特許第6110854号(P6110854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6110854ガス・タービン・エンジンで使用するための予混合燃料空気を用いた接線方向環状燃焼器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6110854
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】ガス・タービン・エンジンで使用するための予混合燃料空気を用いた接線方向環状燃焼器
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/42 20060101AFI20170327BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20170327BHJP
   F23R 3/32 20060101ALI20170327BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20170327BHJP
   F23R 3/12 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   F23R3/42 C
   F23R3/42 B
   F23R3/28 D
   F23R3/32
   F02C7/22 C
   F23R3/12
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-527125(P2014-527125)
(86)(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公表番号】特表2014-524562(P2014-524562A)
(43)【公表日】2014年9月22日
(86)【国際出願番号】US2011048595
(87)【国際公開番号】WO2013028164
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2014年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】512302577
【氏名又は名称】トクァン,マジェド
【氏名又は名称原語表記】TOQAN, Majed
(73)【特許権者】
【識別番号】512302740
【氏名又は名称】グレゴリー,ブレント,アラン
【氏名又は名称原語表記】GREGORY, Brent, Allan
(73)【特許権者】
【識別番号】512302762
【氏名又は名称】リゲーレ,ジョナサン,デイビッド
【氏名又は名称原語表記】REGELE, Jonathan, David
(73)【特許権者】
【識別番号】512302751
【氏名又は名称】ヤマネ,ライアン,サダオ
【氏名又は名称原語表記】YAMANE, Ryan, Sadao
(74)【復代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【復代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091915
【弁理士】
【氏名又は名称】本城 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100099106
【弁理士】
【氏名又は名称】本城 吉子
(72)【発明者】
【氏名】トクァン,マジェド
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー,ブレント,アラン
(72)【発明者】
【氏名】リゲーレ,ジョナサン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヤマネ,ライアン,サダオ
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05177955(US,A)
【文献】 特開2010−261706(JP,A)
【文献】 特開2003−329242(JP,A)
【文献】 特開2010−181134(JP,A)
【文献】 米国特許第05113647(US,A)
【文献】 特開2008−309466(JP,A)
【文献】 特開2003−065538(JP,A)
【文献】 特開2007−170807(JP,A)
【文献】 特開2001−317739(JP,A)
【文献】 米国特許第5816041(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/00−60
F02C 7/22−236
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス・タービンエンジン用の環状の燃焼器において燃焼反応物を混合する方法であって、
前記燃焼器が、
外側シェル、内側シェル、前記外側シェルおよび前記内側シェルを連結して前記燃焼器の中心線まわりに配置された環状容積を形成する穿孔された前壁、ならびに前記前壁に対向し、前記中心線まわりに配置された環状の排出開口と、
前記前壁および前記排出開口の間において、前記中心線に直交する第1平面内に配置され、前記中心線まわりの円周方向に離間して前記外側シェルに配置された複数の第1ノズルと、
前記第1ノズルと前記前壁との間において、前記中心線に直交する第2平面内に配置され、前記中心線まわりの円周方向に離間して前記外側シェルに配置された複数の第2ノズルと、を含み、
前記方法が、
各前記第1ノズルが前記外側シェルの接線に対して角度をつけた方向に沿って前記環状容積内に予め混合された第1燃料空気混合気を噴射するようにして、全ての前記第1ノズルから前記環状容積内に予め混合された前記第1燃料空気混合気を噴射することにより、前記環状容積を通って前記燃焼器の中心線まわりに回転し、かつ前記環状容積を通って前記穿孔された前壁から前記排出開口に向かう方向の流れ場を形成するステップと、
各前記第2ノズルが前記外側シェルの接線に対して角度をつけた方向に沿って前記環状容積内に予め混合された第2燃料空気混合気を噴射するようにして、全ての前記第2ノズルから前記環状容積内に予め混合された前記第2燃料空気混合気を噴射するステップと、
圧縮機吐出空気を前記穿孔された前壁を通して前記環状容積を通る前記流れ場に導入するステップと、
を同時に実行して、燃焼を促進させ、NOxおよびCOの排出を減少させる燃料空気段階的効果を生じさせる、方法。
【請求項2】
前記予め混合された第1燃料空気混合気が第1燃料空気比を有し、前記予め混合された第2燃料空気混合気が第2燃料空気比を有し、前記第2燃料空気比が前記第1燃料空気比よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガス・タービンエンジン用の環状の燃焼器であって、
外側シェル、内側シェル、前記外側シェルおよび前記内側シェルを連結して前記燃焼器の中心線まわりに配置された環状容積を形成する穿孔された前壁、ならびに前記前壁に対向し、前記中心線まわりに配置された環状の排出開口と、
前記前壁および前記排出開口の間において、前記中心線に直交する第1平面内に配置され、前記中心線まわりの円周方向に離間して前記外側シェルに配置された複数の第1ノズルと、
前記第1ノズルと前記前壁との間において、前記中心線に直交する第2平面内に配置され、前記中心線まわりの円周方向に離間して前記外側シェルに配置された複数の第2ノズルと、を含み、
各前記第1ノズルが前記外側シェルの接線に対して角度をつけた方向に沿って前記環状容積内に予め混合された第1燃料空気混合気を噴射するようにして、全ての前記第1ノズルから前記環状容積内に予め混合された前記第1燃料空気混合気が噴射されることにより、前記環状容積を通って前記燃焼器の中心線まわりに回転し、かつ前記環状容積を通って前記穿孔された前壁から前記排出開口に向かう方向の流れ場が形成され、
各前記第2ノズルが前記外側シェルの接線に対して角度をつけた方向に沿って前記環状容積内に予め混合された第2燃料空気混合気を噴射するようにして、全ての前記第2ノズルから前記環状容積内に予め混合された前記第2燃料空気混合気が噴射され、
圧縮機吐出空気が前記穿孔された前壁を通して前記環状容積を通る前記流れ場に導入され、
それによって、燃焼を促進させ、NOxおよびCOの排出を減少させる燃料空気段階的効果を生じさせるように構成された、燃焼器。
【請求項4】
前記予め混合された第1燃料空気混合気が第1燃料空気比を有し、前記予め混合された第2燃料空気混合気が第2燃料空気比を有し、前記第2燃料空気比が前記第1燃料空気比よりも大きい、請求項3に燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス・タービン・エンジンにおいて、燃料空気混合気の燃焼を包含して生成するのを助ける装置に関する。このような装置には、限定はされないが、軍事用および民間用の航空機、発電、および、他のガス・タービンに関連する用途で使用される燃料空気ノズル、燃焼器ライナ、ケーシング、および流れ遷移部品が含まれる。
【背景技術】
【0002】
ガス・タービン・エンジンには、非常に高温、高圧、および高速で流れる燃焼ガスから仕事を引き出す機械装置が含まれる。引き出された仕事は、発電のために発電機を駆動したり、圧縮装置を駆動したり、航空機に必要な推進力を提供したりするために使用することができる。一般的なガス・タービン・エンジンは、大気が高圧に圧縮される多段式の圧縮機を備えている。次いで、圧縮された空気は、燃焼器において規定の燃料空気比に混合され、温度が上昇させられる。そして、高温かつ高圧の燃焼ガスは、仕事を引き出すタービンを通じて膨張され、用途に応じて、必要な推進力を提供したり、発電機を駆動したりする。タービンは、一列のブレードおよび一列のベーンからそれぞれが成る1つの段を少なくとも一段備えている。ブレードは、回転するハブ軸に円周方向に配列されており、各ブレードは、高温ガス流の経路に渡る高さを有している。回転しないベーンの各段は、円周方向に配置されており、ベーンもまた高温ガス流の経路を横切って延びている。包含される発明には、燃料および空気を上記の装置に導入するガス・タービン・エンジンの燃焼器および部品が含まれる。
【0003】
ガス・タービン・エンジンの燃焼器部は、サイロ型、筒/管型、環型、および、後者の2つを組み合わせて形成される環状筒型の燃焼器といった、いくつかの異なるタイプのものであり得る。この構成部品を通って、圧縮された燃料空気混合気は、燃料空気スワラを通過し、混合気の燃焼反応が起こり、高温ガス流を作り出し、その流れは密度が小さくされて下流へと加速していく。筒型の燃焼器は、各ノズルの火炎を個別に収める、円周方向に離間された個別の円筒を典型的には有している。そして、各円筒からの流れは、導管を通じて方向付けられ、第1段のNGVに入る前に、環状の遷移部品で合流される。環型のタイプの燃焼器では、燃料空気ノズルは、典型的には、円周方向に分配されており、混合気を単体の環状室に導入し、そこで燃焼が行われる。流れは、遷移部品を必要とすることなく、環の下流端から第1段タービンへと出ていくだけである。最後のタイプの環状筒型の燃焼器の大きな違いは、燃焼器が、各円筒に供給される空気の入った環状のケーシングによって包囲される個別の円筒を有していることである。各タイプとも用途に応じて利点および難点がある。
【0004】
ガス・タービン用の燃焼器では、いくつかの理由のために、燃料空気ノズルが混合気に旋回を与えることが典型的である。理由の1つは、混合を促進させて燃焼を増進させることであり、別の理由は、旋回を加えることで火炎を安定させて火炎が噴き出すのを防止することであり、それにより、燃料空気混合気の燃料をより薄くして排出物を減らすことができる。燃料空気ノズルは、それぞれに旋回羽根を備えた1つから複数の環状の入口など、異なる構成を取ることができる。
【0005】
他のガス・タービンの構成部品と同様に、燃焼器の材料が溶解するのを防止するための冷却方法の実施が必要とされる。燃焼器を冷却するための典型的な方法は、燃焼器ライナを追加的なオフセットライナで包囲することで実施されるしみ出し冷却である。圧縮機吐出空気は、それら2つのライナの間を通過し、希釈孔および冷却通路を通って高温ガス流通路に入る。この技術は、構成部品から熱を除去するとともに、ライナと燃焼ガスとの間に冷たい空気の薄い境界層膜を形成し、熱のライナへの移動を防ぐ。希釈孔は、ライナにおける軸方向の位置に依存して2つの目的を果たす。すなわち、燃料空気ノズルにより近い希釈孔は、ガスの混合を助けて燃焼を増進させるとともに、未燃焼の空気を燃焼のために供給する。そして、タービンにより近い希釈孔は、高温ガス流を冷却することになり、燃焼器出口の温度プロフィールを操作するように設計することができる。
【0006】
いくつかの方法および技術がガス・タービン・エンジン用の燃焼器の設計に取り入れられて、燃焼および低排出を改善できることは理解できる。ガス・タービンは、他の電力発電方法よりも汚染物質の生成が少なくなる傾向がある一方で、この分野における改善の余地はまだある。いくつかの国には排出物を規制する政府規則があり、技術はこれらの要件に対応するように向上していく必要がある。
【0007】
本発明に関連して、典型的な様式で運転することができる一方で、燃料空気混合気の燃焼で生じる汚染排出物を最小限に抑えることができる、新しい改良された燃焼器の設計が提供される。本発明は、前後方向および円周方向における様々な位置で、圧縮機吐出空気および圧縮された燃料を燃焼器へと導く、予め混合された燃料空気ノズルおよび/または希釈孔を備える典型的な環型の燃焼器から成る。本発明の独自の特徴は、燃料入口および空気入口が、燃焼反応物および生成物の混合を促進させる環境を作り出すような方法で配置されていることである。燃料をより多く含むように予め混合された燃料および空気のノズルを、下流側のノズルの別の組合せより上流側に段階分けすることは、燃焼反応物の混合を促進し、NOxの生成を著しく減らす、燃焼領域における特定の酸素濃度を作り出す。また、燃焼領域の下流への圧縮機吐出空気の導入は、燃焼の間に生成されたいずれのCOも、第1段タービンに入る前に燃やす/消費することができる。実質的に、燃焼器は、ガス・タービンの排出レベルを改善し、それにより、排出制御装置に対する必要性を小さくするとともに、この装置の環境影響を最小とする。この改善に加え、接線方向に点火する燃料と燃料空気ノズルとは、その火炎を隣接するバーナに向かわせ、燃焼器の点火過程を非常に高め、結果的に燃焼器を出ていく流れは、第1の段のNGVの必要な大きさを小さくする円周方向の大きな速度成分を有する。
この発明は、ガス・タービンエンジン用の環状の燃焼器において燃焼反応物を混合する方法を提供する。前記燃焼器は、外側シェル、内側シェル、前記外側シェルおよび前記内側シェルを連結して前記燃焼器の中心線まわりに配置された環状容積を形成する穿孔された前壁、ならびに前記前壁に対向し、前記中心線まわりに配置された環状の排出開口と、前記前壁および前記排出開口の間において、前記中心線に直交する第1平面内に配置され、前記中心線まわりの円周方向に離間して前記外側シェルに配置された複数の第1ノズルと、前記第1ノズルと前記前壁との間において、前記中心線に直交する第2平面内に配置され、前記中心線まわりの円周方向に離間して前記外側シェルに配置された複数の第2ノズルと、を含む。そして、前記方法は、各前記第1ノズルが前記外側シェルの接線に対して角度をつけた方向に沿って前記環状容積内に予め混合された第1燃料空気混合気を噴射するようにして、全ての前記第1ノズルから前記環状容積内に予め混合された前記第1燃料空気混合気を噴射することにより、前記環状容積を通って前記燃焼器の中心線まわりに回転し、かつ前記環状容積を通って前記穿孔された前壁から前記排出開口に向かう方向の流れ場を形成するステップと、各前記第2ノズルが前記外側シェルの接線に対して角度をつけた方向に沿って前記環状容積内に予め混合された第2燃料空気混合気を噴射するようにして、全ての前記第2ノズルから前記環状容積内に予め混合された前記第2燃料空気混合気を噴射するステップと、圧縮機吐出空気を前記穿孔された前壁を通して前記環状容積を通る前記流れ場に導入するステップと、を同時に実行して、燃焼を促進させ、NOxおよびCOの排出を減少させる燃料空気段階的効果を生じさせる。
この発明は、さらに、ガス・タービンエンジン用の環状の燃焼器を提供する。この燃焼器は、外側シェル、内側シェル、前記外側シェルおよび前記内側シェルを連結して前記燃焼器の中心線まわりに配置された環状容積を形成する穿孔された前壁、ならびに前記前壁に対向し、前記中心線まわりに配置された環状の排出開口と、前記前壁および前記排出開口の間において、前記中心線に直交する第1平面内に配置され、前記中心線まわりの円周方向に離間して前記外側シェルに配置された複数の第1ノズルと、前記第1ノズルと前記前壁との間において、前記中心線に直交する第2平面内に配置され、前記中心線まわりの円周方向に離間して前記外側シェルに配置された複数の第2ノズルと、を含む。そして、この燃焼器は、各前記第1ノズルが前記外側シェルの接線に対して角度をつけた方向に沿って前記環状容積内に予め混合された第1燃料空気混合気を噴射するようにして、全ての前記第1ノズルから前記環状容積内に予め混合された前記第1燃料空気混合気が噴射されることにより、前記環状容積を通って前記燃焼器の中心線まわりに回転し、かつ前記環状容積を通って前記穿孔された前壁から前記排出開口に向かう方向の流れ場が形成され、各前記第2ノズルが前記外側シェルの接線に対して角度をつけた方向に沿って前記環状容積内に予め混合された第2燃料空気混合気を噴射するようにして、全ての前記第2ノズルから前記環状容積内に予め混合された前記第2燃料空気混合気が噴射され、圧縮機吐出空気が前記穿孔された前壁を通して前記環状容積を通る前記流れ場に導入され、それによって、燃焼を促進させ、NOxおよびCOの排出を減少させる燃料空気段階的効果を生じさせるように構成されている。
前記予め混合された第1燃料空気混合気が第1燃料空気比を有し、前記予め混合された第2燃料空気混合気が第2燃料空気比を有し、前記第2燃料空気比が前記第1燃料空気比よりも大きいことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】外側燃焼器ライナに取り付けられるとともに、(図に示されていないノズルの前後方向にあり得る)燃焼器内に延びる円周方向かつ径方向を向くノズルを示す2次元の略図である。
図2】提案された段階的な燃料および空気の噴射を行う実例の環状の燃焼器の等角の側面図である。
図3】エンジン中心線および径方向によって区画された切断面での等角の断面図である。
図4図4Aは、本発明が備え得る前壁および穿孔された前壁を示す、後方に向かって見ている等角の側面図である。図4Bは、図4Aの写像の拡大図である。
図5図5Aは、出口ノズルおよび入口ノズルを示す、後方から前方への視点での実例の燃焼器の等角の正面図である。図5Bは、図5Aの写像の拡大図である。
図6】燃料空気ノズルの一般的なノズルの断面部分の配置を示す2次元の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、接線方向に向けられた燃料空気ノズルを備えた環状の燃焼器の一般的な前提となるものを示すものである。燃焼器は、前後方向において一定または変化する半径を有し得る外側シェル(またはライナ)1および内側シェル(またはライナ)2、ならびに、外側シェル1および内側シェル2を連結する前壁6から構成されている。図に見られるように、本発明の実例の構成では、主に円周方向を向く予め混合された燃料空気のノズル3が示されており、角度10は、外側ライナの接線8とノズル3の中心線9との間で形成されるが、その方向への径方向成分または前後方向成分を有してもよい。これらの様々なノズル3は、長手方向とエンジン中心線に沿う点とによって規定される共通の平面に共存してもよく、また、円周方向に等間隔とされてもよいし、または、円周方向の間隔にパターンを有していてもよい。ノズルは、予め混合された燃料空気混合気4を、外側シェル1、内側シェル2、および前壁6によって作り出される燃焼器容量内に導入する。燃料空気ノズル3によって噴射される反応物は、この領域内で燃焼し、エンジン中心線の周りに回転して燃焼器内を通る流れ場5を作り出す。燃料、空気、または、予め混合された燃料および空気が通過する上記のノズルは、図6に示すような大まかな構成を呈している。ノズルと同軸の円形領域12が、軸線方向のスワラおよび/またはパイロット燃料/空気ノズルを保持できる領域を包囲する。同軸の環状流路11は、通過する空気または予め混合された燃料空気混合気にほとんどから全く旋回を与えない。燃焼器に入る大きな接線速度を維持するために、あるとしても最小限の旋回が、環状流路を通る流れに導入される。この構成は、流れを、燃焼器の出口で最大の円周方向の速度成分を維持させることができ、これは、第1段のタービン・ベーンの必要な長さを短くできる。
【0010】
図2は、燃料ノズル3が、共通の平面に共存する円周方向に離間された第2の燃料空気ノズルの組合せの上流側(左側)に配置された、本発明の実例の構成を示す。燃料ノズル3の数は、少なくとも1つであればよく、限度なく増やすことができる。圧縮機吐出空気は、図3図4A、および図4Bに見られるように、穿孔された前壁6を通って燃焼器容積に導入されてもよい。前壁近くにある第1の列のノズルを通じて、燃料ノズル3の下流側で噴射される混合気を伴う第2の組合せのノズルよりも燃料の濃い燃料空気比を有し得る混合気が噴射され、その噴射は、部分負荷条件および/または全負荷条件において、燃焼器からのNOxおよびCOの排出を減少させる最適な燃焼環境を作り出すことになる、所望の混合および燃料空気の段階的効果を作り出せる。次いで、高温燃焼生成物は、図5Aおよび図5Bに示すように、ガス・タービンの第1段タービンへと入る環状の開口7を通って燃焼器から出ていく。
【0011】
本発明は、好ましい実施形態を参照しつつ上記で説明された。しかしながら、当業者は、本発明の本質および範囲から逸脱することなく、説明された実施形態において変更および修正が行われ得ることは理解するだろう。例示の目的のために本明細書で選択された実施形態への様々な変更および改良は、当業者には容易に思いつくであろう。このような改良および変更が本発明の精神から逸脱しない範囲において、それら改良および変更は、本発明の範囲内に含まれるように意図されている。
【0012】
当業者が本発明を理解して実施できるように明確かつ簡潔な言葉で本発明を十分に説明した以下に、いくつかの特徴を例示する
1.地上にある発電用途、地上または海上にある車両または航空機エンジン用途で用いられるガス・タービン用の環状の燃焼器において、
前後方向に垂直な平面に並べられるとともに円周方向に離間された複数の燃料ノズル、空気ノズル、および/または、燃料空気ノズルと、
高温合金またはセラミック材料から作られたシェル/ライナと、
前壁と称され、内側ライナと外側ライナとを連結して環状の容積を形成する前記高温合金または前記セラミック材料から作られたライナと、
を備える、燃焼器。
2.燃料空気混合気が、前記燃料/空気ノズルを出て燃焼室に入るまでに予混合される、項1記載の燃焼器。
3.前記燃料空気ノズルは、軸流スワラおよび/またはパイロット燃料空気ノズルが配置され得る同軸の円形領域と、流れに旋回がほとんどまたは全く付与されない(たとえば、0回転より大きく0.5回転より小さい)同心の環状流れ入口とから構成される、項1または2に記載の燃焼器。
4.前記燃料空気ノズルは、相当の接線速度で前記流れを導入するために、前記流れにほとんどまたは全く旋回を付与しない前記環状流れ入口を有し、それにより前記燃焼器の出口に接近する流れの角度を実質的に増加させることで、第1の段の固定されたNGVの必要な長さを短くする、項3記載の燃焼器。
5.単列の燃料/空気ノズルが、前記外側燃焼器ライナの周りに円となるようにして配置される、項1〜4のいずれか一項に記載の燃焼器。
6.2列またはそれ以上の燃料/空気ノズルが、前記外側燃焼器ライナの周りに円となるようにして配置される、項1〜4のいずれか一項に記載の燃焼器。
7.前後方向に垂直で前記前壁の近くの平面において円周方向に離間されたノズルは、そのノズルよりも下流の前後方向に垂直な平面において円周方向に離間されたノズルよりも燃料の濃い燃料空気比の燃料空気混合気を噴射し、前記燃料空気混合気は、主に円周方向成分を有しつつ径方向および/または前後方向成分を有し得る、項1記載の燃焼器。
8.前記下流の平面に配置されたノズルは、前記前壁の近くの平面に配置されたノズルの燃料空気比よりも燃料の薄い燃料空気比の燃料空気混合気を噴射し、前記燃料空気混合気は、主に円周方向成分を有しつつ径方向および/または前後方向成分を有し得る、項7記載の燃焼器。
9.前記燃料空気ノズルは、部分負荷運転において火炎を安定する機能を提供するパイロット燃料/空気ノズルを備える、項1〜8のいずれか一項に記載の燃焼器。
10.前記燃料空気ノズルは、参照符号10で示されるような0度から90度の角度を有し、その角度はノズルが配置される平面毎に異なっていてもよく、ノズルが配置される複数の平面間で等しくてもよい、項1〜9のいずれか一項に記載の燃焼器。
11.前記燃料空気ノズルは、同じ平面において、0度から90度の範囲にある一定の値の角度または異なる値の角度を有し得る、項10記載の燃焼器。
12.同じ平面にあって2つの組に分けられた前記燃料空気ノズルを少なくとも有し、それらの2組の燃料空気ノズルが、0度から90度の範囲にある値の異なる角度で噴射し得る、項10または11に記載の燃焼器。
13.異なる平面にある前記ノズルが噴射する燃料空気混合気は、同じ燃料空気比または異なる燃料空気比であり得る、項1〜12のいずれか一項に記載の燃焼器。
14.同じ平面にある前記燃料空気ノズルが噴射する燃料空気混合気は、同じ燃料空気比または異なる値の燃料空気比であり得る、項1〜13のいずれか一項に記載の燃焼器。
15.接線方向に向けられた前記ノズルは、隣接するノズル同士がそれらの火炎をその平面において隣接するノズルに向けられており、前記燃焼器の点火過程を高めることにより、複数のパイロット・バーナの必要性を小さくする、項1〜14のいずれか一項に記載の燃焼器。
16.高められた前記点火過程は、部分負荷レベル運転および全負荷レベル運転における火炎の不安定さから発生させられる火炎に誘発される振動および音を減らし、本質的に安定するバーナを提供する、項15記載の燃焼器。
17.接線方向の前記燃料空気ノズルの構成は、非常に低い負荷レベルにおいて、効率的な燃焼に向けて反応物の混合を高める、項1〜16のいずれか一項に記載の燃焼器。
18.低BTUガスなどの低反応物燃料を、増進された火炎安定性のため、前記燃焼器において容易に利用および燃焼させることができる、項1〜17のいずれか一項に記載の燃焼器。
19.前記燃料空気混合気を燃焼するために必要な滞留時間を短くし、その結果、必要な燃焼空間を小さくし、それが(すべてのガス・タービン用途において重要である)エンジンの大きさを縮小し、それによって(航空機のガス・タービン用途において重要である)重量の推力に対する比を小さくする、項1〜18のいずれか一項に記載の燃焼器。
20.より一様な温度分布を前記燃焼器の出口で達成することで、前記燃焼器を、前記燃焼器およびタービン部品の耐用期間を損なうことなく、より高い燃焼(点火)温度で作動させることができる、項1〜19のいずれか一項に記載の燃焼器。
21.より高い燃焼温度で作動する能力は、エンジン効率および出力の向上をもたらし、そのためCO排出レベルを低下させる、項20に記載の燃焼器。
22.前記前壁ライナは、圧縮機吐出空気を、前記ライナを通して前記ライナを冷却させるとともに燃焼室の内部で燃焼排ガスと素早く混合させることができる少なくとも1つの孔(スパーク放電加工によって作られた直線状または鐘形状の入口孔であり得る)、または孔の組合せを備える、項1〜21のいずれか一項に記載の燃焼器。
23.内側ライナおよび外側ライナの両方の半径は、前記ガス・タービン・エンジンの大きさおよび形状に応じて、前後方向位置に応じて変化している、項1〜22のいずれか一項に記載の燃焼器。
24.例えば、衝突冷却、しみ出し冷却、蒸気冷却などの、ガス・タービン構成部品を冷却するために利用可能な任意の冷却方法が用いられる、項1〜23のいずれか一項に記載の燃焼器。
25.共通の平面に共存するノズルは、異なる平面にある別の組合せのノズルから、エンジン中心線の周りの円周方向の角度だけずらされている、項1〜24のいずれか一項に記載の燃焼器。
26.前記燃焼器を通った後の流れは、第1の段のタービンNGVの必要な長さを短縮する実質的に円周方向の速度成分を伴って前記燃焼器から出ていき、前記第1の段のタービンのための境界入口条件を実現し、結果として、関連するNGV冷却要件を減らし、そのため性能損失およびコスト問題を小さくする、項1〜25のいずれか一項に記載の燃焼器。
27.窒素の酸化物の排出を低減する、項2〜26のいずれか一項に記載の燃焼器。
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