(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドーパントは、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、リン、ヒ素、アンチモン及びビスマスからなる群から選択された一つ以上である請求項2に記載のリチウム電池用アノード。
前記ナノチューブの長さの最大値及び前記ナノチューブが配列された基板の面積によって定義される体積のうち、前記ナノチューブによって占有される体積は50%超である請求項1に記載のリチウム電池用アノード。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、例示的な実施形態によるアノード、これを採用したリチウム電池及び前記アノードの製造方法について、さらに詳細に説明する。
【0015】
一実施形態によるアノードは、伝導性基板と、前記基板上に所定の間隔で離隔して配列された複数の14族金属/半金属(metalloid)ナノチューブとを含む。前記アノードは、集電体である伝導性基板上に、アノード活物質である前記ナノチューブが結合されて一体化した構造を有する。すなわち、前記伝導性基板と前記ナノチューブは、一体に形成される。本明細書で、14族金属/半金属ナノチューブは、略して“ナノチューブ”と呼ばれうる。
【0016】
前記14族金属/半金属ナノチューブは、カーボンナノチューブのように、14族金属/半金属の原子からなるチューブ状のナノ構造体である。前記ナノチューブは、充放電時に、ナノチューブ壁(nanotube wall)の体積膨脹が、ナノチューブ内部の空き空間(internal void)によって吸収されるので、このような内部緩衝空間のない14族金属ナノワイヤに比べ、体積膨脹が抑制できる。例えば、前記ナノチューブの充放電時の長手方向の体積膨張率は、約100%以下、約70%以下、または約42%以下でありうる。前記14族金属ナノチューブは、本質的に充放電時の14族金属/半金属の体積膨脹によって発生する応力の吸収が容易である。従って、前記アノードを採用した電池の容量維持率が向上しうる。また、前記ナノチューブ内での電子拡散距離が、同じ直径を有するナノワイヤ内での電子拡散距離に比べて相対的に短縮されるので、電極反応の可逆性が向上しうる。従って、電池の充放電効率が向上しうる。そして、アノード活物質として、14族金属/半金属を使用するので、放電容量が大きい。
【0017】
前記アノードで、前記14族金属/半金属ナノチューブが100nm以下の間隔で離隔しうる。例えば、前記ナノチューブが、70ないし90nmの間隔で離隔しうる。
【0018】
他の一実施形態によるアノードで、前記14族金属/半金属は、シリコン、ゲルマニウム、スズ及びそれらの合金からなる群から選択された1つの元素でありうる。例えば、前記ナノチューブは、シリコン・ナノチューブ、ゲルマニウム・ナノチューブまたはスズ・ナノチューブでありうる。前記合金は、シリコン、ゲルマニウム及びスズからなる群から選択された2以上の元素を含む合金である。
【0019】
さらに他の一実施形態によるアノードで、前記ナノチューブがドーパントをさらに含むことができる。前記ドーパントは、ナノチューブ格子内に電子または正孔を注入することによって、ナノチューブの伝導性を向上させることができる。
【0020】
前記ナノチューブに含まれたドーパントは、13族または15族元素でありうる。例えば、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスなどでありうる。前記13族元素は、p型ドーパントであり、前記15族元素は、n型ドーパントである。前記ドーパントの添加によって、電極の可逆性が向上しうる。
【0021】
さらに他の一実施形態によるアノードで、前記ナノチューブが基板の表面から突出する方向に配向されうる。例えば、前記ナノチューブが基板に対して垂直方向に配向されうる。例えば、前記ナノチューブが基板に対して、45°ないし135°の角度で配向されうる。例えば、80°ないし100°の角度で配向されうる。前記垂直方向に配向されたナノチューブを含むアノードが、前記アノードを採用したリチウム電池の放電容量、容量維持率及び充放電効率の向上に適している。例えば、同じ面積の基板上に、相対的に多量のナノチューブが配列されうる。従って、前記アノードの単位面積当たり電気容量が増大しうる。
【0022】
さらに他の一実施形態によるアノードで、一つ以上の14族金属/半金属ナノチューブは長さが5μm超でありうる。例えば、前記ナノチューブ長さが、5μm超で200μm以下でありうる。例えば、前記ナノチューブ長さが、5μm超で100μm以下でありうる。例えば、前記ナノチューブ長さが、5μm超で50μm以下でありうる。例えば、前記ナノチューブ長さが、5μm超で30μm以下でありうる。一側面によれば、前記長さは、ナノチューブの平均長さに関する。前記範囲のナノチューブ平均長さは、前記アノードを採用したリチウム電池の放電容量、容量維持率及び充放電効率の向上に適している。
【0023】
さらに他の一実施形態によるアノードで、一つ以上の前記ナノチューブの長手方向の体積膨張率が100%以下でありうる。例えば、前記ナノチューブ1g当たり150mAの電流で、リチウム金属に対して、0.01ないし2Vの電圧範囲で充放電するとき、前記ナノチューブの長手方向の体積膨張率は、100%以下でありうる。例えば、前記長手方向の体積膨張率は、0ないし100%でありうる。例えば、前記長手方向の体積膨張率は、70%以下でありうる。例えば、前記長手方向の体積膨張率は、0ないし70%でありうる。例えば、前記長手方向の体積膨張率は、42%以下でありうる。前記開示された体積膨張率は、前記ナノチューブの平均体積膨張率でありうる。例えば、前記長手方向の体積膨張率は、0ないし42%でありうる。本明細書で、長手方向の体積膨張率は、下記の数式1で定義される。
[数式1]
長手方向の体積膨張率[%]=(リチウムが吸蔵された14族金属/半金属ナノチューブの長さ−未使用(fresh)14族金属/半金属ナノチューブの長さ)/未使用(fresh)14族金属/半金属ナノチューブの長さ
前記数式1で、未使用14族金属/半金属ナノチューブの長さは、電池に組み立てられる前のアノードに含まれたナノチューブの長さである。前記リチウムが吸蔵された14族金属/半金属ナノチューブの長さは、40サイクル以下の充放電サイクルで得られるリチウムが吸蔵された状態の金属ナノチューブ長の最大値である。
【0024】
さらに他の一実施形態によるアノードで、前記ナノチューブ長の最大値及び前記基板の面積によって定義される体積のうち、前記ナノチューブによって占有される体積(すなわち、基板占有率)は、50%超でありうる。例えば、前記ナノチューブ長の最大値及び前記基板の面積によって定義される体積のうち、前記ナノチューブによって占有される体積は、70%超でありうる。例えば、前記ナノチューブによって占有される体積は、58%ないし99%でありうる。異なっては、前記ナノチューブ長の最大値及び前記基板の面積によって定義される体積のうち、前記ナノチューブ間の空き空間の体積(empty space)は、50%未満でありうる。例えば、前記ナノチューブ間の空き空間の体積は、20%未満でありうる。前記ナノチューブによって占有される体積は、前記金属ナノチューブ外径及び長さによって定義される体積を意味する。前記ナノチューブによって占有される体積は、前記範囲内のあらゆる体積でありうる。
【0025】
前記ナノチューブは、ナノチューブ内部の空き空間によって、厚さ方向の体積膨脹の吸収が容易であるので、前記離隔されたナノチューブ間の距離が狭くなりうる。
【0026】
さらに他の一実施形態によるアノードで、前記ナノチューブは、伝導性基板の総面積の50ないし99%の面積に存在しうる。前記ナノチューブが存在する面積は、ナノチューブの外部直径から計算される面積を意味する。例えば、前記ナノチューブが存在する面積は、伝導性基板の総面積の51%以上でありうる。例えば、70%以上でありうる。例えば、80%以上でありうる。例えば、90%以上でありうる。前記伝導性基板上で、ナノチューブが存在する面積が増大するほど、電気容量密度が増大しうる。
【0027】
さらに他の一実施形態によるアノードで、一つ以上の前記ナノチューブの外径(外部直径)は、50nm超でありうる。例えば、前記外径は50nm超で500nm以下でありうる。例えば、前記外径は、50nm超で300nmでありうる。例えば、前記外径は、100nmないし300nmでありうる。例えば、前記外径は、110nmないし240nmでありうる。前記ナノチューブの平均外径が前記範囲に該当すれば、前記アノードを採用したリチウム電池の放電容量、容量維持率及び充放電効率の向上に適している。
【0028】
さらに他の一実施形態によるアノードで、一つ以上のナノチューブの内径(内部直径)は、20ないし200nmでありうる。すなわち、前記ナノチューブ内部の空き空間の直径は、20ないし200nmでありうる。例えば、前記内径は50ないし150nmでありうる。例えば、前記内径は70ないし120nmでありうる。前記ナノチューブの平均内径が前記範囲に該当すれば、前記アノードを採用したリチウム電池の放電容量、容量維持率及び充放電効率の向上に適している。
【0029】
さらに他の一実施形態によるアノードで、一つ以上の前記ナノチューブの壁の厚さ(wall thickness)は、20ないし100nmでありうる。例えば、前記壁の厚さは、20ないし70nmでありうる。前記ナノチューブの平均壁の厚さが前記範囲に該当すれば、前記アノードを採用したリチウム電池の放電容量、容量維持率及び充放電効率の向上に適している。例えば、前記範囲の壁の厚さで、電極面積当たり容量が増大し、比表面積増加による副反応の発生可能性が低くなり、充放電によるナノチューブの機械的劣化が発生する可能性が低くなりうる。
【0030】
さらに他の一実施形態によるアノードで、前記ナノチューブは、ナノチューブの内径及び長さによって定義される空き内部空間を有することができる。
【0031】
さらに他の一実施形態によるアノードで、前記ナノチューブの一先端が密閉されうる。すなわち、前記ナノチューブは、試験管(test tube)のようにチューブの開いた一先端が基板に取り付けられ、チューブの密閉された一先端が基板から離れうる。前記密閉された一先端は、多様な形態を有することができ、例えば、平面形または半球形でありうる。
【0032】
さらに他の一実施形態によるアノードで、前記伝導性基板は、ステンレス鋼、銅、ニッケル、鉄及びコバルトからなる群から選択された一つでありうる。前記伝導性基板は、当業界で使われうる伝導性に優れた金属性基板ならば、特別に限定されない。
【0033】
前記伝導性基板は、金属性基板以外にも、伝導性を有する基板ならばいずれも使われうる。例えば、前記伝導性基板は、伝導性酸化物基板、伝導性高分子基板などでありうる。また、前記伝導性基板は、基板全体が伝導性材料からなる構造以外に、絶縁性基板の一表面上に、前記伝導性金属、伝導性金属酸化物、伝導性高分子がコーティングされた形態など、多様な構造を有することができる。
【0034】
前記伝導性基板は柔軟性基板でありうる。従って、前記伝導性基板は、容易に折り曲がりうる。また、折り曲げられた後、前記伝導性基板は、元の形態への復元が容易でありうる。
【0035】
前記伝導性基板の厚さは10mm以下でありうる。例えば、0.1μmないし10mmでありうる。例えば、0.1μmないし1,000μmでありうる。例えば、1μmないし100μmでありうる。
【0036】
さらに他の一実施形態によるアノードとして、前記ナノチューブが垂直に配列された伝導性基板がそのまま使われうる。代わりに、前記アノードは、他のアノード活物質をさらに含むことができる。例えば、前記アノードは、前記ナノチューブが配列された伝導性基板以外に、従来の一般的なアノード活物質及び結着剤を含むアノード活物質組成物をさらに含んで製造されうる。例えば、従来の一般的なアノード活物質及び結着剤を含むアノード活物質組成物が一定の形状に成形された後、前記ナノチューブが配列された伝導性基板上にラミネーションされるか、または、前記アノード活物質組成物が、ナノチューブが配列された伝導性基板などの集電体に塗布される方法で製造されうる。
【0037】
例えば、前記アノード活物質組成物が製造された後、ナノチューブが配列された伝導性基板上に直接コーティングされてアノード極板が得られるか、または別途の支持体上にキャスティングされ、前記支持体から剥離させたアノード活物質フィルムが、ナノチューブが配列された伝導性基板にラミネーションされてアノード極板が得られる。前記アノードは、前記で挙げた形態に限定されず、当技術分野で使われうるあらゆる他の形態でありうる。例えば、前記アノードは、前記ナノチューブが配列された伝導性基板上に、従来の一般的なアノード活物質及び電解液を含むアノード活物質インクが、さらにインクジェット方式などで印刷されて製造される。
【0038】
前記アノードに追加されうる従来の一般的なアノード活物質には、シリコン金属、シリコン薄膜、リチウム金属、リチウム合金、炭素材またはグラファイトなどが使われうるが、これらに限定されず、当技術分野で使われうるアノード活物質ならば、いずれも使われうる。
【0039】
例えば、タングステン酸化物、モリブデン酸化物、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物;Si、SiO
x(0<x<2)、Si−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn、SnO
2、Sn−Z、またはこれらのうち少なくとも一つとSiO
2との混合物(前記Zは、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはこれらの組み合わせ);無定形、板状、鱗片状(flake)、球形またはファイバ状の天然黒鉛または人造黒鉛;ソフトカーボン(低温焼成炭素)またはハードカーボン;メソ相のピッチ炭化物、または焼成されたコークスなどである。
【0040】
前記アノード活物質は、粉末状でありうる。前記粉末状のアノード活物質は、アノード活物質組成物またはアノード活物質インクに適用されうる。
【0041】
大量の電流を充放電する電池は、高容量化のために、電気抵抗の低い材料が使われうる。アノードの抵抗を低めるために各種導電材が添加され、主に使われる導電材は、カーボンブラック、黒鉛微粒子などである。
【0042】
さらに他の一実施形態によるリチウム電池は、カソードと、前記のナノチューブを含むアノードと、前記カソードとアノードとの間に介された電解質とを含む。前記リチウム電池は、次のような方法で製造されうる。
【0043】
まず、前述したアノードが用意される。
【0044】
次いで、カソード活物質、導電材、結合材及び溶媒が混合されたカソード活物質組成物が用意される。前記カソード活物質組成物が金属集電体上に直接コーティング及び乾燥され、カソード板が製造されうる。代わりに、前記カソード活物質組成物が別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが金属集電体上にラミネーションされ、カソード板が製造されうる。
【0045】
前記カソード活物質は、リチウムの吸蔵/放出の可能な化合物であって、当技術分野でカソード活物質として使用可能なものならば、いずれも使われうる。例えば、LiCoO
2、LiMn
xO
2x(x=1,2)、LiNi
1−xMn
xO
2(0<x<1)、LiNi
1−x−yCo
xMn
yO
2(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)、LiFeO
2、V
2O
5、TiS、MoSなどである。
【0046】
前記導電材としては、カーボンブラック、黒鉛微粒子が使われうるが、これらに限定されず、当技術分野で導電材として使われうるものならば、いずれも使われうる。
【0047】
前記結合材としては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン及びその混合物またはスチレンブタジエンゴム系ポリマーなどが使われうるが、これらに限定されず、当技術分野で結合材として使われうるものならば、いずれも使われうる。
【0048】
前記溶媒としては、N−メチルピロリドン、アセトンまたは水などが使われうるが、これらに限定されず、当技術分野で使われうるものならば、いずれも使われうる。
前記カソード活物質、導電材、結合材及び溶媒の含有量は、リチウム電池で通常的に使われる程度である。リチウム電池の用途及び構成によって、前記導電材、結合材及び溶媒のうち一つ以上が省略されうる。
【0049】
次いで、前記カソードとアノードとの間に挿入されるセパレータが用意される。前記セパレータは、リチウム電池で通常的に使われうるものならば、いずれも使われうる。電解質のイオン移動に対して低抵抗でありつつ、電解液含湿能に優れたものが使われうる。例えば、ガラスファイバ、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはそれらの化合物のうち選択されたものであって、不織布または織布形態でありうる。例えば、リチウムイオン電池には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの巻き取り可能なセパレータが使われうる。例えば、リチウムイオンポリマー電池には、有機電解液含浸能に優れたセパレータが使われうる。有機電解液含浸能に優れたセパレータは、下記方法によって製造される。
【0050】
高分子樹脂、充填剤及び溶媒を混合してセパレータ組成物が用意される。前記セパレータ組成物が電極の上部に直接コーティング及び乾燥され、セパレータが形成されうる。または、前記セパレータ組成物が支持体上に、キャスティング及び乾燥された後、前記支持体から剥離させたセパレータフィルムが電極の上部にラミネーションされ、セパレータが形成される。
【0051】
前記高分子樹脂は特別に限定されず、電極板の結合材に使われる物質がいずれも使われうる。例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、フッ化ポリビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートまたはこれらの混合物などが使われうる。
【0052】
次いで、電解質が用意される。
【0053】
さらに他の一実施形態によれば、前記電解質は、液体またはゲル状態でありうる。
【0054】
例えば、前記電解質は、有機電解液でありうる。また、前記電解質は、固体でありうる。例えば、ボロン酸化物、酸窒化リチウムなどでありうるが、これらに限定されず、当技術分野で固体電解質として使われうるものならば、いずれも使用できる。前記固体電解質は、スパッタリングなどの方法で前記アノード上に形成されうる。
【0055】
例えば、有機電解液が用意される。有機電解液は、有機溶媒にリチウム塩が溶解されて製造される。
【0056】
前記有機溶媒は、当技術分野で有機溶媒として使われうるものならば、いずれも使われうる。例えば、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、フルオロエチレンカーボネート、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸ブチレン、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、炭酸ジメチル、炭酸メチルイソプロピル、炭酸エチルプロピル、炭酸ジプロピルト、炭酸ジブチル、ジエチレングリコール、ジメチルエーテルまたはこれらの混合物などである。
【0057】
前記リチウム塩も、当技術分野でリチウム塩として使われうるものならば、いずれも使用できる。例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiClO
4、LiCF
3SO
3、Li(CF
3SO
2)
2N、LiC
4F
9SO
3、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(但し、x、yは自然数)、LiCl、LiIまたはこれらの混合物などである。
【0058】
図11に示したように、前記リチウム電池1は、カソード3、アノード2及びセパレータ4を備える。前述のカソード3、アノード2及びセパレータ4は、ワインディングされるか、または折り畳まれて電池ケース5に収容される。次いで、前記電池ケース5に有機電解液が注入され、キャップアセンブリ6に密封されてリチウム電池1が完成される。前記電池ケースは、円筒形、角形などでありうる。例えば、前記リチウム電池は、薄膜型電池でありうる。前記リチウム電池は、リチウムイオン電池でありうる。
【0059】
前記カソードとアノードとの間にセパレータが配され、電池構造体が形成されうる。前記電池構造体がバイセル構造で積層された後、有機電解液に含浸され、得られた結果物がポーチに収容されて密封されれば、リチウムイオンポリマー電池が完成される。
【0060】
さらに他の一実施形態によるリチウム電池で、前記アノードの単位面積当たり放電容量は0.5mAh/cm
2以上でありうる。例えば、前記アノードの単位面積当たり容量は、1mAh/cm
2以上でありうる。例えば、前記アノードの単位面積当たり容量は、0.5ないし10mAh/cm
2または1ないし10mAh/cm
2でありうる。例えば、前記アノードの単位面積当たり容量は、0.5ないし3mAh/cm
2または1ないし3mAh/cm
2でありうる。これらの単位面積当たり放電容量は、従来の一般的な薄膜型電池に比べて顕著に向上した値である。
【0061】
さらに他の一実施形態によるリチウム電池で、40回充放電サイクル後の容量維持率は78%以上でありうる。例えば、ナノチューブ1g当たり150mAの電流で、リチウム金属に対して、0.01ないし2Vの電圧範囲での充放電サイクルを40回反復した後の容量維持率が78%以上でありうる。例えば、前記容量維持率は、80%以上でありうる。同一充放電条件で、従来のシリコン・ナノワイヤの容量維持率は、約50%である。
【0062】
さらに他の一実施形態によるリチウム電池で、シリコン・ナノチューブ単位重量当たり最初のサイクルでの放電容量は、約3000mAh/g以上でありうる。例えば、前記放電容量は、3000ないし4000mAh/gでありうる。例えば、前記放電容量は、3100ないし3500mAh/gでありうる。
【0063】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法は、伝導性基板上に基板の表面から突出する方向にナノロッドを成長させる工程と、前記ナノロッド上に14族金属/半金属コーティング層を形成する工程と、前記14族金属/半金属コーティング層でコーティングされたナノロッド(結果物)を熱処理し、ナノロッドを選択的に除去する工程とを含む。
【0064】
前記14族金属/半金属は、シリコン、ゲルマニウム、スズ及びそれらの合金からなる群から選択された一つでありうる。
【0065】
前記伝導性基板上に、基板の表面から突出する方向にナノロッドを成長させる工程で、伝導性基板上にナノロッドを成長させる方法は、当技術分野で周知のあらゆる方法を使用できる。例えば、伝導性基板上にナノ粒子をコーティングし、前記ナノ粒子がコーティングされた伝導性基板を、金属イオンが存在する溶液中に浸漬させ、基板の表面から突出する方向にナノロッドを成長させることができる。異なっては、伝導性基板上に金属酸化物薄膜層をコーティングさせ、前記薄膜層がコーティングされた伝導性基板を金属イオンが存在する溶液中に浸漬させ、基板の表面から突出する方向にナノロッドを成長させることができる。例えば、伝導性基板上に前記ナノロッドは、一般的に伝導性基板に対して垂直方向に成長する。
【0066】
前記コーティング層を形成する方法は、当技術分野で周知のあらゆる方法を使用できる。例えば、14族金属/半金属前駆体ガスを前記ナノロッドと接触させることによって、前記ナノロッド表面に前記コーティング層が形成される。
【0067】
前記コーティング層が形成されたナノロッドを熱処理することによって、前記コーティング層を除外したナノロッドのみ熱分解されて選択的に除去される。結果的に、14コーティング層がナノチューブ状で得られる。例えば、高温及び水素(またはアルゴン)雰囲気下で、前記コーティング層を除外したナノロッドはそのまま熱分解されるか、または還元反応を経て熱分解されて選択的に除去される。
【0068】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法で、前記ナノロッドは金属酸化物でありうる。具体的に、前記ナノロッドは、ZnO、Al
2O
3、MgOからなる群から選択される一つ以上の金属酸化物でありうる。
【0069】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法で、前記ナノロッドの直径は、20ないし200nmでありうる。例えば、前記ナノロッドの直径は、50ないし150nmでありうる。例えば、70ないし120nmでありうる。
【0070】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法で、前記ナノロッドの長さが5μm超でありうる。例えば、前記ナノロッドの平均長さが5μm超で200μm以下でありうる。例えば、前記ナノロッドの平均長さは、5μm超で100μm以下でありうる。例えば、前記平均長さは、5μm超で50μm以下でありうる。例えば、前記平均長さは、6μmないし30μmでありうる。
【0071】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法において、前記コーティング層の厚さが20ないし100nmでありうる。例えば、前記コーティング層の厚さが20ないし70nmでありうる。
【0072】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法において、前記コーティング層がドーパントをさらに含む。前記ドーパントの追加によって、コーティング層の伝導度が増加しうる。前記ドーパントは、13族または15族元素でありうる。例えば、前記ドーパントは、ボロン、アルミニウム、ガリウム、タリウム、インジウム、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスなどを含む。前記13族元素は、p型ドーパントであり、前記15族元素は、n型ドーパントである。
【0073】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法において、前記コーティング層の形成は、14族金属/半金属の前駆体ガスを前記ナノロッドと接触させることによって形成される。例えば、前記コーティング層は、前記ナノロッド上に14族金属/半金属の前駆体ガスを流すことによって得られる。前記14族金属/半金属を含むガスは、例えば、SiH
4、SiCl
4、GeH
4などや、これらに限定されず、気化される14族金属/半金属原子を含む化合物として、当該技術分野で使われるものであればいずれも可能である。また、前記14族金属/半金属の前駆体ガスは、ドーパント前駆体ガスをさらに含む。具体的なドーパント前駆体ガスは、PH
5、BH
3などでありうる。
【0074】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法において、前記前駆体ガスを前記ナノロッドと接触させる時間は、1分間ないし1000分間でありうる。例えば、前記接触時間は、5ないし40分間でありうる。前記接触時間が増加することによって、金属ナノチューブの外径などが増加する。
【0075】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法において、前記コーティング層の形成が200ないし800℃の温度で行われる。例えば、前記温度は、300ないし700℃でありうる。例えば、前記温度は、500ないし600℃でありうる。
【0076】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法において、前記ナノロッドの選択的除去が水素またはアルゴン雰囲気で行われる。
【0077】
さらに他の一実施形態によるアノード製造方法において、前記ナノロッドを選択的に除去する工程で、水素雰囲気での熱処理温度が200℃以上でありうる。例えば、前記熱処理温度は、500ないし800℃でありうる。
【0078】
以下、実施例及び比較例を通じて、本発明がさらに詳細に説明される。ただし、実施例は、本発明を例示するためのものであって、これらのみで本発明の範囲が限定されるものではない。下記実施例及び比較例に開示されるナノチューブに対する数値は、特に言及しなければ平均値である。
【0079】
(アノードの製造)
[実施例1]
厚さ10μmのステンレス鋼(Nialco、米国)基板上に、ZnOナノロッドを前記基板に対して垂直方向に成長させた。具体的に、MOCVD(metal organic chemical vapor deposition)装備を使用し、500nmの厚さを有するZnO薄膜をステンレス鋼基板上に形成し、前記ZnO薄膜が形成された基板を0.025Mの硝酸塩亜鉛と0.025Mのメチンアミンとが溶解された水溶液に浸漬させた後、90℃で24時間放置し、前記基板上にZnOナノロッドを垂直方向に成長させた。目標にしたZnOナノロッドの長さを成長させるために、同じ水溶液でZnOナノロッドの成長を5回反復的に行った。
【0080】
得られたZnOナノロッドのみでなされた層の厚さは6μmであり、ZnOナノロッドの直径は100nmであった。
【0081】
水素雰囲気及び545℃の温度が維持されるチャンバ(自社製)で、前記ZnOナノロッドが配列されたステンレス鋼基板上に、H
2ガスとSiH
4(H
2ガスに10%(体積比)で希釈された状態)ガスとを、H
2の場合に20sccm、SiH
4の場合に60sccmの流速で12分間流し、シリコンコーティング層を形成させた。
【0082】
次いで、前記シリコンコーティング層でコーティングされたナノロッドが配列された基板を、水素雰囲気で600℃の温度で2時間以上熱処理し、ZnOのみを選択的に除去し、ステンレス鋼基板上に垂直に配列されたシリコン・ナノチューブを含むアノードが得られた。前記アノードで、シリコン・ナノチューブのみでなされた層の厚さは7μmであった。
【0083】
前記実施例1のアノード製造方法を、
図1に概略的に示した。前記アノードの表面の走査型電子顕微鏡写真が
図2に示され、透過型電子顕微鏡写真が
図3及び
図4に示される。
図2に示されるように、伝導性基板上に垂直に複数のシリコン・ナノチューブが配列された。
【0084】
実施例1で製造されたシリコン・ナノチューブの外部直径は、145nmであった。前記シリコン・ナノチューブの内部直径は、75nmであった。また、シリコン・ナノチューブの壁の厚さは、30nmであった。
【0085】
[実施例2]
H
2ガスとSiH
4ガスとを流す時間を17分に変更した点を除いては、実施例1と同じ方法でアノードを製造した。
【0086】
[実施例3]
H
2ガスとSiH
4ガスとを流す時間を20分に変更した点を除いては、実施例1と同じ方法でアノードを製造した。
【0087】
[実施例4]
SiH
4ガスの代わりに、SiH
4及びPH
5が200:1体積比で混合されたガスを流した点を除いては、実施例1と同じ方法でアノードを製造した。実施例4で製造されたシリコン・ナノチューブに対する透過型電子顕微鏡写真が
図5に示される。実施例1のドーピングされていないシリコン・ナノチューブと同じ形態を有するということが分かる。
【0088】
[実施例5]
SiH
4ガスの代わりに、SiH
4及びBH
3が1,500:1体積比で混合されたガスを流した点を除いては、実施例1と同じ方法でアノードを製造した。実施例5で製造されたシリコン・ナノチューブに対する透過型電子顕微鏡写真が
図6に示される。実施例1のドーピングされていないシリコン・ナノチューブと同じ形態を有するということが分かる。
【0089】
[実施例6]
厚さ10μmのステンレス鋼(Nialco、米国)基板上に、ZnOナノロッドを前記基板に対して垂直方向に成長させた。具体的に、MOCVD装備を使用して500nmの厚さを有するZnO薄膜をステンレス鋼基板上に形成し、前記ZnO薄膜が形成された基板を0.025Mの硝酸塩亜鉛と0.025Mのメチンアミンとが溶解された水溶液に浸漬させた後、90℃で24時間放置し、前記基板上にZnOナノロッドを垂直方向に成長させた。目標にしたZnOナノロッドの長さを成長させるために、同じ水溶液でZnOナノロッドの成長を10回反復的に行った。得られたZnOナノロッドのみでなされた層の厚さは10μmであり、ZnOナノロッドの直径は100nmであった。
【0090】
水素雰囲気及び545℃の温度が維持されるチャンバ(自社製)で、前記ZnOナノロッドが形成されたステンレス鋼基板上にH
2ガスとSiH
4(H
2ガスに10%(体積比)で希釈された状態)ガスとを、H
2の場合に20sccm、SiH
4の場合に60sccmの流速で12分間流し、シリコンコーティング層を形成させた。
【0091】
次いで、前記シリコンコーティング層でコーティングされたナノロッドが配列された基板を水素雰囲気で650℃の温度で2時間以上熱処理してZnOのみを選択的に除去し、ステンレス鋼基板上に垂直に配列されたシリコン・ナノチューブを含むアノードが得られた。前記アノードで、シリコン・ナノチューブのみでなされた層の厚さは12μmであった。
【0092】
実施例6で製造されたシリコン・ナノチューブの外部直径は、160nmであった。前記シリコン・ナノチューブの内部直径は、100nmであった。前記シリコン・ナノチューブの壁の厚さは、30nmであった。
【0093】
[実施例7]
H
2ガスとSiH
4ガスとを流す時間を17分に変更した点を除いては、実施例6と同じ方法でアノードを製造した。
【0094】
[実施例8]
H
2ガスとSiH
4ガスとを流す時間を20分に変更した点を除いては、実施例6と同じ方法でアノードを製造した。
【0095】
[実施例9]
SiH
4ガスの代わりに、SiH
4及びPH
5が200:1体積比で混合されたガスを流した点を除いては、実施例6と同じ方法でアノードを製造した。
【0096】
[実施例10]
SiH
4ガスの代わりに、SiH
4及びBH
3が1,500:1体積比で混合されたガスを流した点を除いては、実施例6と同じ方法でアノードを製造した。
【0097】
[実施例11]
厚さ10μmのステンレス鋼(Nialco、米国)基板上に、ZnOナノロッドを前記基板に対して垂直方向に成長させた。具体的に、MOCVD装備を使用して500nmの厚さを有するZnO薄膜をステンレス鋼基板上に形成し、前記ZnO薄膜が形成された基板を0.025Mの硝酸塩亜鉛と0.025Mのメチンアミンとが溶解された水溶液に浸漬させた後、90℃で24時間を放置し、前記基板上にZnOナノロッドを垂直方向に成長させた。目標にしたZnOナノロッドの長さを成長させるために、同じ水溶液でZnOナノロッドの成長を5回反復的に行った。得られたZnOナノロッドのみでなされた層の厚さは7μmであり、ZnOナノロッドの直径は105nmであった。
【0098】
水素雰囲気及び545℃の温度が維持されるチャンバ(自社製)で、前記ZnOナノロッドが形成されたステンレス鋼基板上にH
2ガスとGeH
4(H
2ガスに10%(体積比)で希釈された状態)ガスとを、H
2の場合に20sccm、GeH
4の場合に50sccmの流速で12分間流し、ゲルマニウムコーティング層を形成させた。
【0099】
次いで、前記ゲルマニウムコーティング層がコーティングされたナノロッドが配列された基板を水素雰囲気で550℃の温度で2時間以上熱処理してZnOのみを選択的に除去し、ステンレス鋼基板上に垂直に配列されたゲルマニウム・ナノチューブを含むアノードが得られた。前記アノードで、ゲルマニウム・ナノチューブのみでなされた層の厚さは8μmであった。
【0100】
実施例11で製造されたゲルマニウム・ナノチューブの外部直径は、195nmであった。前記ゲルマニウム・ナノチューブの内部直径は、105nmであった。前記ゲルマニウム・ナノチューブのゲルマニウムの壁の厚さは、45nmであった。
【0101】
[実施例12]
H
2ガスとGeH
4ガスとを流す時間を15分に変更した点を除いては、実施例11と同じ方法でアノードを製造した。
【0102】
[実施例13]
H
2ガスとGeH
4ガスとを流す時間を17分に変更した点を除いては、実施例11と同じ方法でアノードを製造した。
【0103】
[実施例14]
GeH
4ガスの代わりに、GeH
4及びPH
5が200:1体積比で混合されたガスを流した点を除いては、実施例11と同じ方法でアノードを製造した。
【0104】
[実施例15]
GeH
4ガスの代わりに、GeH
4及びBH
3が1,500:1体積比で混合されたガスを流した点を除いては、実施例11と同じ方法でアノードを製造した。
【0105】
[比較例1]
厚さ10μmのステンレス鋼(Nialco、米国)基板上に、シリコン・ナノワイヤ形成触媒として使用するためにAu層を成長させた。具体的には、スパッタリング装備を使用し、ステンレス鋼基板上にAu層を約20nmの厚さに形成させた。
【0106】
水素雰囲気及び545℃の温度が維持されるチャンバ(自社製)で、前記Au層が形成されたステンレス鋼基板上にH
2ガスとSiH
4(H
2ガスに10%(体積比)で希釈された状態)ガスとを、H
2の場合に20sccm、SiH
4の場合に60sccmの流速で12分間流し、シリコン・ナノワイヤを形成させてアノードを製造した。
【0107】
前記実施例1ないし15で製造された14族金属/半金属ナノチューブの実験条件、製造されたナノチューブの寸法特性、及び基板占有率を下記表1に要約した。
【0108】
【表1】
*:基板占有率は、前記金属ナノチューブの長さの最大値及び前記金属ナノチューブにより占有される基板の面積により定義される体積のうち、前記金属ナノチューブにより占有される体積と定義される。すなわち、前記金属ナノチューブの長さ及び基板の面積により定義される全体の体積で、金属ナノチューブ(ナノチューブの外径及び長さにより定義される)が占める体積の比率である。
(リチウム電池の製造)
【0109】
[実施例16]
前記実施例1で製造されたアノードをそのまま使用し、リチウム金属を相対電極とし、隔離膜としてポリプロピレン隔離膜(Cellgard 3510)を使用し、1.3MのLiPF
6がエチレンカーボネート(EC)+ジエチレンカーボネート(DEC)(3:7重量比)に溶けている溶液を電解質として使用し、CR−2016規格のコインセルを製造した。
【0110】
[実施例17ないし30]
実施例1で製造されたアノードの代わりに、実施例2ないし15で製造されたアノードをそれぞれ使用した点を除いては、実施例16と同じ方法でリチウム電池を製造した。
【0111】
[比較例2]
前記実施例1で製造されたアノードの代わりに、前記比較例1で製造されたシリコン・ナノワイヤが形成されたステンレス鋼基板をアノードとして使用した点を除いては、実施例16と同じ方法でリチウム電池を製造した。
【0112】
〈評価例1:充放電実験〉
前記実施例16ないし21、26、29及び比較例2で製造されたリチウム電池に対して、アノード活物質(シリコン・ナノチューブ)1g当たり150mAの電流で電圧が0.01V(vs.Li)に達するまで充電し、再び同じ電流で電圧が2V(vs.Li)に達するまで放電した。次いで、同じ電流及び電圧区間で充電及び放電を40回反復した。最初のサイクルでの充放電実験結果の一部を
図7に示した。下記表2にアノード単位面積当たり放電容量、金属ナノチューブの単位重量当たり放電容量、初期充放電効率及び容量維持率を表した。表2において、初期充放電効率は、最初のサイクルで充電容量と放電容量の比率である。容量維持率は、下記数式2から計算される。
[数式2]
容量維持率[%]=40番目のサイクルでの放電容量/最初のサイクルでの放電容量
【0113】
〈評価例2:金属ナノチューブの長手方向の体積変化の評価〉
〈実施例21のリチウム電池〉
実施例6で製造された未使用(fresh)アノードに対して、アノードの表面及び断面を走査型電子顕微鏡で測定した。また、前記アノードの表面に配列されたシリコン・ナノチューブの模様を透過型電子顕微鏡で測定した。測定結果を
図8Aないし
図8Cに示した。使われていないシリコン・ナノチューブの平均長さは、12μmであった。
【0114】
前記実施例6のアノードを使用して製造された実施例21のリチウム電池を1回充電した後で分解して得られるアノードに対して、アノードの表面及び断面を走査型電子顕微鏡で測定した。また、前記アノードの表面に配列されたシリコン・ナノチューブの模様を透過型電子顕微鏡で測定した。測定結果を
図9Aないし
図9Cに示した。リチウムが吸蔵されて膨脹されたシリコン・ナノチューブの平均長さは、16μmであった。
【0115】
前記実施例6のアノードを使用して製造された別個の実施例21のリチウム電池を1回充電及び放電した後で分解して得られるアノードに対して、アノードの表面及び断面を走査型電子顕微鏡で測定した。また、前記アノードの表面に配列されたシリコン・ナノチューブの形態を透過型電子顕微鏡で測定した。測定結果を
図10Aないし
図10Cに示した。
【0116】
前記
図8B、
図8C、
図10B及び
図10Cに示されるように、充放電によりシリコン・ナノチューブの体積が膨脹及び収縮した。
図10Bに示されるように、充放電後にもシリコン・ナノチューブの表面にクラックが発生しなかった。
図8B、
図9B及び
図10Bは、アノードの断面を伝導性基板の表面から対角線方向で測定したものであって、ナノチューブの実際の長さとは異なる。
【0117】
リチウムの吸蔵によるシリコン・ナノチューブの長手方向の体積膨張率は、最大約40%であって、従来の一般的なシリコン粒子、シリコンナノロッドなどの体積膨張率である300ないし400%に比べて顕著に減少した。
【0118】
〈実施例16ないし20、26、29及び比較例2のリチウム電池〉
実施例21のリチウム電池及びそれに含まれた実施例6のアノードの代わりに、実施例16ないし20、26、29及び比較例2のリチウム電池、及びそれに含まれた実施例1ないし5、11、14及び比較例1のアノードをそれぞれ使用した点を除いては、前記及び実施例21のリチウム電池に対してと同じ方法でシリコン・ナノチューブ、ゲルマニウム・ナノチューブ及びシリコン・ナノワイヤの長手方向の体積膨張率を測定した。
【0119】
前記実施例16ないし21、26、29及び比較例2で製造されたリチウム電池に対する充放電実験結果及びナノチューブの長手方向の体積膨張率を下記表2に要約した。
【0120】
【表2】
【0121】
図7及び前記表2に示されるように、実施例16ないし20のリチウム電池は、最初のサイクルで、アノード単位面積当たり放電容量が0.5ないし0.8mAh/cm
2であった。実施例21のリチウム電池は、最初のサイクルでアノード単位面積当たり放電容量が1mAh/cm
2以上であった。
【0122】
前記実施例16ないし21のリチウム電池は、最初のサイクルで放電容量が3000ないし4000mAh/gとシリコンの理論容量に該当する高い値を表した。
【0123】
前記実施例16ないし21、26、29のリチウム電池の初期充放電効率は、79%以上であって、比較例2の初期充放電効率73%に比べて向上した。
【0124】
前記実施例16ないし21、26、29のリチウム電池での金属ナノチューブの長手方向の体積膨張率は、42%以下であった。