(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記片面粘着シートを円周長さ100mm、軸方向長さ50mmの円筒に形成したときにおける径方向の反発力が、1.0N以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の片面粘着シート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、本発明の片面粘着シート1は、基材層2と、基材層2の一方面に積層される目止め層3と、目止め層3の一方面に粘着剤層4とを備えている。
【0019】
基材層2は、面方向に広がる不織布を含有する。好ましくは、不織布から構成され、多孔質体である。
【0020】
不織布を構成する繊維としては、例えば、合成樹脂繊維、金属繊維、天然繊維などが挙げられ、好ましくは、合成樹脂繊維が挙げられる。合成樹脂繊維としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂からなる繊維が挙げられ、好ましくは、熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられる。
【0021】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、例えば、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、例えば、セルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用し、または、2種以上を併用してもよい。
【0022】
好ましくは、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂が挙げられ、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンが挙げられる。
【0023】
不織布の目付は、25g/m
2以上であり、好ましくは、30g/m
2以上、より好ましくは、40g/m
2以上である。また、80g/m
2以下であり、好ましくは、70g/m
2以下である。目付量が上記下限を下回ると、片面粘着シート1の引張強度が低下し、その結果、被着(施工)対象の凹凸部などに貼着した際に片面粘着シート1が破損するおそれがある。一方、目付量が上記上限を上回ると、基材層2の剛性が増加し、被着対象の凹凸部に貼着した際の片面粘着シート1の反発力が増加するため、被着対象から片面粘着シート1の剥離が生じやすくなる。
【0024】
不織布の厚みは、例えば、60μm以上、好ましくは、80μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、400μm以下である。
【0025】
不織布の製法は、限定されず、例えば、乾式法、湿式法、スパンボンド法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ステッチボンド法、ニードルパンチ法、メルトブロー法、スパンレース法、スチームジェット法などが挙げられる。
【0026】
このような不織布は、市販のものを使用することができる。
【0027】
目止め層3は、粘着剤層4を構成する成分が基材層2に浸透することを防止するためのバリア層であり、基材層2の一方面に積層されている。
【0028】
目止め層3を構成する材料(目止材料)としては、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなどが用いられる。
【0029】
これらの熱可塑性樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0030】
熱可塑性樹脂は、好ましくは、オレフィン系樹脂、より好ましくは、ポリエチレンが挙げられる。
【0031】
目止め層3は、例えば、目止材料を熱溶融し、その溶融物を基材層2の一方面に塗布することにより積層される。これにより、基材層2/目止め層3の積層体が得られる。
【0032】
塗布方法は、例えば、ドクターブレード法、カレンダーロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工などが挙げられる。
【0033】
熱溶融の温度は、例えば、180℃以上、好ましくは、200℃以上であり、また、例えば、400℃以下、好ましくは、350℃以下である。
【0034】
また、目止め層3は、基材層2に対して接着剤を介してまたは転写させることにより積層することができる。
【0035】
このようにして得られる目止め層3の厚み(
図1において、側面図から露出している上下方向長さX)は、12μm以上であり、好ましくは、15μm以上である。また、35μm以下であり、好ましくは、25μm以下である。
【0036】
目止め層3の厚みが上記下限を下回ると、基材層2と目止め層3との接着強度(層間強度)が低下し、基材層2と目止め層3とが剥離し易くなる。一方、目止め層3の厚みが上記上限を上回ると、目止め層3の剛性が増加し、被着対象の凹凸部に貼着した際の片面粘着シート1の反発力が増加するため、被着対象から片面粘着シート1の剥離が生じやすくなる。
【0037】
粘着剤層4は、粘着組成物からシート状に形成されている。
【0038】
粘着組成物は、好ましくは、ゴム成分を含有している。
【0039】
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレン、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ビニルアルキルエーテルゴム、ポリビニルアルコールゴム、ポリビニルピロリドンゴム、ポリアクリルアミドゴム、セルロースゴムなどが挙げられる。
【0040】
防水性、気密性および耐久性の観点から、好ましくは、ブチルゴム、ポリイソブチレンが挙げられ、さらに粘着性の観点から、好ましくは、ブチルゴムおよびポリイソブチレンの組み合わせが挙げられる。
【0041】
ブチルゴムは、イソブテン(イソブチレン)および少量のイソプレンの共重合体(イソブチレン・イソプレンゴム)である。
【0042】
ブチルゴムの種類は特に限定されず、例えば、再生ブチルゴム、合成ブチルゴムなどが挙げられる。
【0043】
ブチルゴムは、同一種類を単独使用または異なる種類を併用することができる。
【0044】
ブチルゴムとして、好ましくは、加工性の観点から、再生ブチルゴムが挙げられる。
【0045】
また、再生ブチルゴムのムーニー粘度は、例えば、20〜100(ML
1+4、100℃)、好ましくは、25〜65(ML
1+4、100℃)である。
【0046】
ゴム成分がブチルゴムを含有する場合、ブチルゴムの配合割合は、ゴム成分に対して、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上であり、また、例えば、100質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。ブチルゴムの配合割合が上記した範囲内あれば、低温での粘着性を有効に防止することができる。
【0047】
ポリイソブチレンは、イソブチレンの重合体であり、粘度平均分子量が、例えば、50万以上、好ましくは、100万以上であり、また、例えば、300万以下、好ましくは、280万以下である。ポリイソブチレンの粘度平均分子量は、BASF社のカタログ「Oppanol B Types」(2005年版)の第2頁に記載される方法に従って、測定される。
【0048】
ポリイソブチレンは、同一種類を単独使用または異なる種類を併用することができる。
【0049】
ゴム成分がブチルゴムを含有する場合、ポリイソブチレンの配合割合は、ゴム成分に対して、0質量%を超過し、好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。ポリイソブチレンの配合割合が上記した範囲内あれば、低温での粘着性を有効に発揮させることができる。
【0050】
ブチルゴムおよびポリイソブチレンの配合割合(ブチルゴム/ポリイソブチレン)は、質量基準で、例えば、50/50〜100/0であり、好ましくは、70/30〜90/10である。
【0051】
ゴム成分の配合割合は、粘着組成物に対して、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
【0052】
粘着組成物は、ゴム成分以外に、好ましくは、軟化剤、粘着付与剤、充填材を含有する。
【0053】
軟化剤は、良好な粘着性を粘着剤層4に付与するために配合されており、例えば、パラフィン類、ワックス類、ナフテン類、アロマ類、アスファルト類、乾性油類(例えば、アマニ油など)、動植物油類、石油系オイル類(例えば、プロセスオイルなど)、ポリブテン、低分子量ポリエチレングリコール、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ステアリン酸またはそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類などが挙げられる。
【0054】
軟化剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0055】
軟化剤として、好ましくは、ポリブテンが挙げられる。
【0056】
軟化剤の40℃における動粘度は、例えば、100mm
2/s以上、好ましくは、200mm
2/s以上、より好ましくは、300mm
2/s以上であり、また、例えば、9000mm
2/s以下、好ましくは、2000mm
2/s以下、より好ましくは、1000mm
2/s以下である。軟化剤の40℃における動粘度が上記範囲内であると、低温における粘着性に優れる。
【0057】
軟化剤の動粘度は、JISK2283(2000)に準拠して測定され、具体的には、ガラス製毛管式粘度計装置により測定される。
【0058】
また、軟化剤の流動点は、例えば、−55℃以上、好ましくは、−30℃以上であり、また、例えば、−10℃以下、好ましくは、−15℃以下である。軟化剤の流動点が上記した範囲内にあれば、低温における粘着性を向上させることができる。
【0059】
流動点は、軟化剤を冷却したときに流動状態を保つことができる最低温度であって、例えば、JISK2269(1987)に準拠して、自動流動点試験器により測定される。
【0060】
軟化剤の配合割合は、ゴム成分100質量部に対して、80質量部以上、好ましくは、105質量部以上であり、また、例えば、150質量部以下であり、好ましくは、125質量部以下である。軟化剤の流動点が上記した範囲内にあれば、低温における粘着性を向上させることができる。
【0061】
粘着付与剤は、粘着剤層4の粘着力を向上させるとともに、高温においてゴム成分を軟化し易くするために任意に配合され、例えば、石油系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などが挙げられる。
【0062】
粘着付与剤は、単独使用または併用することができる。
【0063】
粘着付与剤として、好ましくは、石油系樹脂が挙げられる。
【0064】
粘着付与剤の配合割合は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上であり、また、例えば、200質量部以下、好ましくは、70質量部以下である。
【0065】
充填剤は、粘着剤層4を補強するために任意に配合され、例えば、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウムなど)、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
【0066】
充填剤の平均粒子径は、例えば、0.001〜10μmであり、また、JIS K5101に準拠して測定される350メッシュの篩残分が、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下であり、例えば、0.1質量%以上でもある。
【0067】
充填剤は、単独使用または併用することができる。
【0068】
充填剤として、好ましくは、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0069】
充填剤の配合割合は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、100質量部以上であり、また、例えば、400質量部以下、好ましくは、300質量部以下である。
【0070】
さらに、粘着組成物には、必要により、架橋剤、老化防止剤、可塑剤などの添加剤を、適宜の割合で配合することもできる。
【0071】
そして、粘着組成物は、上記した各成分を上記した割合で配合して、混練することにより得られる。
【0072】
混練には、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどのバッチ式混練機や、2軸混練機などの連続混練機などが用いられる。
【0073】
上記により得られた粘着組成物を、例えば、押出機、カレンダーロール、プレス機(熱プレス機)などの成形装置を用いて、シート状に成形することにより、粘着剤層4を得ることができる。
【0074】
好ましくは、基材層2/目止め層3の積層体の目止め層3表面上に、粘着剤層4を形成する。これにより、片面粘着シート1を製造することができる。
【0075】
粘着剤層4の形成には、好ましくは、粘着組成物を加熱する。
【0076】
加熱温度は、例えば、60℃以上、好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、180℃以下、好ましくは、160℃以下である。
【0077】
また、粘着剤層4は、2枚の剥離シートで粘着組成物を厚み方向に挟むことにより、粘着剤層4と、それを厚み方向に挟む2枚の剥離シートとを備える粘着シートとして得ることができる。そして、この場合、剥離シートの一方面を剥離し、粘着剤層4を目止め層3に圧着(転写)させることにより、片面粘着シート1を得ることができる。
【0078】
粘着剤層4の厚みは、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、400μm以下である。
【0079】
得られる片面粘着シート1の厚みは、例えば、例えば、150μm以上、好ましくは、200μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、750μm以下である。
【0080】
片面粘着シート1の粘着剤層4表面における粘着力は、−10℃において、3N/25mm以上、好ましくは、5N/25mm以上であり、また、例えば、80N/25mm以下、好ましくは、20N/25mm以下である。粘着力は、JTC規格(住宅外装テクニカルセンター規格)JTC S−0003に準じて測定される。
【0081】
片面粘着シート1の反発力は、例えば、1.00N以下、好ましくは、0.80N以下、より好ましくは、0.60N以下であり、また、例えば、0.01N以上である。この反発力は、片面粘着シート1を円周長さ100mm、軸方向長さ50mmの円筒に形成したときにおける径方向の反発力であり、その具体的な測定方法は実施例にて詳述する。
【0082】
片面粘着シート1の引張強度は、例えば、17N/15mm以上、好ましくは、例えば、25N/15mm以上であり、また、例えば、90N/15mm以下、例えば、80N/15mm以下である。これにより、被着対象の凹凸部などに貼着した際に片面粘着シート1の破損を抑制することができる。
【0083】
この片面粘着シート1は、例えば、防水気密用の粘着シートとして、各種施工対象に貼着される。施工対象としては、例えば、建造物の部材が好適に挙げられ、具体的には、例えば、住宅用の建材(例えば、窓周り部の周縁部、胴差部、屋根材、壁など)、建築・土木工事用に供する部材(例えば、貫通部、接合部など)などが挙げられる。
【0084】
そして、本発明の片面粘着シート1は、特定の基材層2と、特定の目止め層3と、粘着剤層4とを備え、かつ、特定の粘着力を備えているので、低温(例えば、−10〜5℃)において施工対象の凹凸部(角部)への粘着性に優れる。また、貼着時の作業性が良好であり、片面粘着シート1の引張強度および層間強度も良好である。
【0085】
よって、本発明の片面粘着シート1は、建造物などの屋外用途を含む各種施工対象に対して防水気密性を確実にかつ簡易に付与することができる。
【0086】
なお、本発明の片面粘着シート1は、例えば、粘着テープ、粘着フィルムなどを含んでいる。
【実施例】
【0087】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何らそれらに限定されない。
【0088】
実施例1
不織布(「T−1060−W−93」、江西国橋実業有限公司製)を用意し、不織布の一方面にポリエチレンからなる目止め層(厚さ15μm)を積層させた。これにより、基材層および目止め層の積層体を得た。
【0089】
次いで、表1の配合処方に従って各成分を混練することにより粘着組成物A(固形分100質量%)を調製した。
【0090】
この調製した粘着組成物Aを、上記積層体の目止め層の上面に70〜160℃にて、カレンダーロールにて糊引きすることにより、粘着剤層を目止め層の上面に積層させた。
【0091】
これにより、実施例1の片面貼着シートを製造した。
【0092】
実施例2〜4
目止め層の厚さ、基材および粘着剤層の種類を、表1および表2に記載の厚さや種類に変更した以外は、実施例1と同様にして、片面貼着シートを製造した。
【0093】
比較例1〜5
目止め層の厚さ、基材および粘着剤層の種類を、表1および表2に記載の厚さや種類に変更した以外は、実施例1と同様にして、片面貼着シートを製造した。なお、比較例4では、目止め層を積層させずに、粘着剤層を基材層に直接積層させた。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
表1中、配合処方欄において、特記する場合を除いて各成分の配合質量部数を示す。また、表中の略称を以下に詳述する。
・Sブチル再生ゴム:ムーニー粘度ML
1+4(100℃)44±6、縣護謨社製
・ブチル再生ゴム:ムーニー粘度ML
1+4(100℃)53±8、南通回力橡月交有限公司 海門社製
・オパノール B100EP:ポリイソブチレン、粘度平均分子量110万、BASFジャパン社製
・ポリブテンHV−15:ポリブテン、軟化剤、流動点−20℃、動粘度(40℃)655mm
2/s、JX日鉱日石エネルギー社製
・ポリブテンHV−300:ポリブテン、軟化剤、流動点0℃、動粘度(40℃)26000mm
2/s、JX日鉱日石エネルギー社製
・エスコレッツ1202:粘着付与剤、石油系樹脂、エクソン社製
・重質炭酸カルシウム:充填剤、篩残分(350メッシュ):0.5%以下(JIS K5101に準拠)、丸尾カルシウム社製
・バルノックDNB:架橋剤、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、キノイド化合物、大内新興化学工業社製
・T−1060−W−93:目付60g/m
2、PET不織布、厚さ320μm、江西国橋実業有限公司製
・K2030NW:目付30g/m
2、PET不織布、厚さ110μm、Kolon Industries社製
・E01020:目付20g/m
2、PET不織布、厚さ140μm、旭化成せんい社製
(評価)
(−10℃における粘着力)
各実施例および各比較例の片面粘着シートにおいて、JTC規格(住宅外装テクニカルセンター規格)JTC S−0003に準じて、粘着力を測定した。
【0097】
すなわち、幅25mm、長さ250mmの大きさに片面粘着シートを切断して、これを評価用サンプルとし、粘着剤層を針葉樹合板(農林水産省告示第1751号規定の針葉樹構造用合板、接着強度:特類、等級:1級、板面の品質:C−D)に貼着し、その後、質量2kgのローラーを1往復させることにより、評価用サンプルをステンレス板に圧着した。
【0098】
その後、評価用サンプルを−10℃で1時間養生した後、その温度で、剥離角度180度、引き剥がし速度300mm/minにより、針葉樹合板に対する−10℃における粘着力を測定した。この結果を表2に示す。
【0099】
(角部への粘着性)
被着体として、ラワン合板(厚さ5mm、幅50mm、長さ150mm)を用意した。各実施例および各比較例の片面貼着シート(幅50mm×長さ150mm)を−5℃の雰囲気で1時間養生した。その後、
図2に示すように、片面粘着シートをラワン合板5の長さ方向一端に貼着した。
【0100】
具体的には、ラワン合板5の下面に、粘着剤層の長さ方向半分4aが接触するように、片面粘着シートを下から圧着させた。次いで、ラワン合板5の一端を起点に、片面粘着シートを折り曲げて、粘着剤層の残り半分4bをラワン合板5の上面に接触させた。
【0101】
次いで、500gローラーにて、片面粘着シート1の上面をラワン合板5に5mm/秒の速度で押圧させることにより、粘着剤層4bをラワン合板5に強く貼着させた。
【0102】
その後、24時間、−5℃の雰囲気に静置した。
【0103】
このときの、ラワン合板一端の上面(
図2のA付近)において、粘着剤層4bとラワン合板表面との剥離している距離(長さ方向)を測定した。
【0104】
剥離している距離が、0mm以上5mm未満である場合を○、5mm以上10mm未満である場合を△、10mm以上である場合は×と評価した。この結果を表2に示す。
【0105】
(反発力)
各実施例および各比較例の片面粘着シートを長さ110mm、幅(軸方向長さ)50mmに切断した後、基材層が外側となり、長さ方向10mm(重複部分)が重なるように、円筒状(円周100mm)に丸めた(
図3A参照)。
【0106】
この円筒状片面粘着シートを、重ね合せ部分が下側となるように、引張圧縮試験機(ミネベア社製、「TECHNOGRAPH TG−2kN、NMB」)に配置した。次いで、圧縮側10mm/minにて、圧子を上方から下方に向かって円筒状片面粘着シートを押し込んだ。圧子が圧縮応力を感知してから、さらに直径長さの80%の距離を下方に(径方向に)押し込み(
図3B参照)、その時の応力を測定し、この応力を反発力とした。この結果を表2に示す。
【0107】
(粘着剤層のしみ出し評価)
各実施例および各比較例の片面粘着シートの基材層表面を観察し、表面に粘着剤層が観察されなかった場合を○、表面に粘着剤層が観察された場合を×と評価した。この結果を表2に示す。
【0108】
(片面粘着シートの引張強度)
各実施例および各比較例で用いた片面粘着シートを15mm、200mmのサイズに切断し、試験片とした。引張試験機(測定機械AG−20kNG、島津製作所社製)にて、試験片を、つかみ間隔100mm、引張速度500mm/minで引っ張ることにより、基材の強度を測定した。この結果を表2に示す。
【0109】
(層間強度)
−10℃の雰囲気以下で、各実施例および各比較例の片面粘着シート(長さ120mm、幅25mm)を、アルミニウム板に貼着し、2kgローラーで1往復することにより圧着し、その後、30分養生した。次いで、剥離速度300mm/min、剥離角度180℃で、片面粘着シートを引き剥がした。
【0110】
このとき、基材層と目止め層とが剥離し、目止め層と粘着剤層がアルニミウム板に残存した場合は、目止め層における層間強度が不十分であるため、×と評価し、粘着剤層がアルニミウム板に残存しなかった場合は、目止め層における層間強度が十分であるため、○と評価した。この結果を表2に示す。