【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5(a)に記載した構成の分散型電源システムは、例えば第1電力消費装置12に対する安定的な電力供給という目的は達成できるものの、発電装置11は、
第3接続箇所P3よりも電力系統1の側に電力を供給できないため、発電装置11の発電電力を充放電装置10に充電させることや、第2電力消費装置13に供給することはできない。そのため、発電装置11の稼働率(発電出力の大きさ、発電時間の長さなど)が低くなるという点に課題がある。その結果、発電装置11の運転によるメリット(省エネルギー性、環境性、経済性)が限定的になる。また、このような非常時での運転が望まれる発電装置の導入メリットが限定的に考えられてしまう。
【0007】
発電装置11の稼働率を高くすることを目的とする場合、
図5(b)に示す比較例のシステム構成を想定できる。
図5(b)の分散型電源システムでは、
図5(a)に記載した分散型電源システムにおいて、例えば相対的に重要度が低く、停電時に電力供給が行われなかった第2電力消費装置13にも発電装置11から常時電力が供給されることになるため、発電装置11の稼働率は高くなる。
しかし、電力系統1が停電状態になると、電力系統1からの電力供給を受けることができず、その結果、
充放電装置10及び発電装置11
の少なくとも何れか一つが第1電力消費装置12及び第2電力消費装置13の消費電力を全て供給しなければならないため、発電装置11及び充放電装置10が過負荷状態になり、例えば発電装置11が正常に発電運転でき
なくなってしまう。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電装置の稼働率を高めつつ発電装置及び充放電装置の過負荷を避けることができる分散型電源システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る分散型電源システムの特徴構成は、電力系統に接続される電力線と、前記電力線に対して第1接続箇所で接続される蓄電部を有する充放電装置と、前記電力線に対して第2接続箇所で接続される発電装置と、前記電力線に対して第3接続箇所で接続される第1電力消費装置とを備える分散型電源システムであって、
前記電力線に対して第4接続箇所で接続される第2電力消費装置を備え、
前記電力線に対する前記電力系統の接続箇所から見て下流側に向かって前記第1接続箇所と
前記第3接続箇所と
前記第2接続箇所とがその並び順で設けられ、前記第4接続箇所は
前記第3接続箇所よりも前記電力系統側に設けられ、
前記発電装置は、前記電力系統が停電状態にあるときは前記電力線における電力の潮流を
前記第3接続箇所よりも前記電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御し、前記電力系統が非停電状態にあるときは前記電力線における電力の潮流を前記第4接続箇所よりも前記電力系統側の所定箇所よりも前記電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御するように構成され、
前記電力系統が停電状態にあるとき、前記充放電装置と前記発電装置と前記第1電力消費装置とは前記電力線を介して互いに電気的に接続され、並びに、前記第2電力消費装置は前記充放電装置と前記発電装置と前記第1電力消費装置とから電気的に切断され、
前記電力系統が非停電状態にあるとき、前記充放電装置と前記発電装置と前記第1電力消費装置と前記第2電力消費装置とは前記電力線を介して互いに電気的に接続される点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、発電装置は、電力系統が停電状態にあるときは電力線における電力の潮流を
第3接続箇所から電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御する。つまり、
第3接続箇所を含んでそこよりも下流側の範囲、即ち、
第3接続箇所を含んでそこよりも電力系統から離れる側の範囲の電力線に接続されている第1電力消費装置へ電力を継続して供給するために発電装置を活用できる。
加えて、発電装置は、電力系統が非停電状態にあるときは電力線における電力の潮流を第4接続箇所よりも電力系統側の所定箇所よりも電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御する。つまり、第4接続箇所を含んでそこよりも下流側の範囲、即ち、第4接続箇所を含んでそこよりも電力系統から離れる側の範囲の電力線に接続されている第1電力消費装置及び第2電力消費装置へ電力を供給するために、発電装置を有効に活用できる。
【0011】
更に、電力系統が非停電状態にあるとき、充放電装置と発電装置と第1電力消費装置と第2電力消費装置とは電力線を介して互いに電気的に接続されるので、第1電力消費装置に対しては電力系統と充放電装置と発電装置との少なくとも何れか一つから電力を供給でき、第2電力消費装置に対しては電力系統と充放電装置と発電装置との少なくとも何れか一つから電力を供給できる。
また、電力系統が停電状態にあるとき、充放電装置と発電装置と第1電力消費装置とは電力線を介して互いに電気的に接続されるので、第1電力消費装置に対しては充放電装置及び発電装置の少なくとも何れか一つから電力を供給できる。つまり、第1電力消費装置の消費電力を充放電装置及び発電装置で分担すればよいので、充放電装置及び発電装置が過負荷になることを回避できる。
【0012】
加えて、電力系統が非停電状態にあるときに発電装置から第2電力消費装置への電力供給を行う必要があったとしても、電力系統が停電状態にあるときは、第2電力消費装置が発電装置から電気的に切断されて、発電装置から第2電力消費装置への電力供給が不要になる。その結果、電力系統が停電状態にあるときは、充放電装置及び発電装置にとっての負荷を小さくすることができ、充放電装置から第1電力消費装置に対して相対的に長い時間電力を供給できる。よって、発電装置の単独運転を防止する機構が設けられていたとしても、電力系統が停電状態になると即座に発電装置の運転が停止されるのではなく、充放電装置が、電力系統から電力線への電力供給を擬似して電力線への電力供給を行い続けている限り、発電装置も運転し続けることができるようになる。
従って、発電装置の稼働率を高めつつ発電装置及び充放電装置の過負荷を避けることができる分散型電源システムを提供できる。
【0013】
本発明に係る分散型電源システムの別の特徴構成は、前記第2電力消費装置が前記電力線に対して接続される前記第4接続箇所は、前記充放電装置が前記電力線に対して接続される前記第1接続箇所よりも前記電力系統側にある点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、電力系統が非停電状態にあるとき、発電装置の発電電力を充放電装置に対しても供給できる。その結果、発電装置の稼働率を高めることができる。
【0015】
本発明に係る分散型電源システムの更に別の特徴構成は、前記電力系統が停電状態にあるか或いは非停電状態にあるかを判定可能な系統情報を検出する系統情報検出装置を備え、
前記発電装置は、前記系統情報検出装置から受け取った前記系統情報に基づいて前記電力系統が停電状態にあるか或いは非停電状態にあるかを判定する点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、発電装置は、電力系統が停電状態であるか或いは非停電状態にあるかに基づいて、電力線における電力の潮流を
第3接続箇所よりも電力系統側の所定箇所から電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御するか、或いは、電力線における電力の潮流を第4接続箇所よりも電力系統側の所定箇所から電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御するかを自発的に切り換えることができる。
【0017】
本発明に係る分散型電源システムの更に別の特徴構成は、前記発電装置は、前記第4接続箇所よりも前記電力系統側の前記所定箇所から前記電力系統側へ向かう電力の潮流を表す第1信号及び
前記第3接続箇所から前記電力系統側へ向かう電力の潮流を表す第2信号を受け取り、前記系統情報検出装置から受け取った前記系統情報に基づいて前記電力系統が停電状態にあると判定したときは前記第2信号を参照して発電電力を制御し、前記電力系統が非停電状態にあると判定したときは前記第1信号を参照して発電電力を制御する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、発電装置は、電力系統が停電状態にあるか或いは非停電状態にあるかに基づいて、
第3接続箇所から電力系統側へ向かう電力の潮流を表す第2信号を参照して電力線における電力の潮流を
第3接続箇所よりも電力系統側の所定箇所から電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御するか、或いは、第4接続箇所よりも電力系統側の所定箇所から電力系統側へ向かう電力の潮流を表す第1信号を参照して電力線における電力の潮流を第4接続箇所よりも電力系統側の所定箇所から電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御するかを自発的に切り換えることができる。
【0019】
本発明に係る分散型電源システムの更に別の特徴構成は、前記電力系統が停電状態にあるか或いは非停電状態にあるかを判定可能な系統情報を検出する系統情報検出装置と、
前記第4接続箇所よりも前記電力系統側の前記所定箇所から前記電力系統側へ向かう電力の潮流を表す第1信号が入力される第1信号線、及び、
前記第3接続箇所から前記電力系統側へ向かう電力の潮流を表す第2信号が入力される第2信号線が接続される切換器と、前記第1信号線を前記発電装置に接続する第1切換状態と前記第2信号線を前記発電装置に接続する第2切換状態との何れかに前記切換器を切り換える切換制御部とを有する切換装置を備え、
前記切換制御部は、前記系統情報検出装置から受け取った前記系統情報に基づいて、前記電力系統が非停電状態にあるときは前記切換器を前記第1切換状態に切り換え、前記電力系統が停電状態にあるときは前記切換器を前記第2切換状態に切り換える点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、切換装置が、電力系統が停電状態にあるか或いは非停電状態にあるかに基づいて、発電装置に対して第1信号が伝達されるか或いは第2信号が伝達されるかを切り換える。つまり、発電装置は、電力系統が停電状態にあるか或いは非停電状態にあるかの判定を行わなくても、自動的に電力系統が停電状態であるときは電力線における電力の潮流を
第3接続箇所よりも電力系統側の所定箇所から電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御し、電力系統が非停電状態であるときは電力線における電力の潮流を第4接続箇所よりも電力系統側の所定箇所から電力系統側に向かわせないという条件下で発電電力を制御するように動作する。