(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109654
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】表面保護シート
(51)【国際特許分類】
C09J 7/04 20060101AFI20170327BHJP
C09J 123/06 20060101ALI20170327BHJP
C09J 191/06 20060101ALI20170327BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20170327BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
C09J7/04
C09J123/06
C09J191/06
B32B27/12
B32B27/32 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-133502(P2013-133502)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-7205(P2015-7205A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】507369811
【氏名又は名称】特種東海製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 弘之
(72)【発明者】
【氏名】松永 昌幸
【審査官】
相田 元
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−003792(JP,A)
【文献】
特開平11−129401(JP,A)
【文献】
特開2007−031639(JP,A)
【文献】
特開平08−319459(JP,A)
【文献】
特開平05−194923(JP,A)
【文献】
米国特許第05427850(US,A)
【文献】
特開2004−202917(JP,A)
【文献】
特開昭52−152439(JP,A)
【文献】
特開2012−076945(JP,A)
【文献】
特開2000−144093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/00− 7/04
B32B 1/00−43/00
D06M 13/00−15/715
C03B 40/00
D21B 1/00− 1/38
D21C 1/00−11/14
D21D 1/00−99/00
D21F 1/00−13/12
D21G 1/00− 9/00
D21H 11/00−27/42
D21J 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス又は金属の表面に当接させて使用する表面保護シートであって、繊維を主体とする支持体に、ポリエチレンを主体とする表面保護機能付与剤を固形量換算で0.1g/m2以上付与してなる表面保護シート。
【請求項2】
前記表面保護機能付与剤は、水に分散可能なポリエチレンワックスを含む請求項1に記載の表面保護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス又は金属の表面保護に用いられる表面保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製品、金属製品、鏡面光沢を有する製品は、製造、保管、運搬中に表面に物理的な損傷、汚染等の不具合が生じやすく、こうした不具合は、各種製品の製造の際の歩留まりに大きく影響する。例えば、表面に電気回路等を組み込むガラス基板として使用される液晶ディスプレイ用ガラス板は、複数枚を重ね合わせて保管、搬送する場合が多いところ、その保管、運搬中に他のガラス板と接触する等により僅かでも損傷、汚染を生じるとディスプレイに組み込んで使用する場合に不具合を生ずるため、極めて高度の表面特性を必要とする。このガラス基板としての表面特性を確保し、隣接して積層されているガラス板どうしの接触による損傷等の不具合を防止すべく、従来、積層するガラス板間にガラス用合紙を挿入することが行われている。 別の例として、金属箔が使用されるフレキシブルプリント基板やリードフレーム等の精密部品は、金属面同士や部品同士の摩擦等により損傷、汚染が生じると最終製品に不具合が生ずるため、やはり高度の表面特性が必要とされ、合紙が使用されている。
【0003】
ガラス用合紙に関し、例えば特許文献1には、傷の発生防止能が高く、合紙の成分がガラス板表面に付着しても容易に水洗除去可能なガラス用合紙として、アルギン酸アンモニウム等の水溶性有機酸塩を含む処理剤を紙に塗工したものが記載されている。特許文献1によれば、特許文献1に記載のガラス用合紙は、処理剤を含有する膜の作用により弾性を有しているので摩擦係数が低下しており、そのため、積層するガラス板間に挿入して使用しても傷が付きにくいとされている。
【0004】
特許文献1の〔0004〕及び〔0005〕等に記載されているように、ガラス用合紙においては、従来、合紙の樹脂成分がガラス板表面に転写されてガラス板表面を汚染するという問題が指摘されており、この問題を回避するため、ガラス用合紙としては従来、樹脂成分の含有量が少ない紙が用いられている。また、特許文献1に記載のガラス用合紙は、この問題に鑑み、該合紙の成分がガラス板表面に付着しても容易に水洗除去可能である点を主たる特徴の1つとしている。このように、ガラス用合紙の分野においては、ガラス用合紙の成分が保護対象物であるガラス板表面に転写されることは望ましくないこととされており、例えば特許文献2に記載の如き、原紙上にポリエチレンワックスが塗工された紙(新聞用紙)をガラス用合紙として用いることは、当業者の常識の範囲外と言える。
【0005】
また、ガラス用合紙によるガラス板の保護ではなく、ガラス板そのものの保護についても種々提案がなされており、例えば特許文献3には、ガラス板表面に水溶性保護膜を形成することが記載されており、この水溶性保護膜の成分としてポリエチレンが例示されている。
【0006】
また、金属製品用合紙に関し、例えば特許文献4には、ステンレス鋼帯用合紙として、クラフト紙に滑剤を塗工含有させ、表裏面の動摩擦係数を特定範囲に調整したものが記載されている。特許文献4に記載の合紙は、ステンレス鋼帯の加工工程(調質圧延工程)において、潤滑油を用いずにステンレス鋼帯の圧延を円滑に進めるためのものであり、特許文献4によれば、ステンレス鋼帯の巻取り用合紙としてステンレス鋼帯と一緒に巻き取って使用することにより、合紙表面から滑剤がステンレス鋼帯の表面に転移し、これにより、圧延処理に際しステンレス鋼帯が伸び易くなり、圧延処理が極めて円滑にできるようになるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/007530号
【特許文献2】特許第4912196号公報
【特許文献3】特開2012−76945号公報
【特許文献4】特開平9−3792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ガラス又は金属の表面保護効果に優れる表面保護シートに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ガラス用合紙について種々検討した結果、特許文献1に記載の如き、この分野の常識(ガラス用合紙の樹脂成分の含有量が多いと、該樹脂成分がガラス表面に転写されてこれを汚染するので、ガラス用合紙としては樹脂成分の含有量が少ないものを用いる。)に反し、ポリエチレンワックスを比較的多量に含有する樹脂含有紙が、ガラス表面の傷発生防止能を高めるのに有効であるとの知見を得た。この樹脂含有紙をガラス表面に当接させると、それに含まれるポリエチレンがガラス表面に転写して保護層が形成されるため、ガラス表面が該保護層によって物理的に保護され、ガラス表面に傷が付きにくくなる。
【0010】
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、ガラス又は金属の表面に当接させて使用する表面保護シートであって、繊維を主体とする支持体に、ポリエチレンを主体とする表面保護機能付与剤を固形量換算で0.1g/m
2以上付与してなる表面保護シートである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の表面保護シートによれば、該シートと当接された保護対象面(ガラス又は金属の表面)に保護層が形成されるので、該保護対象面に傷や錆等の不具合が生じ難く、優れた表面保護効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る支持体は、繊維を主体とするシート状物である。ここでいう、「繊維を主体とする」は、支持体中の繊維の含有率が50質量%以上であることを意味する。本発明に係る支持体は、好ましくは紙又は布である。布の場合は、織布でも良く、あるいは乾式法、湿式法、スパンボンド法等による不織布でも良い。紙としては、製紙用として一般的に用いられている木材パルプ等の繊維を原料として用い、公知の湿式抄紙機により抄紙したものが挙げられる。また、本発明に係る支持体は、単層にかぎらず、同種又は2種以上のシート状物を組み合わせた積層構造としても良い。
【0013】
本発明に係る支持体の構成繊維としては、紙あるいは布の構成繊維として通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;他、麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂からなる合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明に係る支持体には、必要に応じ繊維以外の他の成分を含有させても良い。支持体に含有可能な繊維以外の他の成分としては、例えば、澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤又は定着剤、サイズ剤、填料、濾水歩留り向上剤、耐水化剤、定着剤、消泡剤、スライムコントロール剤等を挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら他の成分は、一般に製紙用内添薬品として用いられるもので、特に支持体が紙である場合に有効である。但し、本発明の表面保護シートの保護対象が前述の液晶ディスプレイ用ガラス板のように汚染を禁忌とする用途の場合は、当該用途に影響を及ぼさない範囲で他の成分を使用できる。
【0015】
本発明に係る支持体の坪量は、特に制限されず、表面保護シートの用途等に応じて適宜調整すれば良い。例えば表面保護シートをガラス用合紙として用いる場合、支持体の坪量は、好ましくは30〜100g/m
2、更に好ましくは30〜50g/m
2である。
【0016】
本発明の表面保護シートは、前述した支持体に、ポリエチレンを主体とする表面保護機能付与剤を付与してなる。前述したように、本発明の表面保護シートは、これに含まれるポリエチレンを保護対象面(ガラス又は金属の表面)に転写させて、該保護対象面に該ポリエチレンからなる保護層を形成する機能を有するものであり、ポリエチレンは、本発明の斯かる機能発現に必須の成分である。表面保護機能付与剤中のポリエチレンの含有率は、好ましくは30〜100質量%、更に好ましくは50〜100質量%である。
【0017】
本発明に係る表面保護機能付与剤の好ましい一例として、水に分散可能なポリエチレンワックスを含む表面保護機能付与剤が挙げられる。このポリエチレンワックスを水に分散させたポリエチレンワックスエマルジョンは、本発明に係る表面保護機能付与剤として好ましく用いられる。本発明に係る表面保護機能付与剤には、2種以上のポリエチレン(ポリエチレンワックス)を含有させても良い。
【0018】
本発明で用いるポリエチレンワックスの好ましい一例として、酸化型ポリエチレンワックスが挙げられる。酸化型ポリエチレンワックスは、ポリエチレンワックスを化学反応により酸化するか、又はポリエチレンワックスに水酸基、カルボキシル基等の酸性基を導入することにより得られる。酸化型ポリエチレンワックスは、その分子鎖内に極性基を有していることから、これを含むエマルジョン(表面保護機能付与剤)の形成を安定したものとなすことができる。酸化型ポリエチレンワックスとしては、市販品を用いることができ、例えば、サンノプコ株式会社製の商品名「ノプコートPEM−17」が挙げられる。
【0019】
本発明に係る表面保護機能付与剤には、必要に応じ、ポリエチレン(ポリエチレンワックス)以外の他の樹脂成分、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミドの1種以上を含有させても良い。また、表面保護機能付与剤には、樹脂以外の他の成分、例えば、アセチレングリコール等の1種以上を含有させても良い。
【0020】
本発明においては、表面保護機能付与剤(例えばポリエチレンワックスエマルジョン)の支持体への付与量を、固形量換算で0.1g/m
2以上とする。斯かる表面保護機能付与剤の特定の付与量は、例えば特許文献2に記載の新聞用紙におけるポリエチレンワックスの塗布量0.005〜0.025g/m
2を大きく超えるものであり、本発明の表面保護シートには比較的多量のポリエチレンが含まれていると言える。このような多量の樹脂成分を含むシートを、ガラス用合紙の如き表面保護シートとして用いることは、従来では考え難いことである。表面保護機能付与剤の支持体への付与量が固形量換算で0.1g/m
2未満では、保護対象面の表面保護効果に乏しい。一方、表面保護機能付与剤の付与量が多すぎると、得られたシートの表面が滑りやすくなり、該シートのハンドリング性が低下するおそれがある。以上の観点から、表面保護機能付与剤の支持体への付与量は、固形量換算で、好ましくは0.1〜0.8g/m
2、更に好ましくは0.1〜0.3g/m
2である。
【0021】
表面保護機能付与剤の支持体への付与方法としては、紙あるいは布に流動性を有する剤を付与するのに通常用いられる公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、表面保護機能付与剤あるいはこれを含む液中への支持体の浸漬、各種塗工機を用いた表面保護機能付与剤の塗工、積層等が挙げられる。後者の場合、表面保護機能付与剤は支持体の一面のみに塗工しても良く、両面に塗工しても良い。
【0022】
本発明の表面保護シートは、その表面(表面保護機能付与剤を支持体の一面に塗工により付与した場合はその付与面)を保護対象物であるガラス又は金属の表面に当接させて使用する。斯かる使
用方法により、保護対象物の表面に、表面保護シートに含まれるポリエチレンが転写されて保護層(ポリエチレン含有層)が形成され、該保護層によって、保護対象物の傷発生防止能が向上する。こうして保護層で表面が被覆された保護対象物(ガラス又は金属)は、そのまま各種用途に適用可能であり、保護層の意図的な除去は基本的に不要である。本発明の表面保護シートは、積層するガラス板間に挿入して使用するガラス用合紙の他、ガラス製品、金属製品、鏡面光沢を有する製品の表面保護用途全般に使用可能である。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
【0024】
〔実施例1〜8及び比較例1〜3〕
下記3種の支持体A〜Cの何れかに、下記5種の処理剤A〜Eの何れかを固形量換算で所定量付与し、複数種の表面保護シートを作製した。処理剤の支持体への付与は次のようにして行った。縦210mm、横210mmの平面視四角形形状の支持体を、処理剤中に完全に浸漬させた後、辻井染機工業製VPM−1Aを用いて該支持体から余分な処理剤を搾り取り、110℃に加温したシリンダードライヤーで乾燥した。処理剤は、所定の付与量になるよう、適宜水で希釈して用いた。処理剤の支持体への付与量(固形量換算)は、処理剤浸漬前の支持体重量と、余分な処理剤を搾り取った後の支持体重量と、処理剤の固形分濃度とから算出した。
【0025】
・支持体A:NBKPをダブルディスクリファイナーで濾水度500mlになるように叩解し、これに星光PMC製湿潤紙力剤WS4052を0.1質量%添加して得たスラリーを用い、長網式抄紙機により常法に従って湿式抄紙法を実施し、坪量45g/m
2の紙を得た。
・支持体B:NBKPとLBKPとをそれぞれ等量混合し、ダブルディスクリファイナーで濾水度450mlになるように叩解し、これに星光PMC製湿潤紙力剤WS4052を0.1質量%添加して得たスラリーを用い、長網式抄紙機により常法に従って湿式抄紙法を実施し、坪量45g/m
2の紙を得た。
・支持体C:帝人製テルピス(登録商標)TT04N(ポリエステル繊維、1.7デニール、カット長5mm)80質量部と、帝人製テルピス(登録商標)TJ04CN(ポリエステル繊維、1.7デニール、カット長5mm)20質量部とを混合して得たスラリーを用い、100メッシュの網で250mm四方のシートを湿式抄紙法により抄造し、該シートを脱水後、110℃に加温したシリンダードライヤーで乾燥し、坪量45g/m
2の布(湿式法による不織布)を得た。
【0026】
・処理剤A:ポリエチレンワックスエマルジョン(サンノプコ製、ノプコートPEM−17)
・処理剤B:ポリエチレンワックスエマルジョン(サンノプコ製、ノプコートPEM−17)50質量部とポリビニルアルコール(クラレ製、PVA205)50質量部との混合物
・処理剤C:ポリエチレンワックスエマルジョン(日華化学製、サントールP−40)
・処理剤D:ポリエチレンワックスエマルジョン(明成化学製、メイカテックスHP−70)
・処理剤E:ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA205)
【0027】
〔評価〕
各実施例及び比較例の表面保護シートについて、下記方法により表面保護性能を評価した。その結果を下記表1に示す。尚、評価対象の各シートは、評価前にJIS P−8111に準じて処理を行なった後、評価に供した。
【0028】
<表面保護性能の評価方法>
評価対象の表面保護シートを7枚用意し、その7枚のシートと、該シートと平面視形状が同形状同寸法の6枚の薄板状の保護対象物とを、それらの厚み方向に交互に積層し、その積層物を、該厚み方向(積層方向)を垂直方向に一致させて平坦な床の上に載置し、温度23℃湿度50%RHの環境下に16時間放置した。その後、6枚の保護対象物のうち最上部に位置するものを除き、残りの5枚の保護対象物それぞれの表面(表面保護シートとの接触面)を、JIS K−5600−5−4による鉛筆硬度試験に準じて、所定の鉛筆(3H)を使用して、7.35N(750g重)の荷重をかけつつ引っ掻いた。鉛筆で引っ掻いた後の各保護対象物の表面を目視で観察し、それら表面の全てに傷又は圧痕を確認できなかった場合を○、5枚の保護対象物のうち1〜2枚の表面にのみ傷又は圧痕が確認された場合を△、それ以外の場合を×とした。保護対象物としては、クラウンガラス板(松浪硝子製S9111)、ソーダガラス板(松浪硝子製S9213)、無アルカリガラス板(富士理科工業製TF-2K)、ステンレス板(SUS403鏡面加工品)、銅板(C1100P鏡面加工品)を用いた。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示す通り、各実施例は、保護対象物の傷発生防止能を向上させることができ、表面保護性能に優れるものであった。また、実施例1については、保護対象物として3種のガラス板の他に、鏡面光沢を有する2種の金属板を用いたところ、いずれの保護対象物に対しても高い表面保護性能を発揮した。これに対し、比較例1は、処理剤を一切付与していない単なるクラフト紙であるため、各実施例に比して表面保護性能に劣る結果となった。また比較例2は、処理剤は付与されているものの、その付与量が少ないため、各実施例に比して表面保護性能に劣る結果となった。また比較例3は、付与量は実施例1と同じであるが、付与剤にポリエチレンが含まれていないため、各実施例に比して表面保護性能に劣る結果となった。以上の結果から、保護対象物(ガラス、金属)の傷発生防止能を向上させるためには、「繊維を主体とする支持体に、ポリエチレンを主体とする表面保護機能付与剤を固形量換算で0.1g/m
2以上付与する」ことが有効であることがわかる。