燃料が前記各境界部に万一、漏洩侵入して配線T1〜T3側に万一、到達した場合には、その燃料が配線T1〜T3を伝って漏出するのを、配線T1〜T3途中の前記閉塞部材Sにより確実に阻止できる。そして、この閉塞部材Sにより漏出が阻止された高圧燃料は、筐体Hのポンプユニット被覆部HcとユニットケースCとの境界部、ならびに燃料ポンプPの吸込管Ciと吸込管被覆部Hiとの境界部を順次経て吸込管Ci内に無駄なく戻せるから、高圧燃料の外部漏出を、周囲環境を汚損することなく確実に防止可能となる
【0082】
た本実施形態によれば、第1〜第3配線T1〜T3は、剛性を有する導電性金属材料で構成されてポンプユニットUと電子制御ユニットECU間を接続しており、それら配線T1〜T3を一体に埋設した筐体Hの配線被覆部Htを介して筐体Hのポンプユニット被覆部Hcと電子制御ユニット被覆部Heとが一体に結合される。そのため、高剛性の配線T1〜T3で補強された筐体Hの配線被覆部Htを以て筐体Hのポンプユニット被覆部Hcと電子制御ユニット被覆部Heとの間を強固に結合できるから、比較的重いポンプユニットUを筐体Hで安定よく支持させることができる。
【0083】
しかも前記配線T1〜T3のポンプユニットUから延出する部分の周辺、即ち配線被覆部Htの周辺(特にポンプユニットUの軸線に沿う方向で、配線被覆部Htを挟んでその両側)において、筐体Hには、これを支持体としてのスロットルボディBに取付けるための取付部としての第1,第2被取付部21,22が一体に形成される。従って、上記高剛性の配線T1〜T3とこれを被覆する配線被覆部Htとにより、筐体Hの取付部(第1,第2被取付部21,22)周辺を効果的に補強できるから、その筐体Hを介してポンプユニットUをスロットルボディBに一層強固に支持可能である。
【0084】
その上、本実施形態の第1〜第3配線T1〜T3は、モータMに接続されて外端部がユニットケースC外に張り出すモータ側配線部(即ちポンプユニット側配線部ta1〜ta3t)と、そのモータ側配線部とは別体に構成されてモータ側配線部の前記外端部に接続部juを介して接続される外部側配線部(即ち中間配線部tb1〜tb3及び電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3)とを備えていて、接続部ju,jdを含む前記配線T1〜T3が、ポンプユニットU及び電子制御ユニットECUと共に筐体H中に埋設される。これにより、上記配線T1〜T3及びその中間の接続部ju,jdが、これらが一体に埋まるようにモールド成形された筐体Hにより機械的に強固に保持可能となる。
【0085】
従って、燃料供給装置Aが振動、例えばエンジン振動や走行振動、或いは燃料ポンプPの作動に伴う振動を受けても、配線T1〜T3、特にその接続部ju,jdが妄りに振動せず、その振動に因る接続部ju,jdの早期摩耗や破損が抑えられて、その耐久性が高められる。しかもその接続部ju,jdを含む配線T1〜T3が電子制御ユニットECUに内蔵の電子制御基板EP(従って燃料噴射弁制御部9や、モータMの駆動用ドライバ部D、ロータ位置検出回路部SEr)に接続されるから、接続部ju,jdの振動に因る早期摩耗や破損が前述の如く配線T1〜T3全体の筐体Hへの埋設効果により抑えられることで、燃料噴射弁FVの作動制御やブラシレスモータMの駆動制御が該接続部ju,jdの摩耗破損等に因り支障を来たす事態を未然に効果的に防止可能となる。
【0086】
さらに本実施形態では、第1〜第3配線T1〜T3のポンプユニット側配線部ta1〜ta3の外端部がユニットケースCよりモータ軸線に沿って同一方向に延びており、その延び方向と直交する投影面(図4)で見て、それら外端部を外部側配線部(即ち中間配線部tb1〜tb3)に各々接続する3つの前記接続部juが三角形の頂点に存するように分散配置される。そして、その分散配置された3つの接続部ju及びこれらに連なる配線T1〜T3並びにポンプユニットUが筐体Hに埋入一体化されるため、それらの配線T1〜T3、ポンプユニットU及び筐体H相互の補強効果により、接続部juを含む配線T1〜T3の全体的強度が増すばかりか、筐体HによるポンプユニットUに対する結合支持強度も増強される。これにより、各接続部juの振動がより効果的に抑制されて更なる耐久性向上が図られると共に、ポンプユニットUの支持剛性も更に高められる。
【0087】
尚、本実施形態の第1〜第3配線T1〜T3は、前述のように3個の配線部ta1〜ta3,tb1〜tb3,tc1〜tc3より分割構成される。そのため、見方を変えれば、ポンプユニット側配線部ta1〜ta3t及び中間配線部tb1〜tb3をモータ側配線部とし、また電子制御ユニット側配線部tc1〜tc3を外部側配線部としてもよく、この場合のモータ側配線部と外部側配線部との接続部は、下接続部jdが相当する。
【0088】
また、本実施形態の第1〜第3配線T1〜T3は、ポンプユニットUとは別個独立に設けられる電子制御ユニットECUに内蔵の電子制御基板EP(従ってモータMの駆動用ドライバ部Dやロータ位置検出回路部SEr、開度センサSEtのホール素子16等)に対して、ポンプユニットUから見て前記接続部ju,jd及び閉塞部材Sの外側で接続される。このため、ポンプユニットUに対し、そのモータMとこれと配線T1〜T3を介して繋がる電子制御基板EPを近づけても、高圧燃料が配線T1〜T3を伝って電子制御基板EPに侵入するのをより確実に防止できるから、電子制御ユニットECUをポンプユニットUに極力近接させて配置可能となる。
【0089】
しかも本実施形態において、電子制御基板EP(従ってモータMのドライバ部Dやロータ位置検出回路部SEr、開度センサSEtのホール素子16等)は、筐体Hのモールド成形により、ポンプユニットUと共に筐体H中に埋設される。これにより、燃料供給装置Aの部品点数が組立工数が削減されるばかりか、ポンプユニットU及び電子制御基板EP(従って前記ドライバ部D、ロータ位置検出回路部SEr、ホール素子16等)の配線を集約できて、更なるコスト節減が図られる。
【0090】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0091】
例えば、前記実施形態では、燃料ポンプPのユニットケースCに内蔵されるポンプ駆動用モータとしてブラシレスモータMを用いたものを示したが、このブラシレスモータに代えて、ブラシモータを使用してもよい。
【0092】
また前記実施形態では、燃料供給装置AをスロットルボディBに取付け固定したものを例示したが、本発明では、燃料供給装置AをスロットルボディB以外の支持体に取付け固定するようにしてもよく、或いは燃料供給装置Aを燃料タンクT内に収納設置するようにしてもよい。
【0093】
また前記実施形態では、ドライバ部D、ロータ位置検出部SEr、開度センサSEtの一部(ホール素子16)を電子制御ユニットECU内の電子制御基板EP上に直接接続、固定して電子制御ユニットECUに内蔵させたものを示したが、本発明では、これら部品D,SEr,16を電子制御ユニットECU外に設けて筐体Hに埋設又は連結し且つ電子制御基板EPに電気的に接続するようにしてもよい。
【0094】
また前記実施形態では、吸気道1が水平方向又は水平からやや傾斜した方向に延びるスロットルボディBに適用したものを示したが、吸気道1が上下方向に延びるスロットルボディに適用してもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、ポンプユニットUの全体をインサート部品として筐体Hをモールド成形するものを示したが、本発明では、ポンプユニットUの一部(例えばモータM又は燃料ポンプPの何れか一方だけ)をインサート部品として筐体Hをモールド成形するようにしてもよい。この場合には、モールド成形後に、筐体Hに埋設されたホンプユニットUの前記一部(例えば燃料ポンプP)と、その他の部分(例えばモータM)とを後付けで結合するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
B・・・・・支持体としてのスロットルボディ
C・・・・・ユニットケース
Ci・・・・吸込部としての吸込管
Coa・・・吐出口
D・・・・・ドライバ部
ECU・・・電子制御装置としての電子制御ユニット
EP・・・・電子制御基板
FV・・・・燃料噴射弁
H・・・・・筐体
Hc・・・・戻し手段としてのポンプユニット被覆部
Hi・・・・戻し手段としての吸込管被覆部
Ho・・・・吐出筒部としての吐出管被覆部
Hoa・・・燃料出口
Ht・・・・配線被覆部
M・・・・・モータとしてのブラシレスモータ
P・・・・・燃料ポンプ
S・・・・・閉塞部材
SEr・・・ロータ位置検出手段としての検出回路部
SEt・・・センサとしての開度センサ
T・・・・・燃料タンク
T1〜T3・・配線としての第1〜第3配線
U・・・・・ポンプユニット
16・・・・センサの一部としてのホール素子
21〜23・・取付部としての第1〜第3取付部
24・・・・吸込ポート
図1
図2
図3
図4