【実施例1】
【0020】
実施例1の発電システムは、固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCと称する。)とガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた
トリプルコンバインドサイクル(Triple Combined Cycle:登録商標)である。このトリプルコンバインドサイクルは、ガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)の上流側にSOFCを設置することにより、SOFC、ガスタービン、蒸気タービンの3段階で電気を取り出すことができるため、極めて高い発電効率を実現することができる。
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係る発電システムにおける圧縮空気の供給ラインを表す概略図、
図2は、実施例1の発電システムを表す概略構成図である。
【0022】
実施例1において、
図2に示すように、発電システム10は、ガスタービン11及び発電機12と、SOFC13と、蒸気タービン14及び発電機15とを有している。この発電システム10は、ガスタービン11による発電と、SOFC13による発電と、蒸気タービン14による発電とを組み合わせることで、高い発電効率を得るように構成したものである。
【0023】
ガスタービン11は、圧縮機21、燃焼器22、タービン23を有しており、圧縮機21とタービン23は、回転軸24により一体回転可能に連結されている。圧縮機21は、空気取り込みライン25から取り込んだ空気Aを圧縮する。燃焼器22は、圧縮機21から第1圧縮空気供給ライン26を通して供給された圧縮空気(第1圧縮空気)A1と、第1燃料ガス供給ライン27から供給された燃料ガスL1とを混合して燃焼する。タービン23は、燃焼器22から排ガス供給ライン28を通して供給された排ガス(燃焼ガス)Gにより回転する。なお、図示しないが、タービン23は、圧縮機21で圧縮された圧縮空気A1が車室を通して供給され、この圧縮空気A1を冷却空気として翼などを冷却する。発電機12は、タービン23と同軸上に設けられており、タービン23が回転することで発電することができる。なお、ここでは、燃焼器22に供給する燃料ガスL1として、例えば、液化天然ガス(LNG)を用いている。
【0024】
SOFC13は、還元剤としての高温の燃料ガスと酸化剤としての高温の空気(酸素ガス)が供給されることで、所定の作動温度にて反応して発電を行うものである。このSOFC13は、圧力容器内に空気極と固体電解質と燃料極が収容されて構成される。空気極に圧縮空気が供給され、燃料極に燃料ガスが供給されることで発電を行う。なお、ここでは、SOFC13に供給する燃料ガスL2として、例えば、液化天然ガス(LNG)を用いている。
【0025】
このSOFC13は、第2圧縮空気供給ライン31を介して圧縮空気供給装置(圧縮空気供給部)61が連結されており、圧縮空気供給装置61が圧縮した圧縮空気(第2圧縮空気)A2を空気極の導入部に供給することができる。この第2圧縮空気供給ライン31は、供給する空気量を調整可能な制御弁(第1開閉弁)32と、圧縮空気A2を昇圧可能なブロワ33が空気の流れ方向に沿って設けられている。SOFC13は、空気極で用いられた排空気A3を排出する排空気ライン34が連結されている。この排空気ライン34は、空気極で用いられた排空気A3を外部に排出する排出ライン35と、燃焼器22に連結される圧縮空気循環ライン36とに分岐される。排出ライン35は、排出する空気量を調整可能な制御弁37が設けられ、圧縮空気循環ライン36は、循環する空気量を調整可能な制御弁38が設けられている。
【0026】
また、SOFC13は、燃料ガスL2を燃料極の導入部に供給する第2燃料ガス供給ライン41が設けられている。第2燃料ガス供給ライン41は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁42が設けられている。SOFC13は、燃料極で用いられた排燃料ガスL3を排出する排燃料ライン43が連結されている。この排燃料ライン43は、外部に排出する排出ライン44と、燃焼器22に連結される排燃料ガス供給ライン45とに分岐される。排出ライン44は、排出する燃料ガス量を調整可能な制御弁46が設けられ、排燃料ガス供給ライン45は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁47と、燃料を昇圧可能なブロワ48が燃料ガスL3の流れ方向に沿って設けられている。
【0027】
また、SOFC13は、排燃料ライン43と第2燃料ガス供給ライン41とを連結する燃料ガス再循環ライン49が設けられている。燃料ガス再循環ライン49は、排燃料ライン43の排燃料ガスL3を第2燃料ガス供給ライン41に再循環する再循環ブロワ50が設けられている。
【0028】
蒸気タービン14は、排熱回収ボイラ(HRSG)51で生成された蒸気によりタービン52を回転するものである。この排熱回収ボイラ51は、ガスタービン11(タービン23)からの排ガスライン53が連結されており、空気と高温の排ガスGとの間で熱交換を行うことで、蒸気Sを生成する。蒸気タービン14(タービン52)は、排熱回収ボイラ51との間に蒸気供給ライン54と給水ライン55が設けられている。そして、給水ライン55は、復水器56と給水ポンプ57が設けられている。発電機15は、タービン52と同軸上に設けられており、タービン52が回転することで発電することができる。なお、排熱回収ボイラ51で熱が回収された排ガスは、有害物質を除去されてから大気へ放出される。
【0029】
ここで、上述した実施例1の発電システム10における圧縮空気の供給系統について詳細に説明する。実施例1の発電システム10では、
図1に示すように、圧縮空気を生成可能な圧縮空気供給装置(圧縮空気供給部)61と、この圧縮空気供給装置61で圧縮した圧縮空気をSOFC13に供給する第2圧縮空気供給ライン31を設けている。
【0030】
即ち、ガスタービン11の圧縮機21とは別に、単独駆動が可能な圧縮空気供給装置61を設け、圧縮機21は、第1圧縮空気供給ライン26により燃焼器22(タービン23)だけに圧縮空気を供給し、圧縮空気供給装置61は、第2圧縮空気供給ライン31によりSOFC13だけに圧縮空気を供給する。すると、圧縮機21で圧縮された圧縮空気の全量が燃焼器22やタービン23に送られ、圧縮空気供給装置61で圧縮された圧縮空気の全量がSOFC13に送られる。そのため、ガスタービン11での運転状態の変動がSOFC13に伝達されず、SOFC13を安定して運転することができる。即ち、SOFC13は、空気極に圧縮空気A2が供給され、燃料極に燃料ガスL2が供給されることで発電を行う。この場合、SOFC13は、空気極の圧力と燃料極の圧力をほぼ均一にしないと、空気極と燃料極との間で圧縮空気A2や燃料ガスL2の流通が生じ、温度が変動してしまう。本実施例では、圧縮機21で圧縮された圧縮空気A1がSOFC13には供給されず、圧縮空気供給装置61で圧縮された圧縮空気A2のみがSOFC13に供給されることから、SOFC13は空気極の圧力が変動することはなく、SOFC13を安定して運転することができる。
【0031】
圧縮空気供給装置61は、SOFC用圧縮機(燃料電池用圧縮機)62とSOFC用蒸気タービン(燃料電池用蒸気タービン)63が連結軸64により一体回転可能に連結されて構成されている。そして、第2圧縮空気供給ライン31は、一端部がSOFC用圧縮機62に接続され、他端部がSOFC13に接続されており、SOFC用圧縮機62は、空気取り込みライン65から取り込んだ空気を圧縮する。また、SOFC用圧縮機62は、排熱回収ボイラ51で生成された蒸気によりSOFC用蒸気タービン63を回転することで駆動し、空気を圧縮することができる。即ち、蒸気供給ライン66は、一端部が排熱回収ボイラ51から蒸気タービン14(タービン52)に蒸気を供給する蒸気供給ライン54に接続され、他端部がSOFC用蒸気タービン63に接続されている。蒸気供給ライン66は、供給する蒸気量を調整可能な制御弁67が設けられている。
【0032】
制御装置68は、少なくとも、制御弁32と制御弁67の開度を調整可能であると共に、ブロワ33の駆動及び停止を制御可能となっている。そのため、制御装置68は、SOFC13の定常運転時に、制御弁32,67を開放し、排熱回収ボイラ51で生成された蒸気を蒸気供給ライン54からSOFC用蒸気タービン63に供給してSOFC用圧縮機62を駆動する。
【0033】
また、第1圧縮空気供給ライン26と第2圧縮空気供給ライン31とを接続するバイパスライン71が設けられ、このバイパスライン71に圧縮空気の流量を調整可能な制御弁(第2開閉弁)72が設けられている。制御装置68は、この制御弁72の開度を調整可能となっている。具体的に、制御装置68は、SOFC13の定常運転時に、制御弁72を閉止することで、圧縮空気供給装置61で生成された圧縮空気A2は、ガスタービン11には供給されず、SOFC13だけに供給される。一方、SOFC13の停止時に、制御弁72を開放する一方、制御弁32を閉止することで、圧縮空気供給装置61で生成された圧縮空気は、SOFC13には供給されず、ガスタービン11だけに供給される。
【0034】
ここで、実施例1の発電システム10の作動について説明する。
図1及び
図2に示すように、発電システム10を起動する場合、ガスタービン11、蒸気タービン14、SOFC13の順に起動する。なお、制御装置68は、制御弁32と制御弁67だけでなく、その他の制御弁も制御可能となっている。
【0035】
まず、ガスタービン11にて、圧縮機21が空気Aを圧縮し、燃焼器22が圧縮空気A1と燃料ガスL1とを混合して燃焼し、タービン23が排ガスGにより回転することで、発電機12が発電を開始する。次に、蒸気タービン14にて、排熱回収ボイラ51により生成された蒸気Sによりタービン52が回転し、これにより発電機15が発電を開始する。
【0036】
続いて、SOFC13では、制御弁67を開放することで、排熱回収ボイラ51で生成された蒸気を蒸気供給ライン66から圧縮空気供給装置61のSOFC用蒸気タービン63に供給する。すると、SOFC用蒸気タービン63は、この供給された蒸気により回転を開始し、SOFC用圧縮機62が同期して回転駆動することで、空気取り込みライン65から取り込んだ空気Aを圧縮する。そして、このSOFC用圧縮機62は、圧縮空気A2を第2圧縮空気供給ライン31からSOFC13に供給して昇圧を開始する。
【0037】
このとき、排出ライン35の制御弁37と圧縮空気循環ライン36の制御弁38を閉止し、第2圧縮空気供給ライン31のブロワ33を停止した状態で、制御弁32を開放する。すると、圧縮空気供給装置61で圧縮した圧縮空気A2が第2圧縮空気供給ライン31からSOFC13側へ供給される。これにより、SOFC13側は、圧縮空気A2が供給されることで圧力が上昇する。
【0038】
一方、SOFC13では、燃料極側に燃料ガスL2を供給して昇圧を開始する。排出ライン44の制御弁46と排燃料ガス供給ライン45の制御弁47を閉止し、ブロワ48を停止した状態で、第2燃料ガス供給ライン41の制御弁42を開放すると共に、燃料ガス再循環ライン49の再循環ブロワ50を駆動する。すると、燃料ガスL2が第2燃料ガス供給ライン41からSOFC13側へ供給されると共に、排燃料ガスL3が燃料ガス再循環ライン49により再循環する。これにより、SOFC13側は、燃料ガスL2が供給されることで圧力が上昇する。
【0039】
そして、SOFC13の空気極側の圧力が所定圧力になると、制御弁32を全開にすると共に、ブロワ33を駆動する。それと同時に制御弁37を開放してSOFC13からの排空気A3を排出ライン35から排出する。すると、圧縮空気A2がブロワ33によりSOFC13側へ供給される。それと同時に制御弁46を開放してSOFC13からの排燃料ガスL3を排出ライン44から排出する。そして、SOFC13における空気極側の圧力と燃料極側の圧力が目標圧力に到達すると、SOFC13の昇圧が完了する。
【0040】
なお、この実施例では、圧縮空気供給装置61とブロワ33を設けたが、圧縮空気供給装置61を制御することで、ブロワ33をなくしてもよい。即ち、制御弁67の開度を調整することで、SOFC用蒸気タービン63への蒸気の供給量を調整し、SOFC用圧縮機62が生成する圧縮空気A2の量を調整することで、SOFC13への圧縮空気A2の供給量を調整してSOFC13を昇圧するようにしてもよい。この場合、ブロワ33をなくすことで、制御弁32の開閉制御やブロワ33の起動制御を不要として低コスト化を可能とすることができる。
【0041】
その後、SOFC13の反応(発電)が安定し、排空気A3と排燃料ガスL3の成分が安定したら、制御弁37を閉止する一方、制御弁38を開放する。すると、SOFC13からの排空気A3が圧縮空気循環ライン36から燃焼器22に供給される。また、制御弁46を閉止する一方、制御弁47を開放してブロワ48を駆動する。すると、SOFC13からの排燃料ガスL3が排燃料ガス供給ライン45から燃焼器22に供給される。このとき、第1燃料ガス供給ライン27から燃焼器22に供給される燃料ガスL1を減量する。
【0042】
このとき、ガスタービン11の燃焼器22とタービン23は、圧縮機21で圧縮した圧縮空気A1の全量が供給され、SOFC13は、圧縮空気供給装置61で圧縮した圧縮空気A2の全量が供給される。そのため、ガスタービン11に出力変動が発生し、圧縮機21で圧縮した空気A1の圧力が変動しても、SOFC13に供給される空気A2の圧力が変動することはない。そのため、SOFC13は、空気極の圧力が変動することはなく、空気極の圧力と燃料極の圧力がほぼ均となり、ガスタービン11の運転状態に拘わらずSOFC13が安定して運転される。
【0043】
また、SOFC13の運転が停止したとき、制御装置68は、SOFC13の停止時に、制御弁72を開放する一方、制御弁32を閉止することで、圧縮空気供給装置61で生成された圧縮空気A2をSOFC13に供給せずにガスタービン11に供給する。SOFC13の定常運転時、圧縮空気供給装置61で生成された圧縮空気A2は、SOFC13に供給され、使用後の排空気A3が圧縮空気循環ライン36からガスタービン11の燃焼器22に供給されている。そのため、SOFC13の運転停止時には、圧縮空気供給装置61で生成された圧縮空気A2をSOFC13に供給せずに、バイパスライン71から直接ガスタービン11の燃焼器22に供給する。そのため、ガスタービン11は、SOFC13の定常運転時と運転停止時とで、ほぼ同量の圧縮空気A2が供給されることとなり、全負荷運転を可能とすることで安定した発電が可能となる。なお、SOFC13の運転が停止したときは、ガスタービン11の燃焼器22にSOFC13から排燃料ガスが供給されないことから、第1燃料ガス供給ライン27からの燃料ガス量を増加する必要がある。
【0044】
このように実施例1の発電システムにあっては、圧縮機21と燃焼器22とタービン23を有するガスタービン11と、圧縮機21で圧縮した圧縮空気を燃焼器22に供給する第1圧縮空気供給ライン26と、空気極及び燃料極を有するSOFC13と、圧縮空気を生成可能な圧縮空気供給装置61と、圧縮空気供給装置61で圧縮した圧縮空気をSOFC13に供給する第2圧縮空気供給ライン31とを設けている。
【0045】
従って、ガスタービン11の圧縮機21とは別に圧縮空気供給装置61を設け、圧縮機21で圧縮した空気A1は、第1圧縮空気供給ライン26により燃焼器22に供給され、圧縮空気供給装置61で圧縮した空気A2は、第2圧縮空気供給ライン31によりSOFC13に供給される。そのため、ガスタービン11の運転状態に応じて燃焼器22に供給される空気の圧力が変動しても、SOFC13に供給される空気の圧力が変動することはない。その結果、SOFC13は、空気極の圧力が変動することはなく、空気極の圧力と燃料極の圧力がほぼ均となり、ガスタービン11の運転状態に拘わらずSOFC13を安定して運転することができる。
【0046】
実施例1の発電システムでは、ガスタービン11からの排ガスにより蒸気を生成する排熱回収ボイラ51と、排熱回収ボイラ51で生成された蒸気により駆動する蒸気タービン14を設け、圧縮空気供給装置61として、SOFC用圧縮機62と、排熱回収ボイラ51で生成された蒸気をSOFC用蒸気タービン63に供給する蒸気供給ライン66を設けている。従って、排熱回収ボイラ51で生成された蒸気が蒸気供給ライン66によりSOFC用蒸気タービン63に供給されると、このSOFC用蒸気タービン63は、蒸気により駆動することでSOFC用圧縮機62を駆動して圧縮空気A2を生成し、この圧縮空気A2がSOFC13に供給される。SOFC13とガスタービン11と蒸気タービン14を組み合わせた発電システム10とし、この発電システム10の系統内で生成された蒸気によりSOFC用圧縮機62を駆動して圧縮空気A2を生成し、この圧縮空気A2をSOFC13に供給することとなり、全体のシステム効率を向上することができる。
【0047】
実施例1の発電システムでは、第2圧縮空気供給ライン31を開閉可能な制御弁32と、第1圧縮空気供給ライン36と第2圧縮空気供給ライン31とを接続するバイパスライン71と、バイパスライン71を開閉する制御弁72を設けている。従って、SOFC用圧縮機62を駆動して生成された圧縮空気A2をバイパスライン71から燃焼器22に供給することが可能となり、ガスタービン11やSOFC13の運転状態に応じて圧縮空気量を調整することができる。
【0048】
実施例1の発電システムでは、制御弁32と制御弁72を開閉制御可能な制御装置68を設け、この制御装置68は、SOFC13の停止時に制御弁32を閉止する一方、制御弁72を開放している。従って、SOFC13の停止時には、制御弁32を閉止して圧縮空気供給装置61からSOFC13への圧縮空気A2の供給を停止し、制御弁72を開放して圧縮空気供給装置61からガスタービン11の燃焼器22への圧縮空気A2の供給を開始することとなり、ガスタービン11における圧縮空気量を確保し、ガスタービン11を安定して運転することができる。
【実施例2】
【0049】
図3は、本発明の実施例2に係る発電システムにおける圧縮空気の供給ラインを表す概略図である。なお、本実施例の発電システムの基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様の構成であり、
図2を用いて説明すると共に、上述した実施例1と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0050】
実施例2の発電システムにおいて、
図2及び
図3に示すように、SOFC13は、第2圧縮空気供給ライン31を介して圧縮空気供給装置(圧縮空気供給部)81が連結されており、圧縮空気供給装置81が圧縮した圧縮空気A2を空気極の導入部に供給することができる。即ち、ガスタービン11の圧縮機21とは別に、単独駆動が可能な圧縮空気供給装置81を設け、圧縮機21は、第1圧縮空気供給ライン26により燃焼器22(タービン23)だけに圧縮空気A1を供給し、圧縮空気供給装置81は、第2圧縮空気供給ライン31によりSOFC13だけに圧縮空気A2を供給する。すると、圧縮機21で圧縮された圧縮空気の全量が燃焼器22やタービン23に送られ、圧縮空気供給装置81で圧縮された圧縮空気の全量がSOFC13に送られる。そのため、ガスタービン11での運転状態の変動がSOFC13に伝達されず、SOFC13を安定して運転することができる。
【0051】
圧縮空気供給装置81は、SOFC用圧縮機(燃料電池用圧縮機)82と駆動モータ83が連結軸84により連結されて構成されている。そして、第2圧縮空気供給ライン31は、一端部がSOFC用圧縮機82に接続され、他端部がSOFC13に接続されており、SOFC用圧縮機82は、空気取り込みライン85から取り込んだ空気を圧縮する。また、SOFC用圧縮機82は、駆動モータ83に電力を供給することで駆動し、空気を圧縮することができる。
【0052】
制御装置68は、少なくとも、制御弁32と制御弁72の開度を調整可能であると共に、駆動モータ63の駆動及び停止を制御可能となっている。そのため、制御装置68は、SOFC13の定常運転時に、制御弁32,67を開放し、駆動モータ63を駆動してSOFC用圧縮機82を駆動する。
【0053】
また、第1圧縮空気供給ライン26と第2圧縮空気供給ライン31とを接続するバイパスライン71が設けられ、このバイパスライン71に圧縮空気の流量を調整可能な制御弁72が設けられている。制御装置68は、SOFC13の定常運転時に、制御弁72を閉止することで、圧縮空気供給装置81で生成された圧縮空気は、ガスタービン11には供給されず、SOFC13だけに供給される。一方、SOFC13の停止時に、制御弁72を開放する一方、制御弁32を閉止することで、圧縮空気供給装置81で生成された圧縮空気は、SOFC13には供給されず、ガスタービン11だけに供給される。
【0054】
上述した発電システムを起動する場合、ガスタービン11、蒸気タービン14、SOFC13の順に起動するが、ガスタービン11の起動より前にSOFC13を起動してもよい。
【0055】
SOFC13を運転するとき、駆動モータ83を駆動することで、SOFC用圧縮機82が回転駆動し、空気取り込みライン85から取り込んだ空気Aを圧縮する。そして、このSOFC用圧縮機82は、圧縮空気A2を第2圧縮空気供給ライン31からSOFC13に供給する。一方、第2燃料ガス供給ライン41の制御弁42を開放することで、燃料ガスL2を第2燃料ガス供給ライン41からSOFC13へ供給する。すると、SOFC13で圧縮空気A2と燃料ガスL2が反応して発電が行われる。
【0056】
このとき、ガスタービン11の燃焼器22とタービン23は、圧縮機21で圧縮した空気A1の全量が供給され、SOFC13は、圧縮空気供給装置81で圧縮した空気A2の全量が供給される。そのため、ガスタービン11に出力変動が発生し、圧縮機21で圧縮した空気A1の圧力が変動しても、SOFC13に供給される空気A2の圧力が変動することはなく、ガスタービン11の運転状態に拘わらずSOFC13が安定して運転される。
【0057】
このように実施例2の発電システムにあっては、圧縮機21と燃焼器22とタービン23を有するガスタービン11と、圧縮機21で圧縮した圧縮空気を燃焼器22に供給する第1圧縮空気供給ライン26と、空気極及び燃料極を有するSOFC13と、圧縮空気を生成可能な圧縮空気供給装置81と、圧縮空気供給装置81で圧縮した圧縮空気をSOFC13に供給する第2圧縮空気供給ライン31とを設けている。
【0058】
従って、ガスタービン11の圧縮機21とは別に圧縮空気供給装置81を設け、圧縮機21で圧縮した空気A1は、第1圧縮空気供給ライン26により燃焼器22に供給され、圧縮空気供給装置81で圧縮した空気A2は、第2圧縮空気供給ライン31によりSOFC13に供給される。そのため、ガスタービン11の運転状態に応じて燃焼器22に供給される空気の圧力が変動しても、SOFC13に供給される空気の圧力が変動することはない。その結果、ガスタービン11の運転状態に拘わらずSOFC13を安定して運転することができる。
【0059】
実施例2の発電システムでは、圧縮空気供給装置81として、SOFC用圧縮機82と、SOFC用圧縮機82を駆動する駆動モータ83を設けている。従って、駆動モータ83によりSOFC用圧縮機82を駆動して圧縮空気A2を生成し、この圧縮空気A2がSOFC13に供給される。駆動モータ83とSOFC用圧縮機82を設けるだけで、ガスタービン11に対して独立して圧縮空気A2をSOFC13に供給することができ、簡単な構成でSOFC13の安定運転を確保することができる。
【0060】
なお、上述した実施例にて、本発明の第1開閉弁及び第2開閉弁を流量調整可能な制御弁32,72としたが、流量調整不能な遮断弁であってもよい。