特許第6109478号(P6109478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6109478共役ジエン系ゴムおよびその製造方法、ゴム組成物、ゴム弾性体並びにタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109478
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】共役ジエン系ゴムおよびその製造方法、ゴム組成物、ゴム弾性体並びにタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20170327BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20170327BHJP
   C08F 257/00 20060101ALI20170327BHJP
   C08F 279/02 20060101ALI20170327BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20170327BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20170327BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   C08F2/44 C
   B60C1/00 A
   C08F257/00
   C08F279/02
   C08K3/04
   C08K3/36
   C08L15/00
【請求項の数】7
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2012-16223(P2012-16223)
(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公開番号】特開2013-155268(P2013-155268A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年7月3日
【審判番号】不服2015-8569(P2015-8569/J1)
【審判請求日】2015年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078754
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 正彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慈
【合議体】
【審判長】 加藤 友也
【審判官】 上坊寺 宏枝
【審判官】 大島 祥吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−17533(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0196653(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-2/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以上となるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位および架橋性化合物に由来する構造単位を有する架橋重合体と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を有する非架橋重合体とによって構成された相互侵入網目構造型ポリマー(前記架橋重合体と前記非架橋重合体とによってコアシェル構造が形成されているものを除く。)よりなり、
前記エチレン性不飽和化合物が芳香族ビニル化合物であり、
前記架橋性化合物が芳香族ジビニル化合物であることを特徴とする共役ジエン系ゴム。
【請求項2】
前記芳香族ビニル化合物がスチレンおよび/またはα−メチルスチレンであることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエン系ゴム。
【請求項3】
前記芳香族ジビニル化合物がジビニルベンゼンであることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエン系ゴム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の共役ジエン系ゴムを製造する方法であって、 ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以上となるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位および架橋性化合物に由来する構造単位を有する架橋重合体の存在下に、共役ジエン化合物を含む単量体を重合することを特徴とする共役ジエン系ゴムの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の共役ジエン系ゴムと、シリカおよび/またはカーボンブラックと、架橋剤とを含有してなることを特徴とするゴム組成物。
【請求項6】
請求項5に記載のゴム組成物を架橋処理することによって得られることを特徴とするゴム弾性体。
【請求項7】
請求項6に記載のゴム弾性体よりなるトレッドを有することを特徴とするタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役ジエン系ゴムおよびその製造方法、ゴム組成物、ゴム弾性体並びにタイヤに関し、更に詳しくは、例えばタイヤのトレッド用の原料として好適な共役ジエン系ゴムおよびその製造方法、この共役ジエン系ゴムを含有してなるゴム組成物、このゴム組成物から得られるゴム弾性体、およびこのゴム弾性体よりなるトレッドを有するタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のタイヤのトレッド用のゴム組成物としては、共役ジエン系ゴムよりなるゴム成分および架橋剤と共に、例えばカーボンブラックなどの補強剤が配合されてなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、環境保護の観点から、ガソリンを燃料とする自動車(ガソリン車)に代えて電気自動車が普及し始めている。そして、電気自動車においては、モータによって駆動されるため、走行中にガソリン車のようなエンジン音がなく、このことから、ガソリン車以上にタイヤ騒音が問題となることが予測されており、このタイヤ騒音を低減化するために、例えばタイヤ幅を小さくすることなどが検討されている。また、自動車の燃費性能の観点からは、タイヤの質量の低減化を図るために、タイヤのトレッドを薄肉化することなどが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−209256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、本発明者らは、タイヤの小幅化およびトレッドの薄肉化にあたってはタイヤのトレッドには更なる機械的強度が要求とされると考え、タイヤのトレッドの高強度化を図ることを目的として、自動車タイヤのトレッド用のゴム組成物のゴム成分の構成要素として広く用いられている共役ジエン系ゴムについて研究を重ねた。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、優れた機械的強度を有するゴム弾性体を得ることのできる共役ジエン系ゴムおよびその製造方法並びにゴム組成物を提供することにある。
また、本発明のその他の目的は、優れた機械的強度を有するゴム弾性体およびタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の共役ジエン系ゴムは、ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以上となるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位および架橋性化合物に由来する構造単位を有する架橋重合体と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を有する非架橋重合体とによって構成された相互侵入網目構造型ポリマー(前記架橋重合体と前記非架橋重合体とによってコアシェル構造が形成されているものを除く。)よりなり、
前記エチレン性不飽和化合物が芳香族ビニル化合物であり、
前記架橋性化合物が芳香族ジビニル化合物であることを特徴とする。
【0008】
本発明の共役ジエン系ゴムにおいては、前記芳香族ビニル化合物がスチレンおよび/またはα−メチルスチレンであることがより好ましい。
また、前記芳香族ジビニル化合物がジビニルベンゼンであることがより好ましい。
【0009】
本発明の共役ジエン系ゴムの製造方法は、上記の共役ジエン系ゴムを製造する方法であって、
ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以上となるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位および架橋性化合物に由来する構造単位を有する架橋重合体の存在下に、共役ジエン化合物を含む単量体を重合することを特徴とする。
【0011】
本発明のゴム組成物は、上記の共役ジエン系ゴムと、シリカおよび/またはカーボンブラックと、架橋剤とを含有してなることを特徴とする。
【0012】
本発明のゴム弾性体は、上記のゴム組成物を架橋処理することによって得られることを特徴とする。
【0013】
本発明のタイヤは、上記のゴム弾性体よりなるトレッドを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、共役ジエン系ゴムが特定のエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位および架橋性化合物に由来する構造単位を有する架橋重合体と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を有する非架橋重合体とによって構成された相互侵入網目構造型ポリマーよりなるため、優れた機械的強度を有するゴム弾性体が得られる。
また、本発明の共役ジエン系ゴムに製造方法によれば、上記の共役ジエン系ゴムを有利に製造することができる。
そして、本発明のゴム弾性体は、優れた機械的強度を有するため、自動車、特に電気自動車のタイヤのトレッドを構成する材料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<共役ジエン系ゴム>
本発明の共役ジエン系ゴムは、エチレン性不飽和化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位(A1)」という。)および架橋性化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位(A2)」という。)を有する架橋重合体(以下、「特定の架橋重合体」という。)と、共役ジエン化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位(B1)」という。)を有する非架橋重合体(以下、「特定の非架橋重合体」という。)とによって構成された相互侵入網目構造型ポリマーよりなるものである。
【0016】
≪特定の架橋重合体≫
本発明の共役ジエン系ゴムを構成する特定の架橋重合体において、構造単位(A1)を得るための単量体であるエチレン性不飽和化合物としては、ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以上のもの(以下、このエチレン性不飽和化合物を「特定のエチレン性不飽和化合物」という。)、好ましくは30℃以上となるものが用いられる。
ここで、ホモポリマーのガラス転移温度は、ASTM D3418に準拠して測定されたものである。また、測定に供されるポリマーの分子量は重量平均分子量で5万〜100万、好ましくは10万〜70万、さらに好ましくは15万〜50万である。
【0017】
このような特定のエチレン性不飽和化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、tert−ブトキシジメチルシリルスチレン、イソプロポキシジメチルシリルスチレン、アセナフチレン等の芳香族ビニル化合物、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸、マレイン酸等の化合物などを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができるが、これらの中では、芳香族ビニル化合物が好ましく、特に、スチレン、α−メチルスチレン、アセナフチレンが好ましい。
【0018】
特定の架橋重合体における構造単位(A1)の含有割合は、50〜99.9質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜99質量%である。構造単位(A1)の含有割合が過小である場合には、得られる共役ジエン系ゴムの強度が不足するおそれがある。一方、構造単位(A1)の含有割合が過大である場合には、得られる共役ジエン系ゴムが硬くなりすぎ、十分な伸びが得られないなどの不具合が起こるおそれがある。
【0019】
また、構造単位(A2)を得るための単量体である架橋性化合物としては、分子中に2個以上のエチレン性二重結合を有する化合物を用いることができる。
このような架橋性化合物としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、テトラビニルベンゼン等の芳香族ポリビニル化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリレート化合物などを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができるが、これらの中では、芳香族ジビニル化合物が好ましく、特にジビニルベンゼンが好ましい。
【0020】
特定の架橋重合体における構造単位(A2)の含有割合は、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。構造単位(A2)の含有割合が過小である場合には、得られる共役ジエン系ゴムの強度が不足するおそれがある。一方、構造単位(A2)の含有割合が過大である場合には、得られる共役ジエン系ゴムが硬くなりすぎ、十分な伸びが得られないなどの不具合が起こるおそれがある。
【0021】
本発明の共役ジエン系ゴムに用いられる特定の架橋重合体は、上記の構造単位(A1)および構造単位(A2)以外に、他の構造単位(以下、「構造単位(A3)」という。)を有するものであってもよい。
このような構造単位(A3)を得るための単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
また、特定の架橋重合体における構造単位(A3)の含有割合は、30質量%以下であることが好ましい。
【0022】
≪特定の非架橋重合体≫
本発明の共役ジエン系ゴムを構成する特定の非架橋重合体において、構造単位(B1)を得るための単量体である共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中では、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが好ましい。
【0023】
本発明の共役ジエン系ゴムに用いられる特定の非架橋重合体は、上記の構造単位(B1)以外に、他の構造単位(以下、「構造単位(B2)」という。)を有するものであってもよい。
このような構造単位(B2)を得るための単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、tert−ブトキシジメチルシリルスチレン、イソプロポキシジメチルシリルスチレン、アセナフチレンなどを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
特定の非架橋重合体における構造単位(B1)の含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは質量%以上である。構造単位(B1)の含有割合が過小である場合には、得られる共役ジエン系ゴムのゴム弾性が低下するおそれがある。
【0025】
また、特定の非架橋重合体においては、全構造単位(B1)中の1,2−ビニル結合の含有量が30〜70mol%であることが好ましい。1,2−ビニル結合の含有量が過小である場合には、得られるゴム弾性体におけるウェットグリップ性能と転がり抵抗とのバランスが悪化するおそれがある。一方、1,2−ビニル結合の含有量が過大である場合には、得られるゴム弾性体が耐摩耗性が著しく小さいものとなるおそれがある。
ここで、共役ジエン化合物に由来の構造単位中の1,2−ビニル結合の含有量は、500MHz、 1H−NMRスペクトルから算出することができる。
【0026】
また、特定の非架橋重合体においては、分子末端がアミノ基、ホスフィノ基またはチオール基を有するシラン化合物(以下、「官能基含有シラン化合物」という。)よりなる変性剤によって変性されていてもよい。このような変性された特定の非架橋重合体を用いることにより、後述するシリカの分散性が向上するため、転がり抵抗が小さいゴム弾性体を得ることができる。
【0027】
アミノ基を有する官能基含有シラン化合物の具体例としては、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、N,N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N−〔3−(トリメトキシシリル)−プロピル〕−N,N’−ジエチル−N’−トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕−N,N’−ジエチル−N’−トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルトリエトキシシラン、N−[2−(トリメトキシシリル)−エチル]−N,N’,N’−トリメチルエタン−1,2−ジアミン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、2−(トリメトキシシリル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2−(3−トリメトキシシリル−プロピル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾ−ル、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾ−ル、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾ−ル、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾ−ル、ビス−(3−ジメチルアミノプロピル)−ジメトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレンなどが挙げられる。
また、ホスフィノ基を有する官能基含有シラン化合物の具体例としては、3−ジフェニルフォスフィノプロピルトリメトキシシラン、3−ジフェニルフォスフィノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、チオール基を有する官能基含有シラン化合物としては、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0028】
また、前述のアミノ基を有する官能基含有シラン化合物のうちのトリメチルシリル基を有するものについては、トリメチルシリル基の全てあるいは一部が、得られる変性基において水素置換されていてもよい。
また、官能基含有シラン化合物によって変性されて変性基が導入された特定の非架橋重合体において、当該変性基がオニウム生成剤の作用によってオニウム塩になりうる基(以下、「オニウム形成基」ともいう。)については、オニウム塩構造を形成していてもよい。
オニウム形成基としては、例えばアミノ基に代表される窒素含有官能基、ホスフィノ基に代表されるリン含有基、チオール基に代表される硫黄含有基などが挙げられる。
【0029】
また、オニウム生成剤としては、例えばハロゲン化ケイ素化合物、ハロゲン化スズ化合物、ハロゲン化アルミニウム化合物、ハロゲン化チタン化合物、ハロゲン化ジルコニウム化合物、ハロゲン化ゲルマニウム化合物、ハロゲン化亜鉛化合物、ハロゲン化ガリウム化合物等のハロゲン化金属、硫酸エステル、リン酸エステル、炭酸エステル、硝酸エステル、カルボン酸、スルホン酸、弗酸、塩酸、臭酸、沃酸、硫酸、硝酸、炭酸、燐酸等の無機酸、フッ化カリウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム等の無機酸塩、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸などが用いられる。
【0030】
オニウム生成剤の具体例としては、四塩化ケイ素、四塩化スズ、トリメチルシリルクロライド、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、四塩化チタン、チタノセンジクロライド、四塩化ジルコニウム、ジルコノセンジクロライド、四塩化ゲルマニウム、三塩化ガリウム、塩化亜鉛、硫酸ジエチル、硫酸ジメチル、ラウレス硫酸マグネシウム、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ニトロセルロース、ニトログリセリン、ニトログリコール、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、マロン酸、アクリル酸、クロトン酸、コハク酸、グルタル酸、イタコン酸、酒石酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、β−メルカプトプロピオン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、弗酸、塩酸、臭酸、沃酸、硫酸、硝酸、炭酸、燐酸、フッ化カリウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0031】
≪相互侵入網目構造型ポリマー≫
本発明の共役ジエン系ゴムは、上記の特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体とによって構成された相互侵入網目構造型ポリマー(以下、「特定のIPNポリマー」という。)よりなるものである。
この特定のIPNポリマーにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で特定の架橋重合体:特定の非架橋重合体が1:2〜1:15であることが好ましく、より好ましくは1:3〜1:10である。特定の架橋重合体の割合が過小(特定の非架橋重合体の割合が過大)である場合には、得られる共役ジエン系ゴムの強度が不足するおそれがある。一方、特定の非架橋重合体の割合が過小(特定の架橋重合体の割合が過大)である場合には、得られる共役ジエン系ゴムが硬くなりすぎ、十分な伸びが得られないなどの不具合が起こるおそれがある。
【0032】
このような特定のIPNポリマーは、例えば下記の方法(1)または方法(2)によって得られる。
方法(1):
特定のエチレン性不飽和化合物および架橋性化合物を含有する単量体(以下、「架橋重合体用単量体」ともいう。)を重合することにより、特定の架橋重合体を合成し、その後、この特定の架橋重合体の存在下に、共役ジエン化合物を含む単量体(以下、「非架橋重合体用単量体」ともいう。)を重合することにより、特定の非架橋重合体を合成する方法。
方法(2):
共役ジエン化合物を含む単量体を重合することにより、特定の非架橋重合体を合成し、その後、この特定の非架橋重合体中に、特定のエチレン性不飽和化合物および架橋性化合物を含む単量体を含浸させ、当該単量体を重合することにより、特定の架橋重合体を合成する方法。
【0033】
上記方法(1)および方法(2)において、架橋重合体用単量体の重合反応、および非架橋重合体用単量体の重合反応は、適宜の重合開始剤を用い、適宜の溶媒中において行われる。
かかる溶媒としては、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル−2−エトキシプロピオネート、ジグライム、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンなどを用いることができる。
また、重合開始剤としては、n−ブチルリチウム、アゾビスイソブチロニトリル、、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアニオン重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイルなどのラジカル重合開始剤を用いることができる。
このような重合開始剤の使用量は、単量体100gあたり0.2〜20mmolであることが好ましい。
【0034】
また、非架橋重合体用単量体の重合反応においては、得られる特定の非架橋重合体において、構造単位(B1)の1,2−ビニル結合の含有量を調整するために、反応系にテトラヒドロフランなどのビニル含量調整剤を添加することができる。
このようなビニル含量調整剤の使用量は、共役ジエン化合物100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましい。
【0035】
上記方法(1)においては、架橋重合体用単量体を重合した後、連続して非架橋重合体用単量体を重合することができる。
具体的には、適宜の溶媒中において、重合開始剤を用いて架橋重合体用単量体を重合し、得られる特定の架橋重合体を含有する溶液に、非架橋重合体用単量体および重合開始剤を添加して、当該非架橋重合体用単量体を重合することができる。
このような方法において、架橋重合体用単量体の重合反応を例えばメタノールなどによって停止させた後、非架橋重合体用単量体の重合反応を開始しても、架橋重合体用単量体の重合反応を停止させずに、非架橋重合体用単量体の重合反応を開始してもよい。
上記方法(2)においては、非架橋重合体用単量体を重合した後、連続して架橋重合体用単量体を重合することができる。
具体的には、適宜の溶媒中において、重合開始剤を用いて非架橋重合体用単量体を重合し、得られる特定の非架橋重合体を含有する溶液に、架橋重合体用単量体および重合開始剤を添加して、当該架橋重合体用単量体を重合することができる。
このような方法において、非架橋重合体用単量体の重合反応を例えばメタノールなどによって停止させた後、架橋重合体用単量体の重合反応を開始しても、非架橋重合体用単量体の重合反応を停止させずに、架橋重合体用単量体の重合反応を開始してもよい。
【0036】
本発明の共役ジエン系ゴムのムーニー粘度は、40〜100ML(ML 1+4,100℃)であることが好ましい。
ムーニー粘度が過大である場合には、共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物の加工性が著しく悪化するおそれがある。一方、ムーニー粘度が過小である場合には、コールドフロー特性が著しく悪化するおそれがある。
ここで、ムーニー粘度は、JIS K6300に準拠し、Lローターを用い、予熱1分環、ローター作動時間4分間、温度100℃の条件で測定される。
【0037】
本発明の共役ジエン系ゴムのコールドフロー値は、0.01〜0.5mg/分であることが好ましい。
コールドフロー値が過大である場合には、形状安定性が小さくなり、それにより良好な取扱性が得られなくなるおそれがある。一方、コールドフロー値が過小である場合には、共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物の加工性が著しく悪化するおそれがある。
ここで、「共役ジエン系ゴムのコールドフロー値」とは、共役ジエン系ゴムを温度50℃に保持し、圧力24.1kPaの条件により、6.35mmのオリフィスから押し出し、押し出された時点から10分後(押し出し速度が一定になった後)に、90分間にわたって共役ジエン系ゴムの30分毎の押し出し量(mg)を測定し、その平均値によって算出される値である。
【0038】
このような共役ジエン系ゴムによれば、特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体とによって構成された相互侵入網目構造型ポリマーよりなるため、特定の非架橋重合体が架橋されることによって優れた機械的強度を有するゴム弾性体が得られる。
【0039】
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上記の共役ジエン系ゴム(以下、「特定の共役ジエン系ゴム」という。)と、シリカおよび/またはカーボンブラックと、架橋剤とを必須成分として含有してなるものである。
【0040】
本発明のゴム組成物においては、特定の共役ジエン系ゴム以外のゴム成分(以下、「他のゴム成分」ともいう。)が含有されていてもよい。
他のゴム成分の具体例としては、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、合成イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴムおよびハロゲン化ブチルゴム、並びにこれらの混合物などの、タイヤ用ゴム組成物として使用可能な公知のゴムが挙げられる。
これらのうちでは、得られるゴム弾性体において、耐摩耗性を維持しつつ、ウェットグリップ性能と転がり抵抗とのバランスを高次に達成できるという理由から、天然ゴムおよびブタジエンゴムが好ましい。
【0041】
本発明のゴム組成物において、全ゴム成分における特定の共役ジエン系ゴムの含有割合は、30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50〜80質量%である。特定の共役ジエン系ゴムの含有割合が過小である場合には、優れた機械的強度を有するゴム弾性体を得ることが困難となることがある。
【0042】
本発明のゴム組成物に含有されるシリカは、一般的に充填剤として用いられる粒子状のものであればよいが、一次粒子径が50nm以下のものであることが好ましい。
このようなシリカの具体例としては、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることもできるが、得られるゴム弾性体における耐破壊特性の改良効果、ウェットグリップ性、および低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカを用いることが好ましい。
【0043】
本発明のゴム組成物に含有されるカーボンブラックとしては、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどの各グレードのカーボンブラックを、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、優れた耐摩耗性を有するゴム弾性体が得られることから、HAF、ISAF、SAFが好ましい。
【0044】
本発明のゴム組成物において、シリカおよびカーボンブラックの含有割合は、全ゴム成分100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましく、補強性とそれによる諸物性の改良効果の観点から、25〜100質量部であることが更に好ましい。
シリカおよびカーボンブラックの含有割合が過小である場合には、強度・耐磨耗性が弱くなるおそれがある。一方、シリカおよびカーボンブラックの含有割合が過大である場合には、伸びの低下や加工性の著しい悪化を招くおそれがある。
【0045】
本発明のゴム組成物において、架橋剤としては、通常、硫黄が用いられる。
架橋剤の含有割合は、全ゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜3質量部である。
【0046】
本発明のゴム組成物においては、特定の共役ジエン系ゴム、その他のゴム成分、シリカおよび/またはカーボンブラック、並びに架橋剤の各成分の他に、必要に応じて、シランカップリング剤、オイルなどの軟化剤、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸(加硫助剤および加工助剤)、酸化亜鉛、加硫促進剤などが含有されていてもよい。
【0047】
シランカップリング剤の具体例としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物においては、補強性の改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドを用いることが好ましい。
【0048】
このようなシランカップリング剤の含有割合は、シランカップリング剤の種類などによっても異なるが、シリカ100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、更に好ましくは3〜15質量部である。
シランカップリング剤の含有割合が過小である場合には、カップリング剤としての効果が十分に発揮されなくなるおそれがある。一方、シランカップリング剤の含有割合が過大である場合には、ゴム成分がゲル化しやすくなるおそれがある。
【0049】
また、加硫助剤および加工助剤として用いられるステアリン酸の含有割合は、全ゴム成分100質量部に対して、通常、0.5〜5質量部である。
また、加硫促進剤としては、特に限定されないが、好ましくはM(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジサルファイド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系加硫促進剤が好適に用いられる。加硫促進剤の含有割合は、共役ジエン系ゴム100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部であり、好ましくは0.4〜4質量部である。
【0050】
本発明のゴム組成物のムーニー粘度は、40〜100ML(ML 1+4,100℃)であることが好ましい。
ムーニー粘度が過大である場合には、ゴム組成物の加工性が低下するおそれがある。一方、ムーニー粘度が過小である場合には、混練によってシリカおよび/またはカーボンブラックなどのフィラーを十分に分散させることができなくなるおそれがある。
【0051】
以上のような本発明のゴム組成物は、上記の各成分を、例えばプラストミル、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練機を用いて混練することによって調製することができる。
【0052】
このような本発明のゴム組成物によれば、ゴム成分として特定の共役ジエン系ゴムが含有されているため、優れた機械的強度を有するゴム弾性体を得ることができる。
【0053】
<ゴム弾性体およびタイヤ>
本発明のゴム弾性体は、上記のゴム組成物を架橋処理することによって得られるものであり、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を架橋処理することによって得られるゴム弾性体よりなるトレッドを有するものである。
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。
すなわち、例えば本発明のゴム組成物(未架橋ゴム組成物)を、形成すべきタイヤの形状(具体的には、トレッドの形状)に応じて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形することにより、タイヤ用未架橋成形体を製造する。このタイヤ用未架橋成形体を例えば加硫機中で加熱加圧することによって、トレッドを製造し、このトレッドと他の部品を組み立てることにより、目的とするタイヤを製造することができる。
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物から得られるトレッドを有するため、優れた機械的強度を有するものである。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、各種物性値の測定法は以下の通りである。
【0055】
(1)特定の架橋重合体における芳香族ビニル化合物(スチレン)に由来の構造単位の含有割合(以下、「結合スチレン含量」ともいう。):
500MHz、 1H−NMRスペクトルから算出した。
【0056】
(2)特定の非架橋重合体における共役ジエン化合物に由来の構造単位中の1,2−ビニル結合の含有量(以下、「ビニル結合含量」ともいう。):
500MHz、 1H−NMRスペクトルから算出した。
【0057】
(3)ムーニー粘度:
JIS K6300に準拠し、Lローターを用い、予熱1分間、ローター作動時間4分間、温度100℃の条件で測定した。
【0058】
(4)コールドフロー値:
共役ジエン系ゴムを温度50℃に保持した状態で、圧力24.1kPaの条件で、6.35mmのオリフィスから押し出し、押し出された時点から10分後(押し出し速度が一定になった後)に、90分間、共役ジエン系ゴムの30分毎の押し出し量(mg)を測定し、その平均値をコールドフロー値(mg/分)とした。この数値が大きいほど、ゴムの形状安定性が悪く、取扱いが困難となる。
【0059】
〈実施例1〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2500g、トルエン250g、スチレン123g、ジビニルベンゼン2g、およびテトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム(1.80mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で、反応系にメタノール1.80mmolを添加することによって重合反応を停止した。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物としてブタジエン375g、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4.00mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、メタノール4.00mmolを添加することによって、重合反応を停止した。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムA」とする。この共役ジエン系ゴムAにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムAを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムAの特性を下記表1に示す。
【0060】
(2)ゴム組成物の調製:
温度制御装置を付属したプラストミル(内容量250cc)を用い、以下のようにしてゴム組成物を調製した。
共役ジエン系ゴムA70質量部と、天然ゴム30質量部と、伸展油「SNH46」(三共油化工業社製)37.5質量部と、カーボンブラック「ダイヤブラックN339」(三菱化学社製)5.6質量部と、シリカ「ニシプルAQ」(東ソー・シリカ社製,一次平均粒子径15nm)70質量部と、シランカップリング剤「Si69」(エボニック社製)5.6質量部、ステアリン酸2.0質量部、老化防止剤「ノクラック810NA」(大内新興化学工業社製)1.0質量部、および酸化亜鉛3.0質量部を、回転数60rpm、温度120℃、充填率72%の混練条件によって3.5分間混練した。
次いで、得られた混練物を室温まで冷却した後、当該混練物に、加硫促進剤「ノクセラ−CZ」(大内新興化学工業社製)1.8質量、加硫促進剤「ノクセラ−D」(大内新興化学工業社製)1.5質量部、イオウ1.5質量部を添加し、回転数60rpm、80℃の混練条件によって1分間混練することにより、ゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0061】
〈実施例2〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン93g、α−メチルスチレン30g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.80mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は30℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で、反応系にメタノール1.80mmolを添加することによって重合反応を停止した。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375g、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4.00mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は75℃に達した。その後、メタノール4.00mmolを添加することによって、重合反応を停止した。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムB」とする。この共役ジエン系ゴムBにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムBを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムBの特性を下記表1に示す。
【0062】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムBを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0063】
〈実施例3〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン108g、アセナフチレン15g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.80mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で、反応系にメタノール1.80mmolを添加することによって重合反応を停止した。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375g、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4.00mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、メタノール4.00mmolを添加することによって、重合反応を停止した。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムC」とする。この共役ジエン系ゴムCにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムCを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムCの特性を下記表1に示す。
【0064】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムCを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0065】
〈実施例4〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン123g、ジビニルベンゼン2gを仕込んだ。反応系の温度を70℃に調整した後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.50gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375gおよびアゾビスイソブチロニトリル1.50gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムD」とする。この共役ジエン系ゴムDにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムDを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムDの特性を下記表1に示す。
【0066】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムDを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0067】
〈実施例5〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン83g、α−メチルスチレン40g、ジビニルベンゼン2gを仕込んだ。反応系の温度を70℃に調整した後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.50gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375gおよびアゾビスイソブチロニトリル1.50gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムE」とする。この共役ジエン系ゴムEにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムEを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムEの特性を下記表1に示す。
【0068】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムEを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0069】
〈実施例6〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン103g、アセナフチレン20g、ジビニルベンゼン2gを仕込んだ。反応系の温度を70℃に調整した後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.50gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。 その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375gおよびアゾビスイソブチロニトリル1.50gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムF」とする。この共役ジエン系ゴムFにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムFを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムFの特性を下記表1に示す。
【0070】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムFを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0071】
〈実施例7〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン121g、ジビニルベンゼン4g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.80mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で、反応系にメタノール1.80mmolを添加することによって重合反応を停止した。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375g、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4.00mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、メタノール4.00mmolを添加することによって、重合反応を停止した。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムG」とする。この共役ジエン系ゴムGにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムGを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムGの特性を下記表1に示す。
【0072】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムGを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0073】
〈実施例8〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン99g、ジビニルベンゼン1g、テトラヒドロフラン10gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.00mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は30℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で、反応系にメタノール1.00mmolを添加することによって重合反応を停止した。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン400g、テトラヒドロフラン40g、およびn−ブチルリチウム4.80mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、メタノール4.80mmolを添加することによって、重合反応を停止した。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムH」とする。この共役ジエン系ゴムHにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で20:80である。
共役ジエン系ゴムHを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムHの特性を下記表1に示す。
【0074】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムHを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0075】
〈実施例9〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン79g、アセナフチレン20g、ジビニルベンゼン1gを仕込んだ。反応系の温度を70℃に調整した後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.80gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン400gおよびアゾビスイソブチロニトリル1.70gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムI」とする。この共役ジエン系ゴムIにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で20:80である。
共役ジエン系ゴムIを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムDの特性を下記表1に示す。
【0076】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムIを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0077】
〈実施例10〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン123g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.80mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。
その後、反応系に、重合反応を停止させずに、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375g、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4.00mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、メタノール4.00mmolを添加することによって、重合反応を停止した。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムJ」とする。この共役ジエン系ゴムJにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムJを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムJの特性を下記表1に示す。
【0078】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムJを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0079】
〈実施例11〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン123g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.80mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で、反応系にメタノール1.00mmolを添加することによって重合反応を停止した。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375g、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4.00mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、反応系に、変性剤としてN, N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(以下、「変性剤(1)」という。)4.96mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加して15分間反応を行い、更に、四塩化ケイ素3.93mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて5分間混合を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムK」とする。この共役ジエン系ゴムKにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムKを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムKの特性を下記表1に示す。
【0080】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムKを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0081】
〈実施例12〉
変性剤(1)の代わりにN,N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、「変性剤(2)」という。)を用い、四塩化ケイ素の添加量を3.93mmolから5.17mmolに変更したこと以外は、実施例11と同様にして共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムL」とする。
共役ジエン系ゴムLを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムLの特性を下記表1に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムLを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0082】
〈実施例13〉
変性剤(1)の代わりに1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン(以下、「変性剤(3)」という。)を用い、四塩化ケイ素の添加量を3.93mmolから5.17mmolに変更したこと以外は、実施例11と同様にして共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムM」とする。
共役ジエン系ゴムMを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムMの特性を下記表1に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムMを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0083】
〈実施例14〉
変性剤(1)の代わりにN−〔3−(トリメトキシシリル)−プロピル〕−N,N’−ジエチル−N’−トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン(以下、「変性剤(4)」という。)を用い、四塩化ケイ素の添加量を3.93mmolから5.17mmolに変更したこと以外は、実施例11と同様にして共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムN」とする。
共役ジエン系ゴムNを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムNの特性を下記表1に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムNを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0084】
〈実施例15〉
変性剤(1)の代わりに3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルトリエトキシシラン(以下、「変性剤(5)」という。)を用い、四塩化ケイ素の添加量を3.93mmolから5.17mmolに変更したこと以外は、実施例11と同様にして共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムO」とする。
共役ジエン系ゴムOを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムOの特性を下記表1に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムOを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0085】
〈実施例16〉
変性剤(1)の代わりにビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン(以下、「変性剤(6)」という。)を用い、四塩化ケイ素の添加量を3.93mmolから5.17mmolに変更したこと以外は、実施例11と同様にして共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムP」とする。
共役ジエン系ゴムPを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムPの特性を下記表1に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムPを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0086】
〈実施例17〉
変性剤(1)の代わりに3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン(以下、「変性剤(7)」という。)を用い、四塩化ケイ素の添加量を3.93mmolから5.17mmolに変更したこと以外は、実施例11と同様にして共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムQ」とする。
共役ジエン系ゴムQを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムQの特性を下記表1に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムQを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0087】
〈実施例18〉
変性剤(1)の代わりにS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリエトキシシラン(以下、「変性剤(8)」という。)を用い、四塩化ケイ素の添加量を3.93mmolから5.17mmolに変更したこと以外は、実施例11と同様にして共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムR」とする。
共役ジエン系ゴムRを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムRの特性を下記表1に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムRを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表1に示す。
【0088】
〈実施例19〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン123g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.8mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。
その後、反応系に、重合反応を停止させずに、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン338g、スチレン37g 、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、反応系に、変性剤(1)4.96mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加して15分間反応を行い、更に、四塩化ケイ素3.93mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて5分間混合を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムS」とする。この共役ジエン系ゴムSにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムSを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムSの特性を下記表2に示す。
【0089】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムSを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0090】
〈実施例20〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン123g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.8mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。
その後、反応系に、重合反応を停止させずに、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン300g、スチレン75g 、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、反応系に、変性剤(1)4.96mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加して15分間反応を行い、更に、四塩化ケイ素3.93mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて5分間混合を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムT」とする。この共役ジエン系ゴムTにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムTを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムTの特性を下記表2に示す。
【0091】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムTを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0092】
〈実施例21〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン103g、ブタジエン20g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.8mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。
その後、反応系に、重合反応を停止させずに、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375g、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、反応系に、変性剤(1)4.96mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加して15分間反応を行い、更に、四塩化ケイ素3.93mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて5分間混合を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムU」とする。この共役ジエン系ゴムUにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムUを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムUの特性を下記表2に示す。
【0093】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムUを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0094】
〈実施例22〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン103g、ブタジエン20g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.8mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。
その後、反応系に、重合反応を停止させずに、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン300g、スチレン75g 、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、反応系に、変性剤(1)4.96mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加して15分間反応を行い、更に、四塩化ケイ素3.93mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて5分間混合を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムV」とする。この共役ジエン系ゴムVにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムVを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムVの特性を下記表2に示す。
【0095】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムVを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0096】
〈実施例23〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン83g、ブタジエン40g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.8mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。
その後、反応系に、重合反応を停止させずに、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン325g、スチレン100g 、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、反応系に、変性剤(1)4.96mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加して15分間反応を行い、更に、四塩化ケイ素3.93mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて5分間混合を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムW」とする。この共役ジエン系ゴムWにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムWを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムWの特性を下記表2に示す。
【0097】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムWを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0098】
〈実施例24〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、p-tertブチルスチレン100g、ブタジエン20g、ジビニルベンゼン5g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.8mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。
その後、反応系に、重合反応を停止させずに、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン300g、スチレン75g 、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、反応系に、変性剤(1)4.96mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加して15分間反応を行い、更に、四塩化ケイ素3.93mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて5分間混合を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムX」とする。この共役ジエン系ゴムXにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムXを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムXの特性を下記表2に示す。
【0099】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムXを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0100】
〈実施例25〉
(1)共役ジエン系ゴムの合成:
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、p-tertブチルスチレン80g、ブタジエン40g、ジビニルベンゼン5g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.8mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。
その後、反応系に、重合反応を停止させずに、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン300g、スチレン75g 、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、反応系に、変性剤(1)4.96mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加して15分間反応を行い、更に、四塩化ケイ素3.93mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて5分間混合を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムY」とする。この共役ジエン系ゴムYにおける特定の架橋重合体と特定の非架橋重合体との割合は、質量比で25:75である。
共役ジエン系ゴムYを得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムYの特性を下記表2に示す。
【0101】
(2)ゴム組成物の調製:
共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムYを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0102】
〈比較例1〉
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン125g、およびテトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.80mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で、反応系にメタノール1.00mmolを添加することによって重合反応を停止した。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375g、テトラヒドロフラン37.5g、およびn−ブチルリチウム4.00mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を行った。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は80℃に達した。その後、メタノール4.00mmolを添加することによって、重合反応を停止した。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムZ1」とする。
共役ジエン系ゴムZ1を得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムZ1の特性を下記表2に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムZ1を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0103】
〈比較例2〉
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン125gを仕込んだ。反応系の温度を70℃に調整した後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.00gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。
その後、反応系に、共役ジエン系化合物として1,3−ブタジエン375gおよびアゾビスイソブチロニトリル1.50gを含むシクロヘキサン溶液を添加し、80℃で4時間の条件で重合反応を行った。
そして、得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムZ2」とする。
共役ジエン系ゴムZ2を得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムZ2の特性を下記表2に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムZ2を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0104】
〈比較例3〉
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2, 500g、トルエン250g、スチレン123g、ジビニルベンゼン2g、テトラヒドロフラン12.5gを仕込んだ。反応系の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム1.80mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することにより、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は35℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で、反応系にメタノール1.80mmolを添加することによって重合反応を停止した。得られたポリマー溶液に、2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、更に、メタノールによる再沈殿処理を行い、得られた沈殿物を真空乾燥機によって乾燥処理することにより、架橋重合体を得た。
また、窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2500g、トルエン250g、1,3−ブタジエン375g、テトラヒドロフラン37.5g、n−ブチルリチウム4.00mmolを仕込み、重合反応を開始した。重合反応は断熱条件で行い、反応系の最高温度は65℃に達した。その後、メタノール4.00mmolを添加して重合反応を停止した。得られたポリマー溶液に2, 6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加し、その後、水酸化ナトリウムによってpH=9に調整した熱水を用いたスチームストリッピングにより、ポリマー溶液の脱溶媒処理を行い、更に、110℃に調温された熱ロールにより乾燥することにより、ポリ1,3−ブタジエンを得た。
そして、上記の架橋重合体と上記のポリ1,3−ブタジエンとを混練りすることにより、共役ジエン系ゴムを得た。この共役ジエン系ゴムを「共役ジエン系ゴムZ3」とする。 共役ジエン系ゴムZ3を得るための単量体の使用量、得られた共役ジエン系ゴムZ3の特性を下記表2に示す。
また、共役ジエン系ゴムAの代わりに共役ジエン系ゴムZ3を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0105】

【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
〔ゴム組成物の評価〕
実施例1〜25および比較例1〜3で得られたゴム組成物の各々を成型した後、加硫プレス機を用いて160℃の条件で加硫処理することにより、ゴム弾性体を製造し、得られたゴム弾性体について下記の評価を行った。結果を下記表3および下記表4に示す。
【0108】
(1)引張強度(300%モジュラス):
JISK6301に準拠して300%モジュラスを測定し、比較例3に係るゴム弾性体の300%モジュラスの値を100としたときの指数を求めた。この指数が大きいほど、引張強度が大きく、機械的強度に優れていると評価することができる。
(2)耐摩耗性:
ランボーン型摩耗試験機を使用し、スリップ率25%での摩耗量を室温で測定し、比較例3に係るゴム弾性体の摩耗量の値を100としたときの指数を求めた。この指数が大きいほど、耐摩耗性に優れていると評価することができる。
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
表3および表4の結果から明らかなように、実施例1〜25に係る共役ジエン系ゴムによれば、優れた機械的強度を有するゴム弾性体が得られることが確認された。