特許第6111036号(P6111036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6111036
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】グラビアオフセット印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 1/10 20060101AFI20170327BHJP
   B41N 10/00 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B41M1/10
   B41N10/00
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-216545(P2012-216545)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69402(P2014-69402A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 寛之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆洋
(72)【発明者】
【氏名】上村 祥文
(72)【発明者】
【氏名】山田 英幸
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−229248(JP,A)
【文献】 特開2012−094706(JP,A)
【文献】 特開2006−318850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/10
B41N 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷基材の印刷面に、インキ中に含まれる溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートまたはγ−ブチロラクトンと、シリコーンゴムから成るブランケットとの組み合わせにおける溶媒吸収能が0.95以下である樹脂層を形成する工程と、凹版にインキを充填する工程と、充填されたインキをブランケットに受理させる工程と、ブランケットから被印刷基材にインキを転写させる工程とをこの順に含む、グラビアオフセット印刷方法。
【請求項2】
前記溶媒吸収能が0.5〜0.95であることを特徴とする請求項1に記載のグラビアオフセット印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビアオフセット印刷方法に関する。また、該グラビアオフセット印刷方法によって得られる印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
液状、ペースト状のインクを用いて所定のパターンを様々な物品の表面に印刷する方法は、多様な工業製品を製造するうえで有用である。同じパターンを有する物品を繰り返し製造する場合には、製造コストを抑える効果も大きい。連続するシート状の物品に、同じパターンを繰り返し形成するような場合、特に優れた方法である。
【0003】
近年、エレクトロニクス分野においても様々な物品を印刷の手法で製造することが実施されている。例えばフィルム上に形成された電子回路、情報表示装置としての各種ディスプレイパネル、太陽電池パネルやその電極など、印刷手法の利用範囲は広い。このような状況の中、印刷の解像度を更に向上させ、より微細なパターンを印刷する方法が強く求められている。
【0004】
高解像度印刷や微細パターンの印刷に対し、インクジェットによる印刷技術が進歩しているが、それでも例えばドットの平均最大径が20μm以下、且つ、隣り合うドットとの平均間隔が10μm以下であるようなパターンを印刷することは困難である。また、線幅が20μm以下の細線を印刷することも困難である。印刷版を用いた場合と同様に、被印刷物に着弾したインク滴がその表面で拡がり、隣り合うドット同士が連結してしまう。これを防止するためにインクの粘度や表面張力を調整するにも、インクジェット印刷の場合はその許容範囲は極めて小さい。
【0005】
このような状況のなか、グラビア印刷、特にグラビアオフセット印刷が微細パターンの印刷に好適に用いられている。しかしながらグラビアオフセット印刷で用いられるブランケットは、連続印刷中にインキに含まれる溶剤を吸収しつづけ、これにより印刷精度が落ちるという問題があった。このような問題を解決するべく、特許文献1では最外層であるシリコーンゴムと、伸縮性の少ない耐溶剤性にすぐれた高分子材料からなるシートに複数個の孔を開けた補強層と、スポンジ状の圧力吸収層と、心材とで構成したブランケットを提案している。これによれば、シリコーンゴム層が吸収したインキ中の有機溶剤が補強層に形成した複数個の孔を通してスポンジ層に吸収され、シリコーンゴム層の膨潤を抑えることができるとしている。
【0006】
特許文献2では、転写材(インキに相当)を凹版から受理して被印刷物に転移させるブランケットを、転写材の転移後、次の転写材の受理までの間に溶媒吸収体に回転接触させて、ブランケット表面に吸収されている転写材の溶媒を吸収させる接触手段を具備する溶媒吸収機構を開示している。更に特許文献3には、ブランケットのインキ溶剤濃度を計測するための溶剤濃度計測手段および/またはブランケットの厚み方向におけるインキ溶剤の濃度分布を計測するための濃度分布計測手段を備え、この計測結果に基づいてブランケットに含まれるインキ溶剤を吸収するための溶剤吸収手段を制御するブランケットの管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−143858号公報
【特許文献2】特開2000−158633号公報
【特許文献3】特開2007−175977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のブランケットは、構造が複雑となりブランケットの製造コストが高くなるという問題があった。また、連続印刷を続け、スポンジ層も有機溶剤で飽和されてしまえば、それ以上、シリコーンゴム層の膨潤を抑えることができない。
【0009】
特許文献2のような溶媒吸収機構を設けることは、印刷装置をより複雑なものとしてしまう。また、ブランケットに吸収された溶媒を十分に吸収させるためには、連続印刷を中断する必要が生じる。特許文献3のブランケット管理方法においても同様の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のグラビアオフセット印刷方法は、このような課題を解決するものであって、被印刷基材の表面に、インキ溶媒を吸収してブランケットの膨潤状態を一定とするような樹脂層を設けることを特徴とする。
【0011】
すなわち本発明のグラビアオフセット印刷方法は、被印刷基材の印刷面に、インキ中に含まれる溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートまたはγ−ブチロラクトンと、シリコーンゴムから成るブランケットとの組み合わせにおける溶媒吸収能が0.95以下である樹脂層を形成する工程と、凹版にインキを充填する工程と、充填されたインキをブランケットに受理させる工程と、ブランケットから被印刷基材にインキを転写させる工程とをこの順に含む、グラビアオフセット印刷方法である。
【発明の効果】
【0012】
インキ中の溶剤によるブランケットの膨潤状態を一定に保ち、連続印刷における印刷精度を高めることができるグラビアオフセット印刷方法を提供する。また、高解像度で微細なパターンが印刷された印刷物を安定的に製造し提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明で用いられる被印刷基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネートなどの材質からなるものを挙げることができる。このうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系のフィルムが強度が高く、コストも安いことから、好適に使用され、特にポリエチレンテレフタレートのフィルムが最適である。被印刷基材は、これらの材質からなるシート、フィルム、または板として用いられる。
【0014】
基材の厚みは特に限定されるものではないが、通常は10μm〜1000μm程度、好ましくは50μm〜500μm程度の範囲である。厚みが薄すぎると強度が低くなりすぎ、厚すぎると重量やコストなどの点で実用的でなくなる傾向にあり、連続印刷への適性も落ちる。
【0015】
本発明で用いられる凹版は、一般的な凹版を使用できる。例えば銅や鉄等の金属製、樹脂製、セラミック製の凹版が用いられる。また、表面にクロム、セラミック、ダイヤモンドライクカーボン等からなる被膜を形成したものであってもよい。凹版にはエッチング法やレーザー彫刻法等による印刷パターンが彫刻されており、このパターンにインクが充填されるようになっている。凹版は平板状やロール状のものが用いられる。平板状の凹版は比較的小さな印刷物や、少量の印刷物を製造する目的に適しており、ロール状の凹版は大きな印刷物や、大量の印刷物を連続して製造する場合に有用である。
【0016】
ブランケットは、凹版に充填されたインキを受理する樹脂から成る表面層と、表面層のインキを受理する面とは反対側にクッション層を積層した多層構造であってもよい。更には強度を向上するための布帛や樹脂フィルムなどの補強層を積層した構造であってもよい。このようなブランケットは、それを支持するベース部材に取り付けて使用されてもよい。ベース部材は応力による変形が少ない材質であることが好ましく、金属や樹脂、セラミックなどから成る。また、ベース部材の形状は平板状、ロール状などが挙げられ、ベース部材の表面をブランケットで覆うように構成される。
【0017】
本発明のブランケットの表面層は、樹脂から成り、特に弾性を有するゴムであることが好ましい。ブランケットの表面層の材質としては、例えばニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムおよびこれらの混合物などが挙げられる。なかでも耐溶剤性が高い点や、ぬれ張力が低く溶媒の選択肢がひろがるという点からシリコーンゴムが好適に用いられる。
【0018】
インキの組成は、印刷の目的によって適宜選択することができるが、液状、ペースト状とするための溶媒を含むものとする。色や柄、模様などを付与する目的で印刷を行う場合には、一般的に顔料や染料を溶媒に溶解させたり分散させたりしたものがインキとして用いられる。被印刷基材を分解、溶解するような物質を溶媒に溶解して印刷して被印刷基材の表面をパターン状にエッチングするような場合もある。または、機能性材料をパターン上に付与する目的で印刷を行う場合もあり、その場合、機能性材料を被印刷基材上に保持させる目的でバインダーと呼ばれる樹脂を配合することもできる。
【0019】
本発明のグラビアオフセット印刷方法で用いられるインキは、上記のようなインキを用いることができるが、溶媒を含むことを必須とする。溶媒は、インキに含まれる他の機能材料に合わせて適宜選択することができる。一般的な溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテルなどのグリコール類とその誘導体、グリセリン、トリアセチンなどのグリセリンとその誘導体、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n−プロピルアセテート、ブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテートなどの酢酸エステル類、γ−ブチロラクトン、N−メチルメチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、炭酸ジメチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ソルベントナフサ等が挙げられる。溶媒はこれらのうち一種類であってもよいし、複数種類の混合物であってもよい。
【0020】
被印刷基材の印刷面に、溶媒吸収能が0.95以下である樹脂層を形成するが、用いられる樹脂としては、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、カルボキシル化スチレン/ブタジエン共重合体樹脂およびポリエステル樹脂が例示できる。これらの樹脂は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。また、エネルギー線を照射することによって硬化するタイプの樹脂を用いることもできる。そのような樹脂の例としては紫外線硬化型樹脂を挙げることができる。
【0021】
グラビアオフセット印刷方法において、ブランケットは凹版からインキを受理する際、インキ中に含まれる溶媒のうち幾らかを吸収する。インキから適切な量の溶媒がブランケットに吸収されることにより、インキの流動性が適度に抑えられ、その結果、被印刷基材への転写の際に滲むことなく転写される。もし、ブランケットがインキ中の溶媒を吸収しすぎる場合には、ブランケット上でインキが固形化したり、インキ量が不足したりして正常な転写がなされない。反対に、ブランケットの表面層が既に溶媒で膨潤しきっている場合には、溶媒をそれ以上吸収できないため、インキの流動性が高いままとなる。そのため、転写の際にブランケットと被印刷基材の接触面でインキが広がり過ぎてしまう。このような状態では精度の高い、微細な印刷は望めない。
【0022】
本発明で被印刷基材の印刷面に形成される樹脂層は、ブランケットが保持している溶媒の一部を吸収し、ブランケットの表面層の溶媒による膨潤状態を調整する役割を有する。ここで被印刷基材の印刷面に形成される樹脂層が有する溶媒吸収能について説明する。ブランケットの表面層に溶媒を1時間接触させる。この溶媒は、印刷に用いられるインキに含まれる溶媒を単独で用いることとする。このブランケットの表面層に、被印刷基材の印刷面に形成された樹脂層を1分間接触させる。樹脂層の接触前後にブランケット表面層のIR吸収をFT−IR660(日本分光株式会社製、ATR一回反射法、Ge結晶使用)で測定する。溶媒に特有の周波数における吸光度Asとブランケット表面層の材質に特有の周波数における吸光度Abとの比、As/Abをブランケット表面層に含有される溶媒量の指標とする。つまり、ブランケット表面層の材質特有の吸光度Abを内標準として、溶媒特有の吸光度Asを規格化するのである。そして、ブランケット表面層への樹脂層の接触前後でこの指標の比をとって溶媒吸収能とする。
【0023】
すなわち、樹脂層の接触前(溶媒に1時間接触させた直後)のブランケット表面層を測定した際の、溶媒特有の周波数における吸光度をAsとし、ブランケット表面層の材質特有の周波数における吸光度をAbとする。また、樹脂層を接触させた直後のブランケット表面層を測定した際の、溶媒特有の周波数における吸光度をAsとし、ブランケット表面層の材質特有の周波数における吸光度をAbとする。この場合の樹脂層の溶媒吸収能は次の数1の式で表される。
【0024】
【数1】
【0025】
上記の数1の式で表される溶媒吸収能の値が小さいほど、ブランケット表面層から溶媒を除去する効果が高いことを意味する。本願発明では、被印刷基材の表面に形成される樹脂層の溶媒吸収能が0.95以下であることが必要である。溶媒吸収能が0.95を超える場合には、連続印刷においてブランケット表面層に蓄積されるインキ中の溶媒の量を適切にコントロールできないため、精度の高い、微細な印刷を実現することができない。樹脂層の溶媒吸収能が0.95以下の場合、連続印刷においてブランケット表面層の溶媒量を適切にコントロールできるため、高い精度の印刷を安定的に実現することが可能となる。
【0026】
ここで樹脂層が有する溶媒吸収能については、インキ中に含まれる溶媒の種類、ブランケット表面層の材質や構造、樹脂層を構成する樹脂の種類や構造など、多くの要因によって決定され、これらの組み合わせを適宜選定して溶媒吸収能の値を設計できる。溶媒吸収能は小さいほど好ましいといえるが、上記の各要因をトータルでバランスさせて好適な値に設計することが好ましい。例えば、樹脂層を厚くしてやれば溶媒を吸収しやすくなり、溶媒吸収能の値としては小さくなる。しかしながら、樹脂層が厚くなりすぎると印刷物自体が厚くなることとなり、重量が増大してしまうなど使用上の問題が発生することも考えられる。このような状況を考慮し、溶媒吸収能は0.5〜0.95であることが好ましい。0.5未満の溶媒吸収能を実現するには、樹脂層の厚さが大きくなりすぎたり、コストが増大したりする虞がある。また、ブランケット表面層の溶媒を完全に除去してしまうようなことは、ブランケット表面層の乾燥を意味し、印刷状態の安定性に問題が生じる虞もある。より好ましい溶媒吸収能の値としては、0.7〜0.95の範囲である。
【実施例】
【0027】
被印刷基材として厚み100μmのポリエステル・フィルム(三菱樹脂株式会社製:ダイアホイル(登録商標)T680)を用いた。このフィルムの一方の面に対し、表1に示す樹脂組成物1〜3を塗工して樹脂層を形成した。塗工方法はバーコーター(RKプリントコートインスツルメント社製:Kコントロールコーター)を用い、速度目盛り3.5であった。その後80℃、10分間の乾燥を実施した。
【0028】
【表1】
【0029】
アクリット8KX−012C(大成ファインケミカル株式会社製:アクリルポリマー)
イルガキュア(登録商標)184(BASFジャパン株式会社製:光重合開始剤)
バイロン(登録商標)270(東洋紡績株式会社製:ポリエステル樹脂)
CAT−10L(東洋モートン株式会社製:硬化剤)
【0030】
ブランケット表面層の形成方法を示す。厚み100μmのポリエステル・フィルム(三菱樹脂株式会社製:ダイアホイル(登録商標)T600)の表面に二液型RTVゴム(信越化学工業株式会社製:KE−12)を、厚み400μmとなるようにバーコーターで塗工し、室温で24時間静置してブランケット表面層を形成した。これをゴムからなるロール状の支持部材に固定してブランケットとした。印刷版には平均ドット径が14.4μmであるドット状のパターンを有する金属平版を用いた。
【0031】
インキとして以下の表2に示す酸化チタンの分散液1と2を調整し、更にこれを溶媒にて希釈して印刷に供した。
【0032】
【表2】
【0033】
CR−95(石原産業株式会社製:酸化チタン)
バイロン(登録商標)GK680(東洋紡績株式会社製:ポリエステル樹脂)
BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)
GBL(γ−ブチロラクトン)
【0034】
表3に、実施例1〜4および比較例1、2で用いた樹脂組成物の種類とその塗工量(ウェット時の膜厚)、形成された各樹脂層の溶媒吸収能の値、印刷に用いたインキ種類と印刷におけるパターンの寸法変化率を示す。寸法変化率とは、前記印刷版上の任意のドット10点の平均径に対する、20回の連続印刷後に樹脂層上に形成されたドット10点の平均径の比率とする。寸法変化率が0.5〜1.5の範囲であれば、良好な印刷精度が得られたものとして評価することとした。尚、比較例1と2では、印刷後のドットが溶媒過多により濡れ広がって連結してしまい、ドット径の測定ができなかった。これは精度の高い印刷が出来ないことを意味する。
【0035】
【表3】