(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該インターフェロンが、インターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される請求項7に記載の組成物。
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つが、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される、請求項6に記載の組成物。
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つが、HCV感染症の処置のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である、請求項6に記載の組成物。
請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩より前、後、または同時に、抗HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を投与することを特徴とする、請求項11に記載の治療剤。
該インターフェロンがインターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される、請求項13に記載の治療剤。
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つがインターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される、請求項12に記載の治療剤。
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つが、HCV感染症の処置のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である、請求項12に記載の治療剤。
【実施例】
【0074】
実施例1001:化合物1001の製造
【化4】
【化5】
工程1
ベンゼン(100 mL)中の(E)-3-(4-クロロフェニル)アクリル酸(18.3 g, 0.1 mol)およびEt
3N(20.2 g, 0.2 mol)の溶液に、DPPA(27.5 g, 0.1 mol)を滴下した。2時間撹拌した後、該溶液を濃縮し、クロマトグラフィー(Biotage, 移動相 20/80 EtOAc/ヘキサン)により精製して、16 gの中間体アジドを固形物として得た。この中間体を100 mLのPh
2CH
2中に溶解させ、得られた混合液を、30分かけて90℃までゆっくりと加熱した。該反応混合液を還流加熱し、この温度で3時間維持した。室温まで冷却した後、沈殿した固形物を濾過により集め、トルエンで洗浄して、9.5 gの7-クロロイソキノリン-1(2H)-オン(53%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ ppm 6.66 (d, J=7.05 Hz, 1 H), 7.18 (d, J=7.05 Hz, 1 H), 7.66 (s, 1 H) 7.67 (d, J=2.01 Hz, 1 H), 8.24 (d, J=2.27 Hz, 1 H);
13C NMR (101 MHz, DMSO-D
6) δ ppm 104.05, 125.62, 127.21, 128.54, 129.52, 130.77, 132.43, 136.55, 160.72; LC/MS, MS m/z (M+H)
+ 180.
【0075】
工程2
無水CH
3CN(500 mL)中の工程1(実施例1001)の生成物, 7-クロロイソキノリン-1(2H)-オン(36.33 g, 203 mmol)およびN-ブロモスクシンイミド(39.74 g, 223.3 mmol)のスラリーを、約2時間かけてゆっくりと穏やかに還流加熱し、穏やかな還流で1.5時間維持した。該反応液をLC/MSによりモニターし、完了後、該スラリーを3時間かけて室温までゆっくりと冷却した。沈殿した固形物を濾過により集め、CH
3CN(100 mL x 3)で洗浄して、47 g(90%)の4-ブロモ-7-クロロイソキノリン-1(2H)-オンを得た。この物質をさらなる精製は行わずに次の工程に用いた。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ ppm 7.46(s, 1H), 7.81 (dd, J=8.40, 2.00 Hz, 1 H), 7.88 (d, J=8.8 Hz, 1 H), 8.27(d, J=2.00 Hz, 1 H);
13C NMR (101 MHz, DMSO-D
6) δ ppm 96.68, 126.34, 127.58, 127.71, 130.73, 132.20, 133.47, 134.46, 159.88; LC/MS, MS m/z (M+H)
+ 258.
【0076】
工程3
POCl
3(200 mL, 2.15 mol)中の工程2(実施例1001)生成物, 4-ブロモ-7-クロロイソキノリン-1(2H)-オン(47 g, 182 mmol)の不均一な溶液を、1時間かけてゆっくりと還流加熱した。この加熱プロセスの間に、該反応混合液は均一になったことに留意すべきである。該反応混合液を、還流で4時間維持した後、室温まで冷却し、減圧濃縮して過剰量のPOCl
3を除去した。残留したPOCl
3の完全な除去を確実なものとするために、該残渣をCH
2Cl
2または別法としてトルエン中に溶解させ、減圧濃縮した。このプロセスを必要に応じて繰り返した。(注記:POCl
3は、ガラス容器中において適切に処分した(その旨をラベルで表示した)。)該残渣を600 mLのCH
2Cl
2に溶解させ、-35℃まで冷却し、中和した後、該混合液がわずかに塩基性(pH = 8)になるまで、1N NaOH(400 mL)を用いて慎重に塩基性化させた。有機層を分離し、H
2Oで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧濃縮した。残った固形物を、EtOAc(約50 mL)から結晶化させて、32 gの4-ブロモ-1,7-ジクロロイソキノリンを得た。結晶化プロセスからの母液を濃縮し、Biotage(16% EtOAc/ヘキサン)により精製して、さらなる4 gの4-ブロモ-1,7-ジクロロイソキノリンを固形物として得た。合計で、36 g(73%)の4-ブロモ-1,7-ジクロロイソキノリンを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 7.80 (dd, J=8.81, 2.01 Hz, 1 H), 8.14 (d, J=9.06 Hz, 1 H), 8.34 (d, J=1.76 Hz, 1 H), 8.48 (s, 1 H);
13C NMR (101 MHz, DMSO-D
6) δ ppm 118.39, 125.06, 127.59, 128.71, 133.89, 134.14, 134.93, 143.18, 148.98; LC/MS, MS m/z (M+H)
+ 275.
【0077】
工程4
THF(500 ml)中の工程3(実施例1001)の生成物, 4-ブロモ-1,7-ジクロロイソキノリン(22.16 g, 80 mmol)のスラリーの溶液(-78℃で維持)に、1.6 M n-BuLi/ヘキサン(100 mL, 160 mmol)をカニューレによって15分かけて滴下した(内部温度を<-65℃に維持した)。該溶液を0.5時間撹拌し、(i-PrO)
3B(37 ml, 160 mmol)をシリンジによって10分かけて滴下した(内部温度を<-65℃に維持した)。該反応混合液を0.5時間撹拌し、30% H
2O
2(80 ml, 776 mmol)を滴下漏斗によって10分かけて滴下した(この添加の間に内部温度は-60℃まで上昇した)後、1N NaOH溶液(80 ml, 80 mmol)を加えた。冷却浴を取り外し、該反応混合液を室温まで昇温させ、さらに1時間撹拌した。LC/MSによって該反応の完了を確認した後、該反応混合液を-40℃まで冷却し、400 mLのH
2O中の100 gのNa
2SO
3(0.793 mol)の溶液を30分かけて滴下した(内部温度を5〜10℃に維持した)。得られたスラリーを、6 N HCl(約50 ml)で0℃にて中和して、pH 〜6にした。該混合液を500 mlのEtOAcで希釈し、2 Lの分液漏斗にデカントした。該反応容器中に残った固形物に、500 mLのH
2Oおよび300 mlのEtOAcを加え、該混合液を6 N HCl(約20 ml)で中和した。分液漏斗中で有機層を合わせて、食塩水(300 ml x 3)およびH
2O(200 ml x 3)で洗浄した。有機相を、MgSO
4で乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去し、濃縮し、粗生成物を得て、それを50 mlのEtOAcを用いてトリチュレートした。得られた固形物を濾過により集め、EtOAc(3 x 25 ml)ですすぎ、乾燥させて、1,7-ジクロロイソキノリン-4-オールを得た(2回操作: 12.0 g, 70%および13.8 g, 81%)。濾液を合わせて、濃縮し、Biotage(35% EtOAc/ヘキサン)により精製して、さらなる2.1 gのBMS-796007を得た。合計で、27.9 g(82%)の1,7-ジクロロイソキノリン-4-オールを得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ ppm 4.05 (s, 3 H), 7.4 (s, 1 H), 7.76 (dd, J=8.8, 2, Hz, 1 H), 8.16 (d, J=2 Hz, 1 H), 8.23 (d, J=8.8 Hz, 1 H);
13C NMR (101 MHz, DMSO-D
6) δ ppm 123.78, 124.66, 125.62, 127.03, 127.71, 130.72, 133.80, 137.63; 148.88; LC/MS, MS (m/z) (M+H)
+ 213.
【0078】
工程5
1,7-ジクロロ-4-メトキシイソキノリンの製造:
MeOH/CH
3CN(30 mL/300 mL)中の工程4(実施例1001)の生成物, 1,7-ジクロロイソキノリン-4-オール(16 g, 75.5 mmol)のスラリー(0℃で維持)に、ヘキサン中のTMSCHN
2の2 M溶液(60 ml , 120 mmol)を滴下した。該反応混合液を室温まで昇温させ、14時間撹拌した。該溶液を濃縮し、残留固形物をEtOAc(約50 mL)から再結晶化させて8.1 gの1,7-ジクロロ-4-メトキシイソキノリンを得て、それを25% EtOAc/ヘキサンで洗浄した。該母液を濃縮し、Biotage(16% EtOAc/ヘキサン)により精製して、さらなる3.2 gの1,7-ジクロロ-4-メトキシイソキノリンを固形物として得た。合計で、11.3 g(66%)の1,7-ジクロロ-4-メトキシイソキノリンを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 4.05 (s, 3 H), 7.67 (dd, J=9.06, 2.01 Hz, 1 H), 7.80 (s, 1 H), 8.16 (d, J=8.81 Hz, 1 H), 8.23 (d, J=2.01 Hz, 1 H);
13C NMR (101 MHz, DMSO-D
6) δ ppm 56.68, 122.70, 123.99, 124.14, 126.67, 127.83, 131.43, 134.10, 139.75, 149.94; LC/MS, MS m/z (M+H)
+ 228.
【0079】
1,7-ジクロロ-4-(D
3-メトキシ)イソキノリンの製造:
アセトン(10 mL)中の工程4(実施例1001), 1,7-ジクロロイソキノリン-4-オール(321 mg, 1.5 mmol)、ICD
3(217 mg, 1.500 mmol)、およびK
2CO
3(622 mg, 4.50 mmol)の混合液を20時間還流した。濾過後、該濾液を濃縮し、Biotage(10% 酢酸エチル/ヘキサンで溶出)により精製して、250 mgの目的の生成物を固形物として得た。 LC/MS, MS (m/z) (M+H)
+ 231.09.
【0080】
工程6
工程5(実施例1001)の生成物, 1,7-ジクロロ-4-メトキシイソキノリン(4.52 g, 20 mmol)、(2S,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸(5.08 g, 22 mmol)およびt-BuOK(6.72 g, 60 mmol)の混合物に、10℃で撹拌しながら、DMSO(200 mL)を加えた。得られたスラリーを30分間超音波処理して、均一な溶液を得て、それを室温で3時間撹拌した。該反応混合液を0℃まで冷却し、H
2O(50 ml)を加えることによってクエンチした。該混合液を、1 N HCl水溶液を慎重に加えることによって、中和した後、最終的にpH 5まで酸性化した。該混合液をEtOAc(400 mL)で抽出し、有機層を食塩水(200 mL)、H
2O(200 mLx2)で洗浄した後、MgSO
4で乾燥させ、減圧濃縮して、8.36 gのクルードな固形物 (2S,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-(7-クロロ-4-メトキシイソキノリン-1-イルオキシ)ピロリジン-2-カルボン酸を得た。この物質をさらなる精製は行わずに次の工程に用いた。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ ppm 2.34 - 2.47 (m, 1 H), 2.62 - 2.77 (m, 1 H), 3.70 - 3.92 (m, 2 H), 4.42 - 4.59 (m, 1 H), 5.65 (brs, 1 H), 7.54 (s, 1 H), 7.68 (dd, J=8.81, 2.01 Hz, 1 H), 8.02 - 8.13 (m, 2 H);
13C NMR (126 MHz, DMSO-D
6) δ ppm 13.90, 14.04, 20.71, 22.02, 27.84, 27.98, 30.91, 35.00, 35.87, 51.84, 52.08, 56.21, 57.49, 57.80, 59.70, 73.32, 73.87, 79.14, 79.19, 119.11, 119.77, 122.38, 123.35, 128.50, 130.95, 132.25, 145.70, 151.94, 153.25, 153.71, 173.51, 173.98; MS (M+H)
+ 423.
【0081】
工程7
CH
2Cl
2(200 mL)中の工程6(実施例1001)の生成物, (2S,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-(7-クロロ-4-メトキシイソキノリン-1-イルオキシ)ピロリジン-2-カルボン酸(8.36 g, 19.8 mmol)、(1R,2S)-1-アミノ-N-(シクロプロピルスルホニル)-2-ビニルシクロプロパンカルボキサミド TsOH塩(9.64g, 24 mmol)、およびiPr
2EtN(17.4 mL, 100 mmol)の溶液に、HATU(11.4 g, 31 mmol)を加えた。該反応混合液を16時間撹拌し、減圧濃縮し、残渣をEtOAc(300 mL)中に溶解させ、1 N HCl(50 mL x 3)、水(30 mL x 2)、および食塩水(50 ml x 2)で連続的に洗浄した。有機性物質をMgSO
4で乾燥させ、濃縮し、Biotage(25% アセトン/ヘキサン)を用いて精製して、11.5 gの粗生成物 (2S,4R)-tert-ブチル 4-(7-クロロ-4-メトキシイソキノリン-1-イルオキシ)-2-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピルカルバモイル)ピロリジン-1-カルボキシレートを得た。この化合物を、MeOH(40 mL)から結晶化させることによって精製し、11 g(88%)の結晶性の固形物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ ppm 1.03 - 1.31 (m, 8 H), 1.43 (s, 9H), 1.88 (dd, J=8.06, 5.54 Hz, 1 H), 2.17 - 2.36 (m, 2 H), 2.53 (dd, J=13.72, 6.42 Hz, 1 H), 2.90 - 3.03 (m, 1 H), 3.72 - 3.93 (m, 2 H), 4.40 (dd, J=9.69, 6.92 Hz, 1 H), 5.13 (d, J=10.32 Hz, 1 H), 5.31 (d, J=17.12 Hz, 1 H), 5.65 - 5.93 (m, 2 H), 7.55 (s, 1 H), 7.70 (dd, J=8.94, 2.14 Hz, 1 H), 8.06 (d, J=2.01 Hz, 1 H), 8.09 (d, J=8.81 Hz, 1 H);
13C NMR (126 MHz, DMSO-D
6) δ ppm 5.47, 5.57, 5.75, 19.85, 22.38, 27.90, 27.99, 30.65, 30.72, 32.11, 33.81, 35.11, 36.30, 40.86, 41.59, 48.56, 52.39, 52.76, 56.24, 58.76, 59.21, 73.57, 74.06, 79.28, 80.06, 117.80, 119.16, 119.81, 119.88, 122.14, 123.48, 128.52, 131.00, 132.28, 133.38, 145.72, 151.77, 151.86, 154.06, 168.38, 169.13, 172.46, 173.27; MS: (M+H)
+ 635.
【0082】
工程8
50 mLのMeOH(3 mlの濃HClを含む)中の工程7(実施例1001)の生成物, (2S,4R)-tert-ブチル 4-(7-クロロ-4-メトキシイソキノリン-1-イルオキシ)-2-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピルカルバモイル)ピロリジン-1-カルボキシレート(6.34 g, 10 mmol)のスラリーを、2時間還流した。該溶液を室温まで冷却し、減圧濃縮した。固体の残渣を乾燥Et
2O(50 ml)に溶解させ、該溶液を減圧濃縮した。このプロセスを5回繰り返すことにより、水および溶解したHClの完全な除去を確実なものとし、6.07 gの(2S,4R)-4-(7-クロロ-4-メトキシイソキノリン-1-イルオキシ)-N-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピル)ピロリジン-2-カルボキサミドをHCl塩として得た(100%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ ppm 0.96 - 1.21 (m, 3 H), 1.22 - 1.30 (m, 1 H), 1.38 (dd, J=9.57, 5.54 Hz, 1 H), 1.95 (dd, J=8.06, 5.79 Hz, 1 H), 2.25 - 2.46 (m, 2 H), 2.83 - 3.08 (m, 2 H), 3.75 - 3.90 (m, 2 H), 4.01 (s, 3 H), 4.70 (dd, J=10.32, 7.81 Hz, 1 H), 5.10 - 5.20 (m, 1 H), 5.33 (d, J=17.12 Hz, 1 H), 5.58 - 5.76 (m, 1 H), 5.88 (s, 1 H), 7.57 (s, 1 H), 7.74 (dd, J=8.81, 2.01 Hz, 1 H), 8.12 (d, J=9.06 Hz, 1 H), 8.28 (d, J=2.01 Hz, 1 H);
13C NMR (101 MHz, CD
3OD) δ ppm 6.52, 6.65, 22.60, 31.99, 34.63, 37.04, 43.18, 52.95, 56.85, 60.56, 76.08, 119.06, 119.10, 121.65, 123.93, 124.63, 130.72, 132.37, 133.78, 134.76, 148.49, 153.02, 170.08, 170.67; LC/MS MS m/z (M+H)
+ 535.
【0083】
工程9
100 mLのCH
2Cl
2中の工程8(実施例1001)の生成物, HCl塩としての(2S,4R)-4-(7-クロロ-4-メトキシイソキノリン-1-イルオキシ)-N-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピル)ピロリジン-2-カルボキサミド(6.07 g, 10 mmol)の溶液(0℃に維持)に、8.7 mLのiPr
2EtN(50 mmol)、続いてBoc-L-tert-ロイシン(2.772 g, 12 mmol)およびHATU(5.7 g, 15 mmol)を加えた。該反応混合液を室温まで昇温させ、16時間撹拌した後、減圧濃縮し、残渣をEtOAc(300 mL)に溶解させた。該EtOAc溶液を1N HCl(50 mL x 3)、H
2O(30 mL x 2)、および食塩水(50 ml x 2)で連続的に洗浄した。有機相を、MgSO
4で乾燥させ、減圧濃縮し、Biotage(33% アセトン/ヘキサン)を用いて精製して粗生成物を得て、7 g(94%)の目的の生成物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ ppm 1.00-1.06 (m, 11 H), 1.16 (s, 9 H), 1.14-1.24 (m, 2 H), 1.44 (dd, J=9.32, 5.29 Hz, 1 H), 1.88 (dd, J=8.06, 5.54 Hz, 1 H), 2.17 - 2.39 (m, 2 H), 2.59 (dd, J=13.85, 6.80 Hz, 1 H), 2.87 - 3.02 (m, 1 H), 4.00 (s, 3 H), 4.01 - 4.14 (m, 1 H), 4.17 - 4.24 (m, 1 H), 4.43 (d, J=12.09 Hz, 1 H), 4.52 - 4.65 (m, 1 H), 5.12 (d, J=10.07 Hz, 1 H), 5.30 (d, J=16.87 Hz, 1 H), 5.65 - 5.91 (m, 2 H), 7.56 (s, 1H), 7.68 (d, J=9.06 Hz, 1 H), 8.05 (s, 1 H), 8.09 (d, J=9.06 Hz, 1 H);MS: (M+H)
+ 748.
【0084】
工程10
工程9(実施例1001)の生成物, tert-ブチル (S)-1-((2S,4R)-4-(7-クロロ-4-メトキシイソキノリン-1-イルオキシ)-2-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イルカルバメート(2.469 g, 3.3 mmol)に、4M HCl(8.25 mL, 33.0 mmol)/1,4-ジオキサンを加えた。得られた溶液を25℃で3時間撹拌した。減圧下で濃縮した後、残渣に、エーテル(20mL)を加え、次いで再び濃縮し、該手順を3回繰り返した。一般的な減圧装置で乾燥させて、2.36 g(100%)の粗生成物を固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに次の工程に用いた。 MS: (M+H)
+ 648.50.
【0085】
工程11
CH
2Cl
2(体積:3 mL)中の工程10(実施例1001)の生成物, (2S,4R)-1-((S)-2-アミノ-3,3-ジメチルブタノイル)-4-(7-クロロ-4-メトキシイソキノリン-1-イルオキシ)-N-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピル)ピロリジン-2-カルボキサミド, HCl(30 mg, 0.044 mmol)、反応物2(9.56 mg, 0.048 mmol)、およびN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.038 mL, 0.219 mmol)の溶液を、16時間撹拌した。濃縮後、残渣をプレパラティブHPLCにより精製して、21 mg(64%)の目的の生成物である化合物1001を固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 0.99 - 1.13 (m, 11 H), 1.17 (s, 6 H), 1.21 - 1.32 (m, 2 H), 1.45 (dd, J=9.4, 5.4 Hz, 1 H), 1.89 (dd, J=8.2, 5.4 Hz, 1 H), 2.20 - 2.35 (m, 2 H), 2.61 (dd, J=13.7, 6.9 Hz, 1 H), 2.91 - 3.01 (m, 1 H), 4.01 (s, 3 H), 4.03 - 4.12 (m, 1 H), 4.18 - 4.23 (m, 1 H), 4.43 (s, 1 H), 4.57 (dd, J=10.2, 7.2 Hz, 1 H), 5.14 (dd, J=10.3, 1.5 Hz, 1 H), 5.32 (d, J=17.1 Hz, 1 H), 5.71 - 5.85 (m, 2 H), 7.58 (s, 1 H), 7.69 (dd, J=8.5, 1.8 Hz, 1 H), 8.06 (d, J=1.8 Hz, 1 H), 8.10 (d, J=8.8 Hz, 1 H); MS: (M+H)
+ 751.31.
【0086】
実施例1002:化合物1002の製造
【化6】
化合物1002を、化合物1001の製造について記載されたものと同様の方法によって製造した, MS: (M+H)
+ 754.35。
【0087】
実施例1003:化合物1003の製造
【化7】
化合物1003を、化合物1001の製造について記載されたものと同様の方法によって製造した, MS: (M+H)
+ 757.35。
【0088】
(生物学的研究)
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体酵素アッセイおよび細胞ベースのHCVレプリコンアッセイを、下記の通り当業者に公知の情報を用いて調製し、実施し、検証した。
【0089】
組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の産生
BMS株、H77株またはJ4L6S株由来のHCV NS3プロテアーゼ複合体を、下記のとおり産生した。これらの精製した組換えタンパク質を、均一アッセイ(下記参照)において使用するために産生し、HCV NS3タンパク質分解活性の阻害において本発明の化合物がいかに有効であるかを示した。
【0090】
HCV感染患者からの血清を、サンフランシスコ病院のT.Wright医師から得た。HCVゲノム(BMS株)の設計された完全長cDNA(相補デオキシリボ核酸)鋳型を、血清RNA(リボ核酸)の逆転写-PCR(RT-PCR)によって得たDNAフラグメントから、他の遺伝子型1a株の間の相同性に基づいて選択したプライマーを使用して作製した。全ゲノム配列の決定から、Simmondsらの分類に従って、HCV分離株に対して遺伝子型1aを割り当てた(P Simmonds, KA Rose, S Graham, SW Chan, F McOmish, BC Dow, EA Follett, PL Yap and H Marsden, J. Clin. Microbiol., 31(6), 1493-1503 (1993)を参照)。非構造領域NS2-5Bのアミノ酸配列は、HCV遺伝子型1a(H77)に>97%同一であり、遺伝子型1b(J4L6S)に87%同一であることが示された。感染性クローンH77(1a遺伝子型)およびJ4L6S(1b遺伝子型)は、R. Purcell(NIH)から得ており、該配列はGenbankにおいて公開されている(AAB67036は、Yanagi,M., Purcell,R.H., Emerson,S.U. and Bukh, J. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94(16), 8738-8743 (1997)参照;AF054247は、Yanagi,M., St Claire,M., Shapiro,M., Emerson,S.U., Purcell,R.H. and Bukh, J., Virology 244 (1), 161-172. (1998)参照)。
【0091】
組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体の産生のために、該H77およびJ4L6S株を用いた。これらの株について組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体(アミノ酸1027〜1711)をコードするDNAを、P. Gallinariらによる記載の通りに操作した(Gallinari P, Paolini C, Brennan D, Nardi C, Steinkuhler C, De Francesco R. Biochemistry. 38(17):5620-32, (1999)参照)。手短に言うと、3つのリシンの可溶化尾部を、NS4Aコード領域の3'-末端に付加した。NS4A-NS4B切断部位のP1位置におけるシステイン(アミノ酸1711)をグリシンに変えて、リシンタグ(lysine tag)のタンパク分解性切断を回避した。さらに、システインからセリンへの変異を、アミノ酸ポジション1454にPCRによって導入し、NS3ヘリカーゼドメインにおける自己分解性切断を防いだ。改変を加えたP. Gallinariらにより記載されたプロトコール(Gallinari P, Brennan D, Nardi C, Brunetti M, Tomei L, Steinkuhler C, De Francesco R., J Virol. 72(8):6758-69 (1998)参照)に従って、該変異DNAフラグメントをpET21b細菌発現ベクター(Novagen)においてクローニングし、NS3/4A複合体を大腸菌株BL21(DE3)(Invitrogen)において発現させた。手短に言うと、該NS3/4Aプロテアーゼ複合体発現を、0.5ミリモル(mM)のイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて、20℃で22時間(h)誘導した。典型的な発酵(1リットル(L))によって、約10グラム(g)の湿細胞ペーストを得た。該細胞を、25 mM N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)(HEPES), pH 7.5、20%グリセロール、500 mM 塩化ナトリウム(NaCl)、0.5% Triton X-100、1マイクログラム/ミリリットル(「mg/mL」)リゾチーム、5 mM 塩化マグネシウム(MgCl
2)、1 mg/ml DnaseI、5 mM β-メルカプトエタノール(βME)、プロテアーゼ阻害剤-エチレンジアミン四酢酸(EDTA)非含有(Roche)から成る溶解バッファー(10 mL/g)に再懸濁させ、ホモジナイズし、4℃で20分(min)間インキュベートした。該ホモジネートを超音波処理し、4℃にて、235000 gで1時間(h)超遠心処理することによって清澄にした。イミダゾールを上清に加えて15 mMの最終濃度にし、pHを8.0に調整した。粗タンパク質抽出物を、バッファーB(25 mM HEPES、pH 8.0、20%グリセロール、500 mM NaCl、0.5% Triton X-100、15 mM イミダゾール、5 mM βME)で予め平衡化したニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)カラムにロードした。試料を、流速1 mL/分でロードした。該カラムを15カラム容量のバッファーC(0.2% Triton X-100以外はバッファーBと同一)で洗浄した。タンパク質を5カラム容量のバッファーD(200 mM イミダゾール以外はバッファーCと同一)で溶出した。
【0092】
NS3/4Aプロテアーゼ複合体-含有画分をプールし、バッファーD(25mM HEPES、pH 7.5、20%グリセロール、300 mM NaCl、0.2% Triton X-100、10 mM βME)で予め平衡化した脱塩カラムSuperdex-S200にロードした。試料を流速1 mL/分でロードした。NS3/4Aプロテアーゼ複合体-含有画分をプールし、約0.5 mg/mlまで濃縮した。BMS、H77およびJ4L6S株由来のNS3/4Aプロテアーゼ複合体の純度は、SDS-PAGEおよび質量分析によって、90%超であると判断した。酵素は-80℃で保存し、アッセイバッファーに使用する前に、氷上で解凍して希釈した。
【0093】
HCV NS3/4Aタンパク質分解活性をモニターするためのFRETペプチドアッセイ
このin vitroアッセイは、本発明の化合物による、上記のBMS株、H77株もしくはJ4L6S株由来のHCV NS3プロテアーゼ複合体の阻害を測定することを目的とした。このアッセイにより、HCV NS3タンパク質分解活性の阻害において本発明の化合物がいかに有効であるかが示された。
【0094】
HCV NS3/4Aプロテアーゼ活性をモニターするために、NS3/4Aペプチド基質を用いた。該基質は、Anal. Biochem. 240(2):60-67 (1996)においてTalianiらにより記載されたRET S1(共鳴エネルギー移動デプシペプチド基質; AnaSpec, Inc. cat # 22991)(FRETペプチド)であった。このペプチドの配列は、切断部位においてアミド結合ではなくエステル結合が存在すること以外は、HCV NS3プロテアーゼのNS4A/NS4B天然切断部位に大まかに基づいている。該ペプチドはまた、ペプチドの一端近くに蛍光ドナーEDANSを、および他端の近くにアクセプターDABCYLを含有する。ペプチドの蛍光は、ドナーとアクセプター間の分子間の共鳴エネルギー移動(RET)によってクエンチされるが、NS3プロテアーゼがペプチドを切断するにつれ、生成物がRET消光から放出され、ドナーの蛍光が明らかになる。
【0095】
該ペプチド基質を、本発明の化合物の非存在下もしくは存在下において、3つの組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体のうちの1つと共にインキュベートした。Cytofluor Series 4000を用いて、蛍光性の反応生成物の形成をリアルタイムでモニターすることによって、化合物の阻害作用を決定した。
【0096】
試薬は以下の通りであった。HEPESおよびグリセロール(Ultrapure)はGIBCO-BRLから入手した。ジメチルスルホキシド(DMSO)はSigmaから入手した。β-メルカプトエタノールはBio Radから入手した。
【0097】
アッセイバッファー:50 mM HEPES, pH 7.5;0.15 M NaCl;0.1% Triton;15%グリセロール;10 mM βME。基質:2 μMの最終濃度(-20℃で保存したDMSO中の2 mMストック溶液から)。HCV NS3/4A プロテアーゼ1a(1b)型、2-3 nMの最終濃度(25 mM HEPES, pH 7.5、20%グリセロール、300 mM NaCl、0.2% Triton-X100、10 mM βME中の5 μM ストック溶液から)。アッセイ限界に近づいた効力を有する化合物については、50 μg/ml ウシ血清アルブミン(Sigma)をアッセイバッファーに加え、最終プロテアーゼ濃度を300 pMに下げることによって、該アッセイの感受性を高めた。
【0098】
該アッセイは、Falconの96-ウェルのポリスチレンブラックプレート中で実施した。各ウェルは、アッセイバッファー中の25 μlのNS3/4Aプロテアーゼ複合体、10% DMSO/アッセイバッファー中の50 μlの本発明の化合物、およびアッセイバッファー中の25 μlの基質を含有した。同一のアッセイプレート上に対照(化合物を含まない)も調製した。酵素複合体を化合物もしくは対照溶液と1分間混合した後、基質を添加して酵素反応を開始させた。該アッセイプレートを、Cytofluor Series 4000(Perspective Biosystems)を使用して直ちに読み取った。25℃にて340 nmの発光および490 nmの励起を読み取るように装置を設定した。通常、約15分間反応させた。
【0099】
以下の式:
100-[(δF
inh/δF
con)x100]
(式中、δFは曲線の線形範囲にわたる蛍光の変化である)を用いて阻害率を算出した。非線形曲線の当てはめを阻害-濃度データに適用し、Excel XLfit ソフトウェアの使用により、式、y=A+((B-A)/(1+((C/x)^D)))を用いて、50%有効濃度(IC
50)を算出した。
【0100】
2以上のタイプのNS3/4A複合体に対して試験した本発明の化合物は、同様の阻害特性を有することが見出されたが、該化合物は1a株に比べて1b株に対してより大きな効力を一様に示した。
【0101】
特異性アッセイ
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の阻害における本発明の化合物のin vitro選択性を示すために、他のセリンもしくはシステインプロテアーゼと比較した、特異性アッセイを実施した。
【0102】
様々なセリンプロテアーゼ:ヒト好中球エラスターゼ(HNE)、ブタ膵臓エラスターゼ(PPE)およびヒト膵臓キモトリプシン、ならびに1種のシステインプロテアーゼ:ヒト肝臓カテプシンBに対する、本発明の化合物の特異性を決定した。全ての場合において、セリンプロテアーゼアッセイについていくらか改変を加えて以前の記載(PCT特許出願第WO 00/09543号)のとおり、各酵素に特異的な蛍光分析のアミノ-メチル-クマリン(AMC)基質を用いた96-ウェルプレートフォーマットプロトコールを用いた。全ての酵素はSigma、EMDbiosciencesから購入し、一方、基質はBachem、SigmaおよびEMDbiosciencesから購入した。
【0103】
化合物濃度は、その効力によって100から0.4 μMで変動させた。該酵素アッセイは、各々、室温で10分間プレインキュベートした酵素-阻害剤に基質を加えることによって開始し、cytofluorによる測定として15%変換まで加水分解させた。
【0104】
各アッセイについての最終条件は下記の通りであった。
50 mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(トリス-HCl) pH 8、0.5 M 硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)、50 mM NaCl、0.1 mM EDTA、3% DMSO、0.01% Tween-20、ならびに5 μM LLVY-AMCおよび1 nM キモトリプシン。
50 M トリス-HCl, pH 8.0、50 mM NaCl、0.1mM EDTA、3% DMSO、0.02% Tween-20、5 μM succ-AAPV-AMC、および20 nM HNEもしくは8 nM PPE;
100 mM NaOAC(酢酸ナトリウム) pH 5.5、3% DMSO、1 mM TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、5 nM カテプシンB(酵素ストックは使用の前に20 mM TCEPを含有するバッファー中で活性化させた)、およびH
2O中に希釈した2 μM Z-FR-AMC。
【0105】
阻害率は、式:
[1-((UV
inh-UV
blank)/(UV
ctl-UV
blank))] x 100
を用いて算出した。
【0106】
非線形曲線の当てはめを阻害-濃度データに適用し、Excel XLfit ソフトウェアを用いて50%有効濃度(IC
50)を算出した。
【0107】
HCVレプリコンの産生
HCVレプリコン全細胞系(whole cell system)を、Lohmann V, Korner F, Koch J, Herian U, Theilmann L, Bartenschlager R., Science 285(5424):110-3 (1999)による記載のとおり確立した。この系により、本発明者は、HCV RNA複製における本発明のHCVプロテアーゼ化合物の効果を評価することができた。簡単に述べると、Lohmannの論文に記載されたHCV 株1b配列(受託番号:AJ238799)を用いて、HCV cDNAをOperon Technologies, Inc. (Alameda, CA)が合成し、次いで、完全長レプリコンを標準的な分子生物学的技法を用いてプラスミドpGem9zf(+)(Promega, Madison, WI)中に構築した。該レプリコンは、(i)カプシドタンパク質の最初の12個のアミノ酸に融合したHCV 5' UTR、(ii)ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo)、(iii)脳心筋炎ウイルス(EMCV)からのIRES、ならびに(iv)HCV NS3からNS5B遺伝子およびHCV 3' UTRから成る。プラスミドDNAをScaIで直線化し、RNA転写物を、メーカーの説明書に従ってT7 MegaScript転写キット(Ambion, Austin, TX)を用いて、in vitroで合成した。cDNAのin vitro転写物を、ヒト肝癌細胞株であるHUH-7にトランスフェクトした。HCVレプリコンを恒常的に発現している細胞の選択を、選択マーカーであるネオマイシン(G418)の存在下において行った。得られた細胞株を、経時的な、プラス鎖およびマイナス鎖RNA生成ならびにタンパク質生成についてキャラクタライズした。
【0108】
HCVレプリコンFRETアッセイ
HCVレプリコンFRETアッセイを、HCVウイルス複製における本発明に記載の化合物の阻害効果をモニターするために開発した。HCVレプリコンを恒常的に発現するHUH-7細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)(Sigma)および1 mg/ml G418(Gibco-BRL)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco-BRL)中で増殖させた。細胞を、前夜に、96-ウェル組織培養無菌プレート中に播種した(1.5 x 10
4細胞/ウェル)。化合物、および化合物を含有しない対照を、希釈プレートにおいて、4% FCS、1:100 ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco-BRL)、1:100 L-グルタミンおよび5% DMSOを含有するDMEM中で調製した(アッセイにおいて0.5% DMSO 最終濃度)。化合物/DMSO混合物を細胞に加え、37℃で4日間インキュベートした。4日後、CC
50読み取りのためにアラマーブルー(Trek Diagnotstic Systems)を用いて、初めに細胞毒性について細胞を評価した。細胞をインキュベートしている培地に1/10の容積のアラマーブルーを加えることにより、化合物の毒性(CC
50)を決定した。4時間後、Cytofluor Series 4000(Perspective Biosystems)を用いて、530 nmの励起波長および580 nmの発光波長で、各ウェルからの蛍光シグナルを読み取った。次いで、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(3回、150 μl)で完全にすすいだ。該細胞を、HCVプロテアーゼ基質、蒸留水で1倍に希釈した5X細胞ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(Promega #E153A)、150 mMの最終濃度まで加えたNaCl、100% DMSO中の2 mMストックから10 μMの最終濃度まで希釈したFRETペプチド基質(上記の酵素アッセイにおいて説明した通り)を含む、25 μlの溶解アッセイ試薬で溶解した。その後、該プレートを、340 nm励起/490 nm発光、21サイクルの自動モードに設定されたCytofluor 4000装置に設置し、プレートを運動モードで読み取った。IC
50決定について記載の通り、EC
50決定を行った。
【0109】
HCVレプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイ
二次アッセイとして、レプリコンFRETアッセイからのEC
50決定を、レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて確認した。レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイの利用は、Kriegerらによって最初に記載された(Krieger N, Lohmann V, and Bartenschlager R, J. Virol. 75(10):4614-4624 (2001))。本発明者らのFRETアッセイに記載のレプリコンコンストラクトを、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子のヒト化形態およびルシフェラーゼ遺伝子の3'-末端に直接融合しているリンカー配列をコードするcDNAを挿入することによって改変した。この挿入物は、ネオマイシンマーカー遺伝子の直接上流のコア中に位置するAsc1制限部位を用いて、レプリコンコンストラクトに導入された。1179位での適応的変異(セリンからイソロイシン)も導入した(Blight KJ, Kolykhalov, AA, Rice, CM, Science 290(5498):1972-1974)。このHCVレプリコンコンストラクトを恒常的に発現している安定な細胞株を、上記の通り産生した。ルシフェラーゼレポーターアッセイを、以下のとおり改変してHCVレプリコンFRETアッセイについての記載の通り設定した。37℃/5% CO
2インキュベーター中で4日間の後、Promega Dual-Gloルシフェラーゼアッセイシステムを使用して、ウミシイタケルシフェラーゼ活性について細胞を分析した。細胞を含有する各ウェルから培地(100 μl)を除去した。残った50 μlの培地に、50 μlのDual-Gloルシフェラーゼ試薬を加え、プレートを室温で10分〜2時間揺動させた。次いで、Dual-Glo Stop & Glo試薬(50 μl)を各ウェルに加え、プレートを室温でさらに10分〜2時間再び揺動させた。発光プログラムを用いて、Packard TopCount NXTにおいて、プレートを読み取った。
【0110】
阻害率を以下の式:
%対照=
実験ウェル(+化合物)における平均ルシフェラーゼシグナル
DMSO対照ウェル(−化合物)における平均ルシフェラーゼシグナル
を用いて算出した。
XLfitを用いて値をグラフ化し、分析して、EC
50値を得た。
【0111】
本発明は前述の例示的な実施例に限定されず、そしてその本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態において具体化することができることが当業者には明白であろう。従って該実施例は、あらゆる点で、制限するものではなく例示的なものとしてみなされ、そして、前述の実施例に対してよりはむしろ特許請求の範囲を参照すべきであり、従って、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内となる全ての変更を包含すると意図することが望ましい。