【実施例】
【0063】
実施例1:新規な抗iC3b抗体はiC3bに結合し、C3cおよびC3dに結合しない
新規な抗iC3b抗体は、抗原iC3b上の新規なエピトープに結合する。この抗体は、C3cまたはC3dには結合しなかった。前記C3分子は、活性化によりC3bとC3aとに変換される。C3bは、I因子により不活性化されて、iC3bを生じる。新規な抗iC3b抗体は、前記iC3b分子上の新規なエピトープを認識した。この新規な抗体がC3cに結合しなかったことは、C3b分子のα鎖およびβ鎖が、前記新規なエピトープを有していないことを、示唆している。抗iC3b抗体がC3cおよびC3dに交差反応しないことは、前記C3cおよびC3dが生じる際、抗体が認識するエピトープが失われることを、示唆している。新規な抗iC3b抗体は、in vivoにおいても組織に対して同様の結合挙動を示すと期待される。
【0064】
ヒトの因子であるiC3b、C3dおよびC3c(Complement Technology、Tyler、TX)により、PBS中にそれぞれ(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、新規な抗iC3b抗体(Quidel Corporation、San Diego、CA)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0065】
タンパク質に結合した新規な抗iC3b抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)基質(Kirkegaard&Perry Laboratories、Gaithersburg、MD)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。基板に結合した各種タンパク質に結合する新規な抗iC3b抗体のKdを、最大結合の50%における新規な抗iC3b抗体の濃度に基づいて推定した(Microcal Origin、Northampton、MA)。
【0066】
新規な抗iC3b抗体は、262pMの親和性でiC3bに結合したが、C3dおよびC3cには結合しなかった。したがって、新規な抗iC3b抗体は、特異性が高い。最大半量の結合に達するのに必要な、新規な抗iC3b抗体の濃度として定義される、これらのデータからの見かけの結合定数は、およそ200〜300pMである。
図1にデータを示す。
【0067】
実施例2:新規な抗C3d抗体はC3dに結合し、C3cに結合しない
新規な抗C3d抗体は、C3b分子のα鎖およびβ鎖を含むC3c分子には結合しなかった。C3bの切断により、C3cとC3dとが生じる。前記C3d分子は、前記C3b分子から放出され、C3cを生じる。新規な抗C3d抗体は、前記C3d分子に特異的に結合するが、C3cには結合しない。
【0068】
ヒトのC3dおよびC3c(Complement Technology)により、PBS中にそれぞれ(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、新規な抗C3d抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0069】
タンパク質に結合した新規な抗C3d抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。25℃で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。基板に結合した各種タンパク質に結合する新規な抗C3d抗体のKdを、最大結合の50%における新規な抗C3d抗体の濃度に基づいて推定した(Microcal Origin)。
【0070】
新規な抗C3d抗体は、447pMの親和性でC3dに結合したが、C3cには結合しなかった。したがって、新規な抗C3d抗体は、特異性が高い。最大半量の結合に達するのに必要な、新規な抗C3d抗体の濃度として定義される、これらのデータからの見かけの結合定数は、およそ350〜550pMである。
図2にデータを示す。
【0071】
実施例3:抗Bb抗体と新規な抗Bb抗体とでは、B因子への結合に差異がある
新規な抗Bb抗体は、B因子には結合しないが、非新規の抗Bb抗体は、B因子に結合する。Bbは、代替経路に特有のタンパク質であり、前記新規な抗Bb抗体により検出され得る。
【0072】
ヒトのB(Complement Technology)により、PBS中に(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、新規な抗Bb抗体および非新規の抗Bb抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、B因子が被覆されたウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0073】
B因子に結合した新規な抗Bb抗体および非新規の抗Bb抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。
【0074】
新規な抗Bb抗体が、B因子が被覆された基板に結合しないことは、新規なエピトープが、B因子上に生じていないことを示唆している。最大半量の結合に達するための、非新規の抗Bb抗体の濃度として定義される、これらのデータからの見かけの結合定数は、およそ212pMである。
図3にデータを示す。新規な抗Bb抗体は、Bb上の新規なエピトープのみに特異的であるのが明らかである。
【0075】
実施例4:新規な抗SC5b−9抗体は、重合体のC9およびSC5b−9のみに結合する
新規な抗C5b−9抗体は、1.12nMの親和性で、基板に結合したC9を認識する。基板に結合したC9の機能は、SC5b−9複合体における重合体のC9と同様である。重合体のC9は、補体経路の活性化により生じる新規なエピトープを含む。前記新規な抗体は、SC5b−9複合体における重合体のC9により生じるエピトープに結合する。新規な抗SC5b−9抗体は、1.12nMの親和性で、基板に結合した(重合体の)C9に結合する。これと比較して、SC5b−9に対するこの抗体の結合親和性は、585pMである。この新規な抗体は、基板に結合したC5、C6、C7およびC8のタンパク質に結合しなかった。
【0076】
ヒトのC9またはSC5b−9(Complement Technology)により、PBS中に(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、新規な抗SC5b−9抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0077】
タンパク質に結合した新規な抗SC5b−9抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。新規な抗SC5b−9抗体は、C9およびSC5b−9の両方に高い親和性で結合した。前記親和性を、Microcal Originを使用して算出した。
【0078】
新規な抗SC5b−9抗体は、585pMの親和性でSC5b−9に結合し、1120pMの親和性で重合体のC9に結合した。最大半量の結合に達するための、新規な抗SC5b−9抗体の濃度として定義される、これらのデータからの見かけの結合定数は、親和性が高い。
図4にデータを示す。
【0079】
実施例5:各タンパク質に対する抗C5抗体、抗C6抗体、抗C7抗体、抗C8抗体および抗C9抗体の結合
C5、C6、C7、C8およびC9のタンパク質が、実施例4におけるELISAプレートに結合することを確認するために、これらのタンパク質を、各抗体を使用して検出した。抗C5抗体、抗C6抗体、抗C7抗体、抗C8抗体および抗C9抗体は、前記基板に結合したタンパク質に結合可能であった。
図5に示すように、前記抗体は、同様の親和性で、各抗原に結合した。
図5に単一濃度のプロットを示す。
【0080】
C5、C6、C7、C8およびC9(Complement Technology)により、PBS中に(1.0μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした各抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0081】
抗原に結合した抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。飽和結合曲線を生成し、飽和に近い単一の濃度を、全ての抗体についてプロットし、比較した。
図5にデータを示す。
【0082】
図5に示すように、抗C5抗体、抗C6抗体、抗C7抗体、抗C8抗体および抗C9抗体の全ての抗体が、完全に活性を有し、各抗原に良好に結合することが説明される。
【0083】
実施例6:基板に結合したC5およびSC5b−9に対する抗C5抗体の結合
図6に示すように、抗C5抗体がC5に結合するが、SC5b−9複合体におけるC5bを検出しないことは、抗C5抗体はC5b−9により引き起こされる組織損傷を検出し得ないことを、示唆している。本発明では、SC5b−9またはC5b−9上の新規なエピトープを認識する新規な抗体を選択する。
【0084】
C5およびSC5b−9(Complement Technology)により、PBS中に(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、抗C5抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0085】
C5およびSC5b−9に結合した抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。飽和結合曲線を生成し、飽和に近い単一の濃度を、全ての抗体についてプロットし、比較した。
【0086】
図6に示すように、抗C5抗体は、基板に結合したC5を認識するが、SC5b−9を認識しない。したがって、抗C5抗体は、補体媒介性の組織損傷を検出し得ない。
【0087】
実施例7:基板に結合したC6およびSC5b−9に対する抗C6抗体の結合
図7に示すように、抗C6抗体がC6およびSC5b−9複合体に、およそ200pMの同様の親和性で結合することは、抗C6抗体がC6およびSC5b−9の両方を検出し、SC5b−9と遊離のC6とを区別しないであろうことを、示唆している。
【0088】
C6およびSC5b−9(Complement Technology)により、PBS中に(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(SigmaAldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、抗C6抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0089】
C6およびSC5b−9に結合した抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。飽和結合曲線を生成し、飽和に近い単一の濃度を、全ての抗体についてプロットし、比較した。
【0090】
図7に示すように、抗C6抗体は、基板に結合したC6およびSC5b−9の両方を認識する。したがって、抗C6抗体は、組織損傷を特異的には検出し得ない。
【0091】
実施例8:基板に結合したC7およびSC5b−9に対する抗C7抗体の結合
図8に示すように、抗C7抗体がC7およびSC5b−9複合体に、200〜400pMの範囲で結合することは、抗C7抗体がC7およびSC5b−9の両方を検出し、SC5b−9と遊離のC7とを区別しないであろうことを、示唆している。
【0092】
C7およびSC5b−9(Complement Technology)により、PBS中に(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、抗C7抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0093】
C7およびSC5b−9に結合した抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。飽和結合曲線を生成し、飽和に近い単一の濃度を、全ての抗体についてプロットし、比較した。
【0094】
図8に示すように、抗C7抗体は、基板に結合したC7およびSC5b−9の両方を認識する。したがって、抗C7抗体は、組織損傷を特異的には検出し得ない。
【0095】
実施例9:基板に結合したC8およびSC5b−9に対する抗C8抗体の結合
図9に示すように、抗C8抗体がC8およびSC5b−9複合体に、600〜1000pMの範囲の親和性で結合することは、抗C8抗体がC8およびSC5b−9の両方を検出し、SC5b−9と遊離のC8とを区別しないであろうことを、示唆している。
【0096】
C8およびSC5b−9(Complement Technology)により、PBS中に(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、抗C8抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0097】
C8およびSC5b−9に結合した抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。飽和結合曲線を生成し、飽和に近い単一の濃度を、全ての抗体についてプロットし、比較した。
【0098】
図9に示すように、抗C8抗体は、基板に結合したC8およびSC5b−9の両方を認識する。したがって、抗C8抗体は、組織損傷を特異的には検出し得ない。
【0099】
実施例10:基板に結合したC9およびSC5b−9に対する抗C9抗体の結合
図10に示すように、抗C9抗体がC9に結合し、SC5b−9複合体に結合しないことは、抗C9抗体がSC5b−9を認識しないために、組織損傷を検出しないであろうことを、示唆している。
【0100】
C9およびSC5b−9(Complement Technology)により、PBS中に(1μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、抗C9抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0101】
C9およびSC5b−9に結合した抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。飽和結合曲線を生成し、飽和に近い単一の濃度を、全ての抗体についてプロットし、比較した。
【0102】
図10に示すように、抗C9抗体は、基板に結合したC9を認識するが、SC5b−9を認識しない。したがって、抗C9抗体は、SC5b−9により引き起こされる組織損傷を検出し得ない。
【0103】
実施例11:新規な抗重合体C9抗体は、重合体のC9およびSC5b−9に結合する
新規な抗重合体C9抗体は、基板に結合したC9を、1.12nMの親和性で認識する。基板に結合したC9は、重合体のC9と同様の特性を示し得る。重合体のC9を人工的に作り出しているため、C9は、単量体を含む重合体として存在する場合がある。前記基板に結合したC9は、重合体のC9と共通点があり得る。重合体のC9は、活性化により生じる新規なエピトープを含む。前記新規な抗重合体C9抗体は、重合体のC9および前記SC5b−9複合体における重合体のC9に結合する。前記新規な抗重合体C9抗体は、1.12nMの親和性で、基板に結合した(重合体の)C9に結合する。これと比較して、SC5b−9に対するこの抗体の結合親和性は、585nMである。この抗体には、基板に結合したC5、C6、C7およびC8のタンパク質への結合が見られなかった。
【0104】
ヒトのC9またはSC5b−9(Complement Technology)により、PBS中に(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。ブロッキング液中で種々の濃度にした、新規な抗SC5b−9抗体(Quidel Corporation)の一定分量を、前記ウェルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。
【0105】
基板に被覆したC5b−9およびC9に結合した新規な抗SC5b−9抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。新規な抗SC5b−9抗体は、C9およびSC5b−9の両方に高い親和性で結合した。前記親和性を、Microcal Originを使用して算出した。
【0106】
新規な抗重合体C9抗体は、585pMの親和性でSC5b−9に結合し、1120pMの親和性で重合体のC9に結合する。最大半量の結合に達するための、新規な抗重合体C9抗体の濃度として定義される、これらのデータからの見かけの結合定数は、親和性が高い。
図11にデータを示す。
【0107】
実施例12:正常なヒト血清の存在下で、抗重合体C9抗体は、基板に結合したSC5b−9を検出する
図1〜11の結果は、新規な抗体が、重合体のC9の発生により生じる組織損傷を検出することを説明している。例えば、新規な抗iC3b抗体、新規な抗C3d抗体、新規な抗Bb抗体および新規な抗重合体C9抗体は、補体活性化の種々の工程において、AP活性化を検出する。新規な抗重合体C9抗体は、AP活性化の最終工程を検出する。C5b−9複合体が細胞溶解に重要であるため、重合体のC9が存在することは、組織損傷を示す。in vivoにおいて、新規な抗重合体C9抗体が重合体のC9に特異的に結合するのを確認するために、競合アッセイを行った。このアッセイでは、過剰量の正常なヒト血清を使用して、新規な抗重合体C9抗体への結合について、基板に結合したSC5b−9と競合させた。正常なヒト血清は、新規な抗重合体C9抗体の基板に結合したSC5b−9に対する結合を、生理的な血清濃度の50%の高さまで阻害しなかった。したがって、新規な抗重合体C9抗体は、in vivoにおいて、C5b−9に対して特異的であり、血清に存在する遊離の補体タンパク質には結合しない。血清中に存在するC9量は、通常、60μg/mlである。今回の研究で使用した最も高い濃度の血清は、50%であり、C9は30μg/mlに換算される。nMの条件において、それぞれに希釈して使用した血清中のC9の濃度は、422nM、253nM、126nM、42nM、25nM、12nM、4.2nM、2.5nM、1.3nM、0.42nMおよび0nMである。
【0108】
新規な抗重合体C9抗体は、新規な抗原であるSC5b−9を検出するが、抗単量体C9抗体は、SC5b−9を検出しない。このことは、前記抗重合体C9抗体が、基板に結合したSC5b−9を特異的に検出することを、示唆している。この抗重合体C9抗体は、遊離のC9または単量体のC9を認識しないため、C5b−9により生じる新規なエピトープを特異的な標的とする。抗単量体C9抗体は、遊離のC9にのみに結合し、SC5b−9を認識しない。
【0109】
このモデルにおいて、C5b−9複合体を含む組織を示すSC5b−9により、ELISAのウェルを被覆する。ついで、種々の濃度の正常なヒト血清と、固定濃度の新規な抗重合体C9抗体とにより、この被覆されたプレートをインキュベートする。前記新規な抗体は、SC5b−9に結合するであろう。したがって、前記新規な抗体は、in vivoにおいて、C5b−9に特異的であろう。
【0110】
この実験において、SC5b−9またはC9(Complement Technology)により、PBS中に(0.5μg/50μl/ウェル)として、4℃にて一晩、ポリスチレンマイクロタイタープレートを被覆した。前記タンパク質溶液を吸引した後、1.0%BSA(Sigma−Aldrich)を含むPBSにより、1時間、室温で、ウェルをブロッキングした。タンパク質で被覆していないウェルを同様にブロッキングし、バックグランド対照とした。固定濃度の新規な抗SC5b−9抗体(Quidel Corporation)を、種々の濃度の正常なヒト血清と、ブロッキング液中で混合した。室温で1時間インキュベートした後、前記ウェルをPBSで洗浄した。SC5b−9に結合した新規な抗重合体C9抗体を、1:2000で希釈した、ペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗マウス抗体を添加して検出した。室温で1時間インキュベートした後、前記プレートを洗浄し、100μlのTMB基質(Kirkegaard&Perry Laboratories)を添加した。室温で30分間インキュベートした後、100μlの1Mリン酸を添加して、TMB反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(SPECTRAMAX250、Molecular Devices)で、450nmにおいて前記プレートを読み取った。血清またはそれ以外に存在する遊離のC9は、C5b−9複合体に結合する新規な抗重合体C9抗体の特異的な結合性に、影響を与えなかったであろう。
【0111】
図12に示すように、SC5b−9に対する新規な抗重合体C9抗体の結合は、正常なヒト血清により阻害されなかった。このことは、in vivoにおいて、新規な抗重合体C9抗体を使用して、組織損傷を検出し得ることを、示唆している。
【0112】
実施例13:新規な抗重合体C9抗体は、正常なヒト血清由来の、沈着したC5b−9を検出する
新規な抗重合体抗体が、正常なヒト血清から生じる、沈着したC5b−9に結合するかを判定するために、in vitroアッセイを使用した。このアッセイにおいて、リポ多糖(LPS)で被覆したウェルを、バッファー中に50%、30%、20%、10%、8%、6%、4%および0%とした正常なヒト血清でインキュベートし、代替経路(AP)を活性化させた。LPSは、代替経路を活性化することで知られている。結果として、LPSの表面にC5b−9が生じる。抗C5抗体、抗C6抗体、抗C7抗体、抗C8抗体および抗C9抗体ならびに新規な抗重合体C9抗体を使用して、新たに沈着したC5b−9を検出した。抗C6抗体、抗C7抗体および抗C8抗体は、沈着したC5b−9を検出可能であった。さらに、新規な抗重合体C9抗体は沈着したC5b−9を検出したが、抗単量体C9抗体は沈着したC5b−9を検出しなかった。新規な抗重合体C9抗体が高い親和性でC5b−9に結合したことは、この抗体がin vivoにおいて生じるC5b−9を検出するのに、効果的であろうことを示した。
【0113】
図13に示すように、新規な抗重合体C9抗体は、正常なヒト血清の存在下であっても、特異的にC5b−9を検出した。
【0114】
実施例14:新規な抗重合体C9抗体は、病的な状態のドルーセンにおける、沈着したC5b−9を検出する
IRBの承認のもと、アイ・バンクを通じて、AMD患者から眼球を取得した。パラフィンブロックを調製し、黄斑が表示されるように、切片を切り出した。新規な抗重合体C9抗体を使用して、前記切片を染色した。
図14に示すように、AMD患者由来の組織において、新規な抗重合体C9抗体は、重合体のC9の沈着によるドルーセンを検出した。したがって、正常と分類される個体には、AMDのリスクがある場合がある。
【0115】
本発明は、参照としてその好ましい実施形態を具体的に示し、記載しているが、添付のクレームに含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細において、さまざまに変更し得ることが、当業者により理解されるであろう。先の明細書において引用した、全ての特許、公報および参考文献を、参照としてその全体が本願明細書に取り込まれる。本発明を説明してきたが、以下の対象が特許請求される。