(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パルプを主成分とする2以上の層からなる模様紙であって、最外層の少なくとも一方の層が表面のベック平滑度が8秒以下である凝集パルプ層であり、該凝集パルプ層に含まれるパルプは重量平均分子量が800万以上のポリアクリルアミド系樹脂で凝集処理された凝集パルプであり、該凝集パルプのパルプ成分中30質量%以上が針葉樹パルプであることを特徴とする前記模様紙。
前記重量平均分子量が800万以上のポリアクリルアミド系樹脂の含有量が、前記凝集パルプ層中のパルプに対して0.08〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の模様紙。
【背景技術】
【0002】
紙に意匠性を付与する目的でエンボス処理することは広く行われている。このエンボス処理は、抄紙機上で湿紙にフエルトを押し当てたり、模様を彫刻したロールで賦形したりするウェットエンボス法や、いったん紙を抄造してから、模様を彫刻したロール間で押圧賦形するドライエンボス法が代表的である。
【0003】
このような用紙として、特許文献1には、和紙と同様の風合いを持ったエンボス模様紙を安価に大量に製造するために、特定のパルプを特定の割合に配合し、フリーネスを規定することで和紙と同様の風合いをもたせた模様紙が提案されている。また、特許文献2には、パルプにマイクロカプセル型発泡材を定着させた後、凝集させてフロックを形成し、このフロックを紙料に抄込み又は抄合わせし、次いで、得られた紙を加熱して、フロックに含まれるマイクロカプセル型発泡剤を発泡させることにより、凹凸模様を構成した模様紙が提案されている。また、特許文献3には抄紙機のワイヤー部において、ワイヤー幅の全幅に亘って水滴を落下させ水滴模様紙を得ることが提案されている。
【0004】
このような模様紙では、鉛筆やボールペンなどによる手書きが行われ、また、墨や水彩絵具等により毛筆書画や水彩画を描くことも盛んである。そして、墨や水彩絵具による描画を行う場合、用紙の特性としては、鉛筆やボールペンによる筆記時とは異なり、平滑性が低く、凹凸感のある和紙と同様の風合いを持つことが望まれる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の模様紙は、パルプを主成分とする2以上の層からなる模様紙であって、最外層となる少なくとも一方の層が表面に凹凸を有する凝集パルプ層であり、該凝集パルプ層に含まれるパルプは重量平均分子量が800万以上のポリアクリルアミド系樹脂(以下、「超高分子ポリアクリルアミド系樹脂」ということがある。)で凝集処理された凝集パルプであり、該凝集パルプの30質量%以上が針葉樹パルプであり、該凝集パルプ層の表面のベック平滑度が8秒以下とするものである。
【0012】
本発明の模様紙の構成例を
図1に示す。同図において、1は凝集パルプ層、2は任意の紙層である。任意の紙層の構成は特に限定されるものではなく、多層紙で用いられる各種公知の紙層とすることができる。また、同図において、各層の厚みは実際の比率を表すものではない。
【0013】
図1(a)に示される構成例は、凝集パルプ層を2層積層した模様紙の構成例である。2層の凝集パルプ層は、互いに同じ抄紙原料スラリーからなる層であってもよいし、超高分子ポリアクリルアミド系樹脂の含有量やパルプ配合などが互いに異なる抄紙原料スラリーからなる層であってもよい。また、一方の凝集パルプ層にのみ填料を含有させ、もう一方の凝集パルプ層には填料を含有させないなどの構成としてもよい。このような構成の場合、模様紙の両面の平滑度をともに8秒以下とすることができ、表裏共に墨や水彩絵具による描画に適した凹凸感を持った和紙と同様の風合いを有する模様紙とすることができる。
【0014】
次いで、
図1(b)に示される構成例は、凝集パルプ層と任意の紙層とを1層ずつ設けた構成例である。このような構成とすれば、一方の面が墨や水彩絵具による描画に適した凹凸感を持った和紙と同様の風合いを有する模様紙とすることができる。ここで、任意の紙層の構成は特に限定されるものではなく、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、多層紙で用いられる各種公知の紙層とすることができる。また、用途に応じ、任意の紙層の表面には更に顔料塗工層などを設けるなども可能である。尚、同図において、任意の紙層は1層の構成を示しているが、2層以上の構成としてもよい。
【0015】
次いで、
図1(c)に示される構成例は、凝集パルプ層を任意の紙層の両側に1層ずつ設けた構成例である。ここで、任意の紙層の構成は特に限定されるものではなく、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、多層紙で用いられる各種公知の紙層とすることができる。このような構成とすれば、
図1(a)に例示する模様紙と同様に、表裏共に墨や水彩絵具による描画に適した凹凸感を持った和紙と同様の風合いを有する模様紙とすることができ、更には2層の凝集パルプ層の間に介在する中間層として任意の紙層を設けることから全層に用いるパルプを凝集パルプとせずともよい。中間層とする任意の紙層で模様紙の坪量、厚み、不透明度、各種強度などの物性値を調整することも可能となる。尚、同図において、任意の紙層は1層の構成を示しているが、2層以上の構成としてもよい。
【0016】
本発明の模様紙において、各層に用いるパルプとしては、特に限定するものではなく、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)に代表される木材漂白化学パルプを使用することができる。また、必要に応じて、GP(砕木パルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、BCTMP(晒ケミサーモメカニカルパルプ)等の機械パルプや古紙パルプを適宜配合することもできる。更には、木材パルプ以外に、楮や三椏、アバカ等の非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維などを適宜配合することもできる。パルプの濾水度は特に限定するものではないが、カナダ標準濾水度(フリーネス)(JIS P 8121−2:2012「パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法」)で、450〜700mlCSFとすることが好ましい。
【0017】
本発明の模様紙において、凝集パルプ層へ配合するパルプは、超高分子ポリアクリルアミド系樹脂で凝集処理された凝集パルプを用いるが、この凝集パルプのパルプ成分中の30質量%以上を針葉樹由来のパルプ(針葉樹パルプ)とする。好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、最も好ましくは100質量%(即ちパルプ全量)を針葉樹由来のパルプとする。針葉樹由来のパルプとしては針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)または針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)が好ましい。NBKP、NBSP等の針葉樹パルプの繊維は、その長さや剛直性から模様紙の表面に凹凸感を与えやすく、これを凝集処理することにより表面に凹凸感を持った和紙と同様の風合いを有する模様紙とすることができる。針葉樹由来のパルプの全パルプ成分中の含有量が30質量%未満となると、凝集パルプ層の表面の凹凸感を満足できない。また、NBKPよりもNBSPの方が紙の柔らかさが出るため、柔らかい風合いを求める場合にはNBSPを用いることが好ましい。それ以外のパルプとして、GP(砕木パルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、BCTMP(晒ケミサーモメカニカルパルプ)等の機械パルプや古紙パルプを用いることもできる。更には、木材パルプ以外に、楮や三椏、アバカ等の非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維などを用いることもできる。また、必要に応じて、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)などの広葉樹由来のパルプ(広葉樹パルプ)を配合することもできる。広葉樹パルプ(Lパルプ)と針葉樹パルプ(Nパルプ)の配合量を調整することで、模様紙表面の凹凸感を所望のものに調整できるからである。
【0018】
凝集処理を行うパルプの濾水度は特に限定するものではないが、カナダ標準濾水度(フリーネス)(JIS P 8121−2:2012「パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法」)で、凝集処理前において、500〜750mlCSFとすることが好ましい。より好ましくは550〜700mlである。濾水度をこの範囲とすることで一定の紙力を保ちながら模様紙の表面の平滑度を比較的低くすることができ、凹凸感のある面となることから和紙と同様の風合いをより与えやすくすることができる。また、繊維間の空隙率が高くなることから、墨や水彩絵具が紙面に染み込みやすくなり、描画適性を向上させることができる。濾水度が500mlCSF未満となると、模様紙の表面の平滑度が高くなりやすく、凹凸感のある面を得にくくなるおそれがある。濾水度が750mlCSFを超えると模様紙の各種強度を損ねるおそれがあり、特に凝集パルプ層の表面強度が弱くなりすぎるおそれがある。
【0019】
本発明においては、凝集パルプ層に含有させるパルプを、重量平均分子量が800万以上のポリアクリルアミド系樹脂で凝集処理した凝集パルプとする。好ましくは重量平均分子量が1000万以上、1100万以上、または1200万以上、更に好ましくは重量平均分子量が1300万以上、または1500万以上のポリアクリルアミド系樹脂で凝集処理を行う。ポリアクリルアミド系樹脂の重量平均分子量の上限は特に限定するものではないが、抄紙系における工程汚れを発生させないという点からは2000万以下が好ましい。ポリアクリルアミド系樹脂は、歩留まり向上剤や紙力剤として一般的な抄紙薬品であり、分子量が高いと凝集力が強い傾向となることが知られている。一般的な紙の抄紙系において超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を用いると、その凝集力の強さによって紙の地合を損ねてしまうおそれがある。従って、一般的な紙の抄紙薬品としては超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を用いにくいが、本発明においては、パルプを凝集させて凝集パルプ層の表面に凹凸感を得る目的で用いるため、超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を好適に用いることができる。そして、超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を用い、針葉樹由来のパルプを30質量%以上含有するパルプを凝集処理することにより、模様紙の表面に所望する凹凸感を得ることが可能となる。ここで用いるポリアクリルアミド系樹脂の重量平均分子量が800万未満であると、パルプの凝集が不十分となり、模様紙の表面に所望する凹凸感を得られないおそれがある。また、ポリアクリルアミド系樹脂の重量平均分子量は粘度法(極限粘度)より求めることができる。
【0020】
超高分子ポリアクリルアミド系樹脂としては、アニオン性、カチオン性又は両性のポリアクリルアミド系樹脂を用いることができる。パルプの凝集処理の方法としては、特に限定するものではないが、事前にパルプと超高分子ポリアクリルアミド系樹脂とを混合して凝集パルプスラリーを調整し、この凝集パルプスラリーを填料、サイズ剤、硫酸バンド等の製紙薬品を含む他のスラリーと混合して抄紙原料スラリーする方法がある。この場合、パルプの凝集が起こりやすいという点でカチオン性の超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を好適に用いることができる。また、別の方法としては、パルプスラリーに填料、サイズ剤、硫酸バンド等の製紙薬品を添加してスラリーを調整した後、このスラリーに超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を添加することによりパルプを凝集処理して抄紙原料スラリーとすることも可能である。この場合、超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を添加するスラリーの電位にもよるが、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)や塩化アルミニウム(PAC)を用いるスラリー系であれば、アニオン性の超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を用いて凝集処理を行った方がパルプを凝集させやすくなる。例示した2つの方法においては、前者の、凝集パルプスラリーを他のスラリーと混合する方法よりも、後者の、パルプスラリーに製紙薬品を添加して調整したスラリーに超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を添加する方法の方がパルプの凝集効果が高く、模様紙の表面に凹凸を生じさせやすくなる。従って、本発明に用いるポリアクリルアミド系樹脂としてはアニオン性のポリアクリルアミド系樹脂が好ましい。また、各種添加剤を添加後、最後にアニオン性のポリアクリルアミド系樹脂を添加することが好ましい。
【0021】
本発明においては、超高分子ポリアクリルアミド系樹脂を凝集パルプ層中に含有するパルプに対して、固形分換算で、0.08〜1.0質量%、好ましくは0.10〜0.80質量%、更に好ましくは0.2〜0.6質量%の割合で含有させる。このような構成とすることで、パルプが超高分子ポリアクリルアミド系樹脂により凝集し、平滑性が低く、凹凸感のある和紙と同様の風合いを有する模様紙とすることができる。超高分子ポリアクリルアミド系樹脂の含有量がパルプに対して0.08質量%未満となると、パルプの凝集が弱くなり、目的とする模様紙の凹凸感が得られないおそれがある。逆に1.0質量%を超えると工程汚れが発生するなど抄紙の操業性が悪くなり、また、模様紙に異物が混入しやすくなる。
【0022】
本発明の模様紙の各紙層には、前述した超高分子ポリアクリルアミド系樹脂の他に、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、各層に硫酸バンド、填料、サイズ剤、紙力剤、歩留まり向上剤、着色染料、着色顔料等の各種製紙用資材(添加剤)を含有させることができる。例えば、凝集パルプ層に、パルプスラリー100部に対して、サイズ剤を0.1〜1部、硫酸バンドを1〜5部、紙力剤を0.5〜3部をそれぞれ添加することができる。なお、これらの各種添加剤の添加は、アニオン性のポリアクリルアミド系樹脂を添加する前に行うことが好ましい。さらに、例えば、凝集パルプ層以外の層には、パルプスラリー100部に対して、紙力剤を0.2〜5部、サイズ剤を0.1〜1部をそれぞれ添加することができる。
【0023】
本発明の模様紙の抄紙方法としては、特に限定するものではなく、円網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機、これらの抄紙機のコンビネーション抄紙機など従来から周知の抄紙機を使用して抄造することができる。各層の積層方法については抄き合わせでも貼り合わせでもよい。抄合わせの場合には抄合わせ各層の層間剥離を防止するために層間用澱粉等の紙力剤をスプレー塗布しても良い。
【0024】
本発明の模様紙は、少なくとも一方の面のベック平滑度を8秒以下とする。好ましくは6秒以下である。ベック平滑度を8秒以下とすることで墨や水彩絵具による描画に適した凹凸感を持った和紙と同様の風合いを有する模様紙とすることができる。ベック平滑度が8秒を超えると、和紙と同様の風合いを有する模様紙とすることができない。前述の通り、本発明の模様紙は、超高分子ポリアクリルアミド系樹脂によりパルプが凝集していることから模様紙表面に凹凸感が生じ、容易にベック平滑度を8秒以下とすることができる。また、抄紙後の模様紙をカレンダー処理する場合には、ベック平滑度が8秒を超えないように処理すればよい。例えば、線圧を低くして処理すればよい。
【0025】
本発明の模様紙においては、必要に応じてその表面にサイズプレス装置で各種助剤を塗布することもできる。例えば、表面強度を付与するためにサイズプレスで澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の紙力剤を塗布することができ、また、サイズ性を向上させる目的でスチレンアクリル系樹脂、アルキルケテンダイマー等の表面サイズ剤を塗布してもよい。更には、インクジェット記録適性を付与するためにインク定着剤を塗布してもよい。例えば、紙力剤の1〜10%水溶液を、凝集パルプ層の表面に、用紙の両面あたり20〜80cc/m
2塗布することができる。
【0026】
本発明の模様紙の米坪については特に限定するものではないが、50g/m
2以上とすることが好ましい。好ましくは60〜1000g/m
2、特に好ましくは100〜600g/m
2である。米坪が50g/m
2を下回ると墨や水彩絵具による描画時に裏抜けが生じるおそれがある。また、凝集パルプ層の米坪は20g/m
2以上とすることが好ましい。より好ましくは25〜120g/m
2、例えば、30〜100g/m
2である。凝集パルプ層の米坪が20g/m
2を下回ると凹凸感を持った和紙の風合いを損ねるおそれがある。
【実施例】
【0027】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ固形分換算での質量部又は質量%を示す。
【0028】
(実施例1)
<凝集パルプ層用の紙料の調製>
NBKP70部とLBKP30部からなるパルプ(フリーネス600mlCSF)を水中に分散してパルプスラリーとし、該パルプスラリーにサイズ剤としてロジン系エマルジョンサイズ剤(商品名:AL1200/星光PMC社製)0.3部、硫酸バンド2部、紙力剤としてカチオン化澱粉(商品名:ネオタック110M/日本食品化工社製)1部をそれぞれ添加して攪拌し、次いで重量平均分子量が1200万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックSS−100/ハイモ社製)0.5部を添加してパルプの凝集処理を行い凝集パルプ層用の紙料を得た。
<中間層用の紙料の調製>
LBKP80部とNBKP20部からなるパルプ(フリーネス560mlCSF)を水中に分散してパルプスラリーとし、該パルプスラリーに紙力剤としてグラフト化澱粉(商品名:DG4204/星光PMC株式会社製)1部、サイズ剤としてロジン系エマルジョンサイズ剤(商品名:AL1200/星光PMC株式会社製)0.3部をそれぞれ添加して攪拌し、中間層用の紙料とした。
<模様紙の抄紙>
得られた凝集パルプ層用の紙料と中間層用の紙料とを用いて、円網式抄紙機にて凝集パルプ層/中間層/凝集パルプ層を順次積層させた構成となるように3層抄き合わせで湿紙を抄紙し、プレスにて脱水後、乾燥させた。その後、2本ロールサイズプレスにてポリアクリルアミド系紙力剤(商品名:ST5000/星光PMC株式会社製)8%水溶液を、用紙の両面あたり50cc/m
2塗布した後、シリンダードライヤーにて乾燥し、米坪285g/m
2の模様紙を得た。各層の坪量はそれぞれ95g/m
2とした。
【0029】
(実施例2)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製における重量平均分子量が1200万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックSS−100/ハイモ社製)の添加量を0.1部に変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0030】
(実施例3)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製における重量平均分子量が1200万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックSS−100/ハイモ社製)の添加量を1.0部に変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0031】
(実施例4)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製におけるパルプを、NBKP100部からなるパルプ(フリーネス600mlCSF)に変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0032】
(実施例5)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製におけるパルプを、NBKP40部とLBKP60部からなるパルプ(フリーネス600mlCSF)に変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0033】
(実施例6)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製における重量平均分子量が1200万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックSS−100/ハイモ社製)0.5部を、重量平均分子量が1400万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックV−330/ハイモ社製)0.5部とした以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0034】
(実施例7)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製における重量平均分子量が1200万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックSS−100/ハイモ社製)0.5部を、重量平均分子量が1000万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックFA−230/ハイモ社製)0.5部とした以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0035】
(実施例8)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製における重量平均分子量が1200万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックSS−100/ハイモ社製)の添加量を0.08部に変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0036】
(比較例1)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製におけるパルプを、NBKP25部とLBKP75部からなるパルプ(フリーネス600mlCSF)に変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0037】
(比較例2)
比較例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製における重量平均分子量が1200万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックSS−100/ハイモ社製)の添加量を1.0部に変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0038】
(比較例3)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製における重量平均分子量が1200万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックSS−100/ハイモ社製)の添加量を0.05部に変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0039】
(比較例4)
実施例1において、凝集パルプ層用の紙料の調製における重量平均分子量が1200万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックSS−100/ハイモ社製)0.3部を、重量平均分子量が500万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックMJ−500/株式会社ハイモ製)1.0部に変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0040】
(比較例5)
実施例7において、凝集パルプ層用の紙料の調製における1000万のアニオン性ポリアクリルアミド(商品名:ハイモロックFA−230/ハイモ社製)0.07部に変更した以外は実施例7と同様にして模様紙を得た。
【0041】
各実施例及び比較例で得られた模様紙の評価結果を表1に示す。尚、評価については以下の方法で行った。
【0042】
<ベック平滑度>
JIS P 8119:1998に準拠して測定した。
【0043】
<風合い>
模様紙の表面について手による感触と視覚により判断し、5段階で評価した。5段階中、凹凸感(ラフ感)がありもっとも和紙の風合いに近いものを5とし、凹凸感(ラフ感)が少なく和紙の風合いとはもっとも異なるものを1とした。5段階中評価が2〜5のものを実用可能なものとして合格とし、評価が1のものを不合格とした。
【0044】
表1に示すとおり、実施例1〜8で得られた模様紙は和紙の風合いに近いものであった。これに対して各比較例で得られた模様紙はベック平滑度が高く、和紙の風合いとは大きく異なるものであった。
【0045】
【表1】