(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコやパチスロ等の遊技を楽しむ遊技場において遊技機を設置する設備は、島とか遊技機島と呼ばれている。ここで、複数の遊技機が集合してなる遊技機島には、隣接する遊技機と遊技機との間、もしくは、島端の遊技機の側方に間柱ユニットが設けられている。ところで、特許文献1には、この間柱ユニットのそれぞれに、遊技機用灰皿(以下、単に「従来の灰皿」という)が設けられている。従来の灰皿は、間柱ユニットに対して出し入れ可能な筐体と、使用者から見たこの筐体の側面に対して出没自在の皿部(タバコ皿)と、を備えている。タバコを吸おうとする使用者は、間柱ユニットから筐体を手前に引き出した後、その側面の皿部を筐体に対して側方に開く。このとき、筐体内部の落下路は、皿部の先端が落下路上部へ張り出してこれを閉鎖状態にする。したがって、開かれた皿部の上に火のついたタバコを載せることができるし、それが落下路内へ滑り落ちることもない。また、タバコの火を消すときは、火のついた先端を皿部の上面に押し付けてもみ消す。火を消した後の吸殻は、皿部の上に放置し、放置された吸殻は、開いている皿部が閉鎖されるときに(同時に落下路の閉鎖も解除され)、皿部の上面を滑走して落下路内へ落下する。なお、特許文献1は、従来の灰皿の上に載せられた吸殻が島内に設けられた搬送手段へ直接落下する機構を開示する。
【0003】
しかしながら、従来の灰皿には、以下の点において課題がある。その課題とは、タバコの吸い殻以外の異物に対する対策が不十分であるということである。たとえば、遊技場では遊技客が快適に遊技できるようにとの配慮から、不織布おしぼりを配ることがある。しかし、この不織布おしぼりが、使われた後もしくは悪戯で灰皿の中にまるめた状態で捨てられることがよくある。この捨てられたおしぼりが異物となりタバコの落下路を塞いだり、上記搬送手段が設けられているときは、その搬送手段を詰まらせるという問題がある。タバコの吸い殻よりも小さな異物であれば、上記した問題が起きづらいが、まるめた状態のおしぼりなどは、吸殻よりも大きいし、吸殻に比べて破断しにくいため、搬送手段の故障等の諸問題発生に直結する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述した従来の灰皿を改善して異物を混入しづらくすることによって、落下通路の塞がりや搬送手段の詰まりや故障などの問題をできるだけ起こさない遊技機用灰皿および遊技機島を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、次項以下に示す構成を備えている。なお、いずれかの請求項記載の発明を説明するに当たって行う用語の定義等は、その記載順に関わりなく、可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用があるものとする。
【0007】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る遊技機用灰皿(以下、適宜「請求項1の灰皿」という)は、遊技機側方に設けられる間柱ユニット(「マチ」と呼ばれることもある)に対して出し入れ可能(出没可能、進退可能)な遊技機用灰皿である。具体的には、遊技者側に位置する前板部と、前記前板部の背面側で対向する両側板部と、前記両側板部の間に形成される落下路と、前記両側板部の一方に形成した開口もしくは切欠と、間柱ユニットから引き出されているときに、前記開口もしくは切欠を介して前記側板部の一方に対して出没可能(出し入れ可能、進退可能)、かつ、突出時にタバコ受けとなるタバコ皿と、を有している。さらに、前記タバコ皿が受けているタバコを前記落下路に落下させないように前記両側板部間を閉鎖する閉鎖板と、前記閉鎖板を貫通し、前記落下路へタバコを落下させるための少なくとも1個のタバコ落下孔と、を備える。タバコ皿が設けられる一方の側壁部は、遊技者から見て左側の側壁部とすること、すなわち、灰皿を遊技者の左側に配することが好ましい。なぜなら、遊技機の右側には操作ハンドルがあることが多い(右手で操作する)ため、遊技機右側の灰皿を使用しなければならないとすると、灰皿もしくはそこに置いたタバコが操作の邪魔になる恐れがあるからである。なお、閉鎖板は、タバコ落下孔以外にタバコ落下孔より小さい孔を設けてもよい。さらに、閉鎖板全体をメッシュ状やスノコ状にすることを妨げるものではない。
【0008】
また、請求項1の灰皿は、その必要がないときは間柱ユニットの中に入れておき、タバコを吸うために必要な時に、その中から手前に引き出して使用する。すなわち、遊技者や遊技場の従業員が、灰皿を間柱ユニットから引き出すと、両側壁部が露出するので、その一方にあるタバコ皿を操作して遊技者から見て側壁部の側方へ突出させる。突出したタバコ皿は、その上に載せられたタバコを、単独もしくは閉鎖板と協働して保持する。遊技者は、吸いかけのタバコを載せておくことができるし、火のついた先端部をタバコ皿もしくは閉鎖板に押し付けて火を揉み消すこともできる。火が消された後の吸殻は、閉鎖板に設けられたタバコ落下孔を通じて落下路内へ落下させることができる。一方、タバコ落下孔を通過できない異物(たとえば、丸めただけのおしぼり)は、タバコ落下孔を通すことができないので、閉鎖板を超えて落下路内へ落下することがない。つまり、閉鎖板のタバコ落下孔は、タバコより大きな異物の通過を許さないフィルターの役目を果たす。使用済みのタバコ皿は、側壁部の一方の中に没入させ、その後、灰皿全体を間柱ユニット内に押しながら入れれば遊技の邪魔になることもない。仮に閉鎖板の上に吸殻が放置されていたとしても、タバコ皿の没入は可能であり、少なくともタバコよりも大きな異物の混入は防止することができる。
【0009】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る遊技機用灰皿(以下、適宜「請求項2の灰皿」という)は、請求項1の灰皿であって、
前記枠体は、遊技者側に位置する前板部と、前記前板部の背面側で対向する両側板部と、前記両側板部の開放端部を連結する連結壁部によって形成され、前記タバコ皿は、前記閉鎖板の下方に延びる先端部を有する皿底板部を備え、前記皿底板部は、その下面に前記タバコ皿を前記側板部の一方に対し回動可能(揺動可能)とするヒンジ構造を備え、前記タバコ皿を回動させて前記側板部の一方から突出させたとき、前記皿底板部の先端部が前記タバコ落下孔を閉鎖することなく前記閉鎖板の下面に当接するように構成されている。
【0010】
請求項2の灰皿によれば、側壁部に対するタバコ皿の出没がヒンジ構造の働きによって行われる。そして、突出したときのタバコ皿の皿底板部の先端部が閉鎖板の下面と当接してタバコ皿の位置決めがなされる。一方、没入させるときの皿底板部は、落下通路に向かって下り傾斜するとともに、閉鎖板との間に隙間ができるので、皿底板部の上に乗っていた吸殻や灰などが落下通路内に滑り落下する。このように、請求項2の灰皿によれば、請求項1の灰皿の作用効果に加え、タバコの吸殻のうち、特に、小さな灰の処理をより簡単に行うことができる。
【0011】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係る遊技機用灰皿(以下、適宜「請求項3の灰皿」という)は、請求項1または2の灰皿であって、前記前板部の下方部位には、前記落下路を開閉する可動底板が配され、前記可動底板は、間柱ユニットから引き出されているとき前記落下路を閉鎖、かつ、間柱ユニットに押し入れるとき前記落下路を開放するように構成されている。
【0012】
請求項3の灰皿によれば、多様な吸殻回収を可能とすることができる。そもそも灰皿に何らかの底部が設けられていることは自明であるが、これを開放可能とすることにより、間柱ユニットから引き出した状態もしくは押し入れた状態で吸殻回収を行うことができる。前者は、引き出したときにも可動底板を開放可能にしておけば従業員等が吸殻回収を行う際に便利であり、後者は、たとえば、遊技機島内部もしくは外部にある吸殻搬送手段へ吸殻を落下させることが可能になる。
【0013】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係る遊技機島(以下、適宜「請求項4の遊技機島」という)は、複数の遊技機および間柱ユニットが互い違いに横並び集合してなる遊技機島を示す。ここで、前記間柱ユニット各々に、請求項1ないし3いずれかの灰皿が設けられている。なお、本願明細書および特許請求の範囲に記載された「遊技機」には、パチンコ機やパチスロ機、パロット機等が含まれる。
【0014】
請求項4の遊技機島によれば、請求項1ないし3いずれかの灰皿が含まれるので、請求項1ないし3の灰皿に係る作用効果と同じ効果を奏することができる。
【0015】
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明に係る遊技機島(以下、適宜「請求項5の遊技機島」という)は、複数の遊技機および間柱ユニットが互い違いに横並び集合してなる遊技機島である。ここで、前記間柱ユニット各々に、請求項3記載の遊技機用灰皿が設けられている。それに加え、前記遊技機島の内部もしくは外部には、その長手方向に延びる吸殻搬送手段と、当該吸殻搬送手段の一端に設けられた吸殻処理装置と、が設けられ、前記遊技機用灰皿各々の落下路から前記吸殻搬送手段へタバコの吸い殻が落下するように構成されている。
【0016】
請求項5の遊技機島によれば、引き出された灰皿の可動底板は落下路を閉鎖しているので、タバコの吸殻を可動底板上(落下通路内)で受け止めることができる。その一方で、押し入れられた灰皿の可動底板は落下路を開放するので可動底板上(落下通路内)にあった吸殻は下方へ落下する。下方へ落下したタバコの吸い殻は吸殻搬送手段によって受け止められ、その後、吸殻処理装置へ搬送され、回収等の処理がなされる。つまり、タバコの吸い殻の自動処理が可能となる。なお、タバコの吸い殻より大きな異物は、閉鎖板によって排除されている。すなわち、吸殻処理装置に入り込まないようにしているので、大きな異物混入により同装置が詰まるおそれはほとんどない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、異物を混入しづらくすることによって、タバコの吸殻を落下させる落下通路の塞がりや、搬送手段の詰まり、故障などの問題をできるだけ生じないようにすることができる。また、異物混入による清掃の手間を極力抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(パチンコ遊技機島の外観構造)
各図を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下、適宜「本実施形態」という)について説明する。
図1に示す符号101は、膳板107の上に並べられた複数のパチンコ機(遊技機)103および間柱ユニット105が互い違いに横並び集合してなるパチンコ島(遊技機島)を示す。パチンコ機103には、遊技面103aと、遊技面103aの下方に位置する玉皿103bが設けられている。さらに、玉皿103bの向かって右側には、パチンコ玉を打つための操作ハンドル103cが設けられている。また、
図1に示す符号111は、タバコの吸殻を図外の吸殻処理装置まで搬送する吸殻搬送手段を示す。吸殻搬送手段111の内部には、タバコの吸殻を載せて長手方向(
図1の左右方向)へ移動する搬送ベルト113が配されている(
図4)。なお、本実施形態ではパチンコ島を対象としているが、パチスロその他の遊技機の島でも適用可能である。
【0020】
(間柱ユニットの構造)
図1〜
図3に示す間柱ユニット105は、パチンコ機103とパチンコ機103の間、もしくは、図の外になるが島端のパチンコ機103の左端に位置している。各間柱ユニット105は、正面から見て、たとえば、縦810mm横50mm程度の縦長形状のユニット前板部105aを主要部材とし、このユニット前板部105aを含む横断面は補強のためコの字状に形成されている。ユニット前板部105aの上端には上受け板部105bを、下端には下受け板部105cを、それぞれ水平方向に屈曲形成してある。上受け板部105bおよび下受け板部105cは、いずれも間柱ユニット105をパチンコ島101(
図1)に取り付けるための部位である。下受け板部105cには、矩形の受入孔105jを貫通形成してある。受入孔105jは、後述する吸殻回収ユニット5の回収落下部53を受け入れ固定するための孔である。間柱ユニット105全体の構成素材は、たとえば、ステンレス鋼のような金属や合成樹脂もしくはこれらの複合材が好適である。各間柱ユニット105には、後述する遊技機用灰皿1(以下、適宜「灰皿1」と表記する)を設けてある。
【0021】
(灰皿と間柱ユニット)
図3〜
図8を参照しながら、灰皿の詳細構造の説明を行う。灰皿1は、間柱ユニット105のユニット前板部105aに開口された前板開口105h(
図3)を介してユニット前板部105aに対して出し入れ可能に構成されている。さらに、灰皿1は、ユニット前板部105aの背面に取り付けられた吸殻回収ユニット3に対しても出し入れ可能になっている。吸殻回収ユニット3については、後で詳しく説明する。
【0022】
(灰皿の概略構造)
灰皿1は、遊技者側に位置する前板部11と、前板部11の背面側で対向する側板部13aおよび側板部13bと、側板部13aおよび側板部13bの開放端部を連結する連結壁部によって、平面視矩形の上下開放の枠体が形成され、この枠体によって囲まれた空間がタバコを落下させるための落下路23となる。落下路23の下端は、可動底板25により開放可能に閉鎖されている。側板部13aおよび13bは、灰皿1がユニット前板部105aからフルに引き出されたとき、その開放端(
図5に破線で示す)がユニット前板部105aの裏側(吸殻回収ユニット3の内部)に残る寸法に設定されている。また、側板部13aには、上方に開放する矩形の切欠15が形成されている。切欠15は、側板部13aに対し、後述するタバコ皿17を出没可能とするためのものである。切欠15は側板部13bに設けることもできるが、側板部13aに設けることが好ましい。側板部13bに設けると、灰皿1が遊技者から見て右側に位置することになるため操作ハンドル103c(
図1)の操作を行いづらくする恐れがあるからである。そのような恐れがない場合、すなわち、操作ハンドル103cが左側に位置する場合などは、側板部13bに切欠15を設けること(灰皿1を遊技者に右に位置させること)を妨げるものではない。なお、
図5に示す符号15aは、切欠15の下端縁を示す。また、
図3〜8に示す符号11aは、灰皿1を出し入れするときに使用者が摘む取っ手を示す。
【0023】
(可動底板の構造)
図9および
図10に示すように、可動底板25は、前板部11の裏面に設けられた底板ヒンジ27によって片持ちされ、これによって、底板ヒンジ27を中心として僅かに上方(
図10の矢印26a)に、かつ、下方(
図10の矢印26b)に大きく回動するようになっている。上方に回動させるには人の手、下方に回動させるには可動底板25の自重を、それぞれ用いる。可動底板25の幅寸法は、両側板部13a,13bとの関係において上下の回動(摺動)を許すが、隙間からタバコの吸殻や灰が漏れ落ちない程度の緊密度を保てるように設定されている(
図9)。一方、可動底板25の奥行き寸法は、ユニット前板部105aからフルに引き出されたとき下方へ回動してしまわないように、可動底板25の開放端部25aがユニット前板部105aの裏側に残るように設定してある(
図10)。なお、この開放端部25aは、下方に折り曲げられている。この点については、後述する。
【0024】
(閉鎖板の構造)
図5および
図6を参照しながら閉鎖板21について説明する。閉鎖板21は、タバコの先端や吸殻などを載せるために両側壁部13a、13b間を閉鎖する板である。閉鎖板21は、切欠15の下端縁15a(
図5)よりも僅かに上(後述する皿底板部17aの厚みと同じ寸法だけ少なくとも上、理由は後述)にその下端面が位置するように設けることが好ましい。閉鎖板21は、機能的には別物であるが、製造の手間を省くために連結壁部14と一体に構成されている。すなわち、閉鎖板21の一端が前板部11に固定され、その他端は上方に屈曲され、屈曲された部分が連結壁部14となる。連結壁部14の幅方向両端が両側壁部13a、13bに固定されることにより、閉鎖板21の他端が固定される。閉鎖板21には、複数(ここでは3個)の丸長孔(タバコ落下孔21h)を貫通形成してある(
図6,
図7)。各タバコ落下孔21hは、タバコもしくはその吸殻を縦にして押し入れることはできるが、パチンコ玉1個(直径11mm)を入れられない寸法に形成されている。パチンコ玉を入れられないように形成しているのは、たとえば、遊技結果に不満を持った遊技者がパチンコ玉を入れるという悪戯がまれにあるため、これらを防止するための対策である。この対策は、パチスロ用のメダル(直径25mm〜35mm)を用いた悪戯にも効果がある。タバコと同じもしくはこれより小さいものはタバコ落下孔21hを通過してしまうが、この閉鎖板21を設けることにより灰皿1の中に異物を混入させる悪戯に対し効果的な抑制を図ることができる。大きな異物を破ったりして小さくするなど確信犯的悪戯までは防ぎきれないが、閉鎖板21の存在不存在は、悪戯防止の成否に深く関わっている点に疑う余地はない。なお、タバコ落下孔21hの個数や形状は、上記作用効果を害さない範囲で適宜変更できることは言うまでもない。
【0025】
(タバコ皿の構造)
図4〜
図8を参照しながら、タバコ皿17の説明を行う。タバコ皿17は、矩形の皿底板部17aと、皿底板部17aを囲む四辺のうち閉鎖板21に臨む一辺を除く三辺から起立する平面視コの字状の周壁部17bと、から構成されている。皿底板部17aの開放端は、ヒンジ19を介して側板部13aの切欠15の下端近傍に固定され、これによって、タバコ皿17が側板部13aに対して回動可能になっている。上記一辺を先端とする先端部17c(
図7)は、タバコ皿17を突出させたとき(開いたとき)に、閉鎖板21の下面(
図7の裏側面)に当接してタバコ皿17全体の位置決めに寄与する。このとき、先端部17cは、タバコ落下孔21hのいずれをも閉鎖しタバコもしくは吸殻の落下を邪魔するものであってはならない。前述したように、閉鎖板21は、その下端面が皿底板部17aの厚みと同じ寸法だけ少なくとも上に位置している。これは、皿底板部17aの先端部17cが閉鎖板21の下端面に当接したときに、皿板底部17aの下端面が切欠15の下端縁15aに下支えされてほぼ水平(もしくは、閉鎖板21に向かって僅かに下り傾斜)となるようにするためである。皿板底部17aは必ずしも水平(僅かな下り傾斜)にならなくてもよいが、水平(僅かな下り傾斜)になればその上に載せたタバコや吸殻などが転がりづらいので安定し、使い勝手がよくなる。さらに、
図8に示すように、タバコ皿17をしまうとき(没入させるとき)に、僅かな傾きによって皿底板部17aと閉鎖板21との間に隙間Gができ、このときの皿底板部17aは落下路23に向かって下り傾斜しているので、その上にある吸殻や灰等を隙間G内に簡単に滑りこませることができる。つまり、皿底板部17aの上を短い間に、しかも簡単に綺麗にすることができるのである。
【0026】
周壁部17bは、載せたタバコの先端が下になるように吸い口側を載せられるようにする機能と、皿底板部17aの上の吸殻や灰がこぼれ落ちないようにする機能と、を持っている。周壁部17bの形状は、上記機能を害さない範囲で適宜変更してよい。また、図示は省略するが、タバコを保持して横ズレを防ぐための窪みなどを設けることを妨げない。なお、周壁部17bの両終端17e(
図7)は、タバコ皿17を没入させたとき(
図5に示す状態)、閉鎖板21の上面に当接して位置決めさせるためのストッパーとして機能するようになっている。
【0027】
(吸殻回収ユニットの構造)
図2〜
図6を参照しながら、吸殻回収ユニット3について説明する。灰皿1は、可動底板25の上にタバコの吸殻や灰などを貯めるようにすることもできるし、外部の容器(図示を省略)内に貯めるようにしてもよい。しかし、それらの場合は、灰皿1もしくは外部の容器各々から、吸殻等を取り出すという煩わしさがある。そこで、本実施形態では、前述した搬送ベルト111の上に吸殻等を落下させ自動回収できる構成が採用されている。この目的のために灰皿1と搬送ベルト111との間に配されるのが、吸殻回収ユニット3である。
【0028】
吸殻回収ユニット3(以下、単に「回収ユニット3」という)は、奥行きが長い回収部51と、回収部51の下に内部連通する細身の回収落下部53と、からなり、全体として扁平な漏斗類似の形状に形成されている。回収ユニット3は、ユニット前板部105aの幅よりも僅かに幅狭のユニット前板部55と、ユニット前板部55に対応するユニット背板部57と、両板部を繋ぐ両ユニット側板部59およびユニット天板部61により外観構成されている。回収ユニット3(回収落下部53)の下端は、タバコの吸殻等を落下させるために開口になっている。
【0029】
ユニット前板部55は、上から順に、上直線部55a、中間傾斜部55b、そして、下直線部55cを備えている。上直線部55aは、灰皿1を受け入れるために(
図2)、間柱ユニット105の前板開口105hとほぼ同じ形状の受入開口55h(
図5)を備える。中間傾斜部55bは、回収部51内において吸殻等を回収落下部53へ案内するための傾斜路を構成する。下直線部55cは、回収落下部53の外観の一部を構成する。
【0030】
ユニット背板部57は、上から順に、上直線部57a、中間傾斜部57b、そして、下直線部57cを備え、それぞれは、上記した上直線部55a、中間傾斜部55b、そして、下直線部55cに対応している。なお、前板開口105hと受入開口55hを位置重ねした状態で回収ユニット3(上直線部55a)がユニット前板部105aの背面にネジ固定される(
図2)。
【0031】
(本実施形態の作用効果)
図2〜
図10を参照しながら、本実施形態の作用効果を説明する。灰皿1は、その必要がないときは間柱ユニット105(同時に回収ユニット3)の中に入れておき(
図2)、タバコを吸うために必要な時にその中から手前に引き出して使用する(
図3)。遊技者や遊技場の従業員が灰皿1を間柱ユニット105から引き出すと、両側壁部13a,13bが間柱ユニット105から露出する(
図5)。ここで、切欠15を介して側壁部13aに没入しているタバコ皿17を回動操作して側壁部13aの側方へ突出させる(
図6)。突出させられたタバコ皿17は、その先端部17cが閉鎖板21の下面に当接するとともに、切欠15の下端縁15aに下支えされて、それ以上の回動が阻止され位置決めされる。タバコ皿17は、その上に載せられたタバコC(
図7)を、単独もしくは閉鎖板21と協働して保持する。遊技者は、吸いかけのタバコを載せておくことができるし、火のついた先端部をタバコ皿17もしくは閉鎖板21に押し付けて火を揉み消すこともできる。火が消された後(火がついたまま)の吸殻Ctは、閉鎖板21に設けられたタバコ落下孔21h(
図9)を通して落下路23内へ落下させることができる。一方、タバコ落下孔21hを通過できない異物(たとえば、丸めただけのおしぼり)は、タバコ落下孔を通すことができないので、閉鎖板21を超えて落下路23内へ落下することがない。つまり、閉鎖板21のタバコ落下孔21hは、タバコC(吸殻Ct)より大きな異物の通過を許さないフィルターの役目を果たす。したがって、搬送手段の詰まり、故障などの問題をできるだけ生じないようにすることができるだけでなく、異物混入による清掃の手間を極力抑えることができる。また、タバコを吸わないときは、灰皿1を間柱ユニットに収納しておくことができるため、美観という点でも好適である。
【0032】
さらに、
図10に示すように、間柱ユニット105の中に押し込まれた灰皿1の可動底板25は、自重によって下方へ底板ヒンジ27を中心に回動して落下路23を開放状態にする(
図10で2点鎖線表示)。一方、間柱ユニット105から引き出されるときの灰皿1の可動底板25は、受入開口55h(前板開口105h)の開口下縁55e(105e)との摺動により次第に持ちあげられ、やがて、吸殻回収ユニット3に向かって緩やかに下る状態となり落下路23を閉鎖する(
図10で実線表示)。このとき、開放端部25aは、ユニット前板部105a(ユニット前板部55)の裏側に残り、そこに引っかかり、それ以上の引き出しを阻止する。つまり、開放端部25aは、引き出しストッパーとして機能する。灰皿1を間柱ユニット105から取り外したいときは、人の手で可動側板25を持ちあげて開放端部25aと開口下縁55e(105e)との引っかかりを解除すればよい。