(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような移動体で利用される情報処理装置では、OSが何らかの理由で稼働を停止してしまうと、当該OS上で動作しているアプリケーションも動作が停止してしまう。特に、計器を表示部に表示させるためのアプリケーションが動作を停止してしまうと、計器が表示されなくなり、移動体の安全性が失われてしまうおそれがある。
【0007】
本願は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題の一例は、移動体の移動中における安全性を向上させることができる情報処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、撮影画像を取得する取得手段と、前記撮影画像または前記撮影画像に第1の画像処理を施した画像を表示手段に表示させる第1のアプリケーション
を第1のOS上で動作させる第1制御手段と、前記取得した撮影画像に第2の画像処理を施した画像を前記表示手段に表示させる第2のアプリケーション
を第2のOS上で動作させる第2制御手段と、移動体の移動速度に基づいて、前記表示手段への表示権限を、前記第1のOSまたは前記第2のOSの一方に付与するOS切替手段と、を備える。
【0009】
請求項5に記載の発明は、無線通信機を使用して料金所にて通行料金の精算処理を行う第1の精算アプリケーションを第1のOS上で動作させる第1精算アプリケーション制御手段と、前記無線通信機を使用して精算所にて通行料金以外の代金の精算処理を行う第2の精算アプリケーションを第2のOS上で動作させる第2精算アプリケーション制御手段と、移動体が前記料金所から所定の距離内に存在する場合に、前記第1のOSに対して前記無線通信機を使用する権限を付与し、前記移動体が前記精算所から所定の距離内に存在する場合に、前記第2のOSに対して前記無線通信機を使用する権限を付与するOS切替手段と、を備える。
【0010】
請求項8に記載の発明は、情報処理装置により実行される情報処理方法であって、撮影画像を取得する取得工程と、前記撮影画像または前記撮影画像に第1の画像処理を施した画像を表示手段に表示させる第1のアプリケーション
を第1のOS上で動作させる第1制御工程と、前記取得した撮影画像に第2の画像処理を施した画像を前記表示手段に表示させる第2のアプリケーション
を第2のOS上で動作させる第2制御工程と、移動体の移動速度に基づいて、前記表示手段への表示権限を、前記第1のOSまたは前記第2のOSの一方に付与するOS切替工程と、を含む。
【0011】
請求項9に記載の発明は、情報処理装置により実行される情報処理方法であって、無線通信機を使用して料金所にて通行料金の精算処理を行う第1の精算アプリケーションを第1のOS上で動作させる第1精算アプリケーション制御工程と、前記無線通信機を使用して精算所にて通行料金以外の代金の精算処理を行う第2の精算アプリケーションを第2のOS上で動作させる第2精算アプリケーション制御工程と、移動体が前記料金所から所定の距離内に存在する場合に、前記第1のOSに対して前記無線通信機を使用する権限を付与し、前記移動体が前記精算所から所定の距離内に存在する場合に、前記第2のOSに対して前記無線通信機を使用する権限を付与するOS切替工程と、を含む。
【0012】
請求項10に記載の発明は、情報処理装置に含まれるコンピュータを、撮影画像を取得する取得手段、前記撮影画像または前記撮影画像に第1の画像処理を施した画像を表示手段に表示させる第1のアプリケーション
を第1のOS上で動作させる第1制御手段、前記取得した撮影画像に第2の画像処理を施した画像を前記表示手段に表示させる第2のアプリケーション
を第2のOS上で動作させる第2制御手段、移動体の移動速度に基づいて、前記表示手段への表示権限を、前記第1のOSまたは前記第2のOSの一方に付与するOS切替手段、として機能させる情報処理プログラムが記録された記録媒体である。
【0013】
請求項11に記載の発明は、情報処理装置に含まれるコンピュータを、無線通信機を使用して料金所にて通行料金の精算処理を行う第1の精算アプリケーションを第1のOS上で動作させる第1精算アプリケーション制御手段、前記無線通信機を使用して精算所にて通行料金以外の代金の精算処理を行う第2の精算アプリケーションを第2のOS上で動作させる第2精算アプリケーション制御手段、移動体が前記料金所から所定の距離内に存在する場合に、前記第1のOSに対して前記無線通信機を使用する権限を付与し、前記移動体が前記精算所から所定の距離内に存在する場合に、前記第2のOSに対して前記無線通信機を使用する権限を付与するOS切替手段、として機能させる情報処理プログラムが記録された記録媒体である。
【0014】
請求項12に記載の発明は、情報処理装置に含まれるコンピュータを、撮影画像を取得する取得手段、前記撮影画像または前記撮影画像に第1の画像処理を施した画像を表示手段に表示させる第1のアプリケーション
を第1のOS上で動作させる第1制御手段、前記取得した撮影画像に第2の画像処理を施した画像を前記表示手段に表示させる第2のアプリケーション
を第2のOS上で動作させる第2制御手段、移動体の移動速度に基づいて、前記表示手段への表示権限を、前記第1のOSまたは前記第2のOSの一方に付与するOS切替手段、として機能させる情報処理プログラムである。
【0015】
請求項13に記載の発明は、情報処理装置に含まれるコンピュータを、無線通信機を使用して料金所にて通行料金の精算処理を行う第1の精算アプリケーションを第1のOS上で動作させる第1精算アプリケーション制御手段、前記無線通信機を使用して精算所にて通行料金以外の代金の精算処理を行う第2の精算アプリケーションを第2のOS上で動作させる第2精算アプリケーション制御手段、移動体が前記料金所から所定の距離内に存在する場合に、前記第1のOSに対して前記無線通信機を使用する権限を付与し、前記移動体が前記精算所から所定の距離内に存在する場合に、前記第2のOSに対して前記無線通信機を使用する権限を付与するOS切替手段、として機能させる情報処理プログラムである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、自動車(「移動体」の一例。)に搭載される情報処理装置1に対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0018】
[1.第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0019】
[1.1.情報処理装置1の構成]
図1に示すように、第1実施形態における情報処理装置1は、制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14、フロントカメラ15a、バックカメラ15b、操作部16、位置検出部17及び車両情報入力部18を含んで構成されている。制御部11と、記憶部12、通信部13、表示部14、フロントカメラ15a、バックカメラ15b、操作部16、位置検出部17及び車両情報入力部18はシステムバスBを介して接続されている。
【0020】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)11b、RAM(Random Access Memory)11c等により構成されている。そして、コンピュータとしての制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、各種処理等を行う。なお、制御部11は、検知手段、OS切替手段、取得手段、第1アプリケーション制御手段、第2アプリケーション制御手段、第1設定手段、第2設定手段及び画像設定手段として機能する。
【0021】
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブや不揮発性の半導体メモリ等により構成されており、各種プログラム及びデータ等を記憶するようになっている。具体的には、情報処理装置1にて、仮想計算機(VM:virtual machine)が動作する仮想化環境を形成するためのプログラム、すなわちVMM(Virtual Machine Monitor)が記憶されている。
【0022】
また、記憶部12には、
図2に示すように、VMM31により提供される仮想化環境において稼働する第1のゲストOS41(「第1のOS」の一例。)及び第2のゲストOS42(「第2のOS」の一例。)が記憶されている。更に、記憶部12には、第1のゲストOS41上で動作する第1の画像処理アプリケーション(以下、「第1の画像処理アプリ」と表記する。)51(「第1のアプリケーション」の一例。)、第2のゲストOS42上で動作する第2の画像処理アプリケーション(以下、「第2の画像処理アプリ」と表記する。)52(「第2のアプリケーション」の一例。)がそれぞれ記憶されている。
【0023】
更に、記憶部12には、第1のゲストOS41が占有するデバイスドライバ(以下、単位「第1のゲストOS占有ドライバ」と表記する。)21、第2のゲストOS42が占有するデバイスドライバ(以下、単位「第2のゲストOS占有ドライバ」と表記する。)22、第1のゲストOS41及び第2のゲストOS42が共有するデバイスドライバ(以下、単位「共有ドライバ」と表記する。)23がそれぞれ記憶されている。
【0024】
VMM31は、CPU11aやRAM11cなどのハードウェアを認識・制御し、それらを抽象化することで、一つ以上のゲストOS(仮想OS)に対してそれらへのアクセスを可能とさせるプログラムである。ゲストOSが複数存在する場合は時分割でハードウェアへのアクセス権限を適宜振り分ける。なお、一つのゲストOSのみからアクセスさせるデバイスについては、他のゲストOSから見えないように隠蔽することもできる。VMM31には、高速なハードウェアで複数のゲストOSを効率よく動作させることができる点、一のゲストOSのシステムダウンが他のゲストOSに影響を与えない点などの利点がある。
【0025】
第1のゲストOS41は、第1の画像処理アプリ51を動作させるためのOSである。第2のゲストOS42は、第2の画像処理アプリ52を動作させるためのOSである。第1のゲストOS41は、第2のゲストOS42と比較して安定度が高く、且つ高速起動が可能なOSである。具体的には、第1のゲストOS41そのもののデータ量が、第2のゲストOS42そのもののデータ量よりも小さいことを意味する(安定度を向上させるために無駄な機能が省かれてプログラムの記述量が少ないことから第1のゲストOS41そのもののデータ量が小さくなる。)。または、第1のゲストOS41で動作させるアプリケーションとして登録されている数が、第2のゲストOS42で動作させるアプリケーションとして登録されている数よりも少ないことを意味する(OS上で動作するアプリケーションの数が少ない程、アプリケーション起因によるOSの異常終了する可能性が低く安定度が高くなる。)。或いは、第1のゲストOS41が、単位時間当たりの再起動の必要が生じる確率が第2のゲストOS42よりも低いことを意味する。
【0026】
また、第1のゲストOS41については、安定度を向上させるために繰り返し試験が行われる。また、不具合が生じる可能性を軽減させるために第1のゲストOS41のプログラムそのものも小型化され、プログラムそのもののデータ量も小さくなる。後述するように、第1の画像処理アプリ51は第2の画像処理アプリ52と比較して、自動車を運転する際の安全面で優先度が高い画像処理を行うため、より安定度が高い第1のゲストOS41上で動作するようになっている。
【0027】
第1の画像処理アプリ51は、自動車を運転する際の安全面で優先度が高い画像処理を行う。優先度が高いとは、後述する第2の画像処理アプリ52が行う画像処理と比較して優先度が高いことを意味する。第1の画像処理アプリ51や第2の画像処理アプリ52が行う画像処理とは、フロントカメラ15a及びバックカメラ15bが撮影した撮影画像を加工する処理である。第1の画像処理アプリ51や第2の画像処理アプリ52により画像処理が施された撮影画像は表示部14に表示される。以下、第1の画像処理アプリ51が行う画像処理を総称して「第1の画像処理」といい、第2の画像処理アプリ52が行う画像処理を総称して「第2の画像処理」といい、両者を区別する。
【0028】
後述するように、第1の画像処理が施された画像は、自動車が低速(10km/h未満の速度。「第1の速度域」の一例。)で走行している際に表示部14に表示される。自動車は高速走行している場合と比較して、低速走行している場合に他の物体との接触事故が起こる可能性が高いため、安全面で優先度が高い画像処理を施した画像を低速走行している際に表示させることとしている。一方、第2の画像処理が施された画像は、自動車が高速(10km/h以上の速度。「第2の速度域」の一例。)で走行している際に表示部14に表示される。
【0029】
第1の画像処理アプリ51が行う第1の画像処理とは、例えば、(i)撮影画像の歪みを補正する処理、(ii)撮影画像において動いている物体を強調する処理、(iii)撮影画像に駐車用補助線を描画する処理である。(i)撮影画像の歪みを補正する処理とは、フロントカメラ15a及びバックカメラ15bが撮影した撮影画像に含まれる歪み補正する処理である。この処理により、歪みのない撮影画像が表示部14に表示されることから、利用者(自動車の操作者)は違和感なく撮影画像を視認することができ、低速走行時の安全性が向上する。また、(ii)撮影画像において動いている物体を強調する処理とは、フロントカメラ15a及びバックカメラ15bが撮影した撮影画像内において、動いている物体(例えば、人、動物、自動車、自転車等)を検出し、当該物体を囲う線を描画するなどして当該物体を強調する処理である。この処理により、動いている物体が強調表示された撮影画像が表示部14に表示されることから、利用者は自動車の周囲で動いている物体の存在を容易に認識することができ、低速走行時の安全性が向上する。さらに、(iii)撮影画像に駐車用補助線を描画する処理とは、自動車が後進(バック)する際にバックカメラ15bにより撮影された撮影画像中に、ハンドル操作に応じて車体が向かう方向を示す駐車用補助線等を描画する処理である。この処理により、自動車が後進(バック)する際に駐車用補助線が描画された撮影画像が表示部14に表示されることから、利用者は方向感覚を掴みにくい後進(バック)中にも車体が向かう方向を容易に把握することができ、後進(バック)中の安全性が向上する。なお、(i)〜(iii)の全ての処理を行うように設定することもできるし、これらの一部の処理を行うように設定することもできる。この設定は、予め情報処理装置1の販売時に設定しておくこととしてもよいし、利用者が情報処理装置1を購入後に設定できるようにしてもよい。このとき、制御部11(「第1設定手段」の一例)は、利用者による指示に基づいて、(i)〜(iii)の少なくとも何れかの処理を、第1の画像処理アプリ51が施す第1の画像処理として設定することとなる。また、設定された画像処理がなされた画像は、「第1の速度域で移動している際に表示させるべき画像」の一例である。
【0030】
第2の画像処理アプリ52が行う第2の画像処理とは、例えば、(a)撮影画像における標示物を強調する処理、(b)自車と他車との車間距離を計測する処理などがある。(a)撮影画像における標示物を強調する処理とは、自動車の走行中にフロントカメラ15aで撮影された撮影画像において看板などの標示物を検出し、当該標示物を囲う線を描画するなどして当該標示物を強調する処理である。この処理により、標示物が強調表示された撮影画像が表示部14に表示されることから、利用者は標示物の存在を容易に認識することができる。(b)自車と他車との車間距離を計測する処理とは、自車と前方を走行している他車との車間距離を計測する処理である。なお、計測した車間距離が所定の閾値より短くなった場合(すなわち、自車と他車が接近した場合)に、例えば、「前方の車に近づき過ぎです。」といった警告情報を撮影画像に描画することとしてもよい。この場合、警告情報が描画された撮影画像が表示部14に表示されることから、利用者は自車が前方を走行している他車に接近していることを認識することができ、安全性が向上する。なお、(a)、(b)の処理を行うように設定することもできるし、何れか一方の処理を行うように設定することもできる。この設定は、予め情報処理装置1の販売時に設定しておくこととしてもよいし、利用者が情報処理装置1を購入後に設定できるようにしてもよい。このとき、制御部11(「第2設定手段」の一例)は、利用者による指示に基づいて、(a)、(b)の少なくとも何れかの処理を、第2の画像処理アプリ52が施す第2の画像処理として設定することとなる。また、設定された画像処理がなされた画像は、「第2の速度域で移動している際に表示させるべき画像」の一例である。
【0031】
なお、自動車が低速(10km/h未満の速度。「第1の速度域」の一例。)で移動している際に表示させるべき画像と、自動車が高速(10km/h以上の速度。「第2の速度域」の一例。)で移動している際に表示させるべき画像を、それぞれどのような画像処理が施された撮影画像とするかを利用者が設定できるようにしてもよい。このとき、制御部11(「画像設定手段」の一例)は、利用者による指示に基づいて、自動車が低速で移動している際に表示させるべき画像、又は、自動車が高速で移動している際に表示させるべき画像を設定することとなる。
【0032】
記憶部12には、上述したプログラムの他にも、様々な機能を実現するためのアプリケーション及びそれらのアプリケーションを動作させるためのゲストOSが記憶されている。なお、情報処理装置1は、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して各種プログラムを取り込んで記憶部12に記録することとしてもよいし、DVD−ROM等の記録媒体に記録された各種プログラムを光学ドライブで読み込んで記憶部12に記録することとしてもよい。
【0033】
通信部13は、情報処理装置1がネットワークを介して他のサーバ装置、端末装置などとの通信に係る処理を行う。ネットワークは、例えば、インターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(基地局等を含む)、及びゲートウェイ等により構築される。
【0034】
表示部14(「表示手段」の一例)は、例えば、液晶ディスプレイ等により構成されている。表示部14は、第1の画像処理アプリ51や第2の画像処理アプリ52により画像処理が施された撮影画像を表示する。
【0035】
フロントカメラ15aは、自動車側から見て自動車の前方を撮影するカメラである。バックカメラ15bは自動車側から見て自動車の後方を撮影するカメラである。フロントカメラ15a及びバックカメラ15bで撮影された撮影画像は制御部11に送られ、第1の画像処理アプリ51や第2の画像処理アプリ52により画像処理がなされる。ここで、自動車の操作者はセレクトレバーにより走行レンジを選択することができる。走行レンジは、大別して停止レンジ(例えば、「P(Parking)レンジ」、「N(Neutral)レンジ」)、前進レンジ(例えば、「D(Drive)レンジ」、「2(second)レンジ」、「L(Low)レンジ」など)、後進レンジ(例えば、「R(Reverse)レンジ」)に分けられる。本実施形態では、制御部11は、後進レンジが選択されている場合にはバックカメラ15bにより撮影された撮影画像を表示部14に表示させるようになっており、一方、前進レンジが選択されている場合にはフロントカメラ15aにより撮影された表示部14に撮影画像を表示させるようになっている。なお、制御部11は、停止レンジが選択されている場合には撮影画像を表示部14に表示させないようになっている。
【0036】
操作部16は、例えば、タッチパネルやボタン等により構成されており、利用者からの操作指示を受け付け、その指示内容を指示信号として制御部11に出力するようになっている。
【0037】
位置検出部17は、GPS(Global Positioning System)受信部、速度センサ、方位角センサ、ジャイロスコープ等により構成されており、情報処理装置1の現在位置を検出し、現在位置を示す信号を制御部11に出力する。
【0038】
車両情報入力部18は、自動車本体から様々な車両情報を取得して車両情報を示す信号として制御部11に出力するようになっている。車両情報としては、自動車の速度(車速)を示す情報、セレクトレバーにより選択されている走行レンジを示す情報、ヘッドライトが点灯しているか否かを示す情報、ワイパーが作動しているか否かを示す情報、ウィンカーが点灯しているか否かを示す情報、ハザードが点灯しているか否かを示す情報、ITS(Intelligent Transport Systems)に関連する情報などが挙げられる。制御部11は、車速を示す情報やセレクトレバーにより選択されている走行レンジを示す情報に基づいて、自動車の移動状態が停止移動状態(「車速=0km/h」)であるか、低速移動状態(「0km/h<車速<10km/h」)であるか、又は高速移動状態(「車速≧10km/h」)であるかをそれぞれ検知する。
【0039】
[1.2.情報処理装置1の動作]
次に、
図3乃至
図5を用いて情報処理装置1の動作概要を説明する。
図3は、自動車の速度と、表示部14の使用権限を有するゲストOSの対応関係を示す図である。
図4は、自動車が停止状態から低速走行状態、高速走行状態へと速度を上げていく際における情報処理装置1の動作例を示す図である。
図5は、自動車が高速走行状態から、低速走行状態、停止状態へと速度を下げていく際における情報処理装置1の動作例を示す図である。
【0040】
図3に示すように、自動車の速度Vが、低速(「0km/h<車速<10km/h」)である場合には表示部14の使用権限が第1のゲストOS41に付与されるようになっている。また、自動車の速度Vが、高速(「車速≧10km/h」)である場合には表示部14の使用権限が第2のゲストOS42に付与されるようになっている。
【0041】
図4に示す処理は、自動車の動力源(例えば、エンジン)が起動し、自動車が停止している状態であって、情報処理装置1に電源供給が開始された時点から始まる。また、VMM31により、画像を表示部14に表示させる権限が第1のゲストOS41に与えられているものとする。なお、
図4左側に示したステップS101の処理〜ステップS105の処理は、制御部11が第1のゲストOS41又は第1の画像処理アプリ51を実行することにより行われる。
図4中央に示したステップS201の処理及びステップS202の処理は、制御部11が第2のゲストOS42又は第2の画像処理アプリ52を実行することにより行われる。
図4右側に示したステップS301の処理及びステップS302の処理は、制御部11がVMM31を実行することにより行われる。
【0042】
まず、
図4左側に示すように、制御部11は、走行レンジが停止レンジから前進レンジ又は後進レンジに切り替わると、第1の画像処理を起動し、実行する(ステップS101)。具体的には、制御部11は、セレクトレバーにより走行レンジとして前進レンジが選択された場合には、フロントカメラ15aにより撮影された撮影画像の入力を受け付け、(i)撮影画像の歪みを補正する処理、(ii)撮影画像において動いている物体を強調する処理を施し、表示部14に表示させる。一方、制御部11は、セレクトレバーにより走行レンジとして後進レンジが選択された場合には、バックカメラ15bにより撮影された撮影画像の入力を受け付け、(i)撮影画像の歪みを補正する処理、(ii)撮影画像において動いている物体を強調する処理、(iii)撮影画像に駐車用補助線を描画する処理を施し、表示部14に表示させる。なお、以下では、セレクトレバーにより走行レンジとして前進レンジが選択されている場合について説明する。
【0043】
次いで、制御部11は、車速が10km/h以上になったか否かを判定する(ステップS102)。制御部11は、車速が10km/h以上になるまで待機し(ステップS102:NO)、車速が10km/h以上になったと判定すると(ステップS102:YES)、第2のゲストOS42に対して第2の画像処理の起動要求を行う(ステップS103)。
【0044】
これに対して、
図4中央に示すように、制御部11は、第1のゲストOS41から第2の画像処理の起動要求を受け取ると、第2の画像処理を起動し、実行する(ステップS201)。具体的には、制御部11は、フロントカメラ15aにより撮影された撮影画像の入力を受け付け、(a)撮影画像における標示物を強調する処理、(b)自車と他車との車間距離を計測する処理を行う。制御部11は、ステップS201の処理を完了すると、第2の画像処理の起動完了報告を第1のゲストOS41に対して行う(ステップS202)。
【0045】
図4左側に示すように、制御部11は、第2のゲストOS42から第2の画像処理の起動完了報告を受け取ると、VMM31に対して、OS切り替え要求を行う(ステップS104)。
【0046】
これに対して、
図4右側に示すように、制御部11は、OSを切り換える(ステップS301)。具体的には、制御部11は、画像を表示部14に表示させる権限を第1のゲストOS41から第2のゲストOS42に移す。これにより、表示部14に表示される画像が、第1の画像処理が施された撮影画像から第2の画像処理が施された撮影画像に切り替わる。制御部11は、ステップS301の処理を完了すると、OS切り替え完了報告を第1のゲストOS41に対して行う(ステップS302)。
【0047】
図4左側に示すように、制御部11は、VMM31からOS切り替え完了報告を受け取ると、第1の画像処理を停止する(ステップS105)。
【0048】
このように、自動車が低速(10km/h未満の速度。「第1の速度域」の一例。)で走行している際には第1の画像処理が施された画像が表示部14に表示され、車速が上がり、高速(すなわち10km/h以上の速度。「第2の速度域」の一例。)で走行している際には第2の画像処理が施された画像が表示部14に表示される。
【0049】
次に、
図5を用いて減速時における情報処理装置1の動作について説明する。
【0050】
図5に示す処理は、自動車が高速(すなわち10km/h以上の速度。「第2の速度域」の一例。)で走行しており第2に画像処理が施された画像が表示部14に表示されている時点から始まる。また、VMM31により、画像を表示部14に表示させる権限が第2のゲストOS42に与えられているものとする。なお、
図5左側に示したステップS131の処理〜ステップS134の処理は、制御部11が第1のゲストOS41又は第1の画像処理アプリ51を実行することにより行われる。
図5中央に示したステップS231の処理は、制御部11が第2のゲストOS42又は第2の画像処理アプリ52を実行することにより行われる。
図5右側に示したステップS331の処理及びステップS332の処理は、制御部11がVMM31を実行することにより行われる。
【0051】
まず、
図5左側に示すように、制御部11は、車速が10km/h未満になったか否かを判定する(ステップS131)。制御部11は、車速が10km/h未満になるまで待機し(ステップS131:NO)、車速が10km/h未満になったと判定すると(ステップS131:YES)、第1の画像処理を起動し、実行する(ステップS132)。具体的には、制御部11は、フロントカメラ15aにより撮影された撮影画像の入力を受け付け、(i)撮影画像の歪みを補正する処理、(ii)撮影画像において動いている物体を強調する処理を行う。
【0052】
次いで、制御部11は、VMM31に対して、OS切り替え要求を行う(ステップS133)。
【0053】
これに対して、
図5右側に示すように、制御部11は、OSを切り換える(ステップS331)。具体的には、制御部11は、画像を表示部14に表示させる権限を第2のゲストOS42から第1のゲストOS41に移す。これにより、表示部14に表示される画像が、第2の画像処理が施された撮影画像から第1の画像処理が施された撮影画像に切り替わる。制御部11は、ステップS331の処理を完了すると、OS切り替え完了報告を第1のゲストOS41に対して行う(ステップS332)。
【0054】
図5左側に示すように、制御部11は、VMM31からOS切り替え完了報告を受け取ると、第2のゲストOS42に対して第2の画像処理の停止要求を行う(ステップS134)。
【0055】
これに対して、
図5中央に示すように、制御部11は、第1のゲストOS41から第2の画像処理の停止要求を受け取ると、第2の画像処理を停止する(ステップS231)。
【0056】
このように、自動車が高速(すなわち10km/h以上の速度。「第2の速度域」の一例。)で走行している際には第2の画像処理が施された画像が表示部14に表示され、車速が下がり、低速(すなわち10km/h未満の速度。「第1の速度域」の一例。)で走行している際には第1の画像処理が施された画像が表示部14に表示される。なお、図示しないが、制御部11は、さらに車速が下がり、自動車が停止し、セレクトレバーにより停止レンジが選択されると、第1の画像処理を停止する。
【0057】
なお、
図5では、高速走行から低速走行に移行し、停車する場合の処理について説明したが、高速走行から低速走行に移行し、再び高速走行に移行する場合の処理については、
図4と
図5を組み合わせた処理となる。具体的には、高速走行から低速走行に移行する際の処理は
図5に示す通りであり、再び高速走行に移行する場合は
図4のステップS102以降の処理が行われる。
【0058】
以上説明したように、第1実施形態における情報処理装置1では、制御部11が、自動車(「移動体」の一例。)の移動状態を検知し、仮想化環境において稼働する第1のゲストOS41(「第1のOS」の一例。)と、同じく仮想化環境において稼働する、第1のゲストOS41と比較してOSそのもののデータ量が大きい第2のゲストOS42(「第2のOS」の一例。)とで、表示部14(「所定のデバイス」の一例)。)を使用する権限を有するOSを、検知した自動車の移動状態に応じて、切り替える。
【0059】
したがって、第1実施形態における情報処理装置1において、危険度(事故の発生率)の高い移動状態(例えば、低速走行している移動状態)では、その危険度を低下させる処理を実行する第1の画像処理アプリ51をより安定度の高い第1のゲストOS41上で動作させるとともに、第1の画像処理アプリ51で使用する表示部14の使用権限を第1のゲストOS41に付与することにより、危険度(事故の発生率)の高い移動状態での安全性を向上させることができる。
【0060】
また、第1実施形態における情報処理装置1では、制御部11が、自動車の周囲を撮影した撮影画像をフロントカメラ15aやバックカメラ15bから取得し、撮影画像に第1の画像処理を施して、自動車が低速(10km/h未満の速度。「第1の速度域」の一例。)で走行している際に表示させるべき画像を生成し、表示部14に表示させる第1の画像処理アプリ51(「第1のアプリケーション」の一例。)を第1のゲストOS41上で動作させる。また、制御部11は、撮影画像に第2の画像処理を施して、自動車が高速(10km/h以上の速度。「第2の速度域」の一例。)で走行している際に表示させるべき画像を生成し、表示部14に表示させる第2の画像処理アプリ52(「第2のアプリケーション」)を第2のゲストOS42上で動作させる。さらに、制御部11は、自動車が低速で走行している移動状態を検知した場合に、第1のゲストOS41に対して表示部14に画像を表示させる権限を付与し、自動車が高速で走行している移動状態を検知した場合に、第2のゲストOS42に対して表示部14に画像を表示させる権限を付与する。
【0061】
したがって、第1実施形態における情報処理装置1によれば、自動車の移動状態が危険度(事故の発生率)の高い低速走行状態である際には、より安定度の高い第1のゲストOS41上で動作する第1の画像処理アプリ51により第1の画像処理が施された、自動車が低速で走行している際に表示させるべき画像が表示部14に表示されることから、低速走行時における安全性を向上させることができる。また、安全面で優先度の低い第2の画像処理を行う第2の画像処理アプリ52を第1のゲストOS41上で動作させず、第2のゲストOS42上で動作させることから、第2の画像処理アプリ52に不具合が生じても、第1のゲストOS41及び第1の画像処理アプリ51に悪影響を与えることがなく、低速走行時に第1の画像処理が施された画像を確実に表示させることができる。
【0062】
なお、第1実施形態では、
図4左側に示すように制御部11が、車速が10km/h以上となったか否かを判定し(ステップS102)、10km/h以上となった場合(ステップS102:YES)に第2のゲストOS42側に第2の画像処理の起動要求を行う(ステップS103)構成としたが、これに代えて、第1のゲストOS41を実行する制御部11のみならず、第2のゲストOS42を実行する制御部11が、車速が10km/h以上となったかを判定することとして、車速が10km/h以上となったと判定した場合に、自ら第2の画像処理を起動する構成としてもよい。同様に、
図5に示した自動車の減速時についても、第2のゲストOS42を実行する制御部11が、車速が10km/h未満となったか否かを判定することとして、車速が10km/h未満となったと判定した場合に、自ら第2の画像処理を停止させる構成としてもよい。また、
図4及び
図5においては、表示部14を使用する権限を有するOSを切り替える際の判定(車速が10km/h以上であるか否かの判定)を、第1のゲストOS41側で行うこととしたが、これに代えて、第2のゲストOS42が行うこととし、その判定結果に応じて第1のゲストOS41に、第1の画像処理の起動要求又は停止要求を行うこととしてもよい。
【0063】
なお、第1実施形態において、第1の画像処理アプリ51は、フロントカメラ15a及びバックカメラ15bにより撮影された撮影画像に対して第1の画像処理を施して表示部14に表示させる構成としたが、これに加えて又はこれに代えて、第1の画像処理アプリ51が、フロントカメラ15a及びバックカメラ15bにより撮影された撮影画像に対して第1の画像処理を施さずにそのまま表示部14に表示させる構成としてもよい。
【0064】
[2.第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、自動車の移動状態が低速走行状態であるか又は高速走行状態であるかに応じて、第1のゲストOS41と第2のゲストOS42とで、表示部14を使用する権限を有するOSを切り替えていたのに対して、以下に説明する第2実施形態では、自動車が通行料金を精算する料金所から所定の距離(本実施形態では100m。適宜、他の距離にすることとしてもよい。)内に存在するか、又は自動車が通行料金以外の代金を精算する精算所から所定の距離(本実施形態では100m。適宜、他の距離にすることとしてもよい。)内に存在するかに応じて、第1のゲストOS41と第2のゲストOS42とで、ETC(Electronic Toll Collection System)車載器(「無線通信機」の一例。)を使用する権限を有するOSを切り替える。
【0065】
第2実施形態における情報処理装置1Aは、第1実施形態における情報処理装置1と、ほぼ同様の構成を有するので、同じ部材及び処理について同じ符号を用いることにより説明を一部省略し、差異点を中心に説明する。
【0066】
[2.1.情報処理装置1Aの構成]
図6に示すように、第2実施形態における情報処理装置1Aは、制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14、フロントカメラ15a、バックカメラ15b、操作部16、位置検出部17、車両情報入力部18及びETC車載器19を含んで構成されている。制御部11と、記憶部12、通信部13、表示部14、フロントカメラ15a、バックカメラ15b、操作部16、位置検出部17、車両情報入力部18及びETC車載器はシステムバスBを介して接続されている。
【0067】
記憶部12には、
図7に示すように、第1のゲストOS41上で動作する第1のETCアプリケーション(以下、「第1のETCアプリ」と表記する。)53(「第1の精算アプリケーション」の一例。)、第2のゲストOS42上で動作する第2のETCアプリケーション(以下、「第2のETCアプリ」と表記する。)54(「第2の精算アプリケーション」の一例。)がそれぞれ記憶されている。
【0068】
第1のゲストOS41は、第1のETCアプリ53を動作させるためのOSである。第2のゲストOS42は、第2のETCアプリ54を動作させるためのOSである。
【0069】
第1のETCアプリ53は、例えば有料道路の出入口に設けられた料金所でETC車載器19を利用して通行料金を精算するためのアプリケーションである。料金所付近は、自動車が一旦速度を落とし、再び加速するといった動きを行うため事故の発生確率が高い。これに加えて、料金所付近で第1のETCアプリ53に不具合が生じ、正常に通行料金の精算処理がなされないといった事態になると、より危険性が増してしまう。そのため、料金所付近で精算処理を行う第1のETCアプリ53は、より安定性が高い第1のゲストOS41上で動作するように設定されている。
【0070】
第2のETCアプリ54は、例えばドライブスルーの通路に設けられた精算所でETC車載器19を利用して商品代金を精算するためのアプリケーションである。一般的に精算所付近は料金所付近と比較して事故の発生確率が低く、精算所付近で第2のETCアプリ54に不具合が生じたとしても、事故に直結する可能性は低いため、第2のETCアプリ54は第1のゲストOS41より安定性の低い第2のゲストOS42上で動作するように設定されている。
【0071】
また、記憶部12(「記憶手段」の一例)には、料金所及び精算所の所在地を示す所在地情報が記憶されている。制御部11は、所在地情報と、位置検出部17(「現在位置取得手段」の一例)から受け取った現在位置を示す信号(「現在位置情報」の一例)とに基づいて、自動車が料金所から所定の距離内に存在すること、又は自動車が精算所から所定の距離内に存在することを検知する。
【0072】
ETC車載器19は、料金所及び精算所に設置された無線装置と無線通信を行い、通行料金や商品代金の精算を行うための情報のやりとりを行う。
【0073】
[2.2.情報処理装置1Aの動作]
次に、
図8及び
図9を用いて情報処理装置1Aの動作概要を説明する。
図8及び
図9では、VMM31、第1のゲストOS41、第2のゲストOS42の三者に分けて動作概要を説明する。
図8では、自動車が精算所から100m以内のエリアに入った場合における情報処理装置1Aの動作について説明する。
図9では、自動車が精算所から100m以内のエリアを出た場合における情報処理装置1Aの動作について説明する。
【0074】
図8に示す処理は、自動車が精算所から100m以内のエリアに存在していない状態であって、VMM31により、ETC車載器19を使用する権限が第1のゲストOS41に与えられている時点から始まる。また、第1のETCアプリ53が起動しており、第2のETCアプリ54は停止しているものとする。なお、
図8左側に示したステップS151の処理〜ステップS154の処理は、制御部11が第1のゲストOS41又は第1のETCアプリ53を実行することにより行われる。
図8中央に示したステップS251の処理及びステップS252の処理は、制御部11が第2のゲストOS42又は第2のETCアプリ54を実行することにより行われる。
図8右側に示したステップS351の処理及びステップS352の処理は、制御部11がVMM31を実行することにより行われる。
【0075】
まず、
図8左側に示すように、制御部11は、自動車が精算所から100m以内のエリアに入ったか否かを判定する(ステップS151)。制御部11は、自動車が精算所から100m以内のエリアに入るまで待機し(ステップS151:NO)、自動車が精算所から100m以内のエリアに入ったと判定した場合には(ステップS151:YES)、第2のゲストOS42に対して第2のETCアプリ54の起動要求を行う(ステップS152)。
【0076】
これに対して、
図8中央に示すように、制御部11は、第1のゲストOS41から第2のETCアプリ54の起動要求を受け取ると、第2のETCアプリ54を起動し(ステップS251)、第1のゲストOS41に対して第2のETCアプリ54の起動完了報告を行う(ステップS252)。
【0077】
図8左側に示すように、制御部11は、第2のゲストOS42から第2のETCアプリ54の起動完了報告を受け取ると、VMM31に対して、OS切り替え要求を行う(ステップS153)。
【0078】
これに対して、
図8右側に示すように、制御部11は、第1のゲストOS41からOS切り替え要求を受け取ると、OSを切り換える(ステップS351)。具体的には、制御部11は、ETC車載器19を使用する権限を第1のゲストOS41から第2のゲストOS42に移す。これにより、精算所において第2のETCアプリ54の処理によって商品代金の精算が行われる。制御部11は、ステップS351の処理を完了すると、OS切り替え完了報告を第1のゲストOS41に対して行う(ステップS352)。
【0079】
図8左側に示すように、制御部11は、VMM31からOS切り替え完了報告を受け取ると、第1のETCアプリ54を停止させる(ステップS154)。
【0080】
このように、自動車が精算所から100m以内のエリアに存在しない場合(自動車が料金所から100m以内のエリアに存在する場合を含む。)には、第1のETCアプリ53が起動し、第2のETCアプリ54が停止した状態となる。一方、自動車が精算所から100m以内のエリアに存在する場合には第2のETCアプリ54が起動し、第1のETCアプリ53が停止した状態となる。
【0081】
次に、
図9を用いて、自動車が精算所から100m以内のエリアを出た場合における情報処理装置1Aの動作について説明する。
【0082】
図9に示す処理は、自動車が精算所から100m以内のエリアに存在している状態であって、VMM31により、ETC車載器19を使用する権限が第2のゲストOS42に与えられている時点から始まる。また、第2のETCアプリ54が起動しており、第1のETCアプリ53は停止しているものとする。なお、
図9左側に示したステップS171の処理〜ステップS173の処理は、制御部11が第1のゲストOS41又は第1のETCアプリ53を実行することにより行われる。
図9中央に示したステップS271の処理〜ステップS273の処理は、制御部11が第2のゲストOS42又は第2のETCアプリ54を実行することにより行われる。
図9右側に示したステップS371の処理及びステップS372の処理は、制御部11がVMM31を実行することにより行われる。
【0083】
まず、
図9中央に示すように、制御部11は、自動車が精算所から100m以内のエリアに存在しているか否かを判定する(ステップS271)。制御部11は、自動車が精算所から100m以内のエリアに存在しなくなるまで(すなわち、自動車が精算所から100m以内のエリアから出るまで)待機し(ステップS271:YES)、自動車が精算所から100m以内のエリアに存在しなくなった(すなわち、自動車が精算所から100m以内のエリアから出た)場合には(ステップS271:NO)、第1のゲストOS41に対して第1のETCアプリ53の起動要求を行う(ステップS272)。
【0084】
図9左側に示すように、制御部11は、第2のゲストOS42から第1のETCアプリ53の起動要求を受け取ると、第1のETCアプリ53を起動させ(ステップS171)、VMM31に対してOS切り替え要求を行う(ステップS172)。
【0085】
これに対して、
図9右側に示すように、制御部11は、第1のゲストOS41からOS切り替え要求を受け取ると、OSを切り換える(ステップS371)。具体的には、制御部11は、ETC車載器19を使用する権限を第2のゲストOS42から第1のゲストOS41に移す。制御部11は、ステップS371の処理を完了すると、OS切り替え完了報告を第1のゲストOS41に対して行う(ステップS372)。
【0086】
図9左側に示すように、制御部11は、VMM31からOS切り替え完了報告を受け取ると、第2のゲストOS42に対して第2のETCアプリ54の停止要求を行う(ステップS173)。
【0087】
図9中央に示すように、制御部11は、第1のゲストOS41から第2のETCアプリ54の停止要求を受け取ると、第2のETCアプリ54を停止させる(ステップS273)。
【0088】
なお、
図9に示す各処理が完了すると、
図8に示す処理の初期状態と同じ状態となる。
【0089】
以上説明したように、第2実施形態における情報処理装置1Aでは、制御部11が、自動車(「移動体」の一例。)の移動状態を検知し、仮想化環境において稼働する第1のゲストOS41(「第1のOS」の一例。)と、同じく仮想化環境において稼働する、第1のゲストOS41と比較してOSそのもののデータ量が大きい第2のゲストOS42(「第2のOS」の一例。)とで、ETC車載器19(「所定のデバイス」の一例)。)を使用する権限を有するOSを、検知した自動車の移動状態に応じて、切り替える。
【0090】
したがって、第2実施形態における情報処理装置1Aにおいて、危険度(事故の発生率)の高い移動状態(例えば、料金所から100m以内を走行している移動状態)では、その移動状態に応じた処理を実行する第1のETCアプリ53をより安定度の高い第1のゲストOS41上で動作させるとともに、第1のETCアプリ53で使用するETC車載器19の使用権限を第1のゲストOS41に付与することにより、危険度(事故の発生率)の高い移動状態での安全性を向上させることができる。
【0091】
また、第2実施形態における情報処理装置1Aでは、制御部11が、ETC車載器19(「無線通信機」の一例。)を使用して料金所にて通行料金の精算処理を行う第1のETCアプリ53(「第1の精算アプリケーション」の一例。)を第1のゲストOS41上で動作させる。また、制御部11は、ETC車載器19を使用して精算所にて通行料金以外の代金の精算処理を行う第2のETCアプリ54(「第2の精算アプリケーション」の一例。)を第2のゲストOS42上で動作させる。さらに、制御部11は、自動車が料金所から100m(「所定の距離」の一例。)内を移動する移動状態を検知した場合に、第1のゲストOS41に対してETC車載器19を使用する権限を付与し、自動車が精算所から100m(「所定の距離」の一例。)内を移動する移動状態を検知した場合に、第2のゲストOS42に対してETC車載器19を使用する権限を付与する。
【0092】
したがって、第2実施形態における情報処理装置1Aによれば、自動車の移動状態が危険度(事故の発生率)の高い料金所から100m内を移動している移動状態である際には、より安定度の高い第1のゲストOS41上で動作する第1のETCアプリ53により料金所でETC車載器19を使用した精算処理が行われることから、料金所から100m内における安全性を向上させることができる。また、精算所でETC車載器19を使用した精算処理を行う第2のETCアプリ54を第1のゲストOS41上で動作させず、第2のゲストOS42上で動作させることから、第2のETCアプリ54に不具合が生じても、第1のゲストOS41及び第1のETCアプリ53に悪影響を与えることがなく、料金所での精算処理を確実に行うことができる。
【0093】
なお、制御部11が、料金所及び精算所に設置された無線装置と無線通信するETC車載器19から取得した通信内容に基づいて、自動車が料金所から所定の距離内に存在すること、又は自動車が精算所から所定の距離内に存在することを検知する構成としてもよい。