(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、RT、AT、ART遊技等の特典遊技の付与決定は一般に、例えば、特定小役の当選を契機に抽選して決定されたり、あるいはボーナス入賞と連動してボーナスゲーム終了後に自動的に設定されたりしている。ART等の特典遊技は付与単位として、例えば、
30回や50回の一定数の1セットゲーム期間を特典遊技状態にして付与される。しかし、そのゲーム期間が固定されているため、単発で付与するだけでは遊技興趣の高揚に寄与しない。このため、最近では、1又は2以上の単位での特典遊技の付与を決める抽選を行い、当選したときには特典遊技の継続実施を行う付与形態を備えた回胴式遊技機が出現している。
【0007】
しかしながら、上記の単発又は複数付与抽選方式の場合には、実行中の特典遊技が終了した時点で、特典遊技の継続が報知されて移行するか否かといった付与形態となるため、ボーナスゲームの付与形態とさほど違わなくなり、遊技者に有利な遊技状態の内容を多様化できず、回胴遊技における画一化と単調性を十分に解消できないといった問題を生じた。
【0008】
本発明の目的は、ART遊技等の特典遊技を付与したとき、特典遊技期間を種々のバリエーションで変更可能にして画一化させず、特典遊技の興趣の増大を図ることのできる回胴式遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の態様により達成される。
本発明に係る形態は、
複数種の図柄が設定された回胴を回転させて、前記図柄を可変表示する回胴表示手段と、
所定の抽選確率に基づいて役の抽選を行う役抽選手段と、
前記役抽選手段の抽選結果に応じた前記回胴の停止制御を行う回胴停止制御手段と、を有し、
所定条件の成立に基づき、所定の遊技期間、遊技者に有利な特典遊技を付与可能にした回胴式遊技機において、
特典遊技の遊技消化に伴う特典遊技期間の残期間を少なくとも表示する表示手段と、
特典遊技中に、前記特典遊技期間の延長を決定する特典遊技期間延長決定手段と、
前記特典遊技期間延長決定手段の決定に応じた延長報知態様を決定する延長報知態様決定手段と、
前記特典遊技の遊技期間中又は終了時に、決定された延長報知態様で報知する延長報知手段と、を有し、
前記特典遊技期間延長決定手段は、
特典遊技期間の第1の延長を決定した場合に、該第1の延長が前記延長報知手段によって報知されるまでの間に、新たに特典遊技期間の第2の延長を決定可能であり、
前記延長報知態様は、前記第2の延長が決定された場合、
前記第1の延長と前記第2の延長とをそれぞれ個別に報知する第1の報知態様と、
前記第1の延長と前記第2の延長とを合算して報知する第2の報知態様と、
を含み、
前記第1の報知態様および前記第2の報知態様を前記表示手段による表示により報知することを特徴とする回胴式遊技機である。
【0010】
本発明に係る形態によれば、特典遊技の一例として、例えば、AT遊技を付与する場合、
(a)AT遊技期間の第1の延長を決定した場合に、該第1の延長が報知されるまでの間に、新たにAT遊技期間の第2の延長を決定し、
第2の延長が決定された場合には、
(b)第1の延長と第2の延長とをそれぞれ個別に報知する第1の報知態様(個別報知態様)と、第1の延長と第2の延長とを合算して報知する第2の報知態様(合算報知態様)とによる、AT遊技期間の延長に関する複合的報知を行い、
(c)複合的報知の実行に際しては、特典遊技期間の残期間の表示とともに、個別報知態様又は合算知態様を該表示手段による表示により行うことができる。従って、本形態においては、特典遊技期間中に期間延長が発生することによりバリエーションに富んだ特典遊技を実行可能にして、一の特典遊技期間中に、第1の報知態様による個別報知と、第2の報知態様による合算報知の両方が存在し、しかも残期間の表示とともに個別報知又は合算報知を行うことによって、遊技者の期待感を高揚させ、特典遊技の画一化を防止して遊技興趣の増大を図ることができる。
【0011】
前記特典遊技期間の延長態様には、前記合算による態様に加え、延長決定の都度、期間延長を行う随時延長態様を併用可能であり、随時延長態様の他に、延長遊技期間を分散して割り振る態様、延長実行順序の変更態様を併用することにより、種々の遊技期間の変更パターンを出現させることができる。
本発明に係る前記特典遊技には、例えば、最小単位として特典遊技のゲーム回数の上限が25、30、50等に設定されて構成されたRT遊技、AT遊技あるいはART遊技を使用することができる。
本発明は、始動操作に基づき前記回胴表示部を可変表示し、遊技者の停止操作に応じて前記役抽選結果に基づく停止制御を行う遊技機の他に、始動操作に基づき前記回胴表示部を可変表示して前記役抽選結果に基づく自動停止制御を行うカジノ用遊技機にも適用することができる。カジノ用遊技機においては、例えば、通常遊技モードより役当選が高確率で発生する高確遊技モードを付与して、その高確遊技モードの遊技期間を、上乗せ抽選して可変にする遊技態様に適用することができる。
【0012】
本発明に係る形態において、異なる2種類以上の遊技回数のうちの一つの遊技回数を上乗せ抽選して決定する遊技回数決定手段を設け、該決定に係る複数の上乗せ遊技回数を記憶可能にして、前記複数の上乗せ遊技回数の記憶順序を別の順に並べ替えて、その並べ替えた順序に従って特典遊技期間を順次、上乗せ変更する延長態様を前記合算による延長態様とともに併用することができる。
【0013】
本発明に係る形態において、前記並べ替えた順序による延長態様を前記合算による延長態様とともに併用することにより、例えば、上乗せ遊技回数の多い場合は、少ない場合よりも抽選で決定されにくく、少ない遊技回数が頻発する傾向にあるとき、上乗せ遊技回数の多い回数を優先して上乗せ変更することができ、特典遊技の興趣の増大を図ることができる。前記記憶順序の並べ替え態様には、所定の順序に切り替える場合に限らず、ランダムに配置変えする場合も含む。なお、前記記憶順序の切り替えは、切替メモリエリアへのデータ転送に限らず演算処理によって行ってもよい。
【0014】
本発明に係る形態において、前記複数の上乗せ遊技回数の記憶順序を遊技回数の昇順又は降順に並べ替えて上乗せ変更を行う延長態様を前記合算による延長態様とともに併用することができる。
【0015】
本発明に係る形態において、前記昇順又は降順に並べ替えによる延長態様を前記合算による延長態様とともに併用することにより、上乗せ遊技回数が上乗せ変更の度に段階的に拡大したり、減少させたりして、特典遊技期間の変更の出現態様に前記特典遊技の継続への期待感を高める変更パターンを生じさせて、特典遊技の興趣の増大を図ることができる。
【0016】
本発明に係る形態において、異なる2種類以上の遊技回数のうちの一つの遊技回数を上乗せ抽選して決定する遊技回数決定手段を設け、該決定に係る複数の上乗せ遊技回数を記憶可能にして、該決定に係る複数の上乗せ遊技回数のうち最大回数又は最小回数を優先して特典遊技期間を順次変更する延長態様を前記合算による延長態様とともに併用すること
ができる。
【0017】
前記最大回数又は最小回数を優先して変更する延長態様を前記合算による延長態様とともに併用することにより、例えば、最大回数優先による特典遊技期間の変更により前記特典遊技の継続への期待感を高揚させ、また最小回数優先による特典遊技期間の変更時には最大回数の上乗せへの期待感を高揚させて、前記特典遊技の興趣を向上させることができる。前記優先対象は前記最大回数又は前記最小回数のいずれか一方のみに設定、あるいは抽選により随時変更可能にしてもよい。
【0018】
本発明に係る形態において、異なる2種類以上の遊技回数のうちの一つの遊技回数を上乗せ抽選して決定する遊技回数決定手段を設け、該決定に係る複数の上乗せ遊技回数を記憶可能にして、該決定に係る複数の上乗せ遊技回数の決定順に特典遊技期間を順次上乗せ変更する延長態様を前記合算による延長態様とともに併用することができる。
【0019】
前記決定順による延長態様を前記合算による延長態様とともに併用することにより、前記特典遊技の遊技期間を順次、変更して種々の出現態様で発生させることができ、特典遊技期間を種々のバリエーションで変更可能にして画一化させず、特典遊技の興趣の増大を図ることができる。
【0020】
本発明に係る形態における前記合算の延長態様には、複数の延長遊技期間の全部に限らず、その一部を合算した態様を含むことができる。
【0021】
前記複数の延長遊技期間の一部又は全部を合算した延長態様により、特典遊技期間の変更バリエーションを付与して特典遊技の興趣の増大を一層図ることができる。
【0022】
本発明に係る形態において、前記合算による延長態様を含む複数種の延長態様うちのいずれかを選択する選択手段を設けることができる。
【0023】
前記選択手段を設けることにより、特典遊技期間をより変化に富んだバリエーションで変更可能にして画一化させず、特典遊技の興趣の増大を図ることができる。
【0024】
本発明に係る形態において、一定の遊技回数を一単位として、前記所定条件の成立に基づき、1単位又は複数単位の前記特典遊技の付与を決定する特典遊技決定手段を設けて、
複数単位の前記特典遊技が付与されている場合に、各単位の特典遊技毎の遊技期間において前記延長を決定するようにしてもよい。
【0025】
前記特典遊技決定手段を設けることにより、一単位又は複数単位の前記特典遊技を付与することができ、且つ複数単位の前記特典遊技が付与されている場合に、各単位の特典遊技毎の遊技期間において前記延長の決定が可能になり、各単位の特典遊技における種々の期間延長パターンの出現に加え、特典遊技の付与段階で、より多くの単位数の取得への期待感と、各単位での特典遊技期間の変更への期待感とが相乗効果となって、より一層の回胴遊技の興趣を向上させることができる。
なお、前記特典遊技の一単位分の遊技回数を複数種にして、前記特典遊技の付与決定時に、いずれかの遊技回数を抽選により決定するようにしてもよい。
【0026】
本発明に係る形態において、前記特典遊技には、予め定めた停止操作順序で停止したとき入賞する一般入賞役が当選したとき、その停止操作順序を報知する停止操作順報知遊技を使用することができる。
【0027】
本発明に係る形態において、前記停止操作順報知遊技(所謂、押し順ナビのAT遊技)
を前記特典遊技として付与することにより、遊技者の保有する前記遊技媒体の量が減少せず、むしろ前記遊技媒体の獲得量が微増ないし漸増する可能性が高く、しかも前記合算による特典遊技期間の期間延長も発生可能になり遊技興趣の増大に寄与することができる。
【0028】
本発明に係る形態において、前記特典遊技には、当選に係る入賞役の種別を事前に報知する当選役報知遊技を使用することができる。
【0029】
本発明に係る形態において、前記当選役報知遊技(AT遊技)を前記特典遊技として付与することにより、前記停止操作順報知遊技と同様に、遊技者の保有する前記遊技媒体の量が減少せず、むしろ前記遊技媒体の獲得量が微増ないし漸増する可能性が高く、しかも前記合算による特典遊技期間の期間延長も発生可能になり遊技興趣の増大に寄与することができる。
なお、本発明に係る特典遊技には、AT遊技と、リプレイ(再遊技)が高頻度で当選する高確率再遊技(RT遊技)とを併用したART遊技を付与することができる。また、本発明においては、前記特典遊技の他に、遊技規則に定める第一種特別役物(RB:レギュラーボーナス)、第二種特別役物(チャレンジボーナス)、第一種特別役物に係る役物連続作動装置(BB:ビッグボーナス)、第二種特別役物に係る役物連続作動装置(チャレンジタイム)のいずれか又は複数種を抽選で付与する遊技形態を含む回胴式遊技機に適用することができる。
【0030】
本発明に係る形態において、前記役抽選手段及び前記回胴停止制御手段を制御する主制御部と、前記主制御部から前記抽選結果に基づく遊技情報を受けて、前記遊技情報に関連した関連情報を少なくとも視覚的又は聴覚的に遊技者に報知する報知制御を行う副制御部とを設けて、前記所定条件の成立に基づき前記特典遊技の付与を決定する特典遊技決定手段、前記特典遊技期間延長決定手段、前記延長報知態様決定手段及び前記延長報知手段を前記副制御部に設けることができる。
【0031】
本発明に係る形態において、前記役抽選手段及び前記回胴停止制御手段を制御する主制御部と、前記主制御部から前記抽選結果に基づく遊技情報を受けて、前記遊技情報に関連した関連情報を少なくとも視覚的又は聴覚的に遊技者に報知する報知制御を行う副制御部とを設けて、前記特典遊技決定手段、前記特典遊技期間延長決定手段、前記延長報知態様決定手段及び前記延長報知手段を前記副制御部に設けることにより、抽選処理に関連した制御を主として行う前記主制御部に制御上の負担をかけることなく、液晶装置、各種ランプ等の演出表示装置による前記遊技情報に関連した関連情報の報知制御を司る前記副制御部において、前記特典遊技の付与決定、前記特典遊技期間の延長決定、前記延長報知態様の決定及び前記延長の報知を処理することができ、前記特典遊技による回胴遊技を円滑に実行することができる。
【0032】
前記副制御部には、前記停止操作順報知遊技における停止操作順序の報知制御を行う報知制御手段を設けることができる。
【0033】
前記副制御部に前記報知制御手段を設けて、前記停止操作順報知遊技状態における停止操作順序の報知制御を行うことにより、前記遊技情報に関連した関連情報の報知制御の一環として前記停止操作順序の報知制御を組み込んで、前記主制御部における抽選処理と密接に関連して前記停止操作順報知遊技を実行することができる。
【0034】
前記副制御部には、前記当選役報知遊技における当選役の種別を報知する当選役報知制御手段を設けることができる。
【0035】
前記副制御部に前記当選役報知制御手段を設けて、前記当選役報知遊技状態における当
選役の種別を報知することにより、前記遊技情報に関連した関連情報の報知制御の一環として前記当選役種別の報知制御を組み込んで、前記主制御部における抽選処理と密接に関連して前記当選役報知遊技を実行することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、特典遊技期間を固定設定せずに延長可能にするとともに、特典遊技期間において決定された複数の延長遊技期間を合算した延長報知を実行可能にして、回胴遊技の興趣増大を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態に係る回胴式遊技機Aについて図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは遊技媒体に遊技メダルを用いる回胴式遊技機を例にする。
図1は本実施形態に係る回胴式遊技機Aの外観斜視図である。
回胴式遊技機Aは、各種制御基板や回胴機構部材を収納した筐体1に、開閉自在に取り付けられた前扉5を有する。前扉5の上部2の中央には、演出報知装置としての液晶表示装置3の表示画面が配設されている。この表示画面には回胴遊技の進行に応じてキャラクターや文字、数字、メッセージ等が画像表示され、当選役の報知演出等の各種表示演出を行えるようになっている。液晶表示装置3の両側には、一対の上部スピーカ4が配設されており、液晶表示装置3による画像演出と同調して、各種の効果音等による音響演出を行えるようになっている。演出報知装置としては、カラー液晶に限らず、例えばカラーEL(エレクトロルミネッセンス)、カラープラズマディスプレイ装置、電子ペーパディスプレイ、7セグメント、LEDドット表示器等を用いた表示装置を使用することができる。
【0039】
前扉5の略中央で、液晶表示装置3の下方には、図柄表示窓8が設けられている。図柄表示窓8は透明パネルからなり、図柄表示窓8を通じて、リール(回胴)8a、8b、8cが視認可能に筐体1内部に配置されている。リール8a〜8cにより、図柄表示窓8に表示される図柄を可変表示(変動)させる回胴表示部が構成されている。リール8a〜8cは、パルスモータ(図示せず)の回転軸に取り付けられ、そのモータ駆動により一定速度で回転駆動される。リール8a〜8cの外周面には、21個の図柄が回転方向に沿って形成されている。図柄表示窓8からは、各リール8a〜8cの図柄のうち、所定数、例えば3個ずつの図柄が視認可能となっている。本実施形態においては、リール表面に図柄を配し、リール回転によって図柄を変動する回胴表示部を用いているが、これに限らず、例えば無端ベルトの表面に図柄を配し、これを回転することにより図柄を変動する回胴表示部を使用することも可能であり、リール、ドラム、ベルト等の機械式回胴表示部の他に、擬似的に回胴及びその変動を画像表示するディスプレイを使用することも可能である。
【0040】
図柄表示窓8には、各リールの停止図柄が3駒分視認される図柄停止有効領域が設けられている。
図2は図柄表示窓8に設定された、各種当選役の入賞を確定するための4つの有効ラインL1〜L4を示す。有効ラインL1とL2は斜めラインであり、有効ラインL3及びL4は夫々、谷型、山型ラインであり、所謂、変則4ラインによって、入賞位置を特定する入賞位置特定形態が構成されている。リール8a〜8cの夫々の図柄停止位置はE11〜E13、E21〜E23、E31〜E33の合計9駒である。有効ラインL1はE11−E22−E33の停止位置の配置からなる。有効ラインL2はE13−E22−E31の停止位置の配置からなる。有効ラインL3はE11−E22−E31の停止位置の配置からなる。有効ラインL4はE13−E22−E33の停止位置の配置からなる。有効ラインの設定は入賞率の決定、押し順ARTの図柄停止制御等に関係するが、本発明においては、上記変則4ラインに限らず、図柄配列や出玉率の設計等に応じて各種有効ラインの組合せが可能であり、ライン数を3本以下又は5本にしてもよい。回胴遊技機Aは、1遊技に供するメダル数が3枚必要とされる所謂3枚専用の回胴遊技機である。メダルが3枚投入されることにより遊技可能を表す有効化表示器(図示せず)が図柄表示窓8周辺のパネル面に配設されている。
【0041】
図3は各リール8a〜8cに形成した図柄配列帯及び図柄種を示す。同図(3A)は各リール8a〜8cの図柄配列帯を示し、同図(3B)は図柄配列帯に配置される8種の図柄を示す。(3A)の左回胴、中回胴及び右回胴は夫々、リール8a〜8cの図柄配列帯に対応している。各図柄配列帯はリールに巻き付けられるリールテープからなり、テープ面には、内部抽選により当選した役(以下、「当選役」とも称する)に対応する図柄の組
合せを構成するための図柄が印刷形成されている。本実施形態の図柄には、(3B)に示すように、赤7(符号31)、青7(符号32)、チェリー(符号33)、スイカ(符号34)、ベル(符号35)、ブランク(符号36)、リプレイ1(RP1:符号37)及びリプレイ2(RP2:符号38)の計8種類の図柄が使用されている。これらの図柄は各リールの外周面に沿って計21駒配置され、図柄の並び順に沿って図柄番号0番〜20番の駒番号が割り当てられている。ブランク36はキャラクタや文字の表記がない図柄である。
【0042】
図柄表示窓8の下部には、BETランプ23、クレジット表示部24及び払出枚数表示部25からなるパネル表示部7が配設されている。BETランプはメダル投入(設定)枚数の1〜3枚に応じて点灯するランプからなり、1ゲームを行うために賭けられたメダル数(以下「BET数」という。)に応じて点灯する。クレジット表示部24及び払出枚数表示部25は7セグメントLEDによって構成されている。回胴遊技機Aは投入メダルの枚数を予め記憶して貯留するクレジット機能を有し、クレジット表示部24にはクレジットされている残メダル枚数が表示される。回胴遊技機Aにクレジットされる最大枚数は50枚であり、クレジット表示部24に表示されるクレジット枚数は50枚以下となる。なお、最大枚数の50枚がクレジットされている状態で、メダルを更に投入してもそのまま払い出される。払出枚数表示部25は入賞時に払い出されるメダル枚数を表示する。払出枚数表示部25はボーナスゲームの遊技情報を表示する表示機能も有し、ボーナスゲーム中にはボーナスゲームで獲得した総払出枚数が累積表示される。
【0043】
図柄表示窓8の更に下方には、遊技者が操作する操作部9が設けられている。操作部9には前方に緩やかに傾斜した傾斜部と、前扉1の前面側に設けた正面部からなる。操作部9の該傾斜部には、遊技媒体である遊技メダルを投入するためのメダル投入口10と、クレジットされた貯留枚数範囲内において、1ゲームに対して許容される賭け数の上限値(1ゲームに対して投入可能な遊技メダル数)まで遊技メダルを一度に投入(設定)するためのMAXベットボタン11、押した回数に応じて上記賭け数の上限値まで遊技メダルを加算的に設定するための1ベットボタン13、クレジット精算を行うための貯留メダル精算ボタン12が設けられている。MAXベットボタン11を押下した場合には、メダル貯留残数が十分ある場合は、賭け枚数が最大賭け枚数、つまり3枚に設定される。貯留残数が最大賭け枚数に満たない場合は、貯留残数全てが賭け枚数に加算される。
【0044】
図柄表示窓8の左右両側の前扉5側部には、遊技演出を電飾表示するための装飾ランプ部6が設けられている。装飾ランプ部6は、RGB発光可能なLEDからなり、その発光色の種類や発光態様による光演出効果を発揮する。
【0045】
操作部9の正面部には、リール8a〜8cの回転を開始させるための始動スイッチである回胴回転始動レバー15と、各リール8a〜8cに対応して設けられた回胴回転停止ボタン16a、16b、16cと、メダル投入口10から内部のメダル投入路に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン17が配設されている。前扉5の開放側端には前扉5の施錠状態を切り替えるための錠装置18が設けられている。
【0046】
前扉5の下部14には、回胴遊技機Aの機種名やモチーフ等に基づいた意匠デザインが形成された装飾パネル19が取り付けられており、パネル内側に設置された照明装置(図示せず)により点灯表示される。装飾パネル19の下側には、後述のメダルホッパ305により排出される賞メダル、あるいは返却操作により払い出されるメダルを排出するためのメダル払出口21と、メダル払出口21から排出されたメダルを貯留するためのメダル受皿20が設けられている。メダル払出口21の左右両側には下部スピーカ22a、22bが設けられている。メダル受皿20の横には灰皿26が配設されている。
【0047】
本実施形態においては、液晶表示装置3による演出表示、上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音、装飾ランプ部6の電飾効果を用いて、一般役や特別入賞役の当選、特典遊技(ART遊技)の付与等の演出、報知を視覚的且つ聴覚的に行う。演出効果手段としては、視覚、聴覚に限らず、触覚などの人間の五感を刺激することにより伝達する手段、例えば、遊技者の体に振動を伝える加振装置、骨伝導装置、送風装置等を使用することができる。ART遊技中においては、回胴の停止操作手順を報知するための報知手段として液晶表示装置3による演出表示(例えば、停止操作手順の指示表示)、上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音(例えば、停止操作手順に沿った左・中・右の指示音声)が使用される。
【0048】
本実施形態に係る回胴式遊技機Aの制御装置について説明する。
図4は回胴式遊技機Aの制御装置の概略構成を示す制御ブロック図である。
回胴式遊技機Aの制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御基板100と、主制御基板100から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出制御を統括的に司る演出制御基板200と、賞メダルの払出を制御する払出制御基板300と、AC24Vの外部電源から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板400とからなる。演出制御基板200は、演出I/F(インターフェイス)基板201を介して主制御基板100と接続されている。演出制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドの受信、演出内容の抽選や液晶制御基板203への液晶制御コマンドの送信、各スピーカの音制御、装飾ランプ部6等のLED発光制御等を行う。なお、
図4において電源供給ルートは省略してある。
液晶制御基板203は、演出制御基板200から受信した液晶制御コマンドに基づき、液晶表示装置3の表示制御を行うために必要な制御データを生成してVDP(Video
Display Processor)に出力する液晶制御用CPUと、液晶制御CPUの動作手順を記述したプログラムを内蔵する制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する制御RAMと、液晶制御用CPUに接続されて画像展開処理を行う映像表示プロセッサVDPと、VDPが画像展開する必要な画像データを格納した画像データROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAMとを含んで構成されている。
【0049】
図5は主制御基板100の構成を示す。
主制御基板100は、メインCPU102を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、メインROM103と、メインRAM104とを搭載したマイクロコンピュータ101(本実施形態ではZ80システム相当品を採用している)からなり、本発明の主制御部を構成する。マイクロコンピュータ101には、CTC(Counter Timer
Circuit)105やメインCPU102に割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路106が設けられている。マイクロコンピュータ101には、周辺基板との間の信号を入出力するI/Oポート回路107、108が接続され、I/Oポート回路107、108には夫々、外部周辺基板との信号のやり取りを仲介するI/F回路109、110が接続されている。I/F回路109はスイッチ入力回路111を介して遊技中継基板150と接続されている。I/F回路110は電源基板400、払出中継基板301及び外部中継端子基板401と接続されている。更に、マイクロコンピュータ101にはカウンタ回路114及びモータ駆動回路115が接続されている。
【0050】
メインROM103には、一連の遊技機制御手順が記述された制御プログラムの他、回胴の停止制御用の停止データを記述した停止テーブル(図示せず)、役を抽選するための役抽選テーブル(後述の
図16参照)、入賞による払い出し枚数を設定するための入賞払出テーブル(図示せず)等の遊技動作制御に必要な所定のデータが格納されている。メインRAM104には、当選役を決定するための役の抽選に利用される抽選用乱数値や当選役情報や遊技状態情報等の遊技の進行に必要なデータを格納するためのワークエリアが形
成されている。
【0051】
カウンタ回路114は、ハードウェア的に一定範囲(乱数域:0〜65535)の乱数を生成する乱数生成回路と、当該乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含む。モータ駆動回路115は、マイクロコンピュータ101(メインCPU102)の制御の下、回胴(リール)駆動モータのステップモータ(左回胴駆動モータ251、中回胴駆動モータ252、右回胴駆動モータ253)を制御するための駆動パルス信号を供給し、リール8a〜8cの回転制御および停止制御を行う。メインCPU102から出力される演出制御コマンド等の信号は出力バッファ回路113を含む演出制御基板用I/F回路112を介して演出I/F基板201の入力バッファ回路202に出力される。
【0052】
メインCPU102は、処理状態に応じて上記乱数発生回路により発生された乱数値を内部抽選用乱数値として取得し、内部抽選用乱数値は、主に、役に関する抽選処理に利用される。抽選処理は、主制御部を構成するマイクロコンピュータ101(メインCPU102)がリール8a〜8cの回転による単位回胴遊技(1ゲーム)の実行ごとに上記役抽選テーブルを参照して実行される。
【0053】
主制御基板100には、
図4に示すように、遊技中継基板150を介して、回胴回転始動レバー15の作動を検出する回胴回転始動スイッチ15aと、回胴回転停止ボタン16a〜16cの夫々の回胴回転停止スイッチ16e、16f、16gを搭載した停止スイッチ基板160と、メダル投入口10からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ10aと、MAXベットボタン11の作動を検出するMAXベットスイッチ11aと、1ベットボタン13の作動を検出する1ベットスイッチ13aと、貯留メダル精算ボタン12の作動を検出する貯留メダル精算スイッチ12aが接続され、主制御基板100は各種スイッチからの検出信号を受信可能となっている。メダル検出センサ10aはメダル投入口10から投入されたメダルが後述のメダルホッパ305のタンクに収容されるまでのメダル投入路に配置したメダル選別装置(図示せず)内に設置されている。
なお、回胴回転始動レバー15、回胴回転停止ボタン16a〜16c、MAXベットボタン11、1ベットボタン13、貯留メダル精算ボタン12には、操作部材内部にLED(図示せず)が設けられており、そのLEDの発光態様(たとえば、発光色)により、上記のレバー操作やボタン操作の有効又は無効が遊技者に報知可能となっている。
【0054】
主制御基板100には、回胴中継基板250を介してリール8a〜8cを回転駆動するためのステップモータ(251、252、253)が接続され、また、各リールに設けた回胴回転位置検出センサ254、255、256が接続されている。主制御基板100の制御の下、回胴回転の後に、これら回胴位置検出センサからの検出信号を受信することにより、抽選結果と停止操作タイミングに応じて所定の位置に停止制御することが可能となっている。
【0055】
図6は回胴遊技機Aの内部構成を示す。筐体1は天板1a、側板1b、1c及び底板1dにより形成された箱体からなり、内部には、リール8a〜8c、メダルホッパ305、電源装置400a等が収納されている。リール8の上方には、主制御基板100を収納したメイン基板ボックス100aが取り付けられている。メイン基板ボックス100aの周辺には、演出制御基板200等のサブ基板も配設されている。メダルホッパ305はホッパーモータ302により駆動され、タンクに収納した収容メダルをメダル放出口305bを通じてメダル払出口21に連通した放出通路(図示せず)に向けて放出する遊技媒体払出装置である。
【0056】
主制御基板100には、払出中継基板301及び払出制御基板300を介して、ホッパ
ーモータ302と、メダル払出センサ303及び満杯検知装置304が接続されている。払出制御基板300は、払出中継基板301を介して主制御基板100からの払出制御コマンドを受けてホッパーモータ302を駆動制御する。メダル払出センサ303は前記放出通路に設置され、メダルホッパ305から払い出される遊技メダルを検出し、検出信号を払出中継基板301を介して主制御基板100に与える。主制御基板100は、入賞による遊技メダルの払い出しが必要な場合、払い出し枚数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板300に送信可能となっている。払出制御基板300は払出制御コマンドを受信してホッパーモータ302を駆動制御し、指定枚数の遊技メダルの払い出し処理を行う。払い出された遊技メダルはメダル払出センサ303により検出され、その検出信号は主制御基板100に入力され、払出完了の判定に供される。
【0057】
メダルホッパ305の横には、メダルホッパ305のタンクの収容メダルがオーバーフローメダル放出口305aよりオーバーフローして溢れ出た遊技メダルを貯留する補助タンク306が配置されている。補助タンク306には、補助タンク306の満杯状態を監視する満杯検知装置304が設置されており、主制御基板100は満杯検知装置304からの検出信号を払出中継基板301を介して受信可能となっている。
【0058】
図7は演出制御基板200の概略構成を示す。
演出制御基板200は、サブCPU206を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、サブROM207と、サブRAM208とを搭載したマイクロコンピュータ205からなり、本発明の副制御部を構成する。マイクロコンピュータ205には、CTC209やサブCPU206に割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路210が設けられている。また、演出制御基板200には演出I/F基板201との間の信号を入出力するI/Oポート回路211及びカウンタ回路212が設けられている。
サブROM207には、一連の演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、ATモード中に用いる当選役押し順報知演出選択テーブル(図示せず)、ART遊技回数の上乗せ抽選テーブル、ART遊技の進行や遊技回数の変更を報知する第1演出テーブル及び第2演出テーブル(
図25参照)等の演出動作制御に必要となる所定のデータが格納されている。サブRAM208には、演出に関する抽選に利用される演出抽選用乱数値や演出制御部側の遊技状態(演出状態)情報等の演出を行うために必要なデータを格納するためのワークエリアが形成されている。また、サブRAM208にはATモードへの移行に伴ってセットされるART遊技フラグが記憶される。
【0059】
カウンタ回路212はカウンタ回路114と同様に乱数生成回路とサンプリング回路を含む。サブCPU206は、演出処理状態(例えば、演出制御コマンドを受信したタイミング)に応じて当該サンプリング回路に指示を送ることにより乱数発生回路が生成している数値を演出用乱数値として取得し、この演出用乱数値は主として演出の抽選に利用される。
演出制御基板200には、主制御基板100からの演出制御コマンドを受けて光と音についての演出処理を行う機能を有し、上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bを通じて音楽、音声を出力させるための音響発生装置213に対して音響制御信号を出力する。また、装飾ランプ部6を構成するLED群を搭載したLED基板204が前扉5の内側部に取着されており、演出制御基板200はLED基板204に対してLED駆動制御信号を出力する。
【0060】
演出制御基板200は演出制御コマンドに関連付けられた液晶制御コマンドを、液晶表示装置3に表示する画像再生が必要なタイミングで、液晶表示装置3の画像制御を行う液晶制御基板203に送信する。演出制御基板200は、主制御基板100から送られてく
る演出制御コマンドに基づき、予め用意された複数種類の演出内容の中から抽選によりあるいは一意に決定し、この決定内容を実行指示する制御信号を必要なタイミングで、液晶
制御基板203、音響発生装置213やLED基板204に送信して、各種演出内容に対応して、液晶表示装置3の演出画像と共に、効果音の再生と、装飾ランプ部6のLED点灯点滅駆動とが実現される。従って、サブCPU206を主構成とする副制御部の制御の下、回胴遊技機Aの回胴遊技に設定されるモチーフ等に基づく演出シナリオに従い、時系列的に種々の演出内容を展開させて回胴遊技の興趣を盛り上げることができる。
【0061】
演出制御基板200のサブROM207には、サブCPU206によるサブ制御の下で実行される、ART付与抽選によりART遊技を付与するか否かを決定するART付与決定処理プログラム、ART遊技状態等においてAT役又は6択リプレイの当選役の押し順報知を行う押し順報知制御プログラム、ART遊技状態の遊技回数の上乗せ率の異なる上乗せ抽選テーブルの抽選処理プログラム、遊技回数の上乗せを上乗せ抽選テーブルに基づいて上乗せ抽選して決定する上乗せ決定プログラム、上乗せ回数の上乗せ実行態様(上乗せ変更パターン)を決定する上乗せ実行態様決定プログラム及び前記上乗せが決定されたときにART遊技状態の遊技期間を前記上乗せ変更パターンに従ってその上乗せ分の遊技回数を上乗せして変更するART遊技期間変更処理プログラムが格納されている。
サブRAM208には、上乗せ決定プログラムに基づき、ART遊技期間中に、遊技回数の上乗せが上乗せ抽選して決定されたとき、その決定に係る上乗せ遊技回数を決定ごとに記憶する上乗せ回数記憶手段としての上乗せ回数記憶用メモリエリアが設けられている。
図27はサブRAM208の上乗せ回数記憶用メモリエリアMA1、MA2、・・・、MAn−1、MAnを示す。
【0062】
主制御基板100には、
図4に示すように、外部集中端子基板401を介してホールコンピュータHC(パチンコホールの遊技機を統括的に管理するコンピュータ)が接続され、主制御基板100から所定の遊技情報がホールコンピュータHCに外部出力可能となっている。また、主制御基板100には回胴設定基板402が接続され、回胴設定基板402からの検出信号を受信可能となっている。回胴設定基板402には、出玉率を6段階のいずれかに設定する「6段階設定」を変更する設定スイッチ(図示せず)や、遊技動作エラーを解除するリセットスイッチ(図示せず)等が設けられ、回胴設定基板402における各スイッチの操作検出信号は主制御基板100に与えられる。
【0063】
主制御基板100における主制御側メイン処理の処理手順を図面を参照して説明する。この処理手順には1回の遊技に必要な一連の流れが含まれている。
図8は主制御側メイン処理のフローチャートを示す。このメイン処理はメインCPU102の制御下により実行されるものであり、処理実行の主体を主制御基板(主制御部)100として説明する。
【0064】
回胴遊技機Aに電源投入が行われると、電源基板400から電源投入信号が送られ、主制御基板100はこの電源投入信号を受けて主制御側メイン処理を開始する。電源投入時にステップS1の初期設定処理(ステップS1)が行われた後、正常動作時の処理(ステップS2〜S17)が行われる。まず、RAM初期化処理(ステップS2)が行われ、RAM初期化処理では、前回のゲーム終了時において使用した所定のデータをクリアし、今回のゲームに必要なワークエリアを確保する。
【0065】
次に、遊技状態フラグ生成処理が行われる(ステップS3)。遊技状態フラグ生成処理では、今回のゲームの遊技状態の種別(通常遊技、RT1遊技、RT2遊技、ボーナス持越遊技、ボーナス遊技等)を確認して、これに対応する遊技状態フラグ(通常遊技フラグ、RTフラグ、ボーナス間フラグ、ボーナス作動フラグ等)を設定する。これにより今回のゲームの遊技状態が確定され、その遊技状態に応じた処理が行われる。ART遊技の間は、リプレイの当選確率が高くなるRT2遊技状態になる。本実施形態では、サブ制御によりART付与決定処理が行われサブ側にてART遊技フラグがセットされるが、メイン
側単独ないし、メイン側と協働してART付与決定処理を行ってメイン側にてART遊技フラグをセットしてART遊技を管理するようにしてもよい。
【0066】
遊技メダル投入処理(ステップS4)が行われ、遊技メダル投入処理では、主に、遊技機本体に投入された遊技メダルの検出、クレジットの管理、再遊技の要求があった場合の遊技メダルの自動投入設定処理等を行うと共に、遊技開始に要する規定枚数の遊技メダルが投入された否かを監視する。該規定枚数の遊技メダルの投入又はクレジット設定が確認された場合には遊技開始条件を成立させ、この条件成立状態を保持したまま、遊技者の回胴回転始動レバー15の押下操作、つまり回胴回転始動スイッチ15aからの操作検出信号が送られてくるのを待機する。回胴回転始動スイッチ15aからの操作検出信号の受信により、主制御基板100は、カウンタ回路114のカウンタ値に基づき内部抽選用乱数値を取得する(ステップS5)。
【0067】
上記取得した内部抽選用乱数値に基づく内部抽選処理を行う(ステップS6)。内部抽選処理では、取得した内部抽選用乱数値と現在の遊技状態に対応する役抽選テーブルとに基づく内部抽選が行われ、抽選結果に対応した当選役情報(当選フラグ)がメインRAM104に設定、記憶される。
図16は一般入賞役、ボーナス役(ビッグボーナスゲームBBとレギュラーボーナスゲームRB)、小役の入賞図柄組み合わせと、その抽選確率テーブルを示す。内部抽選は
図16に示す役抽選テーブルに基づき実行される。役抽選テーブルは6段階の各段階に応じて出玉率が異なるように抽選確率が設定されてなり、
図16はそのうちの一例を示す。
図16には、乱数域(0〜65535)に対する各入賞役の振り分け抽選値の幅域により計算された抽選確率を示す。チェリー等の小役とボーナス役が同時に抽選可能なように当選乱数域幅が設定されている。本実施形態においては、RTとして2種類、RT1とRT2が生ずるが、実質的にリプレイ確率が向上するのはRT2のみであり、RT1中では通常遊技状態のリプレイ確率が1/100程度向上するだけである。RT1遊技状態は、ART遊技状態(RT2遊技状態)に移行させる6択のリプレイ遊技を実施するために設けられている。RT2遊技中の遊技状態においては、リプレイの抽選確率を通常遊技時の1/7.3より高確率の1/1.5に設定したRT中抽選テーブルが使用される。
【0068】
本実施形態においては、特別遊技として、ビッグボーナスゲームBBとレギュラーボーナスゲームRBの2種類が付与可能になっている。ビッグボーナスゲームBBには、別々の当選フラグにより成立する2種類の特別図柄の組合態様(青7−青7−青7又は赤7−赤7−赤7)があり、これらを合成した抽選確率は1/360である。別々のビッグボーナス当選フラグが設定された内部当選状態において、いずれかの特別図柄組み合わせを4本の有効入賞ラインのいずれかに停止させると、ビッグボーナス遊技に移行させることができる。レギュラーボーナス役の場合は赤7−赤7−青7の1種類だけである。ボーナス役は所謂、0枚役であり、その入賞時には賞メダルの払出は行われない。ベル、スイカ、チェリーの各入賞時には、9枚、6枚、1枚の賞メダルが払い出される。チェリー入賞は左回胴の有効入賞位置に停止するだけで成立する。
【0069】
ベル役は、リール8a〜8cの停止順序の組み合わせ(左回胴→中回胴→右回胴、左回胴→右回胴→中回胴、中回胴→左回胴→右回胴、中回胴→右回胴→左回胴、右回胴→中回胴→左回胴、右回胴→左回胴→中回胴)が異なる6種類の一般小役である。通常遊技状態のとき、ベル役の合成抽選確率は1/5であるが、ボーナスゲーム中は、停止順序に関係なく入賞可能な、所謂JAC役となって、1/1.1の高確率で当選する。JAC役としてのベル役が入賞すると、13枚の賞メダルが払い出される。押し順により区別された6種類のベル役は、ART遊技において、副制御部による押し順報知に従って各回胴が停止されることにより入賞可能になるAT役(押順ベル役)となる。通常遊技状態では、6択の各ベル役は1/30の抽選確率(全ベル役の合成抽選確率1/5)に基づき抽選されて
、いずれかのベル役が入賞可能になるが、通常遊技状態においては、押し順が報知されないため、一般的に、左回胴から中・右回胴の順に停止させる、所謂順押しの停止操作が行うと、押し順が不正解となって入賞が生じない場合が多くなる。ART遊技状態では、押し順がナビ報知されることによりAT役の入賞確率は6倍に向上する。
【0070】
リプレイはリプレイ図柄RP1とRP2の組み合わせ(RP1又は2−RP2−RP1又は2)からなり、ベル役と同様にリール8a〜8cの停止順序の組み合わせが異なる6種類のリプレイである。これらの停止順序の組み合わせが異なるリプレイは、RT1時にRT2移行のための押し順による選択遊技に供される。以上の役の他に、特殊小役としてチャンス役a、bが設けられている。チャンス役aは、「ブランク」−ベル−チェリーの組み合わせからなり、ART付与抽選に供される。チャンス役bは、ボーナスゲーム中に抽選され、青7−青7−青7又は赤7−赤7−赤7の組み合わせからなり、ART付与抽選に供される。
【0071】
ART遊技状態においては、副制御部によるATナビ制御モードによりAT小役(6種類のベル役)の押し順報知が実施されて、当選したAT小役を確実に停止させることで、リプレイ発生の頻度が増えてメダル消費が少なく、且つAT小役等の小役獲得によりART遊技中に保有メダルを漸増させることが可能になる。即ち、押し順報知ARTにおいては、ベル役の当選時に、ベル役を有効ラインに揃えるための左回胴・中回胴・右回胴の停止順序が決定され、その決定順序に従って停止させない限り、有効ラインに停止しないように回胴停止制御が行われる。6択のリプレイ当選時にも、同様の押し順が決定されて、決定順序以外の停止操作ではリプレイが生じないように停止制御が実行される。
【0072】
ボーナス役の内部当選状態においては、ボーナス当選フラグを次回以降のゲームに持ち越し可能な持越役として設定されている。このため、ボーナス役の当選時においては、ボーナス役が入賞するまでの遊技期間、その当選フラグの成立状態が維持される。一方、ボーナス役以外の役は、その当選フラグを次回のゲームに持ち越すことができない持越不可能役として設定されている。ボーナス持越遊技中においても、通常通りに各役の抽選が行われるが、このとき当選した小役に対応する図柄の組合せを入賞させるか否かは、所定の引き込み優先順位に基づいて決定される。本実施形態では、「リプレイ>小役>ボーナス役」の順位で優先的に引き込む停止制御が行われる。
【0073】
内部抽選処理においては、演出制御コマンドとして「遊技開始コマンド(遊技状態に関する情報や当選情報(抽選結果情報)を含む)」がセットされる。この遊技開始コマンドに含まれる「遊技状態に関する情報」には、「通常遊技中」、「RT遊技中」、「ボーナス遊技中」、「ボーナス持越遊技中」等の遊技状態に関する情報が含まれる。
【0074】
次に、回胴回転始動時の設定処理(回胴回転開始設定処理)が行われる(ステップS7)。回胴回転開始設定処理においては、各リール8a〜8cの回転開始時に必要となるデータとして、例えば、遊技開始ウェイトタイマ(4.1秒)がセットされたり、回胴の回転状態を示す回胴状態フラグが「全回胴回転中」にセットされたりする。ついで、リール回転始動が行われると、演出制御コマンドとして回胴始動を示す「回胴起動コマンド」をセットして、各リール8a〜8cが回転状態に移行する。
【0075】
リール回転の後に、回胴回転停止ボタン16a〜16cの停止操作による回胴回転停止スイッチ16e、16f、16gの検出信号が出力された場合には、停止対象となった回胴を停止制御するための回胴停止処理を行う(ステップS8)。回胴停止処理では、上記当選情報と回胴の停止操作手順(停止操作タイミング)とに基づき、後述の停止制御テーブルから滑りコマ数を算出し、これに基づく回胴の停止制御を行う。この停止制御処理は、各リールについて停止操作を行った位置である停止操作位置と抽選処理の抽選結果に基
づいて、ROM103内に記憶されたリール停止テーブルを参照して、該当リール停止位置でリールの回転を停止させることにより行われる。リール停止位置は、停止操作タイミングの位置からみて、図柄の駒数で所定の駒数以内(遊技規則に定められた4駒)で引き込んで停止するように決定される。停止操作タイミングの位置から4駒以内に抽選結果に対応する図柄が有る場合には、当選役図柄が有効ライン上に揃うように停止制御される。殊に、再遊技の停止制御処理においては、通常遊技状態やボーナスフラグ持越状態においても再遊技が当選している場合、再遊技が必ず有効ライン上に整列するように優先的引き込み制御が行われる。本実施形態では、前記停止順報知遊技(押し順ナビAT遊技)とRT遊技を併用した押し順ナビART遊技が特典遊技として付与され、押し順ナビART遊技中における回胴停止処理において、当選情報と回胴の停止順序を参照して停止制御が実行される。特典遊技として、AT図柄の種別を報知するART遊技を付与するようにしてもよい。演出制御コマンドとして、回胴の停止操作時には「停止情報受付コマンド」が、回胴が停止した際には「停止結果情報コマンド」がセットされる。「停止情報受付コマンド」には回胴の停止操作に関する情報が含まれ、「停止結果情報コマンド」には回胴の停止位置に関する情報が含まれる。
【0076】
全リールの回転停止が確認されると、入賞判定処理が行われる(ステップS9)。入賞判定処理では、当選役に対応する図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止したか否か、つまり入賞が発生したか否かを確認し、入賞が確認された場合には停止した図柄の組合せに基づき、払い出すべき遊技メダル枚数の設定処理を行う。このときの入賞に係わる情報を持つ演出制御コマンドとして「入賞情報コマンド」がセットされる。入賞情報コマンドには、入賞役情報(全リール停止時の停止図柄情報)、入賞ライン情報等が含まれる。入賞が発生した場合にはメダル払出処理を行う(ステップS10)。メダル払出処理では、入賞判定処理で設定された払い出し情報に基づき、メダルホッパー305を駆動制御して払出枚数分の遊技メダルの払い出し処理やクレジットの加算処理を行う。
【0077】
更に、RT1及びRT2におけるRT遊技管理処理が行われる(ステップS11)。RT遊技管理処理では、RT遊技中のときにはRT遊技終了条件が成立したか否かを判定し、当該終了条件が成立した場合にはRT遊技を終了させるための設定処理を行い、当該終了条件が成立していない場合にはRT遊技の継続を維持する。RT2遊技状態では、副制御部によるATナビ制御モードとなるので、RT2遊技終了条件は実質的にART遊技終了条件に対応するので、後述のように、例えばART遊技1セット分が設定されているときは25ゲーム終了でRT遊技状態も解除され通常遊技状態に戻る。
【0078】
続いて、リプレイが有効入賞ライン上に停止したか否かを判定し(ステップS12)、リプレイが停止した場合には、再遊技を付与するための設定処理を行った後(ステップS12、S15)、RAM初期化処理(ステップS2)に戻る。リプレイが停止していない場合には、ボーナス遊技中か否かを判定する(ステップS12、S13)。
【0079】
ボーナス遊技中である場合にはボーナス遊技作動中処理を行う(ステップS13、S16)。ボーナス遊技作動中処理では、ボーナス遊技の継続およびその終了に要求される設定処理を行う。ボーナス遊技が終了した場合にはRAM初期化処理(ステップS2)に戻る。なお、上記ボーナス遊技作動中処理については
図10により後述する。
【0080】
ボーナス遊技中でない場合にはボーナス役(特別入賞役)の図柄組み合わせが有効入賞ライン上に停止したか否かを判定する(ステップS13、S14)。ボーナス役図柄が停止していない場合にはRAM初期化処理に移行する(ステップS14、S2)。一方、ボーナス役が停止した場合にはボーナス遊技作動開始処理を行う(ステップS14、S17)。ボーナス遊技開始処理では、ボーナス遊技を開始に要求される設定をしたり、演出制御コマンドとしてボーナス遊技の開始の示す「ボーナス開始コマンド」をセットしたりす
る。ボーナス遊技作動開始処理を終えると、ステップS2のRAM初期化処理に移行する。
【0081】
図9はCTC105の計時に基づく一定時間ごとの割り込みにより起動される主制御側のタイマ割込処理を示すフローチャートである。
図9を参照して、上記主制御側メイン処理において1.5ms程度ごとに実行されるタイマ割込処理について説明する。
【0082】
主制御基板100は、タイマ割り込みが発生した場合、レジスタを所定のスタック領域に退避させる退避処理を行ってから(ステップS20)、ポート入力処理を行う(ステップS21)。ポート入力処理では遊技機に設けられたスイッチ類やセンサ類からの検出情報を管理する。ついで、回胴回転制御処理を行う(ステップS22)。回胴回転制御処理では、回胴状態フラグを確認した際の回胴始動時や停止指令フラグを確認した際の回胴停止時において、回胴駆動モータに出力するパルス信号を管理制御したり、現在の回胴の回転位置やその速度を監視したりする。更に、定期更新処理が行われる(ステップS23)。定期更新処理では、遊技動作に用いられるタイマを更新したり、ウォッチドッグタイマを定期的にクリアしたりする。例えば、遊技動作制御に異常が発生してプログラムが暴走状態となったときには、定期更新処理が実行されず、ウォッチドッグタイマがタイムアップすると、メインCPU102が自動的にリセットされて上記暴走状態から正常状態に復帰する。
【0083】
次に、コマンド出力処理が行われて(ステップS24)、遊技の進行に伴う処理状態に応じてセットされる演出制御コマンドが演出制御基板200に送信される。主制御基板100は、割り込み毎に演出制御コマンドを1バイト分出力する。1つの演出制御コマンドは2バイト長であるので、連続する2回のタイマ割り込みで1つの演出制御コマンドが送信される。
【0084】
ついで、メダル情報出力処理が行われて(ステップS25)、遊技メダル投入や遊技メダル払出しの際のメダル払出信号が出力される。このときの信号は外部集中端子基板401を介してホールコンピュータHCに送信される。更に、表示出力処理(ステップS26)及び異常監視処理(ステップS27)が行われる。表示出力処理では、遊技機に設けられたLEDや7セグメント等の発光制御等を行う制御信号を出力する。異常監視処理では、上記入力処理の情報に基づいて遊技動作状態を監視し、遊技機の異常(遊技動作エラー)を監視する。上記のステップS20〜ステップS27の処理を終えた後、レジスタの内容を復帰させて(ステップS28)、タイマ割込処理を終了する。
【0085】
ボーナス遊技作動中処理(ステップS16)の処理内容を説明する。
図10はボーナス遊技作動中処理の処理内容を示す。
主制御基板100は、ボーナス遊技中の払い出し枚数(ボーナス遊技中獲得枚数)と予め規定された最大獲得枚数を比較する(ステップS181)。ボーナス遊技終了の規定枚数は、ビッグボーナス遊技で298枚、レギュラーボーナス遊技で104枚である。ボーナス遊技中獲得枚数が最大獲得枚数に達するまで、ボーナス遊技継続設定処理を行ってステップS181の処理を繰り返す(ステップS182、S183)。ボーナス遊技中獲得枚数が最大獲得枚数に達するかあるいは超えた場合には、ボーナス終了演出待機処理に移行する(ステップS182、S184)。ボーナス遊技終了時の演出待機時間(エンディング時間)をセットし、その演出待機時間がタイムアップするまで待機する。演出待機時間が終了したとき、ボーナス遊技終了時の各種設定を行う(ステップS185)。このとき、主に遊技状態移行準備処理(ART遊技獲得時には、遊技状態をボーナス遊技からART遊技フラグをセット)や演出制御コマンドとしてボーナス遊技が終了した旨を示す「ボーナス終了コマンド」をセットする。これらの設定処理を行った後、ボーナス遊技終了時のRAMクリア領域をクリアしてボーナス遊技作動中処理を終了する(ステップS18
6)。
【0086】
図17はボーナス遊技中に行われるART付与抽選に使用される、設定1のときのART付与回数の振り分け抽選テーブルである。同図(17A)及び(17B)は夫々、BB又はRB時に使用する振り分け抽選テーブルである。同図における「チャンス」はチャンス役a又はbに対応する。この付与抽選は副制御部において行われ、振り分け抽選テーブルはサブROM207に格納されている。ART付与抽選はベル役又はチャンス役に当選したとき、あるいはハズレになったときに実行される。例えば、チャンス役に当選した場合には65064/655536の割合で25回分の遊技回数分(1セット)のART遊技が付与される。なお、本実施形態においては、ボーナス遊技中に行われるART付与及びそのセット数は最初にいずれかに当選したもので決まり、その後に当選しても合算されないが、ボーナス中の付与当選をすべて有効にしてセット数を合算するようにしてもよい。また、本発明においては、セット単位でのART遊技の付与に限らず、ART遊技回数の総数による振り分けで付与するようにしてもよい。ボーナス遊技終了後は通常遊技状態に戻るが、ART遊技の付与が決定されているときには、後述するように、AT準備モードM1に移行し、更にRT1状態に移ってリプレイの押し順が報知されて直ちにRT2状態(ART遊技状態)に移行可能になっている。
【0087】
上記構成の回胴遊技機Aにおける遊技時の動作概要を説明する。まず、遊技者は遊技する際にメダル投入口10から所定枚数のメダルを投入あるいはクレジット分からのBET設定した後、回胴回転開始始動レバー15を操作する。この始動操作が遊技機内部で行う抽選の契機となる。この始動操作により各リール8a〜8cが回転して、一定の速度に達した後、回胴回転停止ボタン16a〜16cの操作が有効となる。各停止操作のタイミングに基づき、遊技機内部の抽選結果に応じた位置に各リールは停止制御される。リプレイを除く、いずれかの入賞役に当選しているときには、タイミングよく、有効ライン上に当選役の図柄組み合わせが成立したとき、所定枚数のメダルの払出が行われる。
【0088】
図11は回胴遊技機Aにおいて生ずる遊技状態の遷移関係を示す。同図において、メイン処理による遊技状態を太線で示し、太線枠内にはサブ処理を示す。
まず、主制御部によるメイン処理における遊技状態間の関係を説明する。RT状態、ART状態あるいはボーナスゲーム状態でもない通常遊技状態からRT1移行条件が成立すると第1のRT遊技状態RT1に移行する。第1のRT遊技状態RT1において、RT2移行条件が成立すると、第2のRT遊技状態RT2に移行する。第2のRT遊技状態RT2は副制御部によるAT役の停止ボタンの押し順報知が行われるART遊技状態に対応する。第2のRT遊技状態RT2(ART遊技状態)の終了条件が成立すると、通常遊技状態に戻る。通常遊技状態、第1のRT遊技状態RT1あるいは第2のRT遊技状態RT2においてBB又はRBのボーナスゲームが発生すると、ボーナスゲーム遊技状態の終了後、通常遊技状態に戻る。本実施形態では、通常遊技状態からART(RT2)遊技状態に直接的に移行させずに、通常遊技状態とRT2遊技状態の間でRT1遊技状態を経由させるモード移行システムを搭載しているが、本発明はRT1遊技状態を付加せずに通常遊技状態からART遊技状態に移行可能にした回胴式遊技機にも適用することができる。
【0089】
次に、各遊技状態における副制御部によるサブ処理の概要を説明する。
図12は副制御部による通常遊技状態時のモード移行処理を示す。
通常遊技状態では、AT役又はリプレイ役が当選しても押し順報知を行わない非ATモードN1に設定される。
図12の(12A)は非ATモードN1におけるモード移行処理を示す。
非ATモードN1において、遊技の実行が行われる度に(ステップS50)、特定役に当選することを条件にAT移行抽選が行われる(ステップS51、S52)。特定役は、チェリー、スイカ、ボーナス役、チャンス役のいずれかである。このAT移行抽選確率は
1/50である。AT移行抽選に当選すると、AT準備モードM1に移行する(ステップS53、S54)。
【0090】
図12の(12B)はAT準備モードM1におけるモード移行処理を示す。
AT準備モードM1に移行した後、遊技の実行が行われ(ステップS60)、AT役(押し順ベル役)に当選したにも拘わらずAT役の非入賞が生じた場合に、つまりAT役を取りこぼすことを条件に、更にAT準備モードM2に移行する(ステップS61、S62)。
【0091】
通常遊技状態におけるAT役の取りこぼしはメイン処理におけるRT1移行条件にも対応しており、RT1遊技状態でAT準備モードM2が設定される。即ち、通常遊技状態においてベル役が当選しても、それに応じて決定された押し順が遊技者に報知されないので、通常は、はずれ結果になるため、通常遊技状態が長期に継続することなく、RT1遊技状態に移行される。既述のように、RT1遊技状態では実質的にリプレイ確率が極めて僅かだけ向上するだけで、実質的には通常遊技状態と変わりはなく、RT2への移行可否を決定する、リプレイの押し順当ての遊技実行可能モードとなる。
【0092】
図13の(13B)はAT準備モードM2におけるモード移行処理を示す。
AT準備モードM2においては、遊技抽選の結果、6種類の押し順別のリプレイのいずれかに当選したとき、その押し順が遊技者に報知される(ステップS80)。遊技者の正解押し順でリプレイが生ずると、ATモードに移行する(ステップS81、S82)。ATモードへの移行条件(ART遊技移行への遊技条件)としては、上記の押し順リプレイの成立に限らず、特定の小役等の当選有無ないし入賞を契機にしたり、あるいは併用してもよい。
【0093】
RT1中に6択のリプレイ押し順に正解することは、メイン処理によるRT2移行条件にも対応しており、副制御部におけるATモード移行と共に、RT2遊技状態への移行によりART移行条件が成立する。ART移行条件が成立したとき、後述のAT設定処理(
図18参照)が行われる。
【0094】
図14はATモードにおけるモード移行処理を示す。
ATモード、つまりART遊技状態において遊技が実行され(ステップS110)、ART遊技回数が予め設定された回数に達してAT処理を終了したとき(ステップS113)、RT2遊技状態における非ATモードN3に移行する(ステップS114)。AT処理によりAT役の正解押し順が報知されたにも拘らず、ATモード中にAT役の取りこぼし、つまりATパンクが発生したときは、RT1遊技状態における非ATモードN2に移行する(ステップS111、S112)。ATパンクの発生条件として、特定の小役ないしリプレイによるパンク役を設け、例えばパンク役に当選又は入賞(成立)したことを条件に終了させたり、ボーナス役の当選により終了させたりしてもよい。
メイン処理においては、ATモード中にAT役の取りこぼし(ATパンク;当選ベル役の非入賞)が発生することを条件に、RT2を解除し、RT1へ移行し、ART遊技状態が解除される。
【0095】
図15は非ATモードN3におけるモード移行処理を示す。
非ATモードN3において、遊技が実行され(ステップS100)、遊技抽選の結果、6種類の押し順別のリプレイのいずれかに当選しても、その押し順は遊技者に報知されない。いずれかのリプレイ当選で押し順が正解したとき、AT設定処理が行われてATモードに移行する(ステップS101〜S103)。非ATモードN3中にAT役が当選してもその押し順は遊技者に報知されない。従って、非ATモードN3にあっては、AT役の取りこぼしが発生しやすくなり、AT役の取りこぼしにより、RT1遊技状態における非
ATモードN2に移行する(ステップS104、S105)。メイン処理においては、RT2を解除し、RT1へ移行する。
【0096】
図13の(13A)は非ATモードN2におけるモード移行処理を示す。
非ATモードN2において、遊技の実行が行われる度に(ステップS70)、特定役に当選することを条件にAT移行抽選が行われる(ステップS71、S72)。特定役は、非ATモードN1の場合と同様に、チェリー、スイカ、ボーナス役、チャンス役のいずれかである。この場合のAT移行抽選確率は1/100である。AT移行抽選に当選すると、AT準備モードM2に移行してART遊技状態に移行可能になる(ステップS73、S74)。
【0097】
なお、
図11に示すように、通常遊技状態、RT1遊技状態及びART遊技状態のときにボーナスゲームが発生すると、ボーナス遊技状態に移行し、ボーナスゲームの終了により通常遊技状態に戻る。本実施形態においては、ボーナス遊技中に行われるART付与抽選(
図17参照)が行われるが、ボーナス中にART付与に当選した場合には、サブ処理としてはAT準備モードM1に設定される。従って、AT準備モードM1から更にRT1状態に移ってリプレイの押し順が報知されてART遊技状態に速やかに移行可能になっている。
【0098】
図18は副制御部のAT設定処理(ステップS102)を示す。
ART移行条件が成立したとき、即ち、リプレイ当選時に正解手順で回胴停止操作が行われたとき、ART遊技の付与回数(セット数)の抽選が行われる(ステップS120)。
図17の(17C)は付与回数の振分け抽選テーブルを示す。サブROM207には設定段階に応じて該振分け率が異なる付与回数の抽選テーブルが記憶されており、
図17の(17C)は設定1の場合に対応する。ART移行条件が成立したとき、本実施形態においては特典遊技としてART遊技が25ゲームを1単位(セット)として付与され、25ゲームを1〜10回のいずれかを付与回数(セット数)として付与することが抽選により決定される。例えば、(17C)の抽選テーブルにおいて、合計75回分の3回セットは128/65536の割合で振り分けられる。各設定の付与回数の抽選テーブルのうち設定6の場合には、セット数が2以上になる振分け率が最大になるように設定されている。付与回数の抽選により決定された付与回数はセット数単位で、サブRAM208に設けたART遊技セット数カウンタに記憶、セットされる(ステップS120、S121)。なお、AT設定処理をART移行条件が成立する前の段階、例えば、AT移行抽選の当選時(ステップS53又はS73)に行うようにしてもよい。
【0099】
本実施形態において、ART遊技における遊技回数の上乗せパターンの多様化を図るために、付与回数の抽選と共に、ART遊技回数の上乗せ率の振り分け抽選処理、及び上乗せ変更パターンの決定処理が行われる。上乗せ率の振り分け抽選処理は、上乗せ率の異なる、複数種の上乗せ遊技回数とその振り分け確率による上乗せ抽選テーブルに基づき実行される。本実施形態では、各設定毎に、振分け率の異なる2種類の上乗せ抽選テーブルが予めサブROM207に格納されている。
【0100】
図19は設定1の場合における一組の上乗せ抽選テーブルの一例を示す。
図19の(19B)及び(19C)の上乗せ抽選テーブルは、夫々、ART上乗せ回数とその振り分け確率からなり、互いに振分け率が同じで、上乗せ回数の設定値(上乗せ回数の割付値及び上限値)が異なる。(19C)の上乗せ抽選テーブル(スペシャルモード)は(19B)の上乗せ抽選テーブル(ノーマルモード)と比較して、1回の最大上乗せ回数が300回((19B)の場合、最大200回)まで選択可能で、全体として、遊技者により有利なART遊技回数が付与可能になっている。例えば、ノーマルモードのときに、リプレイ当選
で成立したときには65096/65536の振分け率で10回の上乗せ回数が決定され、また、チェリー当選時には256/65536の振分け率で20回の上乗せ回数が決定される。スペシャルモード又はノーマルモードの上乗せ抽選テーブルは同図(19A)の振分け率により抽選、選択される(ステップS122)。ART遊技移行時に決定された、スペシャルモード又はノーマルモードの上乗せ抽選テーブルの種別はサブRAM208に記憶、設定される(ステップS123)。次に、ART遊技回数の上乗せ変更パターンの選択抽選処理(ステップS124)が実行される。選択抽選処理では、複数のART遊技回数が記憶、ストックされたときに、それらのART遊技回数の記憶データを昇順又は降順のいずれかに並べ替えるかを抽選して、決定される。以下、選択抽選処理(ステップS124)において昇順が選択された場合により説明する。上記AT設定処理(ステップS102)により付与回数、ART遊技回数の上乗せ率の振り分け及び上乗せ変更パターンが決定されてATモードに移行する(ステップS103)。
本実施形態においては、複数セットのART遊技が付与されているとき、各セット毎のART遊技の遊技期間において、遊技回数の上乗せ抽選を行って決定する。従って、上乗せを決定したとき、そのセット分のART遊技における遊技回数が変更されるので、ART遊技の付与段階で、より多くのセット数の取得への期待感と、各セットでのART遊技回数の上乗せ変更への期待感とが相乗効果となって、より一層の回胴遊技の興趣を向上させることができる。
【0101】
特に、本実施形態においては、付与段階での実行可能回数の初期設定と、上乗せ決定によるART遊技実行可能回数の変更に加え、
図19の(19B)及び(19C)の上乗せ抽選テーブルのいずれかを(19A)の振分け率により選択抽選して上乗せ率の選択設定を行うので、ART遊技の遊技実行可能回数を3段階に可変設定してバリエーションに富んだART遊技の付与態様を出現させることができる。
【0102】
図19の(19B)及び(19C)の上乗せ抽選テーブルの場合、上乗せ期待値の差異により上乗せ率の相違を設けている。つまり、上乗せ回数の割付値Gi(i=1〜10)と振分け確率値Fj(j=1〜10)による上乗せ期待値Gi・Fjの総和の違いから両上乗せ抽選テーブルの上乗せ率が異なっている。(19B)の上乗せ抽選テーブルの割付値Giは0、10、20、30、・・・、120、150、200であり、(19C)の上乗せ抽選テーブルの割付値Giは0、15、30、45、・・・、180、225、300であり、夫々の振分け確率値Fjは共通であるから、後者の方が上乗せ期待値が高くなっている。
異なる上乗せ率の設定は、上記の上乗せ期待値の差異によるものの他に、上乗せ回数の割付値が共通で、振分け確率値の相違する上乗せ抽選テーブル、割付値及び振分け確率値が相違する上乗せ抽選テーブルを使用して行うことができ、更に、単一種の上乗せ回数を使用し、振分け確率値を相違させて異なる上乗せ率の設定を行なってもよい。
【0103】
図29は別の上乗せ抽選テーブルを示す。この上乗せ抽選テーブルでは、上乗せ回数の割付値(0、10、20、30、50、80、100、120、150、200)が共通で振分け確率値を異ならせて上乗せ期待値に差異を設けた、(29A)及び(29B)の上乗せ抽選テーブルからなる。(29B)の上乗せ抽選テーブルでは、ART遊技回数の割付値(20、30、50、80、100)の当選する割合が(29A)の場合より多くなっている。従って、(29A)又は(29B)の上乗せ抽選テーブルのいずれかを選択抽選により使用することにより、その上乗せ率の相違を反映させて、
図19の場合と同様に、上乗せ回数の付与態様を異ならせてART遊技の多様化に寄与する。なお、上乗せ率は、上記の上乗せ期待値による差異化に限らず、上乗せパターンの差異化を意図して、例えば、上乗せ期待値は同じか略同じに維持し、上乗せ回数の割付値又は上限値の振分け割合を異ならせた複数の上乗せ抽選テーブルを使用することができる。
【0104】
図20は副制御部のART遊技状態時の制御処理を示す。
ART遊技に移行すると(ステップS130)、ART遊技のセット回数を記憶するART遊技セット数カウンタの値NSが1減算される(ステップS131)。更に、サブRAM208に設けたART遊技回数カウンタに初期値(25)が記憶、セットされる(ステップS132)。
【0105】
ついで、メダル投入又はクレジット設定の投入、リール回転始動操作により1回の回胴
遊技が実行されると(ステップS133)、主制御部から内部抽選結果を取得して、当選役に応じて、予め選択して決定された上乗せ抽選テーブルに基づき、ART遊技回数の上乗せ抽選を実行し、上乗せ回数を決定する(ステップS134)。上乗せ抽選に当選しなかった場合には(ステップS135)、ART遊技回数カウンタの更新を行わずに1回分の減算を行う(ステップS136)。
【0106】
上乗せ抽選に当選した場合には(ステップS135)、当選に係る上乗せ回数がサブRAM208の上乗せ回数記憶用メモリエリアMA1、MA2、・・・、MAn−1、MAn(
図27参照)に順次、記憶される(ステップS139)。
図27の(27A)は、
図19の(19B)の上乗せ抽選テーブルに基づく上乗せ抽選により当選した上乗せ遊技回数が最先のものから、メモリエリアMA1、MA2、MA3、MA4の夫々に、10回、20回、50回、10回の回数値が記憶された記憶例を示す。回数値データは回数コードにより記憶されてもよい。
【0107】
当選上乗せ回数が記憶されると、ART遊技期間の更新を行うか否かの上乗せ実行抽選を行う(ステップS140)。上乗せ実行抽選の抽選確率は1/3である。上乗せ実行抽選の結果、上乗せ更新の実行を決定したとき、上乗せ回数記憶用メモリエリアに複数個の上乗せ遊技回数が記憶、ストックされているかを判断する(ステップS141)。上乗せ回数記憶用メモリエリアMA1に1個の上乗せ遊技回数が記憶されているだけのときには、その上乗せ回数分の値をART遊技回数カウンタに加算して更新した後(ステップS141、S143)、1回分の減算を行う(ステップS137)。ART遊技回数カウンタの更新により上乗せ回数記憶用メモリエリアMA1の記憶データはクリアされる。
【0108】
図27の(27A)に示すように、上乗せ回数記憶用メモリエリアに複数個の上乗せ遊技回数が記憶、ストックされている場合には、上乗せ変更パターンの設定(決定)及びそれに基づくART遊技回数カウンタの更新が行われる(ステップS141、S142)。上乗せ変更パターンは、サブROM207に格納した前記上乗せ実行態様決定プログラムに基づき設定される。本実施形態では、上乗せ回数記憶用メモリエリアの記憶データを、前記選択抽選処理(ステップS124)により選択された昇順の上乗せ変更パターンに基づき、昇順に並べ替えるデータ置換処理によって上乗せ変更パターンの設定が行われ、決定される。
図27の(27B)は(27A)の記憶データを前記上乗せ実行態様決定プログラムに基づきサブRAM208のデータ置換用メモリエリアm1、m2、・・・、mn−1、mnに昇順に並べ替えた例を示す。即ち、データ置換処理によりメモリエリアm1、m2、m3、m4の夫々に、10回、10回、20回、50回の回数値が記憶され、最大回数50は最後尾のメモリエリアm4に入れ替えて記憶される。データ置換用メモリエリアを用いずに、昇順に並べ替えた遊技回数データを演算処理により読み出すようにしてもよい。
【0109】
ついで、データ置換処理により設定された上乗せ変更パターンに基づいて、ART遊技期間の上乗せが実行される。
図27の(27B)の例では、先頭のメモリエリアm1の遊技回数10をART遊技回数カウンタに加算して更新した後(ステップS142)、1回分の減算を行う(ステップS137)。ART遊技回数カウンタの更新により上乗せ回数記憶用メモリエリアMA1の記憶データ(10回)はクリアされる。
【0110】
上記のART遊技回数カウンタの更新により、ART遊技期間の途中での上乗せ変更が実行される。以上の1セット分のART遊技を実行し、途中の上乗せ分も含めた遊技回数を消化し、ART遊技回数カウンタの値が0になると、上乗せ記憶残があるか否か判断され。上乗せ回数記憶用メモリエリアに記憶データがなく上乗せ記憶残なしのときには、ART遊技セット数カウンタの値NSが0か否か、つまり、セット回数の残回数があれば(ステップS145)、再び、セット回数の減算及びART遊技回数カウンタの初期値セットを行って(ステップS131、S132)、1セット分のART遊技実行を繰り返す。セット回数の残回数がなくなると(ステップS145)、ART遊技を終了する。また、ART遊技中にATパンクが発生したときにはその時点で終了する(ステップS138)。
【0111】
ART遊技回数カウンタの値が0になったとき、上乗せ回数記憶用メモリエリアに記憶データが残っている場合には、上乗せ実行抽選を行わずに直ちに上乗せ実行に移行し、ステップS141〜S144が繰り返される。この繰り返しの過程で、新たな上乗せ回数に当選した場合には上乗せ回数の追加記憶が行われる。仮に、(27B)に示したデータ置換処理が実行され、それ以降に追加記憶がなかったときには、途中の上乗せ実行に当選して途中上乗せが実行される場合も含め、10回、20回、50回の上乗せ変更が順次、実行される。
【0112】
図26は(27B)の上乗せ変更パターンによるART遊技期間の変更態様と従来のART付与態様との比較を示す。同図の(26A)は上記(27B)の上乗せ変更パターンによる本実施形態のART付与態様の一例を示し、同図の(26B)及び(26C)は従来のART付与態様の一例を示す。
図26の矢印はART遊技の進行(ゲーム消化の時系列変化)を表す。
【0113】
従来のART付与態様では、ART遊技の付与をセット単位で決定し、(26B)に示すように、例えば、ART遊技が1セット(ART遊技実行可能回数:N)分付与された場合には、N回のART遊技を消化したとき終了する。仮に、2セット付与が決定されているときには、(26C)に示すように、1セット終了時に継続報知(26a)が行われて2回目のART遊技状態に移行し、2回目のART遊技をN回実行したとき終了する。従って、従来のセット数単位のみで付与する付与態様では、実行中のART遊技が終了した時点で追加のARTが発生するか否かといった画一的な付与パターンに陥り単調なART遊技になっている。
【0114】
本実施形態のART付与態様では、最初のART付与段階で、仮にART遊技が1セット(遊技回数:M)分付与された場合であっても、(26A)に示すように、ART遊技中に途中上乗せに当選した場合に(26b)、上乗せ変更パターンによるART遊技回数カウンタの更新が行われて(ステップS140〜S142)、(27B)の昇順データに基づき、ART遊技回数の上乗せ分10の加算変更が行われて、ART遊技回数が(M+10)に更新される(26c)。その後にも、(27B)の昇順データに基づき、ART遊技回数の変更が順に実行され、ART遊技回数が(M+10+10)、(M+10+10+20)、(M+10+10+20+50)に順次更新される(26e、26f、26h、26i、26k、26l)。従って、本実施形態の場合には、ART遊技中又は終了時に、複数個の上乗せ遊技回数が昇順又は降順で変更されて、ART遊技期間が順次変更されていくので、ART遊技の実行可能回数を種々の上乗せパターンで変動させてバリエーションに富んだ付与形態を出現させることができる。しかも、前記選択抽選に係る上乗せ抽選テーブルを用いて上乗せを発生させ、ART遊技の実行可能回数の変動幅に更にバリエーションを付加して、より一層変化に富んだ変更態様を付与することができる。
【0115】
上記のように、従来の場合では、ART遊技を単発付与するか複数付与するかといった画一的付与態様となるのに対し、本実施形態の場合は、ART移行時における付与回数抽選による付与回数決定手段(ステップS120)と、上乗せ抽選テーブルの選択抽選による上乗せ率決定手段(ステップS122)と、ART遊技中の上乗せ抽選による上乗せ決定手段(ステップS134、S135)と、上乗せ遊技回数の上乗せ実行態様を決定する上乗せ実行態様決定手段(記憶データの昇順化処理あるいは降順化処理)、前記上乗せ実行態様に従って上乗せ回数を上乗せしてART実行可能回数(遊技期間)を変更するART遊技期間変更手段(ステップS142)を有しており、ART遊技中の上乗せ変更態様に加え、初期段階の付与回数の設定、上乗せ抽選テーブルの選択抽選及びART遊技中の上乗せ変更のART遊技回数の多段階の可変設定により、多彩な付与パターンによる多様化が可能になっている。
特に、従来の付与態様では単発付与のケースも生ずるので、1セットのゲーム数Nをある程度大きくしておかなければ、ART遊技によって獲得できるメダル数が確保し難い。このため、ゲーム数Nを大きくすると、併用するBBやRBの出玉率の設計に少なからず影響を与える。一方、本実施形態においては、1セットのゲーム数Mを小さくしても、ART遊技中の上乗せ当選により増加変更させることができるため、併用するBBやRBの出玉率に設計上の制約を生じさせることなく、上乗せ抽選テーブルの振分け率や上乗せ率等の調整により出玉率の設計自由度を確保することができる。
【0116】
特に、付与回数決定手段によっても、
図17の(17C)に示した振分け抽選テーブルを用いて初期段階の付与回数(セット数)を抽選で決定しているので、例えば、
図26の(26A)の例で示す初期値Mが変動することになり、よりバリエーションに富んだART遊技回数の付与態様を出現させることができる。なお、セット単位数で付与する場合に、各セット毎の初期値を抽選で決定し、例えば1セット目と2セット目での初期値が異なる場合が生ずるようにしてもよい。
【0117】
本実施形態の場合には、ART遊技を特典として付与し実行するに際して、ART遊技中の遊技回数の更新時ごとに上乗せ報知(26d、26g、26j、26m)、つまり上乗せ分の遊技回数によって変更された継続可能な遊技回数の報知を変更毎に実行することにより、ART遊技の間、ART実行可能回数の増加への期待感を増幅でき、従来の追加継続報知だけの場合と比べて、遊技者の興趣を一層高揚させることが可能になる。
殊に、本実施形態においては、前記上乗せ実行態様決定手段により上乗せ遊技回数の記憶データを昇順化したときには、ART遊技期間における上乗せを繰り返す毎に上乗せ回数値が拡大していく変更態様を具現化することができる。従って、例えば、初期の上乗せ報知(26d)の段階で、将来の大量回数の上乗せを予測させる爆発モードのような発生予告を行え、爆発モードの蓋然性予告(所謂ガセ告知)との併用によってART遊技の興種の増大を図ることができる。なお、昇順又は降順の振分けに際しては、上乗せ遊技回数を特定個数以上、例えば、3個以上記憶していることを条件に昇順の上乗せ変更パターンに優先的に決定するようにしてもよい。
【0118】
次に、副制御部の制御下において実行される報知演出制御を説明する。以下の説明では、主にART遊技状態における遊技回数の更新における報知演出制御を説明する。
図21は副制御部(サブCPU206)により実行される演出報知処理の概要を示す。
本実施形態においては、主に液晶表示装置3による画像表示により当選図柄や役種の告知、役獲得時の祝福演出等が行われる。この画像演出に加え、あるいは別個に上部スピーカ4、下部スピーカ22a、22bによる効果音、装飾ランプ部6の電飾効果を用いて各種音、光演出が実行される。
副制御部による演出報知処理は、遊技状態に応じた画像・音・光の演出報知が行われる。副制御部は主制御部(メインCPU102)からの演出制御コマンドを受けて遊技状態を判別し、通常遊技モード時には通常遊技演出報知処理を実行する(ステップS90、S
95)。通常遊技演出報知処理(ステップS95)では、主に、内部抽選の結果に関連した遊技情報、例えば、各種の役、リプレイあるいは外れの100%告知、当選蓋然性の告知などが行われる。通常遊技演出報知処理には、ART付与抽選の結果を報知する報知処理も含まれている。
【0119】
ボーナス遊技中の場合には、遊技機のモチーフの内容に沿ったボーナスゲームの進行演出及び獲得枚数の表示等を行うボーナス遊技中演出報知処理が実行される(ステップS91、S96)。
ART遊技モードの場合には、ART遊技の進行演出、ART遊技のゲーム実行回数、ART遊技回数の更新報知、継続の報知、獲得メダル枚数の累積表示等のART遊技演出報知処理が実行される(ステップS92、S97)。
内部当選状態の場合には、ボーナス役当選の確定報知、ART遊技の獲得有無ないし蓋然性の報知等を行う内部当選状態演出報知処理が実行される(ステップS93、S98)。更に、ボーナスゲームに入賞したときには、ボーナスゲームの発生を祝福演出するボーナス入賞時演出報知処理が実行される(ステップS94、S99)。
【0120】
図22はART遊技演出報知処理(ステップS97)を示す。
演出制御基板200は、当選役種別を取得して当選役に応じた演出処理を行う。当選役がAT役又は6択のリプレイのいずれかである場合には、サブROM207に記憶した当選役押し順報知演出選択テーブルに基づいて当選役種別に応じた押し順報知演出を選択する(ステップS200、S201)。例えば、押し順が中回胴→左回胴→右回胴のベル役に当選したときは、その停止操作手順に沿った中・左・右の指示音声が、最初のリール停止前に「なか」、次のリール停止前に「ひだり」、更に最後のリール停止前に「みぎ」といった音声出力順序で、画像表示と共に報知される。この押し順報知演出は、後述のART遊技全体の進行を演出するART進行演出と併行して実行される。演出制御基板200によるステップS200及びS201は、本発明における停止操作順報知遊技における停止操作順序の報知制御を行う報知制御手段に対応する。当選AT図柄の種別を報知するART遊技を付与する場合にも、当選AT役の種別を報知する当選役報知制御手段を演出制御基板200に設けることにより当選役報知を行うことができる。
当選役がボーナス役である場合には(ステップS202)、演出状態を「通常」に設定して、ボーナス当選時の演出を選択する(ステップS203、S204)。従って、AT遊技中にボーナス当選が生じたときにはAT遊技演出が終了して、演出状態としては押し順報知演出が出現しない「通常」の演出状態に移行される。当選役がボーナス役でない場合、つまりチェリー等の小役又は外れである場合には夫々に応じた演出内容が選択される(ステップS202、S205)。
【0121】
図23及び
図24は副制御部によるART遊技中のART進行演出処理を示す。
図25は主として液晶表示装置3の画像演出により演出するART進行演出処理に使用する演出内容を記憶した演出テーブルを示す。この演出テーブルは演出制御基板200のサブROM207に格納されている。
【0122】
図25の(25A)の第1演出テーブルは、当該回胴式遊技機のモチーフたるヒーローロボットキャラが幾つかの怪獣A〜Dと格闘するバトル演出の遊技演出からなる。バトル演出内容は、例えば、ヒーローや怪獣の登場場面、両者の対峙場面、双方の格闘場面等からなる。第1演出テーブルにはART遊技突入時の開始演出が含まれ、また同一怪獣でも異なるバトル演出も含まれている。各バトル演出は4〜6回の遊技に亘り繰り返される演出内容からなる。各バトル演出の選択は付与セット数に応じて行われる。怪獣A〜DはA<B<C<Dの順位で強者を意味し、より強者の怪獣を倒す場面が出現するほど、付与セット数の多い場合に対応するように、図示しない演出選択の振り分け抽選により選択される。更に、第1演出テーブルには途中上乗せ報知演出が含まれており、その演出内容には
、例えば、バトル中に倒れたヒーローキャラが再び起き上がって雄たけびを上げる場面などで上乗せ遊技回数を表示する報知演出からなる。
【0123】
図25の(25B)の第2演出テーブルは、上乗せが発生しなかったときの終了演出群からなる。各終了演出は4回の遊技に亘る関連演出が連続してエンディング演出される連続演出の遊技演出からなる。連続演出内容は、例えば、ヒーローや複数種の怪獣が続々と現れる場面、各怪獣との格闘場面、ヒーローキャラが敗北する終了場面等からなる。第1演出テーブルによるART遊技途中の演出では怪獣が1つ現れるが、第2演出テーブルによるエンディング連続演出では複数の怪獣が登場する。ART遊技中にART遊技回数の上乗せが発生する場合を想定して、第1演出テーブルには途中上乗せ報知演出内容が複数種付加され、また第2演出テーブルには終了時上乗せ報知演出内容が複数種付加されている。終了時上乗せ報知演出内容としては、例えば、倒れたヒーローキャラが再び起き上がって雄叫びを上げる場面などで上乗せ遊技回数を表示する報知演出からなる。なお、サブROM207には、1セット分のART遊技が終了したとき、更にセット数が残っている場合に、終了演出後に新たなART遊技の付与を報知する継続報知演出が格納されている。継続報知演出としては、例えば、「次回継続」の表示を最後の連続演出場面でカットイン表示するなどして報知される。
【0124】
まず、1セット分の新たなART遊技が開始する時には、第1演出テーブルが設定される(ステップS250、S251)。ART開始時には、通常遊技画面表示からART遊技突入時の開始演出に切り替わり、ART遊技状態への移行が報知される。液晶表示装置2の液晶画面には、ART遊技回数のカウント値が表示され、その消化に伴って逐次表示変更されていく。
【0125】
ART遊技が1回実行されると、第1演出テーブルにより演出内容を選択する際に、上乗せ実行抽選結果を参照して、上乗せ実行当選時には、その演出内容に、途中上乗せ報知演出内容を選択して付加した演出内容を設定し(ステップS252〜S254)、遊技演出を実行する(ステップS255)。この遊技演出の際には、上乗せ確定の報知と共に、決定されたART上乗せ回数の値が画像表示される。このとき、上乗せ回数値を加算したART遊技回数カウンタの更新値(ART遊技実行可能回数の更新値)も同時に表示される。また、この遊技演出の際に、ART上乗せ回数又はART遊技実行可能回数の更新値のいずれかのみを表示するようにしてもよい。一方、上乗せを実行しない時には演出内容を選択して設定し(ステップS253、S257)、遊技演出を実行する(ステップS258)。1回のART遊技に関しての遊技演出を実行した後、以降のART遊技についても同様に繰り返す。ART遊技の進行に伴って遊技演出を繰り返し、ART遊技回数カウンタの値(ART遊技の残回数)が5未満になったとき、演出テーブルを第2演出テーブルに切り替えて設定する(ステップS256、S259)。
【0126】
第2演出テーブルに設定してから、ART遊技が実行される都度、選択された連続エンディング演出が順々に実行される(ステップS260〜S262)。連続演出が最終演出まで進行し、この連続演出の遊技期間(4ゲーム)中に、上乗せ当選が発生したか否かが、ART遊技回数カウンタ値の更新有無に基づいて判断される(ステップS263、S264)。
【0127】
上乗せ遊技回数の記憶データがある場合には、第2演出テーブルにより終了時上乗せ報知演出内容を選択して設定する(ステップS264、S265)。ついで、最終連続演出の後に、該選択に係る終了時上乗せ報知演出内容の演出を実行し、上乗せ報知を行う(ステップS266)。以降のART遊技においては、上乗せ更新が行われているので、再び第1演出テーブルに切り替えて設定され、ART遊技の進行演出処理が繰り返される(ステップS266、S251)。
【0128】
上乗せ回数の記憶残がない場合には(ステップS264)、ART遊技セット数カウンタの値NSが0か否か、つまりセット数の残り分があるか否か判断する(ステップS267)。セット残数がない場合には、連続演出の最終演出の実行をもってART遊技の進行演出を終了し、通常遊技の画面表示に切り替える。この画面切り替えにより遊技者はART遊技が終了したことを認識することとなる。セット残数がある場合には、継続報知を行って、次のART遊技の進行演出を再度開始する(ステップS267、S268、S251)。再スタート時には、液晶画面上のカウント初期値が25に表示される。
【0129】
上記のように、本実施形態に係る回胴式遊技機Aにおいては、ART遊技時には、前半遊技期間(例えば、上乗せのないとき、最初のゲームから21ゲーム目まで)と後半遊技期間(終了手前の4ゲーム)に応じて第1演出テーブルと第2演出テーブルを切り換えて
遊技演出が実行される。前半遊技期間に上乗せ抽選に当選したとき、第1演出テーブルに
より上乗せ報知演出を実行して該上乗せ当選を随時、報知することができる。後半遊技期間に上乗せ抽選に当選していないときは、第2演出テーブルにより終了演出を実行して特典遊技の終了を報知することができる。また、後半遊技期間に上乗せ抽選に当選したときは終了時上乗せ報知演出を実行して該上乗せ当選を後半遊技期間の終了時に報知することができる。従って、回胴式遊技機Aによれば、ART遊技期間中に行った上乗せ抽選にいつ当選し、実行を決定しても、つまり終了間際に当選しても違和感なく上乗せ報知演出を実行することできるので、上乗せがない限り、1セットで25回の遊技回数に制限されたART遊技の進行演出を円滑に実行することができ、回胴遊技の興趣増大を図ることができる。
【0130】
終了時上乗せ報知演出内容は、連続4回の遊技に亘って関連演出を行ってから前記上乗せ当選を報知する連続演出内容群からなるので、その連続演出の遊技過程で上乗せ当選が発生したときに、後続の連続演出を経て該上乗せの発生を報知することができ、より期待感の高まる報知演出を実行してART遊技の興趣を高揚させることができる。
上記途中上乗せ報知演出による遊技演出時に上乗せ回数及びART遊技実行可能回数の更新値を報知する上乗せ報知処理(ステップS254及びステップS255)と、上記終了時上乗せ報知演出による遊技演出時に上乗せ回数及びART遊技実行可能回数の更新値を報知する上乗せ報知処理(ステップS266)により、上乗せ分の遊技回数の加算変更された継続可能な遊技回数を報知する遊技回数変更報知手段を構成するが、エンディング演出期間を設けない場合には、第1演出テーブルと同様の演出テーブルを用いて、ART遊技中の上乗せ発生の都度、ART遊技の実行可能回数の変更発生及び更新された継続可能な実行可能回数を報知するようにしてもよい。
【0131】
図27の(27B)は、昇順による上乗せ遊技回数の並べ替えによる上乗せ変更パターンの決定例を示すが、上乗せ変更パターンはこれに限らず、降順の並べ替え、ランダムな並べ替え等種々、上乗せバリエーションを付加可能な変更態様であればいずれも使用することができる。本実施形態では、昇順及び降順の並べ替えを併用し、並べ替え抽選により、その都度、昇順又は降順のいずれかを上乗せ変更パターンとして決定している。勿論、上乗せ遊技回数の決定順に前記特典遊技期間を順次上乗せ変更する上乗せ変更パターンも使用することができる。
また、(27B)の例でいえば、メモリエリアm4の最大値50回を最優先に上乗せ実行したりして、複数記憶している上乗せ遊技回数のうち最大回数又は最小回数を優先して特典遊技期間を順次変更する変更パターンも使用することができる。この場合にも、優先対象を最大回数(50回)又は最小回数(10回)のいずれか一方のみに設定、あるいは抽選により随時変更可能にしてもよい。
【0132】
複数の上乗せ遊技回数を記憶しているとき、それらの一部又は全部を合算した合算回数
により上乗せ遊技回数を編集した上乗せ変更パターンとして使用することができる。
図27の(27C)は、上乗せ抽選に当選し記憶している複数の上乗せ遊技回数の一部を合算した合算回数により上乗せ遊技回数を編集する例を示す。(27C)は、上乗せ回数記憶用メモリエリアの上乗せ遊技回数のうち最大値(50)と最小値(10)を合算した合算値(60)を求め、更に昇順で並べ替えた上乗せ変更パターン例である。前記合算値を用いれば、1回分で大きい上乗せ遊技回数による変更を行え、期待感の増大に寄与する。
【0133】
前記AT設定処理(
図18参照)においては、ART遊技のセット単位数の抽選と設定が行われるが、セット単位数を用いずに初期値としてART遊技の総回数(初期付与総回数)を決定するようにしてもよい。つまり、初期付与総回数をART遊技回数カウンタに初期値として記憶、設定することにより、1セット単位でのART遊技管理と比べて、ART遊技回数カウンタだけでART遊技の実行回数管理の簡素化を図ることができる。
【0134】
前記実施形態においては、上乗せ抽選テーブル選択抽選をART遊技の付与時にのみ実行しているが(ステップS122)、ART遊技中に複数回行うことにより、ART遊技の付与態様の多様化をより一層図ることができる。また、上乗せ率が低い上乗せ抽選テーブル(ノーマルモード)から上乗せ率が高い上乗せ抽選テーブル(スペシャルモード)への上乗せ高確状態の移行を、上乗せ抽選テーブルの切換処理により可能にして、上乗せ率の高い上乗せ抽選テーブルへの移行が生ずる可能性を付与して、遊技回数の上乗せパターンの多様化及び期待感の増大を図ることができる。
【0135】
前記実施形態においては、ART遊技期間途中で上乗せ当選した遊技回数の上乗せ実行抽選(ステップS140)を行って途中上乗せを発生させるが、初期値の終了時以降に、終了時に記憶している上乗せ遊技回数につき、上乗せ変更パターンによる上乗せ実行を行うようにしてもよい。
【0136】
図28は副制御部によるART遊技状態時の別の制御処理を示す。
この制御処理においては、ART遊技に移行した後(ステップS160)に実行される、ART遊技セット数カウンタの減算(ステップS161)、ART遊技回数カウンタに初期値セット(ステップS162)は夫々、ステップS130〜S132に対応する。リール回転始動操作により1回の回胴遊技が実行された後(ステップS163)に上乗せ抽選が行われ(ステップS164)、上乗せ抽選に当選しなかった場合には(ステップS165)、ART遊技回数カウンタの更新を行わずに1回分の減算を行う(ステップS167)。
【0137】
上乗せ抽選に当選した場合には(ステップS165)、当選に係る上乗せ回数が前記上乗せ回数記憶用メモリエリアMA1、MA2、・・・、MAn−1、MAnに順次、記憶され(ステップS166)、1回分の減算を行う(ステップS167)このとき、当選上乗せ回数が記憶されても、前記実施形態と異なり、上乗せ実行抽選を行われない。
【0138】
上乗せ抽選は、ART遊技の都度、ART遊技セット数カウンタの値NSが0になるまで、つまり初期値のART遊技回数が消化されるまで実行される(ステップS168)。ART遊技中にATパンクが発生したときにはその時点でART遊技を終了する(ステップS169)。
【0139】
ART遊技セット数カウンタの値NSが0に達し、初期値終了時に上乗せ回数記憶用メモリエリアに上乗せ遊技回数が記憶、ストックされている場合には、上乗せ遊技回数によるART遊技期間の変更が行われる(ステップS170〜S173)。上乗せ遊技回数が記憶、ストックされ、複数個記憶されている場合には、前記実施形態と同様に、記憶データの並べ替え等の上乗せ変更パターンの設定及びART遊技回数カウンタの更新が行われ
る(ステップS170〜S172)。単一の上乗せ遊技回数がストックされているときはART遊技回数カウンタの更新のみが行われる(ステップS171、S173)。上乗せ遊技回数の記憶データがないときには、ART遊技セット数カウンタの値NSが0か否かが判断され、セット回数の残回数があれば(ステップS174)、再び、セット回数の減算及びART遊技回数カウンタの初期値セットを行って(ステップS161、S162)、1セット分のART遊技実行を繰り返す。セット回数の残回数がなくなると(ステップS174)、ART遊技を終了する。
【0140】
図28の制御処理では、初期値の終了時にのみ上乗せ実行を行うので、途中上乗せ実行を行わない分だけ、上乗せ回数記憶用メモリエリアに記憶データが蓄積され、上乗せ変更パターンによるバリエーションを豊富にして、初期値の終了以降の上乗せ変更態様の多様化を実現することができる。
【0141】
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。