(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6110912
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】排気管接続構造
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20170327BHJP
F01N 13/00 20100101ALI20170327BHJP
【FI】
F01N13/08 E
F01N13/08 Z
F01N13/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-171046(P2015-171046)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-48700(P2017-48700A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591043994
【氏名又は名称】旭プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100107180
【弁理士】
【氏名又は名称】玄番 佐奈恵
(72)【発明者】
【氏名】久野 博
【審査官】
小笠原 恵理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−052640(JP,A)
【文献】
特開2015−040521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
より高い温度の排気が通過する一または複数の高温排気管Aと、より低い温度の排気が通過する一または複数の低温排気管Bとを、フランジおよびガスケットを介して一つの排気管Cに接続する排気管接続構造であって、
フランジは、そのフランジ面が重力が作用する方向と平行な面との間で0°〜75°の角度αをなすように配置されており、
フランジ面を重力が作用する方向と平行となるように角度αだけ傾けたときに、フランジ面において、排気管Cの側からフランジ面を正面に見て、重力が作用する方向を下向き、および重力が作用する方向と直交する方向を左右方向としたときに、
少なくとも一つの高温排気管Aが少なくとも出口部分にて、フランジ面に対して垂直な線に対して、下向きに0°より大きく60°以下の角度で傾斜しており、ならびに/あるいは
少なくとも一つの低温排気管Bが少なくとも出口部分にて、フランジ面に対して垂直な線に対して、上向きに0°より大きく60°以下の角度で傾斜している、
排気管接続構造。
【請求項2】
前記高温排気管Aおよび前記低温排気管Bをそれぞれ一つずつ有し、前記高温排気管Aと前記低温排気管Bが、左右方向に配置されている、請求項1に記載の排気管接続構造。
【請求項3】
前記高温排気管Aを複数含み、前記低温排気管Bを複数含み、
前記高温排気管Aの群と、前記低温排気管Bの群が、左右方向に分かれて配置されている、請求項1に記載の排気管接続構造。
【請求項4】
前記少なくとも一つの高温排気管Aが少なくとも出口部分にて、左向きもしくは右向きに、0°より大きく30°以下の角度で傾斜しており、ならびに/あるいは
前記少なくとも一つの低温排気管Bが少なくとも出口部分にて、左向きもしくは右向きに、0°より大きく30°以下の角度で傾斜している、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気管接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より高温の気体が排気される高温排気管と、より低温の気体が排気される低温排気管とを、一つの排気管に接続する場合に、接続部分において偏熱が生じにくい排気管接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャー等を使用する内燃機関等においては、より高温の気体が排気される高温排気管と、より低温の気体が排気される低温排気管とを、フランジおよびガスケットを用いて一つの排気管に接続することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より高温の気体が排気される高温排気管と、より低温の気体が排気される低温排気管とを、一つの排気管に接続する排気管接続構造においては、高温排気管に近い側が専ら高熱に曝されるため、接続部付近の部材(例えばガスケット、フランジ、または排気管)、または排気管にさらに接続される別の排気管もしくは部材が、部分的に著しく劣化することがある。また、高温排気管からの気体は上側を通過しやすく、低温排気管からの気体は下側を通過しやすい。そのため、排気管においては、高温の気体と低温の気体の層流が形成されやすく、そのこともまた、接続部付近の部材、または排気管にさらに接続される別の排気管もしくは部材を、部分的に著しく劣化させる要因となる。そのため、高温排気管と低温排気管を合わせて一つの排気管に接続する接続構造においては、偏熱を抑制することが望まれている。
【0004】
さらに、ターボチャージャー等を使用する内燃機関等においては、低温排気管から、例えば、200〜300℃程度であり、場合によっては最大で数百気圧という高圧である気体と、高温排気管から、例えば、800〜1000℃程度の高温であり、かつ場合によっては最大で数百気圧という高圧である気体が交互に排気されることがある。すなわち、上記の排気管接続構造において、接続部付近の部材が、高温環境と低温環境に繰り返し曝されることがあり、そのこともまた、接続部付近の部材の劣化を促進する要因となる。
【0005】
本発明は、高温排気と低温排気に同時に曝される接続部において、高温排気および低温排気がそれぞれ偏った流れを形成することを抑制し、もって接続部付近の部材等の部分的な劣化を抑制し得る排気管接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
より高い温度の排気が通過する一または複数の高温排気管Aと、より低い温度の排気が通過する一または複数の低温排気管Bとを、フランジおよびガスケットを介して一つの排気管Cに接続する排気管接続構造であって、
フランジは、そのフランジ面が重力が作用する方向と平行な面との間で0°〜75°の角度αをなすように配置されており、
フランジ面を重力が作用する方向と平行となるように角度αだけ傾けたときに、フランジ面において、重力が作用する方向を下向き、および重力が作用する方向と直交する方向を左右方向としたときに、
少なくとも一つの高温排気管Aが少なくとも出口部分にて、フランジ面に対して垂直な線に対して、下向きに0°より大きく60°以下の角度で、および/または左向きもしくは右向きに、0°より大きく30°以下の角度で傾斜しており、ならびに/あるいは
少なくとも一つの低温排気管Bが少なくとも出口部分にて、フランジ面に対して垂直な線に対して、上向きに0°より大きく60°以下の角度で、および/または左向きもしくは右向きに、0°より大きく30°以下の角度で傾斜している、
排気管接続構造を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の排気管接続構造は、高温排気管Aおよび低温排気管Bから排出される気体の経路が、フランジ面に対して垂直な線から傾くようにしたものであり、それにより高温排気と低温排気との混合を促進して、高温排気および低温排気がそれぞれ排気管C内の上部および下部に集中することを緩和している。したがって、本発明の排気管接続構造によれば、高温でかつ場合により高圧である気体に連続的又は間欠的に曝されることに起因する、接続部付近の部材(特に、ガスケット)、または排気管Cに接続される部材の劣化を抑制して、それらの部材を長期間にわたって使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る排気管接続構造の立断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る排気管接続構造を左右方向に切断した断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る排気管接続構造の高温排気管Aおよび低温排気管Bの出口部分の配置を示す模式図である。
【
図4】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る排気管接続構造の高温排気管Aおよび低温排気管Bの配置を示す模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る排気管接続構造の高温排気管Aおよび低温排気管Bの配置を示す模式図である。
【
図6】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る排気管接続構造の高温排気管Aおよび低温排気管Bの配置を示す模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る排気管接続構造の立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、図面はいずれも模式図であって、理解の容易のため、各構成要素は必ずしも同一縮尺で表示されていない。また、複数の図面において、同じ符号で示された要素は、同じ機能を奏する要素である。
【0010】
先に[発明が解決しようとする課題]の欄で説明したとおり、より高い温度であり、かつ場合により高圧である排気(以下、単に「高温排気」という)が通過する高温排気管Aからの排気と、より低い温度であり、かつ場合により高圧である排気が通過する低温排気管Bからの排気とを、一つの排気管Cに供給して、当該一つの排気管から排気をまとめて排出することがある。そのような場合には、高温排気管Aおよび低温排気管Bの出口を、排気管Cに接続する必要があり、その接続部分で用いられるフランジおよびガスケットは、高温排気と低温排気に曝されることとなる。重力が作用する方向を下方向としたときに、排気管Cを上下方向に対して垂直に配置して、排気管C内に高温排気と低温排気とを供給すると、高温排気は一般に上側を通過しようとし、低温排気は下側を通過しようとして、排気管C内で二つの排気の層流が形成される。そのため、フランジおよびガスケットはその上部が専ら高温に曝されることとなり、それらの上部において劣化がより進行する傾向にある。
【0011】
フランジおよびガスケットの上部だけが劣化しないようにするには、高温排気と低温排気が層流を形成せず、高温排気と低温排気が混合して中間の温度の排気を形成することが好ましい。そこで、本実施形態においては、高温排気と低温排気が排気管C内で層流を形成しにくいように、あるいは高温排気と低温排気が層流を形成しても層流の混合が促進される又はこれらの層流が排気管Cに与える影響をより少なくし得るように、高温排気および低温排気の方向を適宜設定することにより、加えて/あるいは高温排気および低温排気の混合により、排気管Cの上下における熱の影響を平均化することが可能となるように、高温排気管Aおよび低温排気管Bを配置して、高温排気および低温排気の流れをコントロールした排気管接続構造を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る排気管接続構造の一例を説明する立断面図である。図示した排気管接続構造40は、高温排気管A42と低温排気管B44とが、排気管C50に接続されたものであり、高温排気管A42がフランジ46およびガスケット48を通過して、その出口が排気管C50内に開いており、低温排気管B44がフランジ46およびガスケット48を通過して、その出口が排気管C50内に開いている。フランジ46は高温排気管A42および低温排気管B44を通過させる開口部を有しており、各排気管と開口部との間は例えば溶接等によりシールされる。ガスケット48は、排気管接続に用いられる任意のガスケットであり、例えばメタルリングガスケットまたはメタルジャケット型ガスケット等である。図示した接続構造において、フランジ46/ガスケット48/排気管C50は、ボルト52およびナット54によって一体に接続されている。
【0013】
図1において、排気管C50はバタフライ弁であり、バタフライ弁は別の排気管(図示せず)に接続されているが、排気管C50は必ずしもバタフライ弁に限定されない。バタフライ弁は、その弁体50aが高温排気管42の出口部分42aおよび低温排気管44の出口部分44aと干渉しないように選択される。弁体50aの回転方向は矢印で示すとおりである。バタフライ弁は、流量調節または流路の開閉のために用いられる。
【0014】
図示した形態において、排気管C50は重力が作用する方向を下向きとする上下方向に対して、垂直な方向に延びている。また、フランジ46のフランジ面46aは、上下方向と平行な面であり、かつ排気管C50の長手方向に対して垂直な面である。フランジ面46aは、例えばガスケット48の長寿命化を図るために、重量が作用する方向と平行な面(以下、「面S」とも呼ぶ)との間で75°以下、特に70°以下、より特には60°以下の角度αをなすように、傾けて配置されていてよい。その場合、排気管C50等が延びる方向も傾くこととなる。フランジ面と面Sとの間に形成される角度は鋭角で規定するものとする。また、フランジ面46a(より厳密には、ガスケット48と接している側の面)は、それが下を向くように傾いていてよく、あるいは上を向くように傾いていてよい。高温排気管A42は、低温排気管B44よりも下側に配置され、低温排気管B44は高温排気管A42よりも上側に配置されている。これは、高温排気が低温排気よりも上側に移動しやすいことを考慮して、上側に移動するまでに低温排気と衝突させて、その温度を低下させようとするものである。
【0015】
高温排気管A42および低温排気管B44はともに、フランジ44に至る直前までは排気管C50と平行な方向に延びているが、その出口部分42aおよび42bがともに屈曲して、フランジ面46aに対して垂直な線Lに対して傾斜している。具体的には、高温排気管A42の出口部分42aは、線Lに対して下向きに0°よりも大きく、60°以下の角度θ1で傾斜し、低温排気管B44の出口部分44aは、線Lに対して上向きに0°よりも大きく、60°以下の角度θ2で傾斜している。θ1およびθ2は好ましくは30°以下であり、10°以下であってもよく、5°以下であってもよい。出口部分42a(高温排気管)が下向きに傾斜していることによって、高温排気の上側への移動がより抑制され、出口部分42b(低温排気管)が上向きに傾斜していることによって、低温排気の上側の移動がより抑制され、これにより高温排気と低温排気の層流が、フランジ46およびガスケット48近傍でただちに形成されるのを有効に抑制できる。その結果、フランジ46およびガスケット48の上部における、偏熱による劣化をより抑制でき、あるいは排気管C50または排気管C50に接続される他の部材の偏熱による部分的な劣化をより抑制できる。一つの変形例において、出口部分42aおよび44bのいずれか一方のみが上下方向に傾斜し、他方は上下方向に傾斜していなくてよい。そのような場合でも、高温排気および低温排気の層流の形成をある程度抑制できる。
【0016】
加えて/あるいは、出口部分42aおよび42bは、フランジ面46aに対して垂直な線Lに対して左右方向に30°以下の角度で傾いていてよい。
図2に、出口部分42aおよび出口部分44bが左右方向に傾いた状態を、接続構造を左右方向に切断した断面図にて示す。
図2に示す排気管接続構造においては、左右方向に高温排気管A42および低温排気管B44が配置され、右側に低温排気管B44が、左側に高温排気管A42が配置されている。高温排気管A42の出口部分42aは、線Lに対して右側に0°よりも大きく30°以下の角度θ3で傾き、低温排気管B44の出口部分44aは、線Lに対して左側に0°よりも大きく30°以下の角度θ4で傾いている。このように出口部分42a、44aを左右方向に傾けることによっても、高温排気および低温排気が層流を形成しにくくなり、二つの排気の混合が促進され、あるいは層流が形成されるとしても層流間の温度差を小さくすることができる。一つの変形例において、出口部分42aは、線Lに対して左側に傾き、出口部分42bは、線Lに対して右側に傾いていてよい。
図2に示す接続構造においても、排気管C50はバタフライ弁であり、図示した形態において弁体50aは矢印の方向に回転する。
【0017】
出口部分42a、44aを左右方向に傾ける場合、それらは互いに反対の方向に傾いていることが好ましいが、同じ方向に傾いていてよい。あるいは、一方の出口部分のみが左右いずれかの方向に傾いていてよい。少なくとも一つの出口部分を線Lに対して左右いずれかの方向に傾けることによって、排気の流れが変化し、層流の形成をある程度抑制することが可能となる。
【0018】
θ1、θ2、θ3およびθ4は、高温排気管A42および低温排気管B44の寸法、およびそれらを流れる気体の温度、ならびに排気管C50の寸法等に応じて、層流の形成を抑制するのに適した値となるように、決定する。θ1等の決定に際しては、金属ベローズを用いることができる。具体的には、
図1等に示された高温排気管A42および低温排気管B44に代えて、金属ベローズを接続し、金属ベローズを適宜折り曲げることによって、金属ベローズを通過する気体の方向を適宜変化させて、層流形成の抑制および/または偏熱防止に効果的な角度(θ1等)を決定するとよい。それから、決定した角度で出口部分42a、44bが傾くように、高温排気管42aおよび低温排気管44bを設計して作製するか、あるいは後述するように、高温排気管42aおよび低温排気管44bを傾けて設置する。
【0019】
出口部分42aおよび出口部分44aは、線Lに対して上下方向および左右方向の両方で傾斜していてよい。例えば、
図1に示すように、上下方向に高温排気管A42(下側)および低温排気管B44(上側)が配置された接続構造において、出口部分42aが、線Lに対して下方向に傾斜するとともに、右方向に傾斜している場合、
図3に示すとおり、フランジ46手前まで延びる高温排気管A42の位置(図において破線で示す)に対して、出口42bが斜め方向にずれることとなる。同様に、出口部分44aが、線Lに対して上方向に傾斜するとともに、左方向に傾斜している場合、
図3に示すとおり、フランジ46手前まで延びる低温排気管B44の位置(図において破線で示す)に対して、出口44bが斜め方向にずれることとなる。
【0020】
図1においては、高温排気管A42および低温排気管B44がそれぞれ一つずつ、上下方向に設けられている。これをフランジ面46aで見ると、
図4(a)に示すような配置となる。別の実施形態において、高温排気管A42および低温排気管B44は、
図2および
図4(b)に示すように、左右方向にそれぞれ一つずつ設けられてよい。
なお、
図4ないし
図6はいずれも、フランジ面46aで見た、高温排気管A42および低温排気管B44の配置を示す模式図である。
【0021】
あるいは、さらに別の実施形態において、高温排気管A42および低温排気管B44は、それぞれ複数設けられてよい。例えば、
図5に示すように、高温排気管A42および低温排気管B44は、二つずつ設けてよい。高温排気管A42および低温排気管B44をそれぞれ複数設ける場合には、
図6(a)に示すように、高温排気管A42の群を下側に配置し、低温排気管B44の群を上側に配置してよく、あるいは、
図6(b)に示すように、高温排気管A42の群を左右一方の側に、低温排気管B44の群を左右の他方の側に配置してよい。高温排気管A42と低温排気管B44をそれぞれ複数設ける場合には、少なくとも一つの高温排気管A42の出口部分42aと少なくとも一つの低温排気管B44の出口部分44aを上下左右のいずれかの方向に傾斜させる。
【0022】
本実施形態において、高温排気管Aおよび低温排気管Bの出口部分はいずれも、フランジまでフランジ面に対して垂直に延びる管から、フランジ付近で屈曲させている。出口部分は、出口から出ていく排気が、フランジ面に対して垂直とならず、フランジ面に対して垂直な線から傾斜した方向に流れる限りにおいて、いずれの部位で屈曲していてよい。したがって、別の形態において、出口部分は、フランジより前で屈曲し、傾斜した出口部分がフランジの開口部を通過してよい。高温排気管Aおよび低温排気管Bの出口部分は別部材であってよく、フランジ面に対して垂直に延びる管部材と例えば螺合により一体化させてよい。あるいは、高温排気管Aおよび低温排気管Bの出口部分は屈曲していなくてよく、例えば、
図7に示すとおり、直線状の高温排気管A42および低温排気管B44を、その出口部分がフランジ面46aに垂直な線に対して所定のように傾斜するように、全体を傾けた状態にてフランジ46に通してよい。それにより、出口からの排気が所定の方向に流れるようになる。
【0023】
高温排気管A42と低温排気管B44とを排気管C50に接続する構造は、例えば、ターボチャージャーを使用する内燃機関において用いることができる。そのような内燃機関においては、高温排気管A42はターボチャージャーからの排気(これは上記のとおり高圧となることもある)を通過させるものであり、低温排気管B44は通常の排気(高圧となることもあるエンジン排気)を通過させるものである。ターボチャージャーからの排気の温度は例えば600℃以上であり、通常の排気の温度は例えば50〜200℃である。ターボチャージャーからの排気の温度は局部的に900℃程度となることもあり、通常の排気の温度も場合により200〜300℃となることもある。また、ターボチャージャーからは常に排気が生じているわけではなく間欠的に排気が生じるので、そのような内燃機関では、フランジおよびガスケットは低温環境と高温環境に交互に曝されることとなり、劣化しやすい。同様に、二酸化炭素削減のために用いられるターボチャージャーを用いる難燃機関でも、フランジおよびガスケットは低温環境と高温環境に交互に曝されることとなり、劣化しやすい。本実施形態によれば、高温排気と低温排気の層流の形成が抑制されて、または層流の温度差が小さくなって、フランジおよびガスケットの一部のみ、または排気管C50およびこれに接続される他の部材の一部のみが高温に曝されることを抑制できる。したがって、本実施形態の排気管接続構造は、ターボチャージャーを使用する内燃機関で使用するのに特に適している。
あるいは、本実施形態の排気管接続構造は発電所で用いるのに適している。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の排気管接続構造は、高温排気および低温排気の層流の形成を抑制して、または層流の温度差を小さくして、排気管接続構造での偏熱を軽減させる構造となっているから、例えば、ターボチャージャーを使用する内燃機関で使用できる。
【符号の説明】
【0025】
40 排気管接続構造
42 高温排気管A
42a 高温排気管Aの出口部分
42b 出口
44 低温排気管B
44a 低温排気管Bの出口部分
44b 低温排気管Bの出口
46 フランジ
46a フランジ面
48 ガスケット
50 排気管C
52 ボルト
54 ナット