【文献】
Shabashov, Dmitry; Daugulis, Olafs,Palladium-Catalyzed Anilide ortho-Arylation and Subsequent One-Pot Cyclization to Phenanthridines,Journal of Organic Chemistry ,2007年,72(20),7720-7725
【文献】
Do, Hien-Quang; Daugulis, Olafs,A General Method for Copper-Catalyzed Arene Cross-Dimerization,Journal of the American Chemical Society,2011年,133(34),13577-13586
【文献】
JOANNA WENCEL-DELORD,[RHIIICP]- CATALYZED DEHYDROGENATIVE ARYL - ARYL BOND FORMATION,ANGEWANDTE CHEMIE INTERNATIONAL EDITION,2012年 2月27日,V51 N9,P2247-2251
【文献】
GORDON BRASCHE,TWOFOLD C - H FUNCTIONALIZATION: PALLADIUM- CATALYZED ORTHO ARYLATION OF ANILIDES,ORGANIC LETTERS,2008年 6月 1日,V10 N11,P2207-2210
【文献】
Li, Bi-Jie; Tian, Shi-Liang; Fang, Zhao; Shi, Zhang-Jie,Multiple C-H activations to construct biologically active molecules in a process completely free of organohalogen and organometallic components,Angewandte Chemie, International Edition ,2008年,47(6),1115-1118
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式(I)で表される前記アレーンが、アニリン、4−フルオロアニリン、アセトアニリド、4−フルオロアセトアニリド、N−フェニル−3−オキソブタンアミド、N−(4−フルオロフェニル)−3−オキソブタンアミド、N−(プロパン−2−イリデン)アニリン、4−フルオロ−N−(プロパン−2−イリデン)アニリン、N−フェニル−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(4−フルオロフェニル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド及びN−フェニル−2−クロロニコチンアミドから選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の調製方法。
式(II)で表される前記アレーンが、1,2−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン及び1,2,3−トリフルオロベンゼンから選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の調製方法。
前記溶媒が、1,2−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、THF、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジグリム、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、tert−アミルメチルエーテル(TAME)、ジメチルエーテル(DME)、2−メチル−THF、アセトニトリル、ブチロニトリル、トルエン、キシレン類、メシチレン、アニソール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、水及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の調製方法。
前記遷移金属触媒が、遷移金属Mから選択され、ここで、Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Co、Rh、Ir、Fe、Ru、Mn、Cr及びTiから選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の調製方法。
【背景技術】
【0002】
ビアリール化合物、特に、ビフェニル化合物は、医薬、蛍光増白剤及び農薬のための精密化学中間体として工業的に重要である。
【0003】
置換されているビフェニル類がスズキカップリングによって得られることは知られている。しかしながら、この目的のためには、出発化合物として、ハロアレーン類と一緒に高価なボリン酸/ボロン酸が必要であり、そして、これらを遷移金属触媒の存在下で互いにカップリングさせる;cf. WO 2011/023324A1。既存の合成方法(例えば、スズキ反応)に代わる魅惑的な合成方法として、最近、直接的な二重C−H活性化によるビフェニル類の合成が開発された。この方法においては、配向基を有しているアレーンを、遷移金属触媒及び/又は適切な活性化試薬の存在下で、アレーンと反応させる。このトピックに関する総説は、例えば、「Charles S. Yeung, Vy M. Dong, Chem. Rev. 2011, 111, 1215−1292」の中に見いだすことができる。二重C−H活性化によるPdが触媒するアリール−アリールカップリングに関する総説は、Shu−Li You及びJi−Bao Xia「Top. Curr. Chem. 2010, 292, 165−194」によって記載されている。アレーン類の酸化的クロスカップリングに関する総説は、「James A. Ashenhurst, Chem. Soc. Rev. 2010, 39, 540−54」の中に見いだすことができる。直接的な二重C−H活性化の特に有利な点は、既存の合成方法(例えば、スズキ反応)と比較して持続性(sustainability)が強化されているということである。前もって官能化されたカップリング相手は必要ではなく、その結果、反応段階の数及び廃物が低減される。
【0004】
しかしながら、このタイプの反応においては、多くの困難、例えば、好ましくない熱力学、C−H結合の概して低い反応性及び選択性に関する問題(C−H結合の、別のC−H結合の存在下における官能化、及び、ヘテロカップリングとホモカップリングの間の競合)なども存在している。従来技術において記載されている二重C−H活性化を介したPdが触媒するアリール−アリールカップリングにおいては、例えば、「Org. Lett. 2008, 10(11), 2207−2210」の中のGordon Brasche、Jorge Garcia−Fortanet、Stephen L. Buchwaldによる記載は、アニリド類と電子過剰なアレーン類(これらは、Me、OMeなどの電子供与性置換基を含んでいる)の反応に限定されている。ここで、パラジウム触媒に加えて、純酸素と組み合わされたDMSOや、Na
2S
2O
8と組み合わされたTFAも、付加的な活性化試薬又は酸化剤として使用される。電子が不足している芳香族化合物(これらは、F、CF
3、CHF
2、Clなどの電子吸引性置換基を含んでいる)は、極めて非反応性であると考えられ、従って、これらの反応条件下では、たとえ反応するとしても、非常に大きな困難を伴ってのみ、アニリド類と反応させることが可能である。
【0005】
Bi−Jie Li、Shi−Liang Tian、Zhao Fang 及び Zhang−lie Shiは、「Angew. Chem., 2008, 47, 1115−1118」において、生物学的に活性な分子を調製するための複合的なC−H活性化を含んでいる調製方法を開示しており、その調製方法は有機ハロゲン化合物及び有機金属化合物を使用しない。例えば、酸化剤としてO
2を使用し且つ溶媒としてPrOHを使用する、オルト−キシレンによるアセトアニリドのパラジウムが触媒するオルト−アリール化方法が開示されている(表1、No.6)。電子が不足しているアレーン(フルオロベンゼン)とN−アセチルテトラヒドロキノリンのカップリングも開示されている(表2、No.8)。しかしながら、これには大量の触媒が必要であり、当該反応は立体選択的ではなく、及び、収率はわずかに48%であった。
【0006】
Joanna Wencel−Delord、Corinna Nimphius、Frederic W. Patureau 及び Frank Gloriusは、「Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 51, 2247−2251」において、電子が不足している芳香族化合物の使用を可能とする、Rhが触媒する脱水素化アリール−アリールカップリングについて記載している。しかしながら、今日まで、C−H活性化によるこれらの変換は、配向性カップリング相手としてベンズアミドを用いた場合しか実施されていない。ここで使用された添加剤又は酸化剤は、PivOH及びCsOPiv、並びに、さらに、AgSbF
6及びCu(OAc)
2であった。電子が不足しているアレーン類(これらは、例えば、F、CF
3、CHF
2、Clなどの電子吸引性置換基を含んでいる)との反応においてアニリドを使用することは、従来技術において先に記載されている調製方法においては、今日まで不可能であった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい実施形態では、上記目的は、式(III)
【化6】
【0016】
〔式中、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子から選択され;
nは、0、1及び2から選択され;
mは、1、2、3、4及び5から選択され;
R
1は、−NHR
2、−NO
2、−NR
3−CO−R
2及び−N=CR
4R
5からなる群から選択され;
R
2−R
5は、水素、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基、環状C
3−8−アルキル基、−CH
2−CO−CH
3、ベンジル基、ベンゾイル基、式(IVa)で表されるピラゾリル基及び式(IVb)で表されるピリジル基:
【化7】
【0017】
[ここで、上記式(IVa)及び式(IVb)において、
R
1が−NR
3−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6及びR
7は、それぞれ、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基及び1〜6個のハロゲン原子を有しているC
1−6−ハロアルキル基から選択される]からなる群から選択される〕
で表される置換ビフェニルを、式(I)
【化8】
【0018】
〔式中、R
1、X
1及びnは、上記定義に対応する〕
で表されるアレーンを式(II)
【化9】
【0019】
〔式中、X
2及びmは、上記定義に対応する〕
で表されるアレーンと反応させることにより調製する方法によって達成され、ここで、該反応は、溶媒の中で、遷移金属触媒の存在下、少なくとも1種類の酸化剤の存在下、10種類以下(好ましくは、5種類以下、さらに好ましくは、3種類以下)の添加剤の存在下で実施する。
【0020】
本発明の目的を達成する上記方法は、従来技術に対して驚くべきものである。例えば、Joanna Wencel−Delordら「Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 51, 2247−2251」は、電子不足芳香族化合物の使用を可能とする、Rhが触媒する脱水素化アリール−アリールカップリングについて記載している。しかしながら、今日まで、C−H活性化によるこれらの変換は、配向性カップリング相手としてベンズアミド類を用いた場合にのみ実施されてきた。本発明において反応物質として使用される式(I)で表されるアレーンは、ベンズアミド類と比較して電子の状態は極めて異なっている。ベンズアミド類の反応において生じるのと同等に良好なオルト配向性効果(ortho−directing effect)を想定することは必ずしも可能ではなく、本発明による調製方法において反応物質として使用される式(I)で表されるアレーンに関して、求核芳香族置換における+/−I又は+/−M効果と混同してはならない。オルト−配向基の典型的な例は、「Eric J.−G. Anctil and Victor Snieckus in Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions, 2nd Edition 2004, 761−813, eds.:A. de Meijere and F. Diederich, WILEY−VCH Verlag GmbH & KGaA, Weinheim(Scheme 14−2, page 762)」の中に見いだすことができる。ここで、ベンズアミド類は、オルト−配向基として明示的に言及されているが、対応するアニリド類については言及されていない。
【0021】
本発明に関連して、用語「ハロゲン」は、異なって定義されていない限り、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択される元素を包含し、ここで、好ましくは、フッ素、塩素及び臭素を使用し、特に好ましくは、フッ素及び塩素を使用する。
【0022】
置換されていてもよい基は、1置換又は多置換されることができ、ここで、多置換の場合における置換基は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0023】
1個以上のハロゲン原子で置換されているアルキル基は、例えば、トリフルオロメチル(−CF
3)、ジフルオロメチル(−CHF
2)、CH
2CF
3、CH
2Cl及びCCl
2CF
3から選択される。
【0024】
本発明に関連して、アルキル基は、異なって定義されていない限り、O、N、P及びSから選択される1個又は2個以上のヘテロ原子を場合により含んでいてもよい直鎖又は分枝鎖のヒドロカルビル基である。さらに、本発明によるアルキル基は、−R’、ハロゲン、アルコキシ(−OR’)、チオエーテル又はメルカプト(−SR’)、アミノ(−NR’
2)、シリル(−SiR’
3)、カルボキシル(−COOR’)、シアノ(−CN)、アシル(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’
2)から選択されるさらなる基で置換されていてもよく、ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有していてもよいC
1−12−アルキル基(好ましくは、C
2−10−アルキル基、さらに好ましくは、C
3−8−アルキル基)である。
【0025】
C
1−C
12−アルキルの定義には、アルキル基に関して本明細書中で定義されている最も広い範囲が包含される。特に、この定義には、例えば、以下の意味が包含される:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル。
【0026】
本発明に関連して、シクロアルキル基は、異なって定義されていない限り、O、N、P及びSから選択される1個又は2個以上のヘテロ原子を場合により含んでいてもよい環状のヒドロカルビル基である。さらに、本発明によるシクロアルキル基は、−R’、ハロゲン(−X)、アルコキシ(−OR’)、チオエーテル又はメルカプト(−SR’)、アミノ(−NR’
2)、シリル(−SiR’
3)、カルボキシル(−COOR’)、シアノ(−CN)、アシル(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’
2)から選択されるさらなる基で置換されていてもよく、ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有していてもよいC
1−12−アルキル基(好ましくは、C
2−10−アルキル基、さらに好ましくは、C
3−8−アルキル基)である。
【0027】
C
3−C
8−シクロアルキルの定義には、シクロアルキル基に関して本明細書中で定義されている最も広い範囲が包含される。特に、この定義には、例えば、以下の意味が包含される:シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及び、シクロオクチル。
【0028】
本発明に関連して、アリール基は、異なって定義されていない限り、O、N、P及びSから選択される1個又は2個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族ヒドロカルビル基であり、そして、−R’、ハロゲン、アルコキシ(−OR’)、チオエーテル又はメルカプト(−SR’)、アミノ(−NR’
2)、シリル(−SiR’
3)、カルボキシル(−COOR’)、シアノ(−CN)、アシル(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’
2)から選択されるさらなる基で置換されていてもよく、ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有していてもよいC
1−12−アルキル基(好ましくは、C
2−10−アルキル基、さらに好ましくは、C
3−8−アルキル基)である。
【0029】
C
5−18−アリールの定義には、5〜18個の骨格原子(ここで、該炭素原子は、ヘテロ原子と交換されてもよい)を有するアリール基に関してに本明細書中で定義されている最も広い範囲が包含される。特に、この定義には、例えば、以下の意味が包含される:シクロペンタジエニル、フェニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、ナフチル、及び、アントラセニル;2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、及び、1,3,4−トリアゾール−2−イル;1−ピロリル、1−ピラゾリル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,3,4−トリアゾール−1−イル;3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル、及び、1,2,4−トリアジン−3−イル。
【0030】
本発明に関連して、アリールアルキル基(アラルキル基)は、異なって定義されていない限り、アリール基で置換されていて、C
1−8−アルキレン鎖を有することができ、そして、該アリール骨格内又は該アルキレン鎖内にO、N、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、そして、−R’、ハロゲン、アルコキシ(−OR’)、チオエーテル又はメルカプト(−SR’)、アミノ(−NR’
2)、シリル(−SiR’
3)、カルボキシル(−COOR’)、シアノ(−CN)、アシル(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’
2)から選択されるさらなる基で置換されていてもよいアルキル基であり、ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有していてもよいC
1−12−アルキル基(好ましくは、C
2−10−アルキル基、さらに好ましくは、C
3−8−アルキル基)である。
【0031】
C
7−19−アラルキル基の定義には、該骨格及びアルキレン鎖の中に合計で7〜19個の原子を有するアリールアルキル基に関してに本明細書中で定義されている最も広い範囲が包含される。特に、この定義には、例えば、以下の意味が包含される:ベンジル、及び、フェニルエチル。
【0032】
本発明に関連して、アルキルアリール基(アルカリール基)は、異なって定義されていない限り、アルキル基で置換されていて、C
1−8−アルキレン鎖を有することができ、そして、該アリール骨格内又は該アルキレン鎖内にO、N、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、そして、−R’、ハロゲン、アルコキシ(−OR’)、チオエーテル又はメルカプト(−SR’)、アミノ(−NR’
2)、シリル(−SiR’
3)、カルボキシル(−COOR’)、シアノ(−CN)、アシル(−(C=O)R’)及びアミド基(−CONR’
2)から選択されるさらなる基で置換されていてもよいアリール基であり、ここで、R’は、水素であるか、又は、N、O、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有していてもよいC
1−12−アルキル基(好ましくは、C
2−10−アルキル基、さらに好ましくは、C
3−8−アルキル基)である。
【0033】
C
7−19−アルカリール基の定義には、該骨格及びアルキレン鎖の中に合計で7〜19個の原子を有するアルキルアリール基に関してに本明細書中で定義されている最も広い範囲が包含される。特に、この定義には、例えば、以下の意味が包含される:トリル、又は、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル若しくは3,5−ジメチルフェニル。
【0034】
上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルカリール基及びアラルキル基は、付加的に、1個以上のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、異なって定義されていない限り、N、O、P及びSから選択される)を有することができる。これらのヘテロ原子は、番号が付けられた炭素原子と置き換わる。本発明の化合物は、任意の可能な種々の異性体形態の混合物として存在することができ、特に、立体異性体(例えば、E異性体とZ異性体、トレオ異性体とエリトロ異性体、及び、光学異性体)の混合物として存在することができ、さらに、適切な場合には、互変異性体形態の混合物としても存在することができる。E異性体とZ異性体の両方が開示及び請求されており、トレオ異性体とエリトロ異性体も同様であり、及び、さらに、光学異性体も同様であり、それら異性体の混合物も同様であり、及び、さらに、可能な互変異性体形態も同様である。
【0035】
式(III)で表される置換ビフェニルを調製するための本発明による調製方法の好ましい実施形態では、該置換基は以下のように定義される:
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子から選択され;
nは、0及び1から選択され;
mは、1、2及び3から選択され;
R
1は、−NHR
2、−NR
3−CO−R
2及び−N=CR
4R
5から選択され;
R
2−R
5は、それぞれ、水素、直鎖又は分枝鎖のC
1−6−アルキル基、−CH
2−CO−CH
3、式(IVa)で表されるピラゾリル基及び式(IVb)で表されるピリジル基
【化10】
【0036】
から選択され、ここで、上記式(IVa)及び式(IVb)において、
R
1が−NR
3−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6及びR
7は、それぞれ、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝鎖のC
1−6−アルキル基及び1〜6個のハロゲン原子を有しているC
1−6−ハロアルキル基から選択される。
【0037】
式(III)で表される置換ビフェニルを調製するための本発明による調製方法の好ましいさらなる実施形態では、該置換基は以下のように定義される:
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子から選択され;
nは、0及び1から選択され;
mは、1、2及び3から選択され;
R
1は、−NHR
2及び−NR
3−CO−R
2から選択され;
R
2−R
5は、それぞれ、水素、直鎖又は分枝鎖のC
1−6−アルキル基、−CH
3−CO−CH
3、式(IVa)で表されるピラゾリル基及び式(IVb)で表されるピリジル基
【化11】
【0038】
から選択され、ここで、上記式(IVa)及び式(IVb)において、
R
1が−NR
3−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6及びR
7は、それぞれ、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝鎖のC
1−6−アルキル基及び1〜6個のハロゲン原子を有しているC
1−6−ハロアルキル基から選択される。
【0039】
式(III)で表される置換ビフェニルを調製するための本発明による調製方法の好ましいさらなる実施形態では、該置換基は以下のように定義される:
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子から選択され;
nは、0及び1から選択され;
mは、1、2及び3から選択され;
R
1は、−NR
3−CO−R
2であり;
R
2−R
5は、それぞれ、水素、直鎖又は分枝鎖のC
1−6−アルキル基、−CH
3−CO−CH
3、式(IVa)で表されるピラゾリル基及び式(IVb)で表されるピリジル基
【化12】
【0040】
から選択され、ここで、上記式(IVa)及び式(IVb)において、
R
1が−NR
3−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6及びR
7は、それぞれ、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝鎖のC
1−6−アルキル基及び1〜6個のハロゲン原子を有しているC
1−6−ハロアルキル基から選択される。
【0041】
式(III)で表される置換ビフェニルを調製するための本発明による調製方法の特に好ましい実施形態では、式(III)における置換基は以下のように定義される:
X
1は、5−フルオロであり;
nは、1であり;
X
2は、3,4−クロロであり;
mは、2であり;
R
1は、−NH
2及び−NH−CO−R
2から選択され;
R
2は、メチル、−CH
2−CO−CH
3及び式(IVa)で表されるピラゾリル基
【化13】
【0042】
から選択され、ここで、上記式(IVa)において、
R
1が−NH−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6は、ジフルオロメチルであり;及び、
R
7は、水素である。
【0043】
式(III)で表される置換ビフェニルを調製するための本発明による調製方法の極めて特に好ましい実施形態では、式(III)における置換基は以下のように定義される:
X
1は、5−フルオロであり;
nは、1;
X
2は、3,4−クロロであり;
mは、2であり;
R
1は、−NH−CO−R
2であり;
R
2は、メチル、−CH
2−CO−CH
3及び式(IVa)で表されるピラゾリル基
【化14】
【0044】
から選択され、ここで、上記式(IVa)において、
R
1が−NH−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6は、ジフルオロメチルであり;及び、
R
7は、水素である。
【0045】
式(III)で表される置換ビフェニルを調製するための本発明による調製方法の特に好ましいさらなる実施形態では、式(III)における置換基は以下のように定義される:
nは、0であり;
X
2は、3,4,5−フルオロであり;
mは、3であり;
R
1は、−NH
2及び−NH−CO−R
2から選択され;
R
2は、メチル、−CH
2−CO−CH
3及び式(IVa)で表されるピラゾリル基
【化15】
【0046】
から選択され、ここで、上記式(IVa)において、
R
1が−NH−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、カルボニル基に結合しており:
R
6は、ジフルオロメチルであり;及び、
R
7は、水素である。
【0047】
式(III)で表される置換ビフェニルを調製するための本発明による調製方法の特に好ましいさらなる実施形態では、式(III)における置換基は以下のように定義される:
nは、0であり;
X
2は、3,4,5−フルオロであり;
mは、3であり;
R
1は、−NH−CO−R
2であり;
R
2は、メチル、−CH
2−CO−CH
3及び式(IVa)で表されるピラゾリル基
【化16】
【0048】
から選択され、ここで、上記式(IVa)において、
R
1が−NH−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、カルボニル基に結合しており:
R
6は、ジフルオロメチルであり;及び、
R
7は、水素である。
【0049】
式(III)で表される置換ビフェニルを調製するための本発明による調製方法の特に好ましいさらなる実施形態では、式(III)における置換基は以下のように定義される:
nは、0であり;
X
2は、4−クロロであり;
mは、1であり;
R
1は、−NH
2及び−NH−CO−R
2から選択され;
R
2は、メチル、−CH
2−CO−CH
3及び式(IVb)で表されるピリジル基
【化17】
【0050】
から選択され、ここで、上記式(IVb)において、R
1が−NH−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、カルボニル基に結合している。
【0051】
式(III)で表される置換ビフェニルを調製するための本発明による調製方法の特に好ましいさらなる実施形態では、式(III)における置換基は以下のように定義される:
nは、0であり;
X
2は、4−クロロであり;
mは、1であり;
R
1は、−NH−CO−R
2であり;
R
2は、メチル、−CH
2−CO−CH
3及び式(IVb)で表されるピリジル基
【化18】
【0052】
から選択され、ここで、上記式(IVb)において、R
1が−NH−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、カルボニル基に結合している。
【0053】
本発明に関連して、式(I)
【化19】
【0054】
で表されるアレーンは、以下のように置換される:
X
1は、独立して、ハロゲン原子及び1個以上のハロゲン原子で置換されている直鎖又は分枝鎖のC
1−4−アルキル基から選択され;
nは、0、1及び2から選択され;
R
1は、−NHR
2、−NO
2、−NR
3−CO−R
2及び−N=CR
4R
5から選択され;
R
2−R
5は、水素、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基、環状C
3−8−アルキル基、−CH
2−CO−CH
3、ベンジル基、ベンゾイル基、式(IVa)で表されるピラゾリル基及び式(IVb)で表されるピリジル基
【化20】
【0055】
から選択され、ここで、上記式(IVa)及び式(IVb)において、
R
1が−NR
3−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6及びR
7は、それぞれ、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基及び1〜6個のハロゲン原子を有しているC
1−6−ハロアルキル基から選択される。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)
【化21】
【0057】
で表されるアレーンは、以下のように置換される:
X
1は、独立して、ハロゲン原子から選択され;
nは、0、1及び2から選択され;
R
1は、−NHR
2、−NO
2、−NR
3−CO−R
2及び−N=CR
4R
5から選択され;
R
2−R
5は、水素、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基、環状C
3−8−アルキル基、−CH
2−CO−CH
3、ベンジル基、ベンゾイル基、式(IVa)で表されるピラゾリル基及び式(IVb)で表されるピリジル基
【化22】
【0058】
から選択され、ここで、上記式(IVa)及び式(IVb)において、
R
1が−NR
3−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6及びR
7は、それぞれ、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基及び1〜6個のハロゲン原子を有しているC
1−6−ハロアルキル基から選択される。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)
【化23】
【0060】
で表されるアレーンは、以下のように置換される:
X
1は、4−フルオロであり;
nは、0及び1から選択され;
R
1は、−NHR
2及び−NR
3−CO−R
2から選択され;
R
2−R
5は、水素、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基、環状C
3−8−アルキル基、−CH
2−CO−CH
3、ベンジル基、ベンゾイル基、式(IVa)で表されるピラゾリル基及び式(IVb)で表されるピリジル基
【化24】
【0061】
から選択され、ここで、上記式(IVa)及び式(IVb)において、
R
1が−NR
3−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6及びR
7は、それぞれ、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基及び1〜6個のハロゲン原子を有しているC
1−6−ハロアルキル基から選択される。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)
【化25】
【0063】
で表されるアレーンは、以下のように置換される:
X
1は、4−フルオロであり;
nは、0及び1から選択され;
R
1は、−NR
3−CO−R
2であり;
R
2−R
5は、水素、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基、環状C
3−8−アルキル基、−CH
2−CO−CH
3、ベンジル基、ベンゾイル基、式(IVa)で表されるピラゾリル基及び式(IVb)で表されるピリジル基
【化26】
【0064】
から選択され、ここで、上記式(IVa)及び式(IVb)において、
R
1が−NR
3−CO−R
2である場合、#が付けられている結合は、いずれの場合にも、カルボニル基に結合しており:
R
6及びR
7は、それぞれ、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝鎖のC
1−12−アルキル基及び1〜6個のハロゲン原子を有しているC
1−6−ハロアルキル基から選択される。
【0065】
本発明の好ましいさらなる実施形態では、式(I)で表されるアレーンは、ピラゾリルアニリド又はピリジルアニリド(R
1=−NH−CO−R
2−)から選択される;式(IVa)[式中、R
6=CHF
2、及び、R
7=水素又はフッ素]で表されるピラゾリル基及び式(IVb)で表されるピリジル基。
【化27】
【0066】
特に好ましいのは、N−フェニル−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(4−フルオロフェニル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド及びN−フェニル−2−クロロニコチンアミドである。
【0067】
本発明による調製方法の好ましいさらなる実施形態では、式(I)で表されるアレーンは、アニリン、4−フルオロアニリン、アセトアニリド、4−フルオロアセトアニリド、N−フェニル−3−オキソブタンアミド、N−(4−フルオロフェニル)−3−オキソブタンアミド、N−(プロパン−2−イリデン)アニリン、4−フルオロ−N−(プロパン−2−イリデン)アニリン、N−フェニル−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(4−フルオロフェニル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド及びN−フェニル−2−クロロニコチンアミドから選択される。
【0068】
本発明による調製方法の特に好ましい実施形態では、式(I)で表されるアレーンは、アニリン、4−フルオロアニリン、N−(プロパン−2−イリデン)アニリン及び4−フルオロ−N−(プロパン−2−イリデン)アニリンから選択され、最も好ましくは、アニリン、4−フルオロアニリンから選択される。
【0069】
本発明による調製方法の特に好ましいさらなる実施形態では、式(I)で表されるアレーンは、アセトアニリド、4−フルオロアセトアニリド、N−フェニル−3−オキソブタンアミド、N−(4−フルオロフェニル)−3−オキソブタンアミド、N−フェニル−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(4−フルオロフェニル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド及びN−フェニル−2−クロロニコチンアミドから選択され、最も好ましくは、アセトアニリド、4−フルオロアセトアニリド、N−フェニル−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(4−フルオロフェニル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド及びN−フェニル−2−クロロニコチンアミドから選択される。
【0070】
本発明による調製方法の好ましいさらなる実施形態では、式(II)で表されるアレーンは、1,2−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン及び1,2,3−トリフルオロベンゼンから選択される。
【0071】
本発明に関連して、式(II)
【化28】
【0072】
で表されるアレーンは、以下のように置換される:
X
2は、ハロゲン原子及び1個以上のハロゲン原子で置換されている直鎖又は分枝鎖のC
1−4−アルキル基から選択され;
mは、1、2、3、4及び5から選択される。
【0073】
本発明の好ましい実施形態では、式(II)
【化29】
【0074】
で表されるアレーンは、以下のように置換される:
X
2は、ハロゲン原子から選択され;
mは、1、2、3、4及び5から選択される。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、式(II)
【化30】
【0076】
で表されるアレーンは、以下のように置換される:
X
2は、ハロゲン原子から選択され、さらに好ましくは、塩素及びフッ素から選択され;
mは、1、2及び3から選択され、さらに好ましくは、2及び3から選択される。
【0077】
本発明の特に好ましい実施形態では、式(II)で表されるアレーンは、1,2−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン及び1,2,3−トリフルオロベンゼンから選択される。
【0078】
式(I)で表されるアレーンと式(II)で表されるアレーンのカップリングは、好ましくは、少なくとも1種類の溶媒の存在下で実施され、ここで、該溶媒は、例えば、以下のものからなる群から選択される:水、脂肪族エーテル類、ハロゲン化されていてもよい芳香族又は脂肪族の炭化水素類、アルコール類、エステル類、芳香族又は脂肪族のニトリル類、及び、極性非プロトン性溶媒、例えば、ジアルキルスルホキシド類、脂肪族カルボン酸のN,N−ジアルキルアミド類、又は、アルキル化ラクタム類。
【0079】
特に好ましいのは、以下のものからなる群から選択される溶媒である:1,2−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、THF、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジグリム、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、tert−アミルメチルエーテル(TAME)、ジメチルエーテル(DME)、2−メチル−THF、アセトニトリル、ブチロニトリル、トルエン、キシレン類、メシチレン、アニソール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、水、及び、これらの混合物。
【0080】
本発明の特に好ましい実施形態では、式(II)で表されるアレーンを該溶媒として使用する。本発明の特に好ましい実施形態では、該溶媒は、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン及びクロロベンゼンから選択される。
【0081】
該アリール−アリールカップリングは、遷移金属触媒の存在下で進行する。原理上は、アリール−アリールカップリングに関連して従来技術において記載されている全ての遷移金属触媒を使用することが可能である。
【0082】
好ましくは、遷移金属M(ここで、Mは、金属Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Co、Rh、Ir、Fe、Ru、Mn、Cr及びTiから選択される)に基づいた触媒を使用する。
【0083】
好ましい実施形態では、Mは、Ru、Pd及びRhから選択される。特に好ましい実施形態では、Mは、Ru及びPdから選択される。極めて特に好ましい実施形態では、MはRuである。
【0084】
該遷移金属Mは、「−II」〜「+VI」の酸化状態で存在し得る。
【0085】
使用する触媒は、さらにまた、MY
pの形態にある上記金属Mからなる金属塩であることも可能であり、ここで、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Co、Rh、Ir、Fe、Ru、Mn、Cr及びTiから選択され、好ましくは、Ru、Pd及びRhから選択され、さらに好ましくは、Ru及びPdから選択され、及び、最も好ましくは、Mは、Ruであり;
Yは、独立して、F、Cl、Br、I、OTf、OAc、OMes、OTos、CF
3CO
2、SO
4及びアセチルアセトナートから選択され、好ましくは、Cl及びOAcから選択され;
pは、1、2、3、4、5及び6から選択され、好ましくは、2、3及び4から選択される。
【0086】
使用する触媒は、上記遷移金属塩MY
pとリガンドLの組合せによって得ることができる式MY
pL
rで表される遷移金属錯体であることも可能であり、ここで、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Co、Rh、Ir、Fe、Ru、Mn、Cr及びTiから選択され、好ましくは、Ru、Pd及びRhから選択され、さらに好ましくは、Ru及びPdから選択され、及び、最も好ましくは、Mは、Ruであり;
Yは、独立して、F、Cl、Br、I、OTf、OAc、OMes、OTos、CF
3CO
2、SO
4及びアセチルアセトナートから選択され、好ましくは、Cl及びOAcから選択され;
pは、1、2、3、4、5及び6から選択され、好ましくは、2、3及び4から選択され;
Lは、独立して、Cp(シクロペンタジエニド)、Cp
*(ペンタメチルシクロペンタジエニド)、p−シメン、PR’
3及びホスホルアミデートから選択され;
R’は、独立して、C
1−6−アルキル、C
3−5−シクロアルキル、C
6−12−アリール、C
12−24−ビアリール及びホスフィノフェロセンリガンドから選択され;及び、
rは、0、1、2、3、4、5及び6から選択され、好ましくは、2、3及び4から選択される。
【0087】
本発明の好ましい実施形態では、該ホスフィノフェロセンリガンドは、1,1−ビス−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン及びペンタフェニル(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンから選択される。
【0088】
特に好ましい実施形態では、該遷移金属錯体は、式「MY
pL
r[RhCp
*Cl
2]
2」で表される遷移金属錯体である。
【0089】
該反応の実施の過程において、該触媒系(遷移金属又は 遷移金属塩及びリガンド)は、一緒に、又は、別々に、添加することができる。該添加は、室温で実施するか、又は、30℃〜100℃の温度で実施する。該添加は、好ましくは、室温で実施する。該遷移金属錯体触媒は、遷移金属塩とリガンドを独立して合することによって当該反応の実施の直前に生成させることが可能であるか、又は、結晶形態にあるものを商業的に購入することも可能である。好ましくは、当該反応において使用する遷移金属触媒は、少なくとも1種類の遷移金属塩MY
pと適切なリガンドLからその場で生成させる。該遷移金属塩は、直接、即ち、リガンドLと合することなく、初期触媒活性の結果として生じる低下を伴うことなく、使用することも可能である。
【0090】
本発明の好ましい実施形態では、該遷移金属錯体MY
pL
rは、遷移金属塩MY
pとリガンドLからその場で生成させる。
【0091】
本発明の好ましい実施形態では、遷移金属MとリガンドLのモル比は、4:1〜1:50である。特に好ましい実施形態では、遷移金属MとリガンドLのモル比は、1:1〜1:5である。極めて特に好ましい実施形態では、遷移金属MとリガンドLのモル比は、1:1〜1:2である。
【0092】
本発明による調製方法においては、式(I)で表されるアレーンに基づいて、0.001〜10.0mol%、好ましくは、0.01〜5.0mol%、さらに好ましくは、0.1〜2.5mol%の遷移金属触媒を使用する。
【0093】
本発明によれば、アレーン(I)及びアレーン(II)は、少なくとも1種類の独立して組合せ可能な酸化剤を用いてカップリングさせる。原理上、全ての適切な酸化剤及び電気化学的酸化を使用することが可能である。好ましい実施形態では、該酸化剤は、ベンゾキノン、大気酸素、O
2、AgNO
3、AgOAc、Cu(OAc)
2、Ag
2CO
3、AgSbF
6、K
2S
2O
8、H
4PMo
11VO
40、Cu(OTf)
2、Na
2S
2O
8から選択される。特に好ましい実施形態では、該酸化剤として、大気酸素を使用する。特に好ましいさらなる実施形態では、酸化剤として、AgSbF
6及びCu(OAc)
2を使用する。
【0094】
本発明による調製方法においては、該触媒と組み合わせて、式(I)で表されるアレーンに基づいて、0.1〜10.0当量、好ましくは、0.5〜5当量、さらに好ましくは、1.0〜2.5当量の、該酸化剤又は独立して組合せ可能な酸化剤を使用する。酸化剤としてAgSbF
6及びCu(OAc)
2を使用する場合、式(I)で表されるアレーンに基づいて、0.05〜0.5当量(好ましくは、0.05〜0.2当量)のAgSbF
6及び0.5〜5当量(好ましくは、1.0〜2.5当量)のCu(OAc)
2を使用する。
【0095】
本発明によれば、式(I)で表されるアレーン及び式(II)で表されるアレーンは、10種類以下(好ましくは、5種類以下、さらに好ましくは、3種類以下)の独立して組合せ可能な添加剤を使用してカップリングさせることが可能である。添加剤は、第1に、1〜3の配位部位にキレートするキレート化剤であり得る。ここで、配位部位は、ヘテロ原子及び多重結合、好ましくは、酸素原子と窒素原子及び二重結合であり得る。その非限定的な例は、pTsOH、AcOH、TFA、CsOPiv、PivOHである。さらに、添加剤は、触媒活性を解放するのに役立つ補助剤であり得る。その非限定的な例は、KPF
6、PPh
3、NH
4PF
6、NaBF
4である。
【0096】
本発明の好ましい実施形態では、該添加剤は、pTsOH、AcOH、TFA、CsOPiv、PivOH、KPF
6、PPh
3、NH
4PF
6及びNaBF
4から選択される。
【0097】
本発明の好ましいさらなる実施形態では、該添加剤は、pTsOH、AcOH、TFA、CsOPiv及びPivOHから選択される。特に好ましい実施形態では、該添加剤は、CsOPiv及びPivOHから選択される。
【0098】
本発明の好ましいさらなる実施形態では、該添加剤は、KPF
6、PPh
3、NH
4PF
6、NaBF
4から選択される。
【0099】
好ましい実施形態では、5種類以下の独立して組合せ可能な添加剤を使用する。特に好ましい実施形態では、3種類以下の独立して組合せ可能な添加剤を使用する。
【0100】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)で表されるアレーンに基づいて、0.01〜10当量、好ましくは、0.05〜5当量、さらに好ましくは、0.1〜1.5当量の、添加剤又は独立して組合せ可能な添加剤を使用する。
【0101】
本発明によれば、式(I)で表されるアレーンと式(II)で表されるアレーンは、5:1〜1:5(I:II)の比率で、好ましくは、2:1〜1:2(I:II)の比率で、使用する。しかしながら、代替的に、該2種類の成分のうちの1種類[(I)又は(II)]、好ましくは、式(II)で表されるアレーンを、溶媒として、大過剰量で使用することも可能である。
【0102】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)で表されるアレーン又は式(II)で表されるアレーン、好ましくは、式(II)で表されるアレーンを、溶媒として、大過剰量で使用する。
【0103】
該反応は、一般に、20〜200℃(好ましくは、50〜150℃、さらに好ましくは、120〜140℃)の温度、及び、標準圧力〜100バール(好ましくは、標準圧力〜40バール)の圧力で、実施する。
【0104】
好ましい実施形態では、該反応は、保護ガス雰囲気下(例えば、アルゴン雰囲気下、又は、窒素雰囲気下)で、大気酸素を排除して実施する。
【0105】
少量の触媒に起因して、該触媒は、殆どの場合、最終生成物の中に残留し得る。しかしながら、代替的に、得られたビアリールの精製を、濾過(例えば、セライトによる濾過)によって実施することも可能である。
【0106】
以下の実施例は、本発明による調製方法を例証するために役立つが、本発明は、そのような実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0107】
合成実施例:
実施例1: [RhCp*Cl2]2の存在下におけるN−(4−フルオロフェニル)アセトアミドと1,2−ジクロロベンゼンのカップリング
ベークアウトしたRadley反応管の中に、酸素を排除しながら、153.2mg(1.00mmol)のN−(4−フルオロフェニル)アセトアミド、15.5mg(0.02mmol)の[RhCp
*Cl
2]
2、34.4mg(0.10mmol)のAgSbF
6、399.6mg(2.20mmol)のCu(OAc)
2、112.3mg(1.10mmol)のPivOH及び46.8mg(0.2mmol)のCsOPivを最初に装入し、5.0mL(44.4mmol)の1,2−ジクロロベンゼンを添加した。その反応混合物を130℃で19時間撹拌した。その反応が終了した後(HPLCによるモニタリング)、その反応混合物を室温まで冷却し、短いシリカゲルカラムで濾過し、EtOAcで溶出させた。その溶媒を蒸留によって除去し、得られた粗製生成物を分取HPLCを用いて精製した。これによって、134.0mgのN−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミドがLC純度99.9%(45%収率)で得られた。