特許第6109274号(P6109274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ かがつう株式会社の特許一覧

特許6109274ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ
<>
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000002
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000003
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000004
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000005
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000006
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000007
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000008
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000009
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000010
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000011
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000012
  • 特許6109274-ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6109274
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20170327BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   H01L23/36 Z
   H05K7/20 D
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-219283(P2015-219283)
(22)【出願日】2015年11月9日
【審査請求日】2015年12月3日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 雅暉
(72)【発明者】
【氏名】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】坂本 勝
(72)【発明者】
【氏名】紺谷 英紀
【審査官】 多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−169088(JP,U)
【文献】 実開昭60−144291(JP,U)
【文献】 特開平11−290968(JP,A)
【文献】 特開平10−270616(JP,A)
【文献】 実開昭59−103496(JP,U)
【文献】 特開2011−249684(JP,A)
【文献】 特開平08−316388(JP,A)
【文献】 特開平04−313687(JP,A)
【文献】 特開2007−329338(JP,A)
【文献】 特開2010−165743(JP,A)
【文献】 特開2013−153006(JP,A)
【文献】 特開平10−051168(JP,A)
【文献】 米国特許第05396947(US,A)
【文献】 特開2008−198835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
H01L 23/34−23/36
H01L 23/373−23/427
H01L 23/44
H01L 23/467−23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と、該基板部から厚み方向の一方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第1の凸部と、この第1の凸部に対し前記基板部に沿って離れた位置で、前記基板部から厚み方向の他方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第2の凸部とを具備し、前記第1の凸部を前記基板部の面方向に間隔を置いて複数設けるとともに、隣り合う前記第1の凸部の間に、前記第2の凸部を配置し、前記第1の凸部側の前記内部空間を前記基板部に貫通して前記第1の凸部内に入り込ませ、かつ前記第2の凸部側の前記内部空間を前記基板部に貫通して前記第2の凸部内に入り込ませるようにしたヒートシンクの製造方法であって、
板状素材を上下の型で挟持し、この挟持状態を維持したまま、この挟持されている範囲内の複数箇所に一方向の塑性加工を施すことで、前記第1の凸部を複数形成し、この後、前記板状素材における隣り合う前記第1の凸部の間の部分を、これら隣り合う第1の凸部の間に嵌り合う一方の型および該型に挿通された一方のパンチと、前記一方の型に対向する他方の型および該型に挿通された他方のパンチとによって上下から挟持し、前記一方のパンチおよび前記他方のパンチに相対し、前記一方の型および前記他方の型を前記板状素材の厚み方向へ移動させることで、この挟持されている範囲内の中央側に他方向の塑性加工を施、前記第2の凸部を形成することを特徴とするヒートシンクの製造方法。
【請求項2】
前記板状素材を挟む前記上下のパンチのうちの上パンチを徐々に下降させながら、この下降速度よりも速い速度で前記上下の型を上昇するようにしたことを特徴とする請求項1記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項3】
前記第1の凸部及び前記第2の凸部を、それぞれ、頂壁部及び周壁部を有する筒状に形成するとともに、基板部側の端部を開口して外部に連通することを特徴とする請求項1又は2記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項4】
前記頂壁部に貫通孔を設けることを特徴とする請求項3記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項5】
前記第1の凸部と前記第2の凸部のうち、少なくとも一方の凸部の外周部に、環状に嵌合するとともに該凸部よりも前記基板部の面からの突出量が大きい補助凸部を設けることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項6】
前記補助凸部に、突出方向に対し交差する方向へ貫通する貫通部を設けることを特徴とする請求項5記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項7】
前記第1の凸部及び前記第2の凸部を構成する壁部は、材質の異なる複数枚の板状素材を厚み方向に重ね合わせた多層状に形成されるとともに隣接する層間で接合され、前記基板部よりも厚みが薄くなっていることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項8】
電子部品を支持して電子部品パッケージを構成することを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載のヒートシンクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の熱を放熱するためのヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば引用文献1の図10及び図11に記載されるように、上下のパンチ、上型及び下型等を備えた鍛造装置を用いて、平板上の基板に、その厚み方向の一方へ突出するように、有底筒状の凸部を多数形成してなる鍛造成形物がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−223647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術により、一方向へ突出する凸部を多数有するヒートシンクを構成する場合、隣接する凸部の間隔をできるだけ狭くして、単位面積当たりの凸部の数を増やし、全凸部と周囲の気体との接触面積を増大して、放熱性を向上することが考えられる。
しかしながら、このようにした場合には、隣接する凸部間の隙間が小さくなりすぎて、周囲の気体の流通性を阻み、放熱性能が低下する要因となる場合がある。また、このような凸部を形成する鍛造装置においても、複数のパンチのピッチを狭めればならず、構造的に困難であったり、実際の成型が困難になったりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
基板部と、該基板部から厚み方向の一方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第1の凸部と、この第1の凸部に対し前記基板部に沿って離れた位置で、前記基板部から厚み方向の他方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第2の凸部とを具備し、前記第1の凸部を前記基板部の面方向に間隔を置いて複数設けるとともに、隣り合う前記第1の凸部の間に、前記第2の凸部を配置し、前記第1の凸部側の前記内部空間を前記基板部に貫通して前記第1の凸部内に入り込ませ、かつ前記第2の凸部側の前記内部空間を前記基板部に貫通して前記第2の凸部内に入り込ませるようにしたヒートシンクの製造方法であって、板状素材を上下の型で挟持し、この挟持状態を維持したまま、この挟持されている範囲内の複数箇所に一方向の塑性加工を施すことで、前記第1の凸部を複数形成し、この後、前記板状素材における隣り合う前記第1の凸部の間の部分を、これら隣り合う第1の凸部の間に嵌り合う一方の型および該型に挿通された一方のパンチと、前記一方の型に対向する他方の型および該型に挿通された他方のパンチとによって上下から挟持し、前記一方のパンチおよび前記他方のパンチに相対し、前記一方の型および前記他方の型を前記板状素材の厚み方向へ移動させることで、この挟持されている範囲内の中央側に他方向の塑性加工を施、前記第2の凸部を形成することを特徴とするヒートシンクの製造方法。



【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、良好な放熱性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るヒートシンクの一例を示し、(a)は平面図、(b)は中心線に沿う断面図である。
図2】本発明に係るヒートシンクの他例を示す断面図である。
図3】補助凸部の一例を装着したヒートシンクを示す要部断面図である。
図4】(a)と(b)の各々に補助凸部の他例を示す斜視図である。
図5】本発明に係るヒートシンクの他例を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
図6】本発明に係るヒートシンクの他例を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
図7】本発明に係るヒートシンクの他例について、(a)は加工前の原材の断面を示し、(b)は加工後の製品断面を示す。(c)は(b)に対する下面図である。
図8】本発明に係る電子部品パッケージの一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の中心線に沿う断面図である。
図9】本発明に係るヒートシンクの製造方法の一例について、その手順を(a)〜(h)に順次に示す断面図である。
図10】本発明に係るヒートシンクの製造方法の一例について、その手順を(i)〜(p)に順次に示す断面図である。
図11】本発明に係るヒートシンクの製造方法の他例について、その手順を(a)〜(h)に順次に示す断面図である。
図12】本発明に係るヒートシンクの製造方法の他例について、その手順を(i)〜(p)に順次に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態の第1の特徴は、基板部と、該基板部から厚み方向の一方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第1の凸部と、この第1の凸部に対し前記基板部に沿って離れた位置で、前記基板部から厚み方向の他方へ突出するとともに内部空間を外部に連通してヒートシンクを構成した。
【0009】
第2の特徴としては、前記第1の凸部及び前記第2の凸部を、それぞれ、頂壁部及び周壁部を有する筒状に形成するとともに、基板部側の端部を開口して外部に連通した(図1(b)参照)。
【0010】
第3の特徴としては、前記頂壁部に貫通孔を設けた(図2参照)。
【0011】
第4の特徴としては、より放熱面積を広くするために、前記第1の凸部と前記第2の凸部のうち、少なくとも一方の凸部の外周部に、環状に嵌合するとともに該凸部よりも前記基板部の面からの突出量が大きい補助凸部を設けた(図3及び図4参照)。
【0012】
第5の特徴としては、より放熱性及び気体の流通性を向上するために、前記補助凸部に、突出方向に対し交差する方向へ貫通する貫通部を設けた(図4参照)。
【0013】
第6の特徴としては、前記第1の凸部を前記基板部の面方向に間隔を置いて複数設けるとともに、隣り合う前記第1の凸部の間に、前記第2の凸部を配置した(図1図2及び図7等参照)。
【0014】
第7の特徴として、放熱のための空間を効果的に確保するために、前記基板部は、第1片部と、この第1片部に対し交差する方向へ曲がった形状の第2片部とを一体的に備え、これら第1片部と第2片部間の内角側の空間へ突出するように前記第1の凸部を有するとともに、これら第1片部と第2片部間に対する外角側の空間へ突出するように前記第2の凸部を有する(図5及び図6参照)。
【0015】
第8の特徴としては、放熱性向上及び強度向上等の多種類の特性を得るために、前記第1の凸部及び前記第2の凸部を構成する壁部は、材質の異なる複数枚の板状素材を厚み方向に重ね合わせた多層状に形成されるとともに隣接する層間で接合され、前記基板部よりも厚みが薄くなっている(図7参照)。
ここで、前記「壁部」には、第1の凸部及び第2の凸部の周壁部や、第1の凸部及び第2の凸部の頂壁部等を含む。この「壁部」には、前記基板部は含まない。
【0016】
第9の特徴としては、層間の圧着強度を向上するために、前記第1の凸部及び前記第2の凸部の各々を、その外周面と内周面が異なる断面形状にした(図7参照)。
【0017】
第10の特徴としては、上記ヒートシンクの製造方法であって、板状素材における複数箇所に一方向の塑性加工を施すことで前記第1の凸部を複数形成する工程と、前記板状素材における隣り合う前記第1の凸部の間の部分を上下の型で挟持し、該部分に他方向の塑性加工を施すことで前記第2の凸部を形成する工程とを含むようにした(図9図12参照)。
【0018】
第11の特徴としては、上記ヒートシンクの製造方法であって、材質の異なる複数枚の板状素材を圧着せずに重ね合わせた後、この重ね合わせられた複数枚の板状素材を塑性加工することで前記多層状の第1の凸部及び第2の凸部を形成するようにした(図7参照)。
【0019】
第12の特徴としては、上記ヒートシンクによって電子部品が支持されている電子部品パッケージを構成した(図5(b)、図6(b)及び図8参照)。
【0020】
第13の特徴としては、特に電子部品を支持する部分における気体の流通性を確保するために、前記電子部品が、前記第1の凸部又は前記第2の凸部の突端に接触して支持されている構成とした(図8(b)参照)。
【0021】
第14の特徴として、前記第1片部には、前記外角側に位置する面に電子部品が接触して支持されている(図5(b)及び図6(b)参照)。
【0022】
なお、後述する実施態様では、上記構成の一部を具備せずに、以下の構成要件のみを必須とした、独立した発明も開示している。
すなわち、この独立した発明の一つは、基板部と、該基板部から厚み方向へ突出する凸部とを具備したヒートシンクにおいて、前記凸部の外周部に対し環状に嵌合する補助凸部であって且つ前記凸部よりも前記基板部の面からの突出量が大きい補助凸部を設けた(図3参照)。
ここで、前記「凸部」には、中空状のものや中実状のものを含む。
また、この発明には、前記厚み方向の一方に突出する凸部のみを具備した態様や、前記厚み方向の一方に突出する凸部と他方に突出する凸部とを具備した態様とを含む。
この発明によれば、補助凸部により周囲の気体との接触面積を広く確保することができ、ひいては、放熱性能を向上することができる。
【0023】
他の独立した発明としては、基板部と、該基板部から厚み方向へ突出する凸部とを具備したヒートシンクにおいて、前記基板部は、第1片部と、この第1片部に対し交差する方向へ曲がった形状の第2片部とを一体的に備え、これら第1片部と第2片部のうち、少なくともその一方に前記凸部を有する(図5及び図6参照)。
この発明によれば、第1片部及び第2片部の内角側及び外角側に放熱のための空間を効果的に確保することができ、ひいては、放熱性能を向上することができる。
【0024】
他の独立した発明としては、基板部と、該基板部から厚み方向へ突出する中空状の凸部とを具備したヒートシンクにおいて、前記凸部を構成する壁部は、材質の異なる複数枚の板状素材を厚み方向に重ね合わせた多層状に形成されるとともに隣接する層間で接合され、前記基板部よりも厚みが薄くなっている(図7参照)。
この構成によれば、複数枚の板状素材を前記凸部によって接合することができる上、複数の板状素材に応じた多種類の特性を得ることができる。
【0025】
他の独立した発明としては、基板部と、該基板部から厚み方向へ突出する複数の凸部と、これら複数の凸部の突端に接触して支持された電子部品とを具備して、電子部品パッケージを構成した(図8参照)。
この構成によれば、電子部品を支持する部分における気体の流通性を確保することができ、ひいては、放熱性能を向上することができる。
【0026】
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
<実施態様1>
図1(a)(b)は、本発明に係るヒートシンク1の一例を示している。
ヒートシンク1は、平板状の基板部11と、該基板部11から厚み方向の一方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第1の凸部12と、この第1の凸部12に対し基板部11面に沿って離れた位置で、基板部11から厚み方向の他方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第2の凸部13とを具備する。このヒートシンク1は、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル又はマグネシウム等の金属材料、あるいはこれらを含む合金材料から形成される。
【0028】
第1の凸部12は、全周にわたって連続する周壁部と、頂壁部とを有する有底円筒状に形成され、基板部11面に対し直角に突出し、前記頂壁部の逆側の端部を開口して外部に連通している。
第2の凸部13は、第1の凸部12と同形状に形成され、隣り合う第1の凸部12の間で逆方向へ突出している。
【0029】
前記構成のヒートシンク1によれば、第1の凸部12に対し第2の凸部13を厚み方向の逆側へ突出させるようにしているため、同方向へ突出する凸部の間隔を比較的広く確保することができる上、両方向へ突出する全部の凸部については単位面積あたりの凸部の数を比較的多く確保することができる。
したがって、隣接する凸部間を通過する気体の流通抵抗を小さくできる上、全凸部と周囲の気体との接触面積を増加することができ、ひいては、放熱性能を向上することができる。
【0030】
<実施態様2>
図2に示すヒートシンク2は、前記ヒートシンク1に対し、貫通孔22a,23aを形成したものである。
すなわち、このヒートシンク2は、ヒートシンク1と同様にして、基板部21、第1の凸部22及び第2の凸部23を具備し、第1の凸部22と第2の凸部23の頂部に、それぞれ貫通孔22a,23aを有する。貫通孔22a,23aは、第1の凸部22及び第2の凸部23の成形後に、打ち抜き加工あるいはドリル加工等の除去加工により形成される。
このヒートシンク2によれば、貫通孔22a,23aにより、基板部21の厚み方向に気体の流路を確保することができ、この気体流路を有効利用した放熱が可能になる。
【0031】
<実施態様3>
図3に示すヒートシンク3は、前記ヒートシンク2に対し、補助凸部31を設けたものである。なお、このヒートシンク3における補助凸部31以外の構成は、ヒートシンク2と同様であるため、ヒートシンク2のものと同一の符号を付ける。
【0032】
補助凸部31は、ヒートシンク2と同様の金属材料から、第2の凸部23の突出量よりも長い円筒状に形成される。この補助凸部31の長さは、図示例によれば、第2の凸部23の突出量の2倍以上に設定される。
この補助凸部31は、複数の第2の凸部23における各々の外周部に環状に嵌合されている。補助凸部31を第2の凸部23に接続する手段は、圧入嵌合とすればよいが、必要に応じて、接着剤を用いた接着や、溶接等とすることも可能である。
【0033】
このヒートシンク3によれば、補助凸部31によって周囲の気体に接触する面積(放熱面積)を大幅に増大することができ、ひいては、放熱性能を向上することができる。
【0034】
なお、図示例によれば、第2の凸部23の全部に補助凸部31を設けたが、他例としては、第1の凸部22にも補助凸部31を設けた態様や、第1の凸部22及び/又は第2の凸部23の一部に補助凸部31を設けた態様とすることが可能である。
【0035】
また、図示例によれば、補助凸部31を円筒状に形成したが、この補助凸部31は、図4に示す補助凸部32や補助凸部33に置換することが可能である。
図4(a)に示す補助凸部32は、前記補助凸部31に対し、貫通部32aを設けたものである。
すなわち、この補助凸部32は、略円筒状の側壁を有するとともに、該側壁に、補助凸部32の突出方向に対し直交する方向(換言すれば、該側壁の厚み方向)へ貫通する貫通部32aを形成している。
貫通部32aは、図示例によれば、径方向に対向するように二つ設けられるが、単数又は三以上とすることも可能である。各貫通部32aは、補助凸部32の周壁を、突端部(上端部)から基端側へかけて長尺状に切り欠いた形状を呈する。この貫通部32aの他例としては、図示以外の形状の切欠部や、円形や長穴形、その他の形状の貫通孔等とすることも可能である。
【0036】
補助凸部32を用いてヒートシンク3を構成すれば、貫通部32aによって放熱面積をより拡大するとともに、補助凸部32内外の気体の流通性を向上することができ、良好な放熱性能を得ることができる。
【0037】
また、図4(b)に示す補助凸部33は、嵌合筒部33a1を有する底板部33aと、該底板部33aの両端から直交方向の一方へ突出する二枚の側片部33bとを一体的に有する側面視コ字状に形成される。この補助凸部33は、上記補助凸部31と略同様の金属材料から形成される。
二枚の側片部33bは、矩形平板状に形成され、嵌合筒部33a1の両側で略平行している。これら側片部33bの間の空間は、補助凸部33の突出方向に対し直交する方向へ貫通する貫通部として機能する。
そして、この補助凸部33は、嵌合筒部33a1を第2の凸部23に対し環状に嵌合するとともに、底板部33aの下端面を基板部21上面に当接させるようにして、ヒートシンク2に装着される。
この補助凸部33を用いたヒートシンク2によれば、平坦状の側片部33bにより放熱面積を拡大できる上、両側片部33b間(貫通部)を、放熱のための気体を流通させる経路として用いることができ、ひいては、効果的な放熱性能を得ることができる。
【0038】
なお、上記構成によれば、特に気体の流通性を向上する態様として、貫通孔22a,23aを有する凸部22,23に、補助凸部31,32又は33を設けたが、他例としては、貫通孔を有さない有底筒状の凸部(例えば、図1に示す態様)に対し、前記補助凸部を設けた態様や、内部が中実状の凸部(図示せず)の外周部に補助凸部31,32又は33を設けた態様等とすることも可能である。
さらに、補助凸部31,32又は33は、後述するヒートシンク4,5に適用したり、凸部を有する図示しないヒートシンクに適用したりすることも可能である。
また、複数種類の補助凸部31,32,33を適宜に組み合わせて、単数のヒートシンクに適用することも可能である。
【0039】
<実施態様4>
図5に示すヒートシンク4は、上記ヒートシンク1と同様の金属材料によって形成され、基板部40を、第1片部41と、この第1片部41の両端側で第1片部41に対し直交する方向へ曲がった形状の第2片部42とから一体的に構成している。
【0040】
第1片部41には、第1片部41と第2片部42との内角側の空間(図示の上方)へ向かって突出する多数の第1の凸部41bが設けられる。
二つの第2片部42の各々には、第1片部41と第2片部4との外角側の空間(図示例によれば側方)へ向かって突出する多数の第2の凸部42bが設けらる。
【0041】
第1の凸部41b及び第2の凸部42bは、それぞれ、上述したヒートシンク2の凸部22,23と同様に、貫通孔を有する円筒状の突起である。
【0042】
このヒートシンク4は、第1の凸部41b及び第2の凸部42bが予め形成された一枚の板状部材を曲げ加工することにより、図5に示す側面視コ字状に構成される。
【0043】
このヒートシンク4によれば、第1片部41及び両第2片部42よって囲まれた凹状の空間や、これらの第1片部41及び第2片部42の外側の空間を、放熱のために有効に利用することができ、良好な放熱性能を得ることができる。
例えば、図5(b)に示すように、第1片部41における第1の凸部41bの突出方向と反対側の面に電子部品Aを接触させ固定することで、放熱性能の高い電子部品パッケージを構成することができる。
【0044】
なお、図示例のヒートシンク4は、特に放熱性能の良好な態様を示したが、他例としては、第1の凸部41b及び/又は第2の凸部42bの一部又は全部を、図示と逆の方向へ突出させた態様や、各突部41b,42bを、ヒートシンク2(図2参照)と同様に交互に突出させた態様等とすることも可能である。
【0045】
また、上記ヒートシンク4に加える好ましい構成として、第1の凸部41b内の空間に熱伝導性の充填物(例えば、金属又は合成樹脂等)を設け、第1片部41の下面を凹部のない平坦面状に形成するようにしてもよい。
この構成によれば、第1片部41の下面と電子部品Aとの接触面性を増加して、より放熱性を向上することができる。
【0046】
<実施態様5>
図6に示すヒートシンク4’は、図5に示す上記ヒートシンク4に対し、凸部の配置を変更したものである。なお、以下の説明において、上記ヒートシンク4と略同様の部分については同一の符号を付けることで、重複する詳細説明を省略する。
このヒートシンク4’において、基板部40は、第1片部41’と、この第1片部41’に対し直交する方向へ曲がった形状の第2片部42’とを一体的に備える。
第1片部41’は、凸部を有さない平板状に形成される。
各第2片部42’は、その厚み方向の一方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第1の凸部42cと、この第1の凸部42cに対し第2片部42’の面に沿って離れた位置で、厚み方向の他方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第2の凸部42bとを有する。図6に示す好ましい一例では、第1片部41’に直交する方向へわたって、第1の凸部42cと第2の凸部42bとを厚み方向の一方と他方に交互に突出させている。
このヒートシンク4’において、第1の凸部42c及び第2の凸部42bは、それぞれ、上述したヒートシンク2の凸部22,23と同様に、貫通孔を有する円筒状の突起である。
このヒートシンク4’は、第1の凸部42c及び第2の凸部42bが予め形成された一枚の板状部材を曲げ加工することにより、図6に示す側面視コ字状に構成される。
【0047】
このヒートシンク4’によれば、第1片部41’及び両第2片部42’よって囲まれた凹状の空間や、これらの第1片部41’及び第2片部42’の外側の空間を、放熱のために有効に利用することができ、良好な放熱性能を得ることができる。
例えば、図6(b)に示すように、第1片部41’における前記外角側の空間に位置する面に電子部品Aを接触させ固定することで、放熱性能の高い電子部品パッケージを構成することができる。
【0048】
なお、上記ヒートシンク4,4’(図5及び図6参照)によれば、各凸部41b,42b又は42cを、貫通孔を有する筒状に形成したが、他例としては、これら凸部の一部又は全部を、ヒートシンク1と同様の有底筒状に形成することも可能である。
また、上記ヒートシンク4,4’によれば、凸部41b、42b又は42cを有する一枚の板材を曲げ加工して側面視コ字状に形成したが、他例としては、前記凸部を予め加工した3枚の板材を溶接等により接合して側面視コ字状に形成することも可能である。
また、図示例のヒートシンク4,4’では、側面視コ字状に形成したが、他例としては、前記凸部を有する板状部材を側面視L字状に形成した態様や、前記凸部を有する板状部材を側面視クランク状に形成した態様、前記凸部を有する板状部材を曲面を有する形状に形成した態様等とすることも可能である。
また、他例としては、第1片部41’に対しても厚み方向の一方又は双方へ突出するように、前記凸部を設けることが可能である。
また、上記ヒートシンク4,4’は、特に気体の流通性を向上した好ましい態様として各凸部を中空状に形成したが、他例としては、前記凸部の一部又は全部を中実状に形成することも可能である。
また、図5(b)及び図6(b)に示す一例では、電子部品Aとして立方体状のLSIを想定しているが、この電子部品Aは図示例のものに限定されず、他の形状のもの(例えば、CPUや、トランジスタ、サイリスタ、その他の半導体や電子部品等)に置換することが可能である。
【0049】
<実施態様6>
図7に示すヒートシンク5は、基板部51と、該基板部51から厚み方向へ突出する第1及び第2の凸部52,53とを具備し、各凸部52,53を構成する壁部が、材質の異なる複数枚(図示例によれば二枚)の板状素材5a,5bを厚み方向に重ね合わせた多層状に形成され、この壁部における隣接する層間が圧着され接合されている。
【0050】
第1及び第2の凸部52,53が加工される前の板状素材5a,5bは、例えば、アルミニウムと銅等、異なる特性を有する平坦状の金属板である。これら複数の板状素材5a,5bは、第1及び第2の凸部52,53の加工前には、接着や圧着、溶接等により接合されることなく、単に重ね合わせたものである。すなわち、第1及び第2の凸部52,53を加工する前の板状素材5a,5bは、複数枚の金属製板材を重ね合わせて圧着し原子間接合したクラッド材とは異なる。
【0051】
そして、重ね合わせられた板状素材5a,5bには、例えば、後述する製造方法(図9図12参照)等の塑性加工により、基板部51、及び該基板部51の厚み方向へ突出する第1及び第2の凸部52,53が形成される(図7(b)参照)。板状素材5a,5bは、これら第1及び第2の凸部52,53部分のアンカー効果によって一体化される。
第1の凸部52は、基板部51の厚み方向の一方へ突出する有底筒状に形成され、基板部51の面方向に一定間隔を置いて複数設けられる。
第2の凸部53は、隣接する第1の凸部52の間に配置されるとともに、基板部51の厚み方向の他方へ突出する有底筒状に形成される。
【0052】
第1及び第2の凸部52,53の各々は、その外周面と内周面が異なる断面形状である。
詳細に説明すれば、各第1及び第2の凸部52,53の外周面形状は、後述する塑性加工(図9図12)で用いられる型の内面形状にならう形状であり、図示例によれば、断面円形状に形成される。
これに対し、第1及び第2の凸部52,53の内周面形状は、後述する塑性加工で挿入されるパンチの外面形状にならう形状であり、特に好ましい一例としては、断面多角形状(図7(c)によれば断面6角形状)に形成される。
【0053】
各凸部52,53の周壁部と頂壁部において、多層状の板状素材5a,5bは、後述する塑性加工により圧着され接合されている。なお、基板部51については、上下の型によって挟持されることで、板状素材5a,5b間が略密接するが、接合された状態にはない。
【0054】
第1の凸部52と第2の凸部53は、前記塑性加工により周壁部の厚みが、基板部51の厚みよりも小さくなっている。
詳細に説明すれば、基板部51の厚みt1は、板状素材5a,5bを重ね合わせて密接させた厚みと略同等である。
各凸部52,53の周壁部の厚みt2は、基板部51の厚みt1よりも小さくなっている。
各凸部52,53の頂壁部の厚みt3は、周壁部の厚みt2の厚みよりも小さくなっている。
【0055】
上記構成となるように塑性加工されたヒートシンク5によれば、複数枚の板状素材5a,5bは、内外周面が異なる断面形状の各凸部52,53により接合されており、分離することがない。
そして、このヒートシンク5によれば、板状素材5a,5bを構成する複数の金属の特性(例えば、熱伝導性、強度、耐腐食性、耐久性等)を得ることができる。
【0056】
なお、図示例によれば、特に好ましい態様として、第1及び第2の凸部52,53を基板部51の厚み方向の一方と他方へ突出させたが、何れか一方の凸部52又は53を省いた構成とすることも可能である。
また、図示例では、上述したアンカー効果を得やすい好ましい一例として、第1及び第2の凸部52,53の外周面を断面円形状に形成するとともにその内周面を断面多角形状に形成したが、他例としては、前記外周面を断面多角形状にするとともに前記内周面を断面円形状にした態様や、内外周面とも同形状にした態様、内外周面を図示例以外の形状にした態様等とすることも可能である。
また、図示例のヒートシンクは2層状に形成されるが、他例としては、3層以上の複数状とすることが可能である。この場合、複数の板状素材のうち、その全部が互いに異なる材質になるようにしてもよいし、一部のみが互いに異なる材質になるようにしてもよい。また、図示例では、各凸部52,53を、頂壁部を有する筒状(有底筒状)に形成したが、他例としては、各凸部52,53を、上記ヒートシンク2と略同様に、前記頂壁部に貫通孔を有する筒状に形成することも可能である。
【0057】
<実施態様7>
図8(a)(b)は、上記構成のヒートシンクによって電子部品を支持してなる電子部品パッケージの一例を示す。
電子部品パッケージ6は、上記構成のヒートシンク1と、該ヒートシンク1における一部の第2の凸部13の突端に接触して支持された電子部品Bとを備える。
【0058】
電子部品Bは、TO-220型形状の電子部品を例示している。この電子部品Bは、厚み方向の一端を他端よりも広い平坦面状に形成しており、この広い方の平坦状の面を、複数の第2の凸部13の突端面に接触させ、ネジ止め等よって固定される。
【0059】
電子部品パッケージ6によれば、電子部品Bの熱を複数の第2の凸部13によりヒートシンク1側へ伝導することができる上、隣接する第2の凸部13間の空間Sに気体を流通させることができ、これらの相乗効果として、良好な放熱性能を得ることができる。
【0060】
なお、この電子部品パッケージ6の他例としては、第2の凸部13に換えて第1の凸部12に電子部品Bを支持した態様や、第1の凸部12と第2の凸部13の双方にそれぞれ電子部品Bを支持した態様とすることが可能である。
さらに、他例としては、図示例から第1の凸部12を省いた態様や、図示例に置いて電子部品Bに接触していない第2の凸部13を省いた態様、各突部12,13の一部又は全部を中実状にした態様などとすることも可能である。
さらに、電子部品パッケージ6の他例としては、ヒートシンク1を、上述した他のヒートシンク2〜5(図2図7参照)の何れかに置換した態様とすることが可能である。
また、電子部品Bは、図示例のものに限定されず、他の形状の半導体や電子部品等に置換することが可能である。
【0061】
次に、上記ヒートシンクの製造方法について、詳細に説明する。
<製造方法1>
図9及び図10は、上述したヒートシンク1を塑性加工する際の製造方法を例示している。
この製造方法では、先ず、上パンチ110、上型120、下パンチ130及び下型140によって、ヒートシンク1の第1の凸部12を加工する(図9参照)。
この後、上パンチ150、上型160、下パンチ170及び下型180によって、同ヒートシンク1の第2の凸部13を加工する(図10参照)。
【0062】
図9に示すように、上パンチ110は、第1の凸部12の内面形状と略同じ外面形状を有し、図示例によれば、円柱軸状に形成される。
上型120は、その下端面を平坦にしたブロック状に形成され、複数の上パンチ110を嵌め合せて上下に挿通可能な貫通孔を有する。
下型140は、その上端面を平坦にしたブロック状に形成され、上下へ連続する貫通孔を有する。
下パンチ130は、下型140の貫通孔に嵌り合って挿通可能な形状に形成され、図示例によれば、上パンチ110よりも大きい外径の円柱軸状に形成される。
下型140の貫通孔及び下パンチ130の上端面は、第1の凸部12の外面形状を形作る。
【0063】
図10に示すように、上パンチ150及び下パンチ170は、上述した上パンチ110及び下パンチ130を上下逆にした形状に形成される。
上型160は、下型140を上下逆にした形状を呈し、上パンチ150を上下方向へ挿通するための貫通孔を有する。
下型180は、上面側に、隣接する第1の凸部12間に嵌まり合う突起181を複数有する。各突起181には、下パンチ170を上下に挿通するための貫通孔が設けられる。
【0064】
ヒートシンク1の製造手順について順次に説明すれば、先ず、初期状態では、図9(a)に示すように、上型120と下型140の間に空間が設けられ、下パンチ130の上端面が下型140の最上端面よりも下側に位置している。そして、この状態において、下型140の最上端面に、ヒートシンク1を形成するための板状素材1aが載置される。
【0065】
次に、図9(b)に示すように、下パンチ130の上下位置を変えないように固定し、上パンチ110、上型120及び下型140を下方へ移動し、上型120の下面と、下型140の上面との間に板状素材1aを挟持する。
【0066】
そして、前記挟持状態を維持したまま、図9(c)に示すように、下パンチ130の上下位置を固定した状態で、上パンチ110を徐々に下降させながら、この下降速度よりも速い速度で上型120及び下型140を上昇し、板状素材1aを塑性変形させて、第1の凸部12の周壁部及び頂壁部を成型する。
【0067】
次に、図9(d)に示すように、下型140の上下位置を固定した状態で、上パンチ110、上型120及び下パンチ130を上昇させ、ヒートシンク1の途中加工品を下型140から外す。
【0068】
次に、図9(e)に示すように、加工途中のヒートシンク1を水平方向の一方へ移動し、第1の凸部12を下型140上側の凹部141に逃がすとともに、該ヒートシンク1の平坦状部分を下型140の最上端面に接触させる。
【0069】
次に、図9(f)〜(h)に示す工程では、図9(b)〜(d)と略同様の動作により、前記平坦状部分にも第1の凸部12を形成する。
そして、前述した図9(a)〜(h)の動作が所定数繰り返されることで、複数の第1の凸部12が全て形成される。
【0070】
次に、第1の凸部12を有する加工途中のヒートシンク1は、図10(i)に示すように、第1の凸部12間を、突起181に嵌め合せるようにして、下型180上に載置される。
【0071】
次に、ヒートシンク1における第1の凸部12間の平坦状の未加工部分が、上型160の下面と、下型180の上面との間に挟持される(図10(j)参照)。
【0072】
そして、前記挟持状態を維持したまま、図10(k)に示すように、下パンチ170の上下位置を固定した状態で、上パンチ150を徐々に下降させながら、この下降速度よりも速い速度で上型160及び下型180を下降し、ヒートシンク1の未加部分を塑性変形させて、第2の凸部13の周壁部及び頂壁部を成型する。
【0073】
次に、図10(l)に示すように、下パンチ170及び下型180を上昇して初期位置(図10(i)参照)に戻すとともに、上パンチ150及び上型160を上昇させて、上型160から第2の凸部13を外す。
この後、加工途中のヒートシンク1は、専用機械により上方へ移動されて下型180の突起181から離される。
【0074】
次に、加工途中のヒートシンク1は、図10(m)に示すように、専用機械により、水平方向の一方へ移動され、第1の凸部12間の未加工部分を突起181に嵌め合せるようにして、下型180上に載置される。
【0075】
次に、図10(n)〜(p)では、図10(j)〜(l)と略同様の動作により、前記未加工部分にも第2の凸部13が形成される。
【0076】
そして、前述した図9(i)〜(p)の動作が所定数繰り返されることで、複数の第2の凸部13が全て形成され、ヒートシンク1が完成する。
【0077】
よって、図9図10に示す製造方法によれば、板状素材1aにおける隣り合う第1の凸部12の間の部分を上下の型160,180で挟持し、この挟持状態を維持したまま、第2の凸部13を塑性加工するようにしているため、第1の凸部12と第2の凸部13の境界部分の形状が崩れるようなことを防いで、所望とする形状の第1の凸部12及び第2の凸部13を、比較的小さい面積に高密度に配置して、高精度且つ効率的に成型することができる。
【0078】
<製造方法2>
図11及び図12は、ヒートシンク1を塑性加工する際の製造方法の他例を示している。
この製造方法では、先ず、上パンチ210、上型220、下パンチ230及び下型240によって、ヒートシンク1の第1の凸部12を加工する(図11参照)。
この後、加工途中のヒートシンク1の上下を反転させ、同じ上パンチ210、上型220、下パンチ230及び下型240を用いて、同ヒートシンク1の第2の凸部13を加工する(図12参照)。
【0079】
上パンチ210は、第1の凸部12の内面形状と略同じ外面形状を有し、図示例によれば、円柱軸状に形成される。
上型220は、その下端に、隣接する第1の凸部12間、及び隣接する第2の凸部13間に嵌り合う突起221を複数有し、各突起221には、上パンチ210を嵌め合せて上下に挿通するための貫通孔が設けられる。
下型240は、その上端面を平坦にしたブロック状に形成され、下パンチ230を嵌め合せて上下に挿通するための貫通孔を有する。
下パンチ230は、下型240の貫通孔に嵌り合って挿通する形状に形成され、図示例によれば、上パンチ210よりも大きい外径の円柱軸状に形成される。
下型240の貫通孔及び下パンチ230の上端面は、各凸部12,13の外面形状を形作る。
【0080】
ヒートシンク1の製造手順を順次に説明すれば、先ず、初期状態では、図11(a)に示すように、上型220と下型240の間に空間が設けられ、下パンチ230の上端面が下型240の上端面よりも下側に位置している。そして、この状態において、下型240の最上端面に、ヒートシンク1を形成するための板状素材1aが載置される。
【0081】
次に、図11(b)に示すように、下パンチ230の上下位置を変えないように固定し、上パンチ210、上型220及び下型240を下方へ移動し、上型220の下面と、下型240の上面との間に板状素材1aが挟持される。
【0082】
そして、前記挟持状態を維持したまま、図11(c)に示すように、下パンチ230の上下位置を固定した状態で、上パンチ210を徐々に下降させながら、この下降速度よりも速い速度で上型220及び下型240を上昇し、板状素材1aを塑性変形させて、第1の凸部12の周壁部及び頂壁部が成型される。
【0083】
次に、図11(d)に示すように、下型240の上下位置を固定した状態で、上パンチ210、上型220及び下パンチ230を上昇させ、ヒートシンク1の途中加工品が下型240から外される。
【0084】
次に、図11(e)に示すように、加工途中のヒートシンク1を、専用機械等により水平方向の一方へ移動し、第1の凸部12を下型240上側の凹部241に逃がすとともに、該ヒートシンク1の平坦状の未加工部分を下型240の最上端面に接触させる。
【0085】
次に、図11(f)〜(h)では、図11(b)〜(d)と略同様の動作により、前記未加工部分にも第1の凸部12が形成される。
そして、前述した図11(a)〜(h)の動作が所定数繰り返されることで、複数の第1の凸部12が全て形成される。
【0086】
次に、専用機械により加工途中のヒートシンク1の上下が反転される。そして、このヒートシンク1は、図12(i)に示すように、各第1の凸部12を上方へ向けて下型240の最上端面に載置される。
【0087】
次に、図12(j)に示すように、下パンチ230の上下位置を固定した状態で、上パンチ210、上型220及び下パンチ230を下降し、加工途中のヒートシンク1における隣接する第1の凸部12の間の未加工部分が、上下の型220,240によって挟持される。
【0088】
そして、前記挟持状態を維持したまま、図12(k)に示すように、下パンチ230の上下位置を固定した状態で、上パンチ210を徐々に下降させながら、この下降速度よりも速い速度で上型220及び下型240を上昇し、ヒートシンク1の前記未加部分を塑性変形させて、第2の凸部13の周壁部及び頂壁部が成型される。
【0089】
次に、図12(l)に示すように、下パンチ230及び下型240を上昇して初期位置(図12(i)参照)に戻すとともに、上パンチ210及び上型220を上昇させて、下型240から第2の凸部13を外すとともに、隣接する第1の凸部12間から上型220の突起221を上方へ引き抜く。
【0090】
次に、図12(m)に示すように、上パンチ210、上型220、下パンチ230及び下型240は、図12(i)と同様の初期位置に戻され、加工途中のヒートシンク1は、水平方向の一方へ移動される。
【0091】
次に、図12(n)に示すように、下パンチ230の上下位置を固定した状態で、上パンチ210、上型220及び下パンチ230を下降し、加工途中のヒートシンク1における隣接する第1の凸部12の間の未加工部分を、上下の型220,240によって挟持するとともに、加工済みの第2の凸部13が凹部241に逃がされる。
【0092】
次に、図12(o)〜(p)では、図12(k)〜(l)と略同様の動作により、前記平坦状部分にも第2の凸部13が形成され、ヒートシンク1が上下の型220,240から外される。
そして、前述した図12(o)〜(p)の動作が所定数繰り返されることで、複数の第2の凸部13が全て形成され、ヒートシンク1が完成する。
【0093】
よって、図11図12に示す製造方法によれば、先に説明した製造方法1(図9図10参照)と略同様の作用効果により、所望とする形状の第1の凸部12及び第2の凸部13を、比較的小さい面積に高密度に配置して、高精度且つ効率的に成型することができる。
しかも、第1の凸部12の加工と第2の凸部13の加工とで、異なるパンチや型を用いる必要がないので、設備コストを低減することができる。
【0094】
なお、図10図12に示す製造方法では、一例としてヒートシンク1を製造対象としたが、ヒートシンク1に換えてヒートシンク5(図7参照)を製造対象とすることも可能である。
【0095】
また、上記実施態様によれば、上記各凸部の外形を、それぞれ平面視円形状に形成したが、他例としては、これら凸部の平面視形状を、多角形状(例えば、三角形、四角形、六角形、ひし形、台形等)や、十字形状、ハート形状、キャラクター形状、帯状、曲線状、その他の形状とすることが可能である。
【0096】
また、上記実施態様では、全ての凸部の頂壁部に貫通孔のない態様(図1及び図7参照)と、全ての凸部の頂壁部に貫通孔を有する態様(図2及び図5参照)とを例示したが、他例としては、単数のヒートシンクにおいて、一部の凸部のみに貫通孔を設けるとともに他の凸部には貫通孔を設けない態様とすることも可能である。
【0097】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0098】
1,2,3,4,4’,5:ヒートシンク
6:電子部品パッケージ
11,21,40,51:基板部
12,22,41b,42c,52:第1の凸部
13,23,42b,53:第2の凸部
22a,23a:貫通孔
31,32,33:補助凸部
32a:貫通部
41:第1片部
42:第2片部
A,B:電子部品
【要約】
【課題】 良好な放熱性能を得る。
【解決手段】 基板部11と、基板部11から厚み方向の一方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第1の凸部12と、この第1の凸部12に対し基板部11に沿って離れた位置で、基板部11から厚み方向の他方へ突出するとともに内部空間を外部に連通した中空状の第2の凸部13とを具備した。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12