(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の粒子が非球形である場合には、前記複数の粒子のうち、粒径が上位10%の粒子の平均粒径に対する前記コーティング膜の厚さの平均値の比率が1.9以下であることを特徴とする、請求項1に記載の粒子整列を用いたコーティング方法。
前記コーティング膜は、前記密着性高分子基板よりも高い密着性および接着性を有する他の基板に転写されることを特徴とする、請求項1に記載の粒子整列を用いたコーティング方法。
前記複数の粒子が非球形である場合には、前記複数の粒子のうち、粒径が上位10%の粒子の平均粒径に対する前記コーティング膜の厚さの平均値の比率が1.9以下であることを特徴とする、請求項15に記載の粒子コーティング基板。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、添付図面を参照する次の詳細な説明からさらに明確に理解されるであろう。
【0014】
【
図1a】本発明の実施例に係る粒子整列を用いたコーティング方法を説明する断面図である。
【
図1b】本発明の実施例に係る粒子整列を用いたコーティング方法を説明する断面図である。
【
図1c】本発明の実施例に係る粒子整列を用いたコーティング方法を説明する断面図である。
【
図2a】本発明の実施例に係る粒子整列を用いたコーティング方法によって形成されたコーティング膜を除去した後の密着性高分子基板の様々な例を示す断面図である。
【
図2b】本発明の実施例に係る粒子整列を用いたコーティング方法によって形成されたコーティング膜を除去した後の密着性高分子基板の様々な例を示す断面図である。
【
図3】本発明の実験例1でSiO
2粒子の平均粒径を160nm、330nm、740nm、1480nm、3020nm、5590nmに異ならせて形成されたコーティング膜の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図4】本発明の実験例2でポリスチレン粒子の平均粒径を800nm、2010mnに異ならせて形成されたコーティング膜の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図5】本発明の実験例3で密着性高分子基板、SiO
2コーティング膜、Ag
3PO
4コーティング膜、TiO
2コーティング膜の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図6】本発明の実験例3で密着性高分子基板、SiO
2コーティング膜が形成された密着性高分子基板、Ag
3PO
4コーティング膜が形成された密着性高分子基板、TiO
2コーティング膜が形成された密着性高分子基板を活字上にのせた後の写真である。
【
図7】本発明の実験例4でガラス基板、ポリスチレン基板および密着性高分子基板に形成されたSiO
2コーティング膜を1000倍、6000倍で拡大した共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)写真である。
【
図8】本発明の実験例5で粒子脱着部位および再コーティングによって形成されたコーティング膜のCLSM写真である。
【
図9】本発明の実験例6で実施例と比較例に係る第2SiO
2コーティング膜のCLSMと走査型電子顕微鏡写真である。
【
図10】本発明の実験例7でSiO
2コーティング膜から粒子が除去された領域の原子間力顕微鏡(AFM)イメージである。
【
図11】本発明の実験例8で直径15cmのペトリ皿基板に形成されたSiO
2コーティング膜の写真である。
【
図12】本発明の実験例9で形成されたコーティング膜の正面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。
【
図13】本発明の実験例9で形成されたコーティング膜の側面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。
【
図14】本発明の実験例9で接着テープを用いてコーティング膜の一部の粒子を脱着させた後に撮影したAFMイメージとコーティング膜におけるラインプロファイルである。
【
図15】本発明の実験例9でガラス基板、5%PDMS基板、10%PDMS基板、20%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜またはPSコーティング膜、アミン(+電荷)SiO
2コーティング膜の平均粒子高さおよび沈下率を示すグラフである。
【
図16】本発明の実験例9でガラス基板、5%PDMS基板、10%PDMS基板、20%PDMS基板に平均粒径300nmのSiO
2粒子を用いて形成されたコーティング膜の平均粒子高さおよび沈下率を示すグラフである。
【
図17】本発明の実験例9で平均粒径150、300、750、1500nmの粒子を用いて形成されたコーティング膜の平均粒子高さおよび沈下率を示すグラフである。
【
図18】本発明の実験例10で7、10、20%PDMS基板にSiO
2コーティング膜を形成した後に撮影した写真である。
【
図19】本発明の実験例10によって形成されたSiO
2コーティング膜を第1基板(硬化剤を7重量部含んで形成されたPDMS基板)に転写した後に撮影した写真である。
【
図20】本発明の実験例10によって形成されたSiO
2コーティング膜を第2基板(硬化剤を10重量部含んで形成されたPDMS基板)に転写した後に撮影した写真である。
【
図21】本発明の実験例10によって形成されたSiO
2コーティング膜を第3基板(硬化剤を20重量部含んで形成されたPDMS基板)に転写した後に撮影した写真である。
【
図22】本発明の実験例11で様々な密着性高分子基板および比較例の基板にSiO
2コーティング膜を形成した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、様々な形態に変形できるのは勿論である。
【0016】
図面では本発明を明確かつ簡略に説明するために説明と関係のない部分の図示を省略し、明細書全体にわたって、同一または極めて類似の部分には同一の図面参照符号を使用する。そして、図面では説明をより明確にするために厚さ、広さなどを拡大または縮小して示したので、本発明の厚さ、広さなどは図面に示されたことに限定されない。
【0017】
明細書全体において、ある部分が他の部分を「含む」とするとき、特に反対される記載がない限り、他の部分を排除するのではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」あるとするとき、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、それらの間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「真上に」あるとするときは、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例に係る粒子整列を用いたコーティング方法を詳細に説明する。
【0019】
図1a〜
図1cは本発明の実施例に係る粒子整列を用いたコーティング方法を説明する断面図である。
【0020】
まず、
図1aに示すように、準備段階(ST10)では、滑らかな面(smooth
surface)10aを有する密着性高分子基板10を準備する。すなわち、密着性高分子基板10の表面は、特定のパターンまたは屈曲が形成されていない状態を持つことができ、この上でコーティング膜(
図1cの参照符号22)を形成する粒子(
図1bの参照符号20)の移動を制限しない程度の表面粗さおよび構造を持つことができる。
【0021】
本実施例において、密着性高分子基板10は、密着性が存在する様々な密着性高分子物質を含む。密着性高分子は、通用する粘着性を有しないため、粘着剤とは区別される。少なくとも、密着性高分子は、「スコッチ(登録商標)マジック
TMテープ」の(ASTM
D 3330の評価)粘着剤が持つ粘着力約0.6kg/inchよりも低い値の密着力を持つ。また、密着性高分子は、別途の支持体なしに常温で固体状態(基板またはフィルムなど)の形状を維持することができる。密着性高分子物質としては、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)などのシリコンベース高分子物質、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride、PVC)などを含むラップ、密着または密封を目的とする高分子物質を含む保護フィルムなどを使用することができる。特に、密着性高分子としては、硬さの調節が容易であり、様々な形態で製造し易いPDMSを使用することができる。前記高分子基板10は、ベース基板に密着性高分子をコートして製造されるか、或いはシートまたはフィルム状の密着性高分子を付着させて製造できる。
【0022】
密着性高分子物質とは、一般に、固体状態のシリコンを含むか、或いは可塑剤の添加または表面処理を介して密着特性が与えられた有機高分子物質を指し示す。この際、密着性高分子物質は、一般に、直線形分子構造によって形態の変形が容易であり、低い表面張力を有することを特徴とする。このような密着性高分子物質の優れた密着性は、微細領域での表面変形が容易な柔らかい(柔軟性)表面材質、および低い表面張力などに起因する。密着性高分子物質の低い表面張力は、付着させようとする粒子20に広く付着しようとする特性をもたらし(溶液の濡れ現象と類似する)、柔軟性を持つ表面は、付着させようとする粒子20と隙間のない接触がなされるようにする。これにより、相補的な結合力なしに可逆的に固体の表面に対して着脱が容易な密着性高分子の特性を持つことになる。代表的な密着性高分子物質であるPDMSなどのシリコンベース高分子物質の表面張力は20〜23dynes/cm程度であって、最も低い表面張力物質として知られているTeflon(18dynes/cm)に近接する。そして、PDMSなどのシリコンベース高分子物質の表面張力は、ほとんどの有機高分子(35〜50dynes/cm)、天然材料である綿(73dynes/cm)、金属(例えば、銀(Ag)は890dynes/cm、アルミニウム(Al)は500dynes/cm)、無機酸化物(例えば、ガラスは1000dynes/cm、鉄酸化物は1357dynes/cm)よりも低い値を示す。また、PEやPVCなどを含むラップなどの場合にも、密着性の向上のために多量の可塑剤が添加されて低い表面張力を持つことになる。
【0023】
次に、
図1bおよび
図1cに示すように、コーティング段階(ST12)では、複数の粒子20を整列して密着性高分子基板10上にコーティング膜22を形成する。これをより詳しく説明する。
【0024】
図1bに示すように、密着性高分子基板10上に、乾燥した複数の粒子20をのせる。本実施例とは異なり、溶液相に分散している粒子は、密着性高分子表面と直接接触し難くてコーティングがうまく行われない。よって、使用する粒子の質量よりも少ない微量の溶液または揮発性溶媒を用いた場合にのみ、コーティング作業中に粒子が乾燥してコーティング作業が可能である。
【0025】
本実施例において、複数の粒子20は、コーティング膜(
図1cの参照符号22、以下同じ。)を形成するための様々な物質を含むことができる。すなわち、複数の粒子20は、高分子、無機物、金属、磁性体、半導体、生体物質などを含むことができる。また、他の性質を有する粒子を混合してコーティング膜を形成することもできる。
【0026】
高分子としては、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアルファスチレン、ポリベンジルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリジフェニルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などを使用することができる。
【0027】
無機物としては、例えば、シリコン酸化物(例えば、SiO
2)、リン酸銀(例えば、Ag
3PO
4)、チタン酸化物(例えば、TiO
2)、鉄酸化物(例えば、Fe
2O
3)、亜鉛酸化物、セリウム酸化物、スズ酸化物、タリウム酸化物、バリウム酸化物、アルミニウム酸化物、イットリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、銅酸化物、ニッケル酸化物などを使用することができる。
【0028】
金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、白金、アルミニウム、亜鉛、セリウム、タリウム、バリウム、イットリウム、ジルコニウム、スズ、チタン、またはこれらの合金などを使用することができる。
【0029】
半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、または化合物半導体(例えば、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、InSbなど)を使用することができる。
【0030】
生体物質としては、例えば、タンパク質、ペプチド、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、多糖類、オリゴ糖、脂質、細胞およびこれらの複合体物質の粒子または表面にコートされた粒子、内部に含んだ粒子などを使用することができる。一例として、protein
Aという抗体結合タンパク質がコートされた高分子粒子を使用することができる。
【0031】
粒子20は、対称形状、非対称形状、無定形、多孔性の形状を有することができる。一例として、粒子20は、球形、楕円形、半球形、キューブ型、四面体、五面体、六面体、八面体、柱状、錐状などを持つことができる。この際、粒子20は、球形または楕円形を持つことが好ましい。
【0032】
このような粒子20は10nm〜50μmの平均粒径を持つことができる。平均粒径10nm未満の場合には、密着性高分子基板10によって全体的に包まれる形態になれるため、粒子20を単層状にコートすることが難しくなるおそれがある。また、平均粒径10nm未満の場合には、乾燥状態でも粒子が互いに凝集するため、擦る力のみでは粒子が個別的に移動することが難しいおそれがある。平均粒径が50μmを超える場合には、粒子の付着が弱く現れるおそれがある。このとき、平均粒径が50nm〜10μmであることがより好ましい。ところが、本発明はこれに限定されるものではなく、平均粒径は粒子の構成物質や密着性高分子基板10の物質などによって異なる。この際、粒子20が球形である場合には、粒子20の直径が粒径として使用できる。粒子20が球形ではない場合には、様々な計測法が使用できるが、一例として、長軸と短軸の平均値を粒径として使用することができる。
【0033】
次に、
図1cに示すように、複数の粒子20上で圧力を加えてコーティング膜22を形成する。圧力を加える方法としては、ラテックス、スポンジ、手、ゴム板、プラスチック板、滑らかな表面を有する材料などを用いて擦る(rubbing)方法を使用することができる。ところが、本発明は、これに限定されるものではなく、様々な方法によって粒子20に圧力を加えることができる。
【0034】
本実施例では、密着性高分子基板10の平面10a上に粒子20をのせた後、圧力を加えると、圧力が加えられた部分の粒子20が密着性高分子基板10の変形を介して密着する。これにより、該当部分に、粒子20にそれぞれ対応する凹部12が形成される。よって、凹部12が粒子20を包んだ状態で密着性高分子基板10に粒子20が整列される。凹部12は、粒子と基板間の相互作用によって形成されるものであって、可逆的である。すなわち、消滅することもあり、位置が移動することもある。一例として、擦る過程で粒子が移動すると、基板の弾性復元力により凹部12が消えるか、或いは粒子の移動に伴って凹部12も位置が変更できる。このような可逆的作用によって粒子が均一に整列できる(ここでの「可逆的」は、コーティングの際に密着性高分子基板の表面の柔軟性および弾性復元力によって発生する特性なので、密着性高分子基板の復元力が経時的に弱くなるか消滅してもはや可逆的ではない場合も含まれる広い意味である)。基板との結合が行われていない粒子20は、擦る力などにより粒子20がコートされていない密着性高分子基板10の領域へ移動し、コートされていない部分に粒子20によって凹部12が形成され、該凹部12が粒子20を包んだ状態で密着性高分子基板10と粒子20との結合が行われる。このような過程を経て密着性高分子基板10に高い密度で単層状の粒子コーティング膜22が形成される。
【0035】
凹部12は、粒子20の一部を包むように粒子20の形状に対応する形状をもつことができる。たとえば、粒子20が球形である場合には、凹部12もラウンド形状を持つため、凹部12が粒子20の一部に密着できる。そして、凹部12の深さL1は、密着性高分子基板10の硬さや粒子20の形態、硬さ、環境要因(例えば、温度)などによって異なる。すなわち、密着性高分子基板10の硬さが大きくなるほど凹部12の深さL1が小さくなり、温度が上昇するほど凹部12の深さL1が大きくなるのである。
【0036】
このとき、粒子20の平均粒径Dに対する凹部12の深さL1の比率(沈下率)(L1/D)が0.02〜0.7であり得る。前記比率(L1/D)が0.02未満である場合には、粒子20と密着性高分子基板10との結合力が十分ではないおそれがあり、前記比率(L1/D)が0.7を超える場合には、粒子20が単層状にコートされ難いおそれがある。結合力およびコーティング特性などをさらに考慮すると、前記比率(L1/D)は0.05〜0.6、好ましくは0.08〜0.4である。
【0037】
本実施例では、弾性変形によって生じた凹部12で各粒子20の一部を包むと、粒子20と密着性高分子基板10とがよりうまく結合できるようにする。そして、密着性高分子基板10に結合した粒子20も周辺のコートされていない部分へ移動することができるため、新しい粒子20が密着性高分子基板10の表面の空き空間に付着できるようにする。このような再配列特性に応じてコーティング膜22が高い密度を持つように単層状にコートできる。一例として、粒子20の中心が六角形の形状をなすように配置できる。一方、粒子20が非球形である場合(例えば、Ag
3PO
4)には、様々な方法によって単層状であるかどうかを判別することができる。一例として、粒子20のうち、上位10%粒子20(すなわち、粒径が10%以内に大きい粒子20)の平均粒径に対するコーティング膜22の厚さの平均値の比率が1.9以下である場合、単層状にコートされたことを確認することができる。
【0038】
本実施例では、溶媒を使用することなく乾燥状態の粒子20が密着性高分子基板10上に直接接触するようにした状態で圧力を加えてコーティング膜22を形成する。これにより、コーティング膜22の形成の際に、溶媒中での粒子20の自己組織化が要求されないため、温度や湿度などを精密に調節しなくてもよく、粒子20の表面特性に大きな影響を受けない。すなわち、粒子20が電荷性物質である場合だけでなく、非電荷性(すなわち、電荷的に中性に近い)物質である場合にも、高い密度で均一なコートが行われ得る。また、親水性粒子だけでなく、疎水性粒子も均一なコーティングが可能である。このように、本実施例によれば、単純な方法によって密着性高分子基板10上に粒子を均一に分布させることにより、高い密度を有する単層状のコーティング膜22を形成することができる。
【0039】
このようなコーティング膜22は、密着性高分子基板10に結合した状態で使用されてもよく、他の基板などに転写されて使用されてもよい。このとき、コーティング膜22が転写される他の基板が密着性高分子基板10よりも高い密着性または接着性を持つ場合には、コーティング膜22が全体的に均一にうまく転写できる。
【0040】
本実施例では、弾性変形によって密着性高分子基板10に凹部12が形成されるので、その後にコーティング膜22が除去されると、
図2aに示すように、密着性高分子基板10の凹部12がなくなり、滑らかな面10aに復帰する。ところが、コーティング膜22が形成されてから長い時間が経た後、コーティング膜22が除去された場合には、
図2bに示すように、凹部12の形態の痕跡が密着性高分子基板10の表面に残っていることもある。
【0041】
以下、本発明の実験例を参照して本発明をより詳細に説明する。このような実験例は、本発明を詳細に説明するために例示したものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0042】
<実験例1>
Sylgard184(米国、ダウコーニング社製)製品を基準に10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板を準備した。
【0043】
密着性高分子基板上にSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、SiO
2コーティング膜を形成した。
【0044】
このとき、SiO
2粒子の平均粒径を160nm、330nm、740nm、1480nm、3020nm、5590nmに異ならせて形成されたコーティング膜の走査型電子顕微鏡写真を
図3の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)にそれぞれ示した。
図3を参照すると、SiO
2粒子が高い密度を持つように中心が六角形の配列をなすように配置されたことが分かる。すなわち、本発明によれば、粒子が高密度の単層状に均一にコートできることが分かる。
【0045】
<実験例2>
Sylgard184製品を基準に10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板を準備した。
【0046】
密着性高分子基板上にポリスチレン粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、ポリスチレン粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、ポリスチレンコーティング膜を形成した。
【0047】
このとき、ポリスチレン粒子の平均粒径を800nm、2010mnに異ならせて形成されたコーティング膜の走査型電子顕微鏡写真を
図4の(a)および(b)にそれぞれ示した。
図4を参照すると、ポリスチレン粒子が高い密度を持つように粒子の中心が六角形の配列をなすように配置されたことが分かる。すなわち、本発明によれば、非電荷性を持つ粒子が高密度で均一にコートできることが分かる。
【0048】
<実験例3>
Sylgard184製品を基準に10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板を複数個準備した。
【0049】
密着性高分子基板上に平均粒径750nmのSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、SiO
2コーティング膜を形成した。
【0050】
他の密着性高分子基板上にAg
3PO
4粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、Ag
3PO
4粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、Ag
3PO
4コーティング膜を形成した。
【0051】
別の密着性高分子基板上に平均粒径40nmのTiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、TiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、TiO
2コーティング膜を形成した。このとき、TiO
2粒子は、小さな直径により同じ粒子間の引力が強く作用し、擦る圧力とエタノールおよび蒸留水を用いた洗浄工程を介して多層構造に形成された。
【0052】
コートしていない密着性高分子基板、SiO
2コーティング膜、Ag
3PO
4コーティング膜、TiO
2コーティング膜の走査型電子顕微鏡写真をそれぞれ
図5の(a)、(b)、(c)および(d)に示した。
図5の(b)〜(d)を参照すると、各コーティング膜が均一に分布していることが分かる。
【0053】
密着性高分子基板、SiO
2コーティング膜が形成された密着性高分子基板、Ag
3PO
4コーティング膜が形成された密着性高分子基板、TiO
2コーティング膜が形成された密着性高分子基板を活字上にのせた後、写真を
図6の(a)、(b)、(c)および(d)にそれぞれ示した。
図6の(b)〜(d)を参照すると、各コーティング膜が透明度に優れることが分かる。すなわち、コーティング膜が単層状にコートされたことが分かる。
【0054】
<実験例4>
密着性高分子基板と他の基板との粒子コーティング特性の差を説明するために実験を行った。洗浄された一般ガラス基板、ポリスチレン(PS)基板および密着性高分子基板を準備した。このとき、密着性高分子基板は、Sylgard184製品を基準に10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる。基板上に平均粒径750nmのSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦ってSiO
2コーティング膜を形成した。
【0055】
ガラス基板、PS基板および密着性高分子基板に形成されたSiO
2コーティング膜を1000倍および6000倍で拡大した共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)写真を
図7の(a)、(b)および(c)にそれぞれ示した。
【0056】
図7の(a)および(b)に示すように、ガラス基板またはPS基板を使用した場合には粒子が不規則に低い密度でコートされるが、
図7の(c)に示すように、PDMS基板を使用した場合には粒子が高密度で整列された単層状のコーティング膜が形成されたことが分かる。
【0057】
<実験例5>
密着性高分子基板と粒子との可逆的な付着性を示すために、次の実験を行った。Sylgard184製品を基準に10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板を準備した。密着性高分子基板上に平均粒径750nmのSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、SiO
2コーティング膜を形成した。
【0058】
粒子がコートされた部分の一部の領域に接着テープ(3Mマジックテープ、米国)を付着させたり剥がしたりする方法を用いて、粒子コーティング膜の一部を
図8の(a)および(b)のように除去した。その後、さらに密着性高分子基板上に平均粒径750nmのSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、SiO
2コーティング膜を形成した。その結果、
図8の(c)に示すように、接着テープが脱着された部分に粒子が高密度で整列された単層状のコーティング膜が形成されることを確認した。
【0059】
<実験例6>
密着性高分子基板に粒子をコートする方法と、一般的な自己組織化による粒子整列を用いる方法との差を示すために、次のような実験を行った。Sylgard184製品を基準に10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板を準備した。密着性高分子基板上に平均粒径750nmのSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、第1SiO
2コーティング膜を形成した。第1SiO
2コーティング膜の一部を接着テープを用いて除去した後、追加の粒子をのせることなく、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、実施例に係る第2SiO
2コーティング膜を形成した。
【0060】
第2SiO
2コーティング膜のCLSM写真を
図9の(a)に示した。比較例として一般なLB方法を用いてコーティング膜を形成したときの走査型電子顕微鏡写真を
図9の(b)に示した。
【0061】
図9の(a)を参照すると、第2SiO
2コーティング膜を形成するための粒子の再整列過程で隙間のない単層状のコーティング膜を形成するための粒子の数が足りないため、粒子間の間隔が互いに広がることが分かる。一方、
図9の(b)を参照すると、LB方法による場合には、粒子が互いに凝集してドメインを成しながら、大きな空き空間を形成することが分かる。これは、密着性高分子基板に粒子がコートされる現象が、自己組織化の際に用いられる粒子と粒子間の引力ではなく、基板表面と粒子との相互作用で行われるためであり、粒子と基板間の結合が平面上で可逆的に行われるから粒子の平面上の移動が自由であるためでもある。
【0062】
<実験例7>
密着性高分子基板に粒子をコートする方法で密着性高分子の変形および復元力(弾性)を説明するために、次のような実験を行った。Sylgard184製品を基準に10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板(PDMS基板)を準備した。密着性高分子基板上に平均粒径750nmのSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、SiO
2コーティング膜を形成した。SiO
2コーティング膜の形成された基板を常温で3日間保管した後、コーティング膜の一部を接着テープを用いて除去した。粒子が除去された領域を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて3次元的に観察した。SiO
2コーティング膜から粒子が除去された領域のAFMイメージを
図10に示した。
【0063】
図10に示すように、粒子の整列状態と同様にPDMS基板の表面の凹部形態が形成された。凹部の最大深さは10nm以内と非常に低かった。別途の測定によってPDMS基板に粒子をコートするとき、110nmという高さ減少(粒子の含浸深さ)が発生することが分かった。すなわち、凹部の最大深さは粒子の含浸深さの10%以内の値であった。これは、PDMS基板の表面が粒子により変形したが、90%以上本来の形態に復元したものと解釈される。
【0064】
<実験例8>
密着性高分子基板に粒子をコートする方法が大面積上にも適用可能であることを説明するために、次のとおり直径15cmのペトリ皿上で実験を行った。Sylgard184製品を基準に10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板をペトリ皿上に準備した。密着性高分子基板上に平均粒径750nmのSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、SiO
2コーティング膜を形成した。直径15cmのペトリ皿基板に形成されたSiO
2コーティング膜の写真を
図11に示した。
【0065】
図11を参照すると、SiO
2コーティング膜は、直径15cmのペトリ皿全体に均一に粒子がコートされて干渉色(均一な構造の薄膜からのみ観察)が観察された。
【0066】
<実験例9>
密着性高分子基板に粒子をコートする方法が様々な表面特性の粒子に適用可能であることを説明するために、次のとおり実験を行った。Sylgard184製品を基準に5重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板(5%PDMS基板)を複数個準備した。複数個の密着性高分子基板それぞれの上に負電荷性の平均粒径750nmの第1SiO
2粒子、疎水性の平均粒径800nmのPS粒子、正電荷性の平均粒径750nmの第2SiO
2粒子(アミン改質されたSiO
2)をそれぞれのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、SiO
2コーティング膜またはPSコーティング膜を形成した。
【0067】
上述したような方法で10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板(10%PDMS基板)にSiO
2コーティング膜またはPSコーティング膜を形成した。上述したような方法で20重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMSからなる密着性高分子基板(20%PDMS基板)にSiO
2コーティング膜またはPSコーティング膜を形成した。
【0068】
第1SiO
2粒子、PS粒子および第2SiO
2粒子を用いて形成されたコーティング膜の粒子の正面を撮影した走査型電子顕微鏡写真をそれぞれ
図12の(a)、(b)および(c)に示した。このとき、最も上の行は5%PDMS基板に形成されたコーティング膜の写真であり、中央の行は10%PDMS基板に形成されたコーティング膜の写真であり、最も下の行は20%PDMS基板に形成されたコーティング膜の写真である。
【0069】
第1SiO
2粒子、PS粒子および第2SiO
2粒子を用いて形成されたコーティング膜の粒子の側面を撮影した走査型電子顕微鏡写真をそれぞれ
図13の(a)、(b)および(c)に示した。このとき、最も上の行は5%PDMSに形成されたコーティング膜の写真であり、中央の行は10%PDMS基板に形成されたコーティング膜の写真であり、最も下の行は20%PDMS基板に形成されたコーティング膜の写真である。
【0070】
図12を参照すると、SiO
2コーティング膜またはPSコーティング膜は、PDMS基板の硬化度および粒子の電荷特性を問わずに高い密度で整列された単層粒子薄膜として形成された。
図13を参照すると、SiO
2コーティング膜またはPSコーティング膜は、PDMS基板の硬化度によって沈下率が異なることが分かる。硬化剤の重量部が5であって硬化度が低いため変形が容易なPDMS基板の場合、粒子の沈下率が大きく、PDMS基板が毛細管現象のように粒子の下端についてくる形態を示した。このような現象は、硬化度の重量部が10、20に増加して変形が容易でなく弾性度が高いPDMS基板では漸次減少することが分かる。このようにPDMS基板が毛細管現象のように粒子についてくる現象は、微細領域における密着性高分子が流動性を持つために現れる特徴である。
【0071】
このような粒子の沈下現象が基板の硬化度(弾性力)によって異なることを数値化するために、接着テープを用いてコーティング膜の一部の粒子を脱着させた後に撮影したAFMイメージ、およびコーティング膜が形成された部分におけるラインプロファイルを
図14に示した。ガラス基板、5%PDMS基板、10%PDMS基板、20%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜またはPSコーティング膜における平均粒子高さおよび沈下率をAFMを用いて測定し、
図15の(a)および(b)にそれぞれ示した。
図15を参照すると、互いに異なる表面特性(電荷、極性)の粒子は、共通に表面変形のないガラス基板に比べてPDMS基板で低い粒子高さを示した。その沈下率は、硬度の高い20%PDMS基板では12%水準であり、硬度が低くなるにつれて増加した。粒子の表面特性は基板の硬さの差に比べて影響が小さいと判断される。
【0072】
さらに、上述したのと同様の方法で平均粒径300nmのSiO
2粒子をコートして測定した結果を
図16に示した。この場合にも、PDMS基板ではガラス基板に比べて低い粒子高さを示した。その沈下率は、硬度の高い20%PDMS基板では15%水準であり、硬度が低くなるにつれて増加した。
【0073】
粒子の大きさによる影響を確認するために、10%PDMS基板に平均粒径150、1500nmの粒子もコーティング膜を形成した。平均粒径150nm、300nm、750nm、1500nmの粒子を用いて形成されたコーティング膜における平均粒子高さおよび沈下率を、
図17の(a)および(b)にそれぞれ示した。
図17を参照すると、
図15および
図16の結果と類似した傾向が現れることを確認した。粒子の大きさによる特別な傾向は観察されなかった。沈下率が粒径対比10〜20%水準を示した。
【0074】
<実験例10>
Sylgard184製品を基準に硬化剤がそれぞれ7、10、20重量部含まれて形成されたPDMSからなる密着性高分子基板(それぞれ7%PDMS基板、10%PDMS基板、20%PDMS基板)に、それぞれ平均粒径750nmのSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、SiO
2コーティング膜を形成した。その写真を
図18の(a)、(b)および(c)にそれぞれ示した。このとき、
図18の(a)が7%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜の写真であり(0.7で表示される)、
図18の(b)が10%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜の写真であり(1.0で表示される)、
図18の(c)が20%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜の写真である(2.0で表示される)。これは下記
図19〜
図21においても同様である。
【0075】
上述した密着性高分子基板に形成されたSiO
2コーティング膜を第1基板(硬化剤を7重量部含んで形成されたPDMS基板)に転写した写真を
図19の(a)、(b)および(c)にそれぞれ示した。
【0076】
上述した密着性高分子基板に形成されたSiO
2コーティング膜を第2基板(硬化剤を10重量部含んで形成されたPDMS基板)に転写した写真を
図20の(a)、(b)および(c)にそれぞれ示した。
【0077】
上述した密着性高分子基板に形成されたSiO
2コーティング膜を第3基板(硬化剤を20重量部含んで形成されたPDMS基板)に転写した写真を
図21の(a)、(b)および(c)にそれぞれ示した。
【0078】
図19を参照すると、
図19の(a)からは7%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜は第1基板にうまく転写されないことが分かり、
図19の(b)および(c)からは10%および20%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜は第1基板にうまく転写されることが分かる。
図20を参照すると、
図20の(a)および(b)からは7%および10%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜は第2基板にうまく転写されないことが分かり、
図20の(c)からは20%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜は第2基板にうまく転写されることが分かる。
図21を参照すると、
図21の(a)、(b)および(c)からは、7%、10%、20%PDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜が第3基板にはうまく転写されないことが分かる。
【0079】
すなわち、密着性高分子基板に形成されたSiO
2コーティング膜は、その密着性高分子基板よりも小さい硬度(高い柔軟性)を持つ新しい基板にほとんどの粒子が転写できることが分かる。このような現象は、粒子と基板との付着が柔軟性(弾性)によることであるのを示し、粒子と基板との結合の傾向を示す。また、柔軟性が高くて(硬度が低くて)密着性が高い基板に容易に転写できる特性があることを示す。これにより、本発明のコーティング膜を他の基板に転写して様々な分野に各種用途で使用することができる。
【0080】
<実験例11>
様々な密着性高分子基板上に粒子がコートできることを説明するために、次のとおり実験を行った。密着性高分子基板として、Sylgard184製品を基準に10重量部の硬化剤を含んで形成されたPDMS基板、研究用シリコンベースのシールテープ(sealing tape)、家庭用鎖状低密度ポリエチレン(linear low−density polyethylene、LLDPE)ラップ、基板光沢保護用保護フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)ラップを準備した。比較例として、密着性のないポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)基板と3Mマジックテープを準備した。それぞれの密着性高分子基板、比較例としてのPMMA基板および3Mマジックテープの上に平均粒径750nmのSiO
2粒子をのせた後、ラテックスフィルムで包んだスポンジを用いて手で圧力をかけながら擦って密着性高分子基板の表面に凹部を形成し、SiO
2粒子と密着性高分子基板とを結合することにより、SiO
2コーティング膜を形成した。
【0081】
図22の(a)はPDMS基板に形成されたSiO
2コーティング膜の写真を示し、
図22の(b)は研究用シリコンベースのシールテープに形成されたSiO
2コーティング膜の写真を示し、
図22の(c)はLLDPEラップに形成されたSiO
2コーティング膜の写真を示し、
図22の(d)は基板光沢保護用保護フィルムに形成されたSiO
2コーティング膜の写真を示し、
図22の(e)はPVCラップに形成されたSiO
2コーティング膜の写真を示した。そして、
図22の(f)はPMMA基板に形成されたSiO
2コーティング膜の写真を示し、
図22の(g)は3Mマジックテープに形成されたSiO
2コーティング膜の写真を示す。
【0082】
図22の(a)〜(e)を参照すると、密着性高分子基板は、粒子の均一なコーティングによる光干渉色を示すが、
図22の(f)および(g)を参照すると、比較例の基板は濁った白色を示す。
【0083】
本発明によれば、別途の付着補助剤層や溶媒などを使用することなく、密着性高分子基板上に乾燥状態の粒子が直接接触して結合することにより、結合特性を向上させることができることが分かる。
【0084】
上述した特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも1つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例で例示された特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者によって他の実施例に対しても組み合わせまたは変形が加えられて実現可能である。よって、このような組み合わせおよび変形に関連する内容は本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。