(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
耳接続部材に接続された少なくとも1つの頬領域支持部材を備えた顔面支持装置であって、前記頬領域支持部材は、弾性ケーシングに内包されたシリコンジェルパッドを含み、かつ、形成すべき頬領域に合うように成形可能である支持骨格を含み、前記シリコンジェルパッドは、前記装置を対象者に適用した時に、前記シリコンジェルパッドを配置した箇所の下にある顔面構造に下向きの支持圧及び成形圧を加えるように寸法決めされる少なくとも1つの横断面形状が固定した3次元涙形状を有する固形非流動性構造である、ことを特徴とする顔面支持装置。
前記少なくとも1つの頬領域支持部材は、1対の頬支持体及び1対の耳接続部材を含み、各頬支持体は、前記1対の耳接続部材の一方から使用者のそれぞれの頬の少なくとも一部を横切って延びる、請求項1に記載の顔面支持装置。
前記弾性ケーシングは、皮膚側接着内層及び非接着外層を含み、前記内層及び外層は、前記シリコンジェルパッドを内包する前記弾性ケーシングを形成する、請求項1に記載の顔面支持装置。
前記顔面支持装置は、1対の耳接続部材を備え、前記1対の耳接続部材の各々に取り付けら、前記1対の耳接続部材の間に延びる額支持体をさらに備える、請求項1に記載の顔面支持装置。
前記頬領域支持部材は、面ファスナー機構、及び/又は係止用スロット及び捕捉ピン機構によって前記耳接続部材に取外し可能に接続される、請求項8に記載の顔面支持装置。
前記顔面支持装置は、1対の耳接続部材を備え、前記1対の耳接続部材の各々に取付けられ、前記1対の耳接続部材の間に延びる額支持体をさらに備える、請求項14に記載の顔面支持装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】先行技術の術後顎ストラップを示す図である。
【
図2】先行技術の術後フルフェースマスクを示す図である。
【
図3a】本発明の実施形態による頬位置支持体の側面図である。
【
図4a】本発明の実施形態による頬位置支持体の側面図である。
【
図4b】
図4aの頬支持体の中央部の断面を示す図である。
【
図4c】
図4aの頬支持体の中央部の断面を示す図である。
【
図4d】本発明の別の実施形態による、内部剛性部材を含む頬位置支持体の側面図である。
【
図4e】
図4cの頬支持体の中央部の断面を示す図である。
【
図5a】本発明の実施形態による、鼻バンド及び任意の首バンドを取り付けた頬位置支持体の側面図である。
【
図5b】調整可能な耳高さ機構を示す耳バンドの断面を示す図である。
【
図6】鼻バンドを取り付けた様々な幅の頬位置支持体の正面図である。
【
図7】鼻バンド及び耳の頂部に引っ掛ける耳ストラップを取り付けた様々な幅の頬位置支持体の別の実施形態の正面図である。
【
図8b】剛性要素を含む
図8aの顎支持体の断面を示す図である。
【
図9】1つの実施形態による、下顎支持体を取り付けた頬位置支持体の側面図である。
【
図10】頬支持体、顎支持体及び額支持体を含む実施形態を示す図である。
【
図11】剛性支持部材を含む頬支持体、顎支持体及び額支持体を含む実施形態を示す図である。
【
図12a】提供されてカスタム成形する前の熱可塑性フレームを含む顎支持体及び頬支持体の1つの実施形態を示す図である。
【
図12b】カスタムフィッティング後の
図12aの実施形態の側面図である。
【
図13a】実質的に皮膚側の表面全体にわたって接着層が配置された頬支持体の実施形態の断面を示す図である。
【
図13b】皮膚側の表面の一部を覆う接着性ストリップを含むとともに剛性支持部材を含む頬支持体の実施形態の断面を示す図である。
【
図13c】剛性支持部材を外側ポケット内に配置した頬支持体の実施形態の断面を示す図である。
【
図14】1つの実施形態による閉瞼装置の側面図である。
【
図15a】鼻梁部及び耳ストラップ内に成形可能構造を含む、提供されてカスタム成形する前の閉瞼装置の1つの実施形態を示す図である。
【
図15b】鼻梁部及び耳ストラップ内に成形可能構造を含む、提供されてカスタム成形する前の片側閉瞼装置の1つの実施形態を示す図である。
【
図16a】眼球を覆うシリコンジェルパッドを含む閉瞼装置の別の実施形態を示す図である。
【
図17a】イヤホンによって固定された耳覆いを含む顎支持体及び頬支持体の別の実施形態を示す図である。
【
図17b】調整機構が面ファスナー式取り付け具を含む、
図17aに示す部分の側断面図である。
【
図17c】調整機構が係止用スロットと捕捉ピンを含む、
図17aに示す部分の側面断面図である。
【
図18】安定化用イヤホンと、頬支持体と下顎支持体を分離するための取り付け具とを含む耳覆いの別の実施形態を示す図である。
【
図19】イヤホン及び額支持体によって固定された耳覆いを含む顎支持体及び頬支持体の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の様々な実施形態の構成及び使用について詳細に説明するが、本発明は、様々な特定の状況で使用できる多くの適用可能な発明概念を提供するものであると理解されたい。本明細書で説明する特定の実施形態は、本発明の特定の構成方法及び使用方法を例示するものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
本発明を理解しやすくするために、以下ではいくつかの用語を定義する。本明細書で定義する用語は、本発明に関連する分野の当業者が一般に理解している意味を有する。「1つの(英文不定冠詞)」及び「その(英文定冠詞)」などの用語は、単一の存在のみを示すように意図されたものではなく、具体例が例示的に用いられる一般的種類を含む。本明細書では、専門用語を使用して本発明の特定の実施形態を説明しているが、特許請求の範囲で述べられているものを除き、これらの専門用語の使用によって本発明の範囲が限定されることはない。
【0019】
本発明の1つの実施形態では、長期にわたる装着に適するとともに、顔面インプラントを所望の位置及び形状に維持することによってインプラントの通常寿命を大幅に延ばすように設計された位置保持支持装置を提供する。このような装置は、インプラントを優しく支持して接触変形から保護するように、例えば毎晩使用することができる。従って、顔面支持装置は、感触面、圧力面、及びアレルギー反応又はその他の炎症が生じない点に関し、長期にわたって快適に装着できなければならない。シリコンゴムは、低刺激性であり、非反応性であり、弾性であり、色合わせが可能であり、軽量であり、接着剤を使用せずに皮膚に付着できるという望ましい特性を提供する現在利用できる化合物である。医療グレードのシリコンゴム(ポリシロキサン)は、埋め込み可能なほど十分に生体適合性があり、これらの適応症にとって望ましいと考えられている。
【0020】
本明細書に開示する位置保持装置を構成するために医療グレードのシリコンゴムを使用すれば、個々のインプラント患者に対して求められる形状と弾性の必要な組み合わせを備えた、予測される長時間にわたってこれらの患者が快適に装着できる装置を生産することができる。これにより、インプラントの寿命を大幅に延ばすとともに、望ましい容姿を維持するために追加の手術を行う必要性を大幅に低減することができ、従って発生する費用を抑えながら患者の体験を向上させることができる。シリコンゴムシートは、皮膚損傷の治癒を高めると考えられており、現在では、創傷の治癒、火傷の治癒、及び傷跡形成の低減に使用されている。本明細書に開示するカスタムフィット可能な顔面支持体は、このような適応症に適しており、適用可能である。
【0021】
本明細書に示す位置支持体は、ほとんどの個人にとって有用と思われるサイズの組で製造することができる。或いは、本明細書に開示する位置支持装置又は制御装置は、いずれもカスタムフィットさせることができる。シリコンジェルパッドを含む実施形態では、使用するシリコンジェルを、保護表皮を有していなければならない基本的に粘着性のある軟質なものとすることができる。このような表皮は、製造中に内部でシリコンジェルを所望の形状に形成する封入ケーシングを形成する内側シート及び外側シートとすることができる。この封入ケーシングは成形を可能にするとともに、砕けやすい軟質シリコンの完全性を保つ。このようなシリコンジェルパッドは、形成時に、覆われている人体構造、ここでは頬、下顎骨又は眼球上に快適に適合する所望の形状を有する金型内に配置された封入ケーシング内に液体シリコンの形で導入又は注入された後、その形状に熱硬化される。特に好適なシリコンジェルが米国特許第5,693,164号に開示されており、この特許では、外側シート内部のシリコンジェル材料が、様々な組成及び量のシリコンオイル、樹脂、抑制剤、促進剤及び顔料を硬化させることによって得られる。米国特許第5,693,164号に開示されているように、ケーシングを形成する内側シート及びその他のシートは、20〜70マイクロメートルの厚みを有するポリウレタンフィルムとすることができる。1つの実施形態では、シリコンジェルパッドが装置本体に一体化され、別の実施形態では、シリコンジェルパッドが、装置本体に形成されたポケットに挿入される。
【0022】
現在では、本明細書に開示するいくつかの実施形態の半剛性支持骨格の形成に、収縮を最小限に抑えて成形後の剛性が十分になるように低温成形しやすく配合された好適な熱可塑性材料が利用可能である。例えば、オハイオ州ニューアークのKlarity Medical Products社から、ポリカプロラクトンポリエステル樹脂と不活性充填物の混合物で構成された熱可塑シートが市販されている。
【0023】
頬支持体又は頬インプラント支持体では、
図3に示すように、支持装置2が、頬骨の下面又は下方に置かれた個々の頬支持体16を有する装置の形をとることができる。頬支持体16は、バー12から延びる。さらに、バー12は、耳ストラップ14によって適所に保持される。耳ストラップ14は、必要に応じてシリコンシートなどの弾性材料で構成することができる。個々の頬支持体アーム16の様々な実施形態の断面に示すように、アームは、頬支持体16の内部に存在する、又は頬支持体16に外部から取り付けた半剛性支持骨格20を任意に含むことができる。図示のような支持骨格20は、予備成形構造、或いは装着者の顔にカスタムフィットするように変形可能な成形可能金属ワイヤ又は熱硬化性プラスチックである。
図3cには、ワイヤを断面で示しており、
図3dには、ストリップすなわちシート材料を示している。任意に、及び図示のように、支持骨格20は、バー12への取り付け箇所を強化することもできる。或いは、
図3dに示すように、この骨格を、金属又は熱硬化性プラスチックのストリップ22とすることもできる。頬支持体は、弾性エラストマーのケーシングに内包されたシリコンジェルパッドを含み、又はこのようなシリコンジェルパッドで形成される。シリコンジェルパッドの3次元形状は、脂肪、筋肉及び/又はインプラントなどの基底構造に加わる圧力を提供するとともに、これらの構造の支持及び成形を行う。
【0024】
図4aには、頬支持体が一体型耳覆い(イヤーピース)14及び接着可能な頬支持体16の形で提供された1つの実施形態を示す。支持体2は、就寝又は休息前に適用され、安静時に顔面構造を支持するように作用する。或いは、運動前、又は位置を支持することが望ましいと考えられるあらゆる活動前に支持体を適用してもよい。装置により提供される穏やかな張力及び圧力は、下にある顔面構造の望ましい位置を保持し、垂み及び年老いた外見を徐々にもたらす重力の影響を弱めるように作用する。顔面インプラントが存在する場合、頬支持体は、優しい圧力を加えることによってインプラントの動きを本来望ましい位置に制御する。
図4bの涙形の断面については、
図12を参照しながらより詳細に説明する。
図4bの涙形の位置支持体の場合、内部シリコンジェルパッドが支持体の形状を形成する。
図4aには、支持体の厚みが増した1つの望ましい場所をクロスハッチングで示している。
【0025】
別の実施形態では、
図4cに示すように、支持体を、いくつかの外科用包帯に関連して説明するようなシリコンシートの形とすることができる。このシリコンシートは、外面が非接着性であるのに対し、皮膚側の内層は、取外し可能かつ再使用可能に接着するように形成される。支持体は、離れた場所からは認識できない透明な又は肌と同じ色調の材料で形成されることが好ましい。
【0026】
図4d及び
図4eに示す実施形態では、頬支持体16が、予め決められた形状を有することも、或いは個々の装着者にカスタムフィットするように変形可能とすることもできる半剛性支持部材22を含む。半剛性支持部材22は、頬支持体又は顎支持体の内部に存在しても、又は外部に存在してもよい。図示の実施形態では、半剛性支持部材22が、耳の上で環状を成すが耳を取り巻かない耳覆い15内に延びる。この耳覆いは、
図17aに示すような安定化用イヤホンを含むことができる。
【0027】
図5、
図6及び
図7に示すように、支持装置は、半剛性鼻梁構造を有するシリコンマスクの形をとることができる。頬支持体16は、装着者の鼻よりも高くなる鼻梁部24によって互いに接続される。鼻梁部24は、装着者の鼻にカスタムフィットするように変形可能な半剛性鼻構造26を含むことが好ましい。例えば、半剛性鼻構造体26は、鼻梁部に構造を与えるとともに、鼻梁部がマスクによる過度の圧力を装着者の鼻に加えるのを避けるようにする薄い金属シート又は熱硬化性プラスチックシートとすることができる。半剛性鼻構造26は、鼻梁部24の内部に存在しても、又は鼻梁部24に外部から取り付けてもよい。必要に応じて、鼻梁部24は、頬支持体16を形成する材料に接続し、従って相互接続部片が無くてもよく、或いは取り外し可能なコネクタ18を有していてもよい。必要に応じて、任意に
図5に示すように、支持装置2は、耳ストラップ14に、従って結局は各頬支持体16の外部に接続されて顔面構造に所望の支持圧を与えるように装着者の頭部周囲に延びる頸背部ストラップ28を含むことができる。頸背部ストラップ28は、ストラップをどれほど調整するかによって頬支持体、額支持体又は頬支持体の圧力のさらなる調整を行う。頸背部ストラップは、Velcro(登録商標)タイプの接続部、バックル、又は他のいずれかの調整可能な接続部によって互いに接続可能な2つの相互接続されたストラップの形をとることができる。
【0028】
図5aに示すような1つの実施形態では、バー12が、溝を含む剛体構造である。このような実施形態では、バー12に対応する頬支持体16の端部が、バー12の溝13内に摺動自在に取り付けることができる膨らんだ終端部17を含む。頬支持体16の膨張部分を、両方向矢印で示すようにバー12の上下に移動させることにより、装置を患者の耳の高さに調整することができる。
【0029】
図6及び
図7に示すように、頬支持体は、16bのように薄くすることも、或いは16aのように比較的厚くすることもできる。
図6に示すように、耳の周囲を巡る耳ストラップ14を設けることもでき、或いは
図7に示すように、耳に掛けられる耳覆いを利用することもできる。
【0030】
図8aに示すように、下顎又は顎インプラント支持体については、位置支持装置が、バー12から延びて耳ストラップ14により適所に保持されるスリング10の形をとることができる。顎インプラント支持体では、
図5に示すような、装置を適所に保持するための1又は複数の頸背部ストラップに、より構造的に明確な装置の支持領域を取り付けて、インプラント領域に所望の安定化力を与えることができる。
図8aに示す実施形態では、頬支持体16が、使用者に適合するように成形できる半剛性支持骨格22を含む。この骨格を
図8bに断面で示す。
図8aの顔の片側に示すように、位置支持装置は、頬支持体16を含んでいても、又は含まなくてもよい。
【0031】
図9に示すように、支持装置2は、頬骨を覆う外科インプラント上又はその下方に置かれた頬支持体16と組み合わせた形をとることができる。頬支持体16は、耳ストラップ14によって適所に保持されたバー12から延びる。
図9に示す実施形態では、支持装置2が、バー12から延びて耳ストラップ14により適所に保持された下顎又は顎インプラント支持体10をさらに含む。顎インプラント支持体では、
図5aに示すような、装置を適所に保持するための1又は複数の頸背部ストラップに、より構造的に明確な装置の支持領域を取り付けて、インプラント領域に所望の安定化力を与えることができる。
【0032】
図10に示す実施形態では、支持装置2が、頬支持体16、下顎又は顎インプラント支持体10、及び額支持体42を含む。上述したように、これらの追加の額支持体及び顎支持体は、頸背部ストラップ28によって引っ張らせることができる。矢印は、装置の状態によって得られる力を示す。1つの実施形態では、頬支持体、額支持体及び顎支持体の各々が、皮膚に接着するシリコンシートで構成される。頬支持体、額支持体及び顎支持体は、取り付け可能な耳ストラップ又は耳覆いを含む1つの一体型ユニットに製造することも、或いは一体型ユニットの一部として耳ストラップ又は耳覆いを含むこともできる。
【0033】
図11には、頬支持体16及び顎支持体10の一方又は両方が、個々の装着者にカスタムフィットするように変形可能な半剛性支持部材22を含む別の実施形態を示す。半剛性支持部材22は、頬支持体又は顎支持体の内部に存在しても、又は外部に存在してもよいが、皮膚と接触しないことが好ましい。図示の実施形態では、コネクタ13に取外し可能に取り付けられた耳バンド14の形態を示しており、このコネクタ13は、締め具、留め金、ボタン、面ファスナー、クリート、又は他のタイプの取り外し可能なコネクタとすることができる。いくつかの実施形態では、額支持体42及び/又は顎支持体10が、額支持体又は顎支持体を使用者の生体構造に適合させるために短縮できるように、コネクタ13の取り付け部材に接続可能なさらなる取り付けコネクタ15を含む。1つの実施形態では、コネクタ13が、剛性又は半剛性とすることができるバー12によって分離される。図示のように耳バンド14が環状である場合、この環状は、例えばシリコンシート又は弾性繊維などの可撓性材料で形成することも、又は比較的弾性のないストラップ、レース、ロープなどとすることもできる。
【0034】
図12aには、使用者に提供されてカスタム成形する前の熱可塑性フレームを含む顎及び頬支持体の1つの実施形態を示す。1つの実施形態では、熱可塑性フレームが、医療グレードのシリコンシートに封入される。支持ユニットは、本来平坦に提供することができる。使用者は、この本来平坦な支持体を手に取り、お湯を張った浴槽に浸けるなどして熱を加える。熱可塑性材料が十分に加熱されたら、支持体を顔に適用する。顎支持体10は、顎の輪郭に適合するように成形され、頬支持体16は、顎及び頬の構造に対して熱可塑性フレーム22を操作することにより頬の輪郭に合わせて成形される。耳覆い14は、顎支持体及び頬支持体に所望の張力を与えるように引っ張って耳の周囲に適合させる。
図12aに示すように、含まれる熱可塑性フレームには、引っ張って顔の形状に合わせやすいように穴が開いている。
【0035】
図12bには、カスタムフィットさせた後の
図12aの実施形態の側面図を示す。図示のように、熱可塑性材料が顔の形状にぴったり合うと、
図12aの元々の穴は変形する。いくつかの実施形態では、支持体2に頬支持体がなく、顎支持体のみが設けられる。
【0036】
図13a及び
図13bには、いくつかの実施形態による涙形頬支持体の断面を示す。
図13a及び
図13bに示す実施形態では、頬支持体が、皮膚に面するわずかにへこんだ内層52、及び逆向きの外層54を有する。内層52は外層54に封止され、これによりシリコンジェル材料50を封入する。1つの実施形態では、頬支持体がほとんど認識されないように設計され、従って内層52及び外層54は、ポリウレタンなどの透明プラスチック材料で形成され、シリコンジェルは、無色又は肌と同じ色調を有する。この頬支持体の涙形は、製造中にシリコンジェルを所望の形状に成形して硬化させることにより確立される。1つのこのような硬化法が、Changによる米国特許第5,693,164号に記載されており、Chenによる米国特許第6,758,720号に記載されているような弾性プラスチック膜に内包されたシリコンジェルを含むシリコンブラが既に開発されている。
図13aに示す実施形態では、頬支持体16の皮膚に面する表面の大部分が、再使用可能な接着層56によって覆われる。いくつかの実施形態では、内層52及び外層54が、シリコンジェルを内包するポリウレタン材料である。内層52はさらにコーティングされ、すなわち皮膚に取外し可能に接着するさらなる最内層56を伴って製造される。他の実施形態では、内層52と接着層56が同じものである。本明細書では、「接着層」とは、位置支持体がその望ましい位置からずれることはないが、皮膚に損傷を与えずに容易に除去できるような、使用者の皮膚に取外し可能に接着するあらゆる層のことを意味する。再使用可能な接着層56は、接着性を保持しながらその形状を保持するように十分に硬化されたシリコンの層とすることができる。現在では、下着のずれを抑えるためにこのようなシリコンストリップが使用されている。
【0037】
図13bに示す実施形態では、頬支持体16の皮膚に面した内面に接着ストリップ58が配列されている。或いは、この接着材料を内面全体にわたって滴状に配列することもできる。
図13bに示す実施形態では、頬支持体16が、一定形状とすること、又は使用者に適合すべく成形されるように設計することができる内部半剛性支持骨格22を含む。
【0038】
図13cに示す実施形態では、頬支持体16が、外層54が形成された、又は外層54に取り付けられた外部スリーブ又はポケットに収まる半剛性支持骨格22を含む。
【0039】
図14に開示する実施形態では、眼瞼を優しく閉じることができる眼瞼位置装置70を提供する。グレーブズ病眼症などの病気によっては、睡眠中に眼瞼が収縮して角膜乾燥及び角膜びらんが生じることがある。現在では、眼瞼にテープを貼ることによってこのような事象を制御することができるが、これにより装着者は、目で確認する必要がある際に素早く対応できず、またテープ接着剤への過敏症が生じることもある。後頭部を取り巻くストラップを有する変形例のゴーグルは、睡眠中に簡単に外れる面倒な装置である。本明細書の1つの実施形態では、眼瞼に優しい閉鎖張力を与えながら、耳に掛かった耳ストラップ14を引っ張って外すことにより容易に外すことができる装置を提供する。図示の実施形態では、可撓性バンド34が、装着者の鼻にカスタムフィットするように変形可能な半剛性鼻梁部32を含む。上述したように、半剛性鼻梁部32は、個々の患者にカスタムフィットするように変形可能な薄い金属性の又は熱硬化性プラスチック性のディスク又はストリップを含むことができる。半剛性鼻梁部32は、可撓性バンド34の内部に存在しても、又は可撓性バンド34に外部から取り付けてもよい。鼻梁部の剛性面又は半剛性面は、可撓性バンド34が内部涙管部位で鼻骨の全深さのほぼ半分にわたって離れているように比較的短い。従って、可撓性バンド34が耳ストラップ14に交わるように頬全体にわたって延びるので、眼球に対する圧力が最小になる。耳ストラップ14は、図示のバー12などの剛性部材を含むことができる。或いは、耳ストラップ14を完全に可撓性にして、可撓性バンド34に接続させてもよい。さらなる実施形態では、
図4cの耳覆い15又は
図17aのイヤホン96を含む耳覆いの形で示すような耳覆いを利用することもできる。1つの実施形態では、可撓性バンド34が医療グレードのシリコンで形成され、又は可撓性シート間のチャンバ内に封入された医療グレードのシリコンジェルを利用する。他の実施形態では、可撓性バンド34が、以下に限定されるわけではないが、可撓性織布及びネオプレンを含む、当業者に周知の他の柔軟かつ伸縮自在な組成物を利用することができる。1つの実施形態では、可撓性バンド34が織布材料で形成され、皮膚側の表面が、滑り抵抗を与えるようにストリップ又は点の形で配列されたシリコン含有領域を含む。シリコンは布上に定置され、コーティング又はその他の堆積物によって布に付着する。
【0040】
図15aには、カスタム成形する前の、供給された、成形可能な半剛性鼻梁部32及び耳ストラップ14を含む閉瞼装置70の1つの実施形態を示す。
図12を参照して説明したように、この閉瞼装置は、
図15aに示すように本来平坦に提供することができる。熱可塑性の成形可能な鼻梁要素及び耳ストラップ要素を含む装置の場合、使用者は、この本来平坦な支持体を手に取り、お湯を張った浴槽に浸けるなどして熱を加える。熱可塑性材料が十分に加熱されたら、支持体を顔に適用する。或いは、成形可能な鼻梁部32及び耳ストラップ14が内部の成形可能な金属「骨格」支持体を含む場合には、この金属を適合するように曲げることにより、装置をカスタムフィットさせる。鼻梁部32は、鼻梁に対して成形可能フレームを操作することにより鼻の輪郭に適合するように成形される。耳覆い又はストラップ14は、眼瞼全体にわたって所望の張力を与えるように、成形可能な骨格22を用いて引っ張って耳の周囲に適合させる。耳ストラップ14も、同様にカスタムフィットさせる。
図15bには、提供されてカスタム成形する前の、成形可能な半剛性鼻梁部32及び耳ストラップ14構造を含む片側閉瞼装置71の1つの実施形態を示す。この開示する片側閉瞼装置は、眼の外科的処置を治癒させるために片眼を閉じた状態に保つことが望ましい場合に、不快な眼帯又は圧迫テーピングの代わりに利用することができる。片眼用、両眼用を問わず、
図15の閉瞼装置には、
図16aに示すシリコンジェルパッド60を含めることができる。
【0041】
図15cは、カスタムフィッティング後の
図15a又は
図15bの実施形態の側面図である。いくつかの実施形態では、閉瞼装置に、閉瞼装置本体34をイヤホン96に接続する調整可能なイヤホン紐(halter)91を設けることができる。イヤホンを含めることにより、装置を大幅に安定させるとともに、周囲雑音の緩和という利点がもたらされる。調整可能なイヤホン紐91は、面ファスナー式取り付け具、留め金、ボタンなどを含むいくつかの異なる取り付け方法によって閉瞼装置本体34に取り付けることができる。図示の実施形態では、イヤホン紐91が、一連の開口部93を含む。適当な開口部93を選択し、その開口部を通じて装置本体34を取り付けることにより、閉瞼装置本体34の相対位置を上下に調整することができる。
【0042】
図16aには、閉瞼装置本体64に取り付けられた鼻梁部32に成形可能構造を含む閉瞼装置70の別の実施形態を示す。この成形可能構造は、装置本体の上、下又は内部に配置することができる。いくつかの実施形態では、装置本体がシリコンシートで構成される。図示の実施形態では、閉瞼装置70にシリコンジェルパッド60が含まれ、このシリコンジェルパッド60は、くぼんだ内部形状を通じて眼球に適合し、眼球にパッドをあて、ティッシュ状の感覚を有する。1つの実施形態では、
図16bに示すように、シリコンジェルが、封入ケーシング64を形成する内側シートと外側シートの間に内包された軟質の基本的に粘着質な材料である。下にある接着性パッド62は装置本体に取り付けられ、又は一体化されて、弾性表皮の遠位面を上頬又はこめかみ領域に付着させるように適合及び寸法決めされる。
【0043】
図16a及び
図16bに示すように、閉瞼装置70は、必要に応じてまつげに掛からないように眼瞼を横切って装着することも、又はまつげに沿って延びることもできる。
図16bは、シリコンジェルパッド60が閉じた上眼瞼61の上に載り、下にある眼球65の形状に適合する、
図16aの閉瞼装置の態様の側面図である。
図15a〜
図15cに示す実施形態と同様に、
図16a及び
図16bの接着の実施形態を片眼又は両眼の形態として提供してもよく、或いは両眼の形態から片眼を削除して、完全な鼻梁部を含む片眼用の眼帯を提供してもよい。片眼用の眼帯の形態では、鼻梁部の下に接着剤を与えて適所にしっかりと保持することができる。
【0044】
図17aには、別個の頬支持体16及び上部下顎支持体11を含む位置支持体を提供する1つの実施形態を示す。頬支持体及び下顎支持体は耳支持体取り付け具90に個別に取り付けられているので、一方を使用せずに他方を使用することも、又は両方を共に使用することもできる。なお、本出願においては、顎支持体について言及する場合には、あらゆる下顎構造の支持が含まれる。図示のような表示には、下顎の下顎角の上にある咬筋に穏やかな張力を伝える上部下顎支持体を示しているものもある。位置支持体は、安静時に顔面構造を支持するように就寝前又は休息前に適用することができるが、運動などの他の活動中に利用することも、さらには手術後に構造を安定させるために適用することもできる。装置により与えられる穏やかな張力及び直接的な圧力は、下にある顔面構造の望ましい位置を保持し、垂み及び年老いた外見を徐々にもたらす重力の影響を弱めるように作用する。顔面インプラントが存在する場合、頬支持体は、穏やかな圧力を加えることによってインプラントの動きを本来望ましい位置に制御する。
図17b及び
図17cの断面で分かるように、頬支持体及び下顎支持体は、皮膚及び基底構造に対して穏やかで直接的な位置圧力を与える、ケーシング86内に配置された内部ソフトシリコンジェルパッド84を含む。頬支持体16は半剛性支持骨格22を含み、下顎支持体11は支持骨格82を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、締結具18によって支持体に取外し可能に取り付けられる、人の顔の腹側面(すなわち鼻又は顎)を横切るコネクタ102によって、2つの頬支持体及び/又は2つの下顎支持体が互いに取り付けられる。この締結機構は、面ファスナー式取り付け具、留め金、ボタン、又はその他の取り外し可能な締結具とすることができ、また所与の締結具の選択によってコネクタの引張が決まる一連の締結具として設計することができる。図示の実施形態では、コネクタ102が、鼻梁を覆って又は顎の周囲にカスタムフィットさせることができる中央成形可能構造体104を含む。例えば、中央成形可能構造体104は、鼻梁部又は顎ストラップに構造を与えるとともに、鼻又は顎全体にわたる過度の圧力を伴わずに装置を十分に適合できるようにする薄い金属シート又は熱硬化性プラスチックシートとすることができる。中央成形可能構造体は、コネクタの内部に存在しても、又はコネクタに外部から取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ102が、シリコンなどの弾性材料で形成される。コネクタ102を使用することにより、位置支持体により大きな張力を加えることができる。いくつかの実施形態では、鼻を横切るためのコネクタ及び顎を取り巻くためのコネクタが別個に提供され、他の実施形態では、いずれの場所でも使用できる単一のコネクタが提供される。
【0046】
図17aに示す実施形態では、上部頬位置支持体16及び/又は上部下顎支持体11が、耳支持体取り付け具90に取外し可能に取り付けられている。耳支持体取り付け具90には耳ストラップ14が取り付けられ、これにイヤホン96が従属する。耳支持体にイヤホンを加えることにより、装置を大幅に安定させるとともに、周囲雑音の緩和という利点がもたらされる。いくつかの実施形態では、イヤホンが音源に接続されている時にはイヤホンを介して、或いは耳取り付け構造の要素に取り付けられたマイクロクロワイヤレスレシーバを介して音の送達が行われる。
【0047】
耳支持体取り付け具90には、様々な取り付け機構を設けることができ、そのうちの2つを図示している。
図17bの断面では、面ファスナー式取り付け具を介して取り付けを行っている。図示のように、頬支持体及び下顎支持体にはフック94のシートが取り付けられ、耳支持体取り付け具90には対応するループ92が取り付けられる。このフックとループの順序を逆にして、頬支持体及び下顎支持体上にループが存在し、耳支持体取り付け具上に対応するフックが存在するようにしてもよい。図示の実施形態では、頬支持体16及び下顎支持体11が、外部ケーシング86内に半剛性支持骨格22を含む。或いは、この骨格を、
図13cに示すように位置支持体の外側に形成されたスリーブ内に摺動させることもできる。
【0048】
図17cの断面では、耳支持体取り付け具90内に配置された、捕捉ピン101と係合する1又はそれ以上の係止用スロット100を介して取り付けが行われる。図示のように、捕捉ピン101の各端部には外部ディスク又はプレート98を配置して、捕捉ピンを耳支持体取り付け具90内に保持する。位置支持体16及び11は、(単複の)係止用スロット100内で捕捉ピンを上下に摺動させることによって上下に調整することができる。
【0049】
上述した実施形態と同様に、位置支持体の皮膚側の内層は、取り外し可能かつ再使用可能な接着剤を備えても、又は接着性の化合物又はコーティングで構成してもよい。
【0050】
図18には、安定化イヤホン96と、頬支持体及び下顎支持体を分離するための取り付け具とを含む耳覆い14の別の実施形態を示す。図示の実施形態には、音源へのコネクタ104を備えた耳覆いを示している。含められるシリコンジェルパッドの範囲を、頬支持体16及び下顎支持体11の各々に斜線106で示している。頬支持体及び下顎支持体は、図示の面ファスナー式取り付け具(ループ面92を示す)によって上下に動かすことができるが、太線矢印で示すように回転させて理想的な位置決めを行うこともできる。
【0051】
図19には、イヤホン96によって固定された耳覆い14と、耳支持体取り付け具90に取り付けられて頸背部ストラップ28に固定された額支持体42とを含む上部下顎支持体11及び頬支持体16の別の実施形態を示す。1つの実施形態では、額支持体42及び頸背部ストラップ28が調整可能であり、頬支持体及び/又は下顎支持体に所望の力を与えるように引張させることができる。頬支持体16は半剛性支持骨格22を含み、下顎支持体11は支持骨格82を含む。下顎支持体及び頬支持体の各々は、下にある組織上に下向きの圧力を与えるシリコンジェルパッドを含む。
【0052】
1つの実施形態では、放射線治療の位置決めに使用するような熱硬化性プラスチックマスクブランクを使用して患者の顔の型をとる。このようなマスクは、本明細書で引用により開示するUngemachによる米国特許第7,290,548号に記載されており、オハイオ州トレドのBionix Radiation Therapy社によって販売されているKlarity VersaFramesを含め、複数の供給元から市販されている。個々のマスクは、カスタムフィットできるように顔面支持装置のメーカーに送られる。
【0053】
本明細書で引用した全ての出版物、特許及び特許出願は、あたかもその全体が示されているように参照により本明細書に援用される。例示的な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本説明は、限定的な意味で解釈すべきでないことが意図されている。当業者には、本説明を参照すれば、本発明の例示的な実施形態及びその他の実施形態の様々な修正及び組み合わせが明らかになるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、このような修正及び拡張を含むことが意図されている。