(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような蓄冷剤凍結庫では、蓄冷剤を凍結させるために−20℃〜−40℃程度といった極低温に冷却されるため、消費電力が大きいものになっている。その一方、蓄冷剤を凍結させない間まで冷却を行うことは、近年の省エネルギー化の要請により、好ましくない。そこで、蓄冷剤が蓄冷剤凍結庫内に収納されていないときには、人為的にコンセントを抜いて電源を落としたり、蓄冷剤凍結庫にタイマーリレーを設置したりしていた。しかしながら、蓄冷剤が庫内からなくなる毎に、コンセントを抜くのは非常に手間であるし、タイマーリレーを用いる方法も、タイマーリレーが高価であり、また工事の手間もかかるためなかなか設置されることが少なかった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、冷却運転が不要な時間に、簡便且つ確実で、安価に運転を停止させることができる冷却庫を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の冷却庫は、冷却対象物を収納可能な収納室と、前記収納室内を冷却するための冷却装置と、前記冷却対象物が前記収納室内に収納されない場合における運転不要時間を設定するための設定手段と、時間をカウントするタイマと、前記タイマによりカウントされた時間情報に基づいて、前記運転不要時間であることを識別すると、当該冷却庫への電力供給を維持しつつ前記冷却装置を停止させる冷却装置制御部と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、例えば蓄冷剤などの冷却対象物を一時的に凍結する冷却庫において、収納室内に冷却対象物が入っていない場合であって冷却運転が不要な時間(具体的な時分でも良いし、特定の範囲の時間帯でも良い)を予め設定しておき、その時間になると冷却装置制御部が冷却庫への電力供給を維持しつつ冷却装置を停止するものとしているため、言わば自動的に冷却運転が停止され、簡便且つ確実に消費電力を抑えることが可能となる。また、タイマーリレーのような特別な装置も必要としないため、非常に安価なものとなり得る。なお、冷却装置とは、圧縮機、凝縮器、凝縮器用ファン(空冷式の場合)、冷却器(蒸発器)、庫内ファンなど冷却庫の冷気の生成及び循環供給に用いるための装置を例示することができる。
【0006】
また、上記課題を解決するための手段として、以下のような構成としてもよい。
(1)前記冷却装置制御部は、前記タイマによりカウントされた時間情報に基づいて、前記運転不要時間が終了したことを識別すると、前記冷却装置を稼働させる構成。
このように構成すると、予め設定した時間に従って自動的に冷却運転を再開することができる。
(2)前記冷却庫は、当該冷却庫の運転を司る制御部を備えており、該制御部は前記運転不要時間であることを識別すると当該冷却庫の運転を停止させ、前記運転不要時間が終了すると前記冷却庫の運転を再開する構成。
このように構成すると、冷却装置だけでなく、冷却庫に付随する冷却装置以外の部品の運転も停止させることができ、消費電力の抑制にさらに効果的である。
【0007】
(3)前記冷却装置が、冷媒により前記収納室を冷却させる冷却器を備えてなる冷却庫であって、前記冷却器に付着した霜を取るための霜取装置と、前記運転不要時間が終了したことを識別すると、前記霜取装置を作動させる霜取制御部と、を備え、前記冷却装置制御部は、前記霜取制御部が霜取運転を終了したのちに、前記冷却装置を稼働させる構成。
冷却運転の再開に入る前に霜取運転を自動的に行うことで、冷却器の冷却機能を維持することができる。また、冷却運転の再開に入る前に霜取運転を行うことで、冷却器及び収納室内の温度が冷却運転中よりも上昇していることから、霜取にかかる時間を短縮することができ、霜取装置の稼働時間も短くすることができるため、さらに消費電力を抑制することができる。
【0008】
(4)前記冷却装置制御部は、前記運転不要時間が終了したことを識別すると、前記収納室内の湿度を下げるための除湿運転を行い、前記霜取制御部は、前記除湿運転が終了したのちに、前記霜取装置を作動させ、前記冷却装置制御部は、前記霜取制御部が霜取運転を終了したのちに、前記冷却装置を稼働させる構成。
冷却運転を停止している間は、収納室内の湿度が上昇しやすい。また、例えば蓄冷剤等の冷却対象物は収納室に収納されていない場合は暖められて露がついていることが多い。そのため、その冷却対象物を冷却のために収納室内に戻すと、収納室内の湿度が上がり、そのまま冷却運転を行うと、冷却器に霜がついてしまい冷却能力が落ちることになる。そこで、冷却対象物を収納室内に戻した後、除湿運転として冷却運転を行い、その後霜取運転を行うことで、本格的な冷却運転を行う前に、運転不要時間中に庫内にたまった湿度及び冷却対象物に付着した露によって冷却器についた霜を取ることができ、本格的な冷却運転の際に冷却性能を十分に発揮することができる。また、通常の冷却運転を行った場合よりも除湿運転後の方が庫内温度が高いため、霜取にかかる時間を通常の冷却運転後等にする場合よりも短縮することもできる。
【0009】
(5)前記収納室の前面に設けられた前面開口部と、前記前面開口部を開閉する断熱扉と、前記断熱扉と当接し、前記収納室の外縁部に設けられた露付き防止ヒータと、前記露付き防止ヒータの作動を制御するヒータ制御部と、を備えており、前記ヒータ制御部は、前記冷却装置制御部が前記冷却装置を停止させている間も、前記露付き防止ヒータを作動させる構成。
冷却運転を停止させても、冷却運転後の収納室内は冷却時の室内温度に近い温度(例えば−20℃以下)のため、室外との温度差が極めて大きい。そのため断熱扉の当接する収納室の外縁部で結露が発生し、当該部分で凍結が発生する可能性がある。そこで、冷却装置の運転を停止させている間であっても、露付き防止ヒータを稼働させることで、断熱扉の外縁部の凍結を防ぐことができる。
(6)前記収納室内に蓄冷剤を収納し、前記冷却器と熱交換した冷気を庫内ファンにより循環させることにより、前記蓄冷剤を凍結させる構成。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冷却運転が不要な時間に、簡便且つ確実で、安価に運転を停止させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を
図1ないし
図5に基づいて説明する。この実施形態では、本発明の冷却庫を蓄冷剤凍結庫に適用した場合について例示している。
図1ないし
図3において、符号10は、前面開口の縦長の断熱箱体からなる凍結庫本体であって、底面の四隅に設けられた脚11で支持されているとともに、前面開口部12には断熱扉13が揺動開閉可能に支持されている。また前面開口部12の周縁(断熱扉13のと当接する位置)には、露付き防止ヒータ19(
図4参照)が埋設されている。
凍結庫本体10の上面には機械室14が設けられ、同機械室14内には、圧縮機34、凝縮器35、凝縮器ファン36、電装箱38等が格納されている。機械室14の前面には、操作パネル80が設けられている。操作パネル80には、各種設定ボタン81と、情報等を表示する表示部82とが設けられている。
凍結庫本体10内には、
図2に示すように、正面から見た右側面に寄った位置に、ステンレス鋼板等の金属板からなるダクトパネル15が縦向きに張られており、ダクトパネル15を挟んだ左側の約3/4の領域が収納室16とされ、右側の残りの領域が冷却器室17とされている。冷却器室17の手前側の開口は、前面板18で閉鎖されている。
【0013】
収納室16には、奥面の左右両端部と、左右の側面(右側面はダクトパネル15)の手前側の端部との都合4箇所に棚柱21が取り付けられ、4枚の棚網23が、それぞれの四隅を各棚柱21に装着された棚受金22で受けられることにより、上下方向に一定間隔を開けて配されており、各棚網23の上方に、蓄冷剤25を収納する収納スペース24が4段に亘って形成されている。各収納スペース24はほぼ同じ高さを有し、収納室16内の高さ領域をほぼ4等分するようにして設けられている。
【0014】
冷却対象物である蓄冷剤25は、コンテナ26に収容された形態で収納スペース24に収納される。蓄冷剤25は、ポリエチレン等の合成樹脂製のハードケース内にゲル化剤が充填された公知のものであって、全体としては平面長方形の厚板形状をなしている。
コンテナ26内には、複数の蓄冷剤25が、左右2列に亘って若干の隙間を開けつつ並んで収容されるようになっている。このように蓄冷剤25を収容したコンテナ26が、棚網23に載せられて、上記のように奥行方向に2個並んで収納スペース24に収納されるようになっている。
【0015】
一方、冷却器室17内には、
図2に示すように、その下部領域において冷却器31が配設されている。冷却器31の正面と対応する位置で、ダクトパネル15には吸込口32が形成されている。ダクトパネル15における吸込口32よりも上方の領域には、庫内ファン33が装着されている。
また、冷却器31は、凍結庫本体10の上面に設けられた機械室14内に格納された圧縮機34及び凝縮器35と冷媒配管37により循環接続され、周知の冷凍サイクルが構成されている。
基本的な冷却運転は、圧縮機34、凝縮器35、凝縮器ファン36、冷却器31、庫内ファン33等の冷却装置30が駆動されることで行われ、吸込口32を通して吸引された庫内空気が冷却器31を上方に向けて通過する間に熱交換により冷気が生成され、この冷気が庫内ファン33から収納室16に吹き出されるといった循環流が生じ、棚網23上に収納された蓄冷剤25が冷却(凍結)されるようになっている。本実施形態では、蓄冷剤25を凍結するために、収納室16内が−20℃から−40℃程度まで冷却される。
【0016】
このように庫内温度を−40℃程度といった極低温域まで下げるためには、冷却器31は相応の低温状態に維持される必要があり、着霜が生じやすいと言える。そのため適宜に霜取運転が行われ、冷却器31の下面と正面とに、シーズヒータからなる除霜ヒータ39が装着されている。除霜ヒータ39は霜取装置として機能する。
【0017】
さて、圧縮機34等を制御するものとして、マイクロコンピュータ、タイマ等を備えて、所定のプログラムを実行する制御部50が設けられている(
図4参照)。この制御部50は電装箱38に収容され、操作パネル80に接続されている。制御部50の入力側には、設定手段である設定ボタン81が接続されている。制御部50の出力側には、圧縮機34、凝縮器ファン36、庫内ファン33等の冷却装置30と、除霜ヒータ39と、露付き防止ヒータ19と、表示部82とが接続されている。
【0018】
制御部50は、タイマ51と、冷却装置制御部52と、霜取制御部53と、ヒータ制御部54と、記憶部55とから構成される。設定ボタン81によって運転停止時刻T1及び作動開始時刻T2を入力することができ、記憶部55は入力された各時刻等を記憶する。タイマ51は、現在時刻をカウントしており、記憶部55に記憶された各時刻になると、各制御部と連動して、機器の停止及び作動を行う。
【0019】
冷却装置制御部52は、冷却装置30の運転を制御する。通常の冷却運転中は、冷却装置制御部52によって、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33が制御され、設定温度近傍に庫内温度が維持される。また、タイマ51の示す時刻が記憶部55に記憶された運転停止時刻T1になり、運転不要時間になると、冷却装置制御部52は、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33の運転を停止させる。また、冷却開始時刻T3になると、冷却装置制御部52は、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33の運転を再開させ、圧縮機34等は設定温度まで冷却を行う。
【0020】
霜取制御部53は、除霜ヒータ39のオンオフを制御しており、タイマ51の示す時刻が記憶部55に記憶された作動開始時刻T2になった等の霜取開始条件が満たされると、除霜ヒータ39をオンにする。霜取制御部53は、冷却器31の除霜が終了した等の霜取終了条件が満たされると、除霜ヒータ39をオフにする。
ヒータ制御部54は、露付き防止ヒータ19のオンオフを制御しており、制御部50は、表示部82等のオンオフ等を制御する。ヒータ制御部54及び制御部50は、タイマ51の示す時刻が記憶部55に記憶された運転停止時刻T1になると、露付き防止ヒータ19や表示部82等をオフにして、タイマ51の示す時刻が記憶部55に記憶された作動開始時刻T2になると、露付き防止ヒータ19や表示部82等をオンにする。
【0021】
続いて、本実施形態の作動の一例を
図5のタイミングチャートを参照しつつ説明する。
この例では、毎日蓄冷剤25が庫外に持ち出され運転を停止させる時刻を予め設定ボタン81で運転停止時刻T1として設定し、蓄冷剤25の冷却を開始する前に霜取を開始する時刻を作動開始時刻T2として設定している。また、霜取を終了して冷却を開始するタイミングを冷却開始時刻T3としている。運転停止時刻T1と作動開始時刻T2の間は、運転不要時間であって、蓄冷剤25が収納室16内に収納されていない時間帯である。なお、蓄冷剤25は、霜取開始時(作動開始時刻T2)に収納室16内に収納されていてもいいし、冷却開始時刻T3までの間に収納されるようにしてもよい。
【0022】
蓄冷剤25が収納室16内に収納されると、圧縮機34と凝縮器ファン36が稼働することで、冷却器31で冷気が生成され、生成された冷気を庫内ファン33が収納室16内に吹き出すことで、冷却運転が行われる。庫内温度が設定温度近傍になると圧縮機34と凝縮器ファン36がオンとオフを繰り返すことで、庫内温度を設定温度近傍に保持し、庫内ファン33が運転し続けることで、庫内の冷気の循環を行う。この間、露付き防止ヒータ19はオンにされ、断熱扉13と凍結庫本体10とが当接する面の結露と凍結を防いでいる。また、表示部82では庫内温度等が適宜表示されている。
そして、蓄冷剤25が庫外に出され、設定された運転停止時刻T1になると、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33等の冷却装置30の運転が停止され、露付き防止ヒータ19や表示部82等も停止され、凍結庫本体10への電力供給は行われているものの制御部50以外が停止しているため、見かけ上電源が入っていないスタンバイ状態にされ、消費電力が少なくなる。
【0023】
その後、運転不要時間が終了して、作動開始時刻T2になると、露付き防止ヒータ19等の運転が再開し、霜取制御部53によって除霜ヒータ39がオンにされ、冷却器31の霜取が行われる。また、表示部82では霜取中であることがわかる表示がされる。
冷却器31の霜取が終了して、冷却開始時刻T3になると、霜取制御部53によって除霜ヒータ39がオフにされ、冷却制御部52によって圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33の運転が再開し、冷却運転が再開する。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、予め運転停止時刻T1と作動開始時刻T2を設定しておくことで、蓄冷剤25が庫外に持ち出されている冷却運転不要時間中は、凍結庫本体10への電力供給は行われているものの冷却装置30等の運転を停止させることができる。そのため、消費電力を減らすことができる。
また、冷却運転を再開する前に霜取運転を行うことで、霜取にかかる時間を短縮し、霜取にかかる電力も減らすことができる。
なお、本実施形態では、運転不要時間の設定として、運転停止時刻T1と作業開始時刻T2を予め設定するようにしたが、運転停止時刻T1と冷却開始時刻T3を設定し、設定された冷却開始時刻T3から霜取にかかる時間を差し引いた作動開始時刻T2から機器が運転を再開するようにしてもよい。
【0025】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図4と
図6によって説明する。この実施形態では、実施形態1とは霜取運転の前に除湿運転を行う点が異なっている。なお、以下の実施形態2において、上記実施形態1と同様の部材には、上記実施形態1と同符号を付して図示及び説明を省略する。
本実施形態について、
図4のブロック図を用いて説明する。本実施形態では、運転停止時刻T10になると冷却装置30等の運転を停止させる。タイマ51のカウントした時刻が記憶部55に記憶された作動開始時刻T20になると、冷却装置制御部52は、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33の運転を再開させて収納室16内の冷却を行うことで、収納室16内の湿度を下げる。冷却運転(除湿運転)を1時間行い、霜取開始時刻T30になると、冷却装置制御部52は、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33の運転を停止させる。霜取運転が終了し冷却開始時刻T40になると、冷却装置制御部52は、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33の運転を再開させ、冷却運転が行われる。
霜取制御部53は、霜取開始時刻T30になる等の霜取開始条件が満たされると、除霜ヒータ39をオンにする。また、霜取制御部53は、冷却器31の除霜が終了した等の霜取終了条件が満たされると、除霜ヒータ39をオフにする。
【0026】
続いて、本実施形態の作動の一例を
図6のタイミングチャートを参照しつつ説明する。
この例では、毎日蓄冷剤25が庫外に持ち出され運転を停止させる時刻を予め設定ボタン81で運転停止時刻T10として設定し、蓄冷剤25を収納室16に収納した後、除湿運転を開始する時刻を作動開始時刻T20として設定ボタン81で予め設定してある。また、除湿運転を終了して霜取運転を開始するタイミングを霜取開始時刻T30とし、霜取を終了して冷却を開始するタイミングを冷却開始時刻T40としている。
【0027】
冷却運転を行った後、蓄冷剤25が庫外に出され、設定された運転停止時刻T10になると、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33等の冷却装置30の運転が停止され、露付き防止ヒータ19や表示部82等も停止され、凍結庫本体10への電力供給は行われているものの制御部50以外が停止した見かけ上電源が入っていないスタンバイ状態にされる。
その後、運転不要時間が終了して、蓄冷剤25が収納室16に収納され、作動開始時刻T20になると、露付き防止ヒータ19等の運転が再開し、除湿運転として圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33の運転が再開し、冷却運転が1時間行われる。
【0028】
除湿運転が終了して収納室内の湿度が下がり霜取開始時刻T30になると、霜取制御部53によって除霜ヒータ39がオンにされ、冷却器31の霜取が行われる。また、表示部82では霜取中であることがわかる表示がされる。
冷却器31の霜取が終了して、冷却開始時刻T40になると、霜取制御部53によって除霜ヒータ39がオフにされ、冷却装置制御部52によって、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33の運転が再開し、冷却運転が再開する。
【0029】
以上のように本実施形態によれば、蓄冷剤25を収納室16内に収納した後、蓄冷剤25に付着している露等で庫内の湿度が上昇するが、冷却運転を行う前に除湿運転(短い時間の冷却運転)を行うことで、収納室16内の湿度を下げることができる。また、除湿運転の際に付着した冷却器31の霜を本格的な冷却運転を行う前に霜取運転を行うことで取ることができ、本格的な冷却運転の際に冷却性能を十分に発揮することができる。また、通常の冷却運転を行った場合よりも霜取開始時の庫内温度が高いため、通常の冷却運転中や冷却運転直後に霜取をする場合に比べて霜取にかかる時間を短縮することもできる。
なお、本実施形態では除湿運転として1時間の冷却運転を行ったが、冷却運転を行う時間は庫内の湿度を下げることができる時間で、かつ設定温度まで庫内温度が下がらない程度の時間の範囲で適宜決めることができる。また、露付着の多い夏場と、露付着の少ない冬場では時間を変更できるようにしてもよい。
【0030】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を
図4と
図7によって説明する。この実施形態では、実施形態1とは露付き防止ヒータ19が冷却運転不要時間の間もオンになっている点が異なっている。なお、以下の実施形態3において、上記実施形態1と同様の部材には、上記実施形態1と同符号を付して図示及び説明を省略する。
本実施形態について、
図4のブロック図を用いて説明する。本実施形態では、ヒータ制御部54は、タイマ51の示す時刻が記憶部55に記憶された運転停止時刻T100になっても、露付き防止ヒータ19の運転を停止させず、露付き防止ヒータ19がオンのまま保持される。
【0031】
続いて、本実施形態の作動の一例を
図6のタイミングチャートを参照しつつ説明する。
この例では、毎日蓄冷剤25が庫外に持ち出され運転を停止させる時刻を予め設定ボタン81で運転停止時刻T100として設定し、蓄冷剤25の冷却を開始する前に霜取を開始する時刻を作動開始時刻T200として予め設定してある。霜取を終了して冷却を開始するタイミングを冷却開始時刻T300としている。運転停止時刻T100と作動開始時刻T200の間は、運転不要時間であって、蓄冷剤25が収納室16内に収納されていない時間帯である。
【0032】
冷却運転が行われている間、露付き防止ヒータ19はオンにされ、断熱扉13と凍結庫本体10とが当接する面の結露を防いでいる。そして、蓄冷剤25が庫外に出され、設定された運転停止時刻T100になると、圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33等の冷却装置30の運転が停止され、表示部82等も停止される一方で、露付き防止ヒータ19はオンになったままとされる。
【0033】
その後、運転不要時間が終了して、作動開始時刻T200になると、霜取制御部53によって除霜ヒータ39がオンにされ、冷却器31の霜取が行われる。また、表示部82では霜取中であることがわかる表示がされる。冷却器31の霜取が終了して、冷却開始時刻T300になると、霜取制御部53によって除霜ヒータ39がオフにされ、冷却装置制御部52によって圧縮機34と凝縮器ファン36と庫内ファン33の運転が再開し、冷却運転が再開する。
【0034】
以上のように本実施形態によれば、冷却装置30の運転を停止させている間(蓄冷剤凍結庫本体10の運転が停止しているように見えるスタンバイ状態の間)であっても、露付き防止ヒータ19を稼働させている。冷却装置30の運転を停止させている間も、運転後の庫内は当初−20℃以下のため、庫外との温度差がきわめて大きい。そのため収納室16の外縁部(前面開口部12の外縁部で断熱扉13と当接する位置)で結露が発生する可能性がある。そこで、冷却装置30の運転を停止させている間であっても、露付き防止ヒータ19を稼働させることで、前面開口部12の周縁(断熱扉13と当接する位置)の凍結を防ぐことができる。
なお、実施形態2のように、霜取運転の前に除湿運転を行う場合にも、本実施形態は適用することができる。また、他の運転制御でも、冷却装置30の運転を停止させている時間があれば、本実施形態のように、その間に露付き防止ヒータを稼働させることができる。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、蓄冷剤凍結庫に適用した例を説明したが、定期的にある程度まとまった時間(例えば2〜3時間以上)冷却対象物が収納室に収納されず冷却運転が不要な時間がある冷却庫であれば、他の冷却庫であっても本発明は適用できる。
(2)上記実施形態では、蓄冷剤25はコンテナ26に収容された形で収納室16に収納されていたが、ラック等に並べられて収納されるようにしてもよい。また、蓄冷剤25は、厚板形状のハードケース式のものとしたが、シート状のものでもよい。その場合には、蓄冷剤はハンガー等にかけられて収納されるようにしてもよい。
【0036】
(3)上記実施形態では、冷却開始時刻の前に霜取運転等を行うようにしたが、霜取運転を行わず、運転不要時間後、ただちに冷却運転をするようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、冷却運転の再開時刻も設定するようにしたが、配送量などによって蓄冷剤25の冷却開始時刻が日によって異なる場合などには、冷却運転の再開は設定せず、設定ボタン81の操作をそのたびに行うことで再開するようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、運転不要時間の設定を毎日同じになるようにしていたが、平日と週末とで設定時間を分けても、曜日ごとに分けるようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、運転不要時間を時刻で設定するようにしたが、設定時から何時間後という時間帯による設定方法でもよい。その場合に、再開時間も何時間後という形で設定できるようにしてもよい。その場合には、タイマ51は経過時間をカウントするようにしてもよい。
【0037】
(7)上記実施形態では、霜取装置として除霜ヒータ39を用いたものを示したが、オフサイクル方式やホットガス方式など他の霜取方式を用いてもよい。
(8)上記実施形態では、庫内ファン33はオンとオフの2段階での制御としたが、適宜風量の調節を行うようにしてもよい。また、圧縮機34と凝縮器ファン36が停止する際には、庫内ファン33も停止するようにしてもよい。
(9)上記実施形態では、冷却器31の位置を冷却器室17の下部としたが、中央位置に設け、庫内ファン33をその上下に設けるようにしてもよい。
(10)上記実施形態では、圧縮機34と凝縮器ファン36の制御をオンとオフによって行うものとしたが、インバータ制御を用いてもよい。