【文献】
Renat Imayev,Ayrat Nazarov,Radik Mulyukov,Principles of Fabrication of Bulk Ultrafine-Grained and Nanostructured Materials by Multiple Isothermal Forging,Materials Science Forum,米国,2010年 1月,Vols.638-642,pp.1702-1707
【文献】
G.A.Salishchev, et al.,Effect of Deformation Conditions on Grain Size and Microstructure Homogeneity of β-Rich Titanium Alloys,Journal of Materials Engineering and Performance,2005年,Vol.14/No.6,pp.709-716
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワークピースが、ASTMグレード5、6、12、19、20、21、23、24、25、29、32、35、36、および38チタン合金から選択されるチタン合金を含む、請求項1に記載の方法。
金属材料のβ相領域における塑性変形温度でワークピースを塑性変形することが、ワークピースの引き抜き、据え込み鍛造、および高ひずみ速度多軸鍛造のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項8に記載の方法。
塑性変形温度が、金属材料のβトランザス温度から金属材料のβトランザス温度を最大で300°F(111℃)を超えるまでの塑性変形温度範囲(両端を含む)にある、請求項8に記載の方法。
ワークピースを塑性変形することが、ワークピースを0.1〜0.5の範囲(両端を含む)のβ据え込みひずみまで据え込み鍛造することを含む、請求項8に記載の方法。
ワークピースにおいて4.7の真のひずみが達成されるまで、請求項1に列挙したプレス鍛造および冷却させるステップのうちの1つ以上のステップを繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
ワークピースが、円筒形状ワークピースを含み、増分の回転および引き抜き鍛造が、15°の増分で円筒形状ワークピースを回転させ、続いて、円筒形状ワークピースが360°を通して回転するまで、各回転後に引き抜き鍛造することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
ワークピースが、正八角形状ワークピースを含み、増分の回転および引き抜き鍛造が、該八角形状ワークピースを45°回転させ、続いて、正八角形状ワークピースが360°を通して回転するまで、各回転後に引き抜き鍛造することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
ワークピースが、ASTMグレード5、6、12、19、20、21、23、24、25、29、32、35、36、および38チタン合金のうちの1つを含む、請求項22に記載の方法。
塑性変形温度が、金属材料のβトランザス温度から金属材料のβトランザス温度を300°F(111℃)を超えるまでの塑性変形温度範囲(両端を含む)にある、請求項34に記載の方法。
チタン合金ワークピースにおいて少なくとも10の真のひずみが達成されるまで、加熱、据え込み鍛造、および複数回の引き抜き鍛造ステップを繰り返すことをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
読者は、本開示によるある一定の非限定的な実施形態の以下の詳細な記載を考慮して、上記の詳細などを理解するだろう。
【0016】
操作例または別途示されているもの以外の非限定的な実施形態の本記載において、量または特徴を表現する全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるとして理解されるべきである。したがって、反対であることを示さない限り、以下の記載におけるいずれの数値パラメータも、本開示による方法によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。各数値パラメータは、最低限でも、特許請求の範囲の均等論の適用を制限する企図としてではなく、報告されている有意な桁数に照らして、通常の周辺技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0017】
参照により本明細書に組み込まれると言われているいずれの特許、公開公報または他の開示材料も、その全てまたは一部において、組み込まれた材料が本開示に記載されている既存の定義、記述、または他の開示物に矛盾しない程度でのみ本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の開示は、こうして、必要な程度に、参照により本明細書に組み込まれるいずれの矛盾する材料にも優先する。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載の既存の定義、記述、または他の開示材料と矛盾するいずれの材料またはその一部も、かかる組み込まれた材料と既存の開示材料との間で矛盾が生じない程度にのみ組み込まれる。
【0018】
本開示の態様は、鍛造ステップの間、高いひずみ速度を用いて、チタンおよびチタン合金において粒径を微細化することを含む多軸鍛造プロセスの非限定的には実施形態を含む。これらの方法の実施形態を、本開示において「高ひずみ速度多軸鍛造」または「高ひずみ速度MAF」と概して称する。
【0019】
図1のフローチャートおよび
図2の概略表示をここで参照すると、本開示による非限定的な実施形態において、チタンまたはチタン合金の粒径を微細化するための高ひずみ速度多軸鍛造(MAF)プロセスを用いる方法20が示されている。「a−b−c」鍛造としても知られている多軸鍛造(26)は、重大な塑性変形の形態であり、チタンおよびチタン合金から選択される金属材料を含むワークピース24を金属材料のα+β相領域内のワークピース鍛造温度まで加熱して(
図1においてはステップ22)、続いて、高いひずみ速度を用いてMAF26を行うことを含む。
【0020】
本開示の考慮から明らかであるように、高いひずみ速度を高ひずみ速度MAFにおいて用いて、ワークピースの内部領域を断熱加熱する。しかし、本開示による非限定的な実施形態では、チタンまたはチタン合金ワークピース24の内部領域の温度は、高ひずみ速度MAFのa−b−c衝撃の少なくとも最後のシーケンスにおいて、チタンまたはチタン合金ワークピースのβトランザス温度(T
β)を超えるべきではない。したがって、高ひずみ速度MAF衝撃の少なくとも最終のa−b−c−シーケンスのワークピース鍛造温度は、高ひずみ速度MAFの間のワークピースの内部領域の温度が、確実に、金属材料のβトランザス温度未満であるように選択されるべきである。本開示による非限定的な実施形態において、ワークピースの内部領域温度は、a−b−cMAF衝撃の少なくとも最終の高ひずみ速度シーケンスの間、金属材料のβトランザス温度よりも20°F(11.1℃)低い、すなわち、Τ
β−20℃(T
p−11.1℃)を超えない。
【0021】
本開示による高ひずみ速度MAFの非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度は、ワークピース鍛造温度範囲内の温度を含む。非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度は、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度(T
β)よりも100°F(55.6℃)低い温度からチタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度よりも700°F(388.9℃)低い温度までのワークピース鍛造温度範囲にある。なお別の非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度は、チタンまたはチタン合金のβ遷移温度よりも300°F(166.7℃)低い温度からチタンまたはチタン合金のβ遷移温度よりも625°F(347℃)低い温度までの温度範囲にある。非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度範囲の下端は、当業者に公知であるように、鍛造衝撃の間、ワークピースの表面に実質的な損傷が生じないα+β相領域内の温度である。
【0022】
非限定的な実施形態において、Ti−6−4合金(Ti−6Al−4V;UNS No.R56400)に
図1の本開示の実施形態を適用するときのワークピース鍛造温度範囲は、約1850°F(1010℃)のβトランザス温度(T
β)を有していて、1150°F(621.1℃)〜1750°F(954.4℃)であってよく、別の実施形態では、1225°F(662.8℃)〜1550°F(843.3℃)であってよい。
【0023】
非限定的な実施形態において、α+β相領域内のワークピース鍛造温度までチタンまたはチタン合金ワークピース24を加熱する22前に、ワークピース24を場合によりβ焼純し、空冷する(図示せず)。β焼純は、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度を超えてワークピース24を加熱し、ワークピースにおいて全β相を形成するのに十分な時間の間保持することを含む。β焼純は、周知のプロセスであり、したがって、本明細書にはさらに詳細には記載しない。β焼純の非限定的な実施形態は、チタンまたはチタン合金のβトランザス温度を約50°F(27.8℃)超えたβ
均熱温度までワークピース24を加熱し、該温度でワークピース24を約1時間保持することを含んでよい。
【0024】
図1および2を再び参照すると、チタンおよびチタン合金24から選択される金属材料を含むワークピースがワークピース鍛造温度にあるとき、ワークピースが高ひずみ速度MAF(26)に付される。本開示による非限定的な実施形態において、MAF26は、ワークピースを断熱加熱して、またはワークピースの内部領域を少なくとも断熱加熱して、ワークピース24を塑性変形するのに十分であるひずみ速度を用いて、ワークピースの第1直交軸30の方向(A)にワークピース鍛造温度でワークピース24をプレス鍛造する(ステップ28、
図2(a)に示す)ことを含む。本開示の非限定的な実施形態において、句「内部領域」は、本明細書において用いられるとき、立方体の体積の約20%、約30%、約40%、または約50%の体積を含む内部領域を称する。
【0025】
本開示による高ひずみ速度MAFの非限定的な実施形態において、高いひずみ速度および高いラム速度を用いてワークピースの内部領域を断熱加熱する。本開示による非限定的な実施形態において、用語「高いひずみ速度」は、約0.2/秒〜約0.8/秒(両端を含む)のひずみ速度範囲を称する。本開示による別の非限定的な実施形態において、用語「高いひずみ速度」は、本明細書において用いられるとき、約0.2/秒〜約0.4/秒(両端を含む)のひずみ速度を称する。
【0026】
本開示による非限定的な実施形態において、上記に定義した高ひずみ速度を用いて、チタンまたはチタン合金ワークピースの内部領域を、ワークピース鍛造温度を約200°F超えて断熱加熱してよい。別の非限定的な実施形態において、プレス鍛造の間、内部領域を、ワークピース鍛造温度を約100°F(55.6℃)〜300°F(166.7℃)超えて断熱加熱する。なお別の非限定的な実施形態において、プレス鍛造の間、内部領域を、ワークピース鍛造温度を約150°F(83.3℃)〜250°F(138.9℃)超えて断熱加熱する。先に記述したように、ワークピースのいずれの部分も、高ひずみ速度a−b−cMAF衝撃の最後のシーケンスの間、チタンまたはチタン合金のβトランザス温度を超えて加熱するべきでない。
【0027】
非限定的な実施形態において、プレス鍛造(28)の間、ワークピース24を高さまたは別の寸法が20%〜50%低減するまで塑性変形する。別の非限定的な実施形態において、プレス鍛造(28)の間、チタン合金ワークピース24を高さまたは別の寸法が30%〜40%低減するまで塑性変形する。
【0028】
公知の低ひずみ速度多軸鍛造プロセスを
図3に概略的に示す。一般に、多軸鍛造の態様は、鍛造装置の3回の全てのストロークまたは「衝撃」、例えば開放型鍛造の後、ワークピースの形状が第1衝撃の直前にワークピースの形状に近づくことである。例えば、5インチ面の立方体状ワークピースを「a」軸の方向に第1「衝撃」によって最初に鍛造し、90°回転させ、「b」軸の方向に第2衝撃によって鍛造し、90°回転させ、「c」軸の方向に第3衝撃によって鍛造した後に、ワークピースが、5インチ面を有する開始立方体と類似することとなる。
【0029】
別の非限定的な実施形態において、本明細書において「第1衝撃」とも称される、
図2(a)に示す第1プレス鍛造ステップ28は、ワークピースをワークピース鍛造温度にしながら、所定のスペーサ高さまで下げた上面においてワークピースをプレス鍛造することを含んでよい。非限定的な実施形態の所定のスペーサ高さは、例えば、5インチである。例えば、5インチ未満、約3インチ、5インチ超、または5インチから30インチまでの他のスペーサ高さは、本明細書における実施形態の範囲内であるが、本開示の範囲を限定するとしてみなされるべきではない。より高いスペーサ高さは、鍛造の機能、および本明細書において分かる、本開示による熱管理システムの機能によってのみ限定される。3インチ未満のスペーサ高さもまた、本明細書に開示されている実施形態の範囲内であり、かかる比較的小さなスペーサ高さは、最終生成物の所望の特徴、恐らくは、比較的小さなサイズを有するワークピースにおいて本方法を使用することに適用する場合があるあらゆる高価な経済状態によってのみ限定される。約30インチのスペーサの使用は、例えば、微細粒径、極微細粒径、または超微細粒径を有する、ビレットサイズの30インチ面の立方体を調製する能力を提供する。ビレットサイズの立方体形態の従来の合金は、航空または陸上タービン用の円盤、リング、およびケース部を製造するために、鍛造ハウジングに使用されてきた。
【0030】
第1直交軸30の方向、すなわち、
図2(a)に示すA方向にワークピース24をプレス鍛造28した後に、本開示による方法の非限定的な実施形態は、
図2(b)に示す、ワークピースの断熱加熱された内部領域(図示せず)の温度をワークピース鍛造温度まで冷却させること(ステップ32)をさらに含む。内部領域冷却時間、または待機時間は、例えば、非限定的な実施形態において、5秒〜120秒、10秒〜60秒、または5秒〜5分の範囲であってよい。内部領域をワークピース鍛造温度まで冷却するのに必要とされる内部領域冷却時間は、ワークピース24のサイズ、形状、および組成、ならびにワークピース24の周囲の雰囲気の条件に依存することが当業者によって認識されるだろう。
【0031】
内部領域冷却時間の間、本明細書に開示されている非限定的な実施形態による熱管理システム33の態様は、ワークピース24の外側表面領域36をワークピース鍛造温度または該温度付近の温度に加熱する(ステップ34)ことを含む。このように、ワークピース24の温度を、それぞれの高ひずみ速度MAF衝撃の前に、ワークピース鍛造温度または該温度付近における均一または略均一の実質的に等温な条件に維持する。非限定的な実施形態において、断熱加熱された内部領域を特定の内部領域冷却時間の間冷却させることと併せて外側表面領域36を加熱する熱管理システム33を用いて、ワークピースの温度を、各a−b−c鍛造衝撃間に、ワークピース鍛造温度または該温度付近の実質的に均一な温度に戻す。本開示による別の非限定的な実施形態において、断熱加熱された内部領域を特定の内部領域冷却時間の間冷却させることと併せて外側表面領域36を加熱する熱管理システム33を用いて、ワークピースの温度を、各a−b−c鍛造衝撃間に、ワークピース鍛造温度または該温度付近の実質的に均一な温度に戻す。断熱加熱された内部領域をワークピース鍛造温度まで冷却させることと併せてワークピースの外側表面領域をワークピース鍛造温度まで加熱する熱管理システム33を利用することによって、本開示による非限定的な実施形態を、「熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造」と称することができ、または、本明細書における目的で、単に「高ひずみ速度多軸鍛造」と称することができる。
【0032】
本開示による非限定的な実施形態において、句「外側表面領域」は、立方体の外側領域において、立方体の約50%、約60%、約70%、または約80%の体積を称する。
【0033】
非限定的な実施形態において、ワークピース24の外側表面領域36の加熱34を、熱管理システム33の1個以上の外側表面加熱機構38を用いて達成することができる。可能な外側表面加熱機構38の例として、限定されないが、ワークピース24の、火炎加熱用火炎加熱器;誘導加熱用誘導加熱器;および放射加熱用放射加熱器が挙げられる。ワークピースの外側表面領域を加熱するための他の機構および技術は、本開示を考慮する際に当業者に明らかであり、かかる機構および技術は、本開示の範囲内である。外側表面領域加熱機構38の非限定的な実施形態は、箱型炉(図示せず)を含むことができる。箱型炉は、種々の加熱機構によって構成されて、火炎加熱機構、放射加熱機構、誘導加熱機構、および/または当業者に現在公知もしくは今後公知となるあらゆる他の好適な加熱機構の1個以上を用いてワークピースの外側表面領域を加熱することができる。
【0034】
別の非限定的な実施形態において、ワークピース24の外側表面領域36の温度を、熱管理システム33の1個以上の金型加熱器40を用い、加熱して34、ワークピース鍛造温度またはその付近に、およびワークピース鍛造温度範囲内に維持することができる。金型加熱器40を用いて、金型40または金型の金型プレス鍛造表面44をワークピース鍛造温度もしくは該温度付近に、またはワークピース温度鍛造範囲内の温度に維持することができる。非限定的な実施形態において、熱管理システムの金型40を、ワークピース鍛造温度より最大で100°F(55.6℃)低いワークピース鍛造温度を含む範囲内の温度まで加熱する。金型加熱器40は、限定されないが、火炎加熱機構、放射加熱機構、伝導加熱機構、および/または誘導加熱機構を含めた、当業者に現在公知または今後公知となる任意の好適な加熱機構によって、金型42または金型プレス鍛造表面44を加熱することができる。非限定的な実施形態において、金型加熱器40は、箱型炉(図示せず)の構成要素であってよい。
図2(b)、(d)、および(f)においては、熱管理システム33は、定位置に示されていて、多軸鍛造プロセス26の冷却ステップ32、52、60の間に用いられているが、
図2(a)、(c)、および(e)に表示されるように、熱管理システム33は、プレス鍛造ステップ28、46、56の間、定位置にあってもなくてもよいことが認識される。
【0035】
図2(c)に示すように、本開示による多軸鍛造方法26の非限定的な実施形態の態様は、ワークピース24、またはワークピースの少なくとも内部領域を弾性加熱し、ワークピース24を塑性変形するのに十分であるひずみ速度を用いて、ワークピース24の第2直交軸48の方向(B)にワークピース鍛造温度でワークピース24をプレス鍛造すること(ステップ46)を含む。非限定的な実施形態において、プレス鍛造(46)の間、ワークピース24を高さまたは別の寸法が20%〜50%低減する塑性変形となるまで変形する。別の非限定的な実施形態において、プレス鍛造(46)の間、ワークピース24を高さまたは別の寸法が30%〜40%低減する塑性変形となるまで塑性変形する。非限定的な実施形態において、ワークピース24を、第1プレス鍛造ステップ(28)において用いたときと同じスペーサ高さまで第2直交軸48の方向にプレス鍛造する(46)ことができる。本開示による別の非限定的な実施形態において、ワークピース24の内部領域(図示せず)を、第1プレス鍛造ステップ(28)における場合と同じ温度まで、プレス鍛造ステップ(46)の間、断熱加熱する。他の非限定的な実施形態、プレス鍛造(46)に用いる高いひずみ速度は、第1プレス鍛造ステップ(28)に関して開示されているように、同じひずみ速度範囲にある。
【0036】
非限定的な実施形態において、
図2(b)および(d)における矢印50によって示すように、ワークピース24を、連続的なプレス鍛造ステップ(例えば、28、46)の間、異なる直交軸に回転させる50ことができる。この回転を「a−b−c」回転と称することがある。種々の鍛造構成を用いることによって、ワークピース24を回転させる代わりに鍛造においてラムを回転することが可能であること、またはワークピースの回転も鍛造も必要としないように鍛造に多軸ラムを備えることができることが理解される。明らかに、重要な態様は、ラムおよびワークピースの相対移動であり、ワークピース24の回転50は、場合によるステップであってよいということである。しかし、最新の工業設備の設定では、プレス鍛造ステップ間に異なる直交軸にワークピースを回転させること50が、多軸鍛造プロセス26を完了させるのに必要とされる。
【0037】
a−b−c回転50が必要とされる非限定的な実施形態において、ワークピース24を鍛造オペレータによって手動でまたは自動回転システム(図示せず)によって回転させてa−b−c回転50を付与することができる。自動a−b−c回転システムは、限定されないが、自由揺動式クランプスタイルのマニピュレータツールなどを含んで、本明細書に開示されている、非限定的な熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造実施形態を可能にすることができる。
【0038】
図2(d)に示すように、第2直交軸48の方向、すなわち、B方向にワークピース24をプレス鍛造46した後、プロセス20は、ワークピースの断熱加熱された内部領域(図示せず)をワークピース鍛造温度まで冷却させること(ステップ52)をさらに含み、これを
図2(d)に示す。内部領域冷却時間、または待機時間は、例えば、非限定的な実施形態において、5秒〜120秒、10秒〜60秒、または5秒から最大で5分の範囲であってよく、最小冷却時間は、ワークピース24のサイズ、形状および組成、ならびにワークピースの周囲の環境の特徴に依ることが認識される。
【0039】
内部領域冷却時間の間、本明細書に開示されているある一定の非限定的な実施形態による熱管理システム33の態様は、ワークピース鍛造温度または該温度付近の温度までワークピース24の外側表面領域36を加熱すること(ステップ54)を含む。このように、ワークピース24の温度を、それぞれの高ひずみ速度MAF衝撃の前に、ワークピース鍛造温度または該温度付近の均一またはほぼ均一な実質的に等温の条件に維持する。非限定的な実施形態において、断熱加熱された内部領域を特定の内部領域冷却時間の間冷却させることと併せて外側表面領域36を加熱する熱管理システム33を用いると、ワークピースの温度は、各a−b−c鍛造衝撃間に、ワークピース鍛造温度または該温度付近の実質的に均一な温度に戻る。本開示による別の非限定的な実施形態において、断熱加熱された内部領域を特定の内部領域冷却保持時間の間冷却させることと併せて外側表面領域36を加熱する熱管理システム33を用いると、ワークピースの温度は、それぞれの高ひずみ速度MAF衝撃の前に、ワークピース鍛造温度範囲内の実質的に均一な温度に戻る。
【0040】
非限定的な実施形態において、ワークピース24の外側表面領域36の加熱54を、熱管理システム33の1個以上の外側表面加熱機構38を用いて達成することができる。可能な加熱機構38の例として、限定されないが、ワークピース24の、火炎加熱用火炎加熱器;誘導加熱用誘導加熱器;および/または放射加熱用放射加熱器を挙げることができる。表面加熱機構38の非限定的な実施形態は、箱型炉(図示せず)を含むことができる。ワークピースの外側表面を加熱するための他の機構および技術は、本開示を考慮する際に当業者に明らかであり、かかる機構および技術は、本開示の範囲内である。箱型炉は、種々の加熱機構によって構成されて、火炎加熱機構、放射加熱機構、誘導加熱機構、および/または当業者に現在公知もしくは今後公知となるあらゆる他の加熱機構の1個以上によりワークピースの外側表面を加熱することができる。
【0041】
別の非限定的な実施形態において、ワークピース24の外側表面領域36の温度を、熱管理システム33の1個以上の金型加熱器40を用い、加熱して54、ワークピース鍛造温度またはその付近に、およびワークピース鍛造温度範囲内に維持することができる。金型加熱器40を用いて、金型40または金型の金型プレス鍛造表面44をワークピース鍛造温度もしくは該温度付近において、またはワークピース温度鍛造範囲内に維持することができる。金型加熱器40は、限定されないが、火炎加熱機構、放射加熱機構、伝導加熱機構、および/または誘導加熱機構を含めた、当業者に現在公知または今後公知となる任意の好適な加熱機構によって金型42または金型プレス鍛造表面44を加熱することができる。非限定的な実施形態において、金型加熱器40は、箱型炉(図示せず)の構成要素であってよい。
図2(b)、(d)、および(f)においては、熱管理システム33は、定位置に示されていて、多軸鍛造プロセス26の冷却ステップ32、52、60の間に用いられているが、
図2(a)、(c)、および(e)に表示されるように、熱管理システム33は、プレス鍛造ステップ28、46、56の間、定位置にあってもなくてもよいことが認識される。
【0042】
図2(e)に示すように、本開示による多軸鍛造26の実施形態の態様は、ワークピース24を断熱加熱して、またはワークピースの内部領域を少なくとも断熱加熱して、ワークピース24を塑性変形するのに十分であるラム速度およびひずみ速度を用いて、ワークピース24の第3直交軸58の方向(C)にワークピース鍛造温度でワークピース24をプレス鍛造すること(ステップ56)を含む。非限定的な実施形態において、プレス鍛造56の間、ワークピース24を高さまたは別の寸法が20%〜50%低減する塑性変形となるまで変形する。別の非限定的な実施形態において、プレス鍛造(56)の間、チタン合金ワークピース24を高さまたは別の寸法が30%〜40%低減する塑性変形となるまで塑性変形する。非限定的な実施形態において、ワークピース24を、第1プレス鍛造ステップ(28)において用いたときと同じスペーサ高さまで第
3直交軸
58の方向にプレス鍛造する(56)ことができる。本開示による別の非限定的な実施形態において、ワークピース24の内部領域(図示せず)を、第1プレス鍛造ステップ(28)における場合と同じ温度まで、プレス鍛造ステップ(56)の間、断熱加熱する。他の非限定的な実施形態、プレス鍛造(56)に用いる高いひずみ速度は、第1プレス鍛造ステップ(28)に関して開示されているように、同じひずみ速度範囲にある。
【0043】
非限定的な実施形態において、2(b)、2(d)、および2(e)における矢印50によって示すように、ワークピース24を、連続的なプレス鍛造ステップ(例えば、46、56)の間に、異なる直交軸に回転させること50ができる。先に議論したように、この回転を「a−b−c」回転と称することがある。種々の鍛造構成を用いることによって、ワークピース24を回転させる代わりに鍛造においてラムを回転させることが可能であること、またはワークピースの回転も鍛造も必要としないように鍛造に多軸ラムを備えることができることが理解される。したがって、ワークピース24の回転50は、場合によるステップであってよい。しかし、最新の工業設備の設定では、プレス鍛造ステップ間に異なる直交軸にワークピースを回転させること50は、多軸鍛造プロセス26を完了させるのに必要とされる。
【0044】
図2(e)に示すように、第3直交軸58の方向、すなわち、C方向にワークピース24をプレス鍛造56した後、プロセス20は、ワークピースの断熱加熱された内部領域(図示せず)をワークピース鍛造温度まで冷却させること(ステップ60)をさらに含み、これを
図2(f)に示す。内部領域冷却時間は、例えば、5秒〜120秒、10秒〜60秒、または5秒から最大で5分の範囲であってよく、冷却時間は、ワークピース24のサイズ、形状および組成、ならびにワークピースの周囲の環境の特徴に依ることが当業者によって認識される。
【0045】
冷却期間の間、本明細書に開示されている非限定的な実施形態による熱管理システム33の態様は、ワークピース鍛造温度または該温度付近の温度にワークピース24の外側表面領域36を加熱すること(ステップ62)を含む。このように、ワークピース24の温度を、それぞれの高ひずみ速度MAF衝撃の前に、ワークピース鍛造温度または該温度付近の均一またはほぼ均一の実質的に等温の条件に維持する。非限定的な実施形態において、断熱加熱された内部領域を特定の内部領域冷却時間の間冷却させることと併せて外側表面領域36を加熱する熱管理システム33を用いることで、ワークピースの温度は、各a−b−c鍛造衝撃間に、ワークピース鍛造温度においてまたは該温度付近の実質的に均一な温度に戻る。本開示による別の非限定的な実施形態において、断熱加熱された内部領域36を特定の内部領域冷却保持時間の間冷却させることと併せて外側表面領域36を加熱する熱管理システム33を用いことで、ワークピースの温度は、各a−b−c鍛造衝撃間に、ワークピース鍛造温度範囲内の実質的に均一な温度に戻る。
【0046】
非限定的な実施形態において、ワークピース24の外側表面領域36の加熱62を、熱管理システム33の1個以上の外側表面加熱機構38を用いて達成することができる。可能な外側表面加熱機構38の例として、限定されないが、ワークピース24の、火炎加熱用火炎加熱器;誘導加熱用誘導加熱器;および/または放射加熱用放射加熱器を挙げることができる。ワークピースの外側表面を加熱するための他の機構および技術は、本開示を考慮する際に当業者に明らかであり、かかる機構および技術は、本開示の範囲内である。外側表面領域加熱機構38の非限定的な実施形態は、箱型炉(図示せず)を含むことができる。箱型炉は、種々の加熱機構によって構成されて、火炎加熱機構、放射加熱機構、誘導加熱機構、および/または当業者に現在公知もしくは今後公知となるあらゆる他の好適な加熱機構の1個以上を用いてワークピースの外側表面領域を加熱することができる。
【0047】
別の非限定的な実施形態において、ワークピース24の外側表面領域36の温度を、熱管理システム33の1個以上の金型加熱器40を用い、加熱して62、ワークピース鍛造温度またはその付近に、およびワークピース鍛造温度範囲内に維持することができる。金型加熱器40を用いて、金型40または金型の金型プレス鍛造表面44をワークピース鍛造温度もしくは該温度付近において、またはワークピース温度鍛造範囲内の温度に維持することができる。非限定的な実施形態において、熱管理システムの金型40を、ワークピース鍛造温度より100°F(55.6℃)低いワークピース鍛造温度を含む範囲内の温度まで加熱する。金型加熱器40は、限定されないが、火炎加熱機構、放射加熱機構、伝導加熱機構、および/または誘導加熱機構を含めた、当業者に現在公知または今後公知となる任意の好適な加熱機構によって金型42または金型プレス鍛造表面44を加熱することができる。非限定的な実施形態において、金型加熱器40は、箱型炉(図示せず)の構成要素であってよい。
図2(b)、(d)、および(f)においては、熱管理システム33は、定位置に示されていて、多軸鍛造プロセスの冷却ステップ32、52、60の間に用いられているが、
図2(a)、(c)、および(e)に表示されるように、熱管理システム33は、プレス鍛造ステップ28、46、56の間、定位置にあってもなくてもよいことが認識される。
【0048】
本開示の態様は、ワークピースにおいて少なくとも3.5の真のひずみが達成されるまで、3個の直交軸のプレス鍛造、冷却および表面加熱ステップの1つ以上を繰り返す(すなわち、a−b−c鍛造、内部領域冷却、および外側表面領域加熱ステップの最初のシーケンスを完了した後に行う)非限定的な実施形態を含む。句「真のひずみ」は、「対数ひずみ」として、また「有効ひずみ」としても当業者に公知である。
図1を参照すると、これは、ステップ(g)、すなわち、ワークピースにおいて少なくとも3.5の真のひずみが達成されるまで、ステップ(a)〜(b)、(c)〜(d)、および(e)〜(f)の1つ以上を繰り返す(ステップ64)ことによって例示される。別の非限定的な実施形態において再び
図1を参照すると、繰り返し64は、ワークピースにおいて少なくとも4.7の真のひずみが達成されるまで、ステップ(a)〜(b)、(c)〜(d)、および(e)〜(f)の1つ以上を繰り返すことを含む。さらに他の非限定的な実施形態において、再び
図1を参照すると、繰り返し64は、ワークピースにおいて5以上の真のひずみが達成されるまでまたは10の真のひずみが達成されるまで、ステップ(a)〜(b)、(c)〜(d)、および(e)〜(f)の1つ以上を繰り返すことを含む。別の非限定的な実施形態において、
図1に示すステップ(a)〜(f)を少なくとも4回繰り返す。
【0049】
本開示による熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造の非限定的な実施形態において、3.7の真のひずみの後に、ワークピースの内部領域は、4μm〜6μmの平均α粒子粒径を含む。熱制御された多軸鍛造の非限定的な実施形態において、4.7の真のひずみが達成された後、ワークピースは、ワークピースの中心領域において4μmの平均粒径を含む。本開示による非限定的な実施形態において、3.7以上の平均ひずみが達成されると、ある本開示の方法の一定の非限定的な実施形態は、等軸となっている粒子を生成する。
【0050】
熱管理システムを用いた多軸鍛造プロセスの非限定的な実施形態において、ワークピース−プレス金型の界面は、限定されないが、グラファイト、ガラス、および/または他の公知の固体潤滑剤などの当業者に公知の潤滑剤によって潤滑される。
【0051】
非限定的な実施形態において、ワークピースは、αチタン合金、α+βチタン合金、準安定βチタン合金、およびβチタン合金からなる群から選択されるチタン合金を含む。別の非限定的な実施形態において、ワークピースは、α+βチタン合金を含む。なお別の非限定的な実施形態において、ワークピースは、準安定βチタン合金を含む。本開示による方法の実施形態を用いて処理され得る例示的なチタン合金として、限定されないが:α+βチタン合金、例えば、Ti−6Al−4V合金(UNS番号R56400およびR54601)およびTi−6Al−2Sn−4Zr−2Mo合金(UNS番号R54620およびR54621)など;近βチタン合金、例えば、Ti−10V−2Fe−3Al合金(UNS R54610))など;ならびに準安定βチタン合金、例えば、Ti−15Mo合金(UNS R58150)およびTi−5Al−5V−5Mo−3Cr合金(UNSは割り当てられていない)などが挙げられる。非限定的な実施形態において、ワークピースは、ASTMグレード5、6,12、19、20、21、23、24、25、29、32、35、36、および38チタン合金から選択されるチタン合金を含む。
【0052】
非限定的な実施形態において、チタンまたはチタン合金金属材料のα+β相領域内のワークピース鍛造温度までワークピースを加熱することは、ワークピースをβ
均熱温度まで加熱することと;ワークピースにおいて100%のβ相微細構造を形成するのに十分な
均熱時間の間、ワークピースをβ
均熱温度において保持することと;ワークピースをワークピース鍛造温度まで直接冷却することとを含む。ある一定の非限定的な実施形態において、β
均熱温度は、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度を最大で300°F(111℃)超える、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度の範囲にある。非限定的な実施形態は、5分〜24時間のβ
均熱時間を含む。当業者は、他のβ
均熱温度およびβ
均熱時間が本開示の実施形態の範囲内であること、例えば、比較的大きいワークピースが、100%のβ相チタン微細構造を形成するのに比較的より高いβ
均熱温度および/またはより長いβ
均熱時間を必要とし得ることを理解するだろう。
【0053】
ワークピースが100%のβ相微細構造を形成するβ
均熱温度で保持されるある一定の非限定的な実施形態において、また、ワークピースを、ワークピース鍛造温度までワークピースを冷却する前に、チタンまたはチタン合金金属材料のβ相領域における塑性変形温度で塑性変形してよい。ワークピースの塑性変形は、ワークピースの引き抜き、据え込み鍛造、および高ひずみ速度多軸鍛造のうちの少なくとも1つを含むことができる。非限定的な実施形態において、β相領域における塑性変形は、0.1〜0.5の範囲内のβ据え込みひずみまでワークピースを据え込み鍛造することを含む。非限定的な実施形態において、塑性変形温度は、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度を最大で300°F(111℃)超える、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度を含む温度範囲にある。
【0054】
図4は、βトランザス温度を超えてワークピースを塑性変形し、ワークピース鍛造温度まで直接冷却する非限定的な方法に関する概略的な温度−時間の熱機械的なプロセスチャートである。
図4において、非限定的な方法100は、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度106を超えるβ
均熱温度104にワークピースを加熱する102ことと、ワークピースにおいて全βチタン相微細構造を形成するβ
均熱温度104でワークピースを保持または「
均熱」108することとを含む。本開示による非限定的な実施形態において、
均熱108後、ワークピースを塑性変形する110ことができる。非限定的な実施形態において、塑性変形110は、据え込み鍛造を含む。別の非限定的な実施形態において、塑性変形110は、真のひずみが0.3になるまで据え込み鍛造することを含む。別の非限定的な実施形態において、ワークピースの塑性変形110は、β
均熱温度における熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造(
図4に示さず)を含む。
【0055】
図4をさらに参照すると、β相領域における塑性変形110の後、非限定的な実施形態において、ワークピースをチタンまたはチタン合金金属材料のα+β相領域におけるワークピース鍛造温度114まで冷却する112。非限定的な実施形態において、冷却112は、空冷を含む。冷却112後、ワークピースにおいて、本開示の非限定的な実施形態により、熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造114を行う。
図4の非限定的な実施形態において、ワークピースを12回衝撃またはプレス鍛造し、すなわち、ワークピースの3個の直交軸を、それぞれ合計4回、非逐次的にプレス鍛造する。換言すると、
図1を参照すると、ステップ(a)〜(b)、(c)〜(d)、および(e)〜(f)を含むシーケンスを4回実施する。
図4の非限定的な実施形態において、12の衝撃を含む多軸鍛造シーケンスの後、真のひずみは、例えば、およそ3.7に等しくてよい。多軸鍛造114後、ワークピースを室温まで冷却する116。非限定的な実施形態において、冷却116は、空冷を含む。
【0056】
本開示の非限定的な態様は、α+β相領域における2種類の温度で熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造を行うことを含む。
図5は、上記に開示した熱管理特徴の非限定的な実施形態を利用して第1ワークピース鍛造温度においてチタン合金ワークピースを多軸鍛造し、続いてα+β相における第2ワークピース鍛造温度まで冷却することと、上記に開示した熱管理特徴の非限定的な実施形態を利用して第2ワークピース鍛造温度でチタン合金ワークピースを多軸鍛造することとを含む非限定的な方法に関する概略的な温度−時間の熱機械的なプロセスチャートである。
【0057】
図5において、非限定的な方法130は、合金のβトランザス温度136を超えるβ
均熱温度134までワークピースを加熱する132ことと、チタンまたはチタン合金ワークピースにおいて全β相微細構造を形成するβ
均熱温度134においてワークピースを保持または
均熱する138こととを含む。
均熱138後、ワークピースを塑性変形する140ことができる。非限定的な実施形態において、塑性変形140は、据え込み鍛造を含む。別の非限定的な実施形態において、塑性変形140は、ひずみが0.3になるまで据え込み鍛造することを含む。さらに別の非限定的な実施形態において、ワークピースの塑性変形140は、β
均熱温度における熱管理された高ひずみ多軸鍛造(
図5に示さず)を含む。
【0058】
図5をさらに参照すると、β相領域における塑性変形140の後、チタンまたはチタン合金金属材料のα+β相領域における第1ワークピース鍛造温度144までワークピースを冷却する142。非限定的な実施形態において、冷却142は、空冷を含む。冷却142後、ワークピースを、本明細書に開示されている非限定的な実施形態による熱管理システムを使用して、第1ワークピース鍛造温度において高ひずみ速度多軸鍛造する146。
図5の非限定的な実施形態において、ワークピースを各衝撃間に90°回転させて12回、第1ワークピース鍛造温度12において衝撃またはプレス鍛造する、すなわち、ワークピースの3個の直交軸をそれぞれ4回プレス鍛造する。換言すると、
図1を参照すると、ステップ(a)〜(b)、(c)〜(d)、および(e)〜(f)を含むシーケンスを4回実施する。
図5の非限定的な実施形態において、第1ワークピース鍛造温度におけるワークピースの高ひずみ速度多軸鍛造146の後、α+β相領域における第2ワークピース鍛造温度150までチタン合金ワークピースを冷却する148。冷却148後、ワークピースにおいて、本明細書に開示されている非限定的な実施形態による熱管理システムを使用して、第2ワークピース鍛造温度において高ひずみ速度多軸鍛造を行う150。
図5の非限定的な実施形態において、ワークピースを合計12回、第2ワークピース鍛造温度において衝撃またはプレス鍛造する。第1および第2ワークピース鍛造温度においてチタン合金ワークピースに適用される衝撃回数が、所望の真のひずみおよび所望の最終粒径に応じて変動し得ること、ならびに、適切である衝撃回数が、必要以上の実験を行うことなく決定され得ることが認識される。第2ワークピース鍛造温度における多軸鍛造150の後、ワークピースを室温まで冷却する152。非限定的な実施形態において、冷却152は、室温までの冷却を含む。
【0059】
非限定的な実施形態において、第1ワークピース鍛造温度は、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度より200°F(111.1℃)を超えて低い温度から、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度より500°F(277.8℃)低い温度までの第1ワークピース鍛造温度範囲にあり、すなわち、第1ワークピース鍛造温度T
1は、Τ
β−200°F>Τ
1≧T
β−500°Fの範囲にある。非限定的な実施形態において、第2ワークピース鍛造温度は、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度より500°F(277.8℃)を超えて低い温度から、βトランザス温度より700°F(388.9℃)低い温度までの第2ワークピース鍛造温度範囲にあり、すなわち、第2ワークピース鍛造温度T
2は、Τ
β−500°F>T
2≧T
β−700°Fの範囲にある。非限定的な実施形態において、チタン合金ワークピースは、Ti−6−4合金を含み;第1ワークピース温度は、1500°F(815.6℃)であり;第2ワークピース鍛造温度は、1300°F(704.4℃)である。
【0060】
図6は、本開示の非限定的な実施形態に従って、ワークピースにおいて、熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造を同時に使用しながら、チタンおよびチタン合金から選択される金属材料を含むワークピースを、βトランザス温度を超えて塑性変形することと、ワークピースをワークピース鍛造温度まで冷却することとを含む、本開示による非限定的な方法の概略的な温度−時間の熱機械的なプロセスチャートである。
図6において、チタンまたはチタン合金の粒子の微細化のための熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造を用いた非限定的な方法160は、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度166を超えるβ
均熱温度164までワークピースを加熱する162ことと、ワークピースにおいて全β相微細構造を形成するβ
均熱温度164においてワークピースを保持または
均熱する168こととを含む。β
均熱温度でワークピースを
均熱168した後、ワークピースを塑性変形する170。非限定的な実施形態において、塑性変形170は、熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造を含むことができる。非限定的な実施形態において、ワークピースがβトランザス温度を通過して冷えるに従い、ワークピースを、本明細書に開示されている熱管理システムを用いて繰り返し高ひずみ速度多軸鍛造する172。
図6は、3個の中間の高ひずみ速度多軸鍛造172ステップを示すが、所望により、より多くのまたはより少ない中間の高ひずみ速度多軸鍛造172ステップが存在し得ることが理解されよう。この中間の高ひずみ速度多軸鍛造172ステップは、
均熱温度における最初の高ひずみ速度多軸鍛造ステップ170、および金属材料のα+β相領域174における最終の高ひずみ速度多軸鍛造ステップに対する中間である。
図6は、ワークピースの温度がα+β相領域において全体に維持される、1つの最終の高ひずみ速度多軸鍛造ステップを示すが、1を超える多軸鍛造ステップを、α+β相領域において、さらなる微粒化のために実施できることが理解される。本開示の非限定的な実施形態によると、少なくとも1つの最終の高ひずみ速度多軸鍛造ステップが、チタンまたはチタン合金ワークピースのα+β相領域における温度において全体に行われる。
【0061】
多軸鍛造ステップ170、172、174は、ワークピースの温度がチタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度を通過して低下するに従って起こるため、
図6に示されているような方法の実施形態を、本明細書において「βトランザス通過型高ひずみ速度多軸鍛造」と称する。非限定的な実施形態において、熱管理システム(
図2の33)をβトランザス通過型の多軸鍛造において用いて、それぞれの、βトランザスを通過した鍛造温度における各衝撃の前に、均一または実質的に均一な温度でワークピースの温度維持し、場合により、冷却速度を遅らせる。ワークピースの最終多軸構造174の後に、ワークピースを室温まで冷却する176。非限定的な実施形態において、冷却176は、空冷を含む。
【0062】
上記に開示されている熱管理システムを用いた多軸鍛造の非限定的な実施形態は、従来の鍛造プレス設備を用いて、4cm
2を超える断面を有するチタンおよびチタン合金ワークピースを処理するのに用いられ得、立方体状のワークピースのサイズは、個々のプレス能力と適合するようにスケーリングされ得る。β焼純構造に由来するαラメラが、本明細書において非限定的な実施形態に開示されているワークピース鍛造温度において微細で均一なα粒子まで容易に破壊することが分かった。また、ワークピース鍛造温度の減少がα粒子径(粒径)を減少させることも分かった。
【0063】
いずれの特定の理論に拘束されることも望まないが、本開示による熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造の非限定的な実施形態において起こる微粒化は、メタ動的再結晶を介して起こると考えられる。従来技術の低ひずみ速度多軸鍛造プロセスにおいて、動的再結晶は、ひずみを材料に適用する間に同時に起こる。本開示による高ひずみ速度多軸鍛造においては、メタ動的再結晶は、それぞれの変形または鍛造衝撃の終わりに起こるが、少なくともワークピースの内部領域は、断熱加熱に起因して熱いことが考えられる。残りの断熱加熱、内部領域冷却時間、および外部表面領域加熱は、本開示による熱管理された高ひずみ速度多軸鍛造の非限定的な方法における微粒化の程度に影響する。
【0064】
熱管理システムならびにチタンおよびチタン合金から選択される金属材料を含む立方体形状のワークピースを用いた多軸構造は、上記に開示されているように、最適な結果に劣るある一定の結果をもたらすことが認められた。(1)本明細書に開示されている熱管理された多軸鍛造のある一定の実施形態において用いられる立方体状ワークピースの幾何学的形状、(2)金型の冷却(すなわち、金型の温度を、ワークピース鍛造温度よりも有意に低く低下させる)、および(3)高いひずみ速度の使用のうちの1つ以上が、ワークピースのコア領域にひずみを集中させると考えられる。
【0065】
本開示の態様は、ビレットサイズのチタン合金において、概して均一な微粒子径、極微粒子径または超微粒子径を達成することができる鍛造方法を含む。換言すると、かかる方法によって処理されるワークピースは、ワークピースの中心領域においてのみよりも、むしろワークピースの全体にわたって所望の粒径、例えば超微粒子微細構造を含むことができる。かかる方法の非限定的な実施形態は、4cm
2を超える断面を有するビレットにおいて「複数の据え込みおよび引き抜き」ステップを用いる。複数の据え込みおよび引き抜きステップは、ワークピースの元の寸法を実質的に保存しながら、ワークピース全体にわたって均一な微粒子径、極微粒子径または超微粒子径を達成することを目的としている。これらの鍛造方法は、複数の据え込みおよび引き抜きステップを含むため、本明細書において「MUD」法の実施形態と称される。MUD法は、重大な塑性変形を含み、ビレットサイズのチタン合金ワークピースにおいて均一な超微粒子を生成することができる。本開示による非限定的な実施形態において、MUDプロセスの据え込み鍛造および引き抜き鍛造ステップに用いられるひずみ速度は、0.001/秒〜0.02/秒(両端を含む)の範囲にある。対照的に、従来の開放型据え込みおよび引き抜き鍛造に典型的に用いられるひずみ速度は、0.03/秒〜0.1/秒の範囲にある。MUDのひずみ速度は、制御して鍛造温度を保つために断熱加熱を抑制するには十分に遅いが、該ひずみ速度は、工業的実施で許容される。
【0066】
複数の据え込みおよび引き抜きの非限定的な実施形態の概略表示、すなわち、「MUD」法を
図7に提供し、MUD法のある一定の実施形態のフローチャートを
図8に提供する。
図7および8を参照すると、複数の据え込みおよび引き抜き鍛造ステップを用いて、チタンおよびチタン合金から選択される金属材料を含むワークピースを微細化するための非限定的な方法200は、金属材料のα+β相領域におけるワークピース鍛造温度まで円筒形状のチタンまたはチタン合金金属材料ワークピースを加熱する202ことを含む。非限定的な実施形態において、円筒形状ワークピースの形状は円筒形である。別の非限定的な実施形態において、円筒形状ワークピースの形状は、八角形状の円筒形または正八角形である。
【0067】
円筒形状ワークピースは、開始断面寸法を有する。開始ワークピースが円筒形である本開示によるMUD法の非限定的な実施形態において、開始断面寸法は、円筒形の直径である。開始ワークピースが八角形状の円筒形である本開示によるMUD法の非限定的な実施形態において、開始断面寸法は、八角形状断面の外接円の直径、すなわち、八角形状断面の全ての頂点を通過する円の直径である。
【0068】
円筒形状ワークピースがワークピース鍛造温度にあるとき、ワークピースを据え込み鍛造する204。据え込み鍛造204後、非限定的な実施形態において、ワークピースを90°回転させ(206)、次いで複数回の引き抜き鍛造208に付す。ワークピースの実際の回転206は場合によるものであり、該ステップの目的は、後の複数回の引き抜き鍛造208ステップ用の鍛造デバイスに対して正確な配向(
図7を参照)にワークピースを配置することである。
【0069】
複数回の引き抜き鍛造は、(矢印210の方向によって示す)回転方向にワークピースを増分的に回転させ(矢印210によって表示される)、続いて、回転のそれぞれの増分の後にワークピースを引き抜き鍛造212することを含む。非限定的な実施形態において、増分的回転および引き抜き鍛造を、ワークピースが開始断面寸法を含むまで繰り返す214。非限定的な実施形態において、据え込み鍛造および複数回の引き抜き鍛造ステップをワークピースにおいて少なくとも3.5の真のひずみが達成されるまで繰り返す。別の非限定的な実施形態は、ワークピースにおいて少なくとも4.7の真のひずみが達成されるまで、加熱、据え込み鍛造、および複数回の引き抜き鍛造ステップを繰り返すことを含む。なお別の非限定的な実施形態では、加熱、据え込み鍛造、および複数回の引き抜き鍛造ステップを、ワークピースにおいて少なくとも10の真のひずみが達成されるまで繰り返す。非限定的な実施形態においては、10の真のひずみがMUD鍛造に付与されたとき、UFG α微細構造が生成されること、およびワークピースに付与される真のひずみを増加させることで、より小さな平均粒径が得られることが観測される。
【0070】
本開示の態様は、チタン合金ワークピースの重大な塑性変形をもたらすのに十分であるひずみ速度を、据え込みおよび複数の引き抜きステップの間に使用することであり、非限定的な実施形態において、結果として、超微粒径をさらに生ずる。非限定的な実施形態において、据え込み鍛造において用いられるひずみ速度は、0.001/秒〜0.003/秒の範囲にある。別の非限定的な実施形態において、複数の引き抜き鍛造ステップに用いられるひずみ速度は、0.01/秒〜0.02/秒の範囲にある。これらの範囲内のひずみ速度は、ワークピースの断熱加熱をもたらさず、ワークピースの温度制御を可能にすること、および経済的に許容される工業的実施に十分であることが見出される。
【0071】
非限定的な実施形態において、MUD法の完了後、ワークピースは、開始円筒形214または八角形状円筒形216の実質的に元の寸法を有する。さらに別の非限定的な実施形態において、MUD法の完了後、ワークピースは、開始ワークピースと実質的に同じ断面を有する。非限定的な実施形態において、単一の据え込みは、ワークピースをワークピースの開始断面を含めた形状に戻すのに多くの引き抜き衝撃を必要とする。
【0072】
ワークピースが円筒形の形状であるMUD法の非限定的な実施形態において、増分的回転および引き抜き鍛造は、円筒形状ワークピースを360°を通して回転させて各増分において引き抜き鍛造するまで、15°の増分で円筒形状ワークピースを回転させ、その後引き抜き鍛造する複数のステップをさらに含む。ワークピースが円筒形の形状であるMUD法の非限定的な実施形態において、各据え込み鍛造の後、24
回の増分的な回転+引き抜き鍛造ステップを使用して、ワークピースを実質的にその開始断面寸法とする。ワークピースが八角形状円筒形の形状であるときの別の非限定的な実施形態において、増分的な回転および引き抜き鍛造は、円筒形状ワークピースを360°を通して回転させて各増分において引き抜き鍛造するまで、45°の増分で円筒形状ワークピースを回転させ、その後引き抜き鍛造する複数のステップをさらに含む。ワークピースが八角形状円筒形の形状であるMUD法の非限定的な実施形態において、各据え込み鍛造の後、
8回の増分的な回転+引き抜き鍛造ステップを使用して、ワークピースを実質的にその開始断面寸法とする。MUD法の非限定的な実施形態において、取り扱い設備によって八角形状円筒形を操作する方が、取り扱い設備によって円筒形を操作するよりも正確であることが観測された。また、MUDの非限定的な実施形態において、取り扱い設備によって八角形状円筒形を操作する方が、本明細書に開示されている熱管理された高ひずみ速度MAFプロセスの非限定的な実施形態においてハンドトングを用いて立方体状ワークピースを操作するよりも正確であることも観測された。円筒形状ビレットに関する他の増分的回転量および引き抜き鍛造ステップは、本開示の範囲内であり、かかる他の可能な増分的回転量は、必要以上の実験を行うことなく当業者によって決定されてよいことが認識される。
【0073】
本開示によるMUDの非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度は、ワークピース鍛造温度範囲内の温度を含む。非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度は、チタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度(T
β)より100°F(55.6℃)低い温度からチタンまたはチタン合金金属材料のβトランザス温度より700°F(388.9℃)低い温度までのワークピース鍛造温度範囲にある。なお別の非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度は、チタンまたはチタン合金金属材料のβ遷移温度より300°F(166.7℃)低い温度からチタンまたはチタン合金金属材料のβ遷移温度より625°F(347℃)低い温度までの温度範囲にある。非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度範囲の下端は、鍛造衝撃の間にワークピースの表面に実質的な損傷を起こさないα+β相領域における温度であり、必要以上の実験を行うことなく当業者によって決定されてよい。
【0074】
本開示による非限定的なMUD実施形態において、約1850°F(1010℃)のβトランザス温度(T
β)を有するTi−6−4合金(Ti−6Al−4V;UNS No.R56400)のワークピース鍛造温度範囲は、例えば、1150°F(621.1℃)〜1750°F(954.4℃)であってよく、別の実施形態では、1225°F(662.8℃)〜1550°F(843.3℃)であってよい。
【0075】
非限定的な実施形態は、MUD法の間に複数の再加熱ステップを含む。非限定的な実施形態において、チタン合金ワークピースの据え込み鍛造の後に、チタン合金ワークピースをワークピース鍛造温度まで加熱する。別の非限定的な実施形態において、複数回の引き抜き鍛造の引き抜き鍛造ステップの前に、チタン合金ワークピースをワークピース鍛造温度まで加熱する。別の非限定的な実施形態において、据え込みまたは引き抜き鍛造ステップの後、ワークピースを必要に応じて加熱して、実際のワークピース温度をワークピース鍛造温度に戻す。
【0076】
チタンおよびチタン合金から選択される金属材料を含むワークピースにおいて超微粒子を作り出すことを目的としているMUD法の実施形態は、重大な塑性変形とも称される、余分な仕事または極端な変形を付与することが見出された。いずれの特定の操作理論にも拘束されることを意図しないが、円筒形状のおよび八角形状円筒形のワークピースの円形または八角形状断面の形状は、それぞれ、MUD法の間に、ワークピースの断面に対してより均等にひずみを分配すると考えられる。ワークピースと鍛造金型との間の摩擦による悪影響もまた、金型と接触するワークピースの面積を低減することによって低減される。
【0077】
加えて、MUD法の間の温度を減少させることにより、最終粒径を、用いられる具体的な温度に特徴的であるサイズに低減させることも見出された。
図8を参照すると、ワークピースの粒径を微細化する方法200の非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度でMUD法によって処理した後、ワークピースの温度を第2ワークピース鍛造温度まで冷却する216ことができる。第2ワークピース鍛造温度までワークピースを冷却した後、非限定的な実施形態において、ワークピースを第2ワークピース鍛造温度において据え込み鍛造する218。ワークピースを回転させ220、または後の引き抜き鍛造ステップに向ける。ワークピースを第2ワークピース鍛造温度において多段階引き抜き鍛造する222。第2ワークピース鍛造温度における多段階引き抜き鍛造222は、回転方向(
図7を参照)にワークピースを増分的に回転させること224と、各回転増分の後に第2ワークピース鍛造温度において引き抜き鍛造する226こととを含む。非限定的な実施形態において、据え込み、増分的回転224、および引き抜き鍛造のステップを、ワークピースが開始断面寸法を含むまで繰り返す226。別の非限定的な実施形態において、第2ワークピース温度における据え込み鍛造218、回転220、および多段階引き抜き鍛造222のステップを、ワークピースにおいて10以上の真のひずみが達成されるまで繰り返す。チタンまたはチタン合金ワークピースに任意の所望の真のひずみが付与されるまで、MUDプロセスを継続できることが認識される。
【0078】
多重温度のMUD法を含む非限定的な実施形態において、ワークピース鍛造温度、または第1ワークピース鍛造温度は、約1600°F(871.1℃)であり、第2ワークピース鍛造温度は、約1500°F(815.6℃)である。第1および第2ワークピース鍛造温度より低い、後のワークピース鍛造温度、例えば、第3ワークピース鍛造温度、第4ワークピース鍛造温度などは、本開示の非限定的な実施形態の範囲内である。
【0079】
鍛造が進行するに従い、微粒化により、一定の温度において流動応力の減少が生ずる。逐次的な据え込みおよび引き抜きステップで鍛造温度を減少させることで、流動応力が一定に保たれ、微細構造の微細化速度が増加することが見出された。本開示によるMUDの非限定的な実施形態において、真のひずみが10であると、チタンおよびチタン合金ワークピースにおいて均一な等軸のα超微粒子微細構造が生じること、および二温度(または多重温度)のMUDプロセスの低い方の温度が、10の真のひずみをMUD鍛造に付与した後の最終粒径を決定できることが見出された。
【0080】
本開示の態様は、ワークピースの温度を、その後、チタン合金のβトランザス温度を超えて加熱する限り、MUD法による処理の後に、微細化された粒径を粗くすることなく、後の変形ステップが可能であることを含む。例えば、非限定的な実施形態において、MUD処理後の、後の変形の実施は、チタンまたはチタン合金のα+β相領域における温度での、引き抜き鍛造、複数の引き抜き鍛造、据え込み鍛造、またはこれらの鍛造ステップの2つ以上のあらゆる組み合わせを含むことができる。非限定的な実施形態において、後の変形または鍛造ステップは、チタンまたはチタン合金ワークピースにおいて均一な微粒子、極微粒子または超微粒子構造を依然として維持しながら、円筒形様ワークピースの開始断面寸法を断面寸法の一部分、例えば、限定されないが、断面寸法の2分の1、断面寸法の4分の1などに低減する、複数回の引き抜き鍛造、据え込み鍛造、および引き抜き鍛造の組み合わせを含む。
【0081】
MUD法の非限定的な実施形態において、ワークピースは、αチタン合金、α+βチタン合金、準安定βチタン合金、およびβチタン合金からなる群から選択されるチタン合金を含む。MUD法の別の非限定的な実施形態において、ワークピースは、α+βチタン合金を含む。本明細書に開示されている複数の据え込みおよび引き抜きプロセスのさらに別の非限定的な実施形態において、ワークピースは、準安定βチタン合金を含む。MUD法の非限定的な実施形態において、ワークピースは、ASTMグレード5、6、12、19、20、21、23、24、25、29、32、35、36、および38チタン合金から選択されるチタン合金である。
【0082】
本開示のMUD実施形態により、α+β相領域におけるワークピース鍛造温度までワークピースを加熱する前に、非限定的な実施形態において、ワークピースを、β
均熱温度まで加熱し、ワークピースにおいて100%のβ相微細構造を形成するのに十分なβ
均熱時間の間、ワークピースをβ
均熱温度において保持し、室温まで冷却してよい。非限定的な実施形態において、β
均熱温度は、チタンまたはチタン合金のβトランザス温度からチタンまたはチタン合金のβトランザス温度を最大で300°F(111℃)超えるまでを含むβ
均熱温度範囲にある。別の非限定的な実施形態において、β
均熱時間は、5分〜24時間である。
【0083】
非限定的な実施形態において、ワークピースは、ワークピースと鍛造金型との間の摩擦を低減する潤滑コーティングと全表面またはある一定の表面において接触しているビレットである。非限定的な実施形態において、潤滑コーティングは、固体潤滑剤、例えば、限定されないが、グラファイトおよびガラス潤滑剤のうちの一方である。当業者に現在公知もしくは今後公知となる他の潤滑コーティングは、本開示の範囲内である。加えて、円筒形様ワークピースを用いたMUD法の非限定的な実施形態において、ワークピースと鍛造金型との間の接触面積は、立方体状ワークピースの多軸鍛造における接触面積と比較して小さい。接触面積が低減されると、金型の摩擦が低減され、チタン合金ワークピースの微細構造およびマクロ構造がより均一になる。
【0084】
本開示のMUD実施形態により、α+β相領域におけるワークピース鍛造温度までチタンおよびチタン合金から選択される金属材料を含むワークピースを加熱する前に、非限定的な実施形態において、ワークピースを、ワークピースにおいて100%のβ相微細構造を形成するのに十分なβ
均熱時間で保持した後、室温まで冷却する前に、チタンまたはチタン合金金属材料のβ相領域における塑性変形温度で塑性変形する。非限定的な実施形態において、塑性変形温度は、β
均熱温度に等しい。別の非限定的な実施形態において、塑性変形温度は、チタンまたはチタン合金のβトランザス温度からチタンまたはチタン合金のβトランザス温度を最大で300°F(111℃)超える温度を含む塑性変形温度範囲にある。
【0085】
非限定的な実施形態において、チタンまたはチタン合金のβ相領域における塑性変形は、チタン合金ワークピースの引き抜き、据え込み鍛造、および高ひずみ速度多軸鍛造の少なくとも1つを含む。別の非限定的な実施形態において、チタンまたはチタン合金のβ相領域における塑性変形は、本開示の非限定的な実施形態による複数の据え込みおよび引き抜き鍛造を含み、ここで、ワークピースをワークピース鍛造温度まで冷却することは、空冷を含む。なお別の非限定的な実施形態において、チタンまたはチタン合金のβ相領域においてワークピースを塑性変形することは、ワークピースを高さまたは別の寸法、例えば長さが30%〜35%低減するまで据え込み鍛造することを含む。
【0086】
本開示の別の態様は、鍛造の間に鍛造金型を加熱することを含むことができる。非限定的な実施形態は、ワークピースを鍛造するのに用いられる鍛造型を、ワークピース鍛造温度からワークピース鍛造温度より100°F(55.6℃)低い温度(両端を含む)によって囲まれる温度範囲内の温度に加熱することを含む。
【0087】
また、本明細書に開示されているある一定の方法を、チタンおよびチタン合金以外の金属および金属合金のワークピースの粒径を低減するために、該金属および金属合金に適用してよいことも考えられる。本開示の別の態様は、金属および金属合金の高ひずみ速度多段階鍛造のための方法の非限定的な実施形態を含む。該方法の非限定的な実施形態は、金属または金属合金を含むワークピースをワークピース鍛造温度まで加熱することを含む。加熱後、ワークピースを、ワークピースの内部領域を断熱加熱するのに十分なひずみ速度でワークピース鍛造温度において鍛造する。鍛造後、次の鍛造ステップの前に待機期間を使用する。待機期間の間、ワークピースの少なくとも1つの表面領域をワークピース鍛造温度まで加熱しながら、金属合金ワークピースの断熱加熱された内部領域の温度をワークピース鍛造温度まで冷却させる。金属合金ワークピースの少なくとも1つの表面領域をワークピース鍛造温度まで加熱しながら、ワークピースを鍛造し、次いで、ワークピースの断熱加熱された内部領域をワークピース鍛造温度まで平衡化させるステップを、所望の特徴が得られるまで繰り返す。非限定的な実施形態において、鍛造は、プレス鍛造、据え込み鍛造、引き抜き鍛造、およびロール鍛造の1つ以上を含む。別の非限定的な実施形態において、金属合金は、チタン合金、ジルコニウムおよびジルコニウム合金、アルミニウム合金、鉄合金、ならびに超合金からなる群から選択される。なお別の非限定的な実施形態において、所望の特徴は、付与ひずみ、平均粒径、形状、および機械的特性のうちの1つ以上である。機械的特性として、限定されないが、強度、延性、破壊靱性、および硬度が挙げられる
【実施例】
【0088】
本開示によるある一定の非限定的な実施形態を説明するいくつかの実施例を以下に続ける。
【0089】
実施例1
熱管理システムを用いた多軸鍛造を、10〜30μmの範囲の粒径を有する等軸α粒子を有する合金Ti−6−4からなるチタン合金ワークピースにおいて実施した。使用した熱管理システムは、加熱された金型と、チタン合金ワークピースの表面領域を加熱するための火炎加熱とを含んだ。ワークピースは、4インチ面の立方体からなった。ワークピースを、ガス燃焼による箱型炉において、1940°F(1060℃)のβ焼純温度、すなわち、βトランザス温度を約50°F(27.8℃)超える温度まで加熱した。β焼純
均熱時間は1時間であった。β焼純したワークピースを室温、すなわち、約70°F(21.1℃)まで空冷した。
【0090】
次いで、β焼純したワークピースを、ガス燃焼による箱型炉において、合金のα+β相領域における1500°F(815.6℃)のワークピース鍛造温度まで加熱した。β焼純したワークピースを、まず、3.25インチのスペーサ高さまでワークピースのA軸の方向にプレス鍛造した。プレス鍛造のラム速度は1インチ/秒であり、これは、0.27/秒のひずみ速度に相当した。ワークピースの断熱加熱した中心およびワークピースの火炎加熱した表面領域をワークピース鍛造温度に約4.8分間平衡化させた。ワークピースを回転させ、3.25インチのスペーサ高さまでワークピースのB軸の方向にプレス鍛造した。プレス鍛造のラム速度は1インチ/秒であり、これは、0.27/秒のひずみ速度に相当した。ワークピースの断熱加熱した中心およびワークピースの火炎加熱した表面領域をワークピース鍛造温度に約4.8分間平衡化させた。ワークピースを回転させ、4インチのスペーサ高さまでワークピースのC軸の方向にプレス鍛造した。プレス鍛造のラム速度は1インチ/秒であり、これは、0.27/秒のひずみ速度に相当した。ワークピースの断熱加熱した中心およびワークピースの火炎加熱した表面領域をワークピース鍛造温度に約4.8分間平衡化させた。上記のa−b−c(多軸)鍛造を合計12の鍛造衝撃について4回繰り返し、4.7の真のひずみを生成した。多軸鍛造後、ワークピースを水急冷した。実施例1の熱機械処理経路を
図9に示す。
【0091】
実施例2
実施例1の出発材料のサンプルおよび実施例1において処理した材料のサンプルを金属組織的に調製し、粒子構造を顕微鏡により観察した。
図10は、10〜30μmの間の粒径を有する等軸粒子を示す、実施例1のβ焼鈍した材料の顕微鏡写真である。
図11は、実施例1のa−b−c鍛造したサンプルの中心領域の顕微鏡写真である。
図11の粒子構造は、およそ4μmの等軸粒径を有し、「極微粒子」(VFG)材料として適している。サンプルにおいて、VFGサイズの粒子をサンプルの中心において優先的に観察した。サンプルにおける粒径は、サンプルの中心からの距離が増加するに従って、より大きかった。
【0092】
実施例3
有限要素モデリングを用いて、断熱加熱された内部領域をワークピース鍛造温度まで冷却するのに必要な内部領域冷却時間を決定した。該モデリングにおいて、直径5インチ、長さ7インチのα−βチタン合金プリフォームを1500°F(815.6℃)の多軸鍛造温度まで仮想的に加熱した。鍛造金型を600°F(315.6℃)まで加熱するようシミュレートした。ラム速度を1インチ/秒でシミュレートし、これは、0.27/秒のひずみ速度に相当した。内部領域冷却時間について異なる間隔を入力し、シミュレートしたワークピースの断熱加熱された内部領域をワークピース鍛造温度まで冷却するのに必要な内部領域冷却時間を決定した。
図10のプロットから、該モデリングが、30〜45秒の間の内部領域冷却時間を用いることで、断熱加熱された内部領域を約1500°F(815.6℃)のワークピース鍛造温度まで冷却できることを示唆していることが分かる。
【0093】
実施例4
熱管理システムを用いた高ひずみ速度多軸鍛造を、4インチ(10.16cm)面の立方体の合金Ti−6−4からなるチタン合金ワークピースにおいて実施した。チタン合金ワークピースを1940°F(1060℃)において60分間β焼純した。β焼純後、ワークピースを室温まで空冷した。チタン合金ワークピースを、チタン合金ワークピースのα−β相領域における1500°F(815.6℃)のワークピース鍛造温度まで加熱した。ワークピースを、本開示の非限定的な実施形態により、ガス火炎加熱器および加熱した金型を含む熱管理システムを用いて多軸鍛造して、多軸鍛造の衝撃間にワークピース鍛造温度までワークピースの外部表面領域の温度を平衡化させた。ワークピースを3.2インチ(8.13cm)までプレス鍛造した。a−b−c回転を用いて、ワークピースを各衝撃において4インチ(10.16cm)まで逐次的にプレス鍛造した。1インチ/秒(2.54cm/秒)のラム速度をプレス鍛造ステップにおいて用い、休止、すなわち、15秒の内部領域冷却時間または平衡化時間をプレス鍛造衝撃間で用いた。平衡化時間は、外部表面領域をワークピース鍛造温度まで加熱しながら、断熱加熱された内部領域をワークピース鍛造温度まで冷却させる時間である。衝撃間の立方体状ワークピースの回転を90°にして、合計12の衝撃を1500°F(815.6℃)のワークピース温度で用い、すなわち、立方体状ワークピースを4回a−b−c鍛造した。
【0094】
次いで、ワークピースの温度を1300°F(704.4℃)の第2ワークピース鍛造温度まで低下させた。各鍛造衝撃間に1インチ/秒(2.54cm/秒)のラム速度および15秒の内部領域冷却時間を用い、チタン合金ワークピースにおいて、本開示の非限定的な実施形態による高ひずみ多軸鍛造を行った。第1ワークピース鍛造温度を管理するのに用いたのと同じ熱管理システムを用いて、第2ワークピース鍛造温度を管理した。合計6の鍛造衝撃を第2ワークピース鍛造温度で適用し、すなわち、立方体状ワークピースを第2ワークピース鍛造温度において2回a−b−c鍛造した。
【0095】
実施例5
実施例4に記載したように処理した後の立方体の中心の顕微鏡写真を
図13に示す。
図13から、立方体の中心の粒子は、等軸平均粒径が3μm未満、すなわち、超微細粒径であることが観察される。
【0096】
実施例4に従って処理した立方体の中心または内部領域は超微細粒径を有したが、処理した立方体の中心領域よりも外部の領域における粒子は超微粒子でないことも観察された。これは、実施例4に従って処理した立方体の断面の写真である
図14から明らかである。
【0097】
実施例6
有限要素モデリングを用いて、熱管理された多軸鍛造における立方体の変形をシミュレートした。シミュレーションを、全β微細構造が得られるまで1940°F(1060℃)でβ焼純した4インチ面の立方体のTi−6−4合金に関して行った。シミュレーションは、本明細書に開示されている方法のある一定の非限定的な実施形態において用いるように、1500°F(815.6℃)で行う等温多軸鍛造を用いた。ワークピースを合計12の衝撃、すなわち、4セットのa−b−c直交軸鍛造/回転でa−b−cプレス鍛造した。該シミュレーションにおいて、立方体を1300°F(704.4℃)まで冷却し、6衝撃、すなわち、2セットのa−b−c直交軸鍛造/回転で高ひずみ速度プレス鍛造を行った。シミュレートしたラム速度は、1インチ/秒(2.54cm/秒)であった。
図15に示す結果は、上記の処理の後の立方体におけるひずみのレベルを予測するものである。有限要素モデリングシミュレーションでは、立方体の中心において16.8の最大ひずみが予測される。しかし、最大ひずみは、非常に局在化しており、断面の大部分が、10超のひずみを達成しない。
【0098】
実施例7
高さが7インチである(すなわち、縦軸に沿って測定)直径5インチの円筒形の構成で合金Ti−6−4を含むワークピースを1940°F(1060℃)で60分間β焼純した。β焼純した円筒を空気急冷し、全β微細構造を保存した。β焼純した円筒を1500°F(815.6℃)のワークピース鍛造温度まで加熱し、続いて本開示の非限定的な実施形態による複数の据え込みおよび引き抜き鍛造を行った。複数の据え込みおよび引き抜きシーケンスは、5.25インチの高さまでの据え込み鍛造(すなわち、縦軸に沿った寸法が低減されている)と、縦軸の周りの45°の増分的回転、ならびに開始および最後の外接円の直径が4.75インチである八角形状円筒形を形成する引き抜き鍛造を含む複数の引き抜き鍛造を含んだ。増分的回転による合計36の引き抜き鍛造を、衝撃間の待機時間無しに用いた。
【0099】
実施例8
実施例7において調製したサンプルの断面の中心領域の顕微鏡写真を
図16(a)に提示する。実施例7において調製したサンプルの断面の近表面領域の顕微鏡写真を
図16(b)に提示する。
図16(a)および(b)の実験により、実施例7に従って処理したサンプルが、極微粒子(VFG)に分類される、平均粒径が3μm未満の均一な等軸粒子構造を達成したことが明らかになる。
【0100】
実施例9
24インチの長さを有する直径10インチの円筒形状ビレットとして構成された、合金Ti−6−4を含むワークピースを、シリカガラススラリー潤滑剤によってコーティングした。該ビレットを1940℃でβ焼純した。β焼純したビレットを、24インチから、長さが30〜35%低減するまで据え込み鍛造した。β据え込み後、ビレットを、増分的回転および10インチの八角形状円筒形までのビレットの引き抜き鍛造を含んだ複数回の引き抜き鍛造に付した。β処理した八角形状円筒形を室温まで空冷した。複数の据え込みおよび引き抜きプロセスにおいて、八角形状円筒形を1600°F(871.1℃)の第1ワークピース鍛造温度まで加熱した。八角形状円筒形を、長さが20〜30%低減するまで据え込み鍛造し、次いで、45°の増分だけ運転を回転させて、続いて八角形状円筒形が開始断面寸法に達するまで引き抜き鍛造することを含む複数の引き抜き鍛造を行った。第1ワークピース鍛造温度における据え込み鍛造および複数回の引き抜き鍛造を3回繰り返し、ワークピースを必要に応じて再加熱して、ワークピース温度をワークピース鍛造温度に戻した。ワークピースを1500°F(815.6°F)の第2ワークピース鍛造温度まで冷却した。第1ワークピース鍛造温度で用いた複数の据え込みおよび引き抜き鍛造手順を第2ワークピース鍛造温度において繰り返した。この実施例9におけるステップのシーケンスに関する概略的な熱機械的な温度−時間チャートを
図17に提示する。
【0101】
ワークピースを、従来の鍛造パラメータを用いてα+β相領域における温度で複数回引き抜き鍛造し、据え込みに関しては半分縮小した。ワークピースを、長さが20%低減するまで、従来の鍛造パラメータを用いてα+β相領域における温度で複数回引き抜き鍛造した。最後のステップにおいて、ワークピースを、36インチの長さを有する直径5インチの円形の円筒形にまで引き抜き鍛造した。
【0102】
実施例10
実施例9の非限定的な実施形態によって処理したサンプルの断面の超接写写真を
図18に提示する。均一な粒径がビレット全体にわたって存在することが分かる。実施例9の非限定的な実施形態によって処理したサンプルの顕微鏡写真を
図19に提示する。該顕微鏡写真は、粒径が極微細粒径範囲にあることを実証している。
【0103】
実施例11
有効要素モデリングを用いて、実施例9において調製したサンプルの変形をシミュレートした。有限要素モデルを
図20に提示する。有限要素モデルにより、5インチの円形ビレットの大部分について、10を超える比較的均一な有効ひずみが予測される。
【0104】
本明細書は、本発明の明確な理解に適切である本発明の態様を説明していることが理解されよう。当業者に明確であるため、本発明のより良好な理解の手助けとならないある一定の態様は、本明細書を簡潔にするために提示していない。本発明の実施形態を限定された数でのみ必然的に本明細書に記載しているが、当業者は、以上の明細書を考慮する際に、本発明の多くの変更および変形が使用され得ることを認識するだろう。本発明の全てのかかる変形および変更は、以上の明細書および以下の特許請求の範囲によってカバーされることが意図される。