(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6110168
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/00 20060101AFI20170327BHJP
F28F 17/00 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
F28F3/00 311
F28F17/00 501D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-55116(P2013-55116)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-181825(P2014-181825A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重森 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】北岸 孝一
(72)【発明者】
【氏名】堀田 昭三
【審査官】
横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−101617(JP,A)
【文献】
特開2007−163131(JP,A)
【文献】
特開2006−200864(JP,A)
【文献】
米国特許第3517731(US,A)
【文献】
特開2010−190556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00
F28F 17/00
F28D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度の異なる複数の流体を流通させる2種類以上の通路が交互に積層配置された複数のコアが溶接された熱交換器であって、
上記複数のコアの下側全体を覆って該複数のコア内に流体を流通させる下部ヘッダータンクと、
少なくとも各コアの互いに溶接される側面に設けられ、上記複数の流体が流通しないダミー層と、
上記ダミー層のサイドプレート周縁に全周にわたり固着された溶接用スペーサと、
上記ダミー層のサイドプレート下端側に貫通形成され、該ダミー層内の液体を上記溶接用スペーサによって形成された空間内に排出する貫通孔と、
上記溶接用スペーサの下側角部に形成され、上記空間内の液体を排出する液体排出孔とを備えている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器において、
上記溶接用スペーサは、複数の棒状部材からなり、
上記液体排出孔は、一対の棒状部材同士の隙間として形成されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換器において、
上記液体排出孔は、それぞれ斜めにカットされた一対の棒状部材の先端に形成され、上記コアの下側角部に向かって延びている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の熱交換器において、
上記液体排出孔の外側周縁には、筒状部材が固着され、その内部が該液体排出孔に連通している
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
請求項4に記載の熱交換器において、
上記筒状部材には、上記液体排出孔を塞ぐ閉塞部材を着脱可能となっている
ことを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の流体を流通させる2種類以上の通路が交互に積層配置された複数のコアが溶接された熱交換器に関し、特にその内部に溜まった水などの液体を排出する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、第1の流体が貫流する複数の第1通路と、第2の流体が貫流する複数の第2通路とを有し、第1通路と第2通路との間で熱交換を行う熱交換部を備えたプレート式熱交換器は知られている(例えば、特許文献1参照)。このプレート式熱交換器の熱交換部は、熱交換通路として、第1の流体が貫流する第1通路と、第2の流体が貫流する第2通路とを備えている。これら第1通路と第2通路は、例えば複数の第1通路と第2通路を一組の熱交換通路パッケージにして交互に積層配置される。第1通路と第2通路からなる各パッケージ同士の間には、流体の貫流しない層(すなわち不活性層)が介在配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−101617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように流体が貫流しない層が設けられていると、結露などで内部に溜まった水を排出しないと、コア内を通る低温の流体により水が凍ってしまう。水が凍ると、体積が増えて不活性層を押し広げて、必要な流体通路を変形させてしまったり、性能や寿命に影響を及ぼすという問題がある。この特許文献1のようにコアの下面の一部のみがヘッダータンクで覆われている場合、このヘッダータンクに覆われていない部分において、流体が貫流しない層の下面に貫通孔を設ければ、この層内部の水を排出することができる。
【0005】
しかしながら、コアの下面のほぼ全体が下部ヘッダータンクで覆われていると、このような貫通孔を設けることができない。
【0006】
そして、複数の流体を1つの熱交換器で処理したい場合、処理能力を大きくしたい場合等には、熱交換器のサイズを大きくする必要がある。このとき、ろう付の炉のサイズの制約等から複数のコアを作成し、ろう付後のコア同士を溶接しなければならない場合がある。この溶接された複数のコアの下面全体に1つの下部ヘッダータンクを連結すると、各コアの互いに溶接するサイドプレート側の液体を排出できなくなる。
【0007】
しかも、コアの外側の側壁下端も側部ヘッダータンクで覆われている場合、その側部ヘッダータンクの上方に貫通孔を設けなければならなかった。そうすると、内部に溜まった水を完全に抜くことができず、残った水が凍ってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成でダミー層内の液体を確実に排出できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、溶接用スペーサで形成された空間に流れ込んだ液体を、この溶接用スペーサで形成された下側角部に設けた液体排出孔から排出するようにした。
【0010】
具体的には、本発明では、温度の異なる複数の流体を流通させる2種類以上の通路が交互に積層配置された複数のコアが溶接された熱交換器を対象とする。
【0011】
そして、上記熱交換器は、
上記複数のコアの下側全体を覆って該複数のコア内に流体を流通させる下部ヘッダータンクと、
各コアの互いに溶接される側面に設けられ、上記複数の流体が流通しないダミー層と、
上記ダミー層のサイドプレート周縁に全周にわたり固着された溶接用スペーサと、
上記ダミー層のサイドプレート下端側に貫通形成され、該ダミー層内の液体を排出する貫通孔と、
上記溶接用スペーサの下側角部に形成され、上記空間内の液体を排出する液体排出孔とを備えている。
【0012】
すなわち、「ダミー層」は、コアを真空ろう付したり、溶接したりするときのハンドリングなどで流体が流通する層がへこんで流体の流通を阻害するのを防ぐために設けられており、その内部に流体が流通しないことから、その周囲はサイドバーなどの部材でほぼ密閉状に覆われている。しかし、完全に密閉にしておくと真空ろう付の際や圧力を逃がす必要があるときなどに問題があるので、何らかの隙間が設けられている。このため、結露等によってダミー層内に水などの液体が溜まったり、圧力試験時に水が溜まったりする。この液体を逃がすためにダミー層のサイドプレート下端側に貫通孔が形成されている。この貫通孔から排出された液体は、一対のコア間に設けた溶接用スペーサで囲まれた空間に流れ込む。各コアの溶接用スペーサは互いに密閉状に溶接されるので、通常は流れ込んだ液体を排出することができない。しかし、上記の構成によると、溶接用スペーサの下側角部に液体排出孔が設けられているので、この液体排出孔から液体を完全に排出することができ、液体が凍ることはない。ここで、「液体」は、通常、水であるが、不純物を含んでいてもよく、場合によっては、水以外の液体でもよい。
【0013】
また、上記溶接用スペーサは、複数の棒状部材からなり、上記液体排出孔は、一対の棒状部材同士の隙間として形成されているのが望ましい。この場合、溶接用スペーサを構成する棒状部材同士に隙間を設けるという簡単な構成で、この隙間からダミー層から流れ込んだ液体が排出される。
【0014】
また、上記液体排出孔は、それぞれ斜めにカットされた一対の棒状部材の先端に形成され、上記コアの下側角部に向かって延びていてもよい。こうすれば、一対の棒状部材の先端を斜めにカットすれば液体排出孔を形成できるので、製造が容易である。
【0015】
また、上記液体排出孔の外側周縁には、筒状部材が固着され、その内部が該液体排出孔に連通しているのが望ましい。筒状部材を設けることで、溶接用スペーサを溶接したり、下部ヘッダータンクを溶接したりするときに液体排出孔が溶接ビードで塞がれるのを防止することができる。なお、筒状部材は、液体排出孔との連通又は閉塞を確保するために中空のものであればよく、その断面形状等は特に限定されない。
【0016】
さらに、上記筒状部材には、上記液体排出孔を塞ぐ閉塞部材を着脱可能となっているのが望ましい。このように筒状部材を設けた上で、液体を排出しない、設置前、輸送時、休止時などには、この筒状部材を塞ぐことで、異物の侵入を防ぐことができる。なお、閉塞部材は、筒状部材に形成された液体排出孔を着脱可能に塞ぐことができるものであれば特に限定されず、筒状部材に対してねじ込んだり、圧入したりしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、ダミー層のサイドプレート下端側にダミー層内の液体を排出する貫通孔を設け、溶接用スペーサの下側角部に貫通孔から流れてきた液体を排出する液体排出孔を設けたことにより、簡単な構成でダミー層内の液体を確実に排出できるので、液体が凍って熱交換器に悪影響を与えるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明の実施形態にかかる熱交換器を示す斜視図である。
【
図3】熱交換器を示し、(a)が正面図で、(b)が側面図である。
【
図10】その他の実施形態の溶接用スペーサの構成を(a)及び(b)にそれぞれ示した
図1に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図2及び
図3は本発明の実施形態の熱交換器1を示し、この熱交換器1は、例えばアルミニウム合金を主材料とする、プレートフィン型の熱交換器1である。本実施形態の熱交換器1は、
図4に示すように、温度の異なる複数の流体を流通させる2種類以上の通路が交互に積層配置された2つのコア2a,2bを有する。各コア2a,2bは、互いに溶接され、その下部のほぼ全体を下部ヘッダータンク3が覆い、上部のほぼ全体を上部ヘッダータンク4が覆っている。また、コア2の側面は、合計4つのサイドヘッダータンク5,6が連結されている。
【0021】
コア2a,2bは、例えば3種類の流体通路を有する。
図5に示す第1流体通路11は、
図2及び
図3に示すように、上部ヘッダータンク4から下部ヘッダータンク3へ流体Aが流れるものである。第1流体通路11は、その上下端部において、上下に延びるディストリビュータ部11aと、中間の上下に延びる伝熱フィン部11bとを備える。なお、各通路は見やすくするために実際よりも間隔を太くし、簡略化して描いてある。
図6に示す第2流体通路12は、
図2及び
図3に示すように、一方側の下側サイドヘッダータンク5から他方側の上側サイドヘッダータンク6へ流体Bが流れるものである。第2流体通路12は、上下端部の斜めに延びるディストリビュータ部12aと、中間の上下に延びる伝熱フィン部12bとを備える。
図7に示す第3流体通路13は、
図2及び
図3に示すように、他方側の下側サイドヘッダータンク5から一方側の上側サイドヘッダータンク6へ流体Cが流れるものである。第3流体通路13は、上下端部の斜めに延びるディストリビュータ部13aと、中間の上下に延びる伝熱フィン部13bとを備える。コア2a,2bは、これらの3種類の流体通路11,12,13が互いに積層されている。3種類の流体A,B,Cは、それぞれ異なる温度であり、隣り合う流体通路を通る温度の異なる流体間で熱交換が行われるようになっている。例えば、流体は、氷点下以下の空気、その深冷分離で得られた窒素、酸素、アルゴン等である。
【0022】
そして、コア2a,2bの左右外側には、
図8に示すように、流体が流通しないダミー層14が設けられている。
図9に断面を拡大して示すように、各流体通路11,12,13及びダミー層14は、チューブプレート19の間に成型されて切断されたコルゲートフィン15をろう材(図示せず)と共に挟み込み、ダミー層14の両側を板状のサイドプレート16で覆った上で、サイドバー17と共に真空ろう付されることで成形される。このとき、コルゲートフィン15は、高さとピッチとを高度な均一性を持つように成形されてろう付される。ろう材は、予めアルミニウム合金のチューブプレート19に圧延されて一体化されていてもよい。各サイドバー17は、流体が通過する部分が切断され、各ヘッダータンクに連通されるようになっている。ダミー層14のサイドバー17は、4本とも連続している。ダミー層14内には、コルゲートフィン15がなくてもよいが、通常強度確保のために例えば上下に延びるコルゲートフィン15が設けられている。
【0023】
各流体通路11,12,13の積層順は特に限定されないが、例えば、
図9に示すように、各コア2a,2bでは、サイドプレート16、チューブプレート19、ダミー層14、チューブプレート19、第3流体通路13、チューブプレート19、第2流体通路12、チューブプレート19、第1流体通路11、チューブプレート19、第3流体通路13…の順に積層され、反対側の端部にも同様にダミー層14、チューブプレート19、サイドプレート16が配置されている。なお、これら流体通路11,12,13の構成は特に限定されず、2種類の流体通路だけでもよく、4通り以上の流体通路が設けられていてもよく、その流体の流れる方向も直交流型、向流型、これらを組み合わせたもの等、特に限定されない。流体通路に合わせてヘッダータンクの構成を変更すればよい。例えば、サイドヘッダータンク5,6が設けられない場合や、それらの位置が本実施形態と異なっていてもよい。サイドヘッダータンク5,6が設けられない場合等には、下部へーダータンク5や上部ヘッダータンク4が2分割されていてもよい。
【0024】
図1及び
図4に示すように、対向する一対の上記ダミー層14のサイドプレート16の周縁には、全周にわたり枠状に溶接用スペーサ18が溶接されている。この溶接用スペーサ18は、例えば一定厚さのアルミニウム合金の鋼板よりなる。枠状の溶接用スペーサ18により、一対のサイドプレート16間に空間Sが形成されている。
【0025】
一方、対向する各コア2a,2bの互いに結合される側のサイドプレート16の下端側には、少なくとも1つの貫通孔16aが形成されており、この貫通孔16aからダミー層14内の液体、つまり水を排出可能となっている。
【0026】
そして、溶接用スペーサ18の下側角部には、この溶接用スペーサ18で形成された空間Sに流れ込んだ水を排出する液体排出孔20が設けられている。この液体排出孔20は、それぞれ斜めにカットされた溶接用スペーサ18を構成する、互いに垂直に交わる一対の棒状部材の先端18aに形成されている。こうすれば、一対の棒状部材の先端18aを斜めにカットするだけで液体排出孔20を形成できる。
【0027】
さらに、液体排出孔20の外側周縁には、筒状部材としての中空円筒状のプラグ取付用ボス21が固着されている。プラグ取付用ボス21は、液体排出孔20との連通を確保するために中空のものであればよく、その断面形状等は特に限定されない。このプラグ取付用ボス21には、液体排出孔20を塞ぐ閉塞部材としてのプラグ22を取付可能となっている。プラグ22は、ボスに形成された液体排出孔を塞ぐことができるものであれば特に限定されず、ボスに対してねじ込んだり、圧入したりしてもよい。
【0028】
プラグ取付用ボス21は、一対のコア2a,2bを互いに溶接するときに溶接される。具体的には、まず溶接用スペーサ18が一方のコア2aのサイドプレート16に溶接される。このとき、液体排出孔20の部分は、溶接ビードWを設けない。
【0029】
そして、他方のコア2bのサイドプレート16を溶接用スペーサ18に当接させて溶接する。このときの溶接ビードWも液体排出孔20の部分には設けない。そして、その液体排出孔20に合わせてプラグ取付用ボス21を嵌め込み、その外周を溶接する。なお、溶接用スペーサ18は、他方のコア2bにも溶接しておき、一対の溶接用スペーサ18をつきあわせた状態で、その外周を埋めるように溶接するようにしてもよい。
【0030】
その後、下部ヘッダータンク3や下側サイドヘッダータンク5を溶接するので、その際の溶接ビードWによって液体排出孔20が塞がれない。
【0031】
このように、液体排出孔20にプラグ取付用ボス21を設けて溶接するので、溶接ビードWで液体排出孔20が埋まって液体を排出できなくなくなってしまうことがない。溶接時には、プラグ取付用ボス21によって液体排出孔20の連通が確保されるので、溶接が容易となって作業性が格段に向上する。
【0032】
このように構成した熱交換器1においては、ダミー層14を設けているので、コア2a,2bを真空ろう付したり、溶接したりするときのハンドリングなどで各流体通路11,12,13が傷つかない。
【0033】
ダミー層14の内部に流体が流通しないことから、その周囲はサイドバー17でほぼ密閉状に覆われている。しかし、完全に密閉状態にしておくと真空ろう付の際やコア2a,2bの内部の圧力を逃がしたいときなど等に問題があり、何らかの隙間が設けられている。このため、水を用いた圧力試験時、結露等によってダミー層14内に水が溜まる。この水は、
図1に矢印で示すように、サイドプレート16の下端側に設けた貫通孔16aから排出され、一対のコア2a,2b間に設けた溶接用スペーサ18で囲まれた空間に流れ込む。
【0034】
そして、プラグ22を外しておけば、溶接用スペーサ18の下側角部に設けた液体排出孔20から水を排出することができる。なお、より確実に水を排出するために熱交換器1を傾けてもよい。このため、熱交換器1に氷点下以下の流体A,B,Cを流通させても、水が凍ってしまうことはない。
【0035】
また、水を排出しないときには、プラグ取付用ボス21をプラグ22で塞ぐことで、異物の侵入を防ぐことができるので、熱交換器1の品質を保つことができる。
【0036】
したがって、本実施形態にかかる熱交換器1によると、ダミー層14のサイドプレート下端側にダミー層14内の水を排出する貫通孔16aを設け、溶接用スペーサ18の下側角部に貫通孔16aから流れてきた水を排出する液体排出孔20を設けたことにより、簡単な構成でダミー層14内の水を確実に排出できる。このため、凍った水によって熱交換器1が損傷するのを効果的に防止することができる。
【0037】
また、本実施形態では、熱交換器1は、プレートフィン型熱交換器とした。このため、チューブプレート19が一次伝熱面として、また、チューブプレート19間にろう付されたコルゲートフィン15は、二次伝熱面としての役割を果たすと共に、内圧に対して強度部材となっている。
【0038】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0039】
すなわち、上記実施形態では、溶接用スペーサ18の先端18aを斜めにカットして液体排出孔20を形成するようにしているが、
図10(a)に示すように、下側の水平に延びる溶接用スペーサ18はカットせず、右側の上下に延びる溶接用スペーサ18の長さを短くして生じた隙間18bを利用して液体排出孔20を形成するようにしてもよい。これは、下側サイドヘッダータンク5がコア2の下端にない場合に有効である。また、
図10(b)に示すように、右側の上下に延びる溶接用スペーサ18はカットせず、下側の水平に延びる溶接用スペーサ18の長さを短くして生じた隙間18cを利用して液体排出孔20を形成するようにしてもよい。これは、下部ヘッダータンク3が内側にずれた場合に有効である。いずれの場合にもプラグ取付用ボス21を設けるのが望ましい。このように溶接用スペーサ18を構成する棒状部材同士に隙間18b,18cを設けるという簡単な構成で、この隙間18b,18cからダミー層14から流れ込んだ水を排出することができる。
【0040】
上記実施形態では、液体排出孔20は、1つのみ設けているが、例えば反対側の角部にも設けてもよい。
【0041】
上記実施形態では、熱交換器1は、アルミニウム合金で構成しているが、例えばステンレス合金等の別の金属で構成してもよい。
【0042】
上記実施形態では、プラグ取付用ボス21を設けてビードWによって液体排出孔20が塞がれないようにしているが、プラグ取付用ボス21を設けずに溶接で塞がないようにして液体排出孔20が外気と連通するようにしてもよい。その場合も何らかの閉塞部材を着脱可能に設けてもよい。
【0043】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明は、複数の流体を流通させる2種類以上の通路が交互に積層配置された複数のコアが溶接された熱交換器について有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 熱交換器
2 コア
3 下部ヘッダータンク
4 上部ヘッダータンク
5 下側サイドヘッダータンク
6 上側サイドヘッダータンク
11 第1流体通路
12 第2流体通路
13 第3流体通路
14 ダミー層
15 コルゲートフィン
16 サイドプレート
16a 貫通孔
17 サイドバー
18 溶接用スペーサ
19 チューブプレート
20 液体排出孔
21 プラグ取付用ボス(筒状部材)
22 プラグ(閉塞部材)