特許第6109739号(P6109739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許61097392個の噴射管を有するワイパブレードのためのウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプ、ワイパ装置、および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109739
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】2個の噴射管を有するワイパブレードのためのウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプ、ワイパ装置、および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/48 20060101AFI20170327BHJP
   B60S 1/46 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B60S1/48 B
   B60S1/46 D
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-530648(P2013-530648)
(86)(22)【出願日】2011年8月5日
(65)【公表番号】特表2013-538743(P2013-538743A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2011063552
(87)【国際公開番号】WO2012041581
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年7月3日
(31)【優先権主張番号】1003849
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン、カルイエール
(72)【発明者】
【氏名】ドニ、テボー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン‐フランソワ、クワントロー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン‐ミシェル、ジャラソン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール‐エマニュエル、ネーグル
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/034445(WO,A1)
【文献】 特表2012−503566(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00351527(EP,A1)
【文献】 特表平03−504591(JP,A)
【文献】 米国特許第04038519(US,A)
【文献】 特開昭50−113094(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/118286(WO,A1)
【文献】 実開昭57−027149(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第01040973(EP,A1)
【文献】 米国特許第07711251(US,B1)
【文献】 特開平09−207197(JP,A)
【文献】 特開昭63−126299(JP,A)
【文献】 特開平02−093614(JP,A)
【文献】 特開平09−182231(JP,A)
【文献】 特開平11−341640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00 − 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の噴射管を有するワイパブレードのためのウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプであって、
2個のウインドウォッシャ液循環ダクトを含むスリーブ(4)と、
スリーブ(4)の質量体内であって2個のウインドウォッシャ液循環ダクト(5a、5b)の間に埋め込まれた、加熱素子である2個の第1の導線(6a、6b)と、
ワイパブレードの加熱装置に給電するためにスリーブ(4)内に埋め込まれた2個の第2の導線(6c、6d)と、を備えたことを特徴とする加熱輸送パイプ。
【請求項2】
2個の噴射管を有するワイパブレードのためのウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプであって、
2個のウインドウォッシャ液循環ダクトを含むスリーブ(4)と、
スリーブ(4)の質量体内であって2個のウインドウォッシャ液循環ダクト(5a、5b)の間に埋め込まれた、加熱素子である2個の第1の導線(6a、6b)と、を備え、
埋め込まれた導線が、スリーブの断面において、スリーブ(4)の中心でウインドウォッシャ液循環ダクト(5a、5b)が並ぶ方向に直交する方向に揃えられており、
スリーブ(4)の断面が、ほぼ8の字型の形状を呈しており、
少なくとも1つの第2の導線が、スリーブ(4)の外側で8の字型形状部の凹状側面の少なくとも1つの凹みに固定されることを特徴とする加熱輸送パイプ。
【請求項3】
スリーブ(4)の断面の周辺部が、2個の向かい合った平らな中央部と、2個の丸みを帯びた端部分とを有することを特徴とする請求項に記載の加熱輸送パイプ。
【請求項4】
前記加熱輸送パイプ(3)の少なくとも1つの第2の導線をスリーブ(4)の外側にクリップ留めするために、スリーブ(4)の周辺部の少なくとも1つの平らな中央部に切欠き(9a、9b)が設けられていることを特徴とする請求項に記載の加熱輸送パイプ。
【請求項5】
第1のパイプ端部を第2のパイプ端部から分離するための、破断開始部をスリーブの周縁の少なくとも一カ所に含み、
各々のパイプ端部が、ウインドウォッシャ液循環ダクト(5a、5b)と、少なくとも1つの導線とを含んでいることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の加熱輸送パイプ。
【請求項6】
スリーブの周縁の2個の向かい合った平らな中央部が、第1および第2のパイプ端部の分離を開始可能な、ぴったり合わさる傾斜に沿った2個の斜断溝(10a、10b)を有することを特徴とする請求項3および請求項に記載の加熱輸送パイプ。
【請求項7】
スリーブの周縁が、第1および第2のパイプ端部の分離を開始可能にする薄い中央部分(11)を含んでいることを特徴とする請求項に記載の加熱輸送パイプ。
【請求項8】
前記スリーブ(4)が、柔軟な材料からなることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の加熱輸送パイプ。
【請求項9】
ワイパブレード(2)を含み、このワイパブレードのアームの各側に第1および第2の噴射管を備えた、自動車のガラス面のワイパ装置であって、
さらに、請求項1からのいずれか一項に記載の加熱輸送パイプを含み、
その第1のウインドウォッシャ液循環ダクト(5a)が、一方では、ワイパブレード(2)の前記第1の噴射管に接続され、他方では、ポンプに接続されるように構成され、
第2のウインドウォッシャ液循環ダクト(5b)が、一方では、ワイパブレード(2)の前記第2の噴射管に接続され、他方ではポンプに接続されるように構成されていることを特徴とするワイパ装置。
【請求項10】
加熱素子である前記加熱輸送パイプの2個の導線(6a、6b)が、ワイパブレード(2)内に延長されることを特徴とする請求項に記載のワイパ装置。
【請求項11】
請求項1からのいずれか一項に記載のウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプの製造方法であって、
前記スリーブ(4)の形状にするように構成されたダイスを介して押し出し成形を行う最中に、少なくとも1つの導線を材料内に挿入し、
第1のウインドウォッシャ液循環ダクト(5a)を有する第1のスリーブ形状部分にするように構成されたダイスを介して押し出し成形を行う最中に、第1の導線(6a)を材料内に挿入し、第2のウインドウォッシャ液循環ダクト(5b)を有する第2のスリーブ形状部分にするように構成されたダイスを介して押し出し成形を行う最中に、第2の導線(6b)を材料内に挿入し、前記第1および第2のスリーブ部分をパイプの2個の自由端の間で貼り合わせによって組み立てることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2個の噴射管を有してフロントガラス等の自動車のガラス面の洗浄および霜取りを行うワイパブレードのためのウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプに関する。本発明は、また、このようなパイプを含むワイパ装置と、このパイプの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のワイパシステムでは、ガラス面に噴射する前にウインドウォッシャ液を加熱することによってガラス面の洗浄が改善されることが知られている。しかも、加熱されたウインドウォッシャ液は、ガラス面の霜取り作業を補助することができる。
【0003】
さらに、近年の開発では、ワイパブレードが、このワイパブレードのアームの各側に2個の噴射管を備えるようにすることを提案している。噴射管は、1つまたは複数のノズルすなわち加圧噴射穴を含んで、ガラス面にウインドウォッシャ液を供給することができる。ウインドウォッシャ液は、単にブレードの前方部分にのみ送られる。すなわち、ウインドウォッシャ液は、上昇払拭段階の間にワイパブレードのアームが進む側と、下降払拭段階の間の反対側とに配置される噴射管に送られる。この構成によって、ウインドウォッシャ液をガラス面に塗布した後で瞬時に拭うことができるので、合間に視界が遮られることがなくなる。
【0004】
ノズルは、リザーバに収容されるウインドウォッシャ液を、ポンプを介して供給される。パイプは、ポンプによりリザーバから取り出されるウインドウォッシャ液を、たとえばウインドウォッシャの制御手段を作動する瞬間にノズルに向かって輸送かつ加熱する。この制御は、ハンドル側に配置されて特にワイパの作動を制御する制御レバーによって一般に行われる。
【0005】
厳密な意味でのウインドウォッシャ液の加熱は、循環するウインドウォッシャ液を加熱するためにパイプ内に延長される被覆導線によって実施可能である。しかし、パイプ内に加熱導線が存在すると、ウインドウォッシャ液の流れに圧力損失が生じて、ノズルの出力圧を弱めることがある。1つの解決方法は、パイプをより大きな直径にすることからなる。しかし、太いパイプの使用は、限られた外形寸法の装置、たとえば2個のパイプが内蔵される二重管のワイパ等には適合しにくいことが分かっている。しかも、より流量の多いポンプを使用すれば、ワイパ装置のコストを上げることになり、また、より多くの消費電力を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は、ウインドウォッシャ液の流れにおける圧力損失を制限し、これまでよりも安価かつ小型の改良されたウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプを提案することによって、上記の不都合を解消することにある。本発明の別の目的は、実施が簡単な製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明は、2個の噴射管を有するワイパブレードのためのウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプを目的とし、このパイプは、少なくとも2個のウインドウォッシャ液循環ダクトの押し出し成形スリーブを含み、上記パイプの少なくとも2個の導線がスリーブの質量体(masse)内に埋め込まれていることを特徴とする。
【0008】
導線は、加熱素子を有し、あるいは、ワイパブレードの加熱素子に接続されるように構成される。このようにして、パイプの外形寸法およびコストを抑えながら、同一パイプにおいて、1つまたは複数の噴射管までウインドウォッシャ液循環ダクトで支障なくウインドウォッシャ液を送り、また、電気および/または加熱を伝えることができる。
【0009】
単独または組み合わせて選択される加熱輸送パイプの1つまたは複数の特徴によれば、
−加熱輸送パイプが、スリーブ内で2個のウインドウォッシャ液循環ダクトの間に埋め込まれた、加熱素子を備える2個の第1の導線を含んでいる。
−加熱輸送パイプが、ワイパブレードの加熱装置を供給するためにスリーブに埋め込まれた2個の第2の導線を含んでいる。
−上記スリーブが、柔軟な材料を含んでいる。
−埋め込まれた導線の断面が、スリーブの中心で循環ダクトの中央方向に揃えられている。
−埋め込まれた導線の断面と循環ダクトの断面とがほぼ揃えられている。
−スリーブに埋め込まれた導線が、スリーブの断面の端部に配置される。
−スリーブの断面が、ほぼ8の字型の形状を呈しており、加熱輸送パイプが、少なくとも1つの導線を含み、この導線が、スリーブの外側で8の字型形状部の凹状側面の少なくとも1つの凹みに固定される。
−スリーブの断面の周辺部が、2個の向かい合った平らな中央面と、2個の丸みを帯びた端部分とを有する。
−加熱輸送パイプの少なくとも1つの導線をスリーブの外側にクリップ留めするために、スリーブの周辺部の少なくとも1つの平らな中央面に切欠きが設けられている。
−スリーブに埋め込まれる導線が、循環ダクトの中央面の両側に配置される。
【0010】
1つの実施形態によれば、上記の加熱輸送パイプが、スリーブの少なくとも1つの横縁(bout)に破断開始部を含んで、第1のパイプ端部を第2のパイプ端部から分離し、各々のパイプ端部が、ウインドウォッシャ液循環ダクトと、少なくとも1つの導線とを含んでいる。破断開始部により、スリーブの横縁でパイプ端部を分離しやすくすることができ、その後、分離された端部を個々の噴射管および/またはポンプに接続することができる。
【0011】
破断開始部の第1の実施形態によれば、スリーブの横縁の2個の向かい合った平らな中央面が、第1および第2のパイプ端部の分離を開始可能な、ぴったり合わさる傾斜に沿った2個の斜断溝を有する。
【0012】
破断開始部の第2の実施形態によれば、スリーブの横縁が、第1および第2のパイプ端部の分離を開始可能にする薄い中央部分を有する。
【0013】
本発明は、また、ワイパブレードを含んで、このワイパブレードのアームの各側に第1および第2の噴射管を備えた、自動車のガラス面のワイパ装置を目的とし、この装置は、さらに、上記のような加熱輸送パイプを含み、その第1のウインドウォッシャ液循環ダクトが、一方では、ワイパブレードの上記の第1の噴射管に接続され、他方では、ポンプに接続されるように構成され、第2のウインドウォッシャ液循環ダクトが、一方では、ワイパブレードの第2の噴射管に接続され、他方ではポンプに接続されるように構成される。
【0014】
ワイパ装置の1つの特徴によれば、加熱素子を有する加熱輸送パイプの2個の導線が、ワイパブレード内に延長される。
【0015】
このようにして、ワイパブレードの加熱装置は、加熱輸送パイプとワイパブレードとの間の中間電気コネクタも、ワイパブレードの加熱装置に給電するための追加電気ケーブルも必要なしに給電されるので、これにより、コストを下げて組立を容易にすることができる。
【0016】
本発明は、また、ウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプの製造方法を目的とし、上記スリーブの形状にするように構成されたダイスを介して押し出し成形を行う最中に、少なくとも1つの導線を材料内に挿入することを特徴とする。
【0017】
スリーブの押し出し成形と同時に導線を挿入することによって、製造方法の工程数が減り、この製造方法は非常に簡単かつ安価にされる。自動車内への組み付けも簡素化されるが、これは、接続に際して導線を露出させるだけでよく、押し出し成形後にスリーブに導線を挿入する複雑な工程が不要であることによる。
【0018】
製造方法の第1の実施形態によれば、押し出し成形されたスリーブが、2個のウインドウォッシャ液循環ダクトを有し、その後、スリーブの横縁をパイプの第1および第2の自由端に分離し、各端部が、ウインドウォッシャ液循環ダクトと少なくとも1つの導線とを含む。
【0019】
製造方法の第2の実施形態によれば、第1のウインドウォッシャ液循環ダクトを有する第1のスリーブ形状部分にするように構成されたダイスを介して押し出し成形を行う最中に、第1の導線を材料内に挿入し、第2のウインドウォッシャ液循環ダクトを有する第2のスリーブ形状部分にするように構成されたダイスを介して押し出し成形を行う最中に、第2の導線を材料内に挿入し、前記第1および第2のスリーブ部分をパイプの2個の自由端の間で組み立てる。
【0020】
本発明の他の特徴および長所は、添付図面に関して限定的ではなく例として挙げられた以下の説明を読めば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】2個の噴射管を有するワイパブレードのためのワイパ装置の部材を示す概略図である。
図2図1のワイパ装置の加熱輸送パイプを示す部分斜視図である。
図3図2のパイプの断面図である。
図4図3のパイプの1つの変形実施形態を示す断面図である。
図5図3のパイプの別の変形実施形態を示す断面図である。
図6図3のパイプの別の変形実施形態を示す断面図である。
図7図3のパイプの別の変形実施形態を示す断面図である。
図8図3のパイプの別の変形実施形態を示す断面図である。
図9図3のパイプの別の変形実施形態を示す断面図である。
図10図3のパイプの別の変形実施形態を示す断面図である。
図11図3のパイプの別の変形実施形態を示す断面図である。
図12図3のパイプの別の変形実施形態を示す断面図である。
【0022】
上記の図において、同じ部材には同じ参照番号を付した。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、自動車1のガラス面のためのワイパ装置の複数部材を示している。ワイパ装置1は、ワイパブレード2を有し、このワイパブレード2のアーム(図示せず)の各側に第1および第2の噴射管が備えられている。噴射管は、1つまたは複数のノズルまたは加圧噴射穴を有して、ガラス面にウインドウォッシャ液を供給することができる。ウインドウォッシャ液は、ブレードの前方部分にのみ送られ、すなわち、ウインドウォッシャ液は、上昇払拭段階の間にワイパブレードのアームが進む側と、下降払拭段階の間の反対側とに配置される噴射管に送られる。この構成によって、ガラス面に塗布した後でウインドウォッシャ液を瞬時に拭うことができるので、合間に視界が遮られることがなくなる。
【0024】
ワイパ装置1は、さらに、自動車のリザーバに収容されるウインドウォッシャ液をポンプを介して噴射管に供給するためのウインドウォッシャ液の加熱輸送パイプ3を含む。各々の噴射管に対して自動車の1個の双方向ポンプまたは2個の単一方向ポンプ(図示せず)を使用することができる。
【0025】
加熱輸送パイプ3の横断面図である図2と3から分かるように、加熱輸送パイプは、たとえばゴム等の柔軟な絶縁材からなるスリーブ4を含む。スリーブ4は、2個のウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bと、押し出し成形によって得られた少なくとも2個の導線6a、6bとを有する。スリーブ4の質量体内に埋め込まれている導線6a、6bは、押し出し成形されるスリーブ材料と一緒に導入される。
【0026】
第1のウインドウォッシャ液循環ダクト5aは、一方では、ワイパブレード2の第1の噴射管に接続され、他方では、ポンプに接続される。第2のウインドウォッシャ液循環ダクト5bは、一方では、ワイパブレード2の第2の噴射管に接続され、他方ではポンプに接続される。
【0027】
導線6a、6bと循環ダクト5a、5bは、互いにほぼ平行である。この第1の実施形態では、スリーブ4の横断面の周辺部(スリーブの外部)が、2個の向かい合った平らな中央面と、2個の丸みを帯びた端部分とを有する。
【0028】
導線6a、6bは、加熱素子を有し(導線は、たとえば加熱抵抗線である)、あるいはワイパブレードの加熱装置の加熱素子に接続されるように構成されており、その結果、個々の噴射管に向かって1つまたは複数のポンプによりリザーバから取り出されるウインドウォッシャ液が加熱される。このようにして、ガラス面に噴射される前にウインドウォッシャ液を加熱することにより、ガラス面の洗浄が改善される。さらに、加熱されたウインドウォッシャ液はガラス面の霜取りをしやすくする。
【0029】
そのため、被覆された導線6a、6bは、それらの端部で露出できるようにスリーブ4の両側からはみ出ており、片側で一緒に接続され、反対側で電源に接続されて、電流ループを形成することができる。ウインドウォッシャ液循環ダクト5aを接続するために、液体用継手が設けられている。
【0030】
図2図3に示された第1の変形実施形態によれば、2個の導線6a、6bが、スリーブ4のほぼ中心に埋め込まれ、それらの断面が、循環ダクト5a、5bの中央方向にほぼ揃えられている。導線6a、6bは、電気コネクタ8(図1参照)を介して電源に接続可能な加熱素子を含んでいる。
【0031】
使用中、導線6a、6bはスリーブ4を加熱し、スリーブは、ウインドウォッシャ液が循環ダクト5a、5b内でポンプと個々の噴射管との間で流れるとき、ウインドウォッシャ液を加熱する。
【0032】
図示されていない1つの変形実施形態によれば、第1の導線6aが、1つの加熱素子を含み、第2の導線6bがアース線を含む。上記の実施形態と同様に、導線6a、6bは、それらの端部で露出することができるようにスリーブ4の両側からはみ出ており、その後、片側で一緒に接続され、反対側で電源に接続されて、電流ループを形成することができる。しかし、その場合、ウインドウォッシャ液のほぼ同じ温度を得るために必要な加熱パワーは、第1の実施形態よりも2倍多い。さらに、2個のウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bを確実に加熱するために、ウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bの間に、加熱素子を含む導体を配置することが必要である。
【0033】
別の変形実施形態によれば、スリーブ4に埋め込まれた2個の導線6a、6bは、ワイパブレード2の内蔵加熱装置等の電気装置を供給するように構成される。パイプの加熱用ではないので、導線を撚り合わせることができる。このようにして、ウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bに対して導線6a、6bの配置を決定することにより、加熱輸送パイプ3が、ウインドウォッシャ液を送るとともにワイパブレード2に給電するために使用される。さらに、自動車への組み付けが容易にされる。
【0034】
また、これらの実施形態の組み合わせを検討することも可能である。そのため、図4は、別の実施形態を示しており、この実施形態では、スリーブ4が2個のウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bと、埋め込まれた4個の導線6a、6b、6c、6dとを有している。導線6a、6b、6c、6dの断面は、スリーブ4の中心で循環ダクト5a、5bの中央方向にほぼ揃えられている。
【0035】
第1の組の導線6a、6bは、たとえば加熱素子を含み、第2の組の導線6c、6dは、たとえば電気ケーブルを含んでワイパブレード2の内蔵加熱装置に給電する。このようにして、ウインドウォッシャ液を加熱すると同時にワイパブレード2を加熱することができる。パイプの外形寸法およびコストを抑えながら、同一パイプにおいて、個々の噴射管までウインドウォッシャ液循環ダクトで支障なくウインドウォッシャ液を送り、また、電気および/または加熱を伝えることができる。
【0036】
さらに、加熱素子を有する加熱輸送パイプ3の2個の導線6a、6bがワイパブレード2内に延長されるように構成することもできる(図1参照)。このようにして、ワイパブレードの加熱装置は、加熱輸送パイプ3とワイパブレード2との間の中間電気コネクタも、ワイパブレードの加熱装置に給電するための追加電気ケーブルも必要なしに給電されるので、これにより、コストを下げて組立を容易にすることができる。
【0037】
第2の実施形態では、加熱素子を含む第1の組の導線6a、6bがスリーブに埋め込まれ、少なくとも1つの第2の組の導線7a、7bが、スリーブ4の外側に固定される。スリーブ4に埋め込まれる導線6a、6bは、加熱素子を備え、スリーブ4の外側に固定される導線7a、7bは、たとえばワイパブレードの加熱装置に給電することができる。
【0038】
図5に示された第1の変形実施形態によれば、スリーブ4の断面がほぼ8の字型の形状を呈している。加熱輸送パイプ3は、スリーブ4内に埋め込まれた2個の導線6a、6bと、スリーブ4の外側で、このスリーブ4の8の字型形状部の2個の凹状側面にそれぞれ固定された2個の導線7a、7bとを含んでいる。
【0039】
図6に示された第2の変形実施形態によれば、スリーブ4の断面の全体形状が、より詳しくは、アレイ
の形状を呈しており、加熱輸送パイプ3の4個の導線7a、7b、7c、7dを、スリーブ4の外側で、このスリーブ4のアレイ形状部の凹状側面にそれぞれ2個ずつ固定するようにされている。
【0040】
図7に示された第3の変形実施形態によれば、スリーブ4の断面の周辺部が、2個の向かい合った平らな中央面と、2個の丸みを帯びた端部分とを有しており、スリーブ4の2個の向かい合った平らな中央面に2個の切欠き9a、9bがそれぞれ設けられて、2個の導線7a、7bをスリーブ4の外側にクリップ留めするようにされている。
【0041】
図8に示された第4の変形実施形態によれば、2個の切欠き9a、9bの各々により、2個の導線7a、7bおよび7c、7dが、スリーブ4の外側にそれぞれクリップ留めされている。
【0042】
さらに、たとえば50〜100ミリメートルの長さにわたって加熱輸送パイプ3の横縁をパイプの2個の自由端に分離して、接続を容易にすることができる。スリーブ4に埋め込まれる導線は、たとえば、循環ダクト5a、5bの中央面の両側に配置され、パイプの各自由端が、1つのウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bと少なくとも1つの導線6a、6bとを含むようにされる。
【0043】
たとえば、スリーブ4に埋め込まれる加熱素子を含む導線6a、6bは、スリーブ4のへり(bords)において断面の端部に配置される(図9)。この場合、第1の導線6aは、第1のウインドウォッシャ液循環ダクト5aを加熱するように構成され、第2の導線6bは、第2のウインドウォッシャ液循環ダクト5bを加熱するように構成される。さらに、このような配置では、パイプ端部を分離しやすい。なぜなら、スリーブ4をその中央で(図4では垂直に)切断して、ウインドウォッシャ液循環ダクト5aと導線6aとを含む第1のパイプ端部と、ウインドウォッシャ液循環ダクト5bと導線6bとを同様に含む第2のパイプ端部とに分離するだけでよいからである。
【0044】
加熱輸送パイプ3は、第1のパイプ端部を第2のパイプ端部から分離するために、スリーブ4の少なくとも1つの横縁に破断開始部を含むことが同様に可能であり、各々のパイプ端部が、ウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bと、少なくとも1つの導線6a、6bとを含んでいる。破断開始部によって、スリーブの横縁におけるパイプ端部の分離を容易にすることができ、その後、分離された端部を個々の噴射管および/または個々のポンプに接続することができる。
【0045】
図10に示された破断開始部の第1の実施形態によれば、スリーブ4の横縁の2個の向かい合った平らな中央面が、ぴったり合わさる傾斜に沿った2個の斜断溝10a、10bを有しており、第1および第2のパイプ端部の分離を開始することができる。導線6a、6bおよびウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bは、斜断溝を結合する図6の破線Lの両側に配分されるので、分離された各々のパイプ端部が、1つのウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bと、1つの導線6a、6bとを含むようにされる。
【0046】
図11に示された破断開始部の第2の実施形態によれば、スリーブ4の横縁が、第1および第2のパイプ端部の分離を開始可能にする薄い中央部分11を含んでいる。導線6a、6bとウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bは、この薄い中央部分9の両側に配分され、埋め込まれた導線の断面と循環ダクトの断面が、ほぼ揃えられるので、分離された各々のパイプ端部が、1つのウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bと1つの導線6a、6bとを含むようにされている。
【0047】
加熱輸送パイプ3は、次の製造方法により得られる。スリーブ4の形状にするように構成されたダイスを介して押し出し成形を行う最中に、材料内に少なくとも1つの導線6a、6bを挿入し、それによって製造方法の工程数を減らすことができるので、この製造方法は非常に簡単かつ安価にされる。自動車内への組み付けも簡素化されるが、これは、接続に際して導線を露出させるだけでよく、押し出し成形後にスリーブに導線を挿入する複雑な工程が不要であることによる。導線6a、6bは、押し出し成形されたスリーブへの導線の設置を容易にするために、予め被覆してから挿入することができる。さらに、露出した導線を使用し、絶縁材の役割をする押し出し成形スリーブにこれを埋め込むことも可能である。この場合、ダイスへの挿入に際して導線を互いに離隔保持する分離手段を設ける。
【0048】
そのために、パイプは、単一部品として製造されるように構成し、また、ワイパ装置が、電気コネクタと液体用継手とを含むように構成し、それによって、導線6a、6bを相互接続するとともに電源にそれぞれ接続し、また、ウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bを個々のポンプまたは噴射ノズルに接続することができる。
【0049】
別の実施形態によれば、加熱輸送パイプを単一部品として製造可能であり、その後、加熱輸送パイプの横縁をパイプの2個の自由端に分離し、パイプの各自由端が、ウインドウォッシャ液循環ダクト5a、5bと少なくとも1つの導線6a、6bとを含んでいる。
【0050】
また、横縁が既に分離されたパイプを製造することも同様に検討可能である。たとえば、第1のウインドウォッシャ液循環ダクト5aを有する第1のスリーブ形状部分にするように構成されたダイスを介して押し出し成形を行う最中に、第1の導線6aを材料内に挿入する。また、第2のウインドウォッシャ液循環ダクト5bを有する第2のスリーブ形状部分にするように構成されたダイスを介して押し出し成形を行う最中に、第2の導線6bを材料内に挿入する。次いで、たとえば貼り合わせによって、第1および第2のスリーブ部分をそれらの2個のパイプ自由端の間で組み立てる(図12)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12