特許第6109704号(P6109704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109704
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】タイヤ成型機及びタイヤ成型方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/08 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
   B29D30/08
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-216622(P2013-216622)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2015-77739(P2015-77739A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 謙介
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−181949(JP,A)
【文献】 特開2001−212887(JP,A)
【文献】 特開平1−229618(JP,A)
【文献】 実公昭44−21491(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に帯状部材が貼付されたトレイと、回転可能に支持された成型ドラムと、外部から移載された前記トレイを前記成型ドラムへ移動させる受け台と、前記成型ドラムの回転及び前記受け台の移動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記トレイに貼付された前記帯状部材の先端を前記成型ドラムの下面に当接させた状態で、前記成型ドラムの回転に同期して前記トレイを前進させて、前記成型ドラムに前記帯状部材を貼付するタイヤ成型機において、
前記受け台に移載された前記トレイの左側部の重量を検出する左重量検出部と、前記トレイの右側部の重量を検出する右重量検出部と、前記左重量検出部及び前記右重量検出部の検出値から前記トレイに貼付された前記帯状部材の左右方向の位置ズレ量を算出する算出部と、前記算出部が算出した位置ズレ量に基づいて前記トレイを左右方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴とするタイヤ成型機。
【請求項2】
前記左重量検出部及び前記右重量検出部は、前記トレイの移動方向に間隔をあけて設けられた複数の重量センサを備えることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ成型機。
【請求項3】
前記左重量検出部及び前記右重量検出部は、3個の重量センサをそれぞれ備えることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ成型機。
【請求項4】
トレイの上面に貼付された帯状部材の先端を成型ドラムの下面に当接させた状態で、前記成型ドラムの回転に同期して前記トレイを前進させて、前記成型ドラムに前記帯状部材を貼付するタイヤ成型方法において、
前記トレイの左右両側部の重量を検出し、検出した前記トレイの左右両側部の重量から前記トレイに貼付された前記帯状部材の左右方向の位置ズレ量を算出し、算出した位置ズレ量に基づいて前記トレイを左右方向に移動させた後、前記成型ドラムの回転に同期して前記トレイを前進させて、前記成型ドラムに前記帯状部材を貼付することを特徴とするタイヤ成型方法。
【請求項5】
前記トレイの左右両側部において前記トレイの移動方向に間隔をあけて設けられた複数の重量センサによって前記トレイの左右両側部の重量を検出することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ成型方法。
【請求項6】
前記トレイの左右両側部に設けられた3個の重量センサによって前記トレイの左右両側部の重量を検出することを特徴とする請求項5に記載のタイヤ成型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤを構成する帯状部材を成型ドラム上に貼付けるタイヤ成型装置及びタイヤ成型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、一次成型機の成型ドラム上にインナライナー、カーカス及びサイドウォールを構成する帯状部材を順に貼付けて円筒形の一次ケースを成型し、次いでこの一次ケースを二次成型機の成型ドラムに移してトロイダル状に変形し、その後、ベルトおよびトレッドを構成する帯状部材を貼付け、得られたグリーンケースを加硫して製造される。
【0003】
このようなタイヤの製造工程において、トレッド等を構成する帯状部材は、所定長さに形成された後、成型ドラムに供給されて成型ドラムに貼付されるが、成型ドラムに対する帯状部材の貼り付け位置が帯状部材の幅方向(成型ドラムの回転軸方向)にズレると、タイヤ幅方向の重量バランスが悪化する問題がある。
【0004】
このような帯状部材の貼り付け位置のズレを抑えるために、例えば、下記特許文献1では、光学的検出手段によりトレッドのセンター位置を計測して位置ズレ量を算出することが提案され、下記特許文献2では、近接スイッチや光電スイッチ等からなる検出器によりトレッドに設けたセンタリング用溝を検出することが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1及び2に開示された方法では、トレッドを構成するトレッドゴムのような押出機から押し出し所定長さで定尺切断して形成される帯状部材であると幅方向(押出方向に垂直な方向)の長さが、押出方向で僅かであるが変化するため、タイヤ幅方向の重量バランスを高精度に均一化することが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−279324号公報
【特許文献2】特開平6−8353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題を考慮してなされたものであり、タイヤ幅方向の重量バランスを高精度に均一化することができるタイヤ成型機及びタイヤ成型方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るタイヤ成型機は、上面に帯状部材が貼付されたトレイと、回転可能に支持された成型ドラムと、外部から移載された前記トレイを前記成型ドラムへ移動させる受け台と、前記成型ドラムの回転及び前記受け台の移動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記トレイに貼付された前記帯状部材の先端を前記成型ドラムの下面に当接させた状態で、前記成型ドラムの回転に同期して前記トレイを前進させて、前記成型ドラムに前記帯状部材を貼付するタイヤ成型機において、前記受け台に移載された前記トレイの左側部の重量を検出する左重量検出部と、前記トレイの右側部の重量を検出する右重量検出部と、前記左重量検出部及び前記右重量検出部の検出値から前記トレイに貼付された前記帯状部材の左右方向の位置ズレ量を算出する算出部と、前記算出部が算出した位置ズレ量に基づいて前記トレイを左右方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るタイヤ成型機の好ましい態様として、前記左重量検出部及び前記右重量検出部は、前記トレイの移動方向に間隔をあけて設けられた複数の重量センサを備えてもよく、より好ましくは、3個の重量センサを備えてもよい。
【0010】
また、本発明に係るタイヤ成型方法は、トレイの上面に貼付された帯状部材の先端を成型ドラムの下面に当接させた状態で、前記成型ドラムの回転に同期して前記トレイを前進させて、前記成型ドラムに前記帯状部材を貼付するタイヤ成型方法において、前記トレイの左右両側部の重量を検出し、検出した前記トレイの左右両側部の重量から前記トレイに貼付された前記帯状部材の左右方向の位置ズレ量を算出し、算出した位置ズレ量に基づいて前記トレイを左右方向に移動させた後、前記成型ドラムの回転に同期して前記トレイを前進させて、前記成型ドラムに前記帯状部材を貼付することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るタイヤ成型方法の好ましい態様として、前記トレイの左右両側部において前記トレイの移動方向に間隔をあけて設けられた複数の重量センサによって前記トレイの左右両側部の重量を検出してもよく、より好ましくは、3個の重量センサによって前記トレイの左右両側部の重量を検出してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帯状部材が貼付されたトレイの左右両側部の重量からトレイに貼付された帯状部材の左右方向の位置ズレ量を算出し、算出した位置ズレ量に基づいてトレイを左右方向に移動させるため、タイヤ幅方向の重量バランスを高精度に均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ成型装置の平面図である。
図2図1に示すタイヤ成型装置の側面図である。
図3図1に示すタイヤ成型装置の正面図である。
図4図1に示すタイヤ成型装置の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1図3に示すタイヤ成型装置1は、トレッドを構成するゴム材からなる帯状部材(トレッドゴム)2を成型ドラム10に貼付する装置であって、帯状部材2が貼付されたトレイ12と、回転可能に支持された成型ドラム10と、トレイ12を成型ドラム10へ移動させる受け台14と、成型ドラム10の回転及び受け台14の移動を制御する制御部16とを備える。
【0016】
トレイ12は、アルミニウム等の金属からなる表面が平滑な細長い矩形状の板体であり、その上面に細長い矩形状の帯状部材2が貼付されている。
【0017】
受け台14は、帯状部材2が貼付されたトレイ12を複数備えるトレイカセット等のタイヤ成型装置1外部から不図示のトランスファによって移載されるもので、トレイ12全体を受け入れることができるように受け入れることができる細長い矩形状を成している。
【0018】
成型ドラム10は、水平に配置された回転軸18に回転可能に支持されており、モータなどの駆動装置20に接続されている。この成型ドラム10の下方には、昇降装置22に支持された受け台14が配設されている。
【0019】
昇降装置22の上面には、リニアガイド24が固定されており、受け台14の下面に設けられたレール26の一端部を摺動可能に支持している。レール26は、水平方向であって回転軸18に垂直な方向(前後方向)Aに沿って延び、回転軸18の軸方向(左右方向)Bに間隔をあけて複数本(例えば、2本)配置されており、レール26の前後方向中央部が、リニアガイド24より後方A2に配置されたローラ28によって摺動可能に支持されている。
【0020】
図3に示すように、受け台14の下面には、左右方向Bに間隔をあけて配置された2本のレール26の間に前後方向Aに沿ってラック30が固定されている。このラック30に噛み合うピニオン32は、昇降装置22に設けられた駆動軸21に固定され、駆動装置20からの動力を受けて回転する。
【0021】
このような受け台14は、駆動装置20が動作すると駆動軸21、ピニオン32、及びラック30を介して駆動装置20の動力が伝達されることで、レール26がリニアガイド24を前後方向Aに摺動する。これにより、受け台14は、トレイ12を載せた状態で、平面視において成型ドラム10より後方A2に離れた待機位置Pから前方A1へ移動して成型ドラム10の下方を通過したり、成型ドラム10の下方から後方A2へ移動して待機位置Pへ戻る。
【0022】
また、ピニオン32が固定された駆動軸21は、クラッチ34を介して伝達ベルト36により成型ドラム10の回転軸18に連結されており、クラッチ34が駆動軸21と伝達ベルト36とを接続すると、受け台14の前後方向Aの移動と同期して成型ドラム10が回転し、クラッチ34が駆動軸21と伝達ベルト36との接続を切断すると、成型ドラム10に駆動装置20から動力が伝達されず、成型ドラム10が停止した状態で、受け台14が前後方向Aに移動する。
【0023】
なお、図3において、38は成型ドラム10の支持装置である。また、図2において、40はテンションプーリであり、昇降装置22の昇降に伴って前後方向に移動し、伝達ベルト36の張力を自動的に調節する。
【0024】
図1に示すように、受け台14の上面には、左右方向Bに延びる回転軸に回転可能に支持された複数個のガイドローラ42が前後方向Aに間隔をあけて左右2列に設けられ、本実施形態では、左右それぞれに前後方向Aの前部、中央部、及び後部の3個ずつ設けられ合計6個のガイドローラ42が設けられている。
【0025】
複数個(6個)のガイドローラ42の上には、帯状部材2を貼付したトレイ12が載置され、トレイ12の左側B1に位置する3つのガイドローラ(前部ガイドローラ42a、中央部ガイドローラ42b、及び後部ガイドローラ42c)によって、トレイ12の左側下面の前部、中央部、及び後部をそれぞれ支持し、トレイ12の右側B2に位置する3つのガイドローラ(前部ガイドローラ42d、中央部ガイドローラ42e、及び後部ガイドローラ42f)によって、トレイ12の右側下面の前部、中央部、及び後部をそれぞれ支持する。
【0026】
複数個のガイドローラ42のそれぞれの下方には、ガイドローラ42の上に載置されたトレイ12の重量を検出する重量センサ44が設けられている。
【0027】
具体的には、トレイ12の左側B1に位置する前部ガイドローラ42a、中央部ガイドローラ42b、及び後部ガイドローラ42cの下方に設けられた重量センサ44a、44b、44cは、トレイ12の左側部の重量を検出する左重量検出部46を構成する。つまり、左重量検出部46は、トレイ12が移動する前後方向Aに間隔をあけて設けられ3つの重量センサ44a、44b、44cから構成され、受け台14に移載されたトレイ12の左側前部、左側中央部、及び左側後部の重量をそれぞれ検出する。
【0028】
また、トレイ12の右側B2に位置する前部ガイドローラ42d、中央部ガイドローラ42e、及び後部ガイドローラ42fの下方に設けられた重量センサ44d、44e、44fは、トレイ12の右側部の重量を検出する右重量検出部48を構成する。つまり、
右重量検出部48は、トレイ12が移動する前後方向Aに間隔をあけて設けられ3つの重量センサ44d、44e、44fから構成され、受け台14に移載されたトレイ12の右側前部、右側中央部、及び右側後部の重量をそれぞれ検出する。
【0029】
受け台14の後端部には、トレイ12の後端を係止する後端ストッパ50が固定され、受け台14の前端には、エアシリンダの駆動で前後へ移動する前端押圧ローラ52が設けられている。前端押圧ローラ52は、後方へ移動した時にトレイ12の前端に当接してトレイ12を後方へ押して後端ストッパ50に押し当てることで、前後方向Aの位置決めを行う。
【0030】
また、受け台14の左右方向Bの一方側縁部(左側縁部)には、前後方向Aに間隔をあけて複数個(本実施形態では2個)の側縁ストッパ54が設けられ、他方側縁部(右側縁部)には、エアシリンダの駆動で左右へ移動する側縁押圧ローラ56が側縁ストッパ54に対向する位置に設けられている。
【0031】
側縁ストッパ54は、トレイ12の左側縁を係止するローラ型のストッパであり、駆動装置55からの動力を受けて左右方向Bに位置調整可能に設けられている。側縁押圧ローラ56は、対向する側縁ストッパ54へ向けて移動した時にトレイ12の右側縁に当接してトレイ12を左方へ押して側縁ストッパ54に押し当てることで左右方向Bの位置決めを行う。
【0032】
このような側縁ストッパ54、駆動装置55、及び側縁押圧ローラ56は、駆動装置55が側縁ストッパ54の左右方向Bの位置を変更することで、トレイ12を左右方向Bに位置調整する移動機構を構成する。
【0033】
制御部16は、図4に示すように、メモリに記憶された制御プログラムに従って、駆動装置20、昇降装置22、クラッチ34、前端押圧ローラ52、駆動装置55、側縁押圧ローラ56の動作を制御する。また、制御部16は、左重量検出部46を構成する重量センサ44a、44b、44c、及び右重量検出部48を構成する重量センサ44d、44e、44fと接続されており、各重量センサ44a、44b、44c、44d、44e、44fで検出された検出値が制御部16に入力され、これらの検出値からトレイ12に貼付された帯状部材2の左右方向Bの中心位置を算出する算出部としても機能する。
【0034】
具体的には、制御部16は、まず、受け台14が成型ドラム10から離れるように昇降装置22を降下させるとともに受け台14を待機位置Pに配置させ、更に、前端押圧ローラ52及び側縁押圧ローラ56を後退させる(図1参照)。
【0035】
この状態でタイヤ成型装置1外部から不図示のトランスファによってトレイ12が受け台14に載置されると、前端押圧ローラ52を後方へ向けて移動させてトレイ12の後端を後端ストッパ50に押し当てて前後方向Aの位置決めを行う。
【0036】
そして、左重量検出部46を構成する3個の重量センサ44a、44b、44cが、受け台14に移載されたトレイ12の左側前部の重量Wa、左側中央部の重量Wb、及び左側後部の重量Wcをそれぞれ検出し、右重量検出部48を構成する3個の重量センサ44d、44e、44fが、受け台14に移載されたトレイ12の右側前部の重量Wd、右側中央部の重量We、及び右側後部の重量Wfをそれぞれ検出する。検出された重量Wa、Wb、Wc、Wd、We、Wfは、制御部16に入力される。
【0037】
制御部16では、左重量検出部46を構成する3個の重量センサ44a、44b、44cで検出された重量Wa、Wb、Wcを平均値Wl(=(Wa+Wb+Wc)/3)を算出し、右重量検出部48を構成する3個の重量センサ44d、44e、44fで検出された重量Wd、We、Wfを平均値Wl(=(Wd+We+Wf)/3)を算出する。
【0038】
そして、制御部16は、算出された左重量検出部46の平均値Wl及び右重量検出部48の平均値Wrと、予め制御部16のメモリに記憶された帯状部材2の左右方向Bの長さ(幅)寸法Yとから例えば下記式(1)に基づいてトレイ12に貼付された帯状部材2の左右方向Bの位置ズレ量Sを算出する。
【数1】
【0039】
そして、制御部16は、算出した位置ズレ量Sに基づいて駆動装置55を制御して側縁ストッパ54の左右方向Bの位置を調整した後、側縁押圧ローラ56を側縁ストッパ54へ向けて移動させてトレイ12の右側縁に当接させる。これにより、トレイ12に貼付された帯状部材2の左右方向Bの中心が、成型ドラム10における帯状部材2の貼付位置の中心に一致するようにトレイ12が左右方向Bに移動する。
【0040】
そして、制御部16は、前端押圧ローラ52をトレイ12から離れるように後退させて、トレイ12が、側縁ストッパ54と側縁押圧ローラ56とで案内されて前端押圧ローラ52と後端ストッパ50との間を前後方向Aに移動できる状態とする。
【0041】
そして、制御部16は、クラッチ34が駆動軸21と伝達ベルト36との接続を切断した状態で駆動装置20を動作させて、成型ドラム10の回転を停止させつつ受け台14を前方A1に移動する。
【0042】
そして、受け台14に載置されたトレイ12上の帯状部材2の先端が成型ドラム10の直下に到達すると、制御部16は、帯状部材2の先端が成型ドラム10の下面に当接するように昇降装置22を上昇させるとともに、クラッチ34により駆動軸21と伝達ベルト36とを接続する。これにより、受け台14に載置されたトレイ12の前方A1への移動と同期して成型ドラム10が回転を開始し、トレイ12に貼付された帯状部材2が成型ドラム10に巻き付けられながら貼付される。このとき、後端ストッパ50とトレイ12との間に隙間が生じ、この隙間が帯状部材2の厚みに応じて次第に広がりながら帯状部材2の巻き付けが進行する。そして、成型ドラム10が1回転すると帯状部材2の成型ドラム10への貼り付けが終了する。
【0043】
以上のような本実施形態のタイヤ成型装置1では、左重量検出部46がトレイ12の左側部の重量を検出し、右重量検出部48がトレイ12の右側部の重量を検出し、検出したトレイ12の左右の重量から算出したトレイ12に貼付された帯状部材2の左右方向Bの位置ズレ量Sに基づいてトレイ12を左右方向Bに位置調整するため、タイヤ幅方向の重量バランスを高精度に均一化することができる。
【0044】
しかも、本実施形態では、左重量検出部46及び右重量検出部48が、トレイ12の移動方向(前後方向)Aに間隔をあけて設けられた複数個の重量センサ44a、44b、44c、44d、44e、44fで構成されているため、タイヤ幅方向の重量バランスを、より一層、高精度に均一化することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…タイヤ成型装置
2…帯状部材
10…成型ドラム
12…トレイ
14…受け台
16…制御部
18…回転軸
20…駆動装置
21…駆動軸
22…昇降装置
24…リニアガイド
26…レール
28…ローラ
30…ラック
32…ピニオン
34…クラッチ
36…伝達ベルト
42…ガイドローラ
44…重量センサ
46…左重量検出部
48…右重量検出部
50…後端ストッパ
52…前端押圧ローラ
54…側縁ストッパ
55…駆動装置
56…側縁押圧ローラ
図1
図2
図3
図4