特許第6109825号(P6109825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6109825圧力制御された液化チャンバーを備える液化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109825
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】圧力制御された液化チャンバーを備える液化装置
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20170327BHJP
   F17C 9/00 20060101ALI20170327BHJP
   C01B 23/00 20060101ALI20170327BHJP
   F25B 9/14 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   F25J1/00 A
   F25J1/00 C
   F17C9/00 A
   C01B23/00 A
   F25B9/14 530Z
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-520412(P2014-520412)
(86)(22)【出願日】2012年7月16日
(65)【公表番号】特表2014-527610(P2014-527610A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】US2012046966
(87)【国際公開番号】WO2013010183
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年5月26日
(31)【優先権主張番号】61/507,595
(32)【優先日】2011年7月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514228723
【氏名又は名称】カンタム デザイン インターナショナル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Quantum Design International,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】セイジャー,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ディードリッヒス,ヨースト
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−515086(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0049862(US,A1)
【文献】 特開2004−211935(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0260358(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC F25J 1/00− 5/00
F25B 9/00− 9/14
DB等 DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化装置において、
貯蔵部分およびそこから延在するネックを有するデュワーと、
クライオクーラーと、
少なくとも部分的に前記デュワーの前記ネック内に配置される液化チャンバーと、を備え、前記液化チャンバーが、
第1の端部および第2の端部を有する管状の部分であって、前記管状の部分内の前記第1の端部と第2の端部との間に液化領域を画定するある体積を有し、前記液化領域が前記デュワーの前記貯蔵部分から隔離されて密閉される管状の部分と、
前記液化領域内に延在する少なくとも1つの冷却段階を備える、前記クライオクーラーと、
前記管状の部分の前記第2の端部に配置され、かつある量の液化寒剤を回収するように適合される流体回収容器であって、前記デュワーの前記貯蔵部分と、それらの間に延在する導管を通して流体連通するように構成される流体回収容器とをさらに備え、
前記液化チャンバーが、圧力制御され、前記貯蔵部分を周囲気圧に維持しながら液化効率の増加を提供するために、前記液化領域は、1.0バールより高く、前記貯蔵部分の圧力より高い圧力で前記寒剤を液化するように適合されることを特徴とする液化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液化装置において、前記導管に操作可能に連結される絞り要素であって、前記液化チャンバーの前記流体回収容器と前記デュワーの前記貯蔵部分との間の液化寒剤の流れを調整するように適合される前記絞り要素をさらに備えることを特徴とする液化装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液化装置において、前記デュワーの前記ネックの内側表面と、熱交換領域を画定する前記液化チャンバーの外側表面との間に配置される体積をさらに備え、前記熱交換領域が、前記貯蔵部分から排出された受入ガスによって前記液化チャンバーの外表面を冷却する対向流形熱交換を提供するように適合されることを特徴とする液化装置。
【請求項4】
請求項1に記載の液化装置において、前記液化領域内に配置される1つまたは複数の圧力センサーをさらに備えることを特徴とする液化装置。
【請求項5】
請求項1に記載の液化装置において、前記液化領域内に配置される1つまたは複数の温度計をさらに備えることを特徴とする液化装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の液化装置において、前記液化装置の前記液化領域内の液化条件を制御するように適合されるCPUをさらに備え、前記液化条件が液化圧力および温度を含むことを特徴とする液化装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液化装置において、1つまたは複数の排気弁、熱交換弁、絞り弁、または流入弁をさらに備えることを特徴とする液化装置。
【請求項8】
請求項6に記載の液化装置において、前記液化チャンバーが、前記液化領域内の圧力を調節するための1つまたは複数の排気弁と、前記液化チャンバーの前記液化領域内の圧力の動的な調整のために、前記CPUに連結される前記排気弁と、をさらに備えることを特徴とする液化装置。
【請求項9】
請求項3に記載の液化装置において、前記デュワーの前記貯蔵部分と前記熱交換領域との間の体積を封止するためのプレートをさらに備え、前記プレートが、前記液化チャンバーの周りの対向流形熱交換を調整するために1つまたは複数の熱交換弁を備えることを特徴とする液化装置。
【請求項10】
請求項7に記載の液化装置において、前記1つまたは複数の弁がその動的制御のために前記CPUに連結されることを特徴とする液化装置。
【請求項11】
請求項1に記載の液化装置において、前記デュワーの前記貯蔵部分が液化寒剤を大気圧で貯蔵するように適合されることを特徴とする液化装置。
【請求項12】
請求項1に記載の液化装置において、前記液化チャンバーが、CPUを用いて、前記液化領域内の液化圧力を1.0バールと2.2バールとの間に維持するように構成されることを特徴とする液化装置。
【請求項13】
請求項1に記載の液化装置において、液化寒剤を前記貯蔵部分から移送するために、前記デュワーの前記貯蔵部分から前記デュワーの表面上に配置されるオリフィスへと延在する流体移送ポートをさらに備えることを特徴とする液化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連技術の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2011年7月14日出願の米国仮特許出願第61/507,595号明細書の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、気体液化システム、すなわち「液化装置」に関し、より具体的には、液化効率の改善を達成するために動圧制御に適合される、分離した液化チャンバーを有する液化装置に関する。
【0003】
「液化装置」とも呼ばれる気体液化システムは、当該技術分野で良好に書類化されており、一般にデュワー(Dewar)として知られる真空断熱した容器を備え、デュワーは、気体を液化するためのクライオクーラー(cryocooler)の少なくとも一部を受容するように適合され、かつさらにある量の液化気体を中に貯蔵するための貯蔵部分を備える。
【0004】
図1は、デュワー200およびデュワーのネック部分206内に延在するクライオクーラー100を備える液化装置を図示する。これらのシステム内で、かかるデュワーは、一般に外殻202、内殻201、および断熱した容器を形成するために実質的に空気を排気した、それらの間の体積203を備える。任意選択的に、箔または同様の材料などの熱的シールド204(破線で示される)をデュワーの内殻と外殻との間にさらに配置してもよい。デュワーは、貯蔵本体部分205およびそこから延在するネック部分206をさらに備える。デュワーは、ある体積の液化寒剤を貯蔵本体部分内に貯蔵するように適合される。ヘリウム気体源310は、概して液化する気体の供給を気体流入ライン211に送り込む。圧縮器110は、クライオクーラーの設計に依存して、クライオクーラーの第1段101bを冷却するための第1段再生器101a、および最大数段までの追加的な再生器および冷却段階を動作させる。クライオクーラー100は、第1段再生器および第1段に加えて、第2段102bの冷却のための第2段再生器102a、および第3段103bの冷却のための第3段再生器103aを備える、3段の冷却段階を有するように図示される。
気体を予冷却し、かつそれに続く段階は、気体を液化に十分な温度までさらに冷却するように適合される。さらに、典型的には前段よりも少ない表面積を備えるそれぞれの連続的な冷却段階は、いくつかのクライオクーラー段階に沿って冷却勾配をもたらす。
【0005】
かかる液化装置および再液化装置で使用するためのクライオクーラーは、一般にギフォードマクマホン(Gifford−McMahon(GM))型冷凍機またはパルスチューブ冷凍機を含むが、これらの液化装置は、気体の冷却および気体の液相への凝縮を目的とした任意のタイプの冷凍デバイスをさらに含んでもよい。これらの液化気体は、典型的には深冷液体または寒剤と呼ばれる。
【0006】
当該技術分野において、一般に、クローズドシステムまたはセミクローズドシステム内で気体を循環および再液化するように適合される液化装置を備える、「再液化装置」も書類化されている。
【0007】
図2は、図1の液化装置と実質的に設計が同様な、かかる再液化装置を図示する。図2の再液化装置は、ある量の液体寒剤を受容するために、デュワーと流体連通して連結される機器320をさらに備える。液体寒剤の使用に続いて、蒸発した気体は、機器から回収され、かつポンプまたは類似のデバイスなどの再循環装置315を使用して液化装置内に循環して戻される。「機器320」は、とりわけ医学的な分析計器または科学的な分析計器などの1つまたは複数の計器を含んでもよく、任意の設計の単一の計器に限定されないことに留意するべきである。追加的に、クローズドシステムまたはセミクローズドシステムを形成するために、本質的に回収した気体を液化装置を通して戻すように再循環する無数の設計の変形が存在することに留意するべきである。
【0008】
しかしながら、これらの液化装置および再液化装置は、所与のクライオクーラーを使用して一定の期間内に生成することができる液化効率または液化寒剤の量に関して限定される。改善された液化効率を有する液化装置に対する継続的な必要が存在する。
【0009】
本発明の重要性は、寒剤気体に関する熱力学特性にある。これらの特性は、一般に図3に図示されるものなどの相図を通して図示される。特に、液化ヘリウムは、現在のところ複数の産業内で需要が多いので、ヘリウム気体の熱力学特性は、多いに興味深い。
【0010】
ここで図3を参照すると、相図は、ヘリウム気体に対する液化曲線を、様々な圧力(バール)および温度(ケルビン)に対して描く。固体の六方最密充填(hep)および体心立方(bcc)相が、完全性のために示される。液化曲線は、集合的に液化曲線を定義するヘリウム気体が液相に転移するいくつかの点を含む。第1の液化点(b)は、約4.22Kの温度を必要とする約1バールの圧力(大気圧に近い)における気相ヘリウムから液相への転移を示し、これはヘリウム−4に対する「沸点」として知られ、そしてそれ故に点(b)である。第2の液化点(c)は、約5.20Kの温度を必要とする、わずかに上昇した約2.27バールの圧力におけるヘリウム気体の液化を示し、これはヘリウム−4に対する「臨界点」として知られる。液化曲線の観点では、液化装置の液化チャンバー内にわずかにより高い圧力を提供することができる場合、ヘリウム気体の液化は、わずかにより高い温度で達成することができることが認識できるようになる。さらに、これらのより高い温度において、ほとんどのクライオクーラーは、高められた冷却力の能力を有するであろう。したがって、クライオクーラーのより高い冷却力の利点を得るために、1バールを超える、より好ましくは、1バールと2.27バールとの間の圧力における液化の能力を有する液化装置を開発してもよい。
【0011】
1.0バールを超える圧力で気体を液化する利点は、2011年5月2日出願のRilloらによる「GAS LIQUEFACTION SYSTEM AND METHOD」という表題の、WIPO/PCT公開特許第PCT/US2011/034842号明細書にさらに記載され、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、Rilloシステムは、単に実施形態を記載しているに過ぎず、クライオクーラーは、大きいデュワーのネック内に位置付けられ、これによってデュワーの貯蔵部分全体が高い液化圧力に保たれなければならない。このことは、いくつかの深刻な問題、すなわち、(i)大きい低温の容器を高圧に保つことは危険であり、かつさらにデュワーが厳格な安全要件に適合することが要求され、それによってデュワーに関するコストが増加することと、(ii)液体寒剤を抜き出す前に、デュワー圧力を約1.0バールまで下げなければならず、これにより結果的に相当な量の寒剤が失われることと、(iii)デュワー内の圧力を下げ、液体寒剤をデュワーから除去するとき、システムは、同時に液化プロセスを最適な液化圧力で継続することができないことと、を引き起こす。現在までに、気体を高い圧力において液化し、周囲圧力において、またはその近くの圧力において貯蔵することができ、かつさらに最適な圧力における気体の液化を同時に継続している間に、ユーザーが液体寒剤をデュワーから抜き出すことができるようにする、気体の液化のためのいかなる計器も開発されていない。かかるシステムは、加圧液体および高圧の気体を大容積の容器内に貯蔵する問題も解決するのと同時に、加圧液化の利点、すなわち効率の上昇を実現する。効率の上昇により、同様の液化速度を提供しながら、より小さい液化装置が、より大きい液化装置に替わる能力を有する。追加的に、より効率的なモデルにより、動力が節約されることになる。
【発明の概要】
【0012】
本明細書に開示される改善された気体液化システムは、(i)気体をより効率的に液化するために、より高い温度におけるクライオクーラーのより高い冷却力の利点を使用し、(ii)深冷液体を高圧において貯蔵する問題を除去し、(iii)液体寒剤を抜き出す前に、デュワーの貯蔵部分内の周囲圧力に対する圧力を低減する必要性を除去し、(iv)デュワーの貯蔵部分内の周囲圧力に対する圧力を低減することに付随する寒剤の損失を除去し、かつ(v)ユーザーがデュワーの貯蔵部分から液体寒剤を抜き出す間に、液化プロセスを同時に進めることを可能にするようにシステムが適合される、1.0バールを超える圧力において気体を液化する装置および方法を提供する。特に、システムは、ヘリウムの改善された液化効率を達成するために、ヘリウム気体を液体ヘリウムの臨界点近くの高い圧力(および温度)で液化するように適合される。ヘリウムに対しては、臨界点における圧力は、約2.2バールである。
【0013】
本明細書に記載される液化システム、または液化装置は、圧力制御された液化チャンバーを備える。チャンバー内の液化領域は、密封的に封止され、かつデュワーの貯蔵部分から分離される。液化領域は、特定の気体に対する臨界点近くの条件で寒剤気体を液化するように適合される。圧力制御された液化チャンバーは、流体回収容器であって、それらの間に延在する導管を通してデュワーの貯蔵部分と流体連通する流体回収容器をさらに備える。
【0014】
様々な実施形態では、液化装置は、液化チャンバー内で効率的な気体の液化を提供するために、圧力を活動的に監視し、かつ動的に調整するように適合される。例えば、液化装置の液化領域内の圧力および温度のうち少なくとも1つを測定するために、圧力センサーおよび/または温度計がCPUに連結されてもよい。この点について、システムは、液化チャンバー内の圧力および温度などの液化条件を監視するように適合され、そして液化チャンバー内の圧力を上昇する(高圧気体を挿入する)、圧力を減少する(気体を排気する)、クライオクーラーを入れる/切る、または他の機能によってその中の気体の液化をさらに調整することができる。したがって、液化条件を最適化するために、液化装置を動的に制御することができ、かつそれによって液化装置の効率を制御することができる。
【0015】
ある特定の実施形態では、熱交換領域は、デュワーの内側ネック表面と液化チャンバーの外壁表面との間に形成される。熱交換領域は、デュワーの貯蔵部分から出ていく冷たい気体が熱交換領域の周りを循環するのに従って、チャンバーの外表面を冷やすように、対向流形熱交換を提供する。
【0016】
ある特定の実施形態では、液化システムは、選択された気体に対する臨界点において、または臨界点の近くに、例えばヘリウムに対しては、2.2バールおよび5.2Kにおいて、またはその近くに、圧力制御された液化チャンバー内の液化条件を維持するように、温度計、圧力センサー、および他のデバイスなどの一連の制御構成要素を利用する。制御構成要素は、動的なコンピューター制御のためにCPUに接続される。
【0017】
以下に記載される発明を実施するための形態を再検討すると、他の特徴および利点がさらに認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、先行技術による液化装置の一般的な構成要素を概略的に図示する。
図2図2は、先行技術による再液化装置の一般的な構成要素を概略的に図示する。
図3図3は、ヘリウム−4に対する相図、ならびにより具体的にはヘリウムの沸点と臨界点との間に延在する液化曲線、および液化曲線に沿って延在する関連付けられた圧力および温度を図示する。
図4図4は、包囲するデュワー容器の貯蔵部分から密封的に分離した、圧力制御された液化チャンバーを有する液化装置を図示し、CPUは、気体流量制御および液化チャンバー内の圧力を動的に制御する1つまたは複数の制御構成要素に連結される。
図5図5は、図4の液化装置と同様の設計を有する再液化装置を図示する。
図6図6は、クライオクーラー、気体流量制御、ならびに圧力センサー、温度センサー、および排気弁などのいくつかの制御構成要素に連結されるCPUを図示し、CPUは、液化チャンバー内の圧力を動的に制御するように適合される。
図7図7Aは、液化チャンバーに流入する高圧気体を動的に制御するために気体流量制御に連結されるCPUを図示し、気体流量制御は、圧力調整器および質量流量制御器を備える。図7Bは、液化チャンバーに流入する高圧気体を動的に制御するために気体流量制御に連結されるCPUを図示し、気体流量制御は、対応する質量流量制御器と直列に接続される複数の圧力調整器を備える。
図8図8は、気体流量制御、クライオクーラー、ならびに加熱素子、温度センサー、圧力センサー、排気弁、および熱交換機弁を含む複数の制御構成要素に連結されるCPUを図示する。
図9図9は、実施形態による、圧力制御された液化チャンバーを図示し、液化チャンバーは、チャンバー表面との対向流形熱交換を提供するための熱交換領域をさらに備える。
図10図10は、図9に図示する実施形態で使用するためのその上に配置されるいくつかの熱交換弁を有する分離プレートを図示する。
図11図11は、図9図10の実施形態を、図示の単純化のために制御構成要素を包括的なボックスの中にひとまとめにして入れて、さらに図示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の記述では、制限の目的ではなく説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために、詳細および記述が記載される。しかしながら、本発明が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、これらの詳細および記述から逸脱する他の実施形態で実施されてもよいことが当業者には明らかであろう。ある特定の実施形態が、参照番号によって図示的な特徴が示された図面を参照して以下に記載されるであろう。
【0020】
一般的な実施形態では、液化装置は、貯蔵部分と、気体の液化が貯蔵部分から分離した条件下、すなわち高い圧力で液化チャンバー内で実施されるように、貯蔵部分から封止された液化チャンバーとを備える。この点について、チャンバーの液化領域は、気体液化のプロセスの間、一般に大気圧より高い圧力に加圧されるが、気体液化のプロセスを中断することなく液化気体を容易に利用できるように、貯蔵部分は、液化気体を大気圧に維持する。液化領域は、流体回収容器から貯蔵部分へと延在する少なくとも1つの導管を通して液化装置の貯蔵部分と流体連通する。したがって、液体を液化チャンバーの流体容器内に回収しながら、導管を通して液体を貯蔵部分に移送してもよい。
【0021】
図4は、様々な実施形態による液化装置を図示する。液化装置は、貯蔵部分205と、そこから延在するネック部分206とを有するデュワー200を備える。デュワーは、一般に、外殻202と、内殻201であってそれらの間に体積203を形成するように外殻内に入れ子になっている内殻201とを備える。外殻と内殻との間の体積203は、断熱を提供するために空気を排気される。デュワーの真空領域203は、放射シールドまたは追加的な殻204(破線で示す)を任意選択的に含んでもよい。液化装置は、2つ以上のネックおよびチャンバー、または他の任意選択的な変形形態に適合されてもよいが、システムの機能の記載の単純化のために、図面には単一のデュワーネックが示される。
【0022】
液化装置は、ネック部分206が貯蔵部分205から密封的に分離した液化チャンバーを少なくとも部分的に備えるようにさらに適合されることで、さらに特徴付けられる。液化チャンバー400は、デュワーのネック部分内に管状の壁を備える。チャンバーは、液化チャンバーを形成するためにデュワーネックの管状の部分を利用してもよく、または同心円状に配置された管状のチャンバーは、管状の壁を形成するようにデュワーネック内に一体化されてもよい。チャンバーの内容積は、気体がその中で液化されるので、本明細書では、液化装置の「液化領域」とも呼ばれる。流体回収容器420は、液化チャンバーの底端部に配置され、液化気体は、集められ、かつ液化チャンバーから液化装置の貯蔵部分へと移送する前に、少なくとも一時的に貯蔵される。導管430は、流体回収容器をデュワーの貯蔵部分205へと接続し、周囲気圧で、またはその近くの圧力で使用するために、ある量の液化気体10が貯蔵部分内に貯蔵される。
【0023】
クライオクーラー100は、液化装置の液化領域内に延在する1つまたは複数の冷却段階を備えてもよい。液化チャンバーは、クライオクーラーまたはクライオクーラーの頭部に取り付けられた任意のブラケットもしくはプレート410で封止され、これにより高い圧力で圧力制御された液化を提供するために、チャンバー内の領域は密封的に分離されてもよい。クライオクーラーは、任意のタイプとすることができるが、一般に多段GMまたはパルスチューブタイプのクライオクーラーを備えてもよい。既知の実施形態により、一般に、圧縮器110がクライオクーラーに連結される。
【0024】
流体容器420から貯蔵部分205への液体寒剤の流れを調整することができるように、弁またはヒーターなどの1つまたは複数の絞り要素435を、導管430にさらに接続することができる。任意選択的に、流体容器から貯蔵部分への流量液化寒剤を調整するために、コンピューター、または「CPU」600を、絞り要素を動的に調節するように使用することができる。
【0025】
CPU600は、一般に、それぞれの制御ケーブル610を介して、気体流量制御700および1つまたは複数の制御構成要素500に接続される。制御構成要素500は、温度センサー、圧力センサー、流体レベルセンサー、様々な弁、またはクローズドシステム内で温度および圧力を調整するのに有用な他の構成要素のうちの1つまたは複数を備えてもよい。CPUは、液化チャンバー内の液化条件を監視するための制御構成要素を利用するために、ソフトウェアに適合され、かつ気体流量制御に関連付けられる弁、チャンバーを排出するための排気弁、または他の構成要素を調節するようにさらに適合される。
【0026】
液化チャンバー内の気体は、液化の間、1.0バールより高い圧力に加圧され、ヘリウムの場合、理想的には、圧力は液化の間2.2バール付近に維持される。この高い圧力では、ヘリウムは、クライオクーラーから実現される最大の冷却力で液化され、効率は、著しく改善される。液化領域内の圧力は、上記のように、制御ケーブル610を通して気体流量制御700に連結されるCPU600によって調整される。したがって、ある体積の流入気体を、封止された液化チャンバー400内に1気圧より高い圧力で送達することができ、それによってその中の圧力は増加する。気体が液体へと凝縮するに従い、外部の気体源310から気体流量制御700、および気体流量制御からデュワーの液化チャンバーへと延在する気体流入ライン311を介して追加的な気体がシステムに供給される。気体流量制御700と、とりわけ1つまたは複数の温度センサー、圧力センサー、および排気弁を含む制御構成要素500とを利用して、CPUは、常時最適な液化パラメーターを維持するために、封止される液化チャンバー内の圧力を精密に制御することができ、それによって可能な最高の液化効率を達成する。
【0027】
図5は、実施形態による、再液化装置の概略図であり、図4の液化装置は、集合的に「機器320」と記される、1つまたは複数の計器に連結される。機器320は、蒸発した気体を機器から回収し、気体を圧縮し、そして気体流量制御700を通してこの気体を液化チャンバー400に送達するように設計されるポンプまたは構成要素のネットワークなどの、He気体再循環装置315に連結される。
【0028】
図6は、図4図5の圧力制御された液化チャンバーをさらに図示する。チャンバー400は、気体を液化するための、体積406を有するチャンバー本体を備える。クライオクーラー100は、チャンバーの頂端部、および体積406内へ延在するその一段または多段の冷却段階で封止される。流体容器420は、底部プレート421に連結され、かつチャンバー400の底端部で封止される。この点について、チャンバーの上端部と底端部との間に延在する体積406は、密封的に封止され、かつ高い圧力における気体の液化のために、1.0バールより高い圧力に加圧される能力を有する、クローズドシステム液化環境を提供するように適合される。
【0029】
チャンバー内の液化のための気体は、任意の気体源310によって提供され、かつ気体流量制御700で調整される。チャンバー400内の気体は、流体回収容器420のチャンバーの底部内で集まる液体寒剤10を形成するために液化される。導管430は、流体容器420から、底部プレート421を通して、デュワーの貯蔵部分内へと延在する。導管は、流体容器420から貯蔵部分への液体寒剤の流量を調整するために、弁またはヒーターなどの1つまたは複数の絞り要素435をさらに備えてもよい。
【0030】
CPU600は、液化チャンバー400内に配置される温度プローブ510a、510b、および510cに接続される。温度プローブ510a、510bは、様々な段階の温度の監視のために、クライオクーラーの冷却段階の上に位置付けられる。温度プローブ510cは、冷却段階から外れて、かつチャンバーの液化領域内に位置付けられる。この点については、温度プローブは、様々な領域およびチャンバー内の構成要素における温度を監視するために位置付けることができる。CPU600は、温度プローブに加えて、液化チャンバー内に配置される圧力センサー520にさらに接続される。1つの圧力センサーを図示するが、いくつかの圧力センサーが実装されてもよいことを理解するべきである。温度センサーおよび圧力センサーにより、CPUは、チャンバー圧力およびチャンバー温度などの液化条件を、リアルタイムで監視することができる。
【0031】
CPU600は、気体流量制御700にさらに接続される。この点について、ある量の高圧気体が送達されると、チャンバー400内で圧力が増加する場合がある。液化チャンバーの既知の体積406および圧力センサー520で決定されるチャンバー圧力が与えられると、効率的な気体の液化のために最適なチャンバー圧力を達成するためにチャンバー内に送達する必要がある、高圧気体の体積を決定するようにCPU600をプログラムすることができる。気体が液化され、かつ貯蔵部分へと移送されるに従い、チャンバー内の圧力は下がり、最適な条件を維持するために気体流量制御を通した気体の流入流を調整することができるように、液化条件の動的な監視が要求される。
【0032】
チャンバー内の圧力が高すぎる場合、CPU600は、チャンバー内のある量の気体を排気弁530を通して排出することができる。排出した気体は、チャンバー400内の圧力を低減し、そして貴重なヘリウムを損失しないように、再利用のために回収されてもよい。
【0033】
流体回収容器420内の液化寒剤の体積を決定するために、チャンバーの底端部に流体レベルセンサー(図示せず)が実装されてもよい。流体レベルセンサーは、当該技術分野で周知であり、かつ記載されるので、ここに詳細を記載しない。任意の流体レベルセンサーは、流体容器に隣接して位置付けることができ、かつ容器内の流体レベルの動的な監視のためにCPUに連結される。
【0034】
CPU600は、必要に応じて、クライオクーラーを入れる/切ることができるように、クライオクーラー100にさらに接続される。
【0035】
図7A図7Bは、気体流量制御700の実施形態をさらに図示する。
【0036】
一実施形態では、図7Aに図示するように、気体流量制御700は、そこから流れる気体の圧力を調整するための圧力調整器710と、質量流量制御器720とを備える。流入口701は、気体源から気体を供給するために使用され、かつ流出口702は、気体を液化装置の液化チャンバーに送達するために使用される。
【0037】
圧力調整器710は、コンピューター制御能力を有し、かつ調整器710を通して圧力を活動的に制御することができるようにCPUに連結される動的な圧力調整器として図示されるが、弁および弁座を利用するタイプなどの静的な機械的な調整器が同様に組み込まれてもよい。
【0038】
質量流量制御器(MFC)720は、特定のタイプの流体または気体を流量の特定の範囲において制御するために、設計され、かつ較正され、そしてこれらの実施例では、MFCは、ヘリウムでの使用のために設計される。MFCには、そのフルスケール範囲の0〜100%の設定点を与えることができるが、典型的には最良の精度が達成されるフルスケールの10〜90%で操作される。次いで、デバイスは、流速を所与の設定点に制御する。MFCは、アナログまたはデジタルのいずれかとすることができる。MFCは、流入口ポートと、流出口ポートと、質量流量センサーと、比例制御弁とを備える。MFCは、CPUによって質量流量センサーからの値と比較し、必要な流量を達成するために比例弁を適宜に調節する入力信号が与えられる、閉ループ制御システムを装備する。流速は、その較正されたフルスケール流量のパーセントとして特定され、かつ電圧信号としてMFCに供給される。質量流量制御器は、特定の圧力範囲内とされる供給気体を必要とする場合があり、したがってこれは圧力調整器に直列に連結される。例えば、低圧は、MFCに気体の欠乏を生じさせ、その設定点を達成するのを失敗させる場合がある一方で、高圧は、不安定な流速を生じさせる場合がある。
【0039】
別の実施形態では、図7Bは、気体供給から気体を送達する流入口701と、それぞれが個別の圧力で気体を液化装置へと送達するように構成される複数の流出口702a、702b、および702cとを備える、気体流量制御700を図示する。この点については、液化装置の液化チャンバー内のチャンバー圧力の精密な制御のために、気体は様々な圧力で気体流量制御から供給することができる。
【0040】
流出口A〜Cによって提供される複数の圧力を達成するために、供給気体から圧力を降圧するようにいくつかの調整器が適合される。例えば、調整器710aは、第1の高圧で設定されてもよく、調整器710bは、高圧より低い第2の中圧で設定されてもよく、そして調整器710cは、中圧より低い低圧で設定されてもよく、低圧から高圧のそれぞれは、1.0バールを超えるであろう。それぞれの調整器710(a〜c)は、質量流量制御器720a、720b、720cに独立して連結され、かつ対応する流出口(A〜C)に連結される。CPUは、MFCのそれぞれに接続される。この点については、高圧気体は、液化装置の液化チャンバーに様々な圧力で送達することができる。
【0041】
図8は、気体流量制御、クライオクーラー、1つまたは複数の加熱素子、1つまたは複数の温度センサー、1つまたは複数の圧力センサー、1つまたは複数の排気弁、および1つまたは複数の熱交換弁(下記に考察する)に接続されるCPUの概略図である。さらに、最高で任意の数「N」個までの個別の構成要素をCPUに接続することができ、かつ液化条件に関するデータを提供するため、またはチャンバー内の液化条件を活動的に制御するために、液化装置内で配向することができる。この点については、CPUはシステムの中心であり、かつ液化装置内の液化条件を監視および動的に調整するために、液化装置内の様々な構成要素を制御するようにプログラムすることができる。
【0042】
上記の図4図7に記載される実施形態は、本発明の最も単純な実施形態である場合があるが、システムの熱効率をさらに改善するために様々な性能強化が加えられてもよいことに留意するべきである。
【0043】
例えば、図9に図示する実施形態1000では、液化チャンバー400は、デュワーのネック部分800内に配置される。さらに、1つまたは複数の排気弁530は、液化チャンバーの壁に沿って配置され、かつ液化領域内の圧力を減少する目的で、過剰の寒剤気体を排出または放出するように適合されてもよい。排出した気体は、デュワーネック800とチャンバー400の外表面との間に形成される熱交換領域810内へと方向付けることができる。この点については、1つまたは複数の弁530は、液化装置の液化領域内の圧力の動的な調整のために、CPUに接続されてもよい。液化領域内の圧力を調節することによって、液化速度および液化効率を制御することができる。
【0044】
図9は、二次冷却効果を提供するための熱交換領域の第2の使用をさらに図示する。例えば、液化装置の貯蔵部分からの冷たい気体を、熱交換領域810の周りに循環させてもよい。熱交換領域に流入および熱交換領域から流出する気体の調整は、1つまたは複数の熱交換弁850a、850bを使用して達成され、同様に、熱交換領域810から排出する気体の調整は、排気弁830を使用して達成される。熱交換弁850a、850b、および排気弁830は、動的制御のためにCPUにさらに連結される。この点については、貯蔵部分からの冷たい気体は、クライオクーラーに向かって流れる間に、気体に対する冷却の二次的な源を提供するために、液化チャンバーに流入する流入気体がチャンバーの壁に接触することができるように、チャンバーの壁を冷却するために利用することができる。
【0045】
図6の圧力制御された液化チャンバーと同様に、図9に図示されるチャンバーは、CPUに連結される温度センサー510a、510b、および圧力センサー520をさらに備える。導管430は、底部プレート421を通して貯蔵部分内に延在し、そして流体回収容器420からデュワーの貯蔵部分へと液化寒剤を移送するように使用される。弁またはヒーターなどの1つまたは複数の絞り要素435を、導管430に接続することができ、かつ流体容器420から貯蔵部分への液体寒剤の流れを動的に調整することができるようにCPUにさらに接続することができる。
【0046】
CPUは、クライオクーラーへの動力をオン/オフの間で切り換えるために、クライオクーラーに連結される。さらに、CPUは、上記のように、液化チャンバー内への気体流入量を動的に調整するために気体流量制御700へとさらに連結される。
【0047】
図10は、本発明の一実施形態による、貯蔵部分と熱交換領域との間の領域を封止するために提供される、底部プレート421の上面図を図示する。プレートは、貯蔵部分と熱交換領域との間の気体流量を調整するために、1つまたは複数の熱交換弁850a、850bと適合することができる。上記のように、1つまたは複数の熱交換弁を使用して、ヘリウムを利用する実施形態に対してその温度が一般に約4.3Kである、貯蔵部分の上端部からの冷たい気体が熱交換領域内に流入することが容認される。この点については、熱交換領域の周りを流れる気体は、チャンバー表面の周りに対向流形熱交換を提供するために液化チャンバーの外表面に接触してもよい。さらに、任意選択的なコンピューター制御される境界面は、液化領域について理想的な液化条件が維持され、貯蔵部分について理想的な貯蔵条件が維持され、かつこれらの条件の組み合わせを動的に調節することができるように、熱交換領域の周りの熱交換の動的制御を可能とすることになる。
【0048】
この発明の目的に対して、液化チャンバーおよび熱交換領域から気体を排出するために使用される弁530、830はそれぞれ、本明細書では「排気弁」と呼ばれ、かつ貯蔵部分と熱交換領域との間の流量を調整するために使用される弁850a、850bは、本明細書では「熱交換弁」と呼ばれる。さらに、回収容器と貯蔵部分との間の導管を通る流れを調整するように適合される1つまたは複数の弁は、本明細書では、「絞り弁」と呼ばれ、かつ気体流量制御からの気体流入量を調整するように適合される1つまたは複数の弁は、本明細書では、「流入弁」と呼ばれる。この点については、様々な弁のそれぞれは、その別個の機能に関して個別に区別される。
【0049】
対向流形熱交換が望ましくないある特定の実施形態では、液化チャンバーを、真空断熱した殻、および/または放射線シールドによって熱的に分離することができる。本実施形態では、液化チャンバーは、外殻部分と内殻部分(図示せず)とを備えてもよく、内殻部分と外殻部分との間に配置される体積は、熱的な分離のためにその中に真空領域を形成するように、実質的に空気を排気する。追加的に、熱シールドは、内殻部分と外殻部分との間、または内殻部分と外殻部分との一方もしくは両方に隣接して配置することができる。
【0050】
様々な実施形態では、液化チャンバー内の気体は、気体の臨界点近くに加圧され、例えばヘリウム気体は、液化の間、2.2バール付近に維持される。この高い圧力において、ヘリウムまたは他の気体は、クライオクーラーから実現される最大の冷却力で液化され、そして効率は、著しく改善される。液化チャンバー内の圧力は、上記のように、1つまたは複数の構成要素で調整することができる。例えば、ある体積の流入気体を、封止された液化領域内に1気圧より高い圧力で送達することができ、それによってその中の圧力は増加する。気体が液体へと凝縮するのに従って、気体源からシステムへと追加的な気体が供給される。流入気体の圧力は、気体流量制御を使用して調節することができる。
【0051】
高圧、例えば、標的の気体に対する臨界圧力を超える圧力の場合、上記のように、1つまたは複数の排気弁は、熱交換領域内、または他の区画内に気体を放出するように適合することができる。
【0052】
流体回収容器内への液体の過度の蓄積を防止するために、1つまたは複数の方法を実施することができる。例えば、スティンガー(図示せず)がクライオクーラーの底部段から延在してもよく、液化寒剤との接触がスティンガーの温度を急激に減少してもよい。温度を監視することができるように、1つまたは複数の温度計が、クライオクーラー、またはスティンガーにさらに取り付けられてもよい。温度計は、液化装置内の条件の動的な調整のために、CPUに接続することができる。この点について、回収容器内の過度な液体を示すことになる温度の急激な減少を感知すると、システムを停止することができる。代替的には、回収容器内で過度の液体が示されると、流体容器から貯蔵部分へと延在する導管は、流速を増加するように適合することができる。導管を通る流速は、絞り弁を調整することによって、または導管に取り付けられたヒーター素子を使用して熱を調節することによって、調節することができる。さらに、液化チャンバー内の圧力を調整するために、気体流入量を、気体流量制御において調節することができる。弁、温度センサー(温度計)、圧力センサー、またはヒーター素子のそれぞれは、液化プロセスの動的制御に対する動的調節液化条件を監視するようにプログラムされたCPUに接続することができる。
【0053】
ある特定の実施形態では、流体回収容器は、約1.0リットルの液体気体を収容するように適合することができる。他の実施形態では、流体回収容器は、0.1リットルと5リットルとの間の液体気体を収容するように適合することができる。ユーザーの要求により、流体回収容器は、任意の量の液化気体を収容するように適合することができる。さらに、デュワーの貯蔵部分は、任意の量の液化気体を収容するように構成することができる。ある特定の実施形態では、貯蔵部分は、最高1000リットルの液体気体を収容するように適合される。
【0054】
図11は、図9図10に図示する実施形態による液化装置をさらに図示する。図9の液化チャンバー実施形態1000は、単純化のために様々な内部構成要素を参照せずに図示されるが、構成要素は、図9に示すようにより詳細に参照されてもよい。CPU600は、構成要素500、クライオクーラー100、および気体流量制御700に連結される。気体源310は、気体流量制御700へと気体を供給する。気体流量制御700は、圧力調整器710および質量流量制御器720をさらに備える。液体移送ポート900は、貯蔵部分内に収容される液化気体および大気圧で貯蔵される液化気体にアクセスするために提供されてもよい。液体移送ポートは、一般にデュワーの上面の近くに配置され、かつその中のある量の液化気体にアクセスするために、貯蔵部分を暴露するように適合されるオリフィスを備える。この点について、分離した液化チャンバーは、その中の気体の連続的な液化を高い圧力において実施することができる一方で、デュワーの貯蔵部分内の大気圧で貯蔵される液体寒剤にアクセスを提供する。したがって、システムは、液体寒剤にアクセスするために停止する必要がない。
【0055】
したがって、改善された液化効率に対して適合される液化装置は、封止された液化チャンバーと、貯蔵部分とを備える。封止された液化チャンバーは、高い圧力における液化に対して適合され、具体的には、選択された寒剤気体に対する臨界圧力付近の液化に対して適合される。液化領域内の圧力は、(1)気体流量制御を用いる、液化領域内に向けられた流入気体の圧力および/もしくは量、(2)排気弁を通して液化領域から出て排出される気体の量、または(3)流体回収容器からデュワーの貯蔵部分へと移送される液体の量、のうちの1つまたは複数によって調整される。
【0056】
さらに、封止された液化チャンバーは、液化チャンバーの二次冷却のため、および液化領域内に収容される気体のために、対向流形熱交換を提供するための熱交換領域によって包囲されてもよい。
【0057】
本発明の別の態様では、液化効率の改善のために、ある特定の方法が開示される。一実施形態では、液化装置内で気体の効率的な液化を提供するための方法は、封止された液化チャンバーおよび貯蔵部分を有する液化装置を提供することと、選択された気体に対する臨界液化圧力の近くで液化チャンバー内の圧力を調整することと、チャンバー内の流体回収容器内にある量の液化気体を回収することと、前記液化気体を前記液化装置の前記貯蔵部分へと、それらの間に延在する導管を通して移送することと、を含む。
【0058】
方法は、封止された液化チャンバーを包囲する熱交換領域であって熱交換領域が貯蔵部分から、それらの間に接続する1つまたは複数の熱交換弁を除いて、さらに封止される熱交換領域を提供することと、前記液化領域の二次冷却のために、1つまたは複数の熱交換弁を使用して、熱交換領域の周りの気体の流れを調整することと、をさらに含んでもよい。
【0059】
他の変形形態は、最大の液化効率で抜き出すための加圧ウェル、および液化性能を高めるための熱交換を目的とした領域を備える液化システムを提供するために、当業者によって認識されることになる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11