【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発表した展示会:2014 国際医用画像総合展 開催日(展示日):平成26年4月11日、4月12日、4月13日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
DICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)規格によれば、従来から、(0018,1405)Relative X−Ray Exposureおよび(0018,6000)Sensitivityの2つのタグが“Exposure Index”と呼ばれ、これが撮影線量指標として用いられてきた。
【0003】
しかし、これら2つのタグを用いる従来の“Exposure Index”については、「タグ番号」が定義されただけで、実際にどのような「指標」を用いるかはモダリティメーカー任せだったため、各モダリティメーカーは、S値,REX値,IgM値など独自の指標を2つのタグに格納して、これを線量管理指標としていた。この結果、臨床現場では様々な指標が入り乱れ、現場が混乱していた。
【0004】
そこで、2006年にIEC(国際電気標準会議)で標準化活動が始まり、2008年のCorrectionPackage1024で(0018,1411)Exposure Index(以下では、「EI」と呼ぶ)、(0018,1412)Target Exposure Index(以下では、「EI
T」と呼ぶ)、(0018,1413)Deviation Index(以下では、「DI」と呼ぶ)の3つのタグが新たに定義された。
【0005】
2011年にはDICOM規格書Part6:Data Dictionaryにおいて正式に定義され、今後はS値やREX値ではなく、DI値を用いて撮影線量管理を行っていくことが決められた。
【0006】
参考までに、EIは数1に従って算出される物理指標であり、EI
Tは撮影部位毎に目指すべきEIの値である。EI
Tを導入することで、EIを撮影線量指標として使うことができる。DIは、EIおよびEI
Tに基づいて数2に従って算出される。
[数1]
EI=100×g(Vcal)
g(Vcal):装置キャリブレーション時に測定する逆校正関数
[数2]
DI=10×log(EI/EI
T)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、EI,EI
TおよびDIについても、「タグ番号」と「指標」の意味は定義されたが、その「運用方法」は未だ定義されていない。具体的には、EI値の算出方法がモダリティメーカー独自であったり、EI
Tの決定方法が未定であったり、RIS(Radiology Information System)のマスターに検査目的などの項目が無かったりなどの問題点がある。このため、新しいExposure Indexを用いてX線撮影装置の放射線量を管理することもまた、難しい状況である。
【0009】
それゆえに、この発明の主たる目的は、X線撮影装置の放射線量をより容易に管理することができる、放射線量管理装置、放射線量管理方法および放射線量管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に従う放射線量管理装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、目標線量指標(EI
T)が設定されたX線撮影装置(40)による撮影時に
患者を透過した放射線の線量を各々が表す複数の線量指標(EI)を取得する第1取得手段(S15, S35)、第1取得手段によって取得された複数の線量指標の各々の目標線量指標に対する偏差を表す偏差指標(DI)を取得する第2取得手段(S19, S35)、第1取得手段によって取得された複数の線量指標の各々と第2取得手段によって取得された偏差指標との関係を表す第1グラフを表示する第1表示手段(S39, S41)、
第1取得手段によって取得された複数の線量指標の度数分布を示す第2グラフを第1表示手段によって表示された第1グラフと並列して表示する第2表示手段(S37, S41)、および目標線量指標を更新する指標更新操作を第1表示手段の処理に関連して受け付ける第1受け付け手段(S49)を備える。
【0011】
好ましくは、第2取得手段によって取得された偏差指標を指標更新操作に応答して更新する第1更新手段(S53, S55)がさらに備えられ、第1表示手段は第1更新手段によって更新された偏差指標を参照して第1グラフを更新するグラフ更新手段(S39)を含む。
【0012】
好ましくは、指標更新操作は第1表示手段によって表示された第1グラフ上で所望の線量指標値を指定する操作に相当する。
【0013】
好ましくは、目標線量指標を確定する確定操作を受け付ける第2受け付け手段(S71)、および確定操作に応答してX線撮影装置の設定を更新する第2更新手段(S77)がさらに備えられる。
【0015】
好ましくは、第1表示手段によって表示された第1グラフ上の複数の座標のいずれか1つを選択する座標選択操作を受け付ける第3受け付け手段(S57)、第1取得手段によって取得された複数の線量指標にそれぞれ対応する複数のX線画像のうち座標選択操作によって選択された座標に関連するX線画像を第1表示手段によって表示された第1グラフと並列して表示する第3表示手段(S59, S61)、および座標選択操作によって選択された座標を強調表示する強調表示手段(S63)がさらに備えられる。
【0016】
好ましくは、X線撮影装置によって作成されたX線画像を既定の規則に従って複数のグループのいずれか1つに分類する分類手段(S13)、および複数のグループのいずれか1つを選択するグループ選択操作を第1取得手段の処理に関連して受け付ける第4受け付け手段(S33)がさらに備えられ、目標線量指標は複数のグループにそれぞれ対応する複数の値を示し、第1取得手段はグループ選択操作によって選択されたグループに属する線量指標を取得する。
【0017】
この発明に従う放射線量管理方法は、目標線量指標(EI
T)が設定されたX線撮影装置(40)の放射線量を管理する放射線量管理装置(10)によって実行される放射線量管理方法であって、X線撮影装置による撮影時に
患者を透過した放射線の線量を各々が表す複数の線量指標(EI)を取得する第1取得ステップ(S15, S35)、第1取得ステップによって取得された複数の線量指標の各々の目標線量指標に対する偏差を表す偏差指標(DI)を取得する第2取得ステップ(S19, S35)、第1取得ステップによって取得された複数の線量指標の各々と第2取得ステップによって取得された偏差指標との関係を表す第1グラフを表示する
第1表示ステップ(S39, S41)、
第1取得ステップによって取得された複数の線量指標の度数分布を示す第2グラフを第1表示ステップによって表示された第1グラフと並列して表示する第2表示ステップ(S37, S41)、および目標線量指標を更新する指標更新操作を
第1表示ステップの処理に関連して受け付ける受け付けステップ(S49)を備える。
【0018】
この発明に従う放射線量管理プログラムは、目標線量指標(EI
T)が設定されたX線撮影装置(40)の放射線量を管理する放射線量管理装置(10)のプロセッサ(14)に、X線撮影装置による撮影時に
患者を透過した放射線の線量を各々が表す複数の線量指標(EI)を取得する第1取得ステップ(S15, S35)、第1取得ステップによって取得された複数の線量指標の各々の目標線量指標に対する偏差を表す偏差指標(DI)を取得する第2取得ステップ(S19, S35)、第1取得ステップによって取得された複数の線量指標の各々と第2取得ステップによって取得された偏差指標との関係を表す第1グラフを表示する
第1表示ステップ(S39, S41)、
第1取得ステップによって取得された複数の線量指標の度数分布を示す第2グラフを第1表示ステップによって表示された第1グラフと並列して表示する第2表示ステップ(S37, S41)、および目標線量指標を更新する指標更新操作を
第1表示ステップの処理に関連して受け付ける受け付けステップ(S49)を実行させるための、放射線量管理プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、線量指標は目標線量指標が設定されたX線撮影装置による撮影時に
患者を透過した放射線の線量を表し、偏差指標はこのような線量指標の目標線量指標に対する偏差を表す。第1グラフには線量指標と偏差指標との関係が示され、目標線量指標を更新する指標更新操作は第1グラフの表示に関連して受け付けられる。操作者は、線量指標と偏差指標との関係を踏まえて目標線量指標を更新することができる。これによって、目標線量指標を適正値に設定するときの操作性が向上し、ひいてはX線撮影装置の放射線量の管理が容易になる。
【0020】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照して、この実施例のX線画像管理システムは、通信ネットワーク50を介して互いに接続された放射線量管理装置10,RIS30およびX線撮影装置(モダリティ)40によって構成される。放射線量管理装置10において、バスBS1には、通信I/F12,CPU14,キーボード16,マウスポインタ18,ディスプレイ装置20,DRAM22,および主記憶装置24が接続される。主記憶装置24には、レジスタRGSTおよびデータベースDBが設けられる。
【0023】
また、この実施例では、患者(被験者)のX線画像は、年齢,性別および撮影部位によって表1に示すようにグループ分けされる。
【表1】
【0024】
つまり、患者が成人の男性でかつ撮影部位が胸部正面であれば、この患者のX線画像はグループ1に分類される。患者が成人の男性でかつ撮影部位が胸部正面以外であれば、この患者のX線画像はグループ2に分類される。患者が成人の女性でかつ撮影部位が胸部正面であれば、この患者のX線画像はグループ3に分類される。患者が成人の女性でかつ撮影部位が胸部正面以外であれば、この患者のX線画像はグループ4に分類される。
【0025】
患者が未成年の男性でかつ撮影部位が胸部正面であれば、この患者のX線画像はグループ5に分類される。患者が未成年の男性でかつ撮影部位が胸部正面以外であれば、この患者のX線画像はグループ6に分類される。患者が未成年の女性でかつ撮影部位が胸部正面であれば、この患者のX線画像はグループ7に分類される。患者が未成年の女性でかつ撮影部位が胸部正面以外であれば、この患者のX線画像はグループ8に分類される。
【0026】
X線撮影装置40には、この8グループにそれぞれ対応する8つのEI
T値が事前に設定される。X線技師が患者情報(患者名,年齢,性別)および撮影条件情報(撮影部位)をRIS30に入力すると、入力された患者情報および撮影条件情報が通信ネットワーク50を介してX線撮影装置40に転送される。
【0027】
X線撮影装置40は、転送された患者情報および撮影条件情報に適合するグループのEI
T値を特定し、X線撮影のために患者に照射する放射線量の基準値である基準線量値ReitをこのEI
T値に基づいて算出する。算出にあたっては、グループ毎に異なる係数を有する演算式が用いられ、基準線量値ReitはEI
T値から一義的に算出される。X線技師は、患者に照射する放射線量を、こうして算出された基準線量値Reitを中心とする±αの範囲で手動調整する。手動調整によって放射線量が確定すると、確定した放射線量に従うX線撮影がX線撮影装置40によって実行される。
【0028】
患者に照射する放射線量の最大可変範囲はX線撮影装置40の性能に依存し、その上限値および下限値はそれぞれ“Rmax”および“Rmin”を示す(
図2参照)。これに対して、X線技師が手動調整できる範囲“Reit±α”は、最大可変範囲よりも格段に狭い。これによって、X線技師の誤操作に起因して過大な線量の放射線が患者に照射される事態を回避することができる。
【0029】
X線撮影によって得られた患者のX線画像は、患者情報,撮影条件情報およびEI値とともに、
図3に示す要領でDICOMファイルに収められる。ここで、EI値は、患者を透過した放射線の線量を検出する検出器の出力に基づいて算出される。また、患者情報,撮影条件情報およびEI値は、タグの一部としてDICOMファイルに収められる。さらに、各DICOMファイルには、作成順に連続する識別番号が付与される。こうして作成されたDICOMファイルは、X線撮影装置40に設けられた主記憶装置(図示せず)に保存される。
【0030】
放射線量管理装置10に設けられたCPU14は、X線撮影装置40に保存されたDICOMファイルを取得して主記憶装置24に設けられたレジスタRGSTおよびデータベースDBを完成させるべく、
図6〜
図7に示すフロー図に従う登録処理を実行する。なお、このフロー図ならびに後述する
図10〜
図12に示すフロー図(後述)に相当するプログラムは、放射線量管理プログラムとして主記憶装置24に記憶される。
【0031】
まずステップS1で、X線撮影装置40に設定された8つのEI
T値を取得する。具体的には、EI
T転送要求を通信I/F12を通してX線撮影装置40に発行し、これに応答してX線撮影装置40から転送された8つのEI
T値を通信I/F12を通して取得する。取得したEI
T値は、
図4に示すレジスタRGSTに登録される。
【0032】
図4によれば、レジスタRGSTは、上述した8グループにそれぞれ対応する8つのカラムを有する。X線撮影装置40から取得された8つのEI
T値は、この8つのカラムにそれぞれ記述される。
【0033】
続くステップS3では、変数Nを基準値REFに設定する。基準値REFは、前回の登録処理によって最後に取得されたDICOMファイルの識別番号に“1”を加算した値である(ただし、初期値は“1”)。変数Nの設定が完了するとステップS5に進み、X線撮影装置40からN番目のDICOMファイルを取得する。具体的には、変数Nの値が埋め込まれたファイル転送要求を通信I/F12を通してX線撮影装置40に発行し、これに応答してX線撮影装置40から転送されたDICOMファイルを通信I/F12を通して取得する。取得したDICOMファイルは、DRAM22に展開される。
【0034】
ステップS7では、DRAM22上のDICOMファイルからX線画像を抽出し、抽出されたX線画像をデータベースDBに登録する。データベースDBは
図5に示すように構成され、X線画像はN番目のカラムに保存される。ステップS9およびS11では、DRAM22上のDICOMファイルのタグから、患者情報および撮影条件情報をそれぞれ抽出する。抽出された患者情報および撮影条件情報も、データベースDBのN番目のカラムに記述される。
【0035】
ステップS13では、患者情報をなす年齢および性別と撮影条件情報をなす撮影部位とを参照して患者が属するグループを特定し、特定したグループを示す識別番号つまりグループ番号をデータベースDBのN番目のカラムに記述する。たとえば、患者が28歳の女性で撮影部位が胸部正面であれば、グループ番号“3”がN番目のカラムに書き込まれる。
【0036】
ステップS15では、DRAM22上のDICOMファイルのタグからEI値を抽出し、抽出されたEI値をデータベースDBのN番目のカラムに登録する。ステップS17では、ステップS13で特定したグループのEI
T値をレジスタRGSTから検出する。
【0037】
ステップS19では、ステップS15で抽出したEI値とステップS17で検出したEI
T値とを数3に適用してDI値を算出する。数3は上述した数2と同じ数式であり、DI値はEI
T値に対するEI値の偏差を対数表現したものとなる。算出されたDI値は、データベースDBのN番目のカラムに登録される。
[数3]
DI=10×log(EI/EI
T)
【0038】
ステップS21では、変数Nが最大値Nend(Nend:X線撮影装置40に保存された最新のDICOMファイルの識別番号)に達したか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS23で変数NをインクリメントしてからステップS3に戻り、判別結果がYESであればステップS25で“N+1”を基準値REFに設定してから登録処理を終了する。
【0039】
放射線量管理装置10に設けられたCPU14はまた、X線撮影装置40に設定されたEI
T値を放射線科医の操作に従ってグループ毎に更新するべく、
図10〜
図12に示すフロー図に従う設定変更処理を実行する。
【0040】
まずステップS31でグループメニューをディスプレイ装置20の画面SCRに表示する。具体的には、グループメニューを表すグラフィック画像をDRAM22上で作成し、作成されたグラフィック画像の表示をディスプレイ装置20に要求する。ディスプレイ装置20は、要求に従ってDRAM22からグラフィック画像を読み出し、読み出されたグラフィック画像を画面SCRに表示する。こうして表示されたグループメニュー上には、グループ番号の他に、成人/未成年の区別,性別および撮影部位が列挙される。
【0041】
ステップS33では、キーボード16またはマウスポインタ18によって所望のグループが選択されたか否か(グループ選択操作が行われたか否か)を繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS35に進み、グループ選択操作によって選択されたグループつまり対象グループに属する複数のEI値および複数のDI値をデータベースDBから取得する。ステップS37では取得した複数のEI値に基づいてEI度数分布グラフを作成し、ステップS39では取得した複数のEI値および複数のDI値に基づいてEI/DIグラフを作成する。EI度数分布グラフおよびEI/DIグラフのいずれもグラフィック画像で表現され、かつDRAM22上に作成される。
【0042】
ステップS41では、こうして作成されたEI度数分布グラフおよびEI/DIグラフの表示をディスプレイ装置20に要求する。ディスプレイ装置20は、要求に従ってEI度数分布グラフおよびEI/DIグラフをDRAM22から読み出し、読み出されたEI度数分布グラフおよびEI/DIグラフを
図8に示す要領で画面SCRに表示する。
【0043】
図8によれば、EI度数分布グラフは画面SCRの左下に表示され、EI/DIグラフは画面SCRの左上に表示される。EI度数分布グラフおよびEI/DIグラフのいずれもEI値を横軸とし、横軸上の数値の配置はEI度数分布グラフおよびEI/DIグラフの間で一致する。ただし、EI度数分布グラフの縦軸にはEI値が共通するDICOMファイルの数が割り当てられ、EI/DIグラフの縦軸にはDI値が割り当てられる。また、EI度数分布グラフ上では度数分布が曲線によって描かれ、EI/DIグラフ上では互いに関連するEI値およびDI値を示す座標にドットが表示される。
【0044】
EI度数分布グラフを参照することで、X線撮影時に患者を透過した放射線の線量が対象グループに属するDICOMファイル間でどの程度ばらついているかが判明する。また、EI/DIグラフを参照することで、X線撮影時に患者を透過した放射線の線量がEI
T値に対応する線量からどの程度ずれているかが対象グループに属するDICOMファイル毎に判明する。
【0045】
ステップS43では、対象グループのEI
T値をレジスタRGSTから取得する。取得されたEI
T値は、DRAM22に書き込まれる。続くステップS45では、取得されたEI
T値を指向するスライダSLDをディスプレイ装置20の画面SCRに表示する。具体的には、スライダSLDを表すグラフィック画像をDRAM22に描画し、このグラフィック画像の表示をディスプレイ装置20に要求する。ディスプレイ装置20は、要求に従ってグラフィック画像をDRAM22から読み出し、読み出されたグラフィック画像を
図8に示す要領で画面SCRに表示する。
【0046】
図8によれば、スライダSLDは、EI度数分布グラフとEI/DIグラフとの間の位置において横方向にスライド可能な態様で表示される。また、横方向におけるスライダSLDの位置は、ステップS43で取得したEI
T値に合わせられる。
【0047】
ステップS47では、取得したEI
T値の位置で縦方向の延びる補助線L1、および推奨EI
T値(=EI度数分布グラフの頂点に相当するEI値)の位置で縦方向に延びる補助線L2を、ディスプレイ装置20の画面SCRに表示する。具体的には、補助線L1およびL2を表すグラフィック画像をDRAM22に描画し、このグラフィック画像の表示をディスプレイ装置20に要求する。ディスプレイ装置20は、要求に従ってグラフィック画像をDRAM22から読み出し、読み出されたグラフィック画像を
図8に示す要領で画面SCRに表示する。
【0048】
ステップS49では、マウスポインタ18によってスライダSLDを移動させる操作が行われたか否か(スライダ移動操作が行われたか否か)を判別する。また、ステップS57では、マウスポインタ18によってEI/DIグラフ上の所望のドットが指定されたか否か(ドット選択/変更操作が行われたか否か)を判別する。
【0049】
ステップS49の判別結果がYESであればステップS51に進み、レジスタRGSTに記述された対象グループのEI
T値をスライダ移動操作によって指定されたEI
T値によって更新する。ステップS53では、対象グループのカラムをデータベースDBから検出する。ステップS55では、検出されたカラムに記述されたEI値とステップS51で更新されたEI
T値とを上述の数3に適用して、DI値を改めて算出する。算出されたDI値は、参照元のカラムに記述される。この結果、対象グループのカラムに記述されたDI値が更新される。ステップS55の処理が完了すると、ステップS35に戻る。
【0050】
ステップS35の後に実行されるステップS39では、更新後のDI値を参照してEI/DIグラフが作成され、作成されたEI/DIグラフがステップS41の処理によって画面SCRに表示される。この結果、EI/DIグラフ上のドットの位置が移動する。また、その後にステップS43およびS45の処理が実行されることで、スライダSLDの位置が更新後のEI
T値に合わせられる。
【0051】
ステップS57の判別結果がYESであればステップS59に進み、ドット選択/変更操作によって指定されたドットつまり対象ドットに対応するX線画像をデータベースDBから取得する。取得されたX線画像は、DRAM22に展開される。ステップS61では、展開したX線画像の表示をディスプレイ装置20に要求する。ディスプレイ装置20は、要求に従ってX線画像をDRAM22から読み出し、読み出されたX線画像を
図8に示す要領で画面SCRの右下に表示する。
【0052】
ステップS63では、対象ドットを強調して表示する。具体的には、DRAM22に展開されたEI/DIグラフ上の対象ドットの色および/または輝度を変更するとともに、必要に応じて別のドットの強調表示を終了し、こうして変更されたEI/DIグラフの表示をディスプレイ装置20に要求する。この結果、画面SCRに表示されたEI/DIグラフ上の対象ドットが強調される。ステップS63の処理が完了すると、ステップS49に戻る。
【0053】
今回のステップS59の処理が2回目以降の処理である場合、前回のステップS59の処理によってDRAM22に展開されたX線画像は、今回のステップS59の処理によって取得されたX線画像によって上書きされる。この結果、画面SCR上のX線画像もまた、今回のステップS59の処理によって取得されたX線画像によって更新される。さらに、強調表示されるドットも、今回のドット選択/変更操作によって指定されたドットに変更される。ドット変更操作の前後で、強調表示はたとえば
図9に示すように変化する。
【0054】
ステップS49の判別結果およびステップS57の判別結果のいずれもNOであれば、対象グループのEI
T値が更新されたか否かをステップS65で判別し、設定変更を終了する操作がキーボード16によって行われたか否か(終了操作が行われたか否か)をステップS67で判別する。ステップS67の判別結果がYESであれば、そのままステップS31に戻る。
【0055】
ステップS65の判別結果がYESであれば、EI
T値の更新を中断する操作がキーボード16によって行われたか否か(中断操作が行われたか否か)をステップS69で判別し、更新されたEI
T値を確定させる操作がキーボード16によって行われたか否か(確定操作が行われたか否か)をステップS71で判別する。
【0056】
ステップS69の判別結果がYESであればステップS73に進み、レジスタRGSTに記述された対象グループのEI
T値を元に戻す。また、ステップS75では、データベースDBに記述された対象グループのDI値を元に戻す。ステップS75の処理が完了すると、ステップS31に戻る。
【0057】
ステップS71の判別結果がYESであればステップS77に進み、ステップS51で更新されたEI
T値をX線撮影装置40に設定する。具体的には、対象グループのグループ番号およびEI
T値が埋め込まれたEI
T更新要求を通信I/F12を通してX線撮影装置40に発行する。X線撮影装置40は、EI
T更新要求に従って対象グループのEI
T値を更新する。ステップS77の処理が完了すると、ステップS31に戻る。
【0058】
以上の説明から分かるように、X線撮影装置40には、EI
T値が設定される。CPU14は、X線撮影装置による撮影時に患者を透過した放射線の線量を各々が表す複数のEI値を取得するとともに(S15, S35)、取得したEI値のEI
T値に対する偏差を各々が表す複数のDI値を算出する(S19, S35)。CPU14はまた、こうして取得ないし算出した複数のEI値と複数のDI値との関係を表すEI/DIグラフをディスプレイ装置20の画面SCRに表示し(S39, S41)、EI
T値を更新するスライダ移動操作をEI/DIグラフの表示に関連して受け付ける(S49)。
【0059】
EI値はX線撮影装置40による撮影時に患者を透過した放射線の線量を表し、DI値はこのようなEI値のEI
T値に対する偏差を表す。EI/DIグラフにはEI値とDI値との関係が示され、EI
T値を更新するスライダ移動操作はEI/DIグラフの表示に関連して受け付けられる。操作者は、EI値とDI値との関係を踏まえてEI
T値を更新することができる。これによって、EI
T値を適正値に設定するときの操作性が向上し、ひいてはX線撮影装置40の放射線量の管理が容易になる。
【0060】
なお、この実施例では、年齢,性別および撮影部位によって患者のX線画像をグループ分けするようにしている。しかし、患者のX線画像は、X線撮影装置の機種,検査目的,撮影体位,身長,体重なども考慮して、より細かくグループ分けするようにしてもよい。
【0061】
また、この実施例では、放射線管理装置10の主記憶装置24にデータベースDBを設けるようにしているが、データベースDBは、放射線管理装置10とは別のDICOMファイルサーバに設けるようにしてもよい。さらに、この実施例では、EI/DIグラフ上に複数のドットを描くようにしているが、ドットの密度に応じて徐々に変化する色を有する特性曲線を描くようにしてもよい。また、この実施例では、EI
T値に基づいて算出された基準線量Reitを中心とする±αの範囲で、X線技師が放射線量を手動調整できるようにしている。しかし、X線技師による放射線量の手動調整を禁止するようにしてもよい。