特許第6110905号(P6110905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6110905
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】架台
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20170327BHJP
   E04D 13/18 20140101ALI20170327BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20170327BHJP
【FI】
   H02S20/10 L
   E04D13/18ETD
   H02S20/23 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-145913(P2015-145913)
(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公開番号】特開2017-28887(P2017-28887A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】510013677
【氏名又は名称】株式会社茂山組
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】川田 雄二
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−221287(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3178582(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3186192(JP,U)
【文献】 特開2013−238046(JP,A)
【文献】 特開2015−124511(JP,A)
【文献】 特開2015−216766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/10
H02S 20/23
E04D 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース体に取り付けられて太陽光パネルを支持する架台であって、
当該架台は、長手方向に伸びる長尺状であり、
前記長手方向に直交する横断面形状が、前記太陽光パネルを支持するための上面部と、前記ベース体に取り付けられたときに当該ベース体に接触する下面部と、前記上面部と前記下面部とを接続する側面部と、を有
前記上面部は、前記側面部よりも外側に突出し且つ前記下面部に対して傾斜して形成されており、
前記架台は、アルミニウム材の押し出し成形により形成されている、
架台。
【請求項2】
請求項1に記載の架台であって、
前記横断面形状は、前記側面部と前記上面部とを接続するアーチ状の補強部を更に有している、
架台。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の架台であって、
前記側面部には、内側に凹んだ凹部が形成されており、
前記凹部の前記下面部側の端部には、前記上面部側に突出する突出部が形成されており、
前記凹部の底部と前記下面部とを接続する下面補強部が更に形成されている、
架台。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の架台であって、
前記上面部は、前記下面部に対して5度から45度の範囲で傾斜して形成されている、
架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート台、支柱、又は、建造物の屋根などのベース体に、太陽光パネルを設置することが行われている(例えば特許文献1参照)。一般に、太陽光パネルは、受光効率が高くなるように、水平面に対して傾斜して設けられることが好ましい。特許文献1では、コンクリート土台に支柱を設置し、設置した複数の支柱に枠部材を傾斜させて架け渡している。そして、太陽光パネルを枠部材に保持させることによって、太陽光パネルを傾斜させて固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-190033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の架台では、重量および面積が大きい太陽光パネルを設置している。しかし、面積の大きい太陽光パネルを設けると、太陽光パネルから雨水などが滴り落ちる場所が限定され、その場所が水たまりとなったり抉れたりする場合がある。このため、特に、太陽光パネルの下に植物を植えたりする場合などには、面積の小さい太陽光パネルを複数設ける方が好ましい。また、特許文献1に記載のように土台に支柱を設置して支柱に枠部材を取り付ける手法では、部品点数および作業工数が多くコスト高となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、面積の小さい太陽光パネルを容易に且つ低コストで設置できる架台を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の架台は、ベース体に取り付けられて太陽光パネルを支持する。架台は、その横断面形状が、太陽光パネルを支持するための上面部と、ベース体に取り付けられたときにベース体に接触する下面部と、上面部と下面部とを接続する側面部と、を有する長尺状に形成されている。そして、上面部は、側面部よりも外側に突出し且つ下面部に対して傾斜して形成されている。
かかる構成により、本発明の架台は、上面部が下面部に対して傾斜して形成されているので、面積の小さい太陽光パネルを架台の上面部に直接に取り付けることにより太陽光パネルをベース体に対して傾斜して設けることができる。また、架台は、横断面形状が上面部、下面部、及び、側面部を有する長尺状に形成されており、容易に製造することができる。したがって、本発明の架台により、面積の小さい太陽光パネルを容易に且つ低コストで設置することができる。
【0007】
また、架台の横断面形状は、側面部と上面部とを接続するアーチ状の補強部を更に有していてもよい。
こうすれば、上面部と側面部との剛性を向上することができる。
【0008】
また、側面部には、内側に凹んだ凹部が形成され、凹部の下面部側の端部には、上面部側に突出する突出部が形成されていてもよい。そして、凹部の底部と下面部とを接続する下面補強部が更に形成されていてもよい。
こうすれば、架台の凹部および突出部を利用することによって架台をベース体に容易に取り付けることができる。しかも、凹部の底部と下面部とを接続する下面補強部が形成されているので、凹部および突出部の剛性を向上することができる。
【0009】
また、上面部は、下面部に対して5度から45度の範囲で傾斜して形成されていてもよい。
こうすれば、太陽光パネルをベース体に対して傾斜させて架台に取り付けることができる。
【0010】
また、架台は、アルミニウム材の押し出し成形により形成されていてもよい。
こうすれば、架台を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る架台を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は正面図、(d)は背面図、(e)は右側面図、(f)は拡大右側面図である。
図2】本実施形態に係る架台を示す斜視図である。
図3】本実施形態の架台とベース体との取付の一例を示す図である。
図4】架台と太陽光パネルとの取付の一例を示す図である。
図5】本実施形態の架台の使用例を示す図である。
図6】変形例の架台の図1(f)に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る架台を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る架台を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は正面図、(d)は背面図、(e)は右側面図、(f)は拡大右側面図である。なお、左側面図は右側面図と対称にあらわれる。図2は、本実施形態に係る架台を示す斜視図である。架台100は、例えばコンクリート土台、支柱、骨組み、又は、建造物の屋根などのベース体に取り付けられて、太陽光パネルをベース体に固定するために用いられる。
【0013】
架台100は、図1および図2に示すように、長尺状であり、長手方向が水平方向または屋根面などのベース体の所定の取付面に沿うように設置される。以下、架台100の長手方向をX方向、架台100の短手方向をY方向、架台100の高さ方向をZ方向として説明する。架台100は、この実施形態では、図1(f)に示す側面形状がX方向に連続する形状に形成されている。なお、架台100の長手方向(X方向)の長さは、ベース体の寸法、および、取り付ける太陽光パネルの寸法等に基づいて所望のものを用意すればよい。架台100は、例えば金属の押し出し、鋳造、または、樹脂の射出形成などにより形成することができる。一例として、本実施形態の架台100は、アルミニウム材の押し出し成形により形成されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、架台100は、太陽光パネルを支持するための上面部110と、ベース体に接触する下面部120と、上面部110と下面部120とを接続する側面部130と、を備える。
【0015】
下面部120は、架台100の底面を規定する。下面部120は、本実施形態では、X方向およびY方向に延びる平面板状に形成されている。下面部120は、架台100がベース体に取り付けられたときにベース体と接触して、側面部130および上面部110を支持する。
【0016】
上面部110は、架台100の天面を規定する。上面部110は、X方向に延びる平面板状であって、下面部120に対して傾斜した平面板状に形成されている。上面部110と下面部120との傾斜角度θ1(図1(f)参照)は、好ましくは5〜45度の傾斜、更に好ましくは10〜30度である。本実施形態では、上面部110は、下面部120に対して15度傾斜して形成されている(θ1=15度)。上面部110には、太陽光パネルが取り付けられる。上面部110の下面部120に対する傾斜角度θ1については、ベース体の水平方向に対する傾き、及び、太陽光パネルの設置角度などに基づいて所望の角度とすればよい。また、本実施形態では、上面部110には、太陽光パネルを取り付けるための複数の孔112が形成されている。孔112は、太陽光パネルの寸法などに応じて形成されればよい。なお、本実施形態の架台100は、この孔112が形成されていることを除いて、X方向に直交する断面が同一形状に形成されている。
【0017】
側面部130は、架台100の側面を規定する。側面部130は、上端が上面部110と連続する。本実施形態では、上面部110は、側面部130よりも外側(Y方向)に突出し、側面部130の上端は、外側に曲がって上面部110の下面に接続されている。また、本実施形態では、架台100には、側面部130と上面部110とを接続する補強部140が形成されている。補強部140は、上面部110、下面部120、及び、側面部130と同様に、X方向に延びて形成されている。補強部140は、その下端が側面部130の内側面に連続し、下端から上端に向けて内側(Y方向)に曲がったアーチ状に形成され、その上端が上面部110の下面に連続している。こうした補強部140によって、側面部130と上面部110との剛性を向上することができる。
【0018】
側面部130の下端は、下面部120のY方向両端と連続する。また、側面部130には、内側(Y方向)に凹んだ凹部132が下端付近に形成されている。本実施形態では、凹部132は、上側部133、底部134、及び、下側部135を有する。凹部133の底部134は、X方向およびZ方向に延びる平面状に形成されている。また、凹部133の上面部110側の端部である上面部133は、底部133から滑らかに外側(Y方向)に広がって形成されている。さらに、凹部132の下面部120側の端部である下側部135は、下面部120と平行な平面状に形成されている。この凹部132の下側部135には、上面部110側に突出する突出部136が形成されている。本実施形態では、突出部136は、下側部135の外側(Y方向)の縁に形成されている。ただし、こうした例に限定されず、突出部136は、例えば凹部132の下側部135の中央などに形成されていてもよい。また、本実施形態では、凹部132の底部134と下面部120とを接続する下面補強部138が形成されている。下面補強部138は、本実施形態では、X方向及びZ方向に延びる平面板状に形成されている。こうした下面補強部136によって、凹部132および突出部136の剛性を向上することができる。
【0019】
図3は、本実施形態の架台とベース体との取付の一例を示す図である。なお、図3では、架台100及びベース体200について、X方向に直交する断面を示している。図3に示すように、架台100をベース体200に取り付けるときには、まず、下面部120がベース体200と接触するように、ベース体200の上に架台100を載置する。そして、取付金具210とビス220を用いて架台100をベース体200に固定する。本実施形態では、取付金具210は、ベース体200と当接するベース体側当接部212と、架台100の側面部130と当接する架台側当接部214と、を有する。架台側当接部214は、側面部130に沿ってZ方向に延出する。また、架台側当接部214には、架台100の凹部132と嵌合する嵌合部216が形成されている。嵌合部216は、取付金具210がベース体200に取り付けられたときに凹部132の突出部136及び下側部135と当接するように形成されている。つまり、取付金具210の下端から架台側当接部214までの距離と、架台100の下端から突出部136の上端までの距離とが、等しくなるように形成されている。なお、取付金具210は、X方向において架台100と等しい長さである必要はなく、架台100よりも短い取付金具210を複数用いて複数カ所で架台100とベース体200とが接続されてもよい。
【0020】
図4は、架台と太陽光パネルとの取付の一例を示す図である。なお、図4では、架台100に2つの太陽光パネル300を取り付ける例を示しているが、架台100に取り付ける太陽光パネル300の数は任意である。本実施形態では、太陽光パネル300は、架台100の上面部110に載置され、図示しないビスによって孔112を介して架台100に固定される。このときには、太陽光パネル300は、1つの架台100によって支持される。このように太陽光パネル300が架台100に固定されることにより、太陽光パネル300は、上面部110の傾斜角度に応じて傾斜して取り付けられる。また、太陽光パネル300が1つの架台100によって支持されるので、太陽光パネル300の設置を容易に行うことができる。
【0021】
図5は、本実施形態の架台の使用例を示す図である。図5に示す例では、既設の建造物の屋根200Aに、屋根200Aの傾斜に沿って複数の縦ラック210Aが設けられている。また、架台100の長手方向(X方向)が、複数の縦ラック210Aの長手方向に直交するように、複数の縦ラック210Aの上に架台100が固定されている。そして、複数の架台100のそれぞれの上面部110に太陽光パネル300が固定されている。このように、本実施形態の架台100を用いることで、複数の太陽光パネル300を屋根200Aなどに容易に取り付けることができる。
【0022】
以上説明した本実施形態の架台100は、横断面形状が、太陽光パネル300を支持するための上面部110と、ベース体200と接触する下面部120と、上面部110と下面部120とを接続する側面部130と、を有する長尺状に形成されている。そして、上面部110は、側面部130よりも外側に突出し、且つ、下面部120に対して傾斜して形成されている。これにより、本実施形態の架台100を用いることにより、面積の小さい太陽光パネル300を容易に且つ低コストで設置することができる。
【0023】
上記の実施形態では、架台100の下面部120は、X方向およびY方向に延びる平面板状であって、2つの側面部130を接続するように形成されるものとした。しかし、図6に示す変形例の架台100Aのように、架台100Aの下面部120Aは、2つの側面部130を接続しなくてもよい。図6に示す例では、架台100Aの下面部120Aは、凹部132の下側部135と同一の長さに形成されている。
【0024】
また、上記の実施形態では、架台100は、上面部110と接続部130とを接続する補強部140を有するものとした。しかし、補強部140は、形成されていなくてもよい。さらに、上記の実施形態では、側面部130に凹部132が形成されるものとしたが、凹部132に代えて、又は加えて、横方向に突出する凸部が形成されてもよい。この場合には、側面部130から横方向(Y方向)に突出する凸部において架台100とベース体200とが固定されてもよい。また、側面部130は、凹部132及び凸部が形成されなくてもよい。
【0025】
また、上記の実施形態では、架台100は、取付金具210によってベース体200と固定されるものとしたが、こうした例には限定されない。例えば、架台100は、ベース体200と直接にビスで締結されてもよい。また、架台100は、所定の取付金具にビス等で固定され、取付金具がベース体200に固定されることによって、ベース体200に固定されてもよい。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0027】
100 架台
110 上面部
120 下面部
130 側面部
132 凹部
133 上側部
134 底部
135 下側部
136 突出部
138 下面補強部
140 補強部
200 ベース体
210 取付金具
200A 屋根
210A 横ラック
220 ビス
300 太陽光パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6