【実施例1】
【0008】
図1のボディ1は合成樹脂を材料とするものであり、水平な底板2と垂直な前板3と垂直な後板4を有している。このボディ1には左側板5および右側板6(
図2参照)が固定されており、ボディ1の左側面は左側板5で覆われ、ボディ1の右側面は右側板6で覆われている。このボディ1内には後仕切板7が固定されている。この後仕切板7は底板2から上へ垂直に突出するものであり、後板4に前から隙間を介して平行に対向配置されている。
【0009】
ボディ1内には、
図1に示すように、合成樹脂製の後プッシャ8が収納されている。この後プッシャ8は後板4および後仕切板7間に配置されたものであり、後板4および後仕切板7によって案内されることに応じて下降位置と下降位置に比べて上の中立位置と中立位置に比べて上の上昇位置間で上下方向へ直線的に移動可能にされている。この後プッシャ8はボディ1内の後弾性部材で下から支えられたものであり、後弾性部材は後プッシャ8に操作力が作用していない状態で後プッシャ8を中立位置に弾性力で静止させる。この後プッシャ8は第1の操作部材に相当し、上方向は第1の方向に相当し、下方向は第2の方向に相当する。
【0010】
後プッシャ8の上端部には、
図1に示すように、操作孔9が形成されている。この操作孔9は後プッシャ8を左右方向に貫通するものであり、上下方向の寸法に比べて前後方向の寸法が大きな横長な長孔状をなしている。この操作孔9内には、
図3に示すように、円柱状の後ロッド10が挿入されている。この後ロッド10は後プッシャ8の右側面および左側面のそれぞれから突出するものであり、操作孔9に沿って前後方向へ移動可能にされている。
【0011】
ボディ1内には、
図1に示すように、前仕切板11が固定されている。この前仕切板11は底板2から上へ垂直に突出するものであり、ボディ1の前板3に後から隙間を介して平行に対向配置されている。このボディ1内には合成樹脂製の前プッシャ12が収納されている。この前プッシャ12は前板3および前仕切板11間に配置されたものであり、前板3および前仕切板11によって案内されることに応じて下降位置と下降位置に比べて上の中立位置と中立位置に比べて上の上昇位置間で上下方向へ直線的に移動可能にされている。この前プッシャ12は前弾性部材で下から支えられたものであり、前弾性部材は前プッシャ12に操作力が作用していない状態で前プッシャ12を中立位置に弾性力で静止させる。この前プッシャ12は第2の操作部材に相当する。
【0012】
前プッシャ12の上端部には、
図3に示すように、操作孔13が形成されている。この操作孔13は前プッシャ12を左右方向に貫通する横長な長孔状をなすものであり、操作孔13内には円柱状の前ロッド14が挿入されている。この前ロッド14は前プッシャ12の右側面および左側面のそれぞれから突出するものであり、操作孔13に沿って前後方向へ移動可能にされている。
【0013】
後ロッド10の右端部および前ロッド14の右端部には、
図1に示すように、右プレート15が挿入され、後ロッド10の左端部および前ロッド14の左端部には左プレート16が挿入されている。これら右プレート15および左プレート16のそれぞれは後ロッド10および前ロッド14相互間を連結するものであり、後ロッド10および前ロッド14のそれぞれは右プレート15および左プレート16の双方に対して回転可能にされている。これら後ロッド10の右端部と後ロッド10の左端部と前ロッド14の右端部と前ロッド14の左端部にはEリング17が固定されており、右プレート15は後ロッド10の右端部および前ロッド14の右端部からEリング17によって抜止めされ、左プレート16は後ロッド10の左端部および前ロッド14の左端部からEリング17によって抜止めされている。
【0014】
ボディ1内には、
図1に示すように、合成樹脂製の中プッシャ18が収納されている。この中プッシャ18は後プッシャ8および前プッシャ12間に配置されたものであり、中立姿勢と前傾姿勢と後傾姿勢間で揺動可能にされている。後傾姿勢は下から上に向けて後へ傾斜する姿勢であり、前傾姿勢は下から上に向けて前へ傾斜する姿勢であり、中立姿勢は下から上に向けて後および前のいずれにも傾斜しない垂直な姿勢である。この中プッシャ18の後端部はボディ1内の中後弾性部材で下から支えられ、中プッシャ18の前端部はボディ1内の中前弾性部材で下から支えられており、中後弾性部材および中前弾性部材は中プッシャ18に操作力が作用していない状態で中プッシャ18を中立姿勢に弾性力で静止させる。
【0015】
中プッシャ18には、
図3に示すように、後傾斜面19および前傾斜面20が形成されている。後傾斜面19は下から上に向けて後へ傾斜するものであり、前傾斜面20は下から上に向けて前へ傾斜するものであり、後傾斜面19および前傾斜面20間は互いに交差している。これら後傾斜面19および前傾斜面20間の交差部分には中ロッド21が挿入されている。この中ロッド21は中プッシャ18の右側面および左側面のそれぞれから突出するものであり、
図1に示すように、中ロッド21の右端部は右プレート15に挿入され、中ロッド21の左端部は左プレート16に挿入されている。この中ロッド21は右プレート15および左プレート16のそれぞれに対して回転可能にされたものであり、中ロッド21の右端部および左端部には抜止め用のEリング17が固定されている。
【0016】
右プレート15の上端部および左プレート16の上端部には、
図1に示すように、ノブ22が固定されている。このノブ22は右プレート15および左プレート16間を連結するものであり、上から見て前後方向の寸法が左右方向の寸法に比べて大きな縦長な形状に設定されている。このノブ22は自動車の運転者が手指で操作するものであり、ノブ部材に相当する。このノブ22の後端部は後ロッド10を介して後プッシャ8に連結され、ノブ22の前端部は前ロッド14を介して前プッシャ12に連結され、ノブ22の前後方向の中央部は中ロッド21を介して中プッシャ18に連結されており、ノブ22に操作力が作用していない状態ではノブ22が後プッシャ8と前プッシャ12と中プッシャ18を介して中立状態に静止する。
図2はノブ22を中立状態で示すものであり、ノブ22は中立状態から後下降状態と後上昇状態と前下降状態と前上昇状態と前進状態と後退状態の6つの状態に操作可能にされている。
【0017】
ノブ22の後下降状態はノブ22の後端部が中立状態に比べて下降した状態であり、ノブ22の中立状態で運転者がノブ22の後端部を下へ手指で押込み操作した場合(
図2の矢印RD参照)には後プッシャ8が後ロッド10によって同方向へ押されることに応じて中立位置から下降位置に後弾性部材の弾性力に抗して移動し、ノブ22が中立状態から後下降状態となる。このノブ22の後下降状態で運転者がノブ22から手指を離した場合には後ロッド10が後プッシャ8と共に後弾性部材の復帰力で下降位置から中立位置に押上げられることに応じてノブ22が後下降状態から中立状態に復帰する。
【0018】
ノブ22の前下降状態はノブ22の前端部が中立状態に比べて下降した状態であり、ノブ22の中立状態で運転者がノブ22の前端部を下へ手指で押込み操作した場合(
図2の矢印FD参照)には前プッシャ12が前ロッド14によって同方向へ押されることに応じて中立位置から下降位置に前弾性部材の弾性力に抗して移動し、ノブ22が中立状態から前下降状態となる。このノブ22の前下降状態で運転者がノブ22から手指を離した場合には前ロッド14が前プッシャ12と共に前弾性部材の復帰力で下降位置から中立位置に押上げられることに応じてノブ22が前下降状態から中立状態に復帰する。
【0019】
ノブ22の後上昇状態はノブ22の後端部が中立状態に比べて上昇した状態であり、ノブ22の中立状態で運転者がノブ22の後端部を上へ手指で持上げ操作した場合(
図2の矢印RU参照)には後プッシャ8が後ロッド10によって同方向へ持上げられることに応じて中立位置から上昇位置に移動し、ノブ22が中立状態から後上昇状態となる。このノブ22の後上昇状態で運転者がノブ22から手指を離した場合には後ロッド10が後プッシャ8と共に上昇位置から中立位置に下降することに応じてノブ22が後上昇状態から中立状態に復帰する。
【0020】
ノブ22の前上昇状態はノブ22の前端部が中立状態に比べて上昇した状態であり、ノブ22の中立状態で運転者がノブ22の前端部を上へ手指で持上げ操作した場合(
図2の矢印FU参照)には前プッシャ12が前ロッド14によって同方向へ持上げられることに応じて中立位置から上昇位置に移動し、ノブ22が中立状態から前上昇状態となる。このノブ22の前上昇状態で運転者がノブ22から手指を離した場合には前ロッド14が前プッシャ12と共に上昇位置から中立位置に下降することに応じてノブ22が前上昇状態から中立状態に復帰する。
【0021】
ノブ22の前進状態はノブ22が中立状態に比べて前へ水平に移動した状態であり、ノブ22の中立状態で運転者がノブ22を前へ手指でスライド操作した場合(
図2の矢印F参照)には中プッシャ18の前傾斜面20が中ロッド21によって前へ押されることに応じて中プッシャ18が中前弾性部材の弾性力に抗して中立姿勢から前傾姿勢となり、ノブ22が中立状態から前進状態となる。このノブ22の前進状態で運転者がノブ22から手指を離した場合には中プッシャ18が中前弾性部材の復元力で前傾姿勢から中立姿勢に復帰し、中プッシャ18の前傾斜面20が中ロッド21を後へ押すことに応じてノブ22が前進状態から中立状態に復帰する。
【0022】
ノブ22の後退状態はノブ22が中立状態に比べて後へ水平に移動した状態であり、ノブ22の中立状態で運転者がノブ22を手指で後へスライド操作した場合(
図2の矢印R参照)には中プッシャ18の後傾斜面19が中ロッド21によって後へ押されることに応じて中プッシャ18が中後弾性部材の弾性力に抗して中立姿勢から後傾姿勢となり、ノブ22が中立状態から後退状態となる。このノブ22の後退状態で運転者がノブ22から手指を離した場合には中プッシャ18が中後弾性部材の復元力で後傾姿勢から中立姿勢に復帰し、中プッシャ18の後傾斜面19が中ロッド21を前へ押すことに応じてノブ22が後退状態から中立状態に復帰する。
【0023】
ボディ1内にはスイッチ基板が固定されており、スイッチ基板には後下降用スイッチと後上昇用スイッチと前下降用スイッチと前上昇用スイッチと前進用スイッチと後退用スイッチの6つが搭載されている。これら後下降用スイッチ〜後退用スイッチのそれぞれはオフ状態およびオン状態間で電気的な状態が切換えられるラバーコンタクトスイッチからなるものであり、パワーシートの位置または姿勢は後下降用スイッチ〜後退用スイッチのいずれがオン状態とされているかに応じて電動で調節される。
【0024】
後下降用スイッチは後プッシャ8の中立位置および上昇位置でオフ状態となるものであり、後プッシャ8は下降位置に操作された場合に後下降用スイッチを直接的に操作することでオフ状態からオン状態に切換える。後上昇用スイッチは後プッシャ8の中立位置および下降位置でオフ状態となるものであり、後プッシャ8は上昇位置に操作された場合に操作部材を介して間接的に後上昇用スイッチを操作することでオフ状態からオン状態に切換える。これら後下降用スイッチおよび後上昇用スイッチのそれぞれはスイッチに相当するものであり、後下降用スイッチはノブ22が中立状態から後下降状態に操作されることに応じてオン状態とされ、後上昇用スイッチはノブ22が中立状態から後上昇状態に操作されることに応じてオン状態とされる。
【0025】
前下降用スイッチは前プッシャ12の中立位置および上昇位置でオフ状態となるものであり、前プッシャ12は下降位置に操作された場合に前下降用スイッチを直接的に操作することでオフ状態からオン状態に切換える。前上昇用スイッチは前プッシャ12の中立位置および下降位置でオフ状態となるものであり、前プッシャ12は上昇位置に操作された場合に操作部材を介して間接的に前上昇用スイッチを操作することでオフ状態からオン状態に切換える。これら前下降用スイッチおよび前上昇用スイッチのそれぞれはスイッチに相当するものであり、前下降用スイッチはノブ22が中立状態から前下降状態に操作されることに応じてオン状態とされ、前上昇用スイッチはノブ22が中立状態から前上昇状態に操作されることに応じてオン状態とされる。
【0026】
前進用スイッチは中プッシャ18の中立姿勢および後傾姿勢でオフ状態となるものであり、中プッシャ18は前傾姿勢に操作された場合に前進用スイッチを直接的に操作することでオフ状態からオン状態に切換える。後退用スイッチは中プッシャ18の中立姿勢および前傾姿勢でオフ状態となるものであり、中プッシャ18は後傾姿勢に操作された場合に後退用スイッチを直接的に操作することでオフ状態からオン状態に切換える。即ち、前進用スイッチはノブ22が中立状態から前進状態に操作されることに応じてオン状態とされ、後退用スイッチはノブ22が中立状態から後退状態に操作されることに応じてオン状態とされる。
【0027】
後プッシャ8には、
図1に示すように、後ホルダ23が一体成形されている。この後ホルダ23は後プッシャ8の右側面から突出するものであり、係止部材に相当する。この後ホルダ23には被係止部材に相当する後ストッパ24が固定されている。この後ストッパ24は後ホルダ23から前へ突出する金属板からなるものであり、後ホルダ23にインサート成形されることで固定されている。この後ホルダ23には、
図3に示すように、後係止溝25が形成されている。この後係止溝25は前面が開口するものであり、下面と上面と後面と左側面と右側面を有している。
【0028】
前プッシャ12には、
図1に示すように、前ホルダ26が一体成形されている。この前ホルダ26は前プッシャ12の右側面から突出するものであり、係止部材に相当する。この前ホルダ26には、
図3に示すように、被係止部材に相当する前ストッパ27が固定されている。この前ストッパ27は前ホルダ26から後へ延びる金属板からなるものであり、前ホルダ26にインサート成形されることで固定されている。この前ホルダ26には前係止溝28が形成されている。この前係止溝28は後面が開口するものであり、下面と上面と前面と左側面と右側面を有している。
【0029】
後ホルダ23の後ストッパ24は、
図4の(a)に示すように、前端部が前ホルダ26の前係止溝28内に上下方向へ移動可能に挿入されている。この後ストッパ24の前端部は後プッシャ8および前プッシャ12のそれぞれが中立位置に静止したノブ22の中立状態で前係止溝28の上面に対して離間するものであり、運転者がノブ22を中立状態から前下降状態に操作した場合には、
図4の(b)に示すように、前ホルダ26が下降することに応じて前ホルダ26のうち前係止溝28の上面が後ストッパ24に上から接触することで後ストッパ24を上から係止する。この前ホルダ26が後ストッパ24に上から接触した状態では前ホルダ26が後ストッパ24の上昇を規制する。従って、運転者がノブ22を中立状態から前下降状態に操作することに応じてノブ22の後端部が持上げられることが防止されるので、使用者の操作内容とは異なる後上昇用スイッチが後プッシャ8によって誤操作されることが防止される。
【0030】
後ストッパ24の前端部は、
図4の(a)に示すように、ノブ22の中立状態で前係止溝28の下面に対して離間するものであり、運転者がノブ22を中立状態から前上昇状態に操作した場合には、
図4の(c)に示すように、前ホルダ26が上昇することに応じて前ホルダ26のうち前係止溝28の下面が後ストッパ24に下から接触することで後ストッパ24を下から係止する。この前ホルダ26が後ストッパ24に下から接触した状態では前ホルダ26が後ストッパ24の下降を規制する。従って、運転者がノブ22を中立状態から前上昇状態に操作することに応じてノブ22の後端部が押込まれることが防止されるので、使用者の操作内容とは異なる後下降用スイッチが後プッシャ8によって誤操作されることが防止される。
【0031】
前ホルダ26の前ストッパ27は、
図5の(a)に示すように、後端部が後ホルダ23の後係止溝25内に上下方向へ移動可能に挿入されている。この前ストッパ27の後端部はノブ22の中立状態で後係止溝25の上面に対して離間するものであり、運転者がノブ22を中立状態から後下降状態に操作した場合には、
図5の(b)に示すように、後ホルダ23が下降することに応じて後ホルダ23のうち後係止溝25の上面が前ストッパ27に上から接触することで前ストッパ27を上から係止する。この後ホルダ23が前ストッパ27に上から接触した状態では後ホルダ23が前ストッパ27の上昇を規制する。従って、運転者がノブ22を中立状態から後下降状態に操作することに応じてノブ22の前端部が持上げられることが防止されるので、使用者の操作内容とは異なる前上昇用スイッチが前プッシャ12によって誤操作されることが防止される。
【0032】
前ストッパ27の後端部は、
図5の(a)に示すように、ノブ22の中立状態で後係止溝25の下面に対して離間するものであり、運転者がノブ22を中立状態から後上昇状態に操作した場合には、
図5の(c)に示すように、後ホルダ23が上昇することに応じて後ホルダ23のうち後係止溝25の下面が前ストッパ27に下から接触することで前ストッパ27を下から係止する。この後ホルダ23が前ストッパ27に下から接触した状態では後ホルダ23が前ストッパ27の下降を規制する。従って、運転者がノブ22を中立状態から後上昇状態に操作することに応じてノブ22の前端部が押込まれることが防止されるので、使用者の操作内容とは異なる前下降用スイッチが前プッシャ12によって誤操作されることが防止される。