特許第6109940号(P6109940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルカテル−ルーセントの特許一覧

特許6109940マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合
<>
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000002
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000003
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000004
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000005
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000006
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000007
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000008
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000009
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000010
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000011
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000012
  • 特許6109940-マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109940
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】マルチコア光ファイバ増幅器、およびマルチモード・ファイバとのマルチコア光ファイバ増幅器の結合
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20170327BHJP
   H01S 3/067 20060101ALI20170327BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20170327BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   H01S3/10 D
   H01S3/067
   G02B6/02 461
   G02B6/26
   G02B6/26 321
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-528493(P2015-528493)
(86)(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公表番号】特表2015-530744(P2015-530744A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2013052490
(87)【国際公開番号】WO2014031289
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年4月13日
(31)【優先権主張番号】61/692,735
(32)【優先日】2012年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/632,038
(32)【優先日】2012年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】リフ,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】フォンテーヌ,ニコラス
【審査官】 廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0329670(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0243490(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/126814(WO,A1)
【文献】 Henning Buelow,Optical-Mode Demultiplexing by Optical MIMO Filtering of Spatial Samples,IEEE Photonics Technology Letters,2012年 6月15日,Vol.24, No.12,pp.1045-1047
【文献】 Neng Bai, et al.,Multimode fiber amplifier with tunable modal gain using a reconfigurable multimode pump,Optics Express,2011年 8月15日,Vol.19, No.17,pp.16601-16611
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02− 6/036
6/10
6/26− 6/27
6/30− 6/34
6/42− 6/44
H01S 3/00− 3/30
H04B 10/00−10/90
H04J 14/00−14/08
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その光ポンピングに応答して光増幅を実現するように希土類ドープされたマルチコア光ファイバと、
第1のマルチモード光ファイバと、
前記第1のマルチモード光ファイバを前記マルチコア光ファイバの端部にエンドカップリングするように構成された第1の光結合器であって、前記マルチコア光ファイバのコアの数が、前記第1のマルチモード光ファイバのモードの数に等しい、第1の光結合器と、
第2のマルチモード光ファイバを前記マルチコア光ファイバの端部にエンドカップリングするように構成された第2の光結合器と、
1つまたは複数のポンプ光源を前記マルチコア光ファイバに光学的に結合するように構成された第3の光結合器と
を備える装置。
【請求項2】
前記第3の光結合器に光学的に接続され、前記マルチコア光ファイバ内の光増幅を生成するように構成された1つまたは複数のポンプ・レーザをさらに備え、
前記第3の光結合器が、前記マルチコア光ファイバの各光コアの隣接する端面を、対応するポンプ光源に結合するように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第3の光結合器が、1つまたは複数のポンプ・レーザから、前記マルチコア光ファイバの前記光コアの近くの端面の適切なサブセットに、ポンプ光を優先的に送信するように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記マルチモード光ファイバのうちの1つの中の光の光伝播モードに依存する方式で、前記マルチコア光ファイバと前記マルチモード光ファイバのうちの前記1つとの隣接する端部間で送信される光の強度を調節するように構成される光減衰器をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項5】
全光通信線路を形成するようにエンド接続されたマルチモード光ファイバの一連のスパンと、
前記スパンの対応する隣接する対をそれぞれエンド接続する複数の全光増幅器とを備える装置であって、
各全光増幅器が、光学的にポンピングされることに応答して光増幅を実現するように希土類元素でドープされたマルチコア光ファイバを含み、前記マルチコア光ファイバのコアの数が、前記マルチモード光ファイバのモードの数に等しい装置。
【請求項6】
前記スパンのそれぞれの隣接する対が、前記全光増幅器のうちの1つによってエンド接続される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記全光増幅器のうちの1つが、前記対応する隣接する対のスパンのうちの1つの中の光の光伝播モードに依存する方式で減衰するように構成された光減衰器を含む請求項5に記載の装置。
【請求項8】
希土類ドープされたマルチコア光ファイバの端部で、前記マルチコア光ファイバのコアの数と等しい数のモードを有するマルチモード光ファイバから光信号のストリームを受信するステップと、
前記希土類ドープされたマルチコア光ファイバ内の受信した光信号のストリームを増幅するステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記マルチコア光ファイバの端部から、増幅した光信号のストリームを第2のマルチモード光ファイバに送信するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
別の希土類ドープされたマルチコア光ファイバの端部で、前記送信する動作に応答して別のマルチモード光ファイバから光信号のストリームを受信するステップと、
別の希土類ドープされたマルチコア光ファイバ内の受信した光信号のストリームを増幅するステップと
をさらに含む請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、Nicolas K.FontaineおよびRoland Ryfによって2012年8月24日に出願された米国仮出願第61/692735号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般には、光増幅器、ならびに光増幅器を使用する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
本節は、本発明のより良い理解を促進する助けとなることがある側面を紹介する。したがって、本節の記載はこの観点で読むべきであり、何が従来技術であり、何が従来技術ではないかについての承認として理解すべきではない。
【0004】
多くの光通信システムでは、データ変調光キャリアが、光送信機と光受信機との間で増幅を受ける。光増幅の1タイプは、光信号から電気信号へのデータ変調光キャリアの変換と、対応する電気的信号を光信号に戻す再変換を含む。そのような変換および再変換シーケンスは通常、光−電気−光(OEO)型の信号処理と呼ばれる。別のタイプの光増幅は、どんなタイプのOEO信号処理も伴わない、光領域でのデータ変調光キャリアの増幅を含む。この後者のタイプの光増幅はしばしば、全光増幅(all-optical amplification)と呼ばれる。全光増幅は、ポンピングされた希土類ドーパントと、ラマン型光プロセスを引き起こすようにポンピングされた光導波路とを使用して実施されてきた。
【0005】
長距離光通信システムでは、OEOおよび/または全光増幅はしばしば、受動光伝送ファイバ内のデータ変調光キャリアの減衰を補償することが必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の装置の一実施形態は、マルチコア光ファイバと、第1、第2、および第3の光結合器とを含む。マルチコア光ファイバは、その光ポンピングに応答して光増幅を実現するようにドープされた希土類である。第1の光結合器が、第1のマルチモード光ファイバをマルチコア光ファイバの端部にエンドカップリングするように構成される。第2の光結合器が、第2のマルチモード光ファイバをマルチコア光ファイバの端部にエンドカップリングするように構成される。第3の光結合器が、ポンプ光源をマルチコア光ファイバに光学的に結合するように構成される。
【0007】
第1の装置のいくつかの実施形態では、装置は、第3の光結合器に光学的に接続され、マルチコア光ファイバ内の光増幅を生成するように構成された1つまたは複数の光ポンプ・レーザをさらに含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、第3の光結合器が、マルチコア光ファイバの各光コアの隣接する端面を、対応するポンプ光源に結合するように構成される。任意のそのような実施形態では、装置は、1つまたは複数の光ポンプとマルチコア光ファイバとの間に接続された偏光スクランブラをさらに含むことができる。任意のそのような実施形態では、1つまたは複数のポンプ・レーザから、マルチコア光ファイバの光コアの近くの端面の適切なサブセットに、ポンプ光を優先的に、または優勢に送信するように第3の光結合器を構成することができる。
【0008】
第1の装置の任意の実施形態では、装置は光減衰器をさらに含むことができる。光減衰器は、マルチモード光ファイバのうちの1つの中の光の光伝播モードに大幅に依存する(non-trivially dependent)方式で、マルチコア光ファイバとマルチモード光ファイバのうちの1つとの隣接する端部間で送信される光の強度を調節するように構成される。
【0009】
第1の装置の任意の実施形態では、マルチコア光ファイバは、3つの光コアが互いにほぼ同距離である3コア光ファイバでよい。
【0010】
第1の装置の任意の実施形態では、マルチコア光ファイバは、光コアの互いに素な(disjoint)第1および第2の集合を有することができる。第1の集合は、1つまたは複数の光コアから形成される。第2の集合は、円上に分布し、第1の集合の周りに位置する奇数の光コアから形成される。
【0011】
第2の装置の一実施形態は、マルチモード光ファイバの一連のスパンおよび複数の全光増幅器(all-optical amplifier)を含む。一連のスパンの中では、マルチモード光ファイバのスパンがエンド接続され、全光通信線(all-optical communication line)が形成される。各全光増幅器は、スパンの対応する隣接する対をエンド接続する。各全光増幅器は、光学的にポンピングされることに応答して光増幅を実現するように希土類元素でドープされたマルチコア光ファイバを含む。
【0012】
第2の装置のいくつかの実施形態では、スパンのそれぞれの隣接する対を全光増幅器のうちの1つによってエンド接続することができる。
【0013】
第2の装置の任意の実施形態では、全光増幅器のうちの個々の全光増幅器は、その中のマルチコア光ファイバを光学的にポンピングするように接続された1つまたは複数の光ポンプを含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、全光増幅器のうちの1つまたは複数は、その中の1つまたは複数の光ポンプとマルチコア光ファイバとの間に接続された偏光スクランブラを含むことができる。
【0014】
第2の装置の任意の実施形態では、全光増幅器のうちの1つは、対応する隣接する対のスパンのうちの1つの中の光の光伝播モードに依存する方式で減衰するように構成された光減衰器を含むことができる。
【0015】
第2の装置の任意の実施形態では、マルチコア光ファイバのうちのいくつかは、互いにほぼ同距離に位置する3つの光コアを有することができる。
【0016】
第2の装置のいくつかの実施形態では、個々のマルチコア光ファイバは、光コアの互いに素な第1および第2の集合を有する。第1の集合は、光コアのうちの1つまたは複数から形成され、第2の集合は、円上に分布し、第1の集合の周りに位置する奇数の光コアから形成される。
【0017】
方法の一実施形態は、受信する動作および増幅する動作を含む。受信する動作は、希土類ドープされたマルチコア光ファイバの端部で、マルチモード光ファイバから光信号のストリームを受信することを含む。増幅する動作は、希土類ドープされたマルチコア光ファイバ内において、受信した光信号のストリームを増幅することを含む。
【0018】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、マルチコア光ファイバの端部から、増幅した光信号のストリームを第2のマルチモード光ファイバに送信することをさらに含むことができる。
【0019】
上記の方法の任意の実施形態では、増幅する動作は、1つまたは複数のポンプ・レーザでマルチコア光ファイバを光学的にポンピングして、その中で光増幅を生成することを含むことができる。
【0020】
方法の任意の実施形態では、方法は、第2の受信する動作および第2の増幅する動作をさらに含むことができる。第2の受信する動作は、別の希土類ドープされたマルチコア光ファイバの端部で、送信する動作に応答して別のマルチモード光ファイバから光信号のストリームを受信することを含む。第2の増幅する動作は、別の希土類ドープされたマルチコア光ファイバ内において、受信した光信号のストリームを増幅することを含む。
【0021】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、マルチモード光ファイバのうちの1つの中の光の光伝播モードに基づいて強度を大幅に調節する方式で、マルチコア光ファイバとマルチモード光ファイバのうちの1つとの間で通信される光を光学的に減衰することをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】マルチモード光ファイバ(MMF)および大幅に異なる横方向強度プロファイルを有する光伝播モードがデータ変調光ストリームを搬送する光通信システム用の光ファイバ増幅器、例えば希土類ドープされた増幅器の実施形態を概略的に示すブロック図である。
図1B】マルチモード光ファイバ(MMF)および大幅に異なる横方向強度プロファイルを有する光伝播モードがデータ変調光ストリームを搬送する光通信システム用の光ファイバ増幅器、例えば希土類ドープされた増幅器の実施形態を概略的に示すブロック図である。
図1C】マルチモード光ファイバ(MMF)および大幅に異なる横方向強度プロファイルを有する光伝播モードがデータ変調光ストリームを搬送する光通信システム用の光ファイバ増幅器、例えば希土類ドープされた増幅器の実施形態を概略的に示すブロック図である。
図2図1A〜1Cに示すマルチコア光増幅器ファイバの断面の概略図である。
図3】3つの光コアの光伝播モードと、エンドカップリングされた入力または出力マルチモード光ファイバ(MMF)の光伝播モードとの間の重複を定性的に示す図1A〜1Cの例示的3コア光増幅器ファイバの端面の断面図である。
図4】異なる数の光コアを有する図1A〜1Cのマルチコア光増幅器ファイバの代替例の端面の概略的断面図A〜Fを与える図である。
図5A図1Aの全光増幅器の特定の実施形態を概略的に示すブロック図である。
図5B図1Bの全光増幅器の特定の実施形態を概略的に示すブロック図である。
図5C図1Cの全光増幅器の特定の実施形態を概略的に示すブロック図である。
図6】LP01、LP11x、およびLP11x光伝播モードの光が増幅される図5A〜5Cの全光増幅器の一例でモード等化(mode-equalize)するのに使用することのできる光減衰器を示す表面図である。
図7】伝送MMFのスパンおよび1つまたは複数の全光増幅器、例えば図1A〜1Cおよび2による全光増幅器のうちの1つまたは複数を有する全光通信システムを示すブロック図である。
図8】複数の光伝播モードで光信号ストリーム用の光増幅器を操作する方法、例えば図1A〜1Cおよび2に概略的に示される光増幅器を操作する方法を概略的に示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図および本文では、同様の参照番号は、構造的および/または機能的に類似の要素を指す。
【0024】
図では、いくつかの特徴の相対的寸法が、その中で示される構造のうちの1つまたは複数をよりはっきりと示すために誇張されることがある。
【0025】
本明細書では、例示的実施形態の図および詳細な説明によって様々な実施形態をより完全に説明する。それでも、本発明を様々な形態で実施することができ、本発明は、例示的実施形態の図および詳細な説明で説明する特定の実施形態に限定されない。
【0026】
本明細書では、マルチモード光ファイバが、光遠隔通信波長の光伝播モードのセットを誘導するように構成される単一の光コアおよび隣接する光クラッディングを有する。セットは、大幅に異なる横方向光強度プロファイル、すなわち目盛係数(scale factor)を超えて異なるプロファイルを有するモードを含む。多くの場合、マルチモード光ファイバは、本質的に軸対称である。
【0027】
本明細書では、マルチコア光ファイバは、光クラッディング内に複数の互いに素な光コアを有する。マルチコア・ファイバでは、光コアのうちの個々の光コアおよび隣接する光クラッディングは、1つまたは複数の光伝播モードを導くことができる。複数の互いに素な光コアの存在のために、マルチコア光ファイバは、光ファイバの軸の周りに軸対称ではない。
【0028】
以下で説明する実施形態のいくつかは、エンドカップリングされたマルチモード光ファイバの光を増幅するのに使用可能な、有利な全光ファイバ増幅器を提供する。実施形態のうちの様々な実施形態では、光増幅が行われる光ファイバは、マルチコア光ファイバである。そのようなマルチコア光ファイバは、増幅器の光学的利得が、いくつかの他の光ファイバ増幅器よりも、増幅すべき光の光伝播モードに対するより低い依存性を有するように、伝播の制御の改善を可能にすることができる。
【0029】
図1A〜1Cに、全光増幅器10A、10B、10C、すなわち希土類ドープされたファイバ光増幅器の第1、第2、および第3の実施形態をそれぞれ示す。各光増幅器10A〜10Cは、エンドカップリングされた入力マルチモード光ファイバ(MMF)12のN個の対応する光伝播モードのセットからの光を受信および増幅するように構成される。エンドカップリングされた出力MMF14のN個の対応する光伝播モードのセットに増幅した光を送信するように全光増幅器10A〜10Cを構成することができる。ファイバ増幅器に結合する光伝播モードのそのような各セットは、大幅に異なる横方向光強度プロファイル、すなわち目盛係数を超えて異なるプロファイルを有する横方向光伝播モードを含む。そのような各セットのN個の光伝播モードは、N個以下の独立のデータ変調光ストリーム、例えばモード当たりおよび波長帯当たり1つのストリームを並列に搬送することができる。入力および出力MMF12、14の対応する光伝播モードのセットは、同一のおよび/または異なる光伝播モード、例えばLP01、LP11x、およびLP11yを含むことができる。
【0030】
光増幅器10A〜10Cのそれぞれは、マルチコア光増幅器ファイバ16と、第1および第2の光結合器18、20とを含む。光結合器18、20は、マルチコア光増幅器ファイバ16の端面を入力および/または出力MMF12、14の端面に結合し、マルチコア光増幅器ファイバ16を順方向および/または逆方向伝播ポンプ光源に結合する。光増幅器10A〜10Cのいくつかの実施形態はまた、順方向および/または逆方向光ポンプ22、24、例えばレーザ光ポンプ、または希土類ドープされた光ファイバ用の他の適切なポンプ光源をも含むことができる。
【0031】
マルチコア光増幅器ファイバ16は、図2に概略的に示されるように、光クラッディング・マトリックス28内に埋め込まれたN個の光コア26〜26を有する。整数Nは一般に3以上である。個々の光コア26〜26は、光クラッディング材料28よりも高い光屈折率を有することができ、その結果、個々の光コア26〜26は、それに沿って光を導くことができる。光コア26〜26は、固定の、または縦方向に変化する横方向パターンで光クラッディング28内に分布し、例えば、パターンは、マルチコア光増幅器ファイバ16の軸の周りに回転することができる。光コア26〜26は、横方向に十分に分離することができ、その結果、それぞれの個々の光コア26〜26は、残りの光コア26〜26と実質的に重複しない導波モードを有する。あるいは、光伝播モードは、N個の光コア26〜26のうちの複数と実質的に重複することができる。
【0032】
あるいは、光コア26〜26のうちの個々の光コアは管状コアでよい。そのような光コア26〜26では、光屈折率は、特定の光コア26〜26の軸を中心とする管状領域内で、光クラッディング・マトリックスの隣接する部分内よりも高い値を有する。そのような管状領域の内部および外部で、光屈折率は低い値を有し、例えば両方の領域は、光クラッディング・マトリックスの値の光屈折率を有することができる。そのような管状領域の厚さの中で、光屈折率は一定でよく、または管状領域の軸からの半径方向距離と共に変動することができる。
【0033】
マルチコア光増幅器ファイバ16は、光ポンピングに応答して光増幅をサポートするように、1つまたは複数のタイプのドーパント原子28でドープされる。例えば、ドーパント原子28は、エルビウム、ツリウム、プラセオジム、および/またはイッテルビウムなどの希土類ドーパント原子、または光ポンピングに応答して光増幅を生成するための別の従来から知られているドーパントを含むことができる。
【0034】
ドーパント原子28は、光コア26〜26および/または光クラッディング・マトリックス26内のマルチコア光ファイバ12内において様々な分布を有することができる。様々な実施形態では、そのようなドーパント原子28は、光コア26〜26および/またはそれに隣接する光クラッディング領域内に集中することができる。受信した光の強度は通常、光コア26〜26内およびその付近でより大きいので、マルチコア光増幅器ファイバ16内のドーパント原子28のそのような限定された分布は、より効率的な光増幅を実現することができる。
【0035】
個々の光コア26〜26は、MMF12、14の対応する光伝播モードの選択されたセットに対するマルチコア光増幅器ファイバ16の効率的なエンドカップリングをサポートするようなマルチコア光増幅器ファイバ16内の横方向パターンで構成および/または配置することができる。具体的には、N個の光コア26〜26の端面を、入力MMF12から受信される増幅すべき光信号の重要なパターン(non-trivial pattern)によって照射されるように配置し、位置合せすることができる。それぞれの重要なパターンは通常、例えば光スポットの重要なパターンを介して、マルチコア光増幅器ファイバ16内の相対的に直交する光伝播モードの一次結合を励起する。さらには、N個の光コア26〜26の端面のうちの1つまたは複数は、光ポンプ22、24からのポンプ光のパターン、例えば前記ポンプ光の1つまたは複数のスポットのパターンによって照射されるように配置および位置合せすることができる。マルチコア光増幅器ファイバ16の端面に対するそのような光パターンの位置合せおよび/または像倍率を選択的にセットアップして、光ファイバ増幅器10A〜10Cによって生成される光学的利得の光伝播モード依存性を低減することができる。
【0036】
低光屈折率コントラストの数モード光ファイバ(FMF)12の3つの対応する伝播光学モードに光学的にエンドカップリングすることのできる3コア光増幅器ファイバ16の構成が、図3に概略的に示されている。この例では、3コア光増幅器ファイバ16、光コア26〜26は、ほぼ同じ直径およびほぼ同じ光屈折率を有することができ、3コア光増幅器ファイバ16の軸の周りにほぼ同距離かつ対称的に配置することができる。
【0037】
図3では、FMF12の近似光伝播モード、すなわち直線偏光されたLP01、LP11y、LP11xモードの横方向強度プロファイルが、網掛け領域で概略的に示されており、3つの光コア26〜26が破線で示されている。各網掛け領域は、3コア光増幅器ファイバ16のエンドカップリングされる端面でのFMF12のLPモードのうちの対応するLPモードの高い光強度領域を概略的に示す。具体的には、プレートA、B、Cは、LP01モード、LP11yモード、およびLP11xモードによってそれぞれ生成された3コア光増幅器ファイバ16の端面の高強度照射領域を概略的に示す。
【0038】
プレートA〜Cは、マルチコア光増幅器ファイバ16の端面での光コア26、26、26に対する3コアFMF12の個々のLPモードの光学的結合が、光コア26〜26のコア間分離およびコア直径に依存することを示す。この結論は、3つの光コア26、26、26によって導かれる光伝播モードに対するFMF12のLPモードの光学的結合が、前記コア間分離およびコア直径にも依存するはずであることを定性的に示唆する。実際に、光学的結合のこれらの依存性は通常、モード依存であるはずである。そのために、3コア光増幅器ファイバ16を画定する幾何学的パラメータに関するいくつかの選択肢は、3コア光増幅器ファイバ16に対するFMF12のLP01、LP11y、LP11xモードのエンドカップリングに関する挿入損失の低モード依存性を実現することができる。
【0039】
一例では、3つの光コア26〜26のそれぞれは、約12.4マイクロメートルのコア直径、および約29.4μmのコア間分離を有し、光クラッディング・マトリックスに対する約0.27%の光屈折率コントラストを有するステップ屈折率プロファイルを有することができる。例えば、3コア光増幅器ファイバ16のいくつかの別の実施形態では、コア間分離およびコア直径のこれらの値をほぼ同じ係数によってより小さい値にスケーリングすることもできる。さらに、レンズ・システムを使用して、モード依存挿入損失を低減する倍率または縮小率(de-magnification)でFMF12の出力端面からの光を3コア光増幅器ファイバ16の入力端面上に結像することができる。
【0040】
図4に、図1A〜1Cの光ファイバ増幅器10A〜1Cのマルチコア光増幅器ファイバ16の6つの例のN個の光コア26〜26に関する特別な横方向パターンA、B、C、D、E、Fを示す。これらの6つの例では、N個の個々の光コアは、ほぼ同一のサイズ、形状、および光屈折率を有することができる。
【0041】
特別な横方向パターンA、B、C、D、E、Fでは、マルチコア光増幅器ファイバ16は、その位置が円形の点を介して示される、3、6、8、10、12、および15個の光コア26〜26をそれぞれ有する。
【0042】
図4はまた、それぞれの特別な横方向パターンA〜DのN個の光コア26〜26の互いに素なサブセットのメンバを接続する仮想線分をも示す。個々のサブセットでは、メンバ光コア26〜26は、マルチコア増幅器光ファイバ16内の単純な幾何学的関係を有する。個々のサブセットのメンバ光コア光コア26〜26が、奇数の頂点を有する仮想のほぼ正多角形(imaginary and approximately regular polygon)、すなわち線分によって示されるような多角形の頂点に位置する。ここでは、単一の頂点物体(vertex object)は縮退多角形(degenerate polygon)と考えられる。特別な横方向では、特別な横方向パターンB〜Fは、通常は同心であり、例えばマルチコア光増幅器ファイバ16の軸を中心とすることのできる複数のそのような多角形を有する。
【0043】
したがって、特別な横方向パターンB〜Fでは、N個の光コア26〜26によって形成される2つ以上の互いに素なサブセットがある。サブセットのうちの第1のものは、マルチコア光増幅器ファイバ16内の中心に位置し、1つまたは複数の他のサブセットであり、それぞれのそのような他のサブセットが、円に沿って、第1のサブセットの周りに配置される、奇数の等しく離間する光コアによって形成される。別の実施形態では、数字Nがより大きいとして、N個の光コア26〜26の他の横方向パターンがそのような特別な形を有することもできる。
【0044】
N個の光コア26〜26のそのような特別な横方向パターンは、図1A〜1Cの光増幅器10A〜10Cに有利な特性を与えると本出願人は考える。具体的には、ドープされたマルチコア光増幅器ファイバ16のN個の光コア26〜26がそのような特別な横方向パターンで配置される場合、入力および/または出力MMF12、14にドープされたマルチコア光増幅器ファイバ16をエンドカップリングすることが、例えば、光ファイバ増幅器10A〜10Cの得られる利得の低光伝播モード依存性と共に可能となることがあると本出願人は考える。
【0045】
例えば、入力および出力MMF12、14は低光コア・クラッディング・コントラストを光屈折率で有する場合、特別な横方向パターンA、B、C、D、E、およびFは、以下のLP光伝播モードのそれぞれのセットに、ドープされたマルチコア光増幅器ファイバ16をエンドカップリングするのに有利であると考えられる。
{LP01、LP11x、LP11y}、すなわち3つのLPモードのセット、
{LP01、LP02、LP11x、LP11y、LP21x、LP21y}、すなわち6つのLPモードのセット、
{LP01、LP02、LP11x、LP11y、LP21x、LP21y、LP31x、LP31y}、すなわち8つのLPモードのセット、
{LP01、LP02、LP11x、LP11y、LP21x、LP21y、LP31x、LP31y、LP12x、LP12y}、すなわち10個のLPモードのセット、
{LP01、LP02、LP11x、LP11y、LP21x、LP21y、LP31x、LP31y、LP41x、LP41y、LP12x、LP12y}、すなわち12個のLPモードのセット、および
{LP01、LP02、LP03、LP11x、LP11y、LP21x、LP21y、LP31x、LP31y、LP41x、LP41y、LP12x、LP12y、LP22x、LP22y}、すなわち15個のLPモードのセット。
これらの例が示すように、ドープされたマルチコア光増幅器ファイバ16の光コア26〜26の数Nは、それに関して光が光学的に増幅されるエンドカップリングされたMMF12、14のLPモードの数に対応することができる。
【0046】
図5A、5B、および5Cは、図1A、1B、および1Cのそれぞれの全光増幅器10A、10B、および10Cの特定の実施形態10A’、10B’、および10C’を示す。全光増幅器10A’〜10C’は、図1A〜1Cに示されるような第1および第2の光結合器18、20、ならびにポンプ光源22、24の一方または両方の特別な実施形態を含む。
【0047】
図5A〜5Cでは、任意選択で、第1および第2の光結合器18、20が、MMF12、14、マルチコア光増幅器ファイバ16、および/またはポンプ光源22、24から受信した光をコリメートおよび/または結像するように機能する1つまたは複数のレンズ・システム(L)を含む。そのような結像は、MMF12からの光の照射ビームおよび/またはポンプ光源からのポンプ光を、マルチコア光増幅器ファイバ16の光コア26〜26とより効率的に位置合せすることができる。
【0048】
図5A〜5Cでは、任意選択で、第1および第2の光結合器18、20のうちの1つまたは複数が、光ファイバ増幅器10A’〜10C’の全利得を等化するように構成される光学マスク(OM)を含むことができる。そのような光学マスクOMは、入射光ビームの空間的に変動する位相および/または振幅フィルタリングを実現することができる。フィルタリングは、その端面が光学マスクOMに隣接する入力または出力マルチモード光ファイバ12、14内の光の光伝播モードに大幅に依存する方式で入射光を減衰させるように構成することができる。例えば、弱め合う光学的干渉により、このモード依存減衰を光学マスクOM自体で生成することができ、または光学マスクOMによって処理された光を受信する光ファイバ16、14のうちの1つで、またはその中で生成することができる。
【0049】
光結合器18、20の一方または両方のいくつかの実施形態では、任意選択の光学マスクOMは、1つまたは複数の波長依存フィルタを含むことができる。例えば、そのようなフィルタのスペクトル依存性を使用して、スペクトル利得平坦化(spectral gain flattening)を実現することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、光結合器18、20の一方または両方は、光アイソレータをも含むことができる。例えば、入力および/または出力MMF12、14と、隣接する光結合器18、20の2色性コンバイナまたはスプリッタ(DC/S)との間の光学的自由空間経路内にそのような光アイソレータを配置することができ、かつ/または入力または出力MMF12、14と、マルチコア光増幅器ファイバ16の近くの端部との間の光学的自由空間経路内に光アイソレータを配置することができる。
【0051】
図5A〜5Cでは、第1および第2の光結合器18、20のそれぞれは、光ポンプ22、24のうちの近くの1つによる光出力、あるいは入力MMF12またはマルチコア光増幅器ファイバ16の近くの端面による光出力を受信するように構成された2×1全光結合器を含むことができる。そのような2×1光結合器は、従来から知られている2×1光結合器、例えば2×1光パワー結合器(OC)、あるいは2色性光コンバイナまたはセパレータ(DC/S)でよい。
【0052】
図5A〜5Cでは、順方向および/または逆方向光ポンプ光源22、24は、偏光スクランブラおよびポンプ・レーザを含むことができる。そのような偏光スクランブラPSは、対応するポンプ・レーザPLから受信した光の偏光をランダム化することができ、その結果、ポンプ光は、マルチコア光増幅器ファイバ16内の希土類ドーパント原子をより効率的に励起して、例えば偏光依存性を低減する。そのような偏光スクランブラPSは、例えば、対応するポンプ・レーザPLによって異なる時間に放射された光、例えば前記ポンプ・レーザの時間的コヒーレンス時間を超えて分離された時間に放射される光を結合することができる。
【0053】
図5A〜5Cでは、順方向および/または逆方向光ポンプ光源22、24は、重要な断面を有するポンプ光ビームを形成するように、その出力光ビームが光結合器(OC)、例えばファイバ束によって空間的に結合される複数のレーザ源を含むことができる。具体的には、近くの光結合器18、20がマルチコア光増幅器ファイバ16の近くの端面上にポンプ光の特別なスポット・パターンを形成するように、ポンプ光ビームを結合することができる。ポンプ光がマルチコア光増幅器ファイバ16のN個の光コアのうちの1つ、複数、またはすべての端面を優先的に照射するように、そのような特別なスポット・パターンを構成することができる。マルチコア光増幅器ファイバ16の端面に対するポンプ照射のそのような空間分布は、その中の光コア26〜26内に、および/またはそれに隣接して希土類ドーパント原子が優先的に分布する実施形態でのポンピング効率を向上させることができる。いくつかのそのような実施形態では、マルチコア光増幅器ファイバ16の光コア26〜26が実質的に光学的に結合されるので、光コア26〜26のすべてのN個の端面を照射することは不要であることがある。
【0054】
図6に、LP01、LP11x、およびLP11x光伝播モードの光が増幅される図5A〜5Cの全光増幅器10’〜10Cの実施形態で光学的にモード等化するのに使用可能な光減衰器マスク(AM)の一例を示す。光減衰器マスクは、2つの互いに素な領域(disjoint regions)、すなわちDK領域およびLT領域を有する。図6では、DK領域は、網掛けで示される円盤状領域であり、LT領域は、光減衰器マスクAMの面の残りの部分である。
【0055】
図6では、破線の領域は、それぞれのLP01、LP11x、およびLP11x光伝播モードが光減衰器AMの入力面上でかなりの光強度を有するエリアを示す。これらの3つのLPモードでは、かなりの光強度の領域が、非常に異なる形で光減衰器マスクAMのDKおよびLT領域に重なる。例えば、LP01光伝播モードだけが、DK領域とのかなりの重複を有する。
【0056】
一実施形態では、光減衰器マスクAMは、DK領域が強い光学的減衰をもたらし、LT領域が相対的にずっと弱い光学的減衰をもたらす、空間的に変動する振幅マスクである。LP01光伝播モードだけがDK領域上にかなりの光強度を有するので、光減衰器マスクのこの例は、LP01光伝播モードの強度がLP11光伝播モードの強度に対して減衰されるモード等化を実現する。
【0057】
代替実施形態では、光減衰器マスクAMは、DK領域およびLT領域が相対位相約180度だけ異なる位相変調をもたらす、空間的に変動する位相マスクである。LP01光伝播モードだけがDK領域上でかなりの強度を有するので、光減衰器マスクのこの例はやはり、LP01光伝播モードの強度が2つのLP11光伝播モードの強度に対して減衰されるモード等化を実現する。具体的には、光減衰器マスクAMを通じて送信されたLP01光伝播モードの光の干渉は、著しく弱め合うものとなる。例えば、そのような干渉は、例えば光減衰器マスクAMの位置に応じて、図5A〜5Cのマルチコア光増幅器ファイバ16または出力MMF14内で生じることがある。一方、そのような干渉は、LP11光伝播モードの光を著しく減衰するはずはない。そのような光は、光減衰器マスクAMのLT領域を実質的に通過するだけだからである。
【0058】
図7に、送信MMFの(M+1)個のスパンS1、S2、...、S(M+1)と、1つまたは複数の全光エンド・コネクタ10、10、...、10と、電気データ・ストリームを光データ・ストリームに変換する光データ送信機4と、光データ・ストリームを電気的データ・ストリームに変換する光データ受信機6とを有する全光通信システム2を示す。様々な実施形態では、整数Mは1以上でよい。スパンS1−S(M+1)は、例えば、同一のタイプのMMF、例えば光伝播モードのほぼ同一のセットを伝播するMMFのスパンでよい。スパンSP1−SP(M+1)が互いにエンド接続されて、全光エンド・コネクタ10、10、...、10を介して光データ送信機4と受信機6との間の全光ファイバ伝送線路が形成される。光エンド・コネクタ10〜10のうちの1つまたは複数は、図1A〜1Cおよび2で示されるような全光ファイバ増幅器10A〜10Cを含む。例えば、前記全光増幅器は、MMFの隣接するスパンの対の端面にエンド接続することができる。
【0059】
図8に、全光ファイバ増幅器を操作して、マルチモード光ファイバの複数光伝播モードによって搬送される光信号の1つまたは複数の並列ストリームを増幅する方法30を概略的に示す。30の方法を使用して、図1A〜1C、2、5A〜5Cの全光増幅器10A〜10C、10A’〜10C’のいずれかを操作することができる。
【0060】
方法30は、希土類ドープされたマルチコア光ファイバ、例えば図1A〜1Cのマルチコア光増幅器ファイバ16の端面で、マルチモード光ファイバ、例えば図1A〜1Cおよび5A〜5Cの入力MMF12の端面から光信号の1つまたは複数のストリームを受信することを含む(ステップ32)。1つまたは複数のストリームは通常、列挙したマルチモード光ファイバの光伝播モードのセットを介して搬送される光データ被変調搬送波を含む。光伝播モードのセットは、ある波長帯で光信号を搬送することができ、または例えば波長分割多重化を実装するために、重複しない波長帯のシーケンスで光信号を搬送することができる。セットの異なる光伝播モードは、大幅に異なる光強度および/または位相断面プロファイルを有する。具体的には、セットは、MMFの相対的に直交なモードである光伝播モードを含む。セットの光伝播モードのいくつかは、大幅に異なる、すなわちスケール変換を超えて異なる横方向強度プロファイル、かつ/または異なる角運動量固有値を有する。
【0061】
方法30は、希土類ドープされたマルチコア光ファイバ内の光信号の受信した1つまたは複数のストリームを増幅することを含む(ステップ34)。通常、増幅することは、1つまたは複数のポンプ光源、例えば図1A〜1Cおよび5A〜5Cの順方向ポンピング光源22および/または逆方向ポンピング光源24でマルチコア光ファイバを光学的にポンピングすることを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、方法30は、希土類ドープされたマルチコア光増幅器ファイバの端面から、第2のマルチモード光ファイバ、例えば図1A〜1Cおよび5A〜5CのMMF14の端面に、光信号の増幅した1つまたは複数のストリームを送信することをさらに含むことができる(ステップ36)。送信は、例えば図1A〜1Cおよび5A〜5Cに示されるようなマルチコア光増幅器ファイバの異なる第2の端面から行うことができる。あるいは、送信は、ステップ32で1つまたは複数のストリームの光を受信した希土類ドープされたマルチコア光増幅器ファイバの同一の入力端面、すなわち図1A〜1Cには図示されていない構成から行うことができる。そのような実施形態では、同一の希土類ドープされたマルチコア光増幅器ファイバに増幅した光を送り戻す近くの鏡に面するように、希土類ドープされたマルチコア光増幅器ファイバの第2の端面を配向することができる。そのような増幅した光をさらに増幅し、最終的に、光サーキュレータによって前記同一のマルチコア光増幅器ファイバの元の入力端面から抽出することができ、光サーキュレータは、前記増幅した光をステップ36の出力マルチモード光ファイバの端面に送る。
【0063】
そのような実施形態では、方法30はまた、第2の希土類ドープされたマルチコア光ファイバの端面で、第2の希土類ドープされたマルチコア光増幅器ファイバ内の光信号の受信した1つまたは複数のストリームを送信および増幅することに応答して、第2のマルチモード光ファイバを介して光信号の1つまたは複数のストリームを受信することをも含むことができる(ステップ38)。例えば、ステップ38で動作している第2の希土類ドープされたマルチコア光ファイバを、ステップ32〜34で動作している第1の希土類ドープされたマルチコア光ファイバとは異なる、図7の全光エンド・コネクタ10〜10に配置することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法は、マルチモード光ファイバのうちの1つの中の光の光伝播モードに基づいて強度を大幅に調節する方式で、希土類ドープ・マルチコア光ファイバとマルチモード光ファイバのうちの1つとの間で通信される光を光学的に減衰させることを含むことができる。
【0065】
本願で説明および列挙した様々な方法では、方法の様々なステップを順次に、並列に、または部分的に並列に実施することができる。
【0066】
本明細書では、様々な実施形態の特性を、例えばMMFの伝送スパンの光伝播モードのセット上のデータ変調光キャリアをサポートする、単一の波長帯上のデータ通信に関して説明した。これらの実施形態は、重複する波長帯のシーケンスが、例えば波長分割多重化(WDM)を介してデータ変調光キャリアをサポートする例を含むことを意図する。そのような例では、光伝播モードのセットの1つまたは複数の光伝播モードが、シーケンスの重複しない波長帯上で別々のデータ変調光キャリアを搬送することができる。
【0067】
本明細書で説明する光増幅器および光増幅器内の光通信システムの様々な実施形態は、追加の従来の光学構成要素を含むことができる。追加の従来の光学構成要素は、例えば、伝送特性の波長依存性を除去または変更する光アイソレータおよび/または光学的利得平坦化フィルタを含むことができる。これらの追加の光学構成要素を、本願の教示に照らして当業者なら容易に理解する方式で、光増幅器の実施形態および/または全光伝送線路の実施形態で配置することができる。そのような従来の光学構成要素を、単一モード光ファイバに基づく光増幅器および/または全光伝送線路内のそのような光学構成要素の配置と同様の方式で配置することができる。
【0068】
本発明は、説明、図、および特許請求の範囲に照らして当業者には明らかな他の実施形態を含むものとする。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8