(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エラストマー材料の第2の側面に接合された第2の不織布基材を含み、前記エラストマー材料が、少なくとも部分的に前記不織布基材と前記第2の不織布基材との間に配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の伸縮性積層体。
前記無機充填剤は、炭酸カルシウム粒子を含み、複数の前記炭酸カルシウム粒子のうちの少なくとも一部が、脂肪酸、脂肪酸の塩、脂肪酸エステル及びこれらの混合物の群から選択される有機材料によりコーティングされている、請求項7に記載の伸縮性積層体。
請求項1〜9のいずれか一項に記載の伸縮性積層体を含む吸収性物品であって、前記伸縮性積層体が、液体透過層、液体不透過層、サイドパネル、耳部及び羽根のうちの1つ以上に用いられている、吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に開示される吸収性物品用伸縮性積層体及びその製造方法の、構造、機能、製造、及び使用の原理について、総合的な理解を提供するために、本開示の非限定的な様々な実施形態をここで説明する。これらの非限定的な実施形態の1つ以上の実施例が添付図面に示される。本明細書で説明され、添付図面に示される吸収性物品用伸縮性積層体及びその製造方法が非限定例の実施形態であること、及び本開示の非限定的な様々な実施形態の範囲が特許請求の範囲によってのみ定められることを、当業者は理解するであろう。1つの非限定的な実施形態に関連して示されるか又は説明される特徴を、他の非限定的な実施形態の特徴と組み合わせてもよい。このような修正及び変形は、本開示の範囲に含まれることが意図される。
【0014】
用語の定義
本明細書で使用するとき、用語「吸収性物品」は、主要機能が身体滲出物及び排出物を吸収及び貯留することである消費者用製品を指す。吸収性物品は、パンツ、テープ型おむつ、成人用失禁製品、及び/又は生理用ナプキン(例えば、婦人用衛生製品)を指してもよい。本明細書で使用するとき、用語「おむつ」及び「パンツ」は、乳児、幼児及び失禁者が胴体下部の周りに一般に着用する吸収性物品を指すために使用される。本明細書で使用するとき、用語「使い捨て」は、洗濯されること、又は吸収性物品として再生若しくは再使用されることが一般に意図されない吸収性物品を説明するために使用される(例えば、1回の使用後に廃棄されることが意図され、更に、リサイクルされるか、堆肥化されるか、又は環境に適合した方法で処分されるように構成されてもよい)。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「活性化された」は、不織布基材、積層体、又は伸縮性積層体のような材料であって、その材料の少なくとも一部の伸展性を増大するため(例えば、リングロール)又は別の方法で修飾するために、その製造後の状態から機械的に変形又は修飾されている材料を指す。材料は、例えば、少なくとも1方向に材料を漸増式に延伸することによって、活性化させることができる。このような活性化のその他の例は、材料を開口すること、材料内に構造を作ること(例えば、柔軟なタフト、やぶ状のタフト)、材料の感触を変更すること(例えば、より柔らかく、粗くする)、並びに透過性及び/又は空隙容量を変えることによって材料の流体処理を改善することが挙げられる。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「カード繊維」は、カーディングプロセスによって、分類され、分離され、かつ少なくとも部分的に整列された、個別の長さの繊維を指す。例えば、カーディングされた基材は、コーミング又はカーディングユニットを通して送られた繊維から製造された基材を意味し、このユニットは、繊維を分離し又は分裂させ、(例えば機械方向に)整列させて、全般的に機械方向に向いた繊維性不織布ウェブを形成する。カード繊維は、カーディングされた後で、結合されてもされなくてもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「フィルム」とは、一般に、例えば、ポリマー材料をダイの比較的狭いスロットを通す押出成形を含むプロセスによって作製された比較的無孔の材料を意味する。フィルムは、液体に対して不透過性であるとともに、蒸気(air vapor)に対して透過性であってよいが、必ずしもそうである必要はない。フィルム材料の好適な例は、本明細書で以下により詳細に記載されている。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「接合された」は、1つの要素を他の要素に直接固着することによりその要素が他の要素に直接固定された構成と、1つの要素を中間部材に固着し、次にその中間部材を他の要素に固着することによりその要素が他の要素に間接的に固定された構成とを包含する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「積層体」は、少なくとも1つのエラストマー材料又はフィルムに接合した少なくとも1つの不織布基材を有する要素を指す。積層体は、少なくとも1つのエラストマー材料又はフィルムに接合した1つを超える不織布基材を有してもよい。不織布基材は、例えば結合技法又は接着技法を用いて、エラストマー材料又はフィルムに接合されてもよい。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「層」は、基材のサブコンポーネント又は要素を意味する。「層」は、マルチビーム不織布装置上の単一ビームで作製された複数の繊維の形態(例えば、スパンボンド/メルトブロウン/スパンボンド不織布基材は、少なくとも1つのスパンボンド繊維層、少なくとも1つのメルトブロウン繊維層及び少なくとも1つのスパンボンド繊維層を含む)又は単一ダイから押出又はブローされたフィルムの形態であってよい。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「機械方向」又は「MD」は、基材が製造される際の基材の移動方向と実質的に平行な方向である。MDの45°以内の方向は、機械方向と見なされる。「横断方向」又は「CD」は、MDに実質的に垂直であり、かつウェブによって一般的に画定された平面における方向である。CDの45°以内の方向は、機械横断方向と見なされる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「メルトブロウン繊維」とは、溶融材料(通常はポリマー)を紡糸口金又はダイのオリフィスを通して圧力をかけて押し出すプロセスにより製造した繊維を意味する。熱した高速の空気がダイを出た時に、フィラメントに衝突し、それを一緒に運んで、伸長され直径が減少したフィラメントを形成し、このフィラメントが破砕されて、一般には様々な長さのものであるが、ほとんどの場合は限定された長さの繊維が生成される。この点は、それらの長さに沿ってフィラメントの連続性が保持されるスパンボンドプロセスとは異なっている。メルトブロウンプロセスの例は、Buntin et alに対する米国特許第3,849,241号に見出される。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「不織布」は、連続的な(長い)フィラメント(繊維)及び/又は不連続な(短い)フィラメント(繊維)から、例えば、スパンボンディング、メルトブローイング、カーディング等のプロセスによって作製される多孔質の繊維状材料を指す。不織布ウェブには、織った又は編んだフィラメントパターンがない。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「パンツ」は、乳児、幼児、又は成人の着用者のために設計された、連続的な外辺部腰部開口部と連続的な外辺部脚部開口部とを有する使い捨て吸収性物品を指す。パンツは、この吸着性物品が着用者に適用される前に、連続的な又は閉じた腰部開口部と、少なくとも1つの連続的な、閉じた脚部開口部とを有して構成されてもよい。パンツは、任意の再締着可能な及び/又は恒久的な閉鎖部材(例えばシーム、熱接合、圧力溶接、接着剤、粘着接合、機械的締着具等)を使用して吸収性物品の部分を互いに接合することが挙げられるがこれらに限定されない様々な技術で予備成形され得る。パンツは、腰部区域の吸収性物品の周辺部に沿った任意の場所で予備成形され得る(例えば、側部締結又は継ぎ合わせ、前側腰部締結又は継ぎ合わせ、後側腰部締結又は継ぎ合わせ)。パンツは、一方又は両方の側部シームのあたりで開放され、続いて再締結され得る。様々な構成のパンツの例は、米国特許第5,246,433号、同第5,569,234号、同第6,120,487号、同第6,120,489号、同第4,940,464号、同第5,092,861号、同第5,897,545号、同第5,957,908号、及び米国特許公開第2003/0233082号に開示されている。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「スパンボンド繊維」とは、溶融熱可塑性材料をフィラメントとして複数の微細な、通常は円形の、紡糸口金の毛管から押し出すことを伴うプロセスによって作製された繊維を意味するが、このフィラメントは次に引っ張り力を加えることにより細くされ、機械的に又は空気圧により(例えば、引取ロールにフィラメントを機械的に巻き付けることにより又は空気の流れにフィラメントを一緒に運ぶことにより)引き出される。フィラメントは、引き出される前又は引き出し中に、空気の流れによって急冷されてよい。フィラメントの連続性は通常、スパンボンドプロセスでは維持される。フィラメントは、収集表面上に堆積されて、ランダムに配置された実質的に連続的なフィラメントのウェブを形成してもよく、それはその後、互いに結合されて凝集性不織層を形成することができる。スパンボンドプロセス及び/又はそれによって形成されるウェブの例は、米国特許第3,338,992号、同第3,692,613号、同第3,802,817号、同第4,405,297号及び同第5,665,300号に見出される。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「伸縮性の」は、偏倚力を加えたときに、完全破断又は破損を起こすことなく、その弛緩した初期長さの少なくとも150%の伸長長さまで延伸できる(すなわち、その初期長さよりも50%延伸し得る)材料を指す。このような伸縮性材料が、印加力を除去した際に、その伸長の少なくとも40%を回復する場合、その伸縮性材料は「エラストマー」とみなされる。例えば、100mmの初期長さを有する伸縮性材料は、少なくとも150mmまで延びる場合があり、力を除去した際に、少なくとも130mmの長さまで戻る(すなわち、40%の回復を示す)。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「基材」とは、少なくとも1つの繊維層を含み、かつロールにし、出荷し及びその後に加工するのに十分な一体性を有する要素を意味する(例えば、基材のロールは、基材の一部を含む要素を有する吸収性物品の製造プロセス中に、展開、引張、緊張、折り畳み、及び/又は切断されてもよい)。複数の層が互いに結合されて、基材を形成してもよい。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「テープ型おむつ」は、着用者に適用される前、包装の際に、互いに締結、予備締結、又は接続されない初期前側腰部区域及び初期後側腰部区域を有する使い捨て吸収性物品を指す。テープ型おむつは、一方の腰部区域の内部が、対向する腰部区域の内部と表面同士が接触した状態で、腰部区域を締結又は結合することなく横方向中心軸を中心に折り畳まれてもよい。様々な好適な構成で開示されたテープ型おむつの例は、米国特許第5,167,897号、同第5,360,420号、同第5,599,335号、同第5,643,588号、同第5,674,216号、同第5,702,551号、同第5,968,025号、同第6,107,537号、同第6,118,041号、同第6,153,209号、同第6,410,129号、同第6,426,444号、同第6,586,652号、同第6,627,787号、同第6,617,016号、同第6,825,393号、及び同第6,861,571号に示されている。
【0029】
本明細書に記載の伸縮性積層体の有用性を限定することを意図するものではないが、積層体製造及び使用目的と関係し得る伸縮性積層体の特性の簡単な記述は、本開示の伸縮性積層体及び方法の説明を助けると考えられる。例えば吸収性物品の要素としての使用に好適な従来の伸縮性積層体において、積層体は通常、エラストマー材料又はフィルムに結合された少なくとも1つの不織布基材を含む。テープ型おむつ、パンツ、衛生ティッシュ製品、及び/又は成人用失禁製品のような現代の吸収性物品は、介護者又は使用者の皮膚と時々接触する多数の要素を包含する。このような要素における不織布基材の使用は、不織布基材が提供する柔らかな感触及び布のような外観から、特に有利である。いくつかの現代の使い捨て吸収性物品は、下着のようなフィット感を提供するようにも設計されている。現代の吸収性物品の要素のいくつかには、物品に弾性を付与し、性能に寄与するだけでなく、着用時にこれらの吸収性物品に下着のようなフィット感も提供するエラストマー成分が備わっている。エラストマー成分を包含するこのような要素の非限定例としては、おむつの耳パネル、パンツのサイドパネル、又は外側カバー、バックシート、若しくは液体不透過層の全てではなくとも少なくとも一部が挙げられる。従来の伸縮性積層体は、一般的に、エラストマー材料又はフィルムに結合された少なくとも1つの不織布基材を包含する。次に、積層体を機械的に活性化して、不織布基材と結合させる前にエラストマー材料又はフィルムが有していた伸長容易性のいくらかを少なくとも部分的に回復させる。伸縮性積層体の機械的活性化は、多くの場合、例えば、米国特許第5,167,897号(Weber et al.,1992年12月1日発行、The Procter and Gamble Companyに譲渡)に開示されているように、積層体の少なくとも一部を、少なくともお互いがある程度相補的である3次元表面を有する一対の圧力アプリケータの間に通すことによって達成される。代表的な伸縮性積層体は、エラストマー材料又はフィルム及びそのエラストマー材料又はフィルムの両側に各々結合された2つの別々の不織布基材を包含する。伸縮性積層体の製造に使用されてきた既知の不織布基材は、カード繊維で作製された不織布基材、並びにスパンボンド/メルトブロウン/スパンボンド基材のような1つ以上のスパンボンド繊維の層を包含する不織布基材である。機械的活性化の間に、カーディングされた基材は、その伸長に対して比較的小さい抵抗を与え、その結果、このようなカーディングされた基材を包含する伸縮性積層体は、カーディングされた基材又はエラストマー材料若しくはフィルムの完全な破断を引き起こすことなく、事前に非常に歪みを与えられるか又は活性化されてよい。しかし、カーディングされた基材は、スパンボンド基材と比較してかなり高コストとなり得る。他方、スパンボンド基材は、積層体の機械的活性化の中にスパンボンド基材及び/又はエラストマー材料若しくはフィルムの破断を引き起こさずに伸長することがはるかに困難となる傾向がある。吸収性物品の製造者は、製造コストを下げ、製造の無駄を最少化するという絶え間ないプレッシャーを受けているために、以下に開示される伸縮性積層体は、従来の伸縮性積層体の好適な代替物となり得ると考えられる。上記の考察は、本開示によって対処され、詳細な開示から明らかになるであろう。
【0030】
伸縮性積層体は、スパンボンド繊維の層のような繊維の層における繊維強度から、時として伸縮が困難である。様々な添加剤又は充填剤が、様々な理由で、繊維(メルトブロウンかスパンボンドかにかかわらず)の形成に使用される組成物に添加されてきた。1つ以上の熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機充填剤又は添加剤とを含む組成物から形成された繊維の層(用語「充填剤」と「添加剤」は本明細書で互換可能に使用される)を伸縮性積層体に使用することで、機械的活性化の間に伸縮性積層体中のエラストマー材料に多数の孔を生じることなく、不織布基材のより優れた伸長が可能になることが発見された。想像できるように、伸長後に伸縮性積層体に現れる孔は望ましくない。これは、不織布基材とエラストマー材料又はフィルムとを含む活性化伸縮性積層体が、例えば吸収性物品の着用中に横断方向に伸張されるときに、特に重要である。伸縮性積層体の形成中、不織布基材は伸縮性積層体のエラストマー材料に孔形成を生じることなく構造的に修飾されるか又は機械的に活性化されるべきである。したがって、エラストマー材料に孔を生じる可能性のある過剰なエネルギーのエラストマー材料への伝達の発生を防止、又は少なくとも阻害するために、不織布基材の繊維を延長するか又は穏やかに破断する必要がある。無機充填剤を不織布基材に包含させることで、エラストマー材料へのエネルギー伝達の度合が低下し、それによってエラストマー材料における孔形成のリスクが低減する。更に、無機充填剤を不織布基材に使用すると、熱可塑性ポリマーと組み合わされる無機充填材料がカード繊維及び純粋なスパンボンド繊維よりも安価である点で、基材の生産コストが大幅に削減される場合がある。無機充填剤は、ポリプロピレンよりも安価である。したがって、繊維形成の前に無機充填剤をポリプロピレンと混合すると、コストが削減されると考えられる。
【0031】
一実施形態において、
図1を参照すると、伸縮性積層体10は、エラストマー材料30に結合された不織布基材20を含む。不織布基材20は、上部表面及び底部表面を有する少なくとも1つのスパンボンド繊維層120を含み、その結果、層120の底部表面が、接着剤によりエラストマー材料30の上部表面又は側部に結合されている。不織布基材20は、例えば少なくとも1つのメルトブロウン繊維層220(上部表面及び底部表面を有する)並びに少なくとも1つのスパンボンド繊維層320(同じく上部表面及び底部表面を有する)のような追加の層を含んでもよい。層220の上部表面は、層320の底部表面に面しており、層120の上部表面は、層220の底部表面に面している。
【0032】
スパンボンド繊維層120は、2g/m
2(gsm)〜50g/m
2、4g/m
2〜25g/m
2、5g/m
2〜20g/m
2、約13g/m
2、約17g/m
2、又は約20g/m
2の坪量を有してもよい。メルトブロウン繊維の層220は、0.5g/m
2〜10g/m
2、0.5g/m
2〜8g/m
2、1g/m
2〜5g/m
2、約13g/m
2、約17g/m
2、又は約20g/m
2の坪量を有してもよい。スパンボンド繊維の層320は、2g/m
2〜50g/m
2、4g/m
2〜25g/m
2、又は更には5g/m
2〜20g/m
2、具体的には本段落で指定した範囲内の0.1g/m
2刻みの値全てが挙げられる、坪量を有してもよい。本明細書に記載された基材のいずれかの坪量は、欧州不織布工業会(EDANA)法、40.3−90を使用して決定してもよい。本明細書に記載された個々の層、及び共に基材を形成する層のいずれかの坪量は、別個の層を形成するのに使用される繊維形成ビームの各々を順々に動作させ、次いで連続して形成される層の坪量をEDANA法40.3−90に従って測定することによって決定してもよい。一例として、スパンボンド/メルトブロウン/スパンボンドウェブ(第1のスパンボンド繊維層、メルトブロウン繊維層、及び第2のスパンボンド繊維層を含む)の層の各々の坪量は、メルトブロウン繊維層も第2のスパンボンド繊維層も形成することなく、最初に第1のスパンボンド繊維層を形成することによって決定してもよい。製造される不織布は第1のスパンボンド繊維層のみを含み、その坪量はEDANA法40.3−90に従って決定されてもよい。メルトブロウン繊維の層の坪量は、第1のスパンボンド繊維層を前工程と同一条件下で形成し、続いてメルトブロウン繊維層を第1のスパンボンド繊維層の上部に形成することによって決定されてもよい。スパンボンド/メルトブロウンウェブ(再度第1のスパンボンド繊維層及びメルトブロウン繊維層によって形成される)の凝集体坪量は、EDANA法40.3−90に従って決定されてもよい。第1のスパンボンド繊維層の坪量は既知であるため、スパンボンド/メルトブロウン基材の凝集体坪量の値から第1のスパンボンド繊維層の坪量の値を引くことによって、メルトブロウン繊維層の坪量を決定してもよい。第2のスパンボンド繊維層の坪量は、第1のスパンボンド繊維層及びメルトブロウン繊維層を前工程と同一条件下で形成し、続いて第2のスパンボンド繊維層をメルトブロウン繊維層の上部に形成することによって決定してもよい。EDANA法40.3−90に従って、スパンボンド/メルトブロウン/スパンボンド不織布の凝集体坪量を決定してもよい。スパンボンド/メルトブロウンウェブの坪量は既知であるため、スパンボンド/メルトブロウン/スパンボンドウェブの凝集体坪量の値からスパンボンド/メルトブロウンウェブの凝集体坪量の値を引くことによって、第2のスパンボンド繊維層の坪量を決定してもよい。基材を形成する個々の層の坪量を決定するために使用される前述の工程は、最終的な不織布基材に含まれる全ての層に適用されてもよい。前述したように、不織布基材20の凝集体坪量は、その個々の層各々の坪量の合計に等しい。
【0033】
図2に示されている一実施形態では、不織布基材の部分に面したエラストマー材料上に配置された基材20の部分(即ち、メルトブロウン繊維の層220とエラストマー材料30との間に配置された、不織布基材の部分)に、スパンボンド繊維の単一層120の代わりに、スパンボンド繊維の少なくとも2つの層1120、2120(各々が、上部表面及び底部表面を有する)を備えた不織布基材20を提供することが有利な場合がある。スパンボンド繊維の少なくとも2つの別個の層は、合わせた坪量がスパンボンド繊維の層120の坪量に等しく、かつ伸縮性積層体の少なくとも一部の活性化中に、この単一層120よりも高レベルの性能を提供し得ると考えられている。また、スパンボンド繊維の少なくとも2つの別個の層は、合わせた坪量がスパンボンド繊維の単一層120の坪量より少なく、かつ単一層120と同一レベルの性能を提供し得るとも考えられている。例として、スパンボンド繊維の層1120及び2120の各々は6g/m
2の坪量を有してもよく、これはスパンボンド繊維の単一層が少なくとも12g/m
2の坪量を有するのと対照的である。スパンボンド繊維の層1120及び2120の各々は、1g/m
2〜25g/m
2、2g/m
2〜12.5g/m
2、又は更には2.5g/m
2〜10g/m
2、具体的には上記範囲内の0.1g/m
2刻みの値全てが挙げられる、坪量を有してもよい。スパンボンド繊維の少なくとも2つの別個の層が、不織布基材20、特に不織布基材20のエラストマー材料に面した部分に、より大きい坪量均質性をもたらすと考えられている。いかなる理論にも束縛されるものではないが、不織布基材20のエラストマー材料に面した部分が、エラストマー材料30に直接結合されている基材の部分であるため、より均質な坪量は、エラストマー材料30へ伝搬しエラストマー材料30に引裂きを生じ得る機械的活性化の間に不織布基材20の局所的な微細な裂けを防止するのに役立ち得るとも考えられている。機械的活性化中の不織布基材20の局所的な微細な裂けが、不織布基材上に形成される微細な裂けの直近にあるエラストマー材料30部分の過伸長をもたらし得ると考えられている。このエラストマー材料30の過伸長は、特にエラストマー材料30がフィルムの場合に、エラストマー材料が引裂き又は破断されるという結果をもたらす可能性がある。不織布基材20のエラストマー材料に面した部分は、より一層大きい均質性を提供するために、より一層低い坪量を有する2つより多いスパンボンド繊維層を含んでもよいことを理解すべきである。
【0034】
一実施形態では、メルトブロウン繊維の単一層220の代わりに、基材20の中心部分に、メルトブロウン繊維の少なくとも2つの層1220、2220(それぞれ上部表面及び底部表面を有する)を備えた不織布基材20を提供することも有利となり得る。メルトブロウン繊維の少なくとも2つの別個の層1220、2220は、合わせた坪量がメルトブロウン繊維の層220の坪量に等しく、当該単一層220よりも高いレベルの性能を提供し得る。代替手段においては、メルトブロウン繊維の少なくとも2つの別個の層は、合わせた坪量が、メルトブロウン繊維の単一層220の坪量よりも小さく、当該単一層220と同レベルの性能を提供し得る。例として、メルトブロウン繊維の層1220及び2220の各々は1g/m
2の坪量を有してもよく、これはメルトブロウン繊維の単一層が少なくとも2g/m
2の坪量を有するのと対照的である。メルトブロウン繊維の層1220及び2220の各々は、0.25g/m
2〜5g/m
2、0.25g/m
2〜4g/m
2、又は更には0.5g/m
2〜2.5g/m
2、具体的には上記範囲内の0.1g/m
2刻みの値全てが挙げられる、坪量を有してもよい。メルトブロウン繊維の層220は、ウェブ20のエラストマー材料に面する部分内に配置された、スパンボンド繊維の層120又は1120、2120が、例えばホットメルト接着剤によって、エラストマー材料30に接着接合されている場合(概略的に、
図1及び
図2の丸点15で表される)に特に有利であり得る。メルトブロウン層220は、接着剤の、介護者又は着用者の皮膚と接触し得る層であるスパンボンド繊維320の層への到達、更には「しみ出し」を防止、又は少なくとも阻害し得ると考えられている。より小さい坪量を有するメルトブロウン繊維の2つの別個の層は、より大きい坪量を有するメルトブロウン繊維の単一層よりも、接着剤の「しみ出し」防止という点で、より効果的であると考えられている。更に、メルトブロウン繊維の層220は、ナノ繊維(即ち、1μm未満の直径を有する繊維)等の、追加のより小さい繊維のための「キャリア層」として便利に使用され得るとも考えられている。更に、均質な坪量を有するメルトブロウン繊維の層220は、接着剤コーティング、印刷インク、界面活性剤、及び/又は柔軟化剤等の不織布ウェブに適用された任意のコーティングのより均一な被覆の達成に役立ち得ると考えられている。不織布基材20の中心部分(即ち、基材の外層間に配置された基材部分)は、より一層大きい均質性を提供するために、より一層低い坪量を有するメルトブロウン繊維の2つの層1220、2220より多い層を含んでもよいことを理解すべきである。当業者は、スパンボンド繊維の層1120、2120の各々並びに層1220及び2220の各々を製造するために別個のビームを必要とする場合があるが、不織布基材の生産処理能力が増大し得ると考えられることも理解するであろう。
図2に示されている実施形態では、層1120の上部表面は、層2120の底部表面に面しており、層2120の上部表面は、層1220の底部表面に面しており、層1220の上部表面は、層2220の底部表面に面しており、層2220の上部表面は、層320の底部表面に面している。
【0035】
一実施形態では、スパンボンド繊維の単一層320の代わりに、エラストマー材料30(即ち、メルトブロウン繊維の層220の上部に配置された不織布基材の部分)から離れて面している基材20の部分に、少なくとも2つのスパンボンド繊維層を備えた不織布ウェブ20を提供することも有利であり得る。
【0036】
一実施形態では、エラストマー材料30は、エラストマー不織布基材又はエラストマーフィルムであってもよい。フィルム形態のエラストマー材料30は、不織布基材20のスパンボンド層120に直接結合されていてもよいコア層130を含んでもよい。コア層130は、エラストマー材料30を不織布基材20上に直接押出しすることによって、不織布基材20に直接結合されてもよい。エラストマー材料30と不織布基材20との間の結合強度を増大させるために、押出加工されるエラストマー材料の接触面上に接着剤を添加してもよい。好適なエラストマー材料の非限定例としては、スチレン系ブロックコポリマー、メタロセン触媒ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルアミド、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つから選択される熱可塑性エラストマーが挙げられる。好適なスチレン系ブロックコポリマーは、二元ブロック、三元ブロック、四元ブロック、又は少なくとも1つのスチレンブロックを有するその他の多元ブロックコポリマーであってよい。スチレン系ブロックコポリマーの例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン等が挙げられる。市販されているスチレンブロックコポリマーとしては、Shell Chemical Company(Houston,TX)のKRATON(登録商標)、Kuraray America,Inc.(New York,NY)のSEPTON(登録商標)、Dexco Polymers,LP(Houston,TX)のVECTOR(登録商標)が挙げられる。市販のメタロセン触媒ポリオレフィンとしては、Exxon Chemical Company(Baytown,TX)のEXXPOL(登録商標)及びEXACT(登録商標)、Dow Chemical Company)(Midland,MI)のAFFINITY(登録商標)及びENGAGE(登録商標)が挙げられる。市販のポリウレタンとしては、Noveon,Inc.(Cleveland,OH)のESTANE(登録商標)が挙げられる。市販のポリエーテルアミドとしては、Atofina Chemicals(Philadelphia,PA)のPEBAX(登録商標)が挙げられる。市販のポリエステルとしては、E.I.DuPont de Nemours Co.(Wilmington,DE)のHYTREL(登録商標)が挙げられる。その他の特に好適なエラストマー材料の例としては、エラストマーポリプロピレンが挙げられる。これらの材料において、プロピレンはポリマー主鎖の主要構成成分に相当し、その結果、残りの結晶化度は、ポリプロピレン結晶の特徴を有する。プロピレン系エラストマー分子ネットワークの中に埋め込まれた残りの結晶性構成要素は、物理的架橋として機能して、高い復元、低い固定及び低い力緩和のような弾力性のあるネットワークの機械的特性を改良するポリマー鎖固着能力を提供してもよい。エラストマーポリプロピレンの好適例としては、弾性ランダムポリ(プロピレン/オレフィン)コポリマー、立体エラー(stereoerror)を含むアイソタクチックポリプロピレン、アイソタクチック/アタクチックポリプロピレンブロックコポリマー、アイソタクックポリプロピレン/ランダムポリ(プロピレン/オレフィン)コポリマーブロックコポリマー、リアクターブレンドポリプロピレン、極低密度ポリプロピレン(又は、同様な意味合いで、超低密度ポリプロピレン)、メタロセンポリプロピレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。結晶性アイソタクチックブロック及び非晶質アタクチックブロックを含む好適なポリプロピレンポリマーが、例えば、米国特許第6,559,262号、同第6,518,378号、及び同第6,169,151号に記載されている。ポリマー鎖に沿って立体エラーを有する好適なアイソタクチックポリプロピレンが、米国特許第6,555,643号及び欧州特許第1256594(A1)号に記載されている。好適な例には、主鎖に組み込まれた低濃度のコモノマー(例えば、エチレン又は高級α−オレフィン)を有するプロピレンを含むエラストマーランダムコポリマー(RCP)が挙げられる。好適なエラストマーRCP材料は、商品名VISTAMAXX(登録商標)(ExxonMobil(Houston,TX)から入手可能)及び商品名VERSIFY(登録商標)(Dow Chemical(Midland,MI)から入手可能)として入手可能である。
【0037】
いくつかの実施形態において、エラストマー材料は、3.5μm/50μm/3.5μmのスキン/コア/スキン層厚さで共押出されてもよい。いくつかの実施形態において、スキン/コア/スキン層厚さは、例えば3.5μm/43μm/3.5μmであってもよい。一実施形態において、スキン層は、917g/cm
3の密度及び約2〜約30の範囲のメルト・インデックスを有するLDPE(低密度ポリエチレン)を20%、並びに917g/cm
3の密度及び約2〜約30の範囲のメルト・インデックスを有するLLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)を80%含んでもよく、具体的には上記範囲内の0.1刻みの値全てが挙げられる。スキン層は、上記に加えて又は上記の代わりに、他の組成物も含んでもよい。コアは、約45%のVECTOR(登録商標)8505(Dexco Polymers,LP(Houston,TX))からのSBS)、約40%のVECTOR(登録商標)7400(Dexco Polymers,LP(Houston,TX))からの油展SBS)、及び約15%のポリスチレン(Nova Chemicals(Pittsburgh,PA)からのPS3190)を含んでもよい。コアは、上記に加えて又は上記の代わりに他の組成物も、任意の好適な範囲で含んでもよい。
【0038】
エラストマー材料は、任意の特定の寸法に限定されることはなく、比較的薄い材料シートとして構成され得る。特定の実施形態では、エラストマー材料(フィルム)は、1μm〜1mm、3μm〜500μm、又は5μm〜100μm、又はこれらの範囲内の任意の値の厚さを有してもよい。エラストマーフィルムの好適な坪量範囲としては、20〜140g/m
2、例えば25〜100g/m
2、30〜70g/m
2、又は更には35〜45g/m
2が挙げられ、具体的には上記範囲内の0.5g/m
2刻みの値全てが挙げられる。エラストマー材料は、例えば、溶融熱可塑性及び/又は弾性ポリマーを、スリットダイを通して押出成形し、続けて押出されたシートを冷却する等の当該技術分野において既知の任意の好適な方法によって形成されてもよい。フィルムを作製する非限定的な他の例は、キャスティング、ブローイング、溶液キャスティング、カレンダリング、及び水性又はキャスト、非水性分散液からの形成を含む。ポリマー材料からフィルムを作製するのに好適な方法は、Plastics Engineering Handbook of the Society of the Plastics Industry,Inc.,Fourth Edition(1976)、156、174、180及び183ページに記載されている。
【0039】
本開示のエラストマー材料又はフィルムの形成に一般的に使用される材料は、粘着性で、エラストマー材料を巻いたときにそれ自体への張り付きを引き起こす可能性があることが理解されるであろう。コア層130の表面又は側部の少なくとも1つに、それ自体に張り付かない材料で作製された少なくとも1つのスキン層230を提供することが有益であり得る。スキン層として使用するのに好適な材料の非限定例としては、ポリエチレン等のポリオレフィンが挙げられる。その他の利点として、スキン層230は、出荷のためにエラストマー材料30を巻き取り、更なる加工のために後に広げることを可能にする。一実施形態では、エラストマー材料30又はフィルムは、コア層130の別の表面又は側面上に配置された第2スキン層を含んでもよい。エラストマー材料30又はフィルムは、10g/m
2〜150g/m
2、15g/m
2〜100g/m
2、又は更には20g/m
2〜70g/m
2、具体的には上記範囲内の0.1g/m
2刻みの値全てが挙げられる、坪量を有してもよい。エラストマー材料30のコア層130は、10g/m
2〜150g/m
2、15g/m
2〜100g/m
2、又は更には20g/m
2〜70g/m
2の坪量を有してもよく、スキン層230は(存在する場合)、0.25g/m
2〜15g/m
2、0.5g/m
2〜10g/m
2、又は更には1g/m
2〜7g/m
2、具体的には上記範囲内の0.1g/m
2刻みの値全てが挙げられる、坪数を有してもよい。
【0040】
一実施形態において、
図3を参照すると、
図2との関係において前述した伸縮性積層体10は、エラストマー材料30が不織布基材20と第2の不織布基材40との間、又は少なくとも部分的にこれらの間に配置されるように、エラストマー材料30の他の表面又は側面に結合した第2の不織布基材40を追加的に含んでもよい。第2の不織布基材40は、カード繊維の基材であってもよく、あるいは、スパンボンド及び/又はメルトブロウン繊維の層を少なくとも1つ含む不織布基材であってもよい。一実施形態では、第2の不織布基材40は、不織布基材20との関係において前述した層のいずれか(即ち、参照番号120、220、320、1120、2120、1220及び2220によって識別される不織布層)を含んでもよい。結果的に、第2の不織布基材40のエラストマー材料に面する部分は、1つ(1140)、2つ(1140、2140)又はそれ以上(1140、2140、340)のスパンボンド繊維層を包含してもよい。第2の不織布ウェブ40の中心部分は、1つ(1240)、2つ(1240、2240)又はそれ以上のメルトブロウン繊維層を含んでもよい。一実施形態において、不織布基材40は、エラストマー材料30を基準にして不織布基材20の鏡像、又は実質的に鏡像を形成するように、エラストマー材料30に結合される。このため、伸縮性積層体10の製造プロセスを簡略化するために、不織布基材20及び40の各々が、同一材料で製造され、かつ同一配置の層を含んでいることが有利となり得る(但し、必須ではない)。
【0041】
一実施形態において、前記スパンボンド繊維の不織布層120、320、340、1120、1140、2120、及び2140のいずれかが1つ以上の熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機充填剤とを含む組成物を含むか又は該組成物から形成されてもよい。同様に、前述のメルトブロウン繊維の不織布層220、1220、1240、2220、及び2240は、1つ以上の熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機充填剤とを含む組成物を含むか又は該組成物から形成されてもよい。一実施形態において、不織布基材は、熱可塑性ポリマーと無機充填剤とを含む組成物から形成されているスパンボンド繊維と、熱可塑性ポリマーのみを含んで無機充填剤を含まないメルトブロウン繊維とを含んでもよい。種々の実施形態において、組成物は、例えば2種類のポリオレフィンのような1つ以上の熱可塑性ポリマーを含んでもよい。
【0042】
本開示に使用してもよい熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、又はハロゲン含有ポリマーである。これらの熱可塑性ポリマーは、一緒に使用しても別々に使用してもよい。ポリオレフィンの分類には、特に、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE、VLDPE;ULDPE、UHMW−PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(1−ブテン)、ポリイソブチレン、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(4−メチルペンタ−1−エン)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、並びに種々のオレフィンコポリマーが包含される。これらに加えて、異相ブレンドもポリオレフィンに包含される。例えば、ポリオレフィン、特にポリプロピレン又はポリエチレン、ポリオレフィンとα、β−不飽和カルボン酸又はカルボン酸無水物とから生成するグラフト若しくはコポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリアミド又は前記化合物の2つ以上の混合物を使用してもよい。
【0043】
ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene aphthalate)(PEN)を包含するが、ポリ乳酸(ポリラクチド、PLA)のような分解性ポリエステルも包含する。
【0044】
ハロゲン含有繊維形成ポリマーは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を包含する。
【0045】
すでに述べた繊維形成合成ポリマーに加えて、例えばポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、又はポリ尿素のような他のポリマーが存在し、これらを本開示の熱可塑性ポリマー繊維の一成分とみなしてもよい。
【0046】
無機充填剤は、1つ以上の熱可塑性ポリマーの組成物に(メルトブロウン又はスパンボンドのいずれかによる繊維形成の前に)、組成物の約1重量%〜約25重量%、約3重量%〜約20重量%、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約15重量%、約8重量%〜約12重量%、約5重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約11.5重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、及び約15%の濃度、具体的には上記範囲内の0.1%刻みの値全てが挙げられる濃度で、存在してもよい。したがって、繊維の形成に使用される組成物は、上記の重量パーセントの無機充填剤を有し、残部は1つ以上の融解、溶融、及び/又は流動可能な熱可塑性ポリマーである。いくつかの実施形態において、無機充填剤はその融解温度が少なくともいくつかの熱可塑性ポリマーの融解温度と比べて高いために、溶融熱可塑性ポリマーに浸漬及び混合したときに固体粒子のままである場合がある。他の実施形態において、無機充填剤材料は、溶融熱可塑性ポリマーに浸漬及び混合したときに固体粒子のままでなくてもよい。
【0047】
本開示の繊維を形成するために使用される組成物を作製するために、1つ以上の溶融熱可塑性ポリマーのバッチを、無機充填剤/熱可塑性ポリマーの混合物と共に投与するか又は単に100%無機充填剤と共に直接投与してもよい。一実施形態において、この投与混合物は任意の好適な比を有してもよく、例えば70%の無機充填剤対30%の熱可塑性ポリマーという比であってもよい。30%の熱可塑性ポリマーは、70%の無機充填剤を封入又は担持するために溶融され、融解され、及び/又は流動可能であってもよい。無機充填剤対熱可塑性ポリマーの他の比も溶融熱可塑性ポリマーのバッチの投与に使用してもよく、本開示の範囲内である。70%/30%無機充填剤/熱可塑性ポリマー混合物中の熱可塑性ポリマーは、その混合物が添加されている溶融熱可塑性ポリマーと同じポリマーでも異なるポリマーでもよい。一実施形態において、混合物は約70%/30%CaCO
3/ポリプロピレン混合物であってもよく、バッチの溶融熱可塑性ポリマーはポリプロピレンであってもよい。例えば、CaCO
3が15重量%の組成物を製造することが望ましい場合、約21.4%の投与量の70/30CaCO
3/ポリプロピレン混合物を溶融ポリプロピレンのバッチに添加する(即ち、15%=0.7(X%(投与パーセント))、したがってX%=21.4投与パーセント)。組成物中に存在するCaCO
3のパーセントを計算し、それによって形成された繊維中のパーセントを計算するには、投与パーセントに0.7を乗じる(即ち、21.4%(投与パーセント)×0.7=組成物中に15%)。当然、60%/40%の比の無機充填剤/熱可塑性ポリマー混合物を投与に使用した場合、0.6が上記の式に使用する数字となり、その他も同様である。不織布製造ラインのオペレーターは、本開示の無機充填剤を含むスパンボンド若しくはメルトブロウン繊維及び/又は層を製造するためにそのプロセスの具体的な設定を最適化してもよい。
【0048】
本開示の不織布基材の繊維(例えば、メルトブロウン又はスパンボンド)のそれぞれが1つの直径を有してもよい。繊維中の無機充填剤の粒子の最大粒径又は平均粒径は、繊維の直径の約95%未満若しくは95%、約90%未満若しくは90%、約85%未満若しくは85%、約80%未満若しくは80%、約75%未満若しくは75%、約60%未満若しくは60%、約50%未満若しくは50%、約40%未満若しくは40%、約30%未満若しくは30%、約25%未満若しくは25%、又は約20%未満若しくは20%であってもよいが、ゼロよりも大きい。他の実施形態において、無機充填剤の粒子の最大粒径又は平均粒径は、繊維の直径の1%〜99%、1%〜90%、5%〜90%、1%〜60%、10%〜90%、20%〜95%、20%〜90%、若しくは30%〜90%の範囲、又は約65%、60%、55%、50%、45%、35%、30%、25%、20%、15%、若しくは10%であり、具体的には上記範囲内の0.1%刻みの値全てが挙げられる。一実施形態において、無機充填剤の最大粒径は繊維の直径よりも大きく、例えば繊維の直径の101%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、又は101%〜200%の範囲であり、具体的には前記範囲内の0.5%刻みの値全てが挙げられる。一実施形態において、形成された繊維中の無機充填剤の各粒子は、約0.1ミクロン〜約19ミクロン、約0.5ミクロン〜約18ミクロン、約1ミクロン〜約15ミクロン、約18ミクロン未満、約16ミクロン未満、約15ミクロン未満、約14ミクロン未満(less than 14 about microns)、約0.5ミクロン〜約14ミクロン、約2ミクロン〜約10ミクロン、約3ミクロン〜約8ミクロン、及び約1.4ミクロン、具体的には前記範囲の0.1ミクロン刻みの値全てが挙げられる、最大粒径又は平均粒径を有する。
【0049】
一実施形態において、吸収性物品用の伸縮性積層体が提供される。伸縮性積層体は、少なくとも1つのスパンボンド繊維の層と、任意追加的に、少なくとも1つのメルトブロウン繊維の層とを含む不織布基材を含んでもよい。複数又は全部のスパンボンド繊維が1つ以上の熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機充填剤とを含む組成物から形成されてもよい。スパンボンド繊維は1つの直径を有し、繊維の各々の中の1つ以上の無機充填剤は、スパンボンド繊維の直径の90%未満(又は本明細書に記載の他の粒径)である最大又は平均粒径(即ち、最長寸法)を有する。伸縮性積層体は、不織布基材の側面又は第1側面に接合したエラストマー材料を含んでもよい。例示的実施形態として、無機充填剤の最大又は平均粒径は、約1ミクロン〜約15ミクロン又は約3ミクロン〜約8ミクロンの範囲であってもよい。
【0050】
一実施形態において、無機充填剤は、例えば炭酸カルシウムのような、アルカリ土類炭酸塩を含んでもよい。炭酸カルシウムは通常、天然の白亜鉱床から得られ、地域の地質学的条件が白亜中の追加鉱物の含有量を決定することが理解されるべきである。したがって、酸化鉄のような金属酸化物も、例えば他のアルカリ土類炭酸塩に加えて、白亜に含有される場合がある。
【0051】
異なるアルカリ土類炭酸塩又は2つ以上のこれらの化合物の混合物の使用も、当然考えられる。特に、炭酸カルシウム(CaCO
3)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、及び/又は炭酸バリウム(BaCO
3)が提案される。いくつかの実施形態において、無機充填剤は少なくとも90重量%、95重量%、又は97重量%の炭酸カルシウムを含んでもよい。
【0052】
そのうち1つ以上がアルカリ土類炭酸塩との併用により又は併用せずとも有用である追加の充填剤としては、酸化鉄、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、微粉末シリカ、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、硫酸バリウム(BaSO
4)、硫酸マグネシウム(MgSO
4)、硫酸アルミニウム(AlSO
4)、又は水酸化アルミニウム(AlOH
3)が挙げられる。粘土(カオリン)、ゼオライト、珪藻土、タルク、雲母、又はカーボンブラックも考慮される。二酸化チタン(TiO
2)も無機充填剤として使用してよい。ただし、炭酸カルシウム含有量が高くなると、つや消し剤二酸化チタン(TiO
2)の添加が完全に不要となる場合がある。二酸化チタンは炭酸カルシウムよりも高価であり、コスト面での追加の利点が得られることから、この状況は本開示に関して注目に値する。
【0053】
いくつかの実施形態において、無機充填剤は、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムのようなアルカリ土類ハロゲン化物、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムのようなアルカリ土類酸化物、及び硫酸カルシウム及び硫酸マグネシウムのようなアルカリ土類硫酸塩であってもよい。その他の実施形態において、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムのようなアルカリ炭酸塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、及び塩化カリウムのようなアルカリハロゲン化物並びに硫酸ナトリウム及び硫酸カリウムのようなアルカリ硫酸塩であってもよい。本明細書に記載の無機充填剤のいかなる組合せも使用してもよい。更に他の実施形態において、いかなる他の好適な無機又は有機充填剤材料も、本開示に使用してよい。
【0054】
図4は、不織布基材の一部のSEM(走査電子顕微鏡)写真であり、その不織布基材のスパンボンド層の繊維はポリプロピレンと組成物の約5重量%の炭酸カルシウムとを含む組成物から形成されている。
図5は、不織布基材の一部のSEM写真であり、その不織布基材のスパンボンド層の繊維はポリプロピレンと組成物の約10重量%の炭酸カルシウムとを含む組成物から形成されている。
図6は、不織布基材の一部のSEM写真であり、その不織布基材のスパンボンド層の繊維はポリプロピレンと組成物の約15重量%の炭酸カルシウムとを含む組成物から形成されている。
図7は、不織布基材の一部のSEM写真であり、その不織布基材のスパンボンド層の繊維はポリプロピレンと組成物の約20重量%の炭酸カルシウムとを含む組成物から形成されている。
図8は、約13gsmである不織布基材のスパンボンド層の2本の繊維の断面SEM写真であり、その繊維はポリプロピレンと組成物の約11.5重量%の炭酸カルシウムとを含む組成物から形成されている。
図9は、約13gsmである不織布基材の一部のSEM写真であり、その不織布基材のスパンボンド層の繊維はポリプロピレンと組成物の約11.5重量%の炭酸カルシウムとを含む組成物から形成されている。
【0055】
一実施形態において、炭酸カルシウムのような無機充填剤は、例えば少なくとも1種の有機材料でコーティングされていてもよい。少なくとも1種の有機材料は、ステアリン酸、並びに例えばステアレートのようなその塩及びエステルを含むがこれらに限定されない脂肪酸から選択されてもよい。別の実施形態において、少なくとも1種の有機材料は、ステアリン酸アンモニウムであってもよい。別の実施形態において、少なくとも1種の有機材料は、ステアリン酸カルシウムであってもよい。更に別の実施形態において、少なくとも1種の有機材料は、脂肪酸の塩及びエステルであってもよい。Imerys,Inc.が販売するFiberLink(商標)101 Sは、ステアリン酸でコーティングされた炭酸カルシウムの非限定例である。無機充填剤を少なくとも1種の有機材料で表面コーティングすると、充填剤粒子の繊維全体への分散が改良され、全体的な繊維製造が促進される場合がある。
【0056】
本開示の繊維への使用に好適なコーティングされた炭酸カルシウム製品としては、限定するものではないが、市販の製品が挙げられる。一実施形態において、コーティングされた炭酸カルシウムは、Imerys,Inc.からFiberLink(商標)101S及び103Sの商品名で販売されている製品から選択される。別の実施形態において、コーティングされた炭酸カルシウムは、Mississippi Lime CompanyからMAGNUM GLOSS(登録商標)の商品名で販売されている製品である。更なる実施形態において、コーティングされた炭酸カルシウムは、Specialty Minerals,Inc.からALBAGLOS(登録商標)の商品名で販売されている製品である。更に別の実施形態において、コーティングされた炭酸カルシウムは、OMYA,Inc.からOMYACARB(登録商標)の商品名で販売されている製品である。なお更なる実施形態において、コーティングされた炭酸カルシウムは、Huber,Inc.からHUBERCARB(登録商標)の商品名で販売されている製品である。更に別の実施形態において、コーティングされた炭酸カルシウムは、Imerys,Inc.からSUPERCOAT(登録商標)の商品名で販売されている製品である。市販のコーティングされた炭酸カルシウム製品は、規定された粒径を有する乾燥粉末の形態で入手可能な場合があるが、全ての市販のコーティングされた炭酸カルシウム製品が本開示に従う使用に適した粒径及び分布を示すとは限らない。無機充填剤の粒径は、本明細書に開示される不織布繊維に有効に組み込むことができる充填剤の最大量、並びに得られる製品の審美性及び強度に影響する場合がある。他の実施形態において、無機充填剤は何らかの材料でコーティングされていなくてもよく、他の無機材料でコーティングされてもよい。
【0057】
一実施形態において、前記スパンボンド繊維又はメルトブロウン繊維の不織布層のいずれかは、1つ以上の熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機充填剤とを含む2成分又は多成分繊維を含むか又は該繊維から作製されてもよい。いくつかの実施形態において、スパンボンド繊維のみが、2成分又は多成分繊維を含むか又は該繊維から作製されてもよい。
図10を参照すると、繊維50は各々コア150とシース250とを含んでもよい。コア150は、熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機充填剤とを含む組成物から形成されてもよい。一実施形態において、熱可塑性ポリマーはポリプロピレンのようなポリオレフィンを含むか又はポリオレフィンであってもよく、無機充填剤は炭酸カルシウムを含むか又は炭酸カルシウムであってもよい。コア150は、本明細書に記載のように、別の熱可塑性ポリマーと別の無機充填剤とを含む組成物からも形成されてよい。シース250は、ポリオレフィンのような1つ以上の熱可塑性ポリマーを含んでもよく、無機充填剤をほとんど含まない(例えば、10%未満、5%未満、1%未満、若しくは0.5%未満)か又は全く含まなくてもよい。コア150の作製に使用されるポリオレフィンは、シース250の作製に使用されるポリオレフィンと異なっていても同じでもよい。2種のポリオレフィンを使用する場合、両方のポリオレフィンが異なる融点及び異なる引張特性を有してもよい。一実施形態では、2成分繊維を形成するために使用される2種のポリオレフィンポリマーの各々は、実質的に非弾性であってもよい。2種のポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレンとポリエチレンであってもよい。一実施形態において、シース250のシースは1%未満の無機充填剤を含んでもよく、シースの熱可塑性ポリマーはポリエチレンを含んでもよく、コアの熱可塑性ポリマーはポリプロピレンを含んでもよい。2成分繊維は、当該技術分野において既知の任意の構成を有してもよいが、
図10で表されているような、シース250とは異なるコア150を有する2成分繊維50は、特に、コア150が第1溶融温度を有する第1ポリマーを含み、シース250が当該第1ポリマーの溶融温度よりも低い第2溶融温度を有する第2ポリマーを含む場合に、有利であり得ると考えられる。一実施形態において、コアを形成する第1ポリマーの溶融温度は、少なくとも130℃、少なくとも140℃、又は更には少なくとも150℃であってもよい。シースを形成する第2のポリマーの溶融温度は、150℃未満、140℃未満、又は更には130℃未満であってもよい。ポリマーの溶融温度は、ASTM D 3418に従って決定され得る。一実施形態では、コア150を形成する第1ポリマーは、少なくとも0.9g/cc、少なくとも0.92g/cc、又は少なくとも0.95g/ccの密度を有してもよい。シース250を形成する第2ポリマーは、0.95g/cc未満、0.92g/cc未満、又は0.9g/cc未満の密度を有してもよい。ポリマーの密度は、ASTM D 792に従って決定され得る。無機充填剤を含むコアと無機充填剤を含まないか実質的に含まないシースとを有する2成分又は多成分繊維は、機械的活性化又はその他の加工段階において無機充填剤が吸収性物品製造装置の劣化を防止するか又は少なくとも阻害する場合がある。更に、吸収性物品製造装置の、無機充填剤に由来する汚染も低減する場合がある。一実施形態において、伸縮性積層体中の不織布基材は、その中の2つ以上のスパンボンド層を含んでもよい。吸収性物品製造装置と接触するスパンボンド層は、無機材料をほとんど又は全く含有しなくてもよいが、不織布基材の中央にあるか又はエラストマー材料に隣接する他のスパンボンド層は、3重量%〜25重量%の無機充填剤を含んでもよい。吸収性物品製造装置に接触するスパンボンド層が無機充填剤をほとんど又は全く有さないことから、伸縮性積層体内のスパンボンド層のこの種の層化は、いずれも無機充填剤によって引き起こされる可能性のある吸収性物品製造装置の摩耗又は吸収性物品製造装置の汚染の低減に有用となり得る。伸縮性積層体及び/又は不織布基材内でのスパンボンド層のこのような位置付けは、本明細書で論じる1成分繊維(すなわち、コア/シースのない熱可塑性ポリマー及び無機充填剤)にも同様に当てはまる。2成分繊維の実施形態において、コアは重量で第1の量の無機充填剤を含んでもよく、シースは重量で第2の量の無機充填剤を含んでもよい。第1の量は、第2の量と同じでも異なってもよい。2成分又は多成分繊維及びその製造方法に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2009/0104831号、同2010/0262107号、同2010/0262105号、同2010/0262102号、及び同2010/0262103号に見出される。
【0058】
一実施形態において、2成分又は多成分繊維は、例えばエラストマー熱可塑性デンプン、樹脂(例えば、VISTAMAXX(登録商標)(ExxonMobil(Houston,TX)より入手可能)、及び/又はポリ乳酸のような、1つ以上のエラストマー熱可塑性ポリマーを含む組成物から形成されているコアを含んでもよい。エラストマー熱可塑性ポリマーは、コアの形成に使用した場合、一般的な熱可塑性ポリマーよりも優れた伸縮特性を提供する場合がある。好適なエラストマー熱可塑性ポリマーは、Autran et al.に対する米国特許第7,491,770号に開示されている。その他の好適なエラストマー熱可塑性ポリマーは、当業者に既知のものである。組成物は、エラストマー熱可塑性ポリマーに加えて、ポリプロピレン及び無機充填剤(例えば、アルカリ土類炭酸塩)も含んでよい。繊維のシースは、熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機充填剤とを含む組成物から形成されてもよい。無機充填剤は、組成物中に、組成物の5重量%〜15重量%又は5重量%〜20重量%、具体的には上記範囲内の0.5%刻みの値全てが挙げられる濃度で存在してもよい。一実施形態において、熱可塑性ポリマーはポリプロピレンであってもよく、無機充填剤はアルカリ土類炭酸塩であってもよい。本開示の繊維(例えば、スパンボンド繊維)は、これらの2成分又は多成分繊維を含んでもよい。
【0059】
無機充填剤と熱可塑性ポリマーとを含む組成物から作製された繊維は、熱可塑性ポリマーのみを含む組成物から作製した繊維の密度よりも大きい密度を有する。これは、無機充填剤は熱可塑性ポリマーの密度よりも大きい密度を有するという事実によるものである。一実施形態において、無機充填剤は炭酸カルシウムを含むか又は炭酸カルシウムであり、熱可塑性ポリマーはポリプロピレンを含むかポリプロピレンである。このような実施形態において、炭酸カルシウムの密度は、ポリプロピレンの密度よりも大きい。無機充填剤を含む繊維は、無機充填剤を含まない繊維及び熱可塑性ポリマーのみを含む繊維よりも高密度であるという事実から、2つの不織布基材が同じ坪量を有する場合、熱可塑性ポリマーのみを含む繊維から形成された不織布基材と比較して、無機充填剤を含む繊維から形成された不織布基材に存在する繊維は少ないと予想される。
【0060】
本開示の様々な不織布基材において、1つ以上のスパンボンド層は1つ以上の無機充填剤を含む繊維を含んでもよい。一実施形態において、不織布基材、例えばSSS不織布基材中にメルトブロウン層が存在しなくてもよい。いくつかの実施形態において、不織布基材のメルトブロウン層は無機充填剤を含まないか又は少量の無機充填剤(例えば、10%未満、5%未満、又は1%未満)を含む繊維を含んでもよい。一実施形態において、不織布基材の1つ以上のメルトブロウン層は、同じ不織布基材中の1つ以上のスパンボンド層よりも少ない無機充填剤を含む繊維を含んでもよい。メルトブロウン繊維が無機充填剤を含む場合、メルトブロウン繊維のサイズがスパンボンド繊維と比べて小さいため、メルトブロウン繊維内の無機充填剤の平均粒径及び/又は最大粒径は、スパンボンド繊維のいずれかに存在する無機充填剤の平均粒径及び/又は最大粒径よりも小さくてもよい。他の実施形態において、スパンボンド繊維内の無機充填剤の粒径範囲は、メルトブロウン繊維内の無機充填剤の粒径範囲よりも大きくても、小さくても、又は異なっていてもよい。スパンボンド繊維内の無機充填剤は、メルトブロウン繊維内の無機充填剤と同じでも異なっていてもよい。同様に、スパンボンド繊維中の熱可塑性ポリマーは、メルトブロウン繊維中の熱可塑性ポリマーと同じでも異なっていてもよい。不織布基材は、カード繊維の層を含んでも、いかなるカード繊維も含まなくてもよい。一実施形態において、不織布基材中のスパンボンド繊維は重量で第1の量の1つ以上の無機充填剤、例えば炭酸カルシウムを有してもよく、不織布基材中のメルトブロウン繊維は、重量で第2の量の1つ以上の無機充填剤を有してもよい。第1の量は、第2の量と同じでも、第2の量より多くても少なくてもよい。1つ以上の無機充填剤は、同じでも異なっていてもよい。不織布基材の一実施形態において、スパンボンド繊維及びメルトブロウン繊維の1つ又は両方は、コア及びシースを含む2成分繊維を含んでもよい。不織布基材のその他のいくつかの実施形態において、スパンボンド繊維の異なる層は、異なる無機充填剤を含むか又は重量で異なる量の無機充填剤を含んでもよい。
【0061】
一実施形態において、本開示の不織布基材は、エラストマー材料と別々に使用してもよい。いくつかの用途は、生理用ナプキンのトップシート若しくはその他の部分又はおむつのような吸収性物品の有孔トップシート又はその他の部分であってもよい。不織布基材は、他の製品用途にも使用してよい。不織布基材は、機械活性化又はSELF加工されてもよい。用語「SELF」は、Procter & Gamble Companyの技術を指し、SELFは、Structural Elastic Like Filmの略である。SELFによって作り出されるプロセス、装置、及びパターンは、米国特許第5,518,801号、同第5,691,035号、同第5,723,087号、同第5,891,544号、同第5,916,663号、同第6,027,483号、及び同第7,527,615(B2)号に図示及び記載されている。このプロセスは、当初は開口部を作製せずに高分子フィルムを変形させる歯の形状を使用して開発されたが、前端及び後端に開口部を有するタフト(不織布基材の場合)又はテント(フィルムの場合)の形成に更に寄与する他の歯の形状が開発されている。SELF加工を使用して不織布ウェブ内に開口部を有するタフトを形成するプロセスは、米国特許第7,682,686(B2)号に開示されている。
【0062】
一実施形態において、熱可塑性ポリマーの密度は無機材料の密度よりも低い。熱可塑性ポリマーの密度は、無機材料の密度よりも1%〜99%又は20%〜90%低くてもよく、具体的には上記範囲内の0.1%刻みの値全てが挙げられる。熱可塑性ポリマーの密度は、無機材料の密度よりも95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、37%、36%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、3%、又は1%低くてもよい。
【0063】
一実施形態において、1つ以上の熱可塑性ポリマーのみを有する組成物から形成した繊維の密度は、1つ以上の熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機材料とを有する組成物から形成された繊維の密度よりも低くてもよい。1つ以上の熱可塑性ポリマーのみを有する繊維の密度は、1つ以上の熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機材料とを有する繊維の密度よりも1%〜99%又は20%〜90%低くてもよく、具体的には上記範囲の0.1%刻みの値全てが挙げられる。1つ以上の熱可塑性ポリマーのみを有する繊維の密度は、1つ以上の熱可塑性ポリマーと1つ以上の無機材料とを有する繊維の密度よりも95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、37%、36%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、3%、又は1%低くてもよい。
【0064】
一実施形態において、ポリプロピレンの密度は約0.91g/m
3であり、コーティングされていない炭酸カルシウムの密度は約2.71g/m
3である。
【0065】
伸縮性積層体の機械的活性化:
以前に開示された伸縮性積層体のいずれかを、その伸縮性積層体を形成する不織布基材又はエラストマー材料の全てが一緒に結合されたときに失った弾性の一部を伸縮性積層体が回復するように機械的に活性化して(即ち、事前に歪みを与えて)もよい。伸縮性積層体を機械的に活性化するためのプロセスの非限定的な実施例は、
図11及び12に概略的に表されている。それらの図に示された装置は、少なくともある程度お互いに相補的な3次元表面を有する一対の圧力アプリケータ34、36を含む。圧力アプリケータ(又はローラー)は、他方の圧力アプリケータの凹部136に対応する少なくとも1つの係合部又は歯134(複数の場合もある)を含む。圧力アプリケータは、他方の圧力アプリケータ上の対応する凹部136及び係合部又は歯236と噛み合い得る、複数の係合部又は歯134及び凹部234を包含してもよい。伸縮性積層体が圧力アプリケータ34、36間を通過する際に、伸縮性積層体の一部に歪が与えられる。伸縮性積層体は、それが圧力アプリケータから「出た」際に弛緩され、その元の幅に実質的に戻ることができる。機械的活性化の度合は、係合部及び凹部の数並びに伸縮性積層体上の圧力アプリケータの係合深さを変化させることによって調整してよい。伸縮性積層体を機械的に活性化させるための他のプロセスを使用しても、同じメリットが依然として得られることを、当業者は理解するであろう。
【0066】
圧力アプリケータ34及び36のそれぞれの係合部134及び236の噛合部の一部を示す
図12を参照すると、用語「ピッチ」とは、係合部に隣接した頂点間の距離を意味する。ピッチは0.51〜7.62mm(約0.02〜約0.30インチ)であってもよく、又は1.27〜3.81mm(約0.05〜約0.15インチ)であり、具体的には指定範囲内の0.01刻みの値全てが挙げられる.歯の高さ(又は深さ)は、歯の底部から歯の頂点まで測定され、全ての歯について等しくてもよい。歯の高さは約2.54mm(0.10インチ)〜22.9mm(0.90インチ)であってもよく、具体的には指定範囲内の1.27mm(0.05インチ)刻みの値全てが挙げられ、約6.35mm(0.25インチ〜12.7mm(0.50インチ)であってもよい。一方の圧力アプリケータの係合部134は、他方の圧力アプリケータの係合部236からピッチの半分がオフセットされてもよく、その結果、一方の圧力アプリケータの係合部(例えば、係合部134)は、対応する圧力アプリケータの係合部間にある凹部136(又は谷部)内で噛み合う。オフセットは、圧力アプリケータが「係合」又は噛合して、お互いに対して操作位置にある場合に、2つの圧力アプリケータの噛合を可能にする。一実施形態では、対応する圧力アプリケータの係合部は、部分的にのみ噛合している。対向する圧力アプリケータ上の係合部が噛み合う程度は、本明細書では、係合部の「係合深さ」又は「DOE」と呼ばれる。
図12に示すように、DOEは、対応する圧力アプリケータの係合部の頂点が同一面内にある(係合0%)面P1によって示される位置と、1つの圧力アプリケータの係合部の頂点が、対向する圧力アプリケータの凹部に向けて面P1を越えて内側に伸びる面P2により示される位置との間の距離である。特定の積層体のための最適な又は効果的なDOEは、係合部の高さ及びピッチ並びに伸縮性積層体の材料に依存する。他の実施形態では、噛み合いロールの歯は、対向ロールの谷部分と位置合わせする必要がない。即ち、歯は、わずかなオフセットから大きなオフセットの範囲で、ある程度まで谷部分と位相がずれていてもよい。
【0067】
伸縮性積層体は、第1の圧力アプリケータの組上で第1のDOEを用いて機械的に活性化され、その後第2の圧力アプリケータの組上で第2のDOEを用いて再度機械的に活性化されてもよい。第2のDOEは、第1のDOEと同じでも第1のDOEより大きくてもよい。第2のDOEの機械的活性化は、第1のDOEの機械的活性化の下流で起こってもよい。別の言い方をすれば、第1のDOEを用いる機械的活性化は、伸縮性積層体を第1の範囲まで伸張し、第2のDOEを用いる機械的活性化は伸縮性積層体を第2の範囲まで伸張し、この第1の範囲は第2の範囲よりも小さいか又は第2の範囲と同じである。DOEは一般的にmm単位で論じられ、一実施形態において、例えば約4mm〜約7mmの範囲であってもよい。
【0068】
不織布基材又はエラストマー材料のいずれかを含む本明細書で論じる伸縮性積層体は、テープ型おむつ、パンツ、成人用失禁製品、生理用ナプキン又は任意のその他の物品のような、その上に弾性的に伸縮可能な部分を少なくとも一部分有することで利益を得る可能性のある使い捨て吸収性物品の使用に適応されてもよい。一実施形態では、耳部又はサイドパネルをこのような伸縮性積層体から切り取ってもよく、耳部又はサイドパネルの1つの側縁部は、使い捨て吸収性物品のシャーシに接合されてもよい。後側腰部区域170、股部270及び前側腰部区域370を含む使い捨て吸収性物品70が、
図13に概略的に表されている。少なくとも部分的に伸縮性積層体で形成されている1組の耳部75又はサイドパネルは、それぞれの近接縁部に沿ってそれぞれ使い捨て吸収性物品70の左側及び右側に取り付けられている。複数の拡張ホック又は接着剤を含む機械式締着具等の締着具74を、耳部又はサイドパネルの遠位側縁部周辺の耳部又はサイドパネルの一部に接続してもよい。このような締着具74は、伸縮性積層体と組み合わされて、着用者の胴体下部周りの吸収性物品の適切な配置及び装着を提供し得る。締着具74は、前腰部の定着領域76と係合されてもよい。別の実施形態において、任意のこのような伸縮性積層体を吸収性物品用の一体型の外カバー又はバックシートとして使用してもよい。
【0069】
本開示の伸縮性積層体は、吸収性物品の耳部75又はサイドパネルとして使用され、その伸縮性積層体又は不織布基材の機械方向が総じて吸収性物品70の長手方向軸線「Long A」に平行となるように、吸収性物品70に接合されてもよい。伸縮性積層体の不織布層又は不織布基材は、横断方向に加えられた張力と比較したときに、機械方向の張力に対して、より抵抗性がある。結果として、吸収性物品を装着する際、伸縮性積層体をより拡張しやすくするため、ユーザー又は介護者が耳部75又はサイドパネルを横断方向に拡張するように、伸縮性積層体を吸収性物品上に位置付けることが望ましい。
【0070】
図14を参照すると、使い捨て吸収性物品70の典型的なシャーシは、液体透過層又はトップシート470、液体不透過層又はバックシート570及び液体透過層470と液体不透過層570との間に配置された吸収性コア670を包含してもよい。少なくとも部分的に本開示の伸縮性積層体で形成された耳部75又はサイドパネルは、液体透過層470、液体不透過層570及び/又は吸収性コア670のいずれかに接合されてもよい。耳部75又はサイドパネルは、吸収性物品70の他の部分にも接合されてよい。吸収性物品は、例えばレッグカフのような、このような吸収性物品に好適であって当該技術分野において一般的に知られている形成部も包含してもよい。
【0071】
一実施形態において、吸収性物品は、液体透過層、液体不透過層、液体透過層と液体不透過層との間に配置された吸収性コアを含んでもよい。吸収性物品は、液体透過層、液体不透過層、及び吸収性コアのいずれかに接合した伸縮性積層体も含んでもよい。伸縮性積層体は、本開示の任意の伸縮性積層体であってもよい。いくつかの実施形態において、伸縮性積層体はスパンボンド繊維の層を含む不織布基材を含んでもよく、その際複数又は全部のスパンボンド繊維が、ポリオレフィンと無機充填剤とを含む組成物から形成されている。無機充填剤は、組成物中に、組成物の約5重量%〜約20重量%の割合又は本明細書に開示される任意の他の割合で存在してもよい。伸縮性積層体は、不織布基材の側面又は第1側面に接合したエラストマー材料も含んでもよい。伸縮性積層体は、不織布基材と反対側にエラストマー材料に接合した第2の不織布基材を含んでもよい。第2の不織布基材は、カード繊維の層を含んでもよく、無機充填剤はアルカリ炭酸塩を含んでもよく、ポリオレフィンはポリプロピレンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2の不織布基材はスパンボンド繊維の層を含んでもよく、その際複数のスパンボンド繊維が熱可塑性ポリマーと無機充填剤とを含む組成物から形成され、無機充填剤は、例えば組成物の約5重量%〜約15重量%又は約3重量%〜約20重量%の割合で存在してもよい。伸縮性積層体は、吸収性物品のサイドパネル、外側カバー、又は耳部の少なくとも一部、又は全部を形成してもよい。不織布基材及び第2の不織布基材は、メルトブロウン層を含んでもよい。メルトブロウン層は、いかなる無機充填剤も含まなくてもよく、10重量%未満、5重量%未満、又は1%重量%未満の無機充填剤を含んでもよい。
【0072】
一実施形態において、本開示の吸収性物品は、液体透過層、液体不透過層、液体透過層と液体不透過層との間に配置された吸収性コア、並びに液体透過層、液体不透過層、及び吸収性コアのいずれかに接合された2つのサイドパネル又は耳部を含んでもよい。サイドパネル又は耳部の1つ又は両方が、第1の不織布基材、第2の不織布基材、及び第1の不織布基材と第2の不織布基材との中間に配置されたエラストマー材料を含んでもよい。サイドパネル又は耳部の1つ又は両方が、面ファスナーの一部のような締着具要素74(
図13参照)を含んでもよい。締着具要素は、吸収性物品が着用者によって装着されるときに、締着領域76(
図13参照)と係合できる。第1の不織布基材は、スパンボンド繊維の層を含んでもよい。複数のスパンボンド繊維が、ポリオレフィンと無機充填剤とを含む組成物から形成されてもよい。無機充填剤は、組成物の約5重量%〜約20重量%、約9重量%〜約13重量%、又は約11.5重量%の割合で組成物中に存在してもよい。第1の不織布基材は、無機充填剤を含まないか又は実質的に含まない、メルトブロウン繊維の層を更に含んでもよい。第2の不織布基材は、スパンボンド繊維の層を含んでもよい。複数のスパンボンド繊維が、ポリオレフィンと無機充填剤とを含む組成物から形成されてもよい。無機充填剤は、組成物の約3重量%〜約25重量%、約9重量%〜13重量%、又は約11.5重量%の割合で組成物中に存在してもよい。第2の不織布基材は更に、メルトブロウン繊維の層を含んでもよい。メルトブロウン繊維は、無機充填剤を含まないか又は実質的に含まなくてもよい。
【0073】
一実施形態において、本開示の吸収性物品は液体透過層、液体不透過層、液体透過層と液体不透過層との間に配置された吸収性コア、並びに液体透過層、液体不透過層、及び吸収性コアのいずれかに接合された2つのサイドパネル又は耳部を含んでもよい。サイドパネル又は耳部の1つ又は両方が、第1の不織布基材、第2の不織布基材、及び第1の不織布基材と第2の不織布基材との中間に配置されたエラストマー材料を含んでもよい。サイドパネル又は耳部の1つ又は両方が、面ファスナーの一部のような締着要素74(
図13参照)を含んでもよい。締着要素は、吸収性物品が着用者によって装着されるときに、締着領域76(
図13参照)と係合できる。第1の不織布基材は、スパンボンド繊維の層を含んでもよい。複数のスパンボンド繊維が、ポリオレフィンと無機充填剤とを含む組成物から形成されてもよい。無機充填剤は、組成物の約5重量%〜約20重量%、約9重量%〜約13重量%、又は約11.5重量%の割合で組成物中に存在してもよい。第1の不織布基材は、無機充填剤を含まないか又は実質的に含まない、メルトブロウン繊維の層を更に含んでもよい。第2の不織布基材は、カード繊維の層を含んでもよい。
【0074】
一実施形態において、吸収性物品用の伸縮性積層体の製造方法が、本開示によって提供される。この方法は、スパンボンド繊維の層を含む不織布基材を提供する工程を含んでもよい。複数、又は全部のスパンボンド繊維が、ポリオレフィンと無機充填剤とを含む組成物から形成されてもよい。無機充填剤は、組成物の5重量%〜15重量%又は3重量%〜25重量%の割合で組成物中に存在してもよい。この方法は、エラストマー材料を提供する工程と、不織布基材をエラストマー材料の側面又は第1の側面に接合する工程とを更に含んでもよい。この方法は、第2の不織布基材を提供する工程と、その第2の不織布基材をエラストマー材料の第2の側面に接合する工程とを更に含んでもよい。一実施形態において、第2の不織布基材はカード繊維の層を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2の不織布基材はスパンボンド繊維の層を含んでもよい。複数、又は全部のスパンボンド繊維が、熱可塑性ポリマーと無機充填剤とを含む組成物から形成されている。無機充填剤は、組成物の5重量%〜15重量%又は3重量%〜25重量%の割合で組成物中に存在してもよい。
【0075】
一実施形態において、本開示の伸縮性積層体に使用される17gsmの坪量のSSMMS不織布基材は、メルトブロウン繊維にいかなる無機充填剤も含まない約3.0gsmのメルトブロウン層と、組成物の約11.5重量%の炭酸カルシウム又はその他の無機充填剤を含む組成物から形成された約14gsmのスパンボンド層とを含んでもよい。SSMMS中の炭酸カルシウム又は無機充填剤の全パーセンテージは、約9.5%である。メルトブロウン繊維及びスパンボンド繊維のいずれも、ポリオレフィンのような熱可塑性ポリマーを含んでもよい。
【0076】
一実施形態において、本開示の伸縮性積層体に使用される14gsmの坪量のSSMMS不織布基材は、メルトブロウン繊維にいかなる無機充填剤も含まない約2.4gsmのメルトブロウン層と、組成物の約11.5重量%の炭酸カルシウム又はその他の無機充填剤を含む組成物から形成された約11.6gsmのスパンボンド層とを含んでもよい。SSMMS中の炭酸カルシウム又は無機充填剤の全パーセンテージは、約9.47%である。メルトブロウン繊維及びスパンボンド繊維のいずれも、ポリオレフィンのような熱可塑性ポリマーを含んでもよい。
【0077】
一実施形態において、本開示の伸縮性積層体に使用される20gsmの坪量のSSMMS不織布基材は、メルトブロウン繊維にいかなる無機充填剤も含まない約3.0gsmのメルトブロウン層と、組成物の約11.5重量%の炭酸カルシウム又はその他の無機充填剤を含む組成物から形成された約17gsmのスパンボンド層とを含んでもよい。SSMMS中の炭酸カルシウム又は無機充填剤の全パーセンテージは、約9.78%である。メルトブロウン繊維及びスパンボンド繊維のいずれも、ポリオレフィンのような熱可塑性ポリマーを含んでもよい。
【0078】
本開示の不織布基材は、不織布基材の1重量%〜50重量%、2重量%〜40重量%、3重量%〜30重量%、4重量%〜25重量%、5重量%〜20重量%、3重量%〜20重量%、5重量%〜15重量%、3重量%〜15重量%、5重量%〜12重量%、6重量%〜12重量%、8重量%〜12重量%、8重量%〜11重量%、8重量%〜10重量%の範囲、具体的には上記範囲の0.5重量%刻みの値全てでその中に存在する無機材料を有してもよい。本開示の不織布基材は、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、又は約12重量%で存在する無機材料も有してもよい。無機材料は、メルトブロウン繊維、スパンボンド繊維、又はメルトブロウン及びスパンボンドの両方の繊維に存在してもよい。全てのメルトブロウン又はスパンボンド層が、その繊維内に無機材料を有するとは限らない。不織布基材中の無機材料の重量パーセントは、下記の灰分試験を用いて測定できる。
【0079】
一実施形態において、積層体は伸縮性でなくてもよく、エラストマーフィルムを含まなくてもよい。積層体は本明細書に記載の無機充填剤を含む1つ以上のスパンボンド層と、本明細書に記載の無機充填剤を任意追加的に含む1つ以上のスパンボンド層とを含んでもよい。積層体は、他の材料又は層も包含してよい。
【0080】
一実施形態において、吸収性物品用伸縮性積層体は、第1の不織布基材と、2つのスパンボンド繊維層とその2つのスパンボンド繊維層の間に配置された1つのメルトブロウン繊維層とを含んでもよい。スパンボンド層の各々の複数のスパンボンド繊維が、熱可塑性ポリマーと無機充填剤とを含む組成物から形成されてもよい。無機充填剤は、組成物の3重量%〜20重量%又は第1の不織布基材の5重量%〜15重量%の割合で組成物中に存在してもよい。伸縮性積層体は、2つのスパンボンド繊維層とその2つのスパンボンド繊維層の間に配置された1つのメルトブロウン繊維層とを含む第2の不織布基材を含んでもよい。スパンボンド層の各々の複数のスパンボンド繊維が、熱可塑性ポリマーと無機充填剤とを含む組成物から形成されている。無機充填剤は、組成物の3重量%〜20重量%又は第2の不織布基材の3重量%〜15重量%の割合で組成物中に存在してもよい。伸縮性積層体は、第1の不織布基材と第2の不織布基材との間に配置された1つ以上のエラストマー材料を含んでもよい。
【0081】
第1及び第2の不織布基材中のメルトブロウン繊維は、1つ以上の無機充填剤を含んでも含まなくてもよい。他の実施形態において、メルトブロウン繊維の一部のみが1つ以上の無機充填剤を含んでもよい。メルトブロウン繊維の1つ以上の無機充填剤は、スパンボンド繊維の無機充填剤と同じでも異なっていても(例えば、異なる平均又は最大粒径、異なる無機充填剤)よい。メルトブロウン繊維の無機充填剤の平均粒径は、第1又は第2の不織布基材のスパンボンド繊維の無機充填剤の平均粒径よりも小さくてもよい。第1又は第2の不織布基材中のメルトブロウン繊維の層は、第1又は第2の不織布基材中のスパンボンド繊維の層の各々よりも重量で少ない無機充填剤を含んでもよい。第1又は第2の不織布基材の第1のスパンボンド層の繊維は、第1の又は不織布基材の第2のスパンボンド層中の繊維よりも大きい重量パーセンテージの無機充填剤を有してもよい。第1又は第2の不織布基材中のスパンボンド繊維は、第1又は第2の不織布基材中のメルトブロウン繊維の密度よりも大きい、小さい、又はほぼ等しい密度を有してもよい。第2の不織布基材中のメルトブロウン繊維は、第1又は第2の不織布基材中のスパンボンド繊維よりも重量で少ない又は多い無機充填剤を含んでもよい。
【0082】
一実施形態において、吸収性物品用伸縮性積層体は、2つのスパンボンド繊維層とその2つのスパンボンド繊維層の間に配置された1つのメルトブロウン繊維層とを含む第1の不織布基材を含んでもよい。複数のスパンボンド繊維が、熱可塑性ポリマーと無機充填剤とを含む組成物から形成されている。無機充填剤は、第1の不織布基材の3重量%〜20重量%又は5重量%〜15重量%の割合で組成物中に存在してもよい。伸縮性積層体は、第2の不織布基材と、第1の不織布基材と第2の不織布基材との間に配置されたエラストマー材料とを含んでもよい。第2の不織布基材は、カード繊維の層を含んでもよい。カード繊維は、任意の好適な重量パーセントの1つ以上の無機充填剤を含んでもよい。第1又は第2の不織布基材中のメルトブロウン繊維は、スパンボンド繊維中の無機充填剤とは異なる第2の無機充填剤を含んでもよい。第2の無機充填剤は、無機充填剤の平均粒径よりも小さい平均粒径を有してもよい。第1のスパンボンド層の繊維の密度は、第2のスパンボンド層の繊維の密度とほぼ同じか、よりも小さいか、又はより大きくてもよい。
【0083】
一実施形態において、
図1を参照すると、スパンボンド層120は、1つ以上の無機充填剤と1つ以上の熱可塑性ポリマーとを含む組成物から形成されている繊維を含んでもよい。無機充填剤は、組成物の5重量%〜20重量%の濃度で組成物中に存在してもよい。スパンボンド層320(外層)中の繊維は無機充填剤を含まなくてもよい。別の実施形態において、スパンボンド層320内の繊維は、組成物の5重量%未満、3重量%未満、又は1重量%未満の無機充填剤を含む組成物から形成されてもよい。このような実施形態において、無機充填剤の大部分又は全部を有するスパンボンド層は伸縮性積層体10の内部に位置付けられ、それによって外部スパンボンド層において無機充填剤によって引き起こされる可能性のある吸収性物品製造装置の汚染及び劣化を低減又は防止する。別の言い方をすれば、外部スパンボンド層又は他の層は、無機充填剤によって引き起こされる可能性のある吸収性物品製造装置の汚染及び劣化を低減するために、無機充填剤を含まないか又は実質的に含まなくてもよい。
【0084】
一実施形態において、
図2を参照すると、スパンボンド層320は、1つ以上の無機充填剤を含まないか又は実質的に含まない(例えば、3%未満又は1%未満)が、スパンボンド層1220及び2120は1つ以上の無機充填剤を(スパンボンド層120に関する上の記載と同じ重量パーセント又は異なる重量パーセントで)含んでもよい。一実施形態において、
図3を参照すると、スパンボンド層320及び340は、1つ以上の無機充填剤を含まないか又は実質的に含まなくてもよいが、スパンボンド層2120、1120、1140、及び2140は1つ以上の無機充填剤を(スパンボンド層120に関する上の記載と同じ重量パーセント又は異なる重量パーセントで)含んでもよい。この場合も、外部スパンボンド層内の無機充填剤によって引き起こされる可能性のある吸収性物品製造装置の劣化又は汚染を低減するために、これらの実施形態を利用できる。
【0085】
より一般的には、本明細書に開示される無機充填剤によって引き起こされる可能性のある吸収性物品製造装置の汚染又は劣化を低減又は防止するために、本開示の不織布基材及び/又は伸縮性積層体の外表面又は外層は無機充填剤をほとんど含まない(例えば、3%未満又は1%未満)か又は全く含まないが、不織布基材及び/又は伸縮性積層体の内層(メルトブロウン層を包含する)は1つ以上の無機充填剤を含んでもよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、本開示は、例えば生理用ナプキン、テープ型おむつ、又はパンツ型おむつのような吸収性物品に使用するための活性化された又は機械的に活性化された不織布基材を提供する。不織布基材は、いくつかの実施形態において、例えばトップシート、バックシート、有孔トップシート、捕捉層、生理用ナプキンの羽根部分、並びにおむつのサイドパネル、耳部及び/又は締着具の部分として機能してもよい。その他の不織布基材含有製品へのその他の使用も想像され、本開示の範囲内である。
【0087】
一実施形態において、例えばテープ型おむつ、パンツ、生理用ナプキンのような吸収性物品は、1つ以上のスパンボンド層、例えば2つ又は3つのスパンボンド層を含んでもよい活性化された不織布基材を含んでもよい。スパンボンド層のそれぞれは、無機充填剤と熱可塑性ポリマーとを含む組成物から形成されている複数の繊維を含んでもよい。無機充填剤は、組成物中に、組成物の約5重量%〜約20%重量%又は約5重量%〜約15重量%の範囲で存在してもよく、又は不織布基材中に不織布基材の約3重量%〜約20重量%又は約3重量%〜約15%重量%の範囲で存在してもよい。上記範囲内の0.5%刻みの値のそれぞれが、具体的には本明細書で開示される。不織布基材は、任意追加的に1つ以上のメルトブロウン層も含んでもよい。いくつかの実施形態において、活性化された不織布基材は、吸収性物品のトップシートの一部又は全部を形成してもよい。トップシートは有孔であってもよい。活性化された不織布基材は、衛生ティッシュ製品の羽根の一部又は全部を形成してもよい。吸収性物品は、吸収性コア、バックシート、及び捕捉層、耳部及び/又はその他の一般的に吸収性物品上に提供される任意の構成要素も含んでもよい。
【0088】
一実施形態において、
図17を参照すると、吸収性物品は生理用ナプキン3010であってもよい。生理用ナプキン3010は、トップシート3014、バックシート3016、及び吸収性コア3018を含んでもよい。生理用ナプキン3010は、生理用ナプキン3010の長手方向軸線Lに関して外向きに延在する羽根3020も含んでもよい。羽根3020は、トップシート3014、バックシート3016、及び/又は吸収性コア3018に接合されていてもよい。本開示の伸縮性積層体及び/又は不織布基材は、トップシート3014、バックシート3016、吸収性コア3018の構成要素、羽根3020、及び/又は生理用ナプキン3010のその他の構成要素に使用されてもよい。生理用ナプキン3010には、当該技術分野において既知の通り、生理用ナプキンに一般的に見出される追加の特徴も提供されてもよい。
【0089】
一実施形態において、無機充填剤が本明細書に記載されていることから、エラストマー材料又はフィルムは1つ以上の無機充填剤も含んでもよい。エラストマー材料は、無機充填剤を、1%〜99%、1%〜50%、1%〜25%、1%〜10%の重量%、具体的には上記範囲内の0.5%刻みの値全てを包含する重量%で含んでもよい。いくつかの実施形態において、伸縮性積層体は、1つ以上の無機充填剤を含む少なくとも1つのスパンボンド層と1つ以上の無機充填剤を含む少なくとも1つのエラストマー材料とを含んでもよい。伸縮性積層体は、無機充填剤を含むか又はいかなる無機充填剤も含まないかのいずれかの少なくとも1つのメルトブロウン層も含んでもよい。無機充填剤は各々の材料で同じでも異なっていてもよく、それぞれの材料に同じ重量パーセントで存在しても異なる重量パーセントで存在してもよい。一実施形態において、伸縮性積層体は1つ以上の無機充填剤をそのエラストマー材料中のみに含み、そのスパンボンド又はメルトブロウン層には含まなくてもよい。
【実施例】
【0090】
比較例1
本開示の伸縮性積層体の実施形態を試験し、様々な特性を不織布基材のスパンボンド層の繊維内にCaCO
3を有さない従来の伸縮性積層体と比較した。
【0091】
試験した本開示の伸縮性積層体は、共に結合されて積層体を形成する以下の層を有した:
24gsmのカード繊維層
50gsmのエラストマーフィルム
14gsmのSSMMS不織布(S=スパンボンド及びM=メルトブロウン)
−S層のそれぞれは、ポリプロピレンと組成物の約11.5重量%のCaCO
3とを含む組成物から形成された。
−M層のそれぞれは、ポリプロピレンから形成され、いかなるCaCO
3添加剤も有さなかった。
【0092】
試験した従来の伸縮性積層体は、共に結合されて積層体を形成する以下の層を有した:
24gsmのカード繊維層
50gsmのエラストマーフィルム
14gsmのSSMMS不織布
−S層又はM層のいずれもCaCO
3添加剤を含有しなかった
−S層及びM層のいずれも、ポリプロピレンを含む繊維から形成された
【0093】
基本的に、添加剤を含まない14gsmのSSMMS不織布基材と比較して、添加剤を含む14gsmのSSMMS不織布基材を試験し、添加剤が伸縮性積層体の特性にどのように影響するかを判定した。
【0094】
両方の伸縮性積層体を形成し、特定のDOEを機械的に活性化した後で、両方の積層体の様々な特性を試験した。DOEは、D1、D2、D3、及びD4で、その全てが異なる。Optical Control Systems,GmbH(OCS)の画像システムを用いて、伸縮性積層体を通って延在する孔の数、特に積層体の全ての層及びエラストマー材料を通る孔の数を判定した。孔の数の判定には、物理的試験(即ち、ヒトによる伸縮性積層体の検査)も用いた。孔計数試験の結果を下図に示す。図に見られるように、本開示の伸縮性積層体の孔の数は、本開示の伸縮性積層体のスパンボンド層の繊維内のCaCO
3添加剤により、従来の伸縮性積層体の孔の数よりも有意に少ない。更に、無機充填剤ありの繊維は、無機充填剤なしの繊維よりも高密度である。したがって、各々の不織布基材が同じ坪量を有する場合、無機充填剤を含む組成物から形成された繊維を有するスパンボンド層を含む不織布基材は、無機充填剤を含む組成物から形成された繊維を有するスパンボンド層のない不織布基材よりも、少ない繊維を有するであろう。これは、コスト削減をもたらし得る。
【0095】
伸縮性積層体に対し、最大ピーク力試験及び1000グラム伸張試験も実施した。これらの試験を、以下に更に詳細に記載する。最大ピーク力試験及び1000グラム伸張試験の結果を下の図表に示す。見てわかるように、本開示の伸縮性積層体は、そのスパンボンド層の繊維に11.5重量%のCaCO
3添加剤を有しても、最大ピーク力及び1000グラム伸張のデータはほぼ同じままである。これは、CaCO
3添加剤ありでも、本開示の伸縮性積層体は従来の伸縮性積層体とほぼ同じ強度を達成できることを示す。
【0096】
スパンボンド繊維中のCaCO
3は、繊維が、機械的活性化の間に、実際に破断することなく、より伸縮性になることを可能にすると考えられる。最大ピーク力が高くなるほど、機械的活性化の間に伸縮性積層体に孔が生じるリスクが高くなると考えることができる。不織布基材が機械的活性化の間に断裂し始めると、その力はエラストマーフィルムに伝達される。したがって、エラストマーフィルムに伝達される力又はエネルギーが大きくなるほど、エラストマーフィルムに孔が生じるリスクが高くなる。これは、不織布基材は、CaCO
3をスパンボンド繊維内に提供することによって、同じ接着剤添加量及びDOEで、スパンボンド繊維にCaCO
3が存在しない不織布基材と比較して、機械的活性化に適応しやすいという結論につながる。
【0097】
【表1】
【0098】
本開示の伸縮性積層体は、より高いDOEを達成して、従来の伸縮性積層体よりも優れる伸張特性を提供しながら、なお従来の伸縮性積層体に現れる孔数とほぼ同じ孔数を達成するためにも使用されてもよい。別の言い方をすれば、孔の数を低減する代わりに、従来の伸縮性積層体とほぼ同じ孔数を生じながら、より大きな伸張を可能にするために伸縮性積層体を用いてもよい。
【0099】
比較例2
本開示の伸縮性積層体の実施形態を試験し、様々な特性を不織布基材のスパンボンド層の繊維内にCaCO
3添加剤を有さない従来の伸縮性積層体と比較した。
【0100】
試験した本開示の伸縮性積層体は、共に結合されて積層体を形成する以下の層を有した:
20gsmのSSMMS不織布
−S層のそれぞれは、ポリプロピレンと組成物の約11.5重量%のCaCO
3とを含む組成物から形成された
−M層のそれぞれは、CaCO
3添加剤なしでポリプロピレンから形成された
50gsmのエラストマーフィルム
14gsmのSSMMS不織布
−S層のそれぞれは、ポリプロピレンと組成物の約11.5重量%のCaCO
3とを含む組成物から形成された
−M層のそれぞれは、CaCO
3添加剤なしでポリプロピレンから形成された。
【0101】
試験した従来の伸縮性積層体は、共に結合されて積層体を形成する以下の層を有した:
20gsmのSSMMS不織布
−S層又はM層のいずれもCaCO
3添加剤を含有しない
−S層及びM層のいずれも、ポリプロピレンを含む繊維から形成された
50gsmのエラストマーフィルム
14gsmのSSMMS不織布
−S層又はM層のいずれもCaCO
3添加剤を含有しない
−S層及びM層のいずれも、ポリプロピレンを含む繊維から形成された
【0102】
両方の伸縮性積層体を形成し、特定のDOEを機械的に活性化した後で、両方の積層体の様々な特性を試験した。DOEは、D1、D2、D3、D4、及びD5で、その全てが異なる。D1〜D4は上記実施例1と同じである。Optical Control Systems,GmbH(OCS)の画像システムを用いて、伸縮性積層体を通って延在する孔の数を判定した。孔の数の判定には、物理的試験(即ち、ヒトによる伸縮性積層体の検査)も用いた。孔計数試験の結果を下に示す。図表に見られるように、本開示の伸縮性積層体の孔の数は、スパンボンド層の繊維内のCaCO
3充填剤により、従来の伸縮性積層体の孔の数よりも有意に少ない。更に、無機充填剤ありの繊維は、無機充填剤なしの繊維よりも高密度である。したがって、各々の不織布基材が同じ坪量を有する場合、無機充填剤を含む組成物から形成された繊維を有するスパンボンド層を含む不織布基材は、無機充填剤を含む組成物から形成された繊維を有するスパンボンド層のない不織布基材よりも、少ない繊維を有するであろう。これは、コスト削減をもたらし得る。
【0103】
伸縮性積層体に対し、最大ピーク力試験及び1000グラム伸張試験も実施した。これらの試験を、以下に更に詳細に記載する。最大ピーク力試験及び1000グラム伸張試験の結果を下の図表に示す。見てわかるように、本開示の伸縮性積層体は、そのスパンボンド層の繊維に11.5重量%のCaCO
3添加剤を有するが、最大ピーク力及び1000グラム伸張のデータは、ほぼ同じままである。これは、CaCO
3添加剤を有しても、本開示の伸縮性積層体は従来の伸縮性積層体とほぼ同じ強度を達成することができることを示す。
【0104】
スパンボンド繊維中のCaCO
3は、繊維が、機械的活性化の間に、実際に破断することなく、より伸縮性になることを可能にすると考えられる。最大ピーク力が高くなるほど、機械的活性化の間に伸縮性積層体に孔を生じるリスクが高くなると考えることができる。不織布基材が機械的活性化の間に断裂し始めると、その力はエラストマーフィルムに伝達される。したがって、より高い力又はエネルギーがエラストマーフィルムに伝達され、エラストマーフィルムに孔が生じるリスクが高くなる。これは、不織布基材は、CaCO
3をスパンボンド繊維内に提供することによって、同じ接着剤添加量及びDOEで、スパンボンド繊維にCaCO
3が存在しない不織布基材と比較して、機械的活性化に適応しやすいという結論につながる。
【0105】
【表2】
【0106】
本開示の伸縮性積層体は、より高いDOEを達成して、従来の伸縮性積層体よりも優れる伸張特性を提供しながら、なお従来の伸縮性積層体に現れる孔数とほぼ同じ孔数を達成するためにも使用されてもよい。別の言い方をすれば、孔の数を低減する代わりに、従来の伸縮性積層体とほぼ同じ孔数を生じながら、より大きな伸張を可能にするために伸縮性積層体を用いてもよい。
【0107】
比較例3
図15を参照すると、リングローリングシミュレーション装置及び方法を使用して、SSMMS(エラストマー材料又はフィルムなし)の各々について、リガメント当たりN/cm当たりの最大力及び最大力歪み(%)を測定し、基本カード繊維材料を試験した。リングローリングシミュレーション装置及び方法は、横断方向の材料の機械的活性化をシミュレートし、米国特許第6,843,134号、同第7,024,939号、及び同第7,062,983号に詳述されている。
図15のデータは横断方向で採取されている。試験したSSMMS不織布基材は、CaCO
3添加剤がスパンボンド層にない従来のFibertex 13gsm SSMMS不織布基材、5%のCaCO
3添加剤をスパンボンド層に有するFibertex 13gsm SSMMS不織布基材、10%のCaCO
3添加剤をスパンボンド層に有するFibertex 13gsm SSMMS不織布基材、15%のCaCO
3添加剤をスパンボンド層に有するFibertex 13gsm SSMMS不織布基材、及び従来の27gsmカード繊維材料である。メルトブロウン繊維は、いかなるCaCO
3添加剤も有さなかった。結果を下の図表に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
データから推測できるように、SSMMS不織布のスパンボンド層の繊維内のCaCO
3添加剤が多くなると、スパンボンド層にCaCO
3添加剤を含まない従来の13gsm SSMMS不織布と比較して、最大力が低くなり、より高い歪み(%)で達成される。最大力が高くなるほど、不織布基材が破断を開始した機械的活性化の間に孔を生じるリスクが高くなると考えることができ、その力はエラストマー材料又はフィルムに伝達される。更に重要なことは、最大力が達成された後の本開示のSSMMS不織布基材のグラフの傾きがゆるやかなことである。このゆるやかな傾きは、伸縮性積層体のエラストマー材料又はフィルムへのエネルギーの伝達がより低速であり(機械的活性化の間の繊維破断により)、それによって機械的活性化の間にエラストマー材料又はフィルムに生じる孔が少なくなることを示すと考えられる。
【0110】
比較例4
図16を参照すると、リングローリングシミュレーション装置及び方法を使用して、SSMMS(エラストマー材料又はフィルムなし)の各々について、リガメント当たりN/cm当たりの最大力及び最大力時歪み(%)を測定し、基本カード繊維を試験した。リングローリングシミュレーション装置及び方法は、横断方向の材料の機械的活性化をシミュレートし、米国特許第6,843,134号、同第7,024,939号、及び同第7,062,983号に詳述されている。
図16のデータは横断方向で採取されている。試験したSSMMS不織布基材は、CaCO
3添加剤がスパンボンド層にない従来のFibertex 20gsm SSMMS不織布基材(
図16のA)、11.5%のCaCO
3添加剤をスパンボンド層に有するFibertex 20gsm SSMMS不織布基材(
図16のB)、CaCO
3添加剤をスパンボンド層に含まない従来のFibertex 14gsm SSMMS不織布基材(
図16のC)、11.5%のCaCO
3添加剤をスパンボンド層に有するFibertex 14gsm SSMMS不織布基材(
図16のD)、及び従来の27gsmカード繊維材料(
図16のE)である。
【0111】
【表4】
【0112】
データから推測できるように、SSMMS不織布基材のスパンボンド層の繊維内のCaCO
3添加剤が多くなると、CaCO
3添加剤を含まない従来の13gsm SSMMS不織布基材と比較して、最大力が低くなり、より高い歪み(%)で達成される。最大力の増大は、不織布基材が破断を開始した機械的活性化の間に孔を生じるリスクの増大に変換することができ、その力はエラストマー材料又はフィルムに伝達される。更に重要なことは、最大力が達成された後の本開示のSSMMS不織布基材のグラフの傾きがゆるやかなことである。このゆるやかな傾きは、伸縮性積層体のエラストマー材料又はフィルムへのエネルギーの伝達がより低速であり(機械的活性化の間の繊維破断により)、それによって機械的活性化の間にエラストマー材料又はフィルムに生じる孔が少なくなることを示すと考えられる。
【0113】
方法
全ての試料を、約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、試験前に約2時間にわたって、予備状態調節する。
【0114】
最大ピーク力/1000グラム伸張
コンピュータインターフェースを有する一定速度の引張試験機(好適な計器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,MN)から入手可能な、Testworks4.0ソフトウェアを使用したMTS Insightである)を用いて、最大ピーク力及び9.81Nの力における1000グラム伸張を、測定される力がロードセルの限度の10%〜90%以内となるロードセルを使用して測定する。可動(上方)空気式ジョーには、ゴム平面グリップと幅25.4mmの線接触グリップとの組が装着されている。固定(下方)空気式ジョーには、試験片よりも広い25.4mmゴム面グリップが一対装着されている。ジョーに供給される空気圧は、試料が滑るのを防ぐのに十分でなければならない。全ての試験は、約23℃±2℃及び約50℃±2℃相対湿度で維持された調整室内で行なわれる。
【0115】
伸縮性積層体を吸収性物品のシャーシから取り除く。デジタルマイクロメータ(NIST又はその他の標準機構にトレーサブル)を用いて、積層体/シャーシ結合から取付けタブの近位側縁部までの伸縮性積層体の横断幅を測定し、1.0mmの位まで記録する。この距離L1は、伸縮性積層体の伸縮性領域を包含するはずである。
【0116】
ゲージ長さをL1に設定する。クロスヘッド及びロードセルをゼロに合わせる。試験片のタブ末端部又は締着具末端部を上方グリップに挿入し、試験片のタブの近位側縁部の位置をグリップの水平中心と合わせる。試験片を上下のジョー内で垂直に位置合わせした状態で、上方グリップを閉じる。試験片のシャーシ末端部を下方グリップに挿入し、下方グリップを閉じる。試料は、いかなるたるみをも除くのに十分な、ただしロードセル上の力が0.05N未満となる引張力下になければならない。
【0117】
引張試験機を、伸張試験を実施するようにプログラムし、力が10Nに達するまで、クロスヘッドを508mm/分の速度で上昇させながら力及び伸長データを50Hzの取得速度で収集し、その後クロスヘッドを元の位置に戻すようにする。引張り試験機を始動させ、データ収集を開始する。最大ピーク力及び9.81N力時の1000グラム伸張を、得られた力(N)対伸張(mm)曲線から計算するようにソフトウェアをプログラムする。
【0118】
最大ピーク力は0.01Nの位まで、9.8N力時の1000グラム伸張は0.01mmの位まで報告し、結果を記録する。試験を繰り返し、10個の複製した試料に関する結果を記録する。平均最大ピーク力は0.01Nの位まで、平均9.8N力時1000グラム伸張は0.01mmの位まで、計算及び報告する。
【0119】
不織布基材中の無機材料の重量%の決定
不織布基材を燃焼したときの灰の重量を測定することによって、不織布基材中の無機材料の量を決定することができる。有機材料は燃え尽き、無機材料のみが後に残る。
【0120】
不織布基材の試料は個別に得ることができ、又は吸収性物品から分離してもよい。
【0121】
D5630−06,Procedure Aと記号表示されるASTM法を用いて、灰分の%を求め、それによって、不織布基材試料中の無機材料の重量%が決定される。
【0122】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法の各々は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0123】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、その全てを本明細書中に参照により組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書で開示若しくは請求される任意の実施形態に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは任意の他の参照(単数又は複数)との任意の組み合わせで任意のこのような実施形態を教示、提案、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0124】
本開示の特定の実施形態が図示及び説明されたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは、当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内に属する全てのこのような変更及び修正を、添付された特許請求の範囲に網羅することが意図される。