特許第6109567号(P6109567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109567
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
   G01N27/409 100
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-288168(P2012-288168)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-130082(P2014-130082A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097434
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和久
(72)【発明者】
【氏名】田口 政孝
(72)【発明者】
【氏名】浅井 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】安田 功二郎
(72)【発明者】
【氏名】高田 歩
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−298535(JP,A)
【文献】 特開昭55−157883(JP,A)
【文献】 特開2007−180009(JP,A)
【文献】 特開2012−163441(JP,A)
【文献】 特開2009−162565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/406−27/41
G01N 27/417−27/419
H01R 13/10−13/14
H01R 43/04−43/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状をなす検出素子の後端寄り部位に、外周面用端子金具の筒状接続部が、圧入によって外嵌されることにより、該後端寄り部位の外周面に形成された外周面電極端子に電気的に接続されてなる端子接続構造を有するセンサであって、
前記検出素子は、その外周面と後端面との交差する角に、周方向に沿って面取りが付けられており、
前記筒状接続部は一側に切れ目を有して筒状に丸められたものであり、前記検出素子の後端寄り部位に外嵌されたときに自身のバネ性によって拡径状に弾性変形するように形成されていると共に、該筒状接続部の先端には、前記検出素子の後端寄り部位に外嵌する際のガイドをなすためのフレアが、先方に向けて外拡がり状をなして、該先端において周方向に沿って複数設けられており、
この外周面用端子金具における前記筒状接続部が、その先端側から、前記フレアをガイドとして前記検出素子の後端寄り部位に圧入によって外嵌されることにより、該後端寄り部位の外周面に形成された外周面電極端子に電気的に接続されてなる端子接続構造を有するセンサにおいて、
前記外周面用端子金具の前記筒状接続部には、2つの隣接する前記フレア相互の間の部位に、該2つのフレアの根元よりも後方に向けて切り込んだ凹部が形成され、しかも、該凹部の最大の切り込み深さが、前記面取りにおける前記検出素子の軸線方向に沿う面取り幅寸法よりも大きくされていることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記切れ目を挟んで隣接する2つのフレア相互の間の間隔を除き、隣接する2つのフレア相互の間の間隔は、前記凹部が形成されているところの該間隔が、その他の該間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記凹部は、前記2つの隣接するフレア相互の間において、少なくともその一方のフレアに近接するに従って浅くなるように切り込まれていることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項4】
前記凹部は、該筒状接続部の切れ目を正面としたときに背面側に位置するように、前記2つの隣接するフレア相互の間に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記筒状接続部が自由状態にあるとき、その先端に設けられた複数のフレアの根元の部分が、前記検出素子の後端の前記面取りに、周方向に沿って押付け可能に、該筒状接続部の先端における内径が設定されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記凹部は、後方に向けて円弧状に切り込まれたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記凹部は、後方に向けてV字形に切り込まれたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記凹部は、後方に向けてU字形に切り込まれたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素センサに代表されるガスセンサなど、センサ素子の後端寄り部位に、端子金具における筒状接続部が圧入により外嵌され、同後端寄り部位の外周面に形成されている電極端子(リード)との電気的接続がとられてなる端子接続構造を有するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のセンサの1例(例えば酸素センサ)としては、図11に示した構造のものがある(特許文献1)。この酸素センサ1は、先端(同図下端)が閉塞された中空軸状(筒状)の固体電解質からなる検出素子(以下、単に素子ともいう)21と、この素子21を内側に保持して、排気ガス管に取付けられる金具本体(主体金具ともいわれる)11を主体として構成されている。このものは、素子21の内周面(内壁面)22aに内部電極(基準電極)を備えており、外周面(外壁面)22bに外部電極(測定電極)を備えている。そして、素子21の後端寄り部位の外周面22bに、外部電極(測定電極)のリード端子(外部電極端子。以下、単に端子ともいう)が形成されており、その後端寄り部位に、外周面用端子金具91の筒状接続部93が圧入によって外嵌されて、その端子に接続されている。そして、同後端寄り部位の内周面22aに、内部電極(基準電極)のリード端子(内部電極端子。以下、単に端子ともいう)が形成されており、その後端寄り部位に、内周面用端子金具71の筒状接続部73が圧入によって内嵌されて、その端子に接続されている。この酸素センサ1は、金具本体11を介して内燃機関の排気ガス管に取付けられ、内部電極(基準電極)を基準ガス(大気)に、外部電極(測定電極)を排気ガスに接触させ、検出素子21の内、外面の酸素濃度差に対応して上記両電極間に起電力を生じさせ、この起電力に基づく信号を、各端子金具71,91の後端に接続されている外部リード線41、41を介して制御回路に出力し、排気ガス中の酸素濃度を検知して空燃比制御をするのに使用される。
【0003】
図12は、このようなセンサ1に使用されている上記各端子金具71、91のうち、外周面用端子金具91の素子21への組付け前の部品としての形状を示したものである。図12に示したように、この外周面用端子金具91は、筒状接続部93と、その後方に続く中継線94、及びリード線41の接続端部(圧着部)95等からなっている。筒状接続部93は、その内径が自由状態において、素子21の後端寄り部位の外径より小さく形成されている。そして、筒状接続部93には、素子21の後端寄り部位への圧入を容易とするため、一側に切れ目(又はスリット)Mが設けられており、横断面が概略C字状(又はランドルト環形状)をなすように形成されている。これにより、筒状接続部93は、その圧入後は、自身のバネ性により拡径状に弾性変形して、外部電極端子に圧接されて電気的な接続がとられるようにされている。なお、内周面用端子金具71は、筒状接続部73の外径が自由状態において、素子21の同部位の内径より大きく形成されているものの、基本的には、外周面用端子金具91と同様の構造を有している。
【0004】
一方、素子21は、図11に示したように、各端子金具71,91の圧入の容易、円滑化のため、その後端面25と、内周面22a、及び外周面22bとの角に、周方向に沿って面取り26、27が付けられている。そして、同目的のため、内周面用端子金具71の筒状接続部73はその先端寄り部位が先細り状をなすように形成されている。これに対し、外周面用端子金具91は、図11等に示したように、筒状接続部93の先端(図12下端)93bに、先方に向けて外拡がり状をなすフレア(張出し状の凸部)98が、周方向に沿って、複数、設けられている。これにより、この筒状接続部93の圧入開始に際し、フレア98を、素子21の後端面25と外周面22bとの角の面取り(以下、単に面取りともいう)27の部位に当接させ、両者相互間のガイド作用により、筒状接続部93を先端93bから円滑に拡径させてその圧入が容易に得られるようにされている。
【0005】
ところで、図12に示した外周面用端子金具は、適度のバネ性を有する金属製の材料板材(例えば、帯板状の薄板)から、所定平面形状にプレスにより打抜きされ(特許文献2(図4)参照)、筒状接続部等についての曲げ工程を経て、形成、製造される。例えば、その製造は、図13に示したように、帯材(又はロール巻き板材)200において板取(レイアウト)されて、ダイス(下型)の上面に沿って長手方向(図13の左右)に送られ、その過程で、同図に示したように所定平面形状にプレス打抜きされ、その後、端子金具においてフレア98をなす部位198や、筒状接続部93をなす部位193を円筒状に丸める等の曲げ加工等が行われて製造される。一方、このような工程で製造される端子金具は、図13に示したように、例えば、打抜きされた状態においては、リード線接続用の接続端部95となる部位195の端と、筒状接続部となる部位193の端の2箇所が、帯板200の両側の端縁側に位置するブリッジ(桟)200bとの間において、最終の端子金具形状に曲げ形成されるまで、それぞれ繋ぎ部210、220を介して繋げられている。すなわち、このような2つの繋ぎ部210,220は、端子金具形状に形成した後の打ち抜きの最終工程において、端子金具(仕掛品)側の根元寄り部位の所定位置210a,220aで、せん断等により切断(せん断で切り落とす)され、ブリッジ200bと共に切り落とされ、それによって端子金具91として独立したものとなる。
【0006】
ここで、この繋ぎ部のうち、筒状接続部93をなす部位193を繋ぐ繋ぎ部220は、フレア98をなす部位の相互の間(凹部)に設けられる。したがって、このようにして製造された外周面用端子金具91の筒状接続部93の先端93bには、図12の右図に示したように、隣接する2つのフレア98相互の間において、切断された繋ぎ部220であって根元寄り部位が突出片220tとなって残存することになる。これにより、素子21の後端寄り部位に、外周面用端子金具91の筒状接続部93を圧入により外嵌する場合には、次のような解決すべき問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−278806号公報
【特許文献2】特開2008−298535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
というのは、通常、自由状態にある外周面用端子金具91の筒状接続部93は、その先端93b、すなわち、フレア98の根元が素子21の後端(後端面と外周面との角)の面取り27に当接するように、その筒状接続部93の直径が設定される。一方、筒状接続部93の先端93bには突出片220tが残存している。このため、このような筒状接続部93を素子21の後端寄り部位に、図14−Aに示した位置合わせ状態から図14−Bに示した状態のように、圧入により外嵌を開始しようとするときは、図14の下の拡大図に示したように、その開始に際して、その突出片220tの先端220sが、素子21の後端の面取り27に突き当る形となる。しかも、この突出片220tの先端220sは、切断による切放しの鋭利な切断面をなしており、このような切断面は、ガイド用のフレア98のある部位と異なり、面取り27における滑り性が悪く、したがってその圧入過程で、突出片220tの先端220sが面取り27において引っ掛かり易い。このため、筒状接続部93の先端93bは、周方向において、この突出片220tのある箇所が、他に比べて局所的に大きな圧入抵抗となる。こうしたことから、圧入に大きな荷重を要したり、圧入停止(不能)を招いてしまうなど、センサの組立の円滑化が阻害されることがあった。
【0009】
しかも、このような突出片220tが位置する隣接する2つのフレア98相互間の間隔は、その切断の容易化のために比較的大きく確保されがちである。このため、他のフレア相互間の間隔よりも、ガイド用のフレア無し領域が大きくなることから、その突出量が小さい場合であっても、こうした問題が発生しやすい。なお、上記問題は、面取りの傾斜角度を軸線に対し、45度ではなく、それより小さくすることで緩和できるが、そのようにすれば、面取り幅(素子の軸線方向の寸法)が大きくなり、素子等の長寸化を招いてしまう。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、外周面用端子金具の筒状接続部の先端に、その製造過程のプレス工程において設けられていた繋ぎ部の切り落としによる切断面がある場合でも、上記のようなセンサの組立てにおける素子の後端寄り部位に対するその筒状接続部の圧入による外嵌を行う工程(組付け工程)において発生していた上記問題点を解消できるようにしたセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、軸状をなす検出素子の後端寄り部位に、外周面用端子金具の筒状接続部が、圧入によって外嵌されることにより、該後端寄り部位の外周面に形成された外周面電極端子に電気的に接続されてなる端子接続構造を有するセンサであって、
前記検出素子は、その外周面と後端面との交差する角に、周方向に沿って面取りが付けられており、
前記筒状接続部は一側に切れ目を有して筒状に丸められたものであり、前記検出素子の後端寄り部位に外嵌されたときに自身のバネ性によって拡径状に弾性変形するように形成されていると共に、該筒状接続部の先端には、前記検出素子の後端寄り部位に外嵌する際のガイドをなすためのフレアが、先方に向けて外拡がり状をなして、該先端において周方向に沿って複数設けられており、
この外周面用端子金具における前記筒状接続部が、その先端側から、前記フレアをガイドとして前記検出素子の後端寄り部位に圧入によって外嵌されることにより、該後端寄り部位の外周面に形成された外周面電極端子に電気的に接続されてなる端子接続構造を有するセンサにおいて、
前記外周面用端子金具の前記筒状接続部には、2つの隣接する前記フレア相互の間の部位に、該2つのフレアの根元よりも後方に向けて切り込んだ凹部が形成され、しかも、該凹部の最大の切り込み深さが、前記面取りにおける前記検出素子の軸線方向に沿う面取り幅寸法よりも大きくされていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記切れ目を挟んで隣接する2つのフレア相互の間の間隔を除き、隣接する2つのフレア相互の間の間隔は、前記凹部が形成されているところの該間隔が、その他の該間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のセンサである。
本発明の参考発明は、軸状をなす検出素子の後端寄り部位に、外周面用端子金具の筒状接続部が、圧入によって外嵌されることにより、該後端寄り部位の外周面に形成された外周面電極端子に電気的に接続されてなる端子接続構造を有するセンサであって、
前記検出素子は、その外周面と後端面との交差する角に、周方向に沿って面取りが付けられており、
前記筒状接続部は一側に切れ目を有して筒状に丸められたものであり、前記検出素子の後端寄り部位に外嵌されたときに自身のバネ性によって拡径状に弾性変形するように形成されていると共に、該筒状接続部の先端には、前記検出素子の後端寄り部位に外嵌する際のガイドをなすためのフレアが、先方に向けて外拡がり状をなして、該先端において周方向に沿って複数設けられており、
この外周面用端子金具における前記筒状接続部が、その先端側から、前記フレアをガイドとして前記検出素子の後端寄り部位に圧入によって外嵌されることにより、該後端寄り部位の外周面に形成された外周面電極端子に電気的に接続されてなる端子接続構造を有するセンサにおいて、
該外周面用端子金具は、材料板材から、打ち抜き工程及び曲げ工程を含むプレス工程を経て形成されたものであり、
該外周面用端子金具に、前記プレス工程において材料板材の端縁側との繋ぎ部が設けられていた該筒状接続部の先端である、2つの隣接する前記フレア相互の間の先端を、該2つのフレアの根元よりも後方に向けて切り込んだ凹部を形成するようにして該繋ぎ部を切り落としてなるものを用いたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記凹部は、前記2つの隣接するフレア相互の間において、少なくともその一方のフレアに近接するに従って浅くなるように切り込まれていることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載のセンサである。
請求項4に記載の発明は、前記凹部は、該筒状接続部の切れ目を正面としたときに背面側に位置するように、前記2つの隣接するフレア相互の間に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサである。
請求項5に記載の発明は、前記筒状接続部が自由状態にあるとき、その先端に設けられた複数のフレアの根元の部分が、前記検出素子の後端の前記面取りに、周方向に沿って押付け可能に、該筒状接続部の先端における内径が設定されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記凹部は、後方に向けて円弧状に切り込まれたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサである。
請求項7に記載の発明は、前記凹部は、後方に向けてV字形に切り込まれたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサである。
請求項8に記載の発明は、前記凹部は、後方に向けてU字形に切り込まれたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1にかかる本発明では、外周面用端子金具の筒状接続部のうち、2つの隣接するフレア相互の間の部位に、該2つのフレアの根元よりも後方に向けて切り込んだ凹部が形成されてなるものが用いられている。また、上記した本発明の参考発明では、外周面用端子金具に、プレス工程において材料板材の端縁側との繋ぎ部が設けられていた筒状接続部の先端である、2つの隣接するフレア相互の間の先端を、該2つのフレアの根元よりも後方に向けて切り込んだ凹部を形成するようにして該繋ぎ部を切り落としてなるものが用いられている。すなわち、上記した本発明の参考発明のセンサでは、該外周面用端子金具に、従来のように、前記プレス工程で切り落とされた繋ぎ部が、その根元寄り部位で突出片として残存していない。これにより、上記した本発明の参考発明のセンサにおいては、その組立工程中の、検出素子の後端部位に対する該筒状接続部の圧入による外嵌時に、従来のようにその突出片の先端が素子の後端の面取りに突き当らないため、滑り性の低下や、引っ掛かりがなくなる。この結果、上記した本発明の参考発明のセンサにおいては、前記筒状接続部の圧入時における局所的な圧入荷重(圧入抵抗)の増大も低減されるから、その圧入による外嵌の円滑化が図られることになり、センサの組立の円滑化が図られる。
【0016】
本発明においては使用される外周面用端子金具は、上記したように、前記凹部を形成するようにして前記繋ぎ部を切り落としてなるものであればよい。したがって、その凹部の切り込み形状(該筒状接続部の外周面側から見たときの凹部の形状)は適宜の形状とすればよい。ただし、前記凹部は、請求項3に記載の発明のように、前記2つの隣接するフレア相互の間において、少なくともその一方のフレアに近接するに従って浅くなるように切り込まれているものとするのがよい。また、圧入の円滑化の観点からは、前記凹部の最大の切り込み深さは、なるべく深くするのが好ましい。
【0017】
前記凹部は、外周面用端子金具の製造工程(打抜き、曲げ工程)における繋ぎ部の位置次第で定まるところであるが、請求項4に記載の発明のように、該筒状接続部の切れ目を正面としたときに背面側に位置するように、前記2つの隣接するフレア相互の間に形成されているのがよい。というのは、この繋ぎ部は、後方に延びてリード線を圧着、接続するリード線の接続端部の端に設けられる繋ぎ部と、筒状接続部の周方向において同位置とするのが好ましいところ、このリード線の接続端部は、筒状接続部の打抜き、曲げ工程上から、該筒状接続部の後端の周方向の中央、すなわち、背面に設けるのが好ましいためである。この詳細な理由は次のようである。
【0018】
図13を参照しながら説明すると、従来、センサに使用されている外周面用端子金具における筒状接続部93は、切れ目Mのある正面側が容易かつ、大きく拡径し得る。一方、その製造過程でにおいて、筒状接続部93の先端93bを繋いでいた繋ぎ部220は、成形及び製造上、図13に示したように、筒状接続部93の先端93bにおける周方向の中央に位置するように設けられるのが普通である。したがって、このようにして製造された外周面用端子金具91の筒状接続部93の先端93bに残存する突出片220tは、切れ目Mを正面とすると、背面側に位置する、隣接する2つのフレア相互の間に残存しがちとなる。他方、この場合の筒状接続部93は、周方向のうち、その突出片220tのある部位が拡径変形しにくい部位になり、したがって、その突出片220tは面取り27において一層、引っ掛かりやすくなり、圧入抵抗の増大を招きやすい。さらに、筒状接続部93は横断面において概略C字形を呈しているものが普通であるが、中にはC字の内面のうち、横断面における切れ目側の両端(両端寄り部位)と、中間部位(背面)との3点状接触となるように、C字が変形されて形成されたものもある。このものにおいて突出片が背面に位置する場合には、その局所的な圧入抵抗がさらに増大する。これに対し、請求項4に記載の発明のように、前記凹部を、該筒状接続部の切れ目を正面としたときに背面側に位置するように、前記2つの隣接するフレア相互の間に形成しておくことにより、圧入抵抗の増大の緩和に有効であり、より円滑な圧入が得られるためである。
【0019】
前記筒状接続部は、素子の後端寄り部位に圧入され、また、その際にフレアがガイドをなすように形成されていればよい。このため、前記外周面用端子金具の該筒状接続部の先端の自由状態における内径は、フレアがガイドの作用をなし得る限り、該検出素子を後端側から見たとき、その後端面と前記面取りとの交差する稜線の直径より小さく形成してもよい。ただし、好ましくは、請求項5に記載の発明のように、前記筒状接続部が自由状態にあるとき、その先端に設けられた複数のフレアの根元の部分が、前記検出素子の後端の前記面取りに、周方向に沿って押付け可能に、該筒状接続部の先端における内径が設定されているのがよい。
【0020】
前記凹部は、上記したように前記2つの隣接するフレア相互の間において、少なくともその一方のフレアに近接するに従って浅くなるように切り込まれているものとするのがよいところ、この場合にはなるべく、その両方のフレアに近接するに従って浅くなるように切り込まれているものとするのが好ましい。すなわち、前記凹部は、前記フレア相互の間において、その中間部位が一番深く切れ込まれているものとするのが好ましい。なお、前記凹部の形状としては、後方に向けて円弧状に切り込まれたもの、V字形に切り込まれたもの、或いはU字形に切り込まれたものが例示される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を具体化したセンサ(第1実施形態例)の縦断面図、及びその素子に外嵌されている外周面用端子金具の筒状接続部の部位を説明する部分拡大図。
図2図1のセンサに使用されている外周面用端子金具の斜視図であって、Aは、切れ目を右手前にして後方から見た斜視図、Bは、凹部(中継線部)を右手前にして後方から見た斜視図。
図3図1のセンサに使用されている外周面用端子金具の筒状接続部を背面後方から見た斜視図、及びその筒状接続部を先端側から見た図。
図4】素子の後端寄り部位と、外周面用端子金具の筒状接続部との嵌め合い前(自由状態)の寸法関係を説明する図。
図5図1のセンサに使用されている外周面用端子金具の製造途中の説明図。
図6】素子の後端寄り部位に外周面用端子金具の筒状接続部を圧入により外嵌する工程の説明図。
図7】素子の後端寄り部位に外周面用端子金具の筒状接続部を圧入した後の要部拡大図であって、Aは背面側から見た図、Bは正面側から見た図。
図8図1のセンサの組立てにおいて、素子に対する外周面用端子金具における筒状接続部の圧入による外嵌を行う工程(例)を説明する図。
図9】外周面用端子金具における凹部の別例を示す説明用の拡大図。
図10】外周面用端子金具における凹部の別例を示す説明用の拡大図。
図11】従来のセンサの一例を示す縦断面図、及びその素子に外嵌されている外周面用端子金具の筒状接続部の部位を説明する部分拡大図。
図12図11のセンサに使用されている外周面用端子金具の説明用斜視図であって、Aは、切れ目を右手前にして後方から見た斜視図、Bは、中継線部を右手前にして後方から見た斜視図。
図13図11のセンサに使用されている外周面用端子金具の製造途中の説明図。
図14】従来のセンサの組み立て中において素子の後端寄り部位に外周面用端子金具の筒状接続部を圧入するとき問題点を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のセンサを実施するための形態(第1実施形態例)について、図1図8に基づいて、センサ1の全体構成を説明すると共に、それを構成する外周面用端子金具91、及びそれの素子21の後端寄り部位への圧入による外嵌の工程等について詳細に説明する。ただし、本形態におけるセンサ1は酸素センサにおいて具体化したものであり、上記背景技術において説明したものとの相違点は、そこにおいて使用されている外周面用端子金具91の構成が異なるだけである。このため、共通する部位については、必要に応じ、上記背景技術の説明に使用した図面(特に、図11)をも参照しながら説明する。
【0023】
本例の酸素センサ1は、段付円筒状をなす金具本体11の内側に、内、外壁面にそれぞれ内部電極、外部電極(図示せず)を有し、先端が閉塞された中空円軸状(筒状)の検出素子21が気密を保持して固定されている。素子21は、中間部に外径が大径とされた大径部23を備えており、先端は金具本体11の先端から突出している。金具本体11は、その内側の段部にワッシャ51を介してセラミックホルダ52が配置されている。素子21は、このセラミックホルダ52の図示上部内周縁の凹部に、その大径部23を板パッキン(図示せず)を介して受けさせ、さらにシール材(滑石)53、及び押圧用リング54等を介在させ、シール材53を圧縮して気密状に金具本体11内に固定されている。
【0024】
この固定は、金具本体11の後端(図示上端)の内側において、押圧用リング54の後端に平ワッシャ55を配置し、金具本体11の後端の薄肉筒部18の端部を内側に曲げて先端側に圧縮するようにかしめることによっている。なお、金具本体11は、図示上下方向の中間部位の外周にねじ込み用多角形部12を備えており、それより先端側には、排気管へのねじ込み用のねじ部14、小径筒部16を順次一体的に備えている。この小径筒部16には、突出する素子21の先端を保護する通気孔付の保護カバー20が取り付けられている。なお、ここまでに説明した構成は、センサの組立て前の状態を示す図8の左側(下)に示した素子側半組立体201に相当する。
【0025】
検出素子21の内側(内周面)である中空部は、横断面が円形で先端に向かって若干縮径するテーパ状とされ、金具本体11の軸線Gと同心で配置されている。また、検出素子21の後端面25と、内周面22a、外周面22bの各角には、周方向に沿って面取り26、27が付けられている(図1中の拡大図等参照)。これは、内周面用端子金具71,外周面用端子金具91を素子21の後端寄り部位に圧入によって、内嵌又は外嵌して組立てる際のガイドをなすところである。これらの端子金具71,91は、図11のセンサにおいて説明したものと同様に、素子21の後端寄り部位に、それぞれ圧入により、内周面用端子金具71の筒状接続部73は内嵌され、また、外周面用端子金具91の筒状接続部93は外嵌されている。このうち、外周面用端子金具91の筒状接続部93は、素子21の後端寄り部位の外周面22bに、外部電極に連なって形成されている外周面電極端子(図示せず)に、バネ性によって押付けられて電気的に接続されている。また、内周面用端子金具71の筒状接続部73は、素子21の後端寄り部位の内周面22aに、内部電極に連なって形成されている内周面電極端子(図示せず)に、バネ性によって押付けられて電気的に接続されている。
【0026】
ここで、本発明の要旨をなすところの外周面用端子金具91について、図1図5等に基づいて詳細に説明する。この外周面用端子金具91は、バネ性を有する金属薄板からなり、その筒状接続部93は、一側に切れ目(開口)Mを有する横断面が概略C字形をなし(図2図3参照)、自由状態においてその内周面の先端93bの内径D1が素子21の後端寄り部位の外径Daより小さくされている(図4参照)。また、この筒状接続部93の先端93bには、周方向に沿って、先方に向けて外拡がり状をなす複数のガイド用のフレア98が、先端93bから突出して設けられている。ただし、その自由状態における先端93bの内径D1は、素子21の後端の面取り27における後端面25とのなす稜線が描く、後端面25側から見たときの円の直径Dbより小さくてもよいが、本例ではその円の直径Dbより大きく設定されている(図4参照)。また、このフレア98は、切れ目Mを正面としたとき、この切れ目Mを挟む周方向の両端の各端寄り部位から背面に向けて、各側において同一の間隔で4つ、両側で合計8設けられている(図3−B参照)。
【0027】
なお、この背面に位置する、隣接する2つのフレア98相互の間の間隔は、他のフレア98相互の間の間隔より大きくされている。そして、図1図3等に示したように、背面側にあるこの2つの隣接するフレア98相互の間の筒状接続部93における先端93bには、この2つのフレア98の根元(筒状接続部の先端93b)よりも後方(図1図2の上方)に向けて、円弧状(半円状)で切り込んだ凹部99が形成されている。ただし、凹部99の最大の切り込み深さFは、前記面取り27のうち、前記検出素子21の軸線方向に沿う面取り幅寸法Hより大きくされている(図1中の拡大図、図4参照)。このようにすれば、圧入過程のうち、該筒状接続部の先端が面取りを乗り越える過程において、前記凹部の最後部がその面取りに干渉することがなくなるので、より円滑な圧入が得られるためである。このように構成されている筒状接続部93は、それが自由状態にあるとき、その先端93bに設けられた複数のフレア98の根元の部分が、検出素子21の後端の面取り27に、周方向に沿って押付け(又は当接)可能となるように設定されている。なお、筒状接続部93の背面(切れ目Mと反対側)における後方(図示上)には、中継線部(帯板部)94が屈曲部を介して後方に延びており、その後端には接続端部(つめ付きコネクタ部)95が設けられている。なお、図2中の97は、打抜きにより切り起こし状に形成されバネ状の突出片部97である。
【0028】
なお、このような本例センサ1に使用されている外周面用端子金具91は、上記背景技術で説明したのと同様に、材料板材から、打ち抜き工程及び曲げ工程を含むプレス工程を経て形成されたものである。そして、そのプレス工程においては、図5に示したように、材料板材である帯板(金属薄板)200の端縁側(ブリッジ200b)との繋ぎ部220が設けられていた、筒状接続部93となる部位193の先端である、2つの隣接するフレアとなる部位198相互の間の先端を、その2つのフレアをなす部位198の根元よりも、後方に向けて、その最終工程において、図5中の破線に示した半円状のように繋ぎ部220を切り落とすことにより、切り込んだ凹部99を備えた外周面用端子金具91として形成される。
【0029】
さて、本例のセンサ1においては、図1では図示していないが、図11に示した従来のセンサと同様に、各端子金具71,91の筒状接続部73,93の後方の各中継線部74,94の後端に設けられた接続端部(つめ付きコネクタ部)75,95に、それぞれリード線41の先端(電線)が例えば圧着によって接続されている(図8参照)。以下、図8をも参照しながら他の部位の構成について説明するが、本例のセンサ1において両端子金具71、91における筒状接続部73,93の後方には、アルミナ等の電気的な絶縁材からなり、内部に先後に貫通する空孔113を有する円柱状のセパレータ111が配置されている。そして、その先端112が、筒状接続部73,93の後端に当接するように設けられている。中継線部74,94及び各リード線41の先端寄り部位は、このセパレータ111の内に形成された各空孔113内を通され、相互の絶縁が保持されている。なお、各リード線41は、センサ1の後端に配置されたシール材131に形成された各空孔を通されて、その後端部から引き出されている。また、各端子金具71,91は、中継線部74,94に設けられたバネ状の突出片部77、97を空孔113の内周面に押付け、その位置の安定がとられている。なお、素子21の中空部の中には棒状をなすヒータ61が内挿されており、その後端寄り部位が、セパレータ111の先端112中央に設けられた穴に入れられている。また、このヒータ61は、内面用端子金具71における筒状接続部73の内側を通され、その後端部位設けられた端子にリード線が接続され、他のリード線41と同様にして後方に引き出されている。
【0030】
また、本例センサ1においては、このようなセパレータ111及びシール材131等は、段付き円筒状をなす保護筒31によってカバーされている。この保護筒31は、金具本体11の厚肉円筒部17に先端側を外嵌し、同保護筒31の先端面31aをねじ込み用多角形部12の後端側フランジ面13に当接した状態の下で、全周がレーザー溶接されている。なお、金具本体11のねじ込み用多角形部12とねじ部14との間には、シール用ワッシャー9が嵌められている。この保護筒31は、先端側(図1の下側)の大径部32と後端側の小径部33とからなり、その小径部33におけるシール材131の外側37をカシメ加工し、それを固定している。また、セパレータ111はその外周面の軸線G方向の中間位置に、フランジ122を突出状に備えており、保護筒31は、このフランジ122を軸線方向の先後位置で挟むようにしている。すなわち、保護筒31は、後方に凹部36が設けられており、先方部位38が、上端部が内側に折り返し状に曲げられた円筒部材141を介在させて絞り込むようにカシメ加工されており、これによりセパレータ111は保護筒31内に固定されている。図1中の102は、シール材131中に貫通状に配置された、撥水性のある通気部材であり、素子21の内側に大気を導入するようにされている。
【0031】
以上、詳述した本形態の酸素センサ1においては、上記したように、素子21の後端面25と外周面22bとの交差する角に面取が27付けられている。そして、素子21の後端寄り部位へ圧入により外嵌されて、その外周面22bに形成されている電極端子に電気的に接続されている外面用端子金具91の筒状接続部93は、その先端93bが後方に向けて円弧状に切り込まれてなる凹部99を有している。これにより、センサ1の組立て工程において、電気的な接続を得るために筒状接続部93を、その先端93b側から、フレア98をガイドとして素子21の後端寄り部位に圧入によって外嵌する際には、上記した従来におけるような滑り性の低下や引っ掛かりといった問題もなく、その外嵌を行うことができる。
【0032】
ここで、上記センサ1を構成する素子21の後端寄り部位に、外周面用端子金具91の筒状接続部93を圧入により外嵌めする状態ないし過程について、図6に基づいて説明する。図6−Aに示したように、その筒状接続部93の先端93bのうち、隣接する2つのフレア98相互の間には、従来のような突出片は存在せず、筒状接続部93の先端93bにおいて、逆に後方に凹部99が切り込まれている。このため、検出素子21の後端部位に対する筒状接続部93の圧入による外嵌開始のため、素子21の後端に筒状接続部93の先端93bを同心状(同軸状)に位置あわせして当接させたときは、その先端93bにおいて周方向に沿って設けられている複数のフレア98の根元が面取り27に当ることになる。このため、この状態において、筒状接続部93を矢印で示したように押圧すると、図6−Bに示したように、従来におけるような滑り性の低下や、引っ掛かりもなく、筒状接続部93はその先端93bであるフレア98の根元又は根元寄り部位が面取り27にガイドされる。このとき、筒状接続部93は、切れ目Mにおいてその先端93bから、面取り27に沿ってバネ性により開く形で拡径され、圧入が開始される。
【0033】
そして、圧入が進行して、筒状接続部93の先端93bが、面取り27を乗る越えるとき、その先端93bは、素子21の後端の外径Daより大きく拡径する。この拡径時も、フレア98相互の間には従来のように「突出片」が残存していないから、筒状接続部93の先端93bは、図6−Cに示したように、面取り27を滑り性の低下や引っ掛かりもなく乗り越えることができる。かくして、所定ストロークの圧入が行われると、図7に示したように、筒状接続部93の圧入による外嵌が得られ、素子21の後端寄り部位の外周面22bに、外部電極に連なって形成されている外周面電極端子(図示せず)に、バネ性によって押付けられて電気的に接続される。このように、本形態のセンサ1においては、筒状接続部93の圧入過程で、従来のような突出片の存在による滑り性の低下や引っ掛かりもないから、筒状接続部93の先端93bの周方向における、局所的な圧入荷重の増大の発生もないので、その圧入による外嵌の円滑化が図られるので、センサの組立ての円滑化が図られる。
【0034】
なお、このような圧入は、センサの製造、組立ての適当な工程又は段階で行えばよい。その一例としては、センサの組立てに当たり、図8の左側(下)に示した素子側半組立体201の部位と、それ以外の構成をなす図8の右側(上)に示した端子金具側半組立体301の部位(保護筒は溶接及びカシメ前)とを、それぞれ別途に組立てておき、この両者を組付ける段階で行うことが例示される。すなわち、この場合には別個に組立てられた、素子側半組立体201における素子21の後端寄り部位に、端子金具側半組立体301における内周面用端子金具71と外周面用端子金具91の各筒状接続部73,93の軸線をあわせるように位置決めして、相対的に軸線方向に移動して両組立体201,301において合体させるように組付ければよい。この構成によるときは、セパレータ111の先端112で、両端子金具91,71の筒状接続部93、73の後端を押すことで圧入される。なお、この圧入においは、同時に、保護筒31の先端31a寄り部位を、金具本体11の厚肉円筒部17に外嵌し、その後、上記したように溶接、カシメを行うことで、図1に示したセンサ1が得られる。
【0035】
本例では、凹部99は、後方に向けて円弧状に切り込まれたものを例示したが、これは、図9に示したように、V字形に切り込まれたものとしてもよいし、図10に示したように、U字形に切り込まれたものとしてもよい。すなわち、凹部99は、筒状接続部93の先端93bにおいて、外周面用端子金具91の製造工程で存在していた隣接する2つのフレア98相互の間にあった繋ぎ部220を、その根元寄り部位(筒状接続部93の先端93b寄り部位)で切り落とすことで、従来のように突出片が残存することなく、筒状接続部93の先端93bよりも後方に、凹部の最大の切り込み深さが、前記面取りにおける前記検出素子の軸線方向に沿う面取り幅寸法よりも大きくなるように切り込まれていればよい。これにより、圧入過程で面取り27に突き当ったり、引っ掛かったりすることが防止ないし低減できるためである。したがって、後方への切り込み深さは、面取り27の幅Hをも考慮して、適宜に設定すればよい。
【0036】
なお、圧入過程での引っ掛かりを防止するため、凹部99は、2つの隣接するフレア98相互の間において、少なくともその一方のフレア98に近接するに従って浅くなるように切り込まれているのがよい。ただし、この凹部99は、上記例におけるような円弧やV字形のように、それが位置する2つの隣接するフレア98相互の間の中央が深く切り込まれたものとするのがよい。なお、前記例では、凹部99は、筒状接続部93の切れ目Mを正面としたときに背面側に位置するように、前記2つの隣接するフレア98相互の間に形成されているものとして具体化したが、これは、繋ぎ部220が設けられていた位置に依存するから、その位置に応じて存在することになる。
【0037】
本発明のセンサは、上記した実施の形態のものに限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜にその構造、構成を設計変更できる。上記においては、ヒータつきの酸素センサで具体化したが、本発明はヒータの有無に関係なく具体化できる。また、上記においては、酸素センサといったガスセンサにおいて具体化したが、その他のセンサにおいても適用できる。軸状をなす検出素子の後端寄り部位に、外周面用端子金具の筒状接続部が、圧入によって外嵌されることにより、該後端寄り部位の外周面に形成された外周面電極端子に電気的に接続されてなる端子接続構造を有するセンサに、広く適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 センサ
21 検出素子
27 素子の外周面と後端面との交差する角の面取り
91 外周面用端子金具
93 外周面用端子金具の筒状接続部
93b 外周面用端子金具の筒状接続部の先端
98 フレア
99 凹部
200 材料板材
220 繋ぎ部
M 切れ目
F 凹部の最大の切り込み深さ
H 素子の軸線方向に沿う面取り幅寸法
D1 筒状接続部の先端の自由状態における内径
G 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14