(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109304
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】放射、特に、高エネルギー電磁放射用検出器
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20170327BHJP
H01J 47/06 20060101ALI20170327BHJP
G01T 1/18 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
G01T1/20 L
H01J47/06
G01T1/20 E
G01T1/20 G
G01T1/18 D
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-515980(P2015-515980)
(86)(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公表番号】特表2015-525346(P2015-525346A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】RU2012000450
(87)【国際公開番号】WO2013184020
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2015年1月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イリナ ミハイロフナ アスタフィエヴァ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ハイト
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ヒューズ
【審査官】
林 靖
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−541490(JP,A)
【文献】
特開2009−206057(JP,A)
【文献】
特開2005−010163(JP,A)
【文献】
特表2001−508935(JP,A)
【文献】
特表平09−508750(JP,A)
【文献】
米国特許第06477223(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00−1/16
G01T 1/167−7/12
H01J 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10keV以上の高エネルギー電磁放射用検出器であって、
変換部と、ガス電子増幅器(4)と、検出器陽極(8)と、を有しており、
陰極(3)を有する前記変換部は、当該変換部に入射する放射(P)を光電効果によって電子(E)に変換し、
前記ガス電子増幅器(4)は、前記変換部によって生成され、当該ガス電子増幅器(4)に入る電子(E)から電子なだれを生成し、
前記ガス電子増幅器(4)は、第1電極(5)と、誘電層(6)と、第2電極(7)とを有しており、
前記第1電極(5)は、前記誘電層(6)の、前記変換部に近接する第1の側に配置されており、
前記第2電極(7)は、前記誘電層(6)の、前記第1の側とは反対の第2の側に配置されており、
前記ガス電子増幅器(4)は、ガスで満たされた複数の孔(9)を有しており、
前記孔(9)は、前記第1電極(5)、前記誘電層(6)および前記第2電極(7)を貫通して延在しており、
前記第2電極(7)に近接する前記検出器陽極(8)は、前記電子なだれを検出する検出器において、
前記孔(9)の一方の側が前記検出器陽極(8)によって完全に覆われるように、前記検出器陽極(8)は、前記ガス電子増幅器(4)の各孔(9)において、前記第2電極(7)から前記孔(9)上に延在しており、
前記検出器陽極(8)および前記第2電極(7)は、一体化した電極を形成する、
ことを特徴とする検出器。
【請求項2】
前記変換部は、光電陰極(3)と、前記光電陰極(3)の、前記変換部に入射する放射(P1)に向かう側に配置されたシンチレータ材料(1)と、を有している、
請求項1記載の検出器。
【請求項3】
前記光電陰極(3)は、前記第1電極(5)上に、直接に、または、ガスで満たされた空隙を有して、配置されている、
請求項1または2記載の検出器。
【請求項4】
前記検出器陽極(8)は、1つ以上の孔(9)において、前記第2電極(7)の平面にまたは当該平面に平行に、延在している、
請求項1から3のいずれか1項記載の検出器。
【請求項5】
前記検出器陽極(8)は、1つ以上の孔(9)において、前記第2電極(7)に垂直な平面においてU字状の断面を有している、
請求項1から4のいずれか1項記載の検出器。
【請求項6】
前記検出器陽極(8)は、1つ以上の孔(9)において、前記第2電極(7)に垂直な平面において半楕円状の断面を有している、
請求項1から5のいずれか1項記載の検出器。
【請求項7】
1つ以上の孔(9)は、シリンダ形状を有している、
請求項1から6のいずれか1項記載の検出器。
【請求項8】
1つ以上の孔(9)は、前記第1電極(5)から前記第2電極(7)に向かって円錐状に先細になっている、
請求項1から7のいずれか1項記載の検出器。
【請求項9】
1つ以上の孔(9)は、前記第1電極(5)および前記第2電極(7)の両方から、前記孔(9)の内側に向かって円錐状に先細になっている、
請求項1から8のいずれか1項記載の検出器。
【請求項10】
各孔(9)の最大直径は、10〜100μmであり、および/または、前記第1電極(5)の平面から見た近接する孔(9)の中心の間の距離は、10〜100μmである、
請求項1から9のいずれか1項記載の検出器。
【請求項11】
前記検出器は、医療用装置、または、コンピュータ断層撮影機、または、検層装置における放射検出用検出器である、
請求項1から10のいずれか1項記載の検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射、特に、高エネルギー電磁放射用検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
放射検出用として、従来技術において多種の検出器が知られている。高エネルギー電磁放射の検知用として、シンチレータ結晶および光電子増倍管を有するシンチレーション検出器が種々の技術分野、たとえば、医療用設備や石油・ガス産業の検層などで広く用いられている。シンチレーション検出器において、放射はシンチレータ結晶に向かい、結晶によって放射は光に変換されて光電陰極に衝突する。光電陰極は、ガラスエンベロープ中に複数のダイノードを有する光電子増倍管の一部である。光電効果によって、光電陰極に向かった光は、光電子増倍管内に一次電子の放出を生じさせる。電子は管内のダイノードに向かって加速され、二次電子カスケードが生じ、これが出力信号として検出される。シンチレーション検出器は、光電子増倍管が数センチメートルの長さを有するため、比較的大きい。さらに、このような検出器の空間解像度は、比較的低い。
【0003】
従来技術で知られる別種の検出器は、いわゆる、ガス電子増幅器であり、光電効果によって生じる電子はガスで満たされた対応する孔に入る。孔内部には孔に入った電子を加速する電界があり、ガス原子/分子と電子との衝突によって二次電子が生じる。これにより、電子なだれが生じる。
【0004】
ガス電子増幅器を有する放射検出器が特許文献1に開示されている。この検出器では、ガス電子増幅器から所定距離をおいて配置された検出器陽極が、電子なだれの検出に用いられる。ガス電子増幅器は、対応する孔を有する絶縁材料と、絶縁材料上に配置された、孔内部に高電界を生じさせる2つの電極とを有している。電子のいくらかが検出器陽極に近接したガス電子増幅器の電極に放電されるため、この検出器には、電子なだれの全ての電子が検出器陽極によって検出できないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US6,011,265
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、精密な測定を提供するコンパクトなサイズの放射用検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項1に係る検出器によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明の検出器は、放射、特に、高エネルギー電磁放射用検出器のために構成されている。本明細書において、高エネルギー電磁放射とは、10keV以上100MeV以下またはそれ以上の放射、特に、X線放射および/またはガンマ線放射をいう。
【0009】
本発明の検出器は、陰極を有した変換部を備えている。この変換部は、検出対象である、変換部に入射した放射を光電効果によって電子に変換する。さらに、検出器は、変換部において生じた電子から電子なだれを生じさせるためのガス電子増幅器を備えている。ガス電子増幅器は、第1電極と、誘電層と、第2電極とを有している。第1電極および第2電極は、好ましくは、銅からなっている。さらに、誘電材料は、好ましくは、カプトン(登録商標)からなっている。第1電極は、誘電層の、変換部に近接した第1の側に配置されており、第2電極は、誘電層の、第1の側とは反対の第2の側に配置されている。ガス電子増幅器は、複数の孔、特に、ガス(例えばネオン)で満たされた複数の孔を有しており、これらの孔は第1電極、誘電層および第2電極を貫通して延在している。検出器は、さらに、電子なだれを検出するための第2電極に近接した検出器陽極を備えている。
【0010】
本発明に係る検出器は、孔の一方の側が検出器陽極によって完全に覆われるように、検出器陽極が各孔において第2電極から孔上に延在していることを特徴としている。本発明は、検出器陽極によってガス電子増幅器の孔が覆われていることにより、電子なだれの電子が第2電極での放電によって失われないことに基づいている。すなわち、放射のより精密な測定がこの検出器によって実現可能である。さらに、ガス電子増幅器の厚みが、光電子増倍管については数センチメートルであるのに比べて、通常、数ミクロンの範囲にあるため、本発明の検出器は、光電子増倍管を有するシンチレーション検出器と比較してはるかにコンパクトなサイズを有する。さらに、ガス電子増幅器の空間解像度は、光電子増倍管を有するシンチレーション検出器と比べてと比べてはるかに高いものとすることができる。
【0011】
本検出器の好ましい実施形態では、変換部は、光電陰極の、変換部に入る放射に向かう側に配置された、光電陰極およびシンチレータ材料(たとえば、NaI(Tl))を有している。シンチレータ材料は、入射した放射を光に変換する。この光の光子は、光電効果によって、光電陰極から直接に電子が放射可能とされる。結果として、光電陰極は、ガス電子増幅器の孔の近くに配置でき、検出器のサイズは低減される。しかし、別の実施形態では、変換部は、従来の陰極およびガス容積を有して、放射が陰極を通過して、光電効果によってガス容積中の原子/分子から電子放射が生じるようにしてもよい。
【0012】
上記実施形態の光電陰極は、第1電極上に直接に(すなわち接触状態で)設けられてもよい。しかし、ガスで満たされた空隙が光電陰極と第1電極との間に存在してもよい。
【0013】
本発明の特に好ましい実施形態では、検出器陽極および第2電極は、一体化した電極を形成し、これにより、検出器のシンプルな構成が得られる。
【0014】
本発明の別の実施形態では、検出器陽極は、1つ以上の孔、特に、各孔において、第2電極の平面にまたはこれに平行に延在している。
【0015】
別の変形例では、検出器陽極は、1つ以上の孔、特に、各孔において、第2電極に垂直な平面においてU字状の断面を有している。さらに、検出器陽極は、1つ以上の孔、特に、各孔において、半楕円状の断面を有していてもよい。U字状または半楕円状の断面を用いることにより、陽極の検出器の表面が拡大される。
【0016】
ガス電子増幅器の孔は、異なる形状であってもよい。一実施形態では、1つ以上の孔、とくに各孔はシリンダ状の形状を有している。別の実施形態では、1つ以上の孔、特に、各孔は第1電極から第2電極に向かって円錐状に先細となっている。さらに、1つ以上の孔、特に各孔は、第1および第2電極の双方から、孔の内部に向かって円錐状の先細となっていてもよい。
【0017】
高い空間解像度を得るため、各孔の最大直径は、10〜100μmであり、および/または、近接する孔の中心の間の距離は第1電極の平面から見て10〜100μmである。
【0018】
本発明に係る検出器は、種々の技術分野で用いることができる。好ましい実施形態では、本検出器は、医療用装置、特に、コンピュータ断層撮影機における放射検出用検出器である。換言すれば、本発明は、本発明に係る検出器を備えるコンピュータ断層撮影機に関する。さらに、本発明の検出器は、ボーリング孔が貫通する地層の記録に用いられる検層装置に用いることができる。すなわち、本発明は、上述の検出器を有する検層装置にも関する。本発明は、上述の技術分野以外でも用いることができる。たとえば、本発明の検出器は、放射性核種スペクトルを研究するための、核コアの寿命を測定するための核物理学において、地質学(放射化分析、鉱物調査、岩石年代決定)、生物学、欠陥検査(defectoscopy)などに用いることができる。
【0019】
本発明の実施形態について、以下図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る高エネルギー電磁放射用検出器の1つのセルの断面図を示す。
【
図2】
図1に示されるセルを複数有する検出器について、
図1のII−II線に沿った断面図を示す。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る検出器セルの一部の断面図を示す。
【
図4】本発明の第3の実施形態に係る検出器セルの一部の断面図を示す。
【
図5】本発明の第4の実施形態に係る検出器セルの一部の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、高エネルギー電磁放射、特に、X線放射および/またはガンマ線放射検出用の複数のセルを有するシンチレーション検出器に関して説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る検出器の1つのセルの断面図を示す。検出器は、シンチレーション材料1を有しており、これは、検出すべき高エネルギー放射(矢印P1で示す)を光(矢印P2で示す)、すなわち、入射した放射とは別の波長の電磁放射に変換する。シンチレーション材料に依存して、材料中で生成した光は、可視スペクトルまたは可視スペクトルに近いスペクトルにあってよい。好ましい実施形態では、NaI(Tl)(タリウムで活性化したヨウ化ナトリウム)が、シンチレータ結晶として用いられる。光透過窓2(好ましくは適切なガラス製)がこのシンチレータ結晶の下に配置されている。
【0023】
シンチレータ結晶中で生成された光は、光透過窓2を通って光電陰極3に達し、結果として、光電効果によって電子Eが光電陰極から放出される。シンチレータ1、光透過窓2および光電陰極3を有する検出器の上部は、請求項1に記載された変換部の実施形態に対応する。別の実施形態では、この変換部は、異なるように構成されてよく、たとえば、陰極およびガスで満たされた空隙によって、光電効果が、陰極を通過する放射とガス容積中のガス電子との間の相互作用に基づくように、構成されてもよい。
【0024】
図1の変換部の下に、ガス電子増幅器4が配置されている。この増幅器は、第1電極5(好ましくは銅製)と、誘電材料6(好ましくはカプトン(登録商標)製)と、第2電極7(好ましくは銅製)とを有している。シリンダ状の孔9が、電極5および7と誘電材料6とを貫通して形成されている。孔はガス、たとえばネオンで満たされている。適切な電圧(たとえば100V)が第1電極と第2電極との間に印加され、大きな電界領域が孔9内に形成される。すなわち、孔9に入る電子Eは加速され、ガス原子/分子に衝突して二次電子を生じ、これが他の原子などにさらに衝突する。結果として、電子なだれが生じる。この電子なだれが、孔9の下に配置された検出器陽極8によって検出される。適切な電気ポテンシャルがこの陽極と陰極3との間に存在する。従来技術と異なり、検出器陽極8は、第2電極7とは離れていない。代わりに、電極7および検出器陽極8は、一体化した電極を形成している。これには、孔9内で生じた全ての電子なだれの電子が検出器陽極8によって検出されるという利点がある。
【0025】
これとは反対に、従来技術の検出器では、
図1の破線Lが電極7の下面を形成し、検出器陽極8は電極7から離れている。結果として、孔の端のいくらかの電子は電極7から出る電気力線によって電極7の下面に衝突するため、すべての電子なだれの電子が検出器陽極8に到達しない。これによって、電子なだれの全エネルギーが陽極によって捕捉されないために、測定誤差が生じる。明らかに、この問題は
図1に示される検出器によって解決される。なぜなら、孔9の底は閉じており、電子なだれの全ての電子が陽極8によって検出されるからである。すなわち、
図1に示される検出器セルによって、入射した放射のエネルギーおよび強度のより精密な測定が可能となる。
【0026】
図1の実施形態では、光電陰極3は上部電極5の上に直接(すなわち接触状態で)配置されている。しかし、小さな間隙が光電陰極3と電極5との間に存在し、ガスが検出器中に、ガス電子増幅器4の全ての孔9の間に延在していてもよい。
【0027】
図2は、
図1に示されるセルを複数有する検出器の
図1の線II−IIに沿った断面図を示す。
図2に示されるように、複数の孔9が検出器の上部電極5を貫通して形成されている。わかりやすくするため、近接した数個の孔のみ参照番号9で示している。
図2は検出器の検出面の一部のみを示している。換言すれば、検出器は、
図2に示されるよりはるかに多くの孔、たとえば、数千個の孔を有している。孔を有する検出器表面のサイズは、好ましくは、数センチメートル(たとえば、10cmx10cm)の範囲である。高い空間解像度を得るため、近接する孔の間の距離Dは数μm、たとえば、10〜100μmの範囲である。孔の直径dは、好ましくは、同じ範囲、すなわち、10〜100μmの範囲である。
図2に示される検出器の空間解像度は、光電子増倍管を用いた従来のシンチレータ検出器で実現可能な空間解像度よりもはるかに高い。光電子増倍管を備えた検出器と比較した本検出器の別の利点は、検出器のサイズがはるかに小さいことである。
図1の検出器セルの垂直方向の大きさは、数μmの範囲であるが、光電子増倍管は通常数センチメートルの長さを有する。
【0028】
図1の実施形態において、陽極8は第2電極7に平行な平坦な電極として形成されている。さらに、孔9はシリンダ形状を有している。しかし、検出器陽極および孔の異なる形状も、
図3〜5の実施形態に示されるものであってもよい。これらの図は、ガス電子増幅器を形成する検出器セルの一部の断面図である。この増幅器のセルの上部は、
図1に示される構造に対応している。
図3〜5において、
図1に対応する部分は同じ参照番号で示されている。
【0029】
図3は孔9が第1電極5から第2電極7に向かって円錐状に先細となっている実施形態を示す。さらに、検出器陽極8は、第2電極7の平面にあり、全体に平坦な電極が陽極8および電極7によって形成されている。
図3の実施形態は、非常にコンパクトなサイズを有している。
【0030】
図4は、ガス電子増幅器の孔9が上部電極5および下部電極7の両方から孔の中央に向かって円錐状に先細となっており、孔が中央で最小の直径と有している、実施形態を示している。さらに、検出器陽極8の位置は下方にずれており、検出器陽極のU字状の形状となっている。この実施形態によれば、陽極8の検出面が拡大し、より良好な検出能力が得られる。さらに、先細にされた孔の形状は、孔内部の電界を強める。
【0031】
図5は、検出器セルの別の実施形態を示す。孔9は
図4におけるような先細の表面を有している。
図4とは異なり、陽極8は、半楕円状の断面を有しており、検出器陽極のより広い表面が得られる。
【0032】
上述の実施形態は複数の利点を有している。特に、本検出器の測定は、ガス電子増幅器により生じる電子なだれの電子の損失を生じないため、一層正確である。さらに、光電子増倍管を用いたシンチレーション検出器と比べて、検出器のサイズははるかに小さく、空間解像度ははるかに高い。