【実施例】
【0081】
以下、実施例を参照して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例の態様に制限されない。
【0082】
本実施例において、NMRは日本電子社製JNM−ECXを用い、
1H NMRを測定した。
また、炭素含有率は、ヤナコ分析工業社製CHNコーダーMT−5型を用い、燃焼式で測定した。標準試料にアンチピリンを用いて検量線を作成した。またキャリブレーションとしてアセトアニリドを分析した。充填剤は約10mg秤量して分析を行った。
【0083】
<合成例1>
5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビ−2−ナフトールのヨード化
【化26】
【0084】
窒素雰囲気下、化合物1(2000 mg, 6.79 mmol)及びN,N’−ジヨード−5、5’ジメチルヒダントイン(DIH)(3097 mg, 8.15 mmol)とビスマス(III)トリフラート(Bi(OTf)
3)(446 mg, 0.679 mmol)を蒸留CH
2Cl
2に溶解させ、室温で24時間撹拌した。反応終了後は、5重量%Na
2SO
4水溶液でクエンチし、水層をCH
2Cl
2で抽出した。集めた有機層は飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥させた後、濾過・濃縮し化合物2を得た (3635mg, 98%)。得られた化合物2のNMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.616-1.706 (m, 8H), 2.069-2.128 (m, 2H), 2.243-2.304 (m, 2H),
2.726 (t, 4H), 4.965 (s, 2H), 7.508 (s, 2H).
【0085】
<合成例2>
化合物2の水酸基の架橋反応
【化27】
【0086】
窒素雰囲気下、化合物2(2875 mg, 5.26 mmol)及びカリウムtert−ブトキシド(
tBuOK)(1181 mg, 10.52 mmol)を蒸留THF(92.2 mL)に溶解させ、70℃下で40分間攪拌した。次に、蒸留THF(92.2 mL)を加え、化合物a(2877 mg, 5.26 mmol)の蒸留THF溶液(154 mL)をシリンジポンプによって30分間で加えた。その後、70℃下で24時間攪拌した。反応終了後、濃縮させ、CH
2Cl
2に溶解させた後水で洗浄し、水層をCH
2Cl
2で抽出した。集めた有機層は飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥させた後、濾過・濃縮し,粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/2)により精製し、目的の化合物3を得た(3032 mg 77%)。得られた化合物3のNMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.627-1.731 (m, 8H), 2.003-2.079 (m, 2H), 2.227-2.301 (m, 2H),
2.734 (t, 2.734), 3.297-3.351 (m, 2H), 3.516-3.740 (m, 16H), 3.813-3.866 (m, 2H), 3.912-3.963 (m, 2H), 7.553 (s, 2H).
【0087】
<合成例3>
【化28】
【0088】
窒素雰囲気下、化合物4(国際公開第2013/002346号に従って合成)(3000 mg, 8.59 mmol)を蒸留THF(60 mL)に溶解させた後に、−78℃下でn−ブチルリチウム(
nBuLi)(17.2 mmol)を滴下し30分間攪拌した。その後、トリメトキシボラン(B(OMe)
3)(20.6 mmol)を滴下し30分・−78℃で攪拌した。反応終了後、水でクエンチし、10重量%HCl水溶液を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過・濃縮することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)によって精製することで目的の化合物5を得た(1970 mg, 73%)。得られ
た化合物5のNMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR (DMSO) δ 0.523-0.566 (m, 2H), 1.527-1.633 (m, 8H), 2.547 (t, 2H), 4.797-4.852 (m, 6H), 5.686-5794 (m, 3H), 7.116 (d, 2H), 7.676 (d, 2H), 7.937 (s, 2H).
【0089】
<実施例1>
目的化合物6の製造
【0090】
【化29】
【0091】
窒素雰囲気下、化合物3(1534 mg, 2.05 mmol)及び化合物5(1611 mg, 5.12 mmol)、Pd/C(218 mg, 0.103 mmol)、K
2CO
3 (1133 mg, 8.20 mmol)をジオキサン(30 ml)、H
2O(15 mL)に加え、95℃で6時間攪拌した。反応終了後セライト濾過を行い、水で洗浄した後に水層を酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、濾過・濃縮することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)によって精製し、目的の化合物6を得た(1762 mg 83%)。得られた化合物6のNMRの測定結果を以下に示す。また、精製前の化合物6のNMRスペクトルを
図1に、精製後の化合物6のNMRスペクトルを
図2に示す。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.621-0.701 (m, 4H), 1.569-1.772 (m, 24H), 2.187-2.261 (m, 2H), 2.357-2.432 (m, 2H), 2.639 (t, 4H), 2.806 (t, 4H), 3.160-3.561 (m, 18H), 3.643-3.698 (m, 2H), 4.843-4.912 (m, 12H), 5.709-5.835 (m, 6H), 7.068 (s, 2H), 7.183 (d, 4H), 7.528 (d, 4H).
【0092】
<実施例2>
化合物6のシリカゲルへの担持
反応容器にシリカゲル(10 g)を入れ、真空下ドライヤーで加熱しながら15分間乾燥した後に、ヒートガンで加熱しながら15分間乾燥させた。その後、180℃で加熱しながら7時間乾燥させた。室温に戻した後、化合物6(1762 mg, 1.67 mmol)の蒸留トルエン溶液(60 mL)を加え、150℃で15時間還流させた。次に、シリカゲルをトルエンで洗浄し濃縮・乾燥させ化合物6が担持されたシリカゲル(充填剤1)を得た。担持されなかった化合物6は回収した(回収率:46%)。充填剤1の炭素含有率を元素分析により求めたところ6.5%であった。
【0093】
得られた充填剤1のIRスペクトルを赤外分光光度計(FT/IR-4100 typeA、日本分光株
式会社)を用いて、拡散反射法で測定した(
図3)。IRスペクトルでは、波数2900cm
−1付近にアルキルのC−H伸縮振動ピーク(ピークNo.3)が見られ、化合物6がシリカゲルに担持されていることがわかる。
【0094】
カラム1の作製
充填剤1を内径2.1mm×長さ150mmのステンレスカラムにスラリー充填し、カラム1を得た。
【0095】
評価
カラム1を用いて、下記条件で試料(トリプトファン、フェニルグリシン)を分析した。結果を表1に示す。また、評価クロマトグラムを
図4に示す。トリプトファン、フェニルグリシンを完全分割することができた。
(分析条件)
移動相:過塩素酸水溶液(pH1.5)
流速:0.1mL/min.
検出波長:200nm
温度:25℃
サンプル:1mg/1mL, 5μL注入
分析には、製品名LC−1500シリーズ、日本分光社製のものを用いた。溶離液には過塩素酸水溶液(pH1.5)を用いて、UV検出器(波長:200nm、製品名:UV−1575、日本分光社製)を用いてピークの検出、同定を行った。
【0096】
【表1】
【0097】
表1において、溶離液がカラムを素通りする時間t
0(デッドタイム)はシュウ酸ナトリウムから求めた。また、t
1は最初に流出する対掌体の保持時間であり、t
2は後に流出する対掌体の保持時間である。k1’、k2’は容量比であり、αは分離係数であり、Rsは分離度である。なお、容量比、分離係数αおよび分離度Rsは下式で定義される。
【0098】
[容量比k1’]
k1’=[(最初に流出する対掌体の保持時間)−(t0)]/t0)
[容量比k2’]
k2’=[(後に流出する対掌体の保持時間)−(t0)]/t0)
[分離係数α]
α=(より強く保持される対掌体の容量比)/(より弱く保持される対掌体の容量比)
[分離度Rs]
Rs={1.18×(より強く吸着される対掌体とより弱く吸着される対掌体の両ピーク間の距離)}/(両ピークの半値幅の合計)
【0099】
<実施例3>
化合物6のシリカゲルへの担持(担持量増加)
反応容器にシリカゲル(2.50 g)を入れ、真空下ドライヤーで加熱しながら15分間乾燥した後に、ヒートガンで加熱しながら15分間乾燥させた。その後、180℃で加熱しながら7時間乾燥させた。室温に戻した後、化合物6(3.21 g, 3.04 mmol)の蒸留トルエン
溶液(60 mL)を加え、150℃で15時間還流させた。次に、シリカゲルをトルエンで洗浄し濃縮・乾燥させ化合物6が担持されたシリカゲル(2.76 g)(充填剤2)を得た。担持されなかった化合物6は回収した(回収率:2.35 g, 73%)。充填剤2の炭素含有率を元素分析により求めたところ19.2%であった。
【0100】
得られた充填剤2のIRスペクトルを測定した(
図5)。IRスペクトルでは、3000[cm
−1]付近に芳香族のC−H伸縮振動ピーク、2900[cm
−1]付近にアルキルのC−H伸縮振動ピークが見られ、化合物6がシリカゲルに担持されていることがわかる。
【0101】
カラム2の作製
充填剤2を内径2.1mm×長さ150mmのステンレスカラムにスラリー充填し、カラム2を得た。
【0102】
評価
カラム2を用いて、上記と同様の条件で表2に記載の試料を分析した。結果を表2に示す。また、評価クロマトグラムを
図6および7に示す。各試料で良好な結果が得られた
【0103】
【表2】
【0104】
<合成例4>
【化30】
【0105】
窒素雰囲気下、4−アリルブロモベンゼン(3000 mg, 15.2 mmol)と(NBu
4)
2[PtCl
6](27.6 mg, 3.04 mmol)をジエチルエーテル(ET
2O)とCH
2Cl
2の混合溶媒中に溶解させ、0℃まで冷却した。その後、ジクロロメチルシラン(30.4 mmol)を加え12時間撹拌した後濃縮し、アリルマグネシウムブロマイド(41.1 mmol)を0℃下で滴下し3時間撹拌した。反応終了後、水でクエンチし10重量%のHClとNaHCO
3水溶液で洗浄しジエチルエーテルで水層から抽出した。集めた有機層は飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥させた後、濾過・濃縮し,粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (hexane) により精製し、化合物7を得た(4674 mg 95%)。得
られた化合物7のNMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3) δ-0.024 (s, 3H), 0.546-0.592 (m, 2H), 1.526-1.633 (m, 6H) 2.564 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 4.817-4.861 (m, 4H), 5.692-5.804(m, 2H), 7.036 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 7.393 (d, J = 6.4 Hz, 2H)
【0106】
【化31】
【0107】
窒素雰囲気下、化合物7(1000 mg, 3.09 mmol)を蒸留THF(60 mL)に溶解させた後に、−78℃下でn−ブチルリチウム(
nBuLi)(6.18 mmol)を滴下し30分間攪拌した。その後、トリメトキシボラン(B(OMe)
3)(7.43 mmol)を滴下し30分・−78℃で攪拌した。反応終了後、水でクエンチし、10重量%HCl水溶液を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過・濃縮することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン/酢酸エチル=5/1)によって精製することで化合物8を得た(651 mg, 73%)。得られた化合物8のNMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR (DMSO)δ-0.008 (s, 3H), 0.558-0.600 (m, 2H), 1.551-1.671 (m, 6H), 2.620 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 4.737-4.887 (m, 4H), 5.725-5.834 (m, 2H), 7.193 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.752 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.155 (s, 2H).
【0108】
<実施例4>
【化32】
【0109】
窒素雰囲気下、化合物3(1200 mg, 1.60 mmol)及び化合物8(1156 mg, 4.01 mmol)、Pd/C(171 mg, 0.160 mmol)、K
2CO
3 (886 mg, 6.41 mmol)をジオキサン(23.5 ml)、H
2O(11.7 mL)に加え、95℃で6時間攪拌した。反応終了後セライト濾過を行い、水で洗浄した後に水層を酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、濾過・濃縮することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)によって精製し、目的の化合物9を得た(1226 mg 78%)。得られた化合物9のNMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3)δ-0.006 (s, 6H)0.591-0.670 (m, 4H), 1.554-1.813 (m, 20H), 2.206-2.266 (m, 2H), 2.361-2.436 (m, 2H), 2.644 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 2.810 (t, J = 8.0 Hz, 4H), 3.165-3.700 (m, 20H), 4.829-4.881 (m, 8H), 5.640-5.832 (m, 4H), 7.071 (
s, 2H), 7.190 (d, J = 7.6 Hz, 4H), 7.528 (d, J = 7.6 Hz, 4H).
【0110】
<実施例5>
化合物9のシリカゲルへの担持
反応容器にシリカゲル(2.51 g)を入れ、真空下ドライヤーで加熱しながら15分間乾燥した後に、ヒートガンで加熱しながら15分間乾燥させた。その後、180℃で加熱しながら7時間乾燥させた。室温に戻した後、化合物9(3048 mg, 3.11 mmol)の蒸留トルエン溶液(60 mL)を加え、150℃で15時間還流させた。次に、シリカゲルをトルエンで洗浄し濃縮・乾燥させ化合物9が担持されたシリカゲル(充填剤3)(2.79 g)を得た。担持されなかった化合物9は回収した(回収率:2.77 g, 91%)。充填剤3の炭素含有率を元素分析により求めたところ10.5%であった。なお、回収された化合物9は、構造的に変化していないことをNMRにより確認した。
【0111】
得られた充填剤3のIRスペクトルを測定した(
図8)。3000[cm
−1]付近に芳香族のC−H伸縮振動ピーク、2900[cm
−1]付近にアルキルのC−H伸縮振動ピークが検出されており、化合物9がシリカゲルに担持されていることがわかる。
【0112】
カラム3の作製
充填剤3を内径2.1mm×長さ150mmのステンレスカラムにスラリー充填し、カラム3を得た。
【0113】
評価
カラム3を用いて、上記と同様の条件で表3に記載の試料を分析した。結果を表3に示す。また、評価クロマトグラムを
図6および7に示す。各試料で良好な結果が得られた。
【0114】
【表3】
【0115】
<実施例6>
【化33】
【0116】
窒素雰囲気下、化合物3(300 mg, 0.401 mmol)及び化合物b(4−アセチルフェニルボロン酸)(164 mg, 1.00 mmol)、Pd/C(218 mg, 0.103 mmol)、K
2CO
3(222 mg, 1.603 mmol)をジオキサン(30 mL)、H
2O (15 mL)に加え、95℃で6時間攪拌した。反応終了後セライト濾過を行い、水で洗浄した後に水層を酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、濾過・濃縮することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物10を得た(293 mg 100%収率)。得られた化合物10のNMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3)δ1.711-1.793 (m, 8H), 2.214-2.290 (m, 2H), 2.398-2.432 (m, 2H), 2.648 (s, 6H), 2.819-2.835 (m, 4H), 3.187-3.674 (m, 20H), 7.113 (s, 2H), 7.758 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 8.009 (d, J = 6.4 Hz, 4H).
【0117】
【化34】
【0118】
窒素雰囲気下、化合物10(153 mg, 0.209 mmol)をジエチルエーテル(Et
2O)(8 mL)に溶解させた。次に0℃下で過剰量の上記グリニャール試薬c(国際公開第2013/002347号に従って合成)(1.67 mmol)を滴下し室温で5時間撹拌した。反応終了後、水でクエンチし、水で洗浄した後ジエチルエーテル(Et
2O)で水層から抽出した。集めた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し,濾過・濃縮することで目的の化合物11を得た(208 mg, 89%収率)。
1H NMR (CDCl
3)δ0.557-0.621 (m, 4H), 1.53-1.863 (m, 28H), 2.211-2.270 (m, 2H), 2.370-2.427 (m, 2H), 2.796-2.827 (m, 4H), 3.183-3.652 (m, 26H), 4.811-4.947 (m, 12H), 5.680-5.843 (m, 6H), 7.073 (s, 2H), 7.439 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.589 (d, J = 7.6 Hz, 4H).