(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ウインカー制御部は、前記作業機械が所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定されたときに点灯するようにウインカー制御信号を出力し、前記所定距離以上を走行した後に前記所定曲率半径以上で走行すると判定されたときに消灯するように前記ウインカー制御信号を出力する、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
前記ウインカー制御部は、前記作業機械の目標方位角データに基づいて、所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定されたときに点灯するウインカー制御信号を出力する、
請求項1又は2に記載の作業機械の制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0014】
<作業機械の管理システムの概要>
図1は、本実施形態に係る作業機械4の管理システム1の一例を示す図である。本実施形態においては、作業機械4が鉱山で稼働する鉱山機械4である例について説明する。管理システム1は、鉱山機械4の管理を行う。鉱山機械4の管理は、鉱山機械4の運行管理、鉱山機械4の生産性の評価、鉱山機械4のオペレータの操作技術の評価、鉱山機械4の保全、及び鉱山機械4の異常診断の少なくとも一つを含む。
【0015】
鉱山機械4とは、鉱山における各種作業に用いる機械類の総称である。鉱山機械4は、ボーリング機械、掘削機械、積込機械、運搬機械、破砕機、及び運転者が運転する車両の少なくとも一つを含む。掘削機械は、鉱山を掘削するための鉱山機械である。積込機械は、運搬機械に積荷を積み込むための鉱山機械である。積込機械は、油圧ショベル、電気ショベル、及びホイールローダの少なくとも一つを含む。運搬機械は、積荷を運搬するための鉱山機械である。破砕機は、運搬機械から投入された排土を破砕する鉱山機械である。鉱山機械4は、鉱山において移動可能である。
【0016】
本実施形態において、鉱山機械4は、鉱山を走行可能な運搬機械であるダンプトラック2と、ダンプトラック2とは異なる他の鉱山機械3とを含む。本実施形態においては、管理システム1により、主にダンプトラック2が管理される例について説明する。
【0017】
図1に示すように、ダンプトラック2は、鉱山の作業場PA及び作業場PAに通じる搬送路HLの少なくとも一部を走行する。作業場PAは、積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方を含む。搬送路HLは、交差点ISを含む。ダンプトラック2は、搬送路HL及び作業場PAに設定された目標走行経路に従って走行する。
【0018】
積込場LPAは、ダンプトラック2に積荷を積み込む積込作業が実施されるエリアである。排土場DPAは、ダンプトラック2から積荷が排出される排出作業が実施されるエリアである。
図1に示す例では、排土場DPAの少なくとも一部に破砕機CRが設けられる。
【0019】
本実施形態では、ダンプトラック2は管理装置10からの指令信号に基づいて鉱山を自律走行する無人ダンプトラックであることを前提に説明する。ダンプトラック2の自律走行とは、運転者の操作によらずに管理装置10からの指令信号に基づいて走行することをいう。
【0020】
図1において、管理システム1は、鉱山に設置される管制施設7に配置された管理装置10と、通信システム9とを備える。通信システム9は、データ又は指令信号を中継する中継器6を複数有する。通信システム9は、管理装置10と鉱山機械4との間においてデータ又は指令信号を無線通信する。また、通信システム9は、複数の鉱山機械4の間においてデータ又は指令信号を無線通信する。
【0021】
本実施形態において、ダンプトラック2の位置及び他の鉱山機械3の位置が、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。GNSSとは、全地球航法衛星システムをいう。全地球航法衛星システムの一例として、GPSが挙げられる。GNSSは、複数の測位衛星5を有する。GNSSは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される位置を検出する。GNSSにより検出される位置は、グローバル座標系において規定される絶対位置である。GNSSにより、鉱山におけるダンプトラック2の位置及び他の鉱山機械3の位置が検出される。
【0022】
以下の説明においては、GNSSによって検出される位置を適宜、GPS位置、と称する。GPS位置は、絶対位置であり、緯度、経度、及び高度の座標データを含む。絶対位置は、高精度に推定されたダンプトラック2の推定位置を含む。
【0023】
<管理装置>
次に、管理装置10について説明する。管理装置10は、鉱山機械4にデータ又は指令信号を送信し、鉱山機械4からデータを受信する。
図1に示すように、管理装置10は、コンピュータ11と、表示装置16と、入力装置17と、無線通信装置18とを備える。
【0024】
コンピュータ11は、処理装置12と、記憶装置13と、入出力部15とを備える。表示装置16、入力装置17、及び無線通信装置18は、入出力部15を介してコンピュータ11と接続される。
【0025】
処理装置12は、鉱山機械4の管理するための演算処理を実施する。記憶装置13は、処理装置12と接続され、鉱山機械4を管理するためのデータを記憶する。入力装置17は、鉱山機械4を管理するためのデータを処理装置12に入力するための装置である。処理装置12は、記憶装置13に記憶されているデータ、入力装置17から入力されたデータ、及び通信システム9を介して取得したデータを使って演算処理を実施する。表示装置16は、処理装置12の演算処理結果等を表示する。
【0026】
無線通信装置18は、管制施設7に配置され、アンテナ18Aを有し、入出力部15を介して処理装置12と接続される。通信システム9は、無線通信装置18を含む。無線通信装置18は、鉱山機械4から送信されたデータを受信可能であり、受信されたデータは処理装置12に出力され、記憶装置13に記憶される。無線通信装置18は、鉱山機械4にデータを送信可能である。
【0027】
図2は、搬送路HLを走行するダンプトラック2を示す模式図である。管理装置10の処理装置12は、鉱山を走行するダンプトラック2の走行条件データを生成する走行条件データ生成部として機能する。走行条件データは、一定の間隔Wで設定される複数のコース点PIの集合体を含む。
【0028】
複数のコース点PIのそれぞれは、絶対位置データと、コース点PIが設定された位置におけるダンプトラック2の目標走行速度データとを含む。目標走行経路RPは、複数のコース点PIの集合体であるコースデータCSによって規定される。複数のコース点PIを通過する軌跡によってダンプトラック2の目標走行経路RPが規定される。目標走行速度データに基づいて、そのコース点PIが設定された位置におけるダンプトラック2の目標走行速度が規定される。
【0029】
また、複数のコース点PIのそれぞれは、基準方位に対するダンプトラック2の目標方位角データと、コース点PIが鉱山におけるどの領域に位置しているかを示すコースタイプデータとを含む。基準方位は例えば北である。目標方位角データに基づいて、そのコース点PIが設定された位置におけるダンプトラック2の目標方位角(目標進行方向)が規定される。コースタイプデータは、コース点PIが規定される鉱山のエリアを示すデータである。本実施形態において、コース点PIが規定される鉱山のエリアは、例えば、搬送路HL、交差点IS、及び作業場PAに分類されるようにしてもよい。コースタイプデータに基づいて、そのコース点PIが設定された位置が搬送路HL、交差点IS、及び作業場PAのいずれであるかが判定される。
【0030】
管理装置10は、通信システム9を介して、ダンプトラック2に、複数のコース点PIを含む走行条件データを出力する。ダンプトラック2は、管理装置10から送信された走行条件データに従って走行制御され、鉱山を走行する。
【0031】
<ダンプトラック>
次に、ダンプトラック2について説明する。
図3及び
図4は、本実施形態に係るダンプトラック2の一例を模式的に示す図である。
【0032】
ダンプトラック2は、鉱山を走行可能な走行装置21と、走行装置21に支持される車両本体22と、車両本体22に支持されるベッセル23と、走行装置21を駆動する駆動装置24と、方向指示器37と、制御装置25とを備える。
【0033】
走行装置21は、車輪26と、車輪26を回転可能に支持する車軸27と、走行装置21を制動するブレーキ装置28と、進行方向を調整可能な操舵装置29とを有する。
【0034】
走行装置21は、駆動装置24が発生した駆動力により作動する。駆動装置24は、ダンプトラック2を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置24は、電気駆動方式により走行装置21を駆動する。駆動装置24は、ディーゼルエンジンのような内燃機関と、内燃機関の動力により作動する発電機と、発電機が発生した電力により作動する電動機とを有する。電動機で発生した駆動力が走行装置21の車輪26に伝達される。これにより、走行装置21が駆動される。車両本体22に設けられた駆動装置24の駆動力によって、ダンプトラック2は自走する。駆動装置24の出力が調整されることにより、ダンプトラック2の走行速度が調整される。なお、駆動装置24は、機械駆動方式により走行装置5を駆動してもよい。例えば、内燃機関で発生した動力が、動力伝達装置を介して走行装置21の車輪26に伝達されてもよい。
【0035】
操舵装置29は、走行装置21の進行方向を調整可能である。走行装置21を含むダンプトラック2の進行方向は、車両本体22の前部の向きを含む。操舵装置29は、車輪26の向きを変えることによって、ダンプトラック2の進行方向を調整する。
【0036】
ブレーキ装置28は、ダンプトラック2を減速又は停止させるための制動力を発生する。制御装置25は、駆動装置24を作動するためのアクセル指令信号、ブレーキ装置28を作動するためのブレーキ指令信号、及び操舵装置29を作動するためのステアリング指令信号を出力する。駆動装置24は、制御装置35から出力されたアクセル指令信号に基づいて、ダンプトラック2を加速させるための駆動力を発生する。ブレーキ装置28は、制御装置35から出力されたブレーキ指令信号に基づいて、ダンプトラック2を減速させるための制動力を発生する。操舵装置29は、制御装置25から出力されたステアリング指令信号に基づいて、ダンプトラック2を直進又は旋回させるために車輪26の向きを変えるための力を発生する。
【0037】
方向指示器37は、ダンプトラック2の進行方向を表示する。方向指示器37は、車両本体22の前部及び後部のそれぞれに配置される。方向指示器37は、ウインカーランプを含み、ウインカーランプを点灯(点滅)させることによって、ダンプトラック2の進行方向を周囲に知らせる。方向指示器37は、ダンプトラック2が右折するときに点灯するウインカーランプ37Rと、ダンプトラック2が左折するときに点灯するウインカーランプ37Lとを含む。ウインカーランプ37Rは、車両本体22の右部に配置され、ウインカーランプ37Lは、車両本体22の左部に配置される。
【0038】
以下の説明においては、ウインカーランプ37Rの点灯を適宜、右折点灯、と称し、ウインカーランプ37Lの点灯を適宜、左折点灯、と称する。
【0039】
また、ダンプトラック2は、ダンプトラック2の走行速度を検出する走行速度検出器31と、ダンプトラック2の加速度を検出する加速度検出器32と、ダンプトラック2の位置を検出する位置検出器35と、無線通信装置36とを備える。
【0040】
走行速度検出器31は、ダンプトラック2の走行速度を検出する。走行速度検出器31は、車輪26の回転速度を検出する回転速度センサを含む。車輪26の回転速度とダンプトラック2の走行速度とは相関するため、回転速度センサの検出値である回転速度値が、ダンプトラック2の走行速度値に変換される。なお、走行速度検出器31は、車軸26の回転速度を検出してもよい。
【0041】
加速度検出器32は、ダンプトラック2の加速度を検出する。ダンプトラック2の加速度は、正の加速度及び負の加速度(減速度)を含む。本実施形態においては、車輪26の回転速度を検出する回転速度センサの検出値である回転速度値に基づいて演算処理が実施されることにより、ダンプトラック2の加速度値に変換される。なお、走行速度検出器31と加速度検出器32とは別々の検出器でもよい。
【0042】
位置検出器35は、GPS受信機を含み、ダンプトラック2のGPS位置(座標)を検出する。位置検出器35は、GPS用のアンテナ35Aを有する。アンテナ35Aは、GPS衛星5からの電波を受信する。位置検出器35は、アンテナ35Aで受信したGPS衛星5からの電波に基づく信号を電気信号に変換して、アンテナ35Aの位置を算出する。アンテナ35AのGPS位置が算出されることによって、ダンプトラック2のGPS位置が検出される。
【0043】
通信システム9は、ダンプトラック2に設けられている無線通信装置36を含む。無線通信装置36は、アンテナ36Aを有する。無線通信装置36は、管理装置10と無線通信可能である。
【0044】
管理装置10は、通信システム9を介して、ダンプトラック2の走行条件データを含む指令信号を、制御装置25に送信する。制御装置25は、管理装置10から供給された走行条件データに基づいて、ダンプトラック2が走行条件データ(複数のポイントPIにおける絶対位置データ、目標走行速度、目標方位角を含む)に従って走行するように、ダンプトラック2の駆動装置24、ブレーキ装置28、及び操舵装置29の少なくとも一つを制御する。
【0045】
<制御システム>
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の制御システム20について説明する。
図5は、本実施形態に係る制御システム20の制御ブロック図である。制御システム20は、ダンプトラック2に搭載される。
【0046】
図5に示すように、制御システム20は、無線通信装置36と、走行速度検出器31と、加速度検出器32と、位置検出器35と、制御装置25と、駆動装置24と、ブレーキ装置28と、操舵装置29と、方向指示器37とを備える。
【0047】
制御装置25は、入出力部41と、運転制御部42と、旋回判定部43と、ウインカー制御部44と、記憶部45とを備える。
【0048】
入出力部41は、無線通信装置36から出力された管理装置10からの走行条件データを含む指令データ、走行速度検出器31から出力されたダンプトラック2の走行速度を示す走行速度データ、加速度検出器32から出力されたダンプトラック2の加速度を示す加速度データ、及び位置検出器35から出力されたダンプトラック2の位置を示す位置データを取得する。また、入出力部41は、駆動装置24にアクセル指令信号を出力し、ブレーキ装置28にブレーキ指令信号を出力し、操舵装置29にステアリング指令信号を出力する。
【0049】
運転制御部42は、指定された走行条件データに基づいて、ダンプトラック2の走行装置21を制御する運転制御信号を出力する。走行装置21は、ブレーキ装置28及び操舵装置29を含む。運転制御部42は、駆動装置24、ブレーキ装置28及び操舵装置29を含む走行装置21に運転制御信号を出力する。運転制御信号は、駆動装置24に出力されるアクセル信号、ブレーキ装置28に出力されるブレーキ指令信号、及び操舵装置29に出力されるステアリング指令信号、及び方向指示器37に出力されるウインカー制御信号を含む。
【0050】
旋回判定部43は、指定された走行条件データに基づいて、ダンプトラック2が所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回するか否かを判定する。換言すれば、旋回判定部43は、ダンプトラック2が距離閾値以上の距離を曲率半径閾値以下の曲がり具合で旋回し続けるか否かを判定する。走行条件データは、一定の間隔Wで連続して配置されそれぞれが目標方位角データを含む複数のコース点PIを含む。そのため、旋回判定部43は、取得した走行条件データに基づいて、曲がり具合がきついカーブをどれくらいの距離だけ走行するのかを判定することができる。具体的な判定方法については後述する。
【0051】
また、複数のコース点PIはそれぞれ、そのコース点PIが鉱山の交差点ISに規定されている点か否かを判断できるコースタイプデータを含む。そのため、旋回判定部43は、取得した走行条件データに基づいて、ダンプトラック2が交差点ISを右折又は左折するのか(この場合、方向指示器37を点灯させる)、もしくは交差点ISではなく曲がり具合がきつい走行路HLのカーブを走行するのか(この場合、方向指示器37を点灯させない)を判定することができる。
【0052】
ウインカー制御部44は、旋回判定部43の判定結果に基づいて、ダンプトラック2に設けられている方向指示器37にウインカー制御信号を出力し点灯させる。ウインカー制御部44は、旋回判定部43においてダンプトラック2が交差点ISを所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定されたときに方向指示器37を点灯し、所定距離以上を走行した後に右折又は左折が終わりかけている時点において所定曲率半径以上で走行すると判定されたときに方向指示器37を消灯するようにウインカー制御信号を出力する。
【0053】
本実施形態において、ウインカー制御部44は、旋回判定部43においてダンプトラック2が交差点ISを右折すると判定されたときにウインカーランプ37Rを右折点灯させ、ダンプトラック2が交差点ISを左折すると判定されたときにウインカーランプ37Lを左折点灯させる。
【0054】
記憶部45は、無線通信装置36から取得したダンプトラック2の走行条件に係るデータ及び後述する方向指示器37の制御に係るデータを記憶する。
【0055】
<走行制御及び方向指示器制御>
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の走行制御及び方向指示器制御の一例について説明する。
図6は、ダンプトラック2についての走行制御及び方向指示器制御を説明するための模式図である。
【0056】
本実施形態においては、搬送路HLを走行するダンプトラック2が交差点ISにさしかかり、その交差点ISを右折又は左折するときに、方向指示器37が点灯される。
図6に示すように、ダンプトラック6は、一定の間隔Wで設定された複数のコース点を含む走行条件データに従って鉱山を走行する。上述のように、複数のコース点は、それらコース点が交差点ISに規定されているか否かを示すコースタイプデータを含む。
図6に示す例においては、コース点P1,P2,P3,Q7,Q8が、交差点ISを含む交差点エリアISAの外側の搬送路HLに位置し、コース点P3とコース点Q7との間の複数のコース点が交差点エリアISAに位置している。コース点P1,P2,P3,Q7,Q8のそれぞれには、交差点ISではなく搬送路HLに規定されていることを示すコースタイプデータが含まれている。コース点P3とコース点Q7との間の複数のコース点には、交差点エリアISAに規定されていることを示すコースタイプデータが含まれている。
【0057】
本実施形態においては、ダンプトラック2の進行方向前方に一定の間隔Wで連続して配置された所定数のコース点に基づいて、ダンプトラック2が交差点ISを右折又は左折するのかを判断する。本実施形態において、どの程度先までのコース点についてこの判断をするかは、適宜設定してよい。
図6では、説明を簡略化するため、ダンプトラック2の進行方向前方に一定の間隔Wで連続して8つのコース点P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8が設定されている例を示す。
【0058】
旋回判定部43は、所定の時点(例えば現時点)における、基準コース点Pと、基準コース点Pよりも所定距離だけ進行方向前方の参照コース点Qとの目標方位角の差を示す方位角差を算出する。本実施形態において、基準コース点Pと参照コース点Qとは3点、すなわち距離にして3W離れているが、参照コース点を基準コース点に対してどの程度離すかは適宜設定してよい。
【0059】
また、旋回判定部43は、ある時点において、複数の基準コース点Pのそれぞれについて方位角差を算出する。
図6に示す例では、走行中のダンプトラック2が図示する位置にいる時点において、基準コース点P1と参照コース点Q1との方位角差Δ1が算出されるとともに、基準コース点P2と参照コース点Q2との方位角差Δ2が算出され、基準コース点P3と参照コース点Q3との方位角差Δ3が算出され、基準コース点P4と参照コース点Q4との方位角差Δ4が算出され、基準コース点P5と参照コース点Q5との方位角差Δ5が算出され、基準コース点P6と参照コース点Q6との方位角差Δ6が算出され、基準コース点P7と参照コース点Q7との方位角差Δ7が算出され、基準コース点P8と参照コース点Q8との方位角差Δ8が算出される。旋回判定部43は、複数の基準コース点Pと、それら複数の基準コース点Pと対応する複数の参照コース点Qとの組み合わせのそれぞれについて、各基準コース点における方位角差Δを算出する。本実施形態において、どの程度先までの基準コース点と参照コース点に基づいて方位角差を算出するかは、適宜設定してよい。
【0060】
ここで、基準コース点Pと参照コース点Qとの距離、及び基準コース点Pと参照コース点Qとの方位角差の関係に基づいて、その指定された走行条件データの曲率半径が求められる。すなわち、指定された走行条件データの曲率半径が所定値以下であるかを判断するためには、予め決められている基準コース点Pと参照コース点Qとの距離(例えば3W)を前提として、基準コース点Pと参照コース点Qとの方位角差が所定角度(例えば2度)以上であるかを判断すればよいことになる。
【0061】
また、所定距離以上旋回し続けることの判定方法の一例としては、上記のように基準コース点Pと参照コース点Qとの方位角差Δに基づいて所定曲率半径以下で旋回することを判定した際にカウントを1つインクリメントしていき、カウント値が所定値に達した時点で判定するようにしてもよい。具体的には、基準コース点P1と参照コース点Q1との方位角差Δ1に基づいて所定曲率半径以下で旋回することを判定した際にカウントをゼロから1にインクリメントし、次に基準コース点P2と参照コース点Q2との方位角差Δ2に基づいて所定曲率半径以下で旋回することを判定した際にカウント値を1から2にインクリメントするといった計算を継続的に行う。
【0062】
旋回判定部43は、参照コース点Qのコースタイプデータが交差点ISである(交差点エリアISAに存在)ことを示し且つ方位角差Δが角度閾値Δsh以上である基準コース点Pと参照コース点Qとの組み合わせがあるとカウンタを1つインクリメントしていき、カウンタ値がカウント閾値SH以上連続して存在すると判定したとき、ダンプトラック2が交差点ISにおいて所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定する。この場合、所定距離は走行条件データの間隔Wにカウント閾値SHを乗じた距離に相当する。旋回判定部43において上記判定がなされると、ウインカー制御部44は、方向指示器37を点灯する。本実施形態において、角度閾値Δsh及びカウント閾値SHは、適宜の数値を設定してよい。
【0063】
また、ウインカー制御部44は、ダンプトラック2が所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定されたときに方向指示器37を点灯し、所定距離以上を走行した後に右折又は左折が終わりかけている時点において所定曲率半径以上で走行すると判定されたときに方向指示器37を消灯するようにウインカー制御信号を出力する。
【0064】
<管理方法>
次に、本実施形態に係るダンプトラック2の管理方法について説明する。
図7は、本実施形態に係る管理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0065】
現時点において、基準コース点Pと参照コース点Qとが設定される(ステップSP1)。旋回判定部43は、基準コース点Pがダンプトラック2から予め設定された所定の距離より遠いか否か、もしくは参照コース点Qが終点に達したか否かを判定する(ステップSP2)。ステップSP2では、ダンプトラック2からどの程度先までの基準コース点Pについてこのフローを継続するかは適宜設定してよく、基準コース点Pが所定距離よりも遠い位置に達した場合(ステップSP2:Yes)、方向指示器37は点灯されずに消灯される(ステップSP12)。また、ステップSP2における参照コース点Qの終点とは、制御装置25が無線通信装置36を介して管理装置10の処理装置12からすでに取得しているコースデータの終点のことであり、ステップSP1において基準コース点P及び参照コース点Qを1つずつ進めていったときに、ステップSP2において、参照コース点Qがすでに取得しているコースデータの終点に達した場合(ステップSP2:Yes)、方向指示器37は点灯されずに消灯される(ステップSP12)。
【0066】
ステップSP2において、基準コース点Pがダンプトラック2から予め設定された所定距離より遠くないと判定された場合、及び参照コース点Qが終点でないと判定された場合(ステップSP2:No)、旋回判定部43は、参照コース点Qのコースタイプデータが交差点ISであり、且つ、その参照コース点Qと基準コース点Pとの方位角差が角度閾値+Δsh以上か否かを判定する(ステップSP3)。
【0067】
ステップSP3において、参照コース点Qのコースタイプデータが交差点ISであり、且つ、その参照コース点Qと基準コース点Pとの方位角差が角度閾値+Δsh以上であると判定された場合(ステップSP3:Yes)、旋回判定部43は、左折カウンタを1つ加算し(インクリメントし)、右折カウンタをリセットしてゼロにする(ステップSP4)。
【0068】
旋回判定部43は、左折カウンタがカウント閾値SH以上であるか否かを判定する(ステップSP5)。
【0069】
ステップSP5において、左折カウンタがカウント閾値SH以上でないと判定された場合(ステップSP5:No)、旋回判定部43は、ステップSP1に戻り、基準コース点P及び参照コース点Qを1つずつ進め、上述の処理を実施する。
【0070】
ステップSP5において、左折カウンタがカウント閾値SH以上であると判定された場合(ステップSP5:Yes)、旋回判定部43は、ダンプトラック2が交差点ISを左折すると判定する。ウインカー制御部44は、ウインカーランプ37Lを左折点灯する(ステップSP10)。
【0071】
ステップSP3において、参照コース点Qのコースタイプデータが交差点ISでないと判定された場合、又は、その参照コース点Qと基準コース点Pとの方位角差が角度閾値+Δsh以上でないと判定された場合(ステップSP3:No)、旋回判定部43は、参照コース点Qのコースタイプデータが交差点ISであり、且つ、その参照コース点Qと基準コース点Pとの方位角差が角度閾値−Δsh以下か否かを判定する(ステップSP6)。
【0072】
ステップSP6において、参照コース点Qのコースタイプデータが交差点ISであり、且つ、その参照コース点Qと基準コース点Pとの方位角差が角度閾値−Δsh以下であると判定された場合(ステップSP6:Yes)、旋回判定部43は、右折カウンタを1つ加算し(インクリメントし)、左折カウンタをリセットしてゼロにする(ステップSP7)。
【0073】
旋回判定部43は、右折カウンタがカウント閾値SH以上であるか否かを判定する(ステップSP8)。
【0074】
ステップSP8において、右折カウンタがカウント閾値SH以上でないと判定された場合(ステップSP8:No)、旋回判定部43は、ステップSP1に戻り、基準コース点P及び参照コース点Qを1つずつ進め、上述の処理を実施する。
【0075】
ステップSP8において、右折カウンタがカウント閾値SH以上であると判定された場合(ステップSP8:Yes)、旋回判定部43は、ダンプトラック2が交差点ISを右折すると判定する。ウインカー制御部44は、ウインカーランプ37Rを右折点灯する(ステップSP11)。
【0076】
ステップSP6において、参照コース点Qのコースタイプデータが交差点ISでないと判定された場合、又は、その参照コース点Qと基準コース点Pとの方位角差が角度閾値−Δsh以下でないと判定された場合(ステップSP6:No)、旋回判定部43は、右折カウンタをリセットしてゼロにし、左折カウンタをリセットしてゼロにする(ステップSP9)。その後、旋回判定部43は、ステップSP1に戻る。
【0077】
上述のフローは、ダンプトラック2が走行している間、所定間隔おきに実施される。そのため、ダンプトラック2が右折又は左折をすると判断され方向指示器37が点灯している状態で、所定の距離を走行した後に、右折又は左折が終わりかけている時点において上記フローを実施した場合、ダンプトラック2は右折又は左折の最中ではあるが、右折カウンタ又は左折カウンタの値がカウント閾値SH以上に達する前に目標走行経路RPの曲率半径が大きくなり(カーブが緩やかになり)、基準コース点Pと参照コース点Qとの方位角差が角度閾値を超えなくなると右折カウンタ又は左折カウンタがリセットされ、最終的にはステップSP2により方向指示器37が消灯される。
【0078】
<作用及び効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、指定された走行条件データに基づいてダンプトラック2が鉱山を走行する場合、走行条件データに基づいてダンプトラック2が所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回するか否かが判定され、所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定された場合、ダンプトラック2に設けられている方向指示器37が点灯する。これにより、ダンプトラック2の周囲の有人車両の運転者又は鉱山で作業をしている作業者は、ダンプトラック2の進行方向を把握することができる。したがって、鉱山の安全性が向上する。
【0079】
また、ウインカー制御部44は、ダンプトラック2が所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定されたときに方向指示器37を点灯し、所定距離以上を走行した後に右折又は左折が終わりかけている時点において所定曲率半径以上で走行すると判定されたときに方向指示器37を消灯するようにウインカー制御信号を出力する。したがって、ダンプトラック2が交差点ISを通り過ぎ、走行路HLの走行を開始した後において、いつまでも方向指示器37が点灯し続けてしまうことが抑制される。
【0080】
また、本実施形態においては、走行条件データは、絶対位置データをそれぞれ含み一定の間隔Wで設定される複数のコース点PIの集合体である。複数のコース点PIのそれぞれは、ダンプトラック2の目標方位角データと、コース点PIが鉱山の交差点ISに規定されているか否かを示すコースタイプデータとを含む。したがって、旋回制御部43は、走行条件データに基づいて、ダンプトラック2が交差点ISにおいて旋回しているか否かを判定することができる。これにより、交差点ISではない走行路HLの一部が所定距離以上を所定曲率半径以下でカーブしていても、そのカーブを走行しているときには方向指示器37が点灯してしまうことが抑制される。
【0081】
また、本実施形態においては、一定の間隔Wで連続して配置された所定数のコース点PIのそれぞれが基準コース点Pとして設定され、旋回判定部43は、基準コース点Pと、基準コース点Pよりも一定距離だけ進行方向前方の参照コース点Qとの目標方位角の差を示す方位角差Δを算出し、複数の基準コース点P(P1,P2,…)とそれら基準コース点Pに対応する複数の参照コース点Q(Q1,Q2,…)との組み合わせのそれぞれについて方位角差Δ(Δ1,Δ2,…)を算出し、方位角差Δの絶対値が角度閾値Δsh以上(+Δsh以上又は−Δsh以下)である基準コース点Pと参照コース点Qとの組み合わせがカウント閾値SH以上連続して存在すると判定したとき、ダンプトラック2が交差点ISにおいて所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定する。これにより、目標方位角データ及びコースタイプデータを含む複数のコース点PI(P,Q)を使って、ダンプトラック2が交差点ISを右左折するのかしないのかを的確に判定することができる。
【0082】
<変形例>
上記の実施形態において、ダンプトラック2が交差点を通過する際に旋回判定部43にて左折点灯、右折点灯、消灯のいずれかが判定された場合、その判定が交差点の形状に対して適切でない判定となってしまう場合がある。例えば、
図8に示すように、ダンプトラック2が交差点ISを通るとき、右左折せずに直進する場合がある。しかし、
図8に示す走行路HLは走行路HLの一部が所定距離以上を所定曲率半径以下でカーブしている。
図8に示す例では、交差点ISを右左折せずに直進する場合においても、旋回判定部43は、ダンプトラック2が交差点ISにおいて所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定することになる。
【0083】
そのような場合であっても、ウインカー制御部44は、鉱山のエリアに基づいて予め規定された判定修正データ(ある特定の走行経路を走行する場合においてはウインカー制御の判定を修正するためのデータ)に基づいて、旋回判定部43の判定結果を修正できるようにしてもよい。それにより、
図8に示す例の場合において、ダンプトラック2が交差点ISにおいて所定距離以上を所定曲率半径以下で旋回すると判定されても、方向指示器37を点灯しないように修正することができる。
【0084】
また、
図8に示す例の他、右折点灯、左折点灯のいずれかをさせたい走行経路において、旋回判定部43によりそれ以外の判定がされた場合であっても、ウインカー制御部44は、判定修正データを設定することにより、所望のウインカーを点灯させることができる。
図8に示したような、旋回判定部43が適切でない判定する走行経路は限られており、そのような走行経路は、例えばダンプトラック2を使った鉱山の試験走行により特定することができる。
【0085】
ダンプトラック2は、試験走行において、位置検出器35の検出結果より、上記のような走行経路の絶対位置を特定することができる。そして、上記走行経路の位置データ、および当該走行経路における修正すべき旋回判定は記憶部45に記憶される。走行経路の位置データおよび当該走行経路における修正すべき旋回判定は、方向指示器37を点灯させないための判定修正データの一形態である。ウインカー制御部44は、位置検出器35の検出結果、及び記憶部45に記憶されている走行経路の位置データに対応付けられた判定修正データに基づいて、交差点ISにおいて旋回判定部43による適切でない判定結果を修正することができる。
【0086】
なお、走行経路の位置データおよび走行経路における修正すべき旋回判定は、ダンプトラック2に搭載されている記憶部45に記憶されてもよいし、管理装置10に記憶しておき管理装置10からダンプトラック2に送信されてもよい。ウインカー制御部44は、管理装置10から送信された走行経路の位置データに対応付けられた判定修正データに基づいて、交差点ISにおいて旋回判定部43による適切でない判定結果を修正することができる。
【0087】
上述の実施形態では、ダンプトラック2が所定曲率半径以下で旋回するか否かを判定するために、複数の走行条件データの間隔(例えば3W)と方位角差(例えば2度)に基づいて判定するようにしていたが、この実施例に限られず、例えば図示しないステアリングの操舵角の検出結果を用いて判断するようにしてもよいし、図示しないジャイロなどの方位角センサの検出結果を用いて判断するようにしてもよい。
【0088】
なお、上述の実施形態では、ダンプトラック2が無人ダンプトラックであることとした。ダンプトラック2は、運転者の操作に従って走行する有人ダンプトラックでもよい。有人ダンプトラックにおいては、方向指示器37を操作するウインカーレバーのような操作部が設けられ、その操作部が運転者によって操作される。交差点ISを右左折する場合、運転者が操作部の操作を怠っても、制御システム20が操作部の操作に介入して、方向指示器37を点灯させる。すなわち、制御システム20は、運転者の操作を補助する、所謂、アシスト制御を実施する。これにより、鉱山の安全性が確保される。
【0089】
また上述の実施形態では、ダンプトラック2が有する制御装置25における旋回判定部43において、ダンプトラック2が右折又は左折するかの判定を行うようにしたが、この例に限定されず、例えば、管理装置10の処理装置12に旋回判定部43及びウィンカー制御部44を設け、処理装置12において走行条件データに基づいて対象のダンプトラック2が右折又は左折するかの判定を行い、その判定結果をウィンカー制御部44を介して対象となるダンプトラック2に送信するようにしてもよい。
【0090】
上述の実施形態では、鉱山にて用いられる鉱山機械を例に説明したが、それに限られず、作業現場で用いられる作業機械に適用してもよい。作業機械は、鉱山機械を含むものである。また、「作業機械の制御システム」として、上述の実施形態では地上の鉱山におけるダンプトラックの制御システムを例に説明したが、それに限られず、地上の鉱山における他の鉱山機械、又は作業現場で用いられる作業機械(ホイールローダ等)の制御システムも含んでいる。