(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
本体部と、前記本体部にその基端側が回動可能に連結される第1アーム部と前記第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部とを有するアームと、前記第2アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンドと、前記第1アーム部に対して前記第2アーム部を回動させるための第1モータと、前記第2アーム部に対して前記ハンドを回動させるための第2モータと、前記第1モータの回転を減速して前記第2アーム部に伝達する第1減速機と、前記第2モータの回転を減速して前記ハンドに伝達する第2減速機とを備え、
前記ハンドと前記アームとは、真空中に配置され、
前記第1減速機と前記第2減速機とは、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機であり、
前記第1減速機と前記第2減速機とは、前記第1アーム部に対する前記第2アーム部の回動中心と、前記第1減速機の軸中心および前記第2減速機の軸中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを繋ぐ第1関節部の少なくとも一部を構成し、
中空状に形成される前記第1アーム部または前記第2アーム部の内部空間に、前記第1モータと前記第2モータと前記第1減速機と前記第2減速機とが配置され、
前記内部空間は、大気圧となっていることを特徴とする産業用ロボット。
前記第1アーム部および前記ハンドは、前記ハンドに搭載される搬送対象物が収容される収容部からの前記搬送対象物の搬出時および前記収容部への前記搬送対象物の搬入時に、前記本体部に対する前記第1アーム部の回動角度と、前記第2アーム部に対する前記ハンドの回動角度とが等しく、かつ、前記本体部に対する前記第1アーム部の回動方向と、前記第2アーム部に対する前記ハンドの回動方向とが逆方向となるように回動することを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
本体部と、前記本体部にその基端側が回動可能に連結される第1アーム部と前記第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部と前記第2アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第3アーム部とを有するアームと、前記第3アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンドと、前記第1アーム部に対して前記第2アーム部を回動させるための第1モータと、前記第2アーム部に対して前記第3アーム部を回動させるための第2モータと、前記第3アーム部に対して前記ハンドを回動させるための第3モータと、前記第1モータの回転を減速して前記第2アーム部に伝達する第1減速機と、前記第2モータの回転を減速して前記第3アーム部に伝達する第2減速機と、前記第3モータの回転を減速して前記ハンドに伝達する第3減速機とを備え、
前記ハンドと前記アームとは、真空中に配置され、
前記第1減速機、前記第2減速機および前記第3減速機は、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機であり、
前記第1減速機、前記第2減速機および前記第3減速機のうちの少なくとも2個の減速機は、その軸中心と、前記第1アーム部に対する前記第2アーム部の回動中心または前記第2アーム部に対する前記第3アーム部の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを繋ぐ第1関節部または前記第2アーム部と前記第3アーム部とを繋ぐ第2関節部の少なくとも一部を構成し、
中空状に形成される前記第1アーム部、前記第2アーム部または前記第3アーム部の内部空間には、同軸上で重なるように配置される少なくとも2個の前記減速機と、この少なくとも2個の前記減速機に連結される前記第1モータ、前記第2モータおよび前記第3モータのうちの少なくとも2個のモータとが配置され、
前記内部空間は、大気圧となっていることを特徴とする産業用ロボット。
本体部と、前記本体部にその基端側が回動可能に連結される第1アーム部と前記第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部と前記第2アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第3アーム部とを有するアームと、前記第3アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンドと、前記アームを伸縮させるための第1モータと、前記第3アーム部に対して前記ハンドを回動させるための第2モータと、前記第1モータの回転を減速して前記アームに伝達する第1減速機と、前記第2モータの回転を減速して前記ハンドに伝達する第2減速機とを備え、
前記ハンドと前記アームとは、真空中に配置され、
前記第1減速機および前記第2減速機は、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機であり、
前記第1減速機および前記第2減速機は、その軸中心と、前記第1アーム部に対する前記第2アーム部の回動中心または前記第2アーム部に対する前記第3アーム部の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを繋ぐ第1関節部または前記第2アーム部と前記第3アーム部とを繋ぐ第2関節部の少なくとも一部を構成し、
中空状に形成される前記第1アーム部、前記第2アーム部または前記第3アーム部の内部空間に、前記第1モータと前記第2モータと前記第1減速機と前記第2減速機とが配置され、
前記内部空間は、大気圧となっていることを特徴とする産業用ロボット。
本体部と、前記本体部にその基端側が回動可能に連結される第1アーム部と前記第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部と前記第2アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第3アーム部と前記第3アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第4アーム部とを有するアームと、前記第4アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンドと、前記第1アーム部に対して前記第2アーム部を回動させるための第1モータと、前記第2アーム部に対して前記第3アーム部を回動させるための第2モータと、前記第3アーム部に対して前記第4アーム部を回動させるための第3モータと、前記第4アーム部に対して前記ハンドを回動させるための第4モータと、前記第1モータの回転を減速して前記第2アーム部に伝達する第1減速機と、前記第2モータの回転を減速して前記第3アーム部に伝達する第2減速機と、前記第3モータの回転を減速して前記第4アーム部に伝達する第3減速機と、前記第4モータの回転を減速して前記ハンドに伝達する第4減速機とを備え、
前記ハンドと前記アームとは、真空中に配置され、
前記第1減速機、前記第2減速機、前記第3減速機および前記第4減速機は、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機であり、
前記第1減速機、前記第2減速機、前記第3減速機および前記第4減速機のうちの少なくとも2個の減速機は、その軸中心と、前記第1アーム部に対する前記第2アーム部の回動中心、前記第2アーム部に対する前記第3アーム部の回動中心、または、前記第3アーム部に対する前記第4アーム部の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを繋ぐ第1関節部、前記第2アーム部と前記第3アーム部とを繋ぐ第2関節部、または、前記第3アーム部と前記第4アーム部とを繋ぐ第3関節部の少なくとも一部を構成し、
中空状に形成される前記第1アーム部、前記第2アーム部、前記第3アーム部または前記第4アーム部の内部空間には、同軸上で重なるように配置される少なくとも2個の前記減速機と、この少なくとも2個の前記減速機に連結される前記第1モータ、前記第2モータ、前記第3モータおよび前記第4モータのうちの少なくとも2個のモータとが配置され、
前記内部空間は、大気圧となっていることを特徴とする産業用ロボット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、真空中で搬送される基板等の搬送対象物は大型化している。たとえば、特許文献1に記載の真空ロボットで搬送される基板が大型化すると、アーム駆動用モータにかかる負荷が大きくなるため、アーム駆動用モータの発熱量が大きくなる。したがって、特許文献1に記載の真空ロボットでは、アーム駆動用モータを効率的に冷却しないと、熱の影響でアーム駆動用モータが損傷するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、真空中に配置されるアームの少なくとも一部の内部が大気圧となっている産業用ロボットにおいて、アーム内部の大気中に配置されるハンドやアームの駆動用モータを効率的に冷却することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、本体部と、本体部にその基端側が回動可能に連結される第1アーム部と第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部とを有するアームと、第2アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンドと、第1アーム部に対して第2アーム部を回動させるための第1モータと、第2アーム部に対してハンドを回動させるための第2モータと、第1モータの回転を減速して第2アーム部に伝達する第1減速機と、第2モータの回転を減速してハンドに伝達する第2減速機とを備え、ハンドとアームとは、真空中に配置され、第1減速機と第2減速機とは、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機であり、第1減速機と第2減速機とは、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中
心と、第1減速機の軸中心および第2減速機の軸中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、第1アーム部と第2アーム部とを繋ぐ第1関節
部の少なくとも一部を構成し、中空状に形成される第1アーム部または第2アーム部の内部空間に、第1モータと第2モータと第1減速機と第2減速機とが配置され、内部空間は、大気圧となっていることを特徴とする。
【0008】
本発明の産業用ロボットでは、中空状に形成される第1アーム部または第2アーム部の内部空間は大気圧となっており、この内部空間に、第1モータと第2モータと第1減速機と第2減速機とが配置されている。また、本発明では、内部空間に配置される第1減速機と第2減速機とは、その軸中心が一致するように同軸上で重なっている。そのため、本発明では、第1減速機および第2減速機の軸方向において内部空間を大きくすることが可能になる。すなわち、本発明では、大気圧となっている内部空間の容積を大きくして、内部空間内の空気の量を増やすことが可能になる。したがって、本発明では、大気圧となっている内部空間に配置される第1モータと第2モータとを効率的に冷却することが可能になる。また、本発明では、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心
上に2台の減速機が配置されるため、第1関節
部の剛性を高めることが可能になる。
【0009】
本発明において、第1アーム部およびハンドは、ハンドに搭載される搬送対象物が収容される収容部からの搬送対象物の搬出時および収容部への搬送対象物の搬入時に、本体部に対する第1アーム部の回動角度と、第2アーム部に対するハンドの回動角度が等しく、かつ、本体部に対する第1アーム部の回動方向と、第2アーム部に対するハンドの回動方向とが逆方向となるように回動することが好ましい。このように構成すると、搬送対象物の搬出時および搬入時におけるハンドの向きを一定に保つことが可能になる。すなわち、比較的簡単な制御で、搬送対象物の搬出時および搬入時におけるハンドの向きを一定に保つことが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、第1アーム部は、本体部から水平方向の一方側へ伸びるように本体部に取り付けられ、第1アーム部には、本体部から水平方向の他方側へ伸びるカウンターウエイトが取り付けられている。この場合には、第1アーム部を回動可能に支持する軸受に作用する負荷を低減することが可能になる。
【0011】
また、上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、本体部と、本体部にその基端側が回動可能に連結される第1アーム部と第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部と第2アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第3アーム部とを有するアームと、第3アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンドと、第1アーム部に対して第2アーム部を回動させるための第1モータと、第2アーム部に対して第3アーム部を回動させるための第2モータと、第3アーム部に対してハンドを回動させるための第3モータと、第1モータの回転を減速して第2アーム部に伝達する第1減速機と、第2モータの回転を減速して第3アーム部に伝達する第2減速機と、第3モータの回転を減速してハンドに伝達する第3減速機とを備え、ハンドとアームとは、真空中に配置され、第1減速機、第2減速機および第3減速機は、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機であり、第1減速機、第2減速機および第3減速機のうちの少なくとも2個の減速機は、その軸中心と、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心
または第2アーム部に対する第3アーム部の回動中
心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、第1アーム部と第2アーム部とを繋ぐ第1関節部
または第2アーム部と第3アーム部とを繋ぐ第2関節
部の少なくとも一部を構成し、中空状に形成される第1アーム部、第2アーム部または第3アーム部の内部空間には、同軸上で重なるように配置される少なくとも2個の減速機と、この少なくとも2個の減速機に連結される第1モータ、第2モータおよび第3モータのうちの少なくとも2個のモータとが配置され、内部空間は、大気圧となっていることを特徴とする。
【0012】
本発明の産業用ロボットでは、中空状に形成される第1アーム部、第2アーム部または第3アーム部の内部空間は大気圧となっており、この内部空間に、第1減速機、第2減速機および第3減速機のうちの少なくとも2個の減速機と、この少なくとも2個の減速機に連結される第1モータ、第2モータおよび第3モータのうちの少なくとも2個のモータとが配置されている。また、本発明では、内部空間に配置される少なくとも2個の減速機は、その軸中心が一致するように同軸上で重なっている。そのため、本発明では、減速機の軸方向において内部空間を大きくすることが可能になる。すなわち、本発明では、大気圧となっている内部空間の容積を大きくして、内部空間内の空気の量を増やすことが可能になる。したがって、本発明では、大気圧となっている内部空間に配置される少なくとも2個のモータを効率的に冷却することが可能になる。また、本発明では、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心上、
または、第2アーム部に対する第3アーム部の回動中心
上に少なくとも2台の減速機が配置されるため、第1関節部
または第2関節
部の剛性を高めることが可能になる。
【0013】
さらに、上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、本体部と、本体部にその基端側が回動可能に連結される第1アーム部と第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部と第2アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第3アーム部とを有するアームと、第3アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンドと、アームを伸縮させるための第1モータと、第3アーム部に対してハンドを回動させるための第2モータと、第1モータの回転を減速してアームに伝達する第1減速機と、第2モータの回転を減速してハンドに伝達する第2減速機とを備え、ハンドとアームとは、真空中に配置され、第1減速機および第2減速機は、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機であり、第1減速機および第2減速機は、その軸中心と、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心
または第2アーム部に対する第3アーム部の回動中
心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、第1アーム部と第2アーム部とを繋ぐ第1関節部
または第2アーム部と第3アーム部とを繋ぐ第2関節
部の少なくとも一部を構成し、中空状に形成される第1アーム部、第2アーム部または第3アーム部の内部空間に、第1モータと第2モータと第1減速機と第2減速機とが配置され、内部空間は、大気圧となっていることを特徴とする。
【0014】
本発明の産業用ロボットでは、中空状に形成される第1アーム部、第2アーム部または第3アーム部の内部空間は大気圧となっており、この内部空間に、第1モータと第2モータと第1減速機と第2減速機とが配置されている。また、本発明では、内部空間に配置される第1減速機と第2減速機とは、その軸中心が一致するように同軸上で重なっている。そのため、本発明では、第1減速機および第2減速機の軸方向において内部空間を大きくすることが可能になる。すなわち、本発明では、大気圧となっている内部空間の容積を大きくして、内部空間内の空気の量を増やすことが可能になる。したがって、本発明では、大気圧となっている内部空間に配置される第1モータと第2モータとを効率的に冷却することが可能になる。また、本発明では、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心上、
または、第2アーム部に対する第3アーム部の回動中心
上に2台の減速機が配置されるため、第1関節部
または第2関節
部の剛性を高めることが可能になる。
【0015】
さらにまた、上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、本体部と、本体部にその基端側が回動可能に連結される第1アーム部と第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部と第2アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第3アーム部と第3アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第4アーム部とを有するアームと、第4アーム部の先端側に回動可能に連結されるハンドと、第1アーム部に対して第2アーム部を回動させるための第1モータと、第2アーム部に対して第3アーム部を回動させるための第2モータと、第3アーム部に対して第4アーム部を回動させるための第3モータと、第4アーム部に対してハンドを回動させるための第4モータと、第1モータの回転を減速して第2アーム部に伝達する第1減速機と、第2モータの回転を減速して第3アーム部に伝達する第2減速機と、第3モータの回転を減速して第4アーム部に伝達する第3減速機と、第4モータの回転を減速してハンドに伝達する第4減速機とを備え、ハンドとアームとは、真空中に配置され、第1減速機、第2減速機、第3減速機および第4減速機は、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機であり、第1減速機、第2減速機、第3減速機および第4減速機のうちの少なくとも2個の減速機は、その軸中心と、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心、第2アーム部に対する第3アーム部の回動中心、
または、第3アーム部に対する第4アーム部の回動中
心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、第1アーム部と第2アーム部とを繋ぐ第1関節部、第2アーム部と第3アーム部とを繋ぐ第2関節部、
または、第3アーム部と第4アーム部とを繋ぐ第3関節
部の少なくとも一部を構成し、中空状に形成される第1アーム部、第2アーム部、第3アーム部または第4アーム部の内部空間には、同軸上で重なるように配置される少なくとも2個の減速機と、この少なくとも2個の減速機に連結される第1モータ、第2モータ、第3モータおよび第4モータのうちの少なくとも2個のモータとが配置され、内部空間は、大気圧となっていることを特徴とする。
【0016】
本発明の産業用ロボットでは、中空状に形成される第1アーム部、第2アーム部、第3アーム部または第4アーム部の内部空間は大気圧となっており、この内部空間に、第1減速機、第2減速機、第3減速機および第4減速機のうちの少なくとも2個の減速機と、この少なくとも2個の減速機に連結される第1モータ、第2モータ、第3モータおよび第4モータのうちの少なくとも2個のモータとが配置されている。また、本発明では、内部空間に配置される少なくとも2個の減速機は、その軸中心が一致するように同軸上で重なっている。そのため、本発明では、減速機の軸方向において内部空間を大きくすることが可能になる。すなわち、本発明では、大気圧となっている内部空間の容積を大きくして、内部空間内の空気の量を増やすことが可能になる。したがって、本発明では、大気圧となっている内部空間に配置される少なくとも2個のモータを効率的に冷却することが可能になる。また、本発明では、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心上、第2アーム部に対する第3アーム部の回動中心上、
または、第3アーム部に対する第4アーム部の回動中心
上に少なくとも2台の減速機が配置されるため、第1関節部、第2関節部
または第3関節
部の剛性を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、真空中に配置されるアームの少なくとも一部の内部が大気圧となっている産業用ロボットにおいて、アーム内部の大気中に配置されるハンドやアームの駆動用モータを効率的に冷却することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1が有機ELディスプレイの製造システム3に組み込まれた状態を示す平面図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット1の図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図3は、
図2に示す産業用ロボット1の内部構造を側面から説明するための断面図である。
【0021】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ用のガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するためのロボットである。このロボット1は、比較的大型の基板2の搬送に適したロボットである。ロボット1は、
図1に示すように、有機ELディスプレイの製造システム3に組み込まれて使用される。
【0022】
製造システム3は、中心に配置されるトランスファーチャンバー4(以下、「チャンバー4」とする。)と、チャンバー4を囲むように配置される複数のプロセスチャンバー5〜10(以下、「チャンバー5〜10」とする。)とを備えている。チャンバー4およびチャンバー5〜10の内部は、真空になっている。チャンバー4の内部には、ロボット1の一部が配置されている。ロボット1を構成する後述のフォーク部21がチャンバー5〜10内に入り込むことで、ロボット1は、チャンバー5〜10間で基板2を搬送する。すなわち、ロボット1は、真空中で基板2を搬送する。チャンバー5〜10には、各種の装置等が配置されており、ロボット1で搬送された基板2が収容される。また、チャンバー5〜10では、基板2に対して各種の処理が行われる。本形態のチャンバー5〜10は、搬送対象物である基板2が収容される収容部である。製造システム3のより具体的な構成については後述する。
【0023】
図2、
図3に示すように、ロボット1は、基板2が搭載されるハンド13と、ハンド13がその先端側に回動可能に連結されるアーム14と、アーム14の基端側が回動可能に連結される本体部15と、本体部15を昇降させる昇降機構16とを備えている。本体部15および昇降機構16は、略有底円筒状のケース体17の中に収容されている。ケース体17の上端には、円板状に形成されたフランジ18が固定されている。フランジ18には、本体部15の上端側部分が配置される貫通孔が形成されている。なお、
図2(A)では、本体部15、昇降機構16およびケース体17等の図示を省略している。
【0024】
ハンド13およびアーム14は、本体部15の上側に配置されている。また、ハンド13およびアーム14は、フランジ18の上側に配置されている。上述のように、ロボット1の一部は、チャンバー4の内部に配置されている。具体的には、ロボット1の、フランジ18の下端面よりも上側の部分がチャンバー4の内部に配置されている。すなわち、ロボット1の、フランジ18の下端面よりも上側の部分は、真空領域VRの中に配置されており、ハンド13およびアーム14は、真空中に配置されている。一方、ロボット1の、フランジ18の下端面よりも下側の部分は、大気領域ARの中(大気中)に配置されている。
【0025】
ハンド13は、アーム14に連結される基部20と、基板2が搭載される4本のフォーク部21とを備えている。フォーク部21は、直線状に形成されている。4本のフォーク部21のうちの2本のフォーク部21は、互いに所定の間隔をあけた状態で平行に配置されている。この2本のフォーク部21は、基部20から水平方向の一方側へ突出するように基部20に固定されている。残りの2本のフォーク部21は、基部20から水平方向の一方側へ突出する2本のフォーク部21と反対側に向かって基部20から突出するように基部20に固定されている。
【0026】
アーム14は、第1アーム部23と第2アーム部24とによって構成されている。第1アーム部23および第2アーム部24は、中空状に形成されている。第1アーム部23の基端側は、本体部15に回動可能に連結されている。第1アーム部23の先端側には、第2アーム部24の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部24の先端側には、ハンド13が回動可能に連結されている。アーム14と本体部15との連結部(すなわち、第1アーム部23と本体部15との連結部)は、関節部25となっている。第1アーム部23と第2アーム部24との連結部は、関節部26となっている。アーム14とハンド13との連結部(すなわち、第2アーム部24とハンド13との連結部)は、関節部27となっている。第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心と本体部15に対する第1アーム部23の回動中心との距離は、第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心と第2アーム部24に対するハンド13の回動中心との距離と等しくなっている。本形態では、関節部26は、第1アーム部23と第2アーム部24とを繋ぐ第1関節部であり、関節部27は、第2アーム部24とハンド13とを繋ぐ第2関節部である。
【0027】
第1アーム部23は、本体部15から水平方向の一方側へ伸びるように、本体部15に取り付けられている。第1アーム部23には、第1アーム部23が伸びる方向と反対側(すなわち、水平方向の他方側)へ本体部15から伸びるカウンターウエイト28が取り付けられている。第2アーム部24は、第1アーム部23よりも上側に配置されている。また、ハンド13は、第2アーム部24よりも上側に配置されている。
【0028】
本体部15には、本体部15に対して第1アーム部23を回動させるためのモータ31が取り付けられている。また、本体部15は、第1アーム部23の基端側が固定される中空回転軸32と、モータ31の回転を減速して第1アーム部23に伝達する減速機33と、減速機33のケース体を保持するとともに中空回転軸32を回動可能に保持する略円筒状の保持部材34とを備えている。
【0029】
減速機33は、その径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。この減速機33は、その貫通孔の軸中心と中空回転軸32の軸中心とが一致するように配置されている。減速機33の入力側には、プーリおよびベルトを介してモータ31が連結されている。減速機33の出力側には、中空回転軸32の下端が固定されている。中空回転軸32の上端には、第1アーム部23の基端側の下面が固定されている。中空回転軸32は、保持部材34の内周側に配置されており、中空回転軸32の外周面と保持部材34の内周面との間には軸受が配置されている。
【0030】
関節部25には、真空領域VRへの空気の流入を防ぐ磁性流体シール35が配置されている。磁性流体シール35は、中空回転軸32の外周面と保持部材34の内周面との間に配置されている。また、関節部25は、真空領域VRへの空気の流入を防ぐためのベローズ36が配置されている。具体的には、磁性流体シール35の外周側であって、かつ、保持部材34の外周側にベローズ36が配置されている。ベローズ36の下端は、保持部材34に固定され、ベローズ36の上端は、フランジ18に固定されている。昇降機構16を構成する後述のモータ40が回転して本体部15が昇降すると、ベローズ36が伸縮する。
【0031】
昇降機構16は、上下方向を軸方向として配置されるネジ部材38と、ネジ部材38に係合するナット部材39と、ネジ部材38を回転させるモータ40とを備えている。ネジ部材38は、ケース体17の底面側に回転可能に取り付けられている。モータ40は、ケース体17の底面側に取り付けられている。ネジ部材38は、プーリおよびベルトを介してモータ40に連結されている。ナット部材39は、所定のブラケットを介して本体部15に取り付けられている。本形態では、モータ40が回転すると、ネジ部材38が回転して、本体部15がナット部材39と一緒に昇降する。なお、昇降機構16は、本体部15を上下方向へ案内するためのガイド軸と、このガイド軸に係合して上下方向へスライドするガイドブロックとを備えている。
【0032】
(第1アーム部の内部の構成および関節部の構成)
図4は、
図3に示す第1アーム部23および関節部26の拡大図である。
【0033】
上述のように、第1アーム部23および第2アーム部24は、中空状に形成されている。中空状に形成される第1アーム部23の内部空間45には、第1アーム部23に対して第2アーム部24を回動させるための第1モータとしてのモータ46と、第2アーム部24に対してハンド13を回動させるための第2モータとしてのモータ47とが配置されている。関節部26は、モータ46の回転を減速して第2アーム部24に伝達する第1減速機としての減速機48と、モータ47の回転を減速してハンド13に伝達する第2減速機としての減速機49とを備えている。減速機48、49は、その径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。また、関節部26は、中空回転軸50と、中空回転軸50の外周側に、かつ、中空回転軸50と同軸上に配置される中空回転軸51とを備えている。
【0034】
減速機48の入力側には、プーリ52、53およびベルト54を介してモータ46が連結されている。減速機48の出力側には、中空回転軸51の下端が固定されている。中空回転軸51の上端は、第2アーム部24の基端側の下面に固定されている。減速機48のケース体は、略円筒状に形成される保持部材55に固定されている。保持部材55は、第1アーム部23に固定されている。また、保持部材55は、中空回転軸51の外周側に配置されている。モータ46が回転すると、プーリ52、53、ベルト54および減速機48等を介してモータ46の動力が第2アーム部24の基端側に伝達されて、第2アーム部24が回動する。
【0035】
減速機49の入力側には、プーリ57、58およびベルト59を介してモータ47が連結されている。減速機49の出力側には、中空回転軸50の下端が固定されている。中空回転軸50の上端には、プーリ60が固定されている。プーリ60は、中空状に形成される第2アーム部24の基端側の内部に配置されている。第2アーム部24の先端側の内部には、
図3に示すように、プーリ61が配置されている。プーリ61は、第2アーム部24の先端側に回動可能に保持されている。プーリ61の上端面には、ハンド13の基部20の下面が固定されている。プーリ60とプーリ61には、ベルト62が架け渡されている。減速機49のケース体は、略円筒状に形成される保持部材63に固定されている。保持部材63は、第1アーム部23に固定されている。モータ47が回転すると、プーリ57、58、ベルト59、減速機49、プーリ60、61およびベルト62等を介してモータ47の動力がハンド13の基部20に伝達されて、ハンド13が回動する。
【0036】
減速機48と減速機49とは、その貫通孔の軸中心と中空回転軸51の軸中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されている。すなわち、減速機48と減速機49とは、その軸中心と第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されている。本形態では、減速機48が減速機49の上側に配置されている。
【0037】
第1アーム部23の内部空間45は、密閉されており、内部空間45の圧力は、大気圧となっている。上述のように、モータ46、47は、内部空間45に配置されている。また、減速機48、49は、第1アーム部23の先端側において、内部空間45に配置されている。すなわち、モータ46、47および減速機48、49は、大気中に配置されている。モータ46には、モータ46を冷却するための冷却用パイプ64が巻回されている。この冷却用パイプ64には、圧縮空気が供給可能となっており、冷却用パイプ64の内部を通過する圧縮空気によって、モータ46が冷却される。なお、本形態では、モータ47の発熱量はモータ46の発熱量に比べて小さいため、モータ47には、冷却用パイプが巻回されていない。
【0038】
関節部26には、内部空間45の密閉状態を確保するための磁性流体シール65、66が配置されている。すなわち、関節部26には、内部空間45から真空領域VRへの空気の流入を防ぐ磁性流体シール65、66が配置されている。磁性流体シール65は、中空回転軸50の外周面と中空回転軸51の内周面との間に配置され、磁性流体シール66は、中空回転軸51の外周面と保持部材55の内周面との間に配置されている。なお、中空回転軸50の外周面と中空回転軸51の内周面との間には軸受が配置されている。また、本形態では、第2アーム部24の内部空間は真空となっている。
【0039】
(製造システムの構成)
上述のように、製造システム3は、チャンバー4を囲むように配置される複数のチャンバー5〜10を備えている。本形態の製造システム3では、チャンバー4を囲むように6個のチャンバー5〜10が配置されている。以下では、
図1において、互いに直交する3つの方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。ロボット1は、その上下方向がZ方向と一致するように配置されている。したがって、以下では、Z方向を上下方向とする。また、以下では、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側とする。
【0040】
チャンバー4は、上下方向から見たときの形状が略八角形状となるように形成されている。チャンバー5は、チャンバー4の左端に繋がるように配置され、チャンバー6は、チャンバー4の右端に繋がるように配置されている。また、チャンバー7およびチャンバー8は、チャンバー4の後端に繋がるように配置されている。チャンバー7とチャンバー8とは、左右方向で隣接している。本形態では、チャンバー7が左側に配置され、チャンバー8が右側に配置されている。さらに、チャンバー9およびチャンバー10は、チャンバー4の前端に繋がるように配置されている。チャンバー9とチャンバー10とは、左右方向で隣接している。本形態では、チャンバー9が左側に配置され、チャンバー10が右側に配置されている。
【0041】
チャンバー5、6は、上下方向から見たときに、本体部15に対する第1アーム部23の回動中心C1を通過する左右方向に平行な仮想線がチャンバー5、6の前後方向の中心位置を通過するように配置されている。チャンバー7、8は、回動中心C1を通過する前後方向に平行な仮想線がチャンバー7、8間の左右方向の中心位置を通過するように配置されている。すなわち、左右方向におけるチャンバー7、8の中心位置は、回動中心C1に対してオフセットしている。同様に、チャンバー9、10は、回動中心C1を通過する前後方向に平行な仮想線がチャンバー9、10間の左右方向の中心位置を通過するように配置されている。すなわち、左右方向におけるチャンバー9、10の中心位置は、回動中心C1に対してオフセットしている。また、左右方向において、チャンバー7とチャンバー9とが同じ位置に配置され、チャンバー8とチャンバー10とが同じ位置に配置されている。
【0042】
(産業用ロボットの概略動作)
図5は、
図1に示すプロセスチャンバー5から基板2を搬出してプロセスチャンバー6へ基板2を搬入する際の産業用ロボット1の動きを説明するための図である。
図6は、
図1に示すプロセスチャンバー7へ基板2を搬入する際の産業用ロボット1の動きを説明するための図である。
図7は、
図1に示すプロセスチャンバー9へ基板2を搬入する際の産業用ロボット1の動きを説明するための図である。
図8は、
図1に示すプロセスチャンバー8へ基板2を搬入する際の産業用ロボット1の動きを説明するための図である。
図9は、
図1に示すプロセスチャンバー10へ基板2を搬入する際の産業用ロボット1の動きを説明するための図である。
【0043】
ロボット1は、モータ31、40、46、47を駆動させて、チャンバー5〜10間で基板2を搬送する。たとえば、
図5に示すように、ロボット1は、チャンバー5から基板2を搬出してチャンバー6へ基板2を搬入する。すなわち、ロボット1は、
図5(A)に示すように、アーム14を伸ばしてチャンバー5内で基板2を搭載した後、
図5(B)に示すように、第1アーム部23と第2アーム部24とが上下方向で重なるまでアーム14を縮めてチャンバー5から基板2を搬出する。その後、ロボット1は、ハンド13を180°回動させてから、アーム14を伸ばして、
図5(C)に示すように、チャンバー6へ基板2を搬入する。
【0044】
また、たとえば、ロボット1は、チャンバー5から搬出された基板2をチャンバー7へ搬入する(
図6参照)。このときには、ロボット1は、まず、
図6(A)に示すように、アーム14を縮めた状態から、モータ31、46、47を駆動させて、
図6(B)に示すように、フォーク部21が前後方向と平行になるとともに基板2がハンド13の後端側に配置されるように、かつ、左右方向において、第2アーム部24に対するハンド13の回動中心C2と左右方向におけるチャンバー7の中心とが略一致するように、ハンド13、第1アーム部23および第2アーム部24を回動させる。その後、ロボット1は、アーム14を伸ばして、
図6(C)に示すように、チャンバー7へ基板2を搬入する。
【0045】
同様に、ロボット1は、たとえば、チャンバー5から搬出された基板2をチャンバー9へ搬入する(
図7参照)。このときには、ロボット1は、まず、
図7(A)に示すように、アーム14を縮めた状態から、モータ31、46、47を駆動させて、
図7(B)に示すように、フォーク部21が前後方向と平行になるとともに基板2がハンド13の前端側に配置されるように、かつ、左右方向において、回動中心C2と左右方向におけるチャンバー9の中心とが略一致するように、ハンド13、第1アーム部23および第2アーム部24を回動させる。その後、ロボット1は、アーム14を伸ばして、
図7(C)に示すように、チャンバー9へ基板2を搬入する。
【0046】
また、ロボット1は、たとえば、チャンバー5から搬出された基板2をチャンバー8へ搬入する(
図8参照)。このときには、ロボット1は、まず、
図8(A)に示すように、アーム14を縮めた状態から、モータ31、46、47を駆動させて、
図8(B)に示すように、フォーク部21が前後方向と平行になるとともに基板2がハンド13の後端側に配置されるように、かつ、左右方向において、回動中心C2と左右方向におけるチャンバー8の中心とが略一致するように、ハンド13、第1アーム部23および第2アーム部24を回動させる。その後、ロボット1は、アーム14を伸ばして、
図8(C)に示すように、チャンバー8へ基板2を搬入する。
【0047】
さらに、ロボット1は、たとえば、チャンバー5から搬出された基板2をチャンバー10へ搬入する(
図9参照)。このときには、ロボット1は、まず、
図9(A)に示すように、アーム14を縮めた状態から、モータ31、46、47を駆動させて、
図9(B)に示すように、フォーク部21が前後方向と平行になるとともに基板2がハンド13の前端側に配置されるように、かつ、左右方向において、回動中心C2と左右方向におけるチャンバー10の中心とが略一致するように、ハンド13、第1アーム部23および第2アーム部24を回動させる。その後、ロボット1は、アーム14を伸ばして、
図9(C)に示すように、チャンバー10へ基板2を搬入する。
【0048】
基板2の搬出時および搬入時には、ハンド13および第1アーム部23は、本体部15に対する第1アーム部23の回動角度と、第2アーム部24に対するハンド13の回動角度が等しく、かつ、本体部15に対する第1アーム部23の回動方向と、第2アーム部24に対するハンド13の回動方向とが逆方向となるように回動する。すなわち、モータ31、47は、本体部15に対する第1アーム部23の回動角度と、第2アーム部24に対するハンド13の回動角度が等しく、かつ、本体部15に対する第1アーム部23の回動方向と、第2アーム部24に対するハンド13の回動方向とが逆方向となるように回転する。そのため、基板2の搬出時および搬入時におけるハンド13の向きが一定に保たれる。
【0049】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、中空状に形成される第1アーム部23の内部空間45が大気圧となっており、この内部空間45に、モータ46、47および減速機48、49が配置されている。また、本形態では、内部空間45に配置される減速機48と減速機49とは、その軸中心が一致するように同軸上で重なっている。そのため、本形態では、減速機48、49の軸方向である上下方向において、第1アーム部23の厚みを厚くすることが可能になる。すなわち、本形態では、上下方向において、内部空間45を大きくすることが可能になり、内部の圧力が大気圧となっている内部空間45の容積を大きくして、内部空間45内の空気の量を増やすことが可能になる。したがって、本形態では、内部空間45に配置されるモータ46、47を効率的に冷却することが可能になる。その結果、本形態では、熱に起因するモータ46、47の損傷を防止することが可能になる。
【0050】
特に本形態では、第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心と本体部15に対する第1アーム部23の回動中心との距離が、第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心と第2アーム部24に対するハンド13の回動中心との距離と等しくなっており、第1アーム部23の長さが比較的長くなっている。そのため、本形態では、内部空間45の容積をより大きくして、内部空間45内の空気の量をより増やすことが可能になり、その結果、内部空間45に配置されるモータ46、47をより効率的に冷却することが可能になる。また、本形態では、モータ46に冷却用パイプ64が巻回されているため、モータ46をより効率的に冷却することが可能になる。
【0051】
また、本形態では、内部の圧力が大気圧となっている内部空間45にモータ46、47および減速機48、49が配置されているため、ハンド13とアーム14とが真空中に配置されていても、モータ46、47や減速機48、49の潤滑剤として、真空グリース等の高価な潤滑剤を使用する必要がなく、大気圧中で使用されるグリース等の潤滑剤を使用すれば良い。したがって、本形態では、ロボット1の初期コストおよびランニングコストを低減することが可能になる。
【0052】
本形態では、減速機48、49によって関節部26の一部が構成されている。そのため、本形態では、関節部26の剛性を高めることが可能になる。特に本形態では、減速機48、49は、中空減速機であり、その軸中心と第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心とが一致するように同軸上に配置されている。すなわち、本形態では、第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心上に2台の減速機48、49が配置されている。そのため、本形態では、関節部26の剛性をより高めることが可能になる。したがって、本形態では、ロボット1で比較的大きな基板2を搬送しても、関節部26の損傷を防止することが可能になる。
【0053】
なお、本形態のように、基板2の搬出時および搬入時におけるハンド13の向きを一定に保たった状態で、チャンバー5〜10間で基板2を搬送する場合、比較的大きな基板2を搬送すると、関節部26には大きな負荷がかかるが、関節部27には大きな負荷はかからない。そのため、本形態では、関節部27がプーリ61等によって構成されていても、関節部27の損傷は発生しにくい。
【0054】
本形態では、基板2の搬出時および搬入時に、ハンド13および第1アーム部23は、本体部15に対する第1アーム部23の回動角度と、第2アーム部24に対するハンド13の回動角度が等しく、かつ、本体部15に対する第1アーム部23の回動方向と、第2アーム部24に対するハンド13の回動方向とが逆方向となるように回動する。そのため、本形態では、上述のように、基板2の搬出時および搬入時におけるハンド13の向きが一定に保たれる。すなわち、本形態では、比較的簡単な制御で、基板2の搬出時および搬入時におけるハンド13の向きを一定に保つことが可能になる。
【0055】
本形態では、本体部15から水平方向の一方側へ伸びる第1アーム部23に、第1アーム部23が伸びる方向と反対側へ本体部15から伸びるカウンターウエイト28が取り付けられている。そのため、本形態では、第1アーム部23が固定される中空回転軸32の外周面と保持部材34の内周面との間に配置される軸受に作用する負荷を低減することが可能になる。
【0056】
(産業用ロボットの変形例1)
図10は、本発明の他の実施の形態にかかる産業用ロボット1の概略構成を側面から説明するための図である。
【0057】
上述した形態では、第1アーム部23の内部空間45にモータ46、47および減速機48、49が配置されている。具体的には、第1アーム部23の先端側における内部空間45にモータ46、47および減速機48、49が配置されており、減速機48、49は、関節部26の一部を構成している。この他にもたとえば、内部の圧力が大気圧となっている第2アーム部24の内部空間にモータ46、47および減速機48、49が配置されても良い。たとえば、第2アーム部24の基端側における内部空間にモータ46、47および減速機48、49が配置されても良い。この場合には、減速機48、49は、その軸中心と第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置され、関節部26の一部を構成する。なお、この場合には、第1アーム部23の内部空間45は真空となっていても良い。
【0058】
また、
図10に示すように、第2アーム部24の先端側における内部空間にモータ46、47および減速機48、49が配置されても良い。この場合には、減速機48と減速機49とは、その軸中心と第2アーム部24に対するハンド13の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置され、関節部27の一部を構成する。この場合であっても、減速機48、49の軸方向である上下方向において、第2アーム部24の内部空間を大きくすることが可能になるため、内部の圧力が大気圧となっている第2アーム部24の内部空間の容積を大きくして、第2アーム部24の内部空間内の空気の量を増やすことが可能になる。したがって、第2アーム部24の内部空間に配置されるモータ46、47を効率的に冷却することが可能になる。また、この場合には、第2アーム部24に対するハンド13の回動中心上に2台の減速機48、49が配置されるため、関節部27の剛性を高めることが可能になる。
【0059】
(産業用ロボットの変形例2)
図11は、本発明の他の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。
【0060】
上述した形態では、アーム14は、1個の第1アーム部23と1個の第2アーム部24とによって構成されている。この他にもたとえば、
図11に示すように、アーム14は、1個の第1アーム部23と、2個の第2アーム部24とによって構成されても良い。この場合には、第1アーム部23は、略V形状あるいは直線状に形成されており、その中心部が本体部15に回動可能に連結される基端部となっている。また、
図11に示すように、第1アーム部23の2個の先端側のそれぞれに第2アーム部24が回動可能に連結されており、第1アーム部23の2個の先端側のそれぞれに関節部26が形成されている。
【0061】
この場合であっても、上述した形態と同様に、減速機48、49によって関節部26の一部が構成されており、第1アーム部23の2個の先端側のそれぞれにおいて、第1アーム部23の内部空間45に、モータ46、47および減速機48、49が配置されている。また、内部空間45は、大気圧となっている。なお、この場合には、ハンド13の基部20には、水平方向の一方側へ突出する2本のフォーク部21のみが取り付けられる。また、
図11では、上述した形態の構成と同一の構成、または、上述した形態の構成に対応する構成については、同一の符号を付している。
【0062】
(産業用ロボットの変形例3)
図12は、本発明の他の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。
【0063】
上述した形態では、ロボット1は、1本のアーム14を備えている。この他にもたとえば、
図12に示すように、ロボット1は、本体部15にその基端側が回動可能に連結される2本のアーム14を備えていても良い。この場合であっても、上述した形態と同様に、減速機48、49によって関節部26の一部が構成されており、第1アーム部23の先端側において、第1アーム部23の内部空間45に、モータ46、47および減速機48、49が配置されている。また、内部空間45は、大気圧となっている。なお、この場合には、ハンド13の基部20には、水平方向の一方側へ突出する2本のフォーク部21のみが取り付けられる。また、
図12では、上述した形態の構成と同一の構成、または、上述した形態の構成に対応する構成については、同一の符号を付している。
【0064】
(産業用ロボットの変形例4)
図13は、本発明の他の実施の形態にかかる産業用ロボット1の概略構成を側面から説明するための図である。
【0065】
上述した形態では、アーム14は、第1アーム部23と第2アーム部24との2個のアーム部によって構成されている。この他にもたとえば、
図13に示すように、アーム14は、第1アーム部23、第2アーム部24および第3アーム部75の3個のアーム部によって構成されても良い。この場合には、上述した形態と同様に、本体部15に第1アーム部23の基端側が回動可能に連結され、第1アーム部23の先端側に第2アーム部24の基端側が回動可能に連結されている。また、第2アーム部24の先端側に第3アーム部75の基端側が回動可能に連結され、第3アーム部75の先端側にハンド13が回動可能に連結されている。
【0066】
また、上述した形態と同様に、第1アーム部23と第2アーム部24との連結部は、関節部26となっており、ロボット1は、第1アーム部23に対して第2アーム部24を回動させるための第1モータとしてのモータ46と、モータ46の回転を減速して第2アーム部24に伝達する第1減速機としての減速機48とを備えている。また、第2アーム部24と第3アーム部75との連結部は、関節部77となっており、第3アーム部75とハンド13との連結部は、関節部78となっている。ロボット1は、第2アーム部24に対して第3アーム部75を回動させるための第2モータとしてのモータ87と、第3アーム部75に対してハンド13を回動させるための第3モータとしてのモータ88と、モータ87の回転を減速して第3アーム部75に伝達する第2減速機としての減速機89と、モータ88の回転を減速してハンド13に伝達する第3減速機としての減速機90とを備えている。減速機89、90は、減速機48と同様に、その径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。なお、この場合、関節部26は、第1関節部であり、関節部77は、第2関節部であり、関節部78は、第3関節部である。
【0067】
減速機48、89、90は、たとえば、
図13(A)に示すように、その軸中心と第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、関節部26の一部を構成している。また、モータ46、87、88および減速機48、89、90は、第1アーム部23の内部空間45に配置されている。内部空間45は、大気圧となっている。なお、この場合において、モータ46、87、88および減速機48、89、90は、中空状に形成され内部の圧力が大気圧となっている第2アーム部24の内部空間に配置されても良い。
【0068】
また、減速機48、89、90は、たとえば、その軸中心と第2アーム部24に対する第3アーム部75の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、関節部77の一部を構成しても良い。この場合には、モータ46、87、88および減速機48、89、90は、中空状に形成され内部の圧力が大気圧となっている第2アーム部24の内部空間あるいは第3アーム部75の内部空間に配置される。また、減速機48、89、90は、たとえば、その軸中心と第3アーム部75に対するハンド13の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、関節部78の一部を構成しても良い。この場合には、モータ46、87、88および減速機48、89、90は、中空状に形成され内部の圧力が大気圧となっている第3アーム部75の内部空間に配置される。
【0069】
また、たとえば、
図13(B)に示すように、減速機48が、その軸中心と第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心とが一致するように配置されるとともに関節部26の一部を構成し、かつ、減速機89、90が、その軸中心と第2アーム部24に対する第3アーム部75の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、関節部77の一部を構成しても良い。この場合には、モータ46および減速機48は、内部の圧力が大気圧となっている内部空間45に配置され、モータ87、88および減速機89、90は、中空状に形成され内部の圧力が大気圧となっている第2アーム部24の内部空間に配置される。なお、この場合において、モータ46および減速機48は、内部の圧力が大気圧となっている第2アーム部24の内部空間(具体的には、第2アーム部24の基端側の内部空間)に配置されても良い。また、この場合において、モータ87、88および減速機89、90は、中空状に形成され内部の圧力が大気圧となっている第3アーム部75の内部空間に配置されても良い。
【0070】
同様に、減速機48、89、90の中から選択される任意の2個の減速機が、その軸中心と、第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心、第2アーム部24に対する第3アーム部75の回動中心、または、第3アーム部75に対するハンド13の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、関節部26、関節部77または関節部78の一部を構成しても良い。この場合には、内部の圧力が大気圧となっている第1アーム部23、第2アーム部24または第3アーム部75の内部空間に、同軸上で重なるように配置される2個の減速機と、2個の減速機に連結されるモータ46、87、88のうちの2個のモータとが配置される。また、内部の圧力が大気圧となっている第1アーム部23、第2アーム部24または第3アーム部75の内部空間に、残りの1個の減速機と、この減速機に連結されるモータとが配置される。
【0071】
このように構成される場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、アーム14が3個のアーム部によって構成される場合には、ロボット1は、アーム14を伸縮させるための第1モータ(すなわち、第2アーム部24と第3アーム部75とを連動させて回動させるための第1モータ)と、第3アーム部75に対してハンド13を回動させるための第2モータと、第1モータの回転を減速してアーム14に伝達する第1減速機と、第2モータの回転を減速してハンド13に伝達する第2減速機とを備えていても良い。
【0073】
この場合には、第1減速機および第2減速機は、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機であり、第1減速機および第2減速機は、その軸中心と、第1アーム部23に対する第2アーム部24の回動中心、第2アーム部24に対する第3アーム部75の回動中心、または、第3アーム部75に対するハンド13の回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、関節部26、関節部77または関節部78の一部を構成している。また、この場合には、中空状に形成され内部の圧力が大気圧となっている第1アーム部23、第2アーム部24または第3アーム部75の内部空間に、第1モータと第2モータと第1減速機と第2減速機とが配置されている。この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(産業用ロボットの変形例5)
上述した形態では、アーム14は、第1アーム部23と第2アーム部24との2個のアーム部によって構成されているが、アームは、4個のアーム部によって構成されても良い。この場合のアームは、本体部15にその基端側が回動可能に連結される第1アーム部と、第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部と、第2アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第3アーム部と、第3アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第4アーム部とから構成されている。ハンド13は、第4アーム部の先端側に回動可能に連結されている。ロボット1は、第1アーム部に対して第2アーム部を回動させるための第1モータと、第2アーム部に対して第3アーム部を回動させるための第2モータと、第3アーム部に対して第4アーム部を回動させるための第3モータと、第4アーム部に対してハンドを回動させるための第4モータと、第1モータの回転を減速して第2アーム部に伝達する第1減速機と、第2モータの回転を減速して第3アーム部に伝達する第2減速機と、第3モータの回転を減速して第4アーム部に伝達する第3減速機と、第4モータの回転を減速してハンドに伝達する第4減速機とを備えている。
【0075】
また、この場合には、第1減速機、第2減速機、第3減速機および第4減速機は、減速機48と同様に、その径方向の中心に貫通孔が形成される中空減速機である。第1減速機、第2減速機、第3減速機および第4減速機のうちの少なくとも2個の減速機は、その軸中心と、第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心、第2アーム部に対する第3アーム部の回動中心、第3アーム部に対する第4アーム部の回動中心、または、第4アーム部に対するハンドの回動中心とが一致するように同軸上で重なるように配置されるとともに、第1アーム部と第2アーム部とを繋ぐ第1関節部、第2アーム部と第3アーム部とを繋ぐ第2関節部、第3アーム部と第4アーム部とを繋ぐ第3関節部、または、第4アーム部とハンドとを繋ぐ第4関節部の少なくとも一部を構成している。また、中空状に形成され内部の圧力が大気圧となっている第1アーム部、第2アーム部、第3アーム部または第4アーム部の内部空間に、同軸上で重なるように配置される少なくとも2個の減速機と、この少なくとも2個の減速機に連結される第1モータ、第2モータ、第3モータおよび第4モータのうちの少なくとも2個のモータとが配置されている。
【0076】
この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。なお、5個以上のアーム部によってアームを構成することも可能である。
【0077】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0078】
上述した形態では、ロボット1によって搬送される搬送対象物は有機ELディスプレイ用の基板2であるが、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、液晶ディスプレイ用のガラス基板であっても良いし、半導体ウエハ等であっても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、搬送対象物を搬送するためのロボットであるが、ロボット1は、溶接ロボット等の他の用途で使用されるロボットであっても良い。