(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜
図10を参照して本発明の実施形態に係る吊搬具及び運搬方法を説明する。
なお、図面において、
図1に示す収容袋体11の網目11a(
図2参照)の大きさ、吊下部材3の太さ、及び、保持機構4の大きさは、適宜誇張して記載してある。まず、吊搬具1を説明する前に、吊搬具1に収容する
図3に示す被収容物7、フレコンバッグ71、及び、搬送装置8(
図6参照)を説明する。
【0012】
<被収容物>
被収容物7は、
図6〜
図8に示すように、吊搬具1内に収容し、後記する搬送装置8によって引き上げることが可能なものであれば、特に限定されない。被収容物7は、例えば、略円柱形状、略円筒形状、角柱形状、直方体形状、立方体形状、不特定な立体形状等のものである。以下、被収容物7の一例として、放射性物質の除染作業で取り除いた土や放射性廃棄物等の廃棄物を収容して、仮置き場や中間貯蔵施設に保管されている略円柱形状の劣化したフレコンバッグ71を例に挙げて説明する。
【0013】
<フレコンバッグ>
図3に示す劣化したフレコンバッグ71は、例えば、有底円筒状の袋体71aと、袋体71aの上部に設けられた2本の吊りベルト71b(吊り手)と、袋体71aの上端部から上方向に連続形成された筒状蓋部71cと、筒状蓋部71cを縛る縛り紐(図示省略)と、を有している。
【0014】
袋体71aは、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の化学繊維で織られたシートを袋状に形成した折り畳み可能な一般的なものであり、上部に内容物を投入可能な開口部が形成されたものである。なお、袋体71aは、有底角筒形状のものや、金属容器等他の形状のものであってもよい。
吊りベルト71bは、例えば、収容袋体11と同じ材料で形成された帯状のものであり、両端部が袋体7aの側面に固定されている。
筒状蓋部71cは、先端部に投入口を有する円筒状の部位である。劣化したフレコンバッグ71は、この筒状蓋部71cを縛り紐で縛ることによって閉塞されている。
【0015】
劣化したフレコンバッグ71を収容する後記の新しいフレコンバッグ72は、
図7に示すように、劣化したフレコンバッグ71と略同一形状で、大きさが劣化したフレコンバッグ71よりも大きく形成されている。つまり、新しいフレコンバッグ72は、有底円筒状の袋体72aと、袋体72aの上部に設けられた2本の吊りベルト72b(吊り手)と、袋体72aの上端部から上方向に連続形成された筒状蓋部72cと、筒状蓋部72cの縛る縛り紐72d(
図10参照)と、を有している。
【0016】
<搬送装置>
図6に示すように、搬送装置8は、吊搬具1を吊り上げる機能を有する装置である。搬送装置8は、例えば、吊搬具1を運搬する作業に使用されるクレーンや、フォークリフト等である。以下、搬送装置8の一例として、クレーンの場合を例に挙げて説明する。
搬送装置8は、被荷役物を吊り揚げる吊りロープ(図示省略)の先端に、フック82を有する吊り具81が連結されている。
【0017】
<吊搬具>
図7〜
図10に示すように、吊搬具1は、劣化したフレコンバッグ71を新しいフレコンバッグ72で包み込んで収容する場合に、劣化したフレコンバッグ71を上昇・下降させる際に使用する補助具である。
図1に示すように、吊搬具1は、少なくとも下端に開口部1dを有する筒状の収容袋体11と、劣化したフレコンバッグ71を収容した収容袋体11の下側外周部1eを締め付ける締付部材2と、収容袋体11に設けられた吊下部材3と、を備えている。
【0018】
<収容袋体>
収容袋体11は、劣化したフレコンバッグ71(被収容物7)を一時的に収容する袋状部材である。収容袋体11は、例えば、網目11aを有する網状部材によって円筒状に形成されている。収容袋体11は、上側開口部1cの上側外周部1aから吊下部材3を引き出すための引出部11bと、底部1bの開口部1dの外周縁に設けられた環状芯材11cと、を有している。
【0019】
図2に示すように、網目11aを有する網状部材からなる収容袋体11は、例えば、フレコンバッグ71と同様に、ポリプロピレンやポリエチレン製の化学繊維を細い紐状部材(太い糸状部材)を略格子状に編み込んで、円筒状に形成されてなる。収容袋体11は、網状部材によって折畳み可能、及び、元の形状に復元可能に形成されている。
【0020】
図1に示す引出部11bは、網目11aを適宜な間隔で縫うように配置された吊下部材3が、収容袋体11から引き出された最上部位にある網目11aである。収容袋体11は、この引出部11bから上方に向けて引き出されて配置されている。
【0021】
環状芯材11cは、開口部1dが円形に開口した状態を維持させるための部材である。環状芯材11cは、例えば、リング状に形成された弾性を有するPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂製の帯状部材からなり、開口部1dの外周縁に取り付けられている。
なお、環状芯材11cは、開口部1dが円形に広がった状態になる弾性を有しているものであればよく、ワイヤやケーブル状のものであってもよい。
【0022】
<締付部材>
図1に示すように、締付部材2は、収容袋体11の下側外周部1eを締め付けるための1本の紐状の部材からなる。締付部材2は、収容袋体11の下側外周部1eに配置されて下側外周部1eを絞るための締付部2aと、締付部2aの両側に配置された余長部2b,2cと、余長部2b,2cの先端に設けられたグリップ2d,2eと、を有している。
【0023】
締付部材2は、余長部2b,2c間の締付部2aを、収容袋体11の網目11a(
図2参照)を縫うようにして下側外周部1eを1周巻回して網目11aから引き出し、両方の余長部2b,2cを筒体41及び栓状部材42内を挿通して、栓状部材42から引き出した状態に配置されている。
【0024】
締付部材2は、締付部材2で収容袋体11の下側外周部1eを締め付けていない場合、
下側外周部1eと筒体41との間に余長部2b,2cが配置されて、締付部2aが緩んだ状態に配置される。また、
図5(a)、(b)に示すように、締付部材2は、締付部材2で収容袋体11の下側外周部1eを締め付けている場合、筒体41の基端側開口部41aが下側外周部1eを押圧し、下側外周部1eと筒体41との間に余長部2b,2cがなく、締付部2aが下側外周部1eを締め付けた状態に配置される。
【0025】
締付部材2と後記する吊下部材3は、具体例を挙げると、撓み変形可能なロープ、紐、ワイヤ、ケーブル、帯、ベルト、あるいは、チューブからなる。締付部材2、及び、吊下部材3は、収容袋体11の網目11aを縫うように通して配置されている。
なお、締付部材2、及び、吊下部材3は、複数本の線状部材を束ねるようにして1本化したものであってもよい。
【0026】
締付部2aは、締付部材2の中央部分であって、収容袋体11の下側外周部1eを1周するように配置されている箇所である。締付部2aは、収容袋体11に対して、網目11aを縫うように配置されて、下側外周部1eの周方向に移動可能に配置されている。
【0027】
余長部2b,2cは、締付部材2において、収容袋体11の下側外周部1eから引き出されて配置されている部位であって、締付部2aの両端側部位である。つまり、締付部材2は、下側外周部1eの周方向の1周の長さよりも長く形成されている。
余長部2bの両端部には、作業者等が把持するグリップ2d,2eが設けられている。余長部2b,2cの中央部には、締付部2aが下側外周部1eを締め付けている状態を保持する保持機構4が配置されている。
【0028】
<保持機構>
図1に示すように、保持機構4は、収容袋体11の下側外周部1eを締め付ける締付部材2の締め付け状態を保持するための機構である。つまり、保持機構4は、締付部材2の締め付け状態を保持するものであればよく、適宜変更しても構わない。その一例を挙げると、保持機構4は、余長部2b,2cが挿通される筒体41と、筒体41の先端側開口部41bに圧入することで圧縮されて余長部2b,2cを筒体41に固定する栓状部材42と、を備えて構成されている。
【0029】
筒体41は、締付部材2の余長部2b,2cが挿通されて、栓状部材42が圧入される挿入孔41cを有する円筒部材からなる。筒体41は、作業者が筒体41を把持して、余長部2b,2cを引っ張り易い長さ、及び、大きさに形成された樹脂製、あるいは、金属製の部材からなる。
【0030】
栓状部材42は、余長部2b,2cが挿通される貫通孔42aと、栓状部材42を筒体41に挿入した際に、筒体41の挿入孔41cの内壁に圧縮されるテーパ面42bと、テーパ面42bに長手方向に切欠形成されたスリット42cと、を有している。
【0031】
<吊下部材>
図1に示すように、吊下部材3は、収容袋体11に対して延在する方向に移動自在に線対称に配置された無端の一対の環状部材31,32からなる。吊下部材3は、例えば、ロープ、紐、ワイヤ、ケーブル等の線状部材からなる。一対の環状部材31,32は、収容袋体11の外周部に、側面視して略U字状(湾曲状)に線対称な状態に設けられている。例えば、一対の環状部材31,32は、一方向から側面視して、二つの環状部材31,32が重なって長円形になるように配置されている。また、一対の環状部材31,32の下側部位は、前記一方向から90度回転した位置から側面視して、X字状に襷掛けの状態に配置されている。環状部材31,32の上側部位は、収容袋体11の上部から引出可能に突出した状態にそれぞれ配置されて、上端部に取っ手31c,32cが設けられている。
【0032】
≪吊搬具の作用≫
次に、
図4〜
図10を主に参照しながら本発明の実施形態に係る吊搬具1の作用を運搬方法の作業工程に沿って説明する。
【0033】
まず、
図1に示すように、吊搬具1は、吊下部材3及び締付部材2を緩めて、開口部1dを円形に開放した状態にする(準備工程)。
【0034】
次に、
図3に示すように、その状態の吊搬具1を持ち上げて、劣化したフレコンバッグ71を上側から覆い被せて、
図4に示すように、吊搬具1の下側外周部1eを劣化したフレコンバッグ71の外周下端部71eまで下降させる(装着工程)。
【0035】
続いて、
図5(a)、(b)に示すように、一方の手で筒体41を抑えて、他方の手で両方の余長部2b,2cを先端方向(矢印a方向)に引っ張って、筒体41の基端側開口部41aを収容袋体11に押し付けるようにして、収容袋体11の下側外周部1eを締付部2aで締め付ける(締付工程)。
【0036】
次に、栓状部材42を、筒体41の先端側開口部41b内に押し込んで、先端側開口部41bに栓をするように圧入する。すると、栓状部材42は、筒体41の内壁面に圧接することで、テーパ面42b、スリット42c、貫通孔42a等の全体が圧縮して、貫通孔42aの内壁面が余長部2b,2cを押し付けてロックする。これにより、保持機構4は、締付部材2の締付部2aが収容袋体11を締め付けている状態を維持することができる。
このため、劣化したフレコンバッグ71は、収容袋体11内に動くことなく、しっかりと保持された状態に収容される。
【0037】
続いて、
図6に示すように、吊下部材3の取っ手31a,32aを搬送装置8のフック82に掛止して、上方向(矢印c方向)に吊り上げる(吊上工程)。このとき、吊下部材3は、被収容物7が収容された収容袋体11を吊り上げることで、上方向に引っ張られて、収容袋体11を締め付ける。このため、吊下部材3は、収容袋体11を介して劣化したフレコンバッグ71の外周部を縛った状態になる。
【0038】
次に、
図7に示すように、吊り上げた吊搬具1の下方に新しいフレコンバッグ71を配置する(フレコンバッグ準備工程)。
続いて、
図8に示すように、搬送装置8を下降操作して、その吊搬具1を新しいフレコンバッグ71内に降下させる(フレコンバッグ収容工程)。
【0039】
次に、
図9に示すように、保持機構4の栓状部材42を筒体41から引き抜いて、余長部2b,2c及び締付部2aを緩める。すると、収容袋体11は、下側外周部1eが、環状芯材11cの弾性によって拡開する。そして、搬送装置8を上方向(矢印c方向)に駆動させて収容袋体11を上昇させる。すると、劣化したフレコンバッグ71は、収容している内容物の重さで、収容袋体11から分離され、新しいフレコンバッグ72内に収容される(吊搬具分離工程)。
【0040】
続いて、
図10に示すように、新しいフレコンバッグ72の筒状蓋部72cを縛り紐72dで縛ることによって、劣化したフレコンバッグ71から新しいフレコンバッグ72への入れ替えが完了する(フレコンバッグ保管工程)。
【0041】
このように、本発明の吊搬具1及び運搬方法は、
図3〜
図10に示すように被収容物7に対して、吊搬具1を上側から被せるようにして開口部1dを被収容物7の下端部まで配置して、締付部材2の余長部2b,2cを引っ張って締め付けることで、締付部材2で被収容物7の外周を抱持し、吊下部材3を搬送装置8のフック82に掛けて、搬送装置8で吊搬具1を吊り上げることによって被収容物7を搬送させる。このため、フレコンバッグ71,72を吊り上げずに、劣化による破損の心配なく入れ替え作業ができる。
【0042】
このようにして劣化したフレコンバッグ71は、新しいフレコンバッグ72内に収容されるため、劣化しても、内容物が散乱することがない。
【0043】
[第1変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。なお、以下の変形例において、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図11は、本発明の実施形態に係る吊搬具の第1変形例を示す概略斜視図である。
【0044】
前記実施形態では、
図1に示すように、2本の吊下部材3を備えた吊搬具1を説明したが、吊搬具1は、これに限定されるものではない。例えば、
図11に示すように、吊下部材3Aは、収容袋体11を吊り下げることが可能であればよく、1本でもよい。
【0045】
この場合、吊搬具1Aは、吊下部材3Aを、上側外周部1aの周縁部に巻回させて配置し、吊下部材3A全体が、平面視して円形の上側開口部1cを二分するように中心線に沿って線対称に配置する。取っ手31Aaは、開口部1dの周縁から略U字状になるように、収容袋体11から引き出して架設した状態に配置する。
【0046】
つまり、吊下部材3Aは、収容袋体11に対して線対称に配置された一本の環状部材31Aからなる。環状部材31Aは、中央部位が、収容袋体11の外周部に巻回して配置され、両端部位が、収容袋体11の上部から略U字状に引き出されて突出した状態に対向配置されている。
このように構成すれば、吊下部材3Aが1本の部材によって形成されているので、部点数及びコストを削減することができる。
【0047】
[第2変形例]
図12は、本発明の実施形態に係る吊搬具の第2変形例を示す概略斜視図である。
【0048】
また、
図12に示すように、吊搬具1Bは、収容袋体11に対して、1本の吊下部材3Bを螺旋状に配置してもよい。
この場合、吊下部材3Bの一端部3Ba側は、収容袋体11の下側外周部1eに固定されると共に、上側開口部1cの周縁部に設けられた引出部11bに向けて螺旋状に配置される。吊下部材3Bの他端部3Bb側は、上側開口部1cの周縁部の引出部11bの対向位置に固定されると共に、上側開口部1cから引出部11bに亘って湾曲した状態に露出して配置する。
【0049】
このように構成すれば、吊下部材3Bは、1本の有端の線状部材や帯状部材等によって、吊り下げるための取っ手3Bcと、収容袋体11を螺旋状に包囲するように締め付けることが可能な包囲部3Bdと、を構成することができるので、構造を簡素化することができる。また、吊下部材3Bを1本であっても、取っ手3Bcを吊り下げることにより、吊下部材3B全体が吊搬具1B及び被収容物7(
図4及び
図5参照)の自重によって上方向(矢印f方向)に引っ張られて、包囲部3Bdが収容袋体11全体を効率よく締め付けるため、被収容物7をしっかりと拘束した状態に収容することができる。
【0050】
[第3変形例]
図13は、本発明の実施形態に係る吊搬具の第3変形例を示す概略斜視図である。
【0051】
図13に示すように、吊搬具1Cの吊下部材3Cは、ベルト状部材や帯状部材等で構成されたものであってもよい。
この場合、吊下部材3Cは、収容袋体11に対して進退自在に配置された第1吊下部材31Cと、第2吊下部材32Cと、からなる。第1吊下部材31Cは、中央部が収容袋体11の下側外周部1eに配置されて、両端部が、上側開口部1cの周縁部にそれぞれ設けられた引出部11bに向けて線対称に螺旋状に配置されて、引出部11bからそれぞれ引き出されている。第2吊下部材32Cは、第1吊下部材31Cに対して線対称に、収容袋体11に配置されている。収容袋体11の外周面には、締付部材2(図示省略)及び吊下部材3Cを通して支持するための複数の通し片12が適宜な間隔で設けられている。
【0052】
収容袋体11は、網目11aを有するネット状のものに限定されず、塩ビ等の繊維で縫製された布製のものであってもよい。
通し片12は、いわゆるベルト通しであって、ナイロン等の化繊で形成されている。
第1吊下部材31Cは、1本の有端のベルト状部材の中央部側を互いに線対称になるように収容袋体11の側面に螺旋状に配置した袋体巻回部31Caと、袋体巻回部31Caの両端部から上方に延設された略U字形状の取っ手33Cbと、から主に構成されている。第2吊下部材32Cは、第1吊下部材31Cと同一のナイロン等の化繊からなる部材であって、第1吊下部材31Cに対して線対称に配置されている。
【0053】
このように構成すれば、吊下部材3Cの強度を向上させることができるので、約15000kgの重い被収容物7であっても、荷崩れすること無く、バランスよく吊り上げることができる。
【0054】
また、収容袋体11には、開口部1dの周縁の下側外周部1eから上側外周部1aを介して、上側開口部1cから上方向に突出した状態に対向配置した一対の固定吊下部材33Cを設けてもよい。
固定吊下部材33Cは、収容袋体11の側面の下端から上側開口部1cに亘って配置されて縫付けられた袋体固定部33Caと、袋体固定部33Caから上方に延設された略U字形状の取っ手31Cbと、から主に構成されている。
このように構成すれば、吊搬具1Cは、搬送装置8(
図6参照)で吊り上げる際に、固定吊下部材33Cの取っ手31Cbにフック82(
図6参照)を掛けて吊り上げてもよい。
【0055】
[第4変形例]
図14は、本発明の実施形態に係る吊搬具の第4変形例を示す要部概略斜視図である。
図15は、本発明の実施形態に係る吊搬具の第4変形例を示す保持機構の要部拡大概略断面図である。
【0056】
また、
図1に示す保持機構4は、締付部材2の締付部2aで、収容袋体11の下側外周部1eを締め付けた状態に維持することが可能であれば、その構成は特に限定されない。例えば、
図14及び
図15に示すように、保持機構4Dは、いわゆるストッパ(「調整パーツ」ともいわれている)を使用してもよい。
【0057】
つまり、保持機構4Dは、締付部材2の余長部2b,2cが挿通される貫通孔42Dbを有する筐体42Dと、筐体42D内に進退自在に挿入された筐体42D内に挿入された余長部2b,2cをロックするロック部材43Dと、ロック部材43Dをロック位置方向に付勢する付勢手段44Dと、を有するものであってもよい。
【0058】
この場合、筒体41Dは、余長部2b,2cが挿通される円筒状の部材からなる。
筐体42Dは、
図14に示すように、ロック部材43Dを進退自在に収容する収容空間42Daと、外周面の対称な位置に形成された一対の貫通孔42Dbと、を有する略容器状の部材からなる。
ロック部材43Dは、収容空間42Daに進退自在に配置された収容空間42Daから突出した状態に配置されて押圧操作される操作部43Daと、貫通孔42Dbに連通するように配置されて挿通した余長部2b,2cをロックするためのロック孔43Dbと、を有している。
付勢手段44Dは、例えば、圧縮コイルばねからなる。
【0059】
このため、ロック部材43Dは、操作部43Daを押圧操作すると、付勢手段44Dに抗してロック孔43Dbが下降して余長部2b,2cを開放するので、締付部材2を緩めることができる。また、ロック部材43Dは、操作部43Daから操作した手を放すと、ロック部材43Dが付勢手段44Dによって押し上げられて、ロック孔43Dbが上昇してロック孔43Dbの縁が貫通孔42Dbとで抑え付けてロックして、締付部材2の締め付け状態を維持することができる。
【0060】
このように構成すれば、保持機構4Dは、操作部43Daを操作すれば、締付部材2をワンタッチで緩め、操作部43Daを放せば、付勢手段44Dによって自動的に締付部材2をロックすることができるので、操作性及び作業性を向上させることができる。
【0061】
[その他の変形例]
前記実施形態、第1〜第3変形例では、
図1、
図11〜
図13に示すように、吊搬具1,1A,1B,1Cに1〜2本の吊下部材3,3A,3B,3Cを配置した場合を説明したが、3本以上の吊下部材3を備えた吊搬具であってもよい。
その場合は、平面視して円形の吊搬具1に対して、それぞれの吊下部材3を均等な間隔で配置するか、あるいは、線対称な状態に配置すればよい。
3本以上の吊下部材3の場合は、特に、等間隔に配置された3本の吊下部材3で三点吊りするようにすることが最も好ましい。
【0062】
また、収容袋体11は、例えば、約15000kgの被収容物7であっても、吊り上げた際に、破損しないものであればよく、例えば、ビニール製あるいは布製等の袋状部材を二重にしたものであってもよい。また、収容袋体11は、金網状のものや、網状でないシート状のものを円筒形状に形成したものであってもよい。
つまり、収容袋体11は、吊下部材3を通す部位、あるいは、吊下部材3を通すための部材を有した筒状のものであればよい。
【0063】
また、
図1に示す環状芯材11cは、開口部1dの丸い形状を弾性的に維持する復元力を有する環状のばね部材で形成したものであってもよい。
【0064】
また、
図1に示す保持機構4及び締付部材2は、収容袋体11を締め付けたり、開放状態にしたりすることが可能な市販の結束バンドであってもよい。
また、
図1に示す筒体41の先端側開口部41bの開口縁には、余長部2b,2cを係止させて、余長部2b,2cのロック状態を維持する切欠溝を形成してもよい。また、筒体41の外周面には、余長部2b,2cを巻き付けて、余長部2b,2cのロック状態を維持する突起を形成してもよい。
【0065】
また、
図1に示すように、締付部材2は、前記実施形態と第4変形例と第5変形例では、1本の有端の部材で形成した場合を説明したが、余長部2bと余長部2cとが繋がって連続した無端の環状の部材であってもよい。つまり、締付部材2は、余長部2c,2dを引っ張って締付部2aを締め付けることができるものであればよい。
【0066】
また、
図6に示す搬送装置8は、クレーンに限定されるものではなく、内容物等を収容したフレコンバッグ71を吊搬具1と共に吊り上げることが可能な装置であればよい。例えば、搬送装置8は、ショベルカーのフック、またはクレーンやフォークリフトなどの重機であってもよい。
【解決手段】吊搬具1は、下端に開口部1dを有して被収容物7を収容する筒状の収容袋体11と、被収容物7を収容した収容袋体11の下側外周部1eを締め付ける締付部材2と、収容袋体11に設けられた吊下部材3と、を備えている。締付部材2は、収容袋体11の下側外周部1eに配置されて下側外周部1eを絞るための締付部2aと、締付部2aの両側に配置された余長部2b,2cと、を有している。余長部2b,2cは、締付部2aが下側外周部1eを締め付けている状態を保持する保持機構4を備えている。