(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6110147
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】電力障害検知回路、電源装置付き装置および電力障害検知方法
(51)【国際特許分類】
G05F 1/10 20060101AFI20170327BHJP
G01R 19/165 20060101ALI20170327BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
G05F1/10 304E
G01R19/165 K
G01R31/00
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-10181(P2013-10181)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-142766(P2014-142766A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 禎文
【審査官】
麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−225429(JP,A)
【文献】
特開昭50−161658(JP,A)
【文献】
実開昭61−099221(JP,U)
【文献】
特開昭63−202223(JP,A)
【文献】
実開昭61−065520(JP,U)
【文献】
特開平10−126970(JP,A)
【文献】
特開昭59−070136(JP,A)
【文献】
特開2007−202353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/10
G01R 19/165
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された電源電力を電力供給先の電気回路に応じた特性を持つ電力に変換する電源回路の電位と、前記電源回路により変換された変換後の電力を利用して動作する前記電気回路の電位とを比較し、前記電源回路の電位と前記電気回路の電位との一方が低下することによる電位差が生じた場合に、前記電源回路と前記電気回路の何れの電位が低下したかを検知する電位低下検知回路を有する電力障害検知回路。
【請求項2】
前記電源回路と前記電気回路との電位差が生じた場合に、前記電位低下検知回路が前記電位差を検知している期間を、前記電源回路と前記電気回路とに電位差が生じている期間よりも長くする検知延長回路をさらに有している請求項1記載の電力障害検知回路。
【請求項3】
前記電源回路が正常な停止動作を実行することを示す停止信号が入力される停止信号入力部と、
前記電位低下検知回路が前記電源回路の電位低下を検知しても、前記停止信号が入力された場合には、前記電位低下検知回路による前記電源回路の電位低下結果をキャンセルする誤動作防止回路と
をさらに有している請求項1又は請求項2記載の電力障害検知回路。
【請求項4】
前記電位低下検知回路によって電位低下が検知された前記電源回路あるいは前記電気回路に異常が生じていることを報知する報知部をさらに備えている請求項1又は請求項2又は請求項3記載の電力障害検知回路。
【請求項5】
前記電位低下検知回路による検知結果を保持する保持回路をさらに有し、
前記報知部は、前記保持回路により保持されている前記検知結果に基づいて報知動作を継続する請求項4記載の電力障害検知回路。
【請求項6】
前記電源回路に正常に電源電力が通電したことを示す電源オン信号が入力される電源オン信号入力部と、
前記電源オン信号が入力された場合に前記報知部による報知動作を止める報知停止回路と
をさらに有する請求項4又は請求項5記載の電力障害検知回路。
【請求項7】
外部から入力された電源電力の特性を電力供給先の電気回路に応じた特性に変換する電源回路を備えた電源装置と、
当該電源装置から出力された電力を利用して動作する電気回路と、
請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載の電力障害検知回路と
を有する電源装置付き装置。
【請求項8】
前記電源装置と前記電力障害検知回路とを接続する電気経路の長さと、前記電気回路と前記電力障害検知回路とを接続する電気経路の長さとが、揃えられている請求項7記載の電源装置付き装置。
【請求項9】
外部から入力された電源電力を電力供給先の電気回路に応じた特性を持つ電力に変換する電源回路の電位と、前記電源回路により変換された変換後の電力を利用して動作する前記電気回路の電位とを比較し、
前記電源回路の電位と前記電気回路の電位との一方が低下することによる電位差が生じた場合に、前記電源回路と前記電気回路の何れの電位が低下したかを検知することによって、電力障害の原因となった回路を検知する電力障害検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路に正常に電力が供給されない電力供給障害が発生した際に、その障害の原因部分を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ装置(コンピュータ装置)において、外部からの電源電力の供給状況に変化が無いのにも拘わらず、サーバ装置内の電力供給が突然停止(遮断)する障害(以下、このような障害を電力供給障害と記す)が発生する場合がある。この電力供給障害は、サーバ装置を構成する電源装置に生じた異常に因る場合と、サーバ装置を構成する制御装置に生じた異常に因る場合とがある。その電源装置や制御装置の異常の原因は容易には判別できないことから、電力供給障害が発生すると、迅速に復旧するために、電源装置および制御装置を正常な電源装置および制御装置(マザーボード)に交換することがよく行われる。
【0003】
しかしながら、このような場合には、例えば、電源装置と制御装置の一方が正常であるのにも拘わらず、その一方の正常な装置も他方の異常発生の装置と同様に交換することになるという無駄が発生してしまう。
【0004】
ところで、特許文献1には、次のような技術が提案されている。すなわち、特許文献1に示されている技術とは、電力異常が発生した場合に、その原因が電源装置にあるのか、電源装置が電力を供給する負荷側にあるのかを検出する技術である。当該技術では、
図5に示されるように、電源装置100は、電源回路101に加えて、電流検出回路102と、電圧検出回路103とを有している。電流検出回路102は、電源回路101から負荷104に向けて出力される出力電流が正常な電流値よりも大幅に増加したことを検知する機能を備えている。電圧検出回路103は、電源回路101から負荷104に供給される出力電圧が正常な電圧値よりも大きく低下したことを検知する機能を備えている。
【0005】
特許文献1に示される電源装置100は、電圧検出回路103によって異常な出力電圧の低下を検知し、かつ、電流検出回路102により異常に大きな出力電流を検知した場合には、出力電圧低下の原因が負荷104にあることを報知する。
【0006】
上記のような特許文献1に示されている技術を利用することによって、電力供給障害が発生した場合に、例えば装置利用者やメンテナンスのサービス業者は、その原因が電源回路101にあるのか負荷104にあるのかを即座に判別できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−194102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示されている技術は、電力供給が停止していない状態では有効な技術である。しかしながら、電源回路101から負荷104への電力供給が異常停止する電力供給障害が発生してしまった場合には、異常な出力状態が継続されないので、電源装置100は、その電力供給障害の原因が電源回路101と負荷104の何れにあるのかを判別できない。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされた。すなわち、本発明の主な目的は、電力供給障害が発生した場合に、その原因となった回路を判別できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の電力障害検知回路は、
外部から入力された電源電力の特性を電力供給先の電気回路に応じた特性に変換する電源回路と、その変換後の電力を利用して動作する前記電気回路との電位を比較し、それら電位の一方が低下することによる電位差が生じた場合に、前記電源回路と前記電気回路の何れの電位が低下したかを検知する電位低下検知回路を有する。
【0011】
また、本発明の電源装置付き装置は、
外部から入力された電源電力の特性を電力供給先の電気回路に応じた特性に変換する電源回路を備えた電源装置と、
当該電源装置から出力された電力を利用して動作する電気回路と、
本発明の電力障害検知回路と
を有する。
【0012】
さらに、本発明の電力障害検知方法は、
外部から入力された電源電力の特性を電力供給先の電気回路に応じた特性に変換する電源回路と、その変換後の電力を利用して動作する前記電気回路との電位を比較し、
それら電位の一方が低下することによる電位差が生じた場合に、前記電源回路と前記電気回路の何れの電位が低下したかを検知することによって、電力障害の原因となった回路を検知する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部の電源電力の供給状況に変化が無いのにも拘わらず、装置内での電力供給が突然停止(遮断)する電力供給障害が発生した場合に、その原因が電源回路にあるのか、その電源回路からの電力を利用する電気回路にあるのかを判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の電力障害検知回路の構成を簡略化して示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る電源装置付き装置の一実施形態を簡略化して示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る第2実施形態の電力障害検知回路を示す回路図である。
【
図4】第2実施形態の電力障害検知回路をサーバ装置(コンピュータ装置)に組み込んだ場合の組み込み例を示すブロック図である。
【
図5】特許文献1に示される装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る第1実施形態の電力障害検知回路を示すブロック図である。この電力障害検知回路1は、電位低下検知回路2を備えている。この電位低下検知回路2は、電源回路3と、電気回路4とに接続する。電源回路3は、電気回路4に電力を供給する回路であり、当該電源回路3は、外部から入力された電源電力の特性を電力供給先の電気回路に応じた特性に変換する機能を備えた回路である。電気回路4は、電源回路3により変換された電力を利用して動作する。
【0017】
電位低下検知回路2は、電源回路3と電気回路4との電位を比較し、それら電位の一方が低下することによる電位差が生じた場合に、電源回路3と電気回路4の何れの電位が低下したかを検知する機能を備えている。
【0018】
電力障害検知回路1は、上記のような電位低下検知回路2を有している。これにより、電力障害検知回路1は、外部の電源電力の供給状況に変化が無いのにも拘わらず、電源回路3あるいは電気回路4の異常によって電力供給が停止(遮断)する電力供給障害が発生した場合に、その原因が電源回路3と電気回路4の何れにあるのかを判別できる。すなわち、電力供給障害が発生した際には、電源回路3と電気回路4のうち、異常のある一方側が他方側よりも早く電位が低下する。このことから、電源回路3と電気回路4の電位の一方が低下することによる電位差が発生した場合に、その電位が低下した回路を検知することは、電力供給障害の原因となった異常な回路を特定することである。
【0019】
つまり、電位低下検知回路2の検知結果は、電力供給障害の原因となった回路が電源回路3であるのか電気回路4であるのかを示すものである。このことから、例えば装置利用者やメンテナンスのサービス業者等は、電力供給障害が発生した場合に、障害を取り除く復旧作業において、電位低下検知回路2の検知結果に基づいて電源回路3と電気回路4のうちの異常となった一方側を交換するだけでよい。このように、電力障害検知回路1は、正常な回路をも交換するという無駄を無くすことができる。
【0020】
図2は、本発明に係る電源装置付き装置の一実施形態を示すブロック図である。この電源装置付き装置10は、電力障害検知回路1と、電源装置11と、電気回路4とを有している。電力障害検知回路1は、前記同様な電位低下検知回路2を有している。電源装置11は、前記同様な電源回路3を有している。電気回路4は、前記同様に、電源装置11から出力された電力を利用して動作する回路である。
【0021】
この電源装置付き装置10は、電力障害検知回路1を備えているので、電力障害検知回路1を備えていることによる前記同様の効果を得ることができる。
【0022】
(第2実施形態)
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。
【0023】
図3は、第2実施形態の電力障害検知回路を表す回路図である。この電力障害検知回路20は、
図4に示されるように、サーバ装置(コンピュータ装置(電源装置付き装置))13に組み込まれている。サーバ装置13は、電源回路14を備える電源装置15と、制御回路(電気回路)16を備える制御装置17とを有している。電源回路14は、第1実施形態で述べた電源回路3と同様に、外部から入力された電源電力の特性を電力供給先の電気回路である制御回路16に応じた特性に変換する回路である。例えば、電源回路14は、DC(Direct Current)−DC(Direct Current)コンバータの回路である。制御回路16は、電源回路14から出力された電力を利用して回路駆動する。正常な状態では、電源回路14と制御回路16はほぼ同電位である。
【0024】
この第2実施形態の電力障害検知回路20は、制御装置17を構成するマザーボード18に制御回路16と共に搭載されている。また、当該電力障害検知回路20は、電源回路14および制御回路16に接続している。電力障害検知回路20と電源回路14を接続する電気経路12と、電力障害検知回路20と制御回路16を接続する電気経路19とは、それらの長さ(電気的な長さ)が揃えられている。これにより、電源回路14で電位変化が生じてから当該電位変化を電力障害検知回路20で検知できるまでの時間と、制御回路16で電位変化が生じてから当該電位変化を電力障害検知回路20が検知できるまでの時間とが同等となる。このため、電力障害検知回路20は、後述する電位差検知の精度を高めることができる。
【0025】
電力障害検知回路20は、
図3に示されるように、電位低下検知回路21と、保持回路22,23と、報知部24,25と、誤動作防止回路26と、報知停止回路27と、維持回路28と、待機電力入力部29と、停止信号入力部30と、電源オン信号入力部31とを有している。
【0026】
電位低下検知回路21は、電源側異常検知回路32と、制御側異常検知回路33とを有している。それら回路32,33は、それぞれ、電源回路14および制御回路16に接続する。
【0027】
電源側異常検知回路32は、ダイオード34と、時定数回路35と、コンパレータ36とを有している。
図3の例では、ダイオード34のアノード側に制御回路16が接続し、ダイオード34のカソード側に電源回路14が接続する。このように接続することにより、ダイオード34は、次のような場合に導通状態(オン状態)となる機能を備える。その場合とは、電源回路14の電位が低下することにより電源回路14と制御回路16とに電位差が生じ、かつ、その電位差がしきい値(つまり、異常か否かを判断する値)以上であった場合である。
【0028】
コンパレータ36は、ダイオード34が導通状態となった場合(ダイオード34により電源回路14と制御回路16との電位差が検知された場合)に、ハイレベルを持つ信号(H(High)信号)を出力するように設計されている。そのH信号の出力期間は、コンパレータ36の+(プラス)側入力部と−(マイナス)側入力部とに入力する電位差が、異常を示すしきい値以上である期間である。
【0029】
ところで、電源回路14に異常が生じて当該電源回路14の電位が低下すると、制御回路16の電位も続いて低下する。つまり、異常が発生した場合に、電源回路14と制御回路16との電位に、異常を示す程の電位差が生じている時間は非常に短い。このことを考慮して、この第2実施形態では、電源側異常検知回路32は、時定数回路(CR(Capacitor-Resistance)回路)35を備えている。時定数回路35は、コンパレータ36が前記電位差を検知している期間を、電源回路14と制御回路16とに電位差が生じている期間よりも長くする検知延長回路として機能する。
【0030】
制御側異常検知回路33は、ダイオード37と、時定数回路38と、コンパレータ39とを有している。ダイオード37のアノード側に電源回路14が接続し、ダイオード37のカソード側に制御回路16が接続する。このように接続することにより、ダイオード37は、制御回路16の電位が低下することにより電源回路14と制御回路16とに電位差が生じ、かつ、その電位差がしきい値(つまり、異常か否かを判断する値)以上であった場合に、導通状態(オン状態)となる機能を備える。
【0031】
コンパレータ39は、コンパレータ36と同様に、ダイオード37が導通状態となった場合(ダイオード37により電源回路14と制御回路16との電位差が検知された場合)に、ハイレベルを持つ信号(H(High)信号)を出力するように設計されている。時定数回路38は、時定数回路35と同様に、コンパレータ39が前記電位差を検知している期間を、電源回路14と制御回路16とに電位差が生じている期間よりも長くする検知延長回路として機能する。
【0032】
保持回路22は、フリップフロップ回路であり、コンパレータ36からH信号が出力された場合に、ハイレベルを持つ信号(H(High)信号)を出力し、当該H信号の出力状態をリセット信号が加えられるまで継続する。換言すれば、保持回路22は、電位低下検知回路21の検知結果を保持する機能を備えている。
【0033】
保持回路23は、保持回路22と同様にフリップフロップ回路であり、コンパレータ39からH信号が出力された場合に、ハイレベルを持つH(High)信号を出力し、当該H信号の出力状態をリセット信号が加えられるまで継続する。換言すれば、保持回路23は、電位低下検知回路21の検知結果を保持する機能を備えている。
【0034】
待機電力入力部29は、制御装置17に供給される待機電力(制御回路16が待機モード(主要な機能が休止(停止)している状態)である場合に使用する電力)が入力される部位である。維持回路28は、その待機電力入力部29に入力される待機電力を利用して、保持回路22,23の出力状態を維持する信号を出力する機能を備えている。なお、
図3において、維持回路28を構成している回路構成部40は、例えば、シュミットトリガインバータである。
【0035】
報知部24は、発光ダイオード(LED(Light-Emitting Diode))42と、トランジスタ43とを有している。発光ダイオード42は、電流が通電することによって発光する機能を備えている。トランジスタ43は、例えば電界効果トランジスタ(FET(Field Effect Transistor)である。このトランジスタ43は、ゲートGに保持回路22からH信号が加えられている場合に、ドレインD−ソースS間を導通状態(オン状態)にする機能を備えている。この第2実施形態では、トランジスタ43のドレイン側は発光ダイオード42を介して待機電力入力部29に接続している。これにより、トランジスタ43は、保持回路22からH信号が出力されている場合には、待機電力入力部29に入力される待機電力に基づいた電流を発光ダイオード42およびドレインD−ソースS間に導通するオン状態となる。このトランジスタ43のオン状態によって、発光ダイオード42が発光する。すなわち、電源回路14の電位低下によって電源回路14と制御回路16とに電位差が生じた場合には、発光ダイオード42が発光する。この発光ダイオード42の発光状態は、保持回路22の前記保持機能によって、リセットされるまで継続される。
【0036】
報知部25は、報知部24と同様に、発光ダイオード(LED(Light-Emitting Diode))45と、トランジスタ46とを有している。トランジスタ46は、例えば電界効果トランジスタ(FET(Field Effect Transistor)である。このトランジスタ46は、保持回路23からH信号が出力されている場合には、待機電力入力部29に入力される待機電力に基づいた電流を発光ダイオード45およびドレインD−ソースS間に導通するオン状態となる。このトランジスタ46のオン状態によって、発光ダイオード45が発光する。すなわち、制御回路16の電位低下によって電源回路14と制御回路16とに電位差が生じた場合には、発光ダイオード45が発光する。この発光ダイオード45の発光状態は、保持回路23の前記保持機能によって、リセットされるまで継続される。
【0037】
停止信号入力部30は、制御回路16から電源回路14に向けて出力された電源オンオフ制御信号と同じ信号が入力される部位(PS(Power Source)−ON端部)である。その電源オンオフ制御信号は、制御装置17が正常な制御動作によって、電源回路14の動作を停止する指示を伝達する停止信号(例えばハイレベルを持つH(High)信号)として機能する場合もある。
【0038】
誤動作防止回路26は、論理否定回路(NOT回路)48を有している。当該論理否定回路48は、停止信号入力部30に停止信号(H信号)が入力された場合に、キャンセル信号を電源側異常検知回路32の出力側(コンパレータ36の出力側)に出力する機能を備えている。そのキャンセル信号とは、電源側異常検知回路32(コンパレータ36)から出力されたH信号をキャンセルする信号である。つまり、電源側異常検知回路32からH信号が出力する場合は、電源回路14の電位が異常低下した場合だけでなく、制御装置17の正常な制御動作によって電源回路14が正常に停止する場合もある。そのような正常停止の場合に、電源側異常検知回路32からのH信号に基づいて発光ダイオード42が発光すると、電力障害検知回路20は誤動作したと見なされてしまう。誤動作防止回路26は、そのようなことを考慮して設けられた回路であり、電源回路14が正常に停止する場合には、電源側異常検知回路32からのH信号をキャンセルすることで、発光ダイオード42の発光停止(消灯)状態を維持する。
【0039】
電源オン信号入力部31は、電源オン信号が入力される部分(PWROK(Power-OK)端部)である。その電源オン信号とは、電源回路14および制御回路16が正常であることにより電源回路14に電力が正常に供給されていることを示す信号である。
【0040】
報知停止回路27は、電源オン信号入力部31に電源オン信号が入力された場合に、その電源オン信号に基づいて次のようなリセット信号を保持回路(フリップフロップ回路)22,23に供給する機能を備えている。リセット信号は、保持回路22,23からH信号が出力されている状態を解除する信号である。このリセット信号が保持回路22,23に加えられることによって、保持回路22,23からH信号が出力されなくなるので、トランジスタ43,46が導通オフ状態となり、発光ダイオード42,45の発光が停止する(消灯する)。
【0041】
この第2実施形態の電力障害検知回路20は上記のように構成されていることによって、電源回路14の異常による電力供給障害が発生した場合には、電源側異常検知回路32と保持回路22等の動作によって発光ダイオード42が発光する。また、制御回路16の異常による電力供給障害が発生した場合には、電源側異常検知回路33と保持回路23等の動作によって発光ダイオード45が発光する。
【0042】
すなわち、電力障害検知回路20は、電力供給障害が発生した場合に、その原因が電源回路14と制御回路16の何れにあるのかを報知できる。これにより、電力障害検知回路20は、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
さらに、この第2実施形態の電力障害検知回路20は、誤動作防止回路26を備えていることから、正常であるのにも拘わらず発光ダイオード42が発光してしまうという誤動作を防止できる。これにより、電力障害検知回路20の動作に対する信頼性を高めることができる。
【0044】
さらに、電力障害検知回路20と電源回路14との電気経路12と、電力障害検知回路20と制御回路16との電気経路19との長さが揃えられているので、電力障害検知回路20の検知精度を高めることができる。例えば、仮に、電力障害検知回路20と電源回路14との電気経路12が、電力障害検知回路20と制御回路16との電気経路19よりも電位低下検知に支障を来たす程に長かったとする。この場合には、電力障害検知回路20は、電源回路14に異常が生じたことに因り電源回路14の電位が低下しても、電気経路の長さに起因した電位変化の遅延によって、制御回路16の電位低下の方を電源回路14の電位低下よりも早く検知する虞がある。これに対して、この第2実施形態では、電気経路12,19の長さを揃えているので、電力障害検知回路20は、そのような不具合を防止することができ、これにより、検知精度を高めることができる。
【0045】
(その他の実施形態)
なお、この発明は第1や第2の実施形態に限定されず、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第2実施形態では、報知部24,25は、発光ダイオード42,45を利用して異常発生を報知しているが、発光ダイオード以外の報知手段を利用してもよい。例えば、その報知手段は、画面表示するディスプレイや、音声出力手段であってもよい。
【0046】
また、第2実施形態では、電力障害検知回路20は報知部24,25を備えているが、電力障害検知回路20は報知部24,25を省略してもよい。この場合には、例えば、電力障害検知回路20の検知結果に基づいて、サーバ装置13のディスプレイ等が異常を報知する報知部として機能する。
【0047】
さらに、第2実施形態では、電力障害検知回路20は、マザーボード18に形成されているが、他の部分に配設されてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,20 電力障害検知回路
2,21 電位低下検知回路
3,14 電源回路
4 電気回路
11,15 電源装置
16 制御回路
22,23 保持回路
24,25 報知部
26 誤動作防止回路
27 報知停止回路
29,30,31 入力部
35,38 時定数回路